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トンブリ級海防戦艦
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{| class="wikitable" style="clear:right; float:right; margin: 0em 0em 1em 1em; width: 300px; background:#ffffff" |- ! colspan="2" style="color: white; height: 30px; background: navy;"| トンブリ級海防戦艦 |- | colspan="2" align=center|[[File:HTMS Tonburi 4 days before fight.jpg|300px|]]<br/><center><small>1941年に撮影された「トンブリ」</small> |- ! colspan="2" style="color: white; height: 30px; background: navy;"| 艦級概観 |- |艦種||[[モニター艦]]/[[海防戦艦]] |- |艦名|| |- |前級|| - |- |次級|| - |- ! colspan="2" style="color: white; height: 30px; background: navy;"| 性能諸元 |- | style="white-space:nowrap;" |[[排水量]]||常備:2,015[[トン]]<br />満載:2,265トン |- |全長||76.5[[メートル|m]] |- |垂線長||-m |- |全幅||14.4m |- |吃水||4.2m |- |機関||重油専焼[[マン (企業)|MAN]]製[[ディーゼルエンジン|ディーゼル機関]]2基2軸推進 |- |最大出力||5,200[[馬力|hp]] |- |最大速力||15.5[[ノット]] |- |航続距離||12ノット/5,800[[海里]] |- |燃料||重油:150トン |- |乗員||155名 |- |兵装||[[五十口径三年式二〇糎砲|三年式 20.3cm(50口径)連装砲]]2基<br />[[QF 12ポンド 12cwt高射砲|四〇口径四一式八糎平射砲]]4基<br />[[毘式四十粍機銃]]2基<br />[[ホ式十三粍高射機関砲]] 単装2丁 |- |装甲||舷側:63mm(水線部)<br />甲板:25~38mm(主甲板)<br />主砲塔:102mm<br />[[バーベット]]:102mm(最厚部)<br />司令塔:102mm |} '''トンブリ級海防戦艦'''( とんぶりきゅうかいぼうせんかん、HTMS Dhonburi Class Coastal defense ship)は、[[タイ王国海軍|タイ海軍]]の[[海防戦艦]]の級名。 == 概要 == 本級はタイ海軍が自国の沿岸防御のために、フランス極東艦隊を仮想敵として建造した戦闘艦艇である。[[1934年]]のタイ海軍第一回拡張計画により、1番艦トンブリ・2番艦スリ・アユタヤ共に[[日本]]・[[神戸市|神戸]]の[[川崎造船所]]で建造された。 == 艦形 == 本級は[[砲艦]][[ラタナコシンドラ級砲艦|ラタナコシンドラ級]](1,000トン級、15cm砲2基)の拡大型として計画され、2,000トン級の船体で20cm連装砲2基という重武装と一定の外洋航行能力を両立させる目的から、船体は[[船首|艦首]]甲板の高い長船首楼型とした。船体形状は凌波性を持たせるため強く傾斜したクリッパー型艦首から前部甲板に強いシア(甲板の反り返り)を付け、前半部の乾舷を高めている反面、重心低下のため艦中央部より後方の乾舷は水面付近まで低くしてバランスを取っていた。高温多湿のインド洋で使用されるために通風を優先して舷側には上下2列の[[舷窓]]が全長一杯に配置しており、下段は水線部装甲以外の前後部に設けられた。 伸び上がった艦首甲板から一番下がった部分に[[レンジファインダー|測距儀]]を収めた20cm[[砲塔|連装砲塔]](日本の五十口径三年式二〇糎砲と同形)1基を配置し、この1番主砲塔から後部で甲板は艦橋部で最も持ち上がる。 本級の艦橋部分は近代的な塔型艦橋の三段構造で、一段目は操舵艦橋、二段目が戦闘艦橋となっており、側面部は柵の付いた見張り台となっていた。三段目が対空見張り台でその後部から中段部に探照灯台が配置した測距儀台が立つ。艦橋デザインは同世代の[[大日本帝国海軍|日本海軍]]の[[重巡洋艦]][[古鷹型重巡洋艦|古鷹型]]・[[青葉型重巡洋艦|青葉型]]との類似性が見られた。 艦橋を形成している上部構造物の両舷には、7.62cm高角砲を単装砲架で片舷に各2基ずつ計4基配置している。(これらはタイ王立海軍博物館に移設した実物が展示されている)艦橋背後の上部構造物上に軽構造の[[三脚]]式の前部[[マスト]]立ち、そこから甲板一段分下がって中央部甲板上には中段に探照灯台1基を配置する[[小判]]型断面の1本[[煙突]]が立つ。煙突両舷にはグース・ネック(鴨の首)型[[クレーン]]が片舷1基ずつ計2基が装備されており、その後方の艦載艇置き場から艇を水面部に上げ下ろしできる様になっていた。艦載艇置き場の後方は更に甲板一段分下がって後部甲板が始まり、そこに簡素な単脚式の後檣と頂上部に見張り台を持つ後部艦橋が配置され、その背後に後向きに後部主砲塔が1基搭載されている。一段目の見張り台と後部見張り台には[[毘式四十粍機銃]]([[ヴィッカース]]製QF 2ポンド砲 Mk VII([[ポンポン砲|ポムポム砲]])を日本でライセンス生産したもの)を連装砲架で1基ずつ計2基を配置していた。 == 機関部 == 船体が小型なために機関は大型な物を搭載できず、[[ドイツ]]の[[マン (企業)|MAN]]社製[[ディーゼルエンジン|ディーゼル機関]]を二基積み、二軸推進で出力5,200馬力、速力15.5ノットを出した。燃料搭載量は重油150トンで、12ノットで5,800海里を航行することが出来た。 == 建造と、その後 == 1番艦トンブリと2番艦スリ・アユタヤは日本の川崎重工神戸造船所の同一船台上で順次建造された。2隻は[[1936年]]に起工、スリ・アユタヤは[[1938年]][[7月31日]]に進水、[[1938年]][[6月16日]]に竣工した。トンブリは1938年[[1月31日]]に進水、同年[[8月5日]]に竣工した。その後は同海軍の旗艦として[[タイ王国|タイ]]の海を守りつつ諸外国の海軍士官を招いて交流を続けた。 トンブリは[[1941年]][[1月16日]]の[[コーチャン島沖海戦]]でフランス東洋艦隊と交戦し、損傷・擱座<ref name="kanreki">木俣滋郎『欧州海戦記』(光人社NF文庫、2000年) ISBN 4-7698-2260-X p90~p102</ref>。その後はタイの依頼により神戸の川崎重工が離礁作業を請け負い、1941年末に日本サルベージの手で引き上げに成功した<ref name="kanreki"/>。しかし船体の破損は著しく、戦後も永らく繋留状態のままで[[練習艦]]等として使用されていたが、老朽化が進み、後に砲塔と艦橋構造を海軍兵学校の校庭に陸揚げして残りは解体処分とされた。 本艦の砲塔と艦橋構造物は[[2010年]]現在も現存しており、当時の日本が建造した艦船と同様の艤装と思われる(少なくとも外見上は同様にみえる)ため非常に貴重な存在であるにもかかわらず、調査された形跡は無い。特に砲塔に至っては日本の空母だった赤城又は加賀が昭和9年の大改修の際に外された物を流用したとの説もある。 スリ・アユタヤはコーチャン島沖海戦での被害はなく<ref name="kanreki"/>行動能力を維持していたが、[[タイにおける政変一覧#立憲革命以降|1951年6月のクーデター]]の際に座礁し、その直後に[[タイ陸軍]]からの砲撃を受けて6月30日に大破・沈没した。後に浮揚されて解体された。 == 同型艦 == * トンブリ(Dhonburi) - 1936年起工 1938年1月31日進水 1938年8月5日竣工 1941年1月16日損傷・擱坐 後に解体 * スリ・アユタヤ(Sri Ayuthia)- 1936年起工 1938年7月31日進水 1938年6月16日竣工 1951年6月大破・沈没 後に解体 == 関連項目 == * [[タイ王国海軍艦艇一覧]] == 脚注 == <references/> == 参考文献 == * 『<small>歴史群像太平洋戦史シリーズ38</small> 最上型重巡 <small>軽巡から重巡へと変遷を遂げた傑作艦の足跡</small>』([[学研ホールディングス|学習研究社]]、2002年) ISBN 4-05-602880-X : 国本康文「タイに保存される日本製20センチ連装砲塔と砲身」 p133~p134 * 山本義秀、吉原幹也 編・著『日本海軍艦載兵器大図鑑』([[KKベストセラーズ]]、2002年) ISBN 4-584-17088-6 : タイ国にて保存中の日本海軍艦載兵器(山本義秀撮影) p24~p34 * 『日本巡洋艦史』(海人社『[[世界の艦船]]』増刊第32集、1991年) ISBN 4-905551-39-0 * 森 恒英『<small>軍艦メカニズム図鑑</small> 日本の巡洋艦』(グランプリ出版、1993年) ISBN 4-87687-132-9 == 外部リンク == * [http://thaigunship.blogspot.com/2008/08/htms-thonburiaka-dhonburi.html HTMS Thonburi ( aka HTMS Dhonburi ) ] トンブリの艦形の判る写真があるページ。 * [http://battleships.ru/warships/dhonburi_1936_thmalkov/ship_rsmalkov.html 'Dhonburi' (1936)]「トンブリ」の写真とスペックのあるページ。(英語) * [http://178.83.198.61/wings/59-Thai%20Navy/H-09-RTN-Ship.htm Sri Ahuthia class, Coastaldefence Ships]本級のスペックと写真があるページ。 {{DEFAULTSORT:とんふりきゆうかいほうせんかん}} [[Category:タイの艦船]] [[Category:海防戦艦]]
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