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[[Image:Decca198.jpg|thumb|[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の[[:en:Decca Records|デッカ]]の[[レコードレーベル|レーベル]]。[[1934年]]に[[トランペット]]のスター、[[:w:en:Henry Busse|ヘンリー・バッシー]]をフィーチャーしたアルバムから。このレコードは 78 回転に標準化される前に製作されたもので、回転数がレーベルに記されていないため、正しい回転数は不明である(それが普通だった)。]] '''デッカ・レコード'''(Decca Records)は、[[イギリス]]の[[レコード会社]]。[[アメリカ合衆国]]にも子会社を設立したが、第二次世界大戦の混乱の中で両社の資本関係は切れ、その後は各々が独自の道を歩むことになった。しかし、1990年代の世界的な音楽業界の再編によって、現在は両社共に[[ユニバーサルミュージック (米国)|ユニヴァーサル・ミュージック・グループ]]の一部となっている。 == イギリス・デッカ == 1929年に株式仲買人であったエドワード・ルイスによって設立されたデッカは、1930年代に勢力を伸ばし、[[EMI]]と並んでイギリスの2大レコード会社となった。同社はアメリカのレコード会社からイギリスでの配給権を得ることに熱心で、[[ブランズウィック・レコード]]、[[RCAレコード|RCAビクター]]、[[アトランティック・レコード|アトランティック]]、[[フィル・スペクター|フィレス]]やドイツの[[ポリドール・レコード|ポリドール]]などの録音をイギリスにおいて配給していた。 第二次世界大戦勃発直前に[[潜水艦]][[ソナー]]開発の一翼を担い、その技術を応用してffrrというハイファイ録音技術で多くの作品を発表した。また[[ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団]]と完全専属契約を収め、一時期は英デッカ以外の録音がない時代が続く。 1962年にはオーディションで[[ビートルズ]]を落とすという判断ミスがあった(つまり、ビートルズのメジャーデビューを遅らせてしまった)ものの(ただし、このとき採用された[[ブライアン・プール&ザ・トレメローズ]]も、全英チャートをにぎわす程の成功を収めている) 、[[ローリング・ストーンズ]]をデビューさせ、ブリティッシュ・インベイジョンの一翼を担った。また、1966年には[[プログレッシヴ・ロック]]、[[ブルースロック]]など当時としては革新的な音楽性を持つアーティストを扱う専門レーベルである[[デラム]](DERAM)を設立し、[[ムーディー・ブルース]]や[[キャメル (バンド)|キャメル]]、[[テン・イヤーズ・アフター]]などを送り出した。こういったサブ・レーベルの設立は世界初とされる。 しかし、1960年代後半からアメリカのレコード会社がイギリスに自社の配給網を作るようになって徐々にデッカの手を離れると共に、1970年にはローリング・ストーンズが他社へ移籍するなどして、同社のポップス分野での勢いは次第に弱まっていった。 なお、同社の作品をアメリカで販売する際には、デッカという商標をアメリカのデッカが保有している関係上、[[ロンドンレコード]]というレーベル名でオリジナル・[[ロゴタイプ|ロゴ]]が使用され、日本でも1990年代まではロンドンレコードの名称を使用していた。 1980年に[[ポリグラム]]によって買収された後、デッカはポップスから手を引き、クラシック音楽のレーベルとしてのみ残った。現在は[[ユニバーサルミュージック (米国)|ユニバーサルミュージック]]内のユニバーサルクラシックスの一部門という位置づけられているが、[[ジャズ]]部門においては[[ヴァーヴ・レコード]]から発売されている。更に、[[2007年]]からは、[[フィリップス・レコード]]のクラシック部門が、自社グループの傘下に入った。 日本での配給は[[キングレコード]]が[[1953年]]頃から行っていたが、本体がポリグラム傘下となった結果、[[1982年]]にポリドールの完全子会社として新たに設立されたロンドンレコード株式会社に移った。ただし、1970年代前半までのタイトルは英デッカの意向によりキングレコードから引き続き発売されたものもあった。これはユニバーサルミュージック傘下となった[[2000年]]まで続いた。なお、ロンドンレコードは[[1984年]]に親会社のポリドールに吸収合併された。 === 沿革 === *[[1929年]] 元株式仲買人のエドワード・ルイスによって、設立される。 *[[1941年]]頃 第2次世界大戦中に、潜水艦の音を聞き分ける目的として、[[ffrr|ffrr(Full Frequency Range Recording)]]という当時としては画期的な高音質録音方式を開発する。 *[[1945年]] ffrr方式による高音質録音のSP盤を発売。 *[[1949年]]頃 テープ・レコーダーを使った録音を開始。 *[[1950年]]6月 ffrr方式を採用した高音質仕様でLPの発売を開始する。(詳細は、[[ffrr]]の項を参照のこと。) *[[1953年]][[11月4日]] 自社のハンプステッド・スタジオにて、ステレオ録音の実験を開始。録音媒体は、自社で開発した垂直-水平(V-L)方式(後にステレオ・レコードの正式規格となった45/45方式とは違う方式)によるディスク・カッターだった。([[マントヴァーニ]]楽団の演奏を録音) *[[1954年]][[5月13日]] スイスのジュネーブにあるビクトリア・ホールにて、[[アンペックス|米アンペックス社]]のステレオ・テープ・レコーダー(350 model 1)を使い、ステレオの実用化試験録音を開始。([[ニコライ・リムスキー=コルサコフ|R・コルサコフ]]作曲、[[アンタール|交響曲第2番「アンタール」]]。演奏は[[エルネスト・アンセルメ]]指揮、[[スイス・ロマンド管弦楽団]]) *[[1954年]]7月 ローマの聖チェチーリア音楽院にて、オペラのステレオ録音を開始する。([[アルベルト・エレーデ]]指揮によるヴェルディ「オテロ」全曲など) *[[1955年]]7月 当時の西独の[[バイロイト祝祭劇場]]での「[[バイロイト音楽祭]]」にて、世界初のステレオによるワグナーの楽劇「[[ニーベルングの指環]]」全4部作を録音する。([[ヨーゼフ・カイルベルト]]指揮による。しかし、独唱者の当時のレコード会社の契約関係の問題により発売は見送られ、[[2006年]]にようやくテスタメント社から発売される。) *[[1956年]] EMIが米[[キャピトル・レコード|キャピトル社]]を買収したことにより、米RCAビクターの発売権を取得。同時に、自社の専属契約アーティストを使っての米RCAビクターへの録音をステレオで開始する(ライナー指揮ウィーン・フィルによるR・シュトラウス「死と変容」など)。 *[[1958年]] ヨーロッパや米RIAAのステレオ・レコードの規格としてが45/45方式を採用したのを期に、自社で開発したV/L方式を断念し、西独テルデック社に45/45方式のステレオ・カッターを注文、納入する。 *[[1958年]]7月 ステレオ・レコードの標準規格となった45/45方式によるステレオ・レコードの発売を開始。[[ffss|ffss(Full Frequency Stereophonic Sound)]]をキャッチ・フレーズとして、自社のステレオ録音の優秀性をアピールする。また、ステレオ・レコードのカッティングに於いては、世界初のハーフ・スピード・カッティングを行った(1968年のノイマン社のSX-68の導入以前まで続けられた。)。(詳細は、[[ffss]]の項を参照のこと。) *[[1958年]][[9月24日]] ウィーンの[[:en:Sofiensaal|ゾフィエンザール]]にて、ワグナーの楽劇「ニーベルングの指輪」全4部作のスタジオ録音を開始する。([[ゲオルグ・ショルティ]]指揮、ウィーン・フィルほか。最初の録音は「[[ラインの黄金]]」。1965年に「[[ワルキューレ (楽劇)|ワルキューレ]]」を最後に全曲録音を完了する。) *[[1963年]] アンペックス社の4トラック・テープ・レコーダーを使って録音した新シリーズ「フェイズ4」レコードを発売開始。 *[[1966年]] デラムを設立 *[[1966年]] ドルビー研究所が開発したノイズ・リダクション・システムを使った世界初の録音を行う。 *[[1968年]] レコードのカッティング・マシーンにノイマン社のSX-68を導入、運用開始。 *[[1971年]]頃 RCAのレコードの販売権が消滅する。これにより、同社の自社アーティストを使った録音が終了し、更に、一部を除き、今までRCA向けに録音した自社録音の原盤権をRCA社から自社に移した。 *[[1978年]] 18ビット直線、48KHzという、当時としては最高性能であるデジタル録音機を開発、同機を使ったデジタル録音を開始する。(最初の録音は同年12月で、ドホナーニ指揮、ウィーン・フィルによるメンデルスゾーン「イタリア」ほか) *[[1979年]] [[1月1日]]、ボスコフスキー指揮ウィーン・フィルによる「ニューイヤー・コンサート」をデジタル録音、同年春に同社初のデジタル録音レコードとして発売する。 *[[1980年]] [[ポリグラム]]に買収される。 *[[1982年]]10月 コンパクト・ディスク・ソフトの発売を開始する(西独ポリグラム社のプレスによる)。 *[[1998年]] ポリグラムが[[シーグラム]]に買収され、シーグラムの音楽部門「[[ユニバーサルミュージック (米国)|ユニバーサルミュージック]]」に吸収される。 *[[2001年]]頃 [[フィリップス・レコード]]のクラシック部門が、自社グループの傘下に入る。 *[[2009年]] クラシックに於いてのフィリップス・レコード原盤でのPHILIPSロゴの表示を一切停止し、全てDECCAに置き換える。 === 主なアーティスト(クラシック部門) === *[[エーリッヒ・クライバー]] *[[クレメンス・クラウス]] *[[ヴィルヘルム・バックハウス]] *[[ハンス・クナッパーツブッシュ]] *[[マリオ・デル=モナコ]] *[[レナータ・テバルディ]] *[[ジュリエッタ・シミオナート]] *[[チェーザレ・シエピ]] *[[ヴィリー・ボスコフスキー]] *[[エルネスト・アンセルメ]] *[[カール・ベーム]] *[[ピエール・モントゥー]] *[[ベンジャミン・ブリテン]] :[[自作自演]]を含む多数の録音を指揮者・伴奏ピアニストとして残している。 *[[ゲオルク・ショルティ]] *[[カール・ミュンヒンガー]] *[[クリフォード・カーゾン]] *[[イシュトヴァン・ケルテス]] *[[ジュリアス・カッチェン]] *[[ホルヘ・ボレット]] *[[ルチアーノ・パヴァロッティ]] *[[ウラディーミル・アシュケナージ]] *[[シャルル・デュトワ]] *[[キリ・テ・カナワ]] *[[ラドゥ・ルプー]] *[[チョン・キョンファ]] *[[クリストファー・ホグウッド]](オワゾリールにも数多く録音) *[[クリストフ・フォン・ドホナーニ]] *[[リッカルド・シャイー]] *[[アンドラーシュ・シフ]] *[[マティアス・ゲルネ]] *[[チェチーリア・バルトリ]] *[[レネ・フレミング]] *[[アンジェラ・ゲオルギュー]] *[[小澤征爾]] *[[タカーチ弦楽四重奏団]] *[[ヴァレリー・ゲルギエフ]]([[フィリップス・レコード|フィリップス]]がデッカの傘下に入ってからはデッカにも度々録音) *[[ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団]] :一時期は専属契約も結んでいた。本来[[ドイツ・グラモフォン]]の専属であるベームがウィーン・フィルとの録音をデッカに残しているのはそのためである。 *[[ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団]] *[[ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団]] *[[ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団]] *[[スイス・ロマンド管弦楽団]] *[[モントリオール交響楽団]] *[[シカゴ交響楽団]] *[[クリーヴランド管弦楽団]] 他 == アメリカ・デッカ == 英デッカの米国子会社として1934年に設立された米デッカは、第二次世界大戦中に親会社との資本関係を失った。しかし、ビング・クロスビーやパツィ・クラインなどの人気スターを輩出し、独立会社として伸張した。1940年にはブランズウィック・レコードを、1952年には[[ユニヴァーサル映画]]を傘下に収めている。1950年代には[[バディ・ホリー]]や[[ジャッキー・ウィルソン (ミュージシャン)|ジャッキー・ウィルソン]]を送り出し、[[ロックンロール]]の成立の一翼を担った。 1962年に[[Music Corporation of America|MCA]]に買収され、後に[[MCAレコード]]と改名した。その後、ABCレコードやゲフィン・レコードを買収して規模を拡大し、1998年に[[ポリグラム]]との合併によって世界最大のレコード会社となり、英デッカと再び同系列となった。これを機に英デッカもアメリカ及び日本でのレーベルを「ロンドン」から「デッカ」に変更した。 === 沿革 === *[[1934年]] 英デッカの子会社として設立。 *[[1940年]] ブランズウィックを買収する。 *[[1952年]] [[ユニヴァーサル映画]]を買収する。 *[[1962年]] [[Music Corporation of America|MCA]]に買収される。 *[[1973年]] [[MCAレコード]]と改名する。 *[[1995年]] 親会社の[[Music Corporation of America|MCA]]が[[シーグラム]]に買収される。 *[[1996年]] [[ユニバーサルミュージック (米国)|ユニバーサルミュージック]]と改名する。 *[[1998年]] [[シーグラム]]が[[ポリグラム]]を買収し、[[ユニバーサルミュージック (米国)|ユニバーサルミュージック]]と合併させる。 === 主なアーティスト(ポピュラー音楽部門) === * [[ルイ・アームストロング]] * [[カウント・ベイシー]] * [[ジミー・ランスフォード]]([[:en:Jimmie Lunceford]]) * [[ジェーン・フローマン]]([[:en:Jane Froman]]) * [[ボズウェル・シスターズ]]([[:en:Boswell Sisters]]) * [[ビリー・ホリデイ]] * [[アンドリュース・シスターズ]]([[:en:The Andrews Sisters]]) * [[テッド・ルイス]]([[:en:Ted Lewis (musician)]]) * [[ジュディ・ガーランド]] * [[ミルズ・ブラザーズ]]([[:en:Mills Brothers]]) * [[ビリー・コットン]]([[:en:Billy Cotton]]) * [[ガイ・ロンバード]]([[:en:Guy Lombardo]]) * [[チック・ウェッブ]]([[:en:Chick Webb]]) * [[ルイ・ジョーダン]] * [[ボブ・クロスビー]]([[:en:Bob Crosby]]) * [[ドーシー・ブラザーズ]]([[:en:The Dorsey Brothers]]) * [[コニー・ボズウェル]]([[:en:Connee Boswell]]) * [[ジャック・ヒルトン]]([[:en:Jack Hylton]]) * [[ヴィクター・ヤング]] * [[アール・ハインズ]]([[:en:Earl Hines]]) * [[クロード・ホプキンス]]([[:en:Claude Hopkins]]) * [[シスター・ロゼッタ・サープ]]([[:en:Sister Rosetta Tharpe]]) * [[チャーリー・ヘイデン]] <!-- 加筆してください --> == 外部リンク == *[http://www.deccaclassics.com/ Decca & Philips Classics] *[http://www.deccalabelgroup.com/ DECCA LABEL GROUP] **[http://www.universalmusicclassical.com/ Universal Music Classical] **[http://www.deccarecords-us.com/ Decca Records (US) - A Universal Music Company] {{DEFAULTSORT:てつかれこおと}} [[category:ユニバーサルミュージック]] [[Category:ヴァーヴ・ミュージック・グループ]] [[Category:イギリスのレコード・レーベル]] [[Category:クラシック音楽のレコード・レーベル]] [[category:1929年設立の企業]]
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