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テミス
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{{Otheruses|女神|その他のテミス|テミス (曖昧さ回避)}} '''テミス'''({{lang-grc-short|'''Θέμις''', ''Themis''}})は、[[ギリシア神話]]の法・[[掟]]の[[女神]]である。[[ヘーシオドス]]によれば、[[ウーラノス]](天)と[[ガイア]](大地)の娘で、[[ティーターン]]の一人である<ref>『神統記』133行-135行。</ref>。テミスとは[[古代ギリシア語]]で「不変なる[[掟]]」の意味であり、この名の[[擬人神]]である<ref name=grd163>『ギリシア・ローマ神話辞典』 p.163。</ref>。 == 概説 == [[ファイル:0029MAN-Themis.jpg|thumb|150px|テミス像。紀元前300年頃]] テミスは「[[正義の女神]]」と見なされることが多いが、近代・現代的な意味での「[[正義]]」とは異なっている。むしろ、古代ギリシア語で正義に該当する神は、[[ディケー]]女神である<ref>呉茂一『ギリシア神話』 p.55。テミスを現代日本語の概念に照らし合わせると「掟・法」の意味が近く、他方、ディケー(Dike)が「正義」の概念に近い。</ref>。ギリシア神話においては、ティーターンとオリュンポス神の戦いの後、敗れたティーターンは主要な神の地位を失い、神話においても多くの神が言及されなくなり、また地位が低下している。オリュンポスの時代になって、なおその地位と威勢を変わりなく維持した神はテミスだけである<ref name=grd163 />。 === テミスの結婚と子供たち === ヘーシオドスの『[[神統記]]』によると、[[ゼウス]]は二番目の妻としてテミスを娶り、二人のあいだには、[[エウノミアー]](秩序)、[[ディケー]](正義)、[[エイレーネー (ギリシア神話)|エイレーネー]](平和)の[[ホーライ]]の三女神が生まれた<ref name=thg901>『神統記』 901-906行</ref> <ref name=apol-1-3-1>アポロドーロス、第1巻3-1。</ref> <ref>ホーライは最初は、秩序・正義・平和のような人間のノモスの様態の神格化であったが、後には[[四季]]が代表する[[季節]]・[[時節]]の意味になって来る。</ref>。更に、[[クロートー]]、[[ラケシス]]、[[アトロポス]]の[[モイライ]]の三女神が生まれた<ref name=thg901 /> <ref name=apol-1-3-1 />。 [[ヘーラクレース]]の第11番目の課題は、[[ヘスペリデース]]の[[黄金の林檎]]を獲得することであった。[[アポロドーロス]]によると、ヘスペリデースの園を知る海神[[ネーレウス (ギリシア神話の神)|ネーレウス]]の居場所をヘーラクレースに教えた[[ニュンペー]]たちは、ゼウスとテミスのあいだの娘であった<ref>アポロドーロス、第2巻5-11。</ref>。また[[アイスキュロス]]によれば、[[プロメーテウス]]はテミスの子である<ref name=grd163 />。 === デウカリオーンとテミスの託宣 === [[ポーキス]]の南岸、[[パルナッソス山]]の南麓には[[デルポイ]]の神託所があった。この神託所は、歴史時代にあっては[[アポローン]]のもので、[[ピューティアー]]と呼ばれる[[巫女]]が[[神託]]を授けていた。デルポイは往古、ピュートーと呼ばれ、そこにはゲー([[ガイア]])の託宣所があり、竜の[[ピュートーン]]がガイアの代理としてその地を支配していた。アポローンはピュートーンを倒し、神託所を自分のものとした。ここよりピュートーはアポローンの聖地となった。一説に、これを記念して、[[ピューティア大祭]]がデルポイで開催されることとなる<ref>呉茂一『ギリシア神話』 p.78。</ref>。 他方、ピュートーに神託所を持っていたのはテミス女神であるとする伝説も古くからあった。テミスは予言の術に秀で、アポローンに予言の術を教えた。アポローンはこうして、後にデルポイに彼の神託所を持つことになる<ref name=grd163 />。 ==== 大洪水と第四の人間 ==== [[ファイル:Relief of Deucalion and Pyrrha - Parc del Laberint d’Horta - Barcelona.jpg|thumb|200px|デウカリオーンとピュラー]] [[ゼウス]]は「青銅の時代」の人間たちが暴乱の様をつのらせたのを知り、[[大洪水]]を起こして彼らを滅ぼす計画を立てた。こうしてほとんどすべての人間は滅ぼされたが、[[プロメーテウス]]の息子[[デウカリオーン]]とその妻[[ピュラー]]は、大洪水の起こることをあらかじめに父より教えられていたので、[[箱船]]を造り洪水の難を逃れた。 人間が滅び、一組の正しい男女だけが生き延びたことを知ったゼウスは、大洪水を終焉させる。二人が乗った箱船は、九日九夜、水の上を彷徨った後、パルナッソスの二つの高峰近くに止まった。天候の回復を知った[[デウカリオーン]]は船より降り、ゼウスに犠牲を献げ、デルポイに託宣所を持っていたテミス女神にも感謝の祈りを捧げた。二人は人間がすべて滅び消えたことを知り、テミス女神に祈って、人間の種族を再び回復させる方法を尋ねた。テミスは二人の問いに答え、「爾らの大いなる母の骨を歩を進めつつ背後に投げよ」と教えた。二人は、地上の岩の塊(大いなる母の骨)を歩みつつ背後に投げるとそこから新しい人間の種族が生まれ出た<ref>呉茂一『ギリシア神話』 pp.40-42。</ref>。 == ローマ神話での女神 == テミスは[[ローマ神話]]においては[[ユースティティア]]女神に対応するとされる。近代・現代において、秤を手に持ち、司法における[[法 (法学)|法]]と[[正義]]の象徴として像に表現されるのは、テミスではなくローマ神話のユースティティアである。彼女は[[正義の女神]]として、[[欧米]]においては司法の象徴ともなっている。 == 脚注 == {{reflist|2}} == 参考文献 == * [[高津春繁]]『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店、1960年、2007年 * [[呉茂一]]『ギリシア神話』新潮社、1969年、1986年 * [[ヘーシオドス]]『[[神統記]]』岩波書店、1984年、2006年 * [[アポロドーロス]]『[[ビブリオテーケー|ギリシア神話]]』岩波書店、1978年改版、1982年 == 関連項目 == * [[ホーライ]] * [[モイライ]] * [[ユースティティア]] * [[正義の女神]] == 外部リンク == {{commonscat|Themis}} * M.G. Gallagher Law Library: [http://lib.law.washington.edu/ref/themis.html Themis, Goddess of Justice](英語) * The Role of Women in The Art of Ancient Greece (fjkluth.com): [http://www.fjkluth.com/themis.html Themis and Her Impact on Greek Art and Culture](英語) * Theoi Project (Theoi.com): [http://www.theoi.com/Titan/TitanisThemis.html Themis](英語) * Greek Mythology Link: [http://web.archive.org/20011203080058/homepage.mac.com/cparada/GML/Themis.html Themis](英語) {{DEFAULTSORT:てみす}} [[Category:ギリシア神話の神]] [[Category:女神]] [[Category:維持神]] [[Category:正義の神]]
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