チョウのソースを表示

{{redirect|蝶}}
{{otheruses|昆虫|魚の寄生虫|チョウ (甲殻類)}}
{{生物分類表
| 名称 = チョウ
| 画像 = [[画像:Papilio maackii-ja-wiki.jpg|250px|ミヤマカラスアゲハ]]
| 画像キャプション = [[ミヤマカラスアゲハ]] ''Papilio maackii''
| 省略 = 昆虫綱
| 目 = [[チョウ目]]（鱗翅目） {{sname||Lepidoptera}}
| 亜目 = {{sname||Glossata}}
| 亜目階級なし = {{sname||Neolepidoptera}}
| 下目 = {{sname||Heteroneura}}
| 下目階級なし = [[二門類]] {{sname||Ditrysia}}
| 小目階級なし = '''チョウ''' {{sname||Rhopalocera}}
| 学名 = Rhopalocera {{AUY|Dumeril|1823}}
| 下位分類名 = 上科
| 下位分類 =
*[[アゲハチョウ上科]] {{sname||Papilionoidea}}
*[[セセリチョウ上科]] {{sname||Hesperioidea}}
*[[シャクガモドキ上科]] {{sname||Hedyloidea}}
| 英名 = {{interlang|en|Butterfly}}
}}

'''チョウ'''（蝶）は、[[昆虫綱]][[チョウ目]]（鱗翅目、ガ目とも）のうち、{{sname|Rhopalocera}} に分類される生物の総称である。

チョウ目の21[[上科]]のうち、[[アゲハチョウ上科]]、[[セセリチョウ上科]]、[[シャクガモドキ上科]]の3上科が、いくつかの特徴を共有し、{{sname|Rhopalocera}} に分類される、すなわちチョウである。

その他のチョウ目の種は[[ガ]]（蛾）と呼ばれるが、チョウはチョウ目の系統の中でかなり深いところにある派生的な系統で、それに対しガは「チョウでない」としか定義できない[[側系統]]であり、チョウ目をチョウとガに分けるのは自然な分類ではない。（[[チョウ目#チョウとガの区別]]参照）。しかし、一般には完全に区別して扱われ、[[昆虫採集]]においてもっとも愛されてきた昆虫である。

== 分布 ==
[[南極大陸]]、大きな[[砂漠]]の中心部、万年氷床をとなる[[標高]]6,000[[メートル]]以上の[[高山帯]]を除く全世界の[[森林]]・[[草原]]・[[高山]]など、ほぼ全ての陸上環境に分布する<ref name="蝶 (2006)、6頁">[[#蝶 (2006)|蝶 (2006)、6頁]]</ref>。広い分布域を持つものもいれば、その地域の環境に特異的に適応したものもいる。17,600種ほどが知られている<ref name="蝶 (2006)、6頁" />。

[[日本]]では250種類ほどが知られている<ref>[[#蝶 (2006)|蝶 (2006)、9頁]]</ref>。{{main|日本のチョウ}}

==特徴==
おもな特徴としては以下のようなものがあるが、ガとの明確な区別点はなく、総合的なものとして判断する。

[[File:Antennae ctb.png|thumb|チョウの触角]]
* 外見上最も有用な特徴は、[[触角]]の形状である。成虫の[[触角]]は細長くまっすぐ伸び、先端が[[棍棒]]状にふくらむ。ただし、セセリチョウの触角は先端が再び細くとがり鉤状に後方に反り返っている。一方、ガの触角はクシ状や糸状である。日本における約2700種のチョウやガは、これで区別できる。ただし、[[カストニア科]] ({{sname||Castniidae}}) や[[マダラガ科]] ({{sname||Zygaenidae}}) の触角は棍棒状である。
* [[卵]] - [[幼虫]] - [[蛹]] - [[成虫]]という[[完全変態]]をおこなう。幼虫は外見や行動によって[[アオムシ]]、[[イモムシ]]、[[ケムシ]]などと呼ばれる。
* 幼虫はほとんどが植物食で、種類によって食べる植物（[[食草]]）がほぼ決まっている。ただしシジミチョウ類には例外的なものが多い。
* 蛹は尾部だけでぶら下がる垂蛹（すいよう）と、胸に帯糸をつけて体を上向きにする帯蛹（たいよう）に大別できる。ただしセセリチョウやシジミチョウなどには例外もある。
* 成虫の4枚の[[昆虫の翅|翅]]（し）、一般に言う羽は鱗粉や毛でおおわれる。ただしマダラチョウは部分的に鱗粉を欠く。
[[File:Butterfly tongue.jpg|thumb|チョウの口吻と[[複眼]]]]
* 成虫の口は[[ストロー]]状に細長く伸びており口吻と呼ばれる。花の[[蜜]]や[[樹液]]、[[果汁]]など水分を吸う。
* [[昼行性]]の種類が多い。ただし、[[カストニア科]] ({{sname||Castniidae}})、[[マダラガ科]] ({{sname||Zygaenidae}})、[[ツバメガ科]] ({{sname||Uraniidae}})、[[ヒトリガ科]] ({{sname||Arctiidae}}) の一部、[[スズメガ科]] ({{sname||Sphingidae}}) の一部も昼行性である。
<gallery>
Butterfly magnification series collage.jpg|[[クジャクチョウ]]の[[昆虫の翅|翅]]の細部
Papilio xuthus Larva 2011-10-15.jpg|[[ミカン]]の葉を食草とする[[ナミアゲハ|アゲハチョウ]]の[[幼虫]]
Esparsetten widderchen01.jpg|棍棒状の触角を持ち昼行性の[[マダラガ科]]の一種
</gallery>

== 分類 ==
===チョウ目の中での位置===
チョウ目の中でのチョウの位置づけについては、細部については諸説あるが、おおよそ次のようなものである<ref>{{Cite | first=Malcom J. | last=Scoble | year=1995 | title=The Lepidoptera: Form, Function and Diversity'' | isbn=0-19854952-0 | publisher=[[オックスフォード大学出版局|Oxford University Press]]}}</ref><ref>[http://tolweb.org/Lepidoptera/8231 Tree of Life web project: Lepidoptera] - [[Tree of Life Web Project]]</ref>。チョウ目の系統の中でチョウはごく一部であるといえる。ただし、チョウ目の種の98%は[[二門類]]に、半分以上は[[大型鱗翅類]]に属し、種数で言えばほとんどのガはチョウに非常に近い。
{{Clade
 |label1=[[チョウ目]]
 |{{Clade
   |[[コバネガ科|コバネガ類]] {{sname||Zeugloptera}}
   |{{Clade
     |[[アガティファガ|アガティファガ類]] {{sname||Aglossata}}
     |{{Clade
       |[[ヘテロバスミア|ヘテロバスミア類]] {{sname||Heterobathmiina}}
       |label2={{sname||Glossata}}
       |{{Clade
         |[[スイコバネガ上科|スイコバネガ類]] {{sname||Dacnonypha}}
         |[[ミナミコバネガ科|ミナミコバネガ類]] {{sname||Lophocoronina}}
         |label3={{sname||Myoglossata}}
         |{{Clade
           |[[ムカシガ科|ムカシガ類]] {{sname||Neopseustina}}
           |label2={{sname||Neolepidoptera}}
           |{{Clade
             |[[コウモリガ亜目|コウモリガ類]] {{sname||Exoporia}}
             |label2={{sname||Heteroneura}}
             |{{Clade
               |[[単門類]] {{sname||Monotrysia}}（側系統）
               |label2=[[二門類]] {{sname||Ditrysia}}
               |{{Clade
                 |さまざまなガ（側系統）
                 |label2={{sname||Apoditrysia}}
                 |{{Clade
                   |さまざまなガ（側系統）
                   |label2={{sname||Obtectomera}}
                   |{{Clade
                     |さまざまなガ（側系統）
                     |label2=[[大型鱗翅類]] {{sname||Macrolepidoptera}}
                     |{{Clade
                       |さまざまなガ（側系統）
                       |'''チョウ''' {{sname||Rhopalocera}}
                      }}
                    }}
                  }}
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}}
19世紀の分類では、鱗翅目を {{sname|Diurni}}（昼行性）と {{sname|Nocturni}}（夜行性）や、{{sname|Rhopalocera}}（棍棒状の触角）と {{sname|Heterocera}}（その他の触角）に2分する説もあった。それぞれ、前者はチョウ、後者はガを表す。

このほかに、チョウといくつかのガを同じグループとし、その他のガと2分する分類もあった。そうした分類群のうち、前者のいくつかは現在もチョウ目とチョウの間の分類群として残っているが、後者（たとえば大型鱗翅類に対する小型鱗翅類 {{sname||Microlepidoptera}}）は側系統であり使われない。

===上科と科===
3上科7科が属す（科は説によりやや増減する）。ただし、セセリチョウ上科とシャクガモドキ上科は1上科1科の[[単型 (分類学)|単型]]で、残りの5科はアゲハチョウ上科である。

これらの系統関係は次のとおり<ref>{{cite
|first=Niklas
|last=Wahlberg
|last2=''et al.''
|title=Synergistic effects of combining morphological and molecular data in resolving the phylogeny of butterflies and skippers
|journal=Proc Biol Sci.
|year=2005
|volume=272
|page=1577–1586.
|url=http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1560179/
}}</ref>。
{{Clade
  |label1='''チョウ'''
  |{{Clade
    |[[シャクガモドキ科]] {{sname||Hedylidae}}
    |{{Clade
      |[[セセリチョウ科]] {{sname||Hesperiidae}}
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        |[[アゲハチョウ科]] {{sname||Papilionidae}}
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              |[[シジミタテハ科]] {{sname||Riodinidae}}
              |[[シジミチョウ科]] {{sname||Lycaenidae}}
            }}
            |[[タテハチョウ科]] {{sname||Nymphalidae}}
          }}
        }}
      }}
    }}
  }}
}}

シャクガモドキ上科（シャクガモドキ科）は最も基底的で、いくらかガの特徴を残す。セセリチョウ上科（セセリチョウ科）はそれに次ぐ。アゲハチョウ上科は典型的なチョウであるが、生活や外見はグループにより差異が大きい。

シャクガモドキ上科（シャクガモドキ科）は元々、[[シャクガ]]に近縁と思われていたが、[[1986年]] Malcolm J. Scoble によりアゲハチョウ上科に近縁であることが指摘され、チョウに含められた。

==== シャクガモドキ上科 {{sname||Hedyloidea}} ====
1科1属のみ。
; [[シャクガモドキ科]] {{sname||Hedylidae}}
: すべて中南米産で、日本では産しない。

==== セセリチョウ上科 {{sname||Hesperioidea}} ====
1科のみ。
; [[セセリチョウ科]] {{sname||Hesperiidae}}
: 小型のチョウ。胴が太くて翅が小さい。飛ぶのが比較的速い。幼虫の食草は[[イネ科]]植物が多い。
: [[チャバネセセリ]]、[[アオバセセリ]]、[[イチモンジセセリ]]など。

==== アゲハチョウ上科 {{sname||Papilionoidea}} ====
; [[アゲハチョウ科]] {{sname||Papilionidae}}
: 大型のチョウで、成虫は種類によって翅の模様や突起が異なる。[[幼虫]]は刺激を与えると頭部と胸部の境界部から1対の色鮮やかな[[臭角]]（体液の圧力で反転突出し、異臭を放つ）を突き出す。
: [[ナミアゲハ]]、[[キアゲハ]]、[[カラスアゲハ]]、[[クロアゲハ]]、[[ジャコウアゲハ]]、[[ナガサキアゲハ]]、[[アオスジアゲハ]]、[[トリバネアゲハ]]類、[[ホソオチョウ]]、[[ギフチョウ]]、[[ウスバシロチョウ]]など。
; [[シロチョウ科]] {{sname||Pieridae}}
: 中型のチョウ。成虫の羽は突起が少なく、白や黄色が多い。幼虫は緑色で細長く、俗に[[アオムシ]]とよばれる。
: [[モンシロチョウ]]、[[スジグロシロチョウ]]、[[キチョウ]]、[[モンキチョウ]]、[[クモマツマキチョウ]]、[[ツマベニチョウ]]など。
; [[シジミタテハ科]] {{sname||Riodinidae}}
: シジミチョウ科に似るが、オスの前脚がタテハチョウ科のように特殊化している。オーストラリアと南極以外の全大陸で産するが日本にはいない。
; [[シジミチョウ科]] {{sname||Lycaenidae}}
: 小型のチョウ。成虫の翅の模様は、表と裏で非常に異なる。幼虫の食性は多様で、[[アリ]]と[[共生]]する[[クロシジミ]]、アリの卵や幼虫を食べる[[ゴマシジミ]]、アブラムシを食べる[[ゴイシシジミ]]などもいる。
: [[ベニシジミ]]、[[ヤマトシジミ (蝶)|ヤマトシジミ]]、[[ルリシジミ]]、[[ムラサキシジミ]]、[[ムラサキツバメ (蝶)|ムラサキツバメ]]、[[ミドリシジミ]]、[[ウラナミシジミ]]など。
; [[タテハチョウ科]] {{sname||Nymphalidae}}
: 中型から大型。成虫の翅は角ばっていて、黄・赤・青など多彩。また、成虫の前脚が[[退化]]して短くなっている。そのため、一見、脚が４つあるように見える。幼虫は突起や毛、角をもつ。
: [[キタテハ]]、[[アカタテハ]]、[[ルリタテハ]]、[[オオムラサキ]]、[[コムラサキ (蝶)|コムラサキ]]、[[ツマグロヒョウモン]]、[[ミスジチョウ]]、[[コノハチョウ]]など。

====廃止された科====
以下のチョウは長く「科」として扱われていたが、近年ではタテハチョウ科の亜科として扱うことが多い。
; [[テングチョウ亜科]] {{sname||Libytheinae}}
: 中型のチョウで、日本には[[テングチョウ]]1種のみが分布している。食草は[[エノキ]]。和名は成虫の頭の先端が、[[天狗]]の鼻のように突き出ていることに由来する。
; [[マダラチョウ亜科]] {{sname||Danainae}}
: 中型から大型。成虫の翅は体に対して大きく、丸みがある。翅は部分的に鱗粉を欠く。飛ぶ力が高く、遠距離を移動する種類もいる。
: [[オオゴマダラ]]、[[アサギマダラ]]、[[カバマダラ]]、[[オオカバマダラ]]など。
; [[ジャノメチョウ亜科]] {{sname||Satyrinae}}
: 小型から中型。成虫の翅は[[眼状紋]]があり、黄や褐色のものが多い。また、森林などの日陰で活動するものが多い。幼虫は細長い形をしていて、おもに[[イネ科]]植物を食草とする。
: [[ヒメウラナミジャノメ]]、[[キマダラヒカゲ]]、[[タカネヒカゲ]]など。
; [[モルフォチョウ|モルフォチョウ亜科]] {{sname||Morphinae}}
: 大型のチョウで、[[中央アメリカ]]から[[南アメリカ]]に分布する。翅は[[鱗粉]]の[[構造色]]で金属光沢を放つ。近年はジャノメチョウ亜科モルフォチョウ族 {{sname|Morphini}} とすることもある。

== 人間との関わり ==
チョウは、美しくて無害な生き物との感覚があり、その他の虫一般と区別されかねないくらいの評価がある。画題や意匠としてもチョウはよく使われる。[[花札]]の図柄に「牡丹に蝶」がある。

[[File:WLA hmns Case of butterflies.jpg|thumb|right|150px|[http://en.wikipedia.org/wiki/Cockrell_Butterfly_Center Houston Museum of Natural Science]]]
=== 昆虫採集との関わり ===
チョウは[[昆虫採集]]、およびその[[コレクション]]としてもっとも愛されてきた昆虫である。そのためチョウに関しては世界中どの地域においても詳しい情報があるといっても過言ではない。

それ以外にも、[[鱗粉転写]]という方法でチョウの翅の模様を写し取り、これを工芸作品として販売する例も知られている。現在も熱帯地方ではチョウの標本やそれに基づく工芸品は重要な土産物である。

しかし、これらの採集圧によって絶滅の危機に瀕した種もあり、トリバネチョウ等は[[絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約|ワシントン条約]]によって販売が制限されている。

=== 伝承 ===
世界各地にチョウが人の死や霊に関連する観念が見られる。[[キリスト教]]ではチョウは復活の象徴とされ、[[ギリシャ]]ではチョウは魂や不死の象徴とされる<ref name="不二1996">{{Cite book|和書|author=不二龍彦|title=迷信・俗信大百科|year=1996|publisher=[[学研ホールディングス|学習研究社]]|isbn=978-4-05-400630-0|pages=44-45}}</ref>。

日本でも[[栃木県]][[宇都宮市]]で、盆時期の黒いチョウには仏が乗っているといい、[[千葉県]]でも夜のチョウを仏の使いという<ref name="鈴木1982">{{Cite book|和書|author=[[鈴木棠三]]|title=日本俗信辞典 動・植物編|year=1982|publisher=[[角川書店]]|isbn=978-4-04-031100-5|pages=370}}</ref>。

チョウを死霊の化身とみなす地方もあり、[[立山]]の追分地蔵堂で「[[生霊]]の市」といって、毎年7月15日の夜に多数のチョウが飛ぶという<ref name="不二1996"/>。[[秋田県]][[山本郡]]ではチョウの柄の服を好む者は短命だという<ref name="鈴木1982"/>。[[高知県]]の[[伝説]]では、夜ふけの道で無数の{{Anchor|白い蝶}}が雪のように舞い、息が詰まるほどに人にまとわりつき、これに遭うと病気を患って死ぬといわれる怪異があり、同県[[香美郡]]富家村（現・[[香南市]]）ではこれを横死した人間の[[亡霊]]と伝えている<ref>{{Cite journal|和書|author=桂井和雄|year=1942|month=6|title=土佐の山村の「妖物と怪異」|journal=旅と伝説|volume=15巻|issue=6号（通巻174号）|pages=29|publisher=[[三元社]]}}</ref>。「春に最初に白いチョウを見ると、その年の内に家族が死ぬ」「チョウが仏壇や部屋に現れるのは死の前兆」という言い伝えもある<ref name="不二1996"/>。

[[奥州]][[白石市|白石]]では、チョウが大好きだった女性が死に、遺体から虫が湧いて無数のチョウと化したという話が伝わる。また秋田県上総川の上流で、かつて備中という侍が沼に落ちて死に、チョウに化身して沼に住み着き、現在に至るまで曇った日や月の夜に飛び上がって人を脅かすという。そのことからこの沼を備中沼、または別蝶沼ともいう<ref>{{Cite book|和書|author=[[山田野理夫]]|title=東北怪談の旅|year=1974|publisher=[[自由国民社]]|pages=35-52}}</ref>。

=== 害虫 ===
幼虫はイモムシであり草食なので、食草が栽培植物であれば[[害虫]]扱いされる。日本では[[モンシロチョウ]]が[[キャベツ]]など[[アブラナ科]]の[[野菜]]、[[アゲハチョウ]]類が[[ミカン科|ミカン]]類、[[キアゲハ]]が[[ニンジン]]などの[[セリ科]]の害虫とされている。

[[File:Myochin - Helmet - Walters 51608 - Three Quarter.jpg|thumb|right|150px|17世紀上半期 兜]]
=== 言葉 ===
*[[線対称|左右対称]]でその各端が広がっている形状を、蝶が羽を開いた姿に例えて呼称することがある。「[[蝶ねじ]]」「[[蝶番]]」「[[蝶ネクタイ]]」「[[蝶結び]]」「[[バタフライ]]」「[[中間者結び|バタフライ・ノット]]」など。
*[[花札]]の絵柄の一つに「牡丹に蝶」がある。「萩に猪」「紅葉に鹿」と組み合わせると「'''猪鹿蝶'''」という役になる。
*日本語では、ハエ、ハチ、バッタ、トンボ、セミなど多くの虫の名称が大和言葉（固有語）であるのに対し、この蝶と蛾に関しては漢語である。蝶や蛾もかつては、かはひらこ、ひひる、ひむし、といった大和言葉で呼ばれていたが、現在ではそのような名称は一般的ではない。
*[[万葉集]]には、蝶を読んだ歌は一つもない。

[[File:Ageha inverted.svg|thumb|right|140px|揚羽蝶]]
[[File:Japanese crest mukai Chou.svg|thumb|right|100px|対い蝶]]
[[File:Japanese Crest Bizenn Chou.svg|thumb|right|100px|備前蝶]]

=== 家紋 ===
家紋に、「蝶紋（ちょうもん）」がある。[[平氏]]の一族やそれを称する一族、末裔を称する一族などによって用いられることがあった。

平氏を称した公家のほかに、[[織田氏]]、[[関氏]]、[[谷氏]]などが用いている。蝶紋を用いた大名で知られる[[池田氏]]のものは、織田氏から下賜されたものである。

代表的な図案の「揚羽蝶（あげはちょう）」は、特にアゲハチョウを図案化したものではなく、羽をあげて休んでいる蝶の姿を描いたもので、「泊蝶（とまりちょう）」ともいう。ほかの図案に、「臥せ・浮線（ふせ・ふせん）」「真向かい」「胡蝶」があり、構成には、1つから6つの組み合わせが見られ「対い」「車」「盛り」「寄せ」などがある。
=== 研究団体 ===
一般に、チョウの翅は細い体に比べて著しく大きく、カラフルな色彩で人目に付きやすいため、身近な昆虫として古くから親しまれている。研究者もプロ・アマチュアを問わず数多く、[[大阪府立大学]]や[[京都大学]]など研究機関も各地にある。[[日本蝶類学会]]などの[[学会]]がある。
{{-}}

== ギャラリー ==
<gallery>
ファイル:Kiageha.jpg|[[キアゲハ]]<br /><small>''Papilio machaon''<br />アゲハチョウ科</small>
ファイル:Lampides boeticus.jpg|[[ウラナミシジミ]]<br /><small>''Lampides boeticus''<br />シジミチョウ科</small>
ファイル:Lycaena dispar02.jpg|[[オオベニシジミ]]<br /><small>''Lycaena dispar''<br />シジミチョウ科</small>
ファイル:Pseudozizeeria maha.jpg|[[ヤマトシジミ (蝶)|ヤマトシジミ]]<br /><small>''Pseudozizeeria maha''<br />シジミチョウ科</small>
ファイル:Eurema hacabe.jpg|[[キチョウ]]<br /><small>''Eurema hacabe''<br />シロチョウ科</small>
ファイル:Kimadara.jpg|[[キマダラセセリ]]<br /><small>''Potanthus flavum''<br />セセリチョウ科</small>
ファイル:Lepidoptera 002.jpg|[[イチモンジセセリ]]<br /><small>''Parnara guttata''<br />セセリチョウ科</small>
ファイル:BBGMonarchButterflyWings.jpg|[[オオカバマダラ]]<br /><small>''Danaus plexippus''<br />タテハチョウ科</small>
ファイル:Ohgomadara1.jpg|[[オオゴマダラ]]<br /><small>''Idea leuconoe''<br />タテハチョウ科マダラチョウ亜科</small>
ファイル:Tagpfauenaugen1.jpg|[[クジャクチョウ]]<br /><small>''Inachis io''<br />タテハチョウ科</small>
ファイル:Polygonia c-aureum.jpg|[[ツマグロヒョウモン]]（オス）<br /><small>''Argyreus hyperbius''<br />タテハチョウ科</small>
ファイル:Butterfly.JPG|[[ヒメアカタテハ]]<br /><small>''Vanessa cardui''<br />タテハチョウ科</small>
</gallery>

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}

== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書 |author=猪又敏男（編・解説） |coauthors=松本克臣（写真） |year=2006 |month=6 |title=蝶 |series=新装版山溪フィールドブックス |publisher=[[山と渓谷|山と溪谷社]] |isbn=4-635-06062-4 |ref=蝶 (2006)}}

== 関連項目 ==
{{Commons&cat|Butterfly|Butterflies}}
{{Wikiquote|蝶|蝶}}
* [[ガ]]（蛾）
* [[バタフライ効果]]

== 外部リンク ==
* [http://www.imagenesdeasturias.com/web/panoramicas_graonet/mariposas_de_asturias/index_mariposas.htm Butterflies of Asturias photo gallery - North of Spain]

{{DEFAULTSORT:ちよう}}
[[Category:チョウ|*]]
[[Category:家紋]]

{{Link FA|nl}}
{{Link FA|ru}}
{{Link FA|ms}}