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タミル語
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{{Infobox Language |name=タミル語 |nativename={{lang|ta|தமிழ்}} |familycolor=ドラヴィダ語族 |states={{IND}}<br />{{LKA}}<br />{{SGP}}<br />{{MYS}} |region=[[南アジア]]、[[東南アジア]] |speakers=約7,400万人 |rank=18位 |fam1=[[ドラヴィダ語族]] |fam2=[[南部ドラヴィダ語派]] |fam3=タミル・[[カンナダ語]] |fam4=タミル・コダグ語 |fam5=タミル・マラヤーラム語 |script=[[タミル文字]] |nation=[[インド]]の公用語の一つ、[[スリランカ]],[[シンガポール]] |agency= |iso1=ta |iso2=tam |iso3=tam |map=[[ファイル:Tamilspeakers.png|thumb|270px|インド国内のタミル語話者の分布]] }} '''タミル語'''(タミルご、<span style="font-family:FreeSerif,Vijaya;" lang="ta">தமிழ்</span> {{Unicode|Tamiḻ}})は、[[ドラヴィダ語族]]に属する言語で、[[南インド]]の[[タミル人]]の言語である。同じ[[ドラヴィダ語族]]に属する[[マラヤーラム語]]ときわめて近い類縁関係の言語だが、後者が[[サンスクリット]]からの膨大な[[借用語]]を持つのに対し、[[タミル語]]にはそれが(比較的)少ないため、主に語彙の面で隔離されており意思疎通は容易でない。[[インド]]では[[タミル・ナードゥ州]]の[[公用語]]であり、また連邦レベルでも[[インド憲法|憲法]]の[[インドの公用語の一覧|第8付則に定められた22の指定言語]]のひとつであるほか、[[スリランカ]]と[[シンガポール]]では国の公用語の一つにもなっている。世界で18番目に多い7400万人の話者人口を持つ。1998年に大ヒットした映画『[[ムトゥ 踊るマハラジャ]]』で日本でも一躍注目された言語である。 「タミール語」と呼称・表記されることもあるが、タミル語は母音の長短を区別する言語であり、かつ {{Unicode|Tamiḻ}} の i は明白な短母音である。そのため、原語の発音に忠実にという原則からすれば明らかに誤った表記といえる。タミル({{Unicode|Tamiḻ}})という名称は、ドラミラ {{Unicode|Dramiḻa}}(ドラヴィダ Dravida)の変化した形という説もある。{{Unicode|Tamiḻ}} という単語自体は sweetness という意味を持つ。 なお、ドラヴィダとは中世にサンスクリットで南方の諸民族を総称した語で、彼らの自称ではなく、ドラヴィダ語族を確立したイギリス人僧侶 Caldwell による再命名である。 == 地域 == 南インドの[[タミル・ナードゥ]]州で主に話されるほか、ここから移住した[[スリランカ]]北部および東部、[[マレーシア]]、[[シンガポール]]、[[マダガスカル]]等にも少なくない話者人口が存在する。これらはいずれも、かつてインド半島南部に住んでいた[[タミル人]]が自ら海を渡ったり、あるいはインドを植民地化した英国人がプランテーションの働き手として、彼らを移住させた土地である。スリランカには人口の約10%を占めるイスラム教徒、スリランカムーア人が存在するが、彼らの母語もタミル語である。 == 歴史 == タミル語はドラヴィダ語族の中で書かれた言語としては最も古く、現在残る文献の最も古いものの起源は紀元前後までさかのぼるといわれる。 == 文字 == {{main|タミル文字}} 現代タミル語は、主として独自の文字であるタミル文字で表記される。詳しくは[[タミル文字]]の項目を参照のこと。 *母音字 {| class="wikitable" border="1" style="text-align:center;" |- style="background:#dddddd;" | 母音字 || <big>{{lang|ta|அ}}</big> || <big>{{lang|ta|ஆ}}</big> || <big>{{lang|ta|இ}}</big> || <big>{{lang|ta|ஈ}}</big> || <big>{{lang|ta|உ}}</big> || <big>{{lang|ta|ஊ}}</big> || <big>{{lang|ta|எ}}</big> || <big>{{lang|ta|ஏ}}</big> || <big>{{lang|ta|ஐ}}</big> || <big>{{lang|ta|ஒ}}</big> || <big>{{lang|ta|ஓ}}</big> || <big>{{lang|ta|ஔ}}</big> |- | 音価 ({{仮リンク|ISO 15919|en|ISO 15919}}) || {{transl|ta|ISO|a}} || {{transl|ta|ISO|ā}} || {{transl|ta|ISO|i}} || {{transl|ta|ISO|ī}} || {{transl|ta|ISO|u}} || {{transl|ta|ISO|ū}} || {{transl|ta|ISO|e}} || {{transl|ta|ISO|ē}} || {{transl|ta|ISO|ai}} || {{transl|ta|ISO|o}} || {{transl|ta|ISO|ō}} || {{transl|ta|ISO|au}} |- | [[国際音声記号|IPA]] || {{IPAblink|ʌ}} || {{IPA|[ɑː]}} || {{IPA|[i]}} || {{IPA|[iː]}} || {{IPA|[u]}}, {{IPA|[ɯ]}} || {{IPA|[uː]}} || {{IPA|[e]}} || {{IPA|[eː]}} || {{IPA|[ʌj]}} || {{IPA|[o]}} || {{IPA|[oː]}} || {{IPA|[ʌʋ]}} |- |} 上記の母音単独で用いる文字のほか、子音字に結合する母音記号がある。 *子音字 {| class="wikitable" border="1" style="text-align:center" |- style="background:#dddddd;" | 子音字 || <big>{{lang|ta|க}}</big> || <big>{{lang|ta|ங}}</big> || <big>{{lang|ta|ச}}</big> || <big>{{lang|ta|ஞ}}</big> || <big>{{lang|ta|ட}}</big> || <big>{{lang|ta|ண}}</big> || <big>{{lang|ta|த}}</big> || <big>{{lang|ta|ந}}</big> || <big>{{lang|ta|ப}}</big> || <big>{{lang|ta|ம}}</big> |- | 音価 (ISO 15919) || {{transl|ta|ISO|k}} || {{transl|ta|ISO|ṅ}} || {{transl|ta|ISO|c}} || {{transl|ta|ISO|ñ}} || {{transl|ta|ISO|ṭ}} || {{transl|ta|ISO|ṇ}} || {{transl|ta|ISO|t}} || {{transl|ta|ISO|n}} || {{transl|ta|ISO|p}} || {{transl|ta|ISO|m}} |- | [[国際音声記号|IPA]] || {{IPA|[k]}}, {{IPA|[ɡ]}}, {{IPA|[x]}}, {{IPA|[ɣ]}}, {{IPA|[h]}} || {{IPAblink|ŋ}} || {{IPA|[t͡ʃ]}}, {{IPA|[d͡ʒ]}}, {{IPA|[ʃ]}}, {{IPA|[s]}}, {{IPA|[ʒ]}} || {{IPA|[ɲ]}} || {{IPA|[ʈ]}}, {{IPA|[ɖ]}}, {{IPA|[ɽ]}} || {{IPA|[ɳ]}} || {{IPAblink|t̪}}, {{IPAblink|d̪}}, {{IPAblink|ð}} || {{IPA|[n]}} || {{IPA|[p]}}, {{IPA|[b]}}, {{IPAblink|β}} || {{IPA|[m]}} |- style="background:#dddddd;" | 子音字 || <big>{{lang|ta|ய}}</big> || <big>{{lang|ta|ர}}</big> || <big>{{lang|ta|ல}}</big> || <big>{{lang|ta|வ}}</big> || <big>{{lang|ta|ழ}}</big> || <big>{{lang|ta|ள}}</big> || <big>{{lang|ta|ற}}</big> || <big>{{lang|ta|ன}}</big> |- | 音価 (ISO 15919) || {{transl|ta|ISO|y}} || {{transl|ta|ISO|r}} || {{transl|ta|ISO|l}} || {{transl|ta|ISO|v}} || {{transl|ta|ISO|ḻ}} || {{transl|ta|ISO|ḷ}} || {{transl|ta|ISO|ṟ}} || {{transl|ta|ISO|ṉ}} |- | IPA || {{IPA|[j]}} || {{IPA|[ɾ]}} || {{IPA|[l]}} || {{IPA|[ʋ]}} || {{IPAblink|ɻ}} || {{IPAblink|ɭ}} || {{IPA|[r]}}, {{IPA|[t]}}, {{IPA|[d]}} || {{IPA|[n]}} |- |} なお、[[ムスリム|イスラム教徒]]は、かつてタミル語を[[アラビア文字]]で書き記していた([[:en:arwi|arwi]]を参照)。現在はイスラム教徒もタミル文字を使用している。 == 発音 == [[北インド]]の多くの言語が三母音([[サンスクリット]]等で母音/半母音として扱われるrやlを除いて)を基礎としており、[[ヒンディー語]]等ではe、oが常に長母音として扱われる。それに対してタミル語の基本はa, i, u, e, oの五母音であり、それに長短の別と二重母音(aiとau)が加わることで計12の母音を区別することになる。 子音は[[有気音]]と[[無気音]]を区別しない他、[[有声音]](日本語で言う濁音)と[[無声音]](同じく清音または半濁音)の間の対立もない。ただ単語の先頭や同子音が重なった場合に無声音、単語の中途、同系の鼻音の後などに有声音で発音される傾向がある(これらの点は日本語の連濁と相似である)。 <!--日本語と比較して-->タミル語で特徴的なのは、日本語で「ラ行」にあたる音、[[英語]]を含む西洋語なら <span style="font-size:120%;">r</span> や <span style="font-size:120%;">l</span> の[[流音]]に相当する音に、五種の区別が存在することである。日本語で「ン」にあたる音、[[鼻音]]にも4種の区別がある。このうち、<span style="font-size:120%;">l</span> は <span style="font-size:120%;" class="Unicode">ṟ</span>・<span style="font-size:120%;" class="Unicode">ṉ</span> と互換性があり、その <span style="font-size:120%;" class="Unicode">ṉ</span> も <span style="font-size:120%;" class="Unicode">ṟ</span> と互換性がある。朝鮮語・韓国語で音節末の <span style="font-size:120%;">l</span> と語中の <span style="font-size:120%;">r</span> が違う音素であるのに、同一の形態素として扱っているのと対照的である。更に、反り舌の <span style="font-size:120%;" class="Unicode">ḷ</span> と <span style="font-size:120%;">l</span>、<span style="font-size:120%;" class="Unicode">ṟ</span> と <span style="font-size:120%;">r</span>(<span style="font-size:120%;" class="IPA">/j/</span> と同じ調音位置)が入れ替わっても意味の変わらない単語がある。<span style="font-size:120%;" class="Unicode">ṟ</span> は語中の位置によって <span style="font-size:120%;" class="IPA">/r, t, d/</span> と三様に発音される。 また日本語を母語とする者にとって習得が難しいとされるものに、[[反舌音]](舌の先を[[硬口蓋]]まで反らせて発音する一連の子音)があるが、こちらは他のインド系言語にも共通する特徴である。 == 文法 == サンスクリットの影響を受けて古くから文法が記述されており、現在の正字法は詩論を含む文語文法書であり13世紀に書かれた『ナンヌール』などに基づいている。 語順は日本語と同様、基本的には[[SOV型]]。[[OSV型]]となる場合もあるが、動詞に接辞をつけて文相当の意味を持たせる場合はSOVが基本。ただし、[[マラヤーラム語]]と同様に、主部だけが文末に来る[[OVS型]]も少なからず用いられる。[[倒置]]表現とされる場合もあるが、新聞等にも見られ、修辞技法として意図されていないことが明らかとなっている。 [[修飾語]]は被修飾語の前につく。 [[主語|主(格)語]]はしばしば省略されるが、日本語のように文脈でわかるからというより、スペイン語などのように動詞に人称が示されるため、省略されるのである。[[コピュラ]](英語のbe動詞、日本語の「だ」)は用いない。所有を表すには「私は…を持っている」でなく「私には…がある」と表現する。 [[複文]]を作るための[[関係詞]]はなく、日本語と同じく「水を-飲む-人」、「私が-見た-物」という順でつなげばよい。ただし、文芸作品では[[サンスクリット語]]の影響を受けた関係節表現が見られる。たとえば、サンスクリット語の「{{Unicode|यथा…तथा…}}」の構文に従い、「<span style="font-family:FreeSerif,Vijaya;" lang="ta">எப்படி…அப்படி…</span>」と表現するような実例がある。 タミル語は他のドラヴィダ諸語と同じく[[膠着語]]であり、単語は語根にいくつかの[[接辞]](ほとんどは[[接尾辞]])を付加して作られている。接辞は単語の意味などに変化を加える派生接辞と、[[文法カテゴリ]]([[人称]]、[[数]]、[[法 (文法)|法]]、[[時制]]など)により変化する活用接辞とに分けられる。膠着の長さにはあまり制限はなく、例を挙げると、 ''{{Unicode|pōkamuṭiyātavarkaḷukkāka}}'' (「行けない人々のために」という意味)は、 : ''pōka''(行くこと)- ''{{Unicode|muṭi}}''(できる)- ''y''(調音)- ''āta''(否定)- ''var''(人々)- ''{{Unicode|kaḷ}}''(複数)- ''ukku''(ために)- ''āka''(「ために」の強調) と分析できる。 詩歌(サンガム)には、五七五七五七……七、五七五七七、五七七の音節を持つものがある。係り結びもある(下記品詞、係助詞の項参照)。 === 品詞 === [[名詞]]および[[代名詞]]は[[名詞クラス]](印欧語の性のようなもの)により分類される。まず2つの超クラス(''{{Unicode|tiṇai}}'')に分類され、さらに全部で5つのクラス(''paal'' :「性」の意味)に分けられる。超クラスの1つは "rational" (''{{Unicode|uyartiṇai}}'') で、人および神がここに含まれ、さらに男性単数・女性単数・複数(性によらない)に分けられる。複数形は単数に対する敬語としても用いられる。もう1つは "irrational" (''{{Unicode|aḵṟiṇai}}'') で、その他の動物・物体・抽象名詞がここに含まれ、単数・複数(性によらない)に分けられる。このクラスにより代名詞が使い分けられるほか、主語のクラスによって動詞の接尾辞が変化する。 代名詞の前に動詞(「…する人」など)や形容詞(「よい人」など)を付加して複合名詞にする。この場合など、下の例(「…する人(物)」)のように、''paal'' が接尾辞によって示される。 {|class="wikitable" style="text-align:center;" |- |colspan="5" style="background:#ffdead;"|'''peyarccol (名詞)''' |- |colspan="3" style="background:#ffdead;"|''{{Unicode|uyartiṇai''}}<br />(rational) |colspan="2" style="background:#ffdead;"|''{{Unicode|aḵṟiṇai}}''<br />(irrational) |- |style="background:#ffffee;"|''{{Unicode|āṇpāl}}''<br />男性 |style="background:#ffffee;"|''{{Unicode|peṇpāl}}''<br />女性 |style="background:#ffffee;"|''{{Unicode|palarpāl}}''<br />複数の人 |style="background:#ffffee;"|''{{Unicode|oṉṟaṉpāl}}''<br />単数の物 |style="background:#ffffee;"|''{{Unicode|palaviṉpāl}}''<br />複数の物 |- |colspan="5" style="background:#ffdead;"|'''例:タミル語「…した人(物)」''' |- |style="background:#ffffee;"|''ceytavaṉ''<br />した男 |style="background:#ffffee;"|''ceytavaḷ''<br />した女 |style="background:#ffffee;"|''ceytavar''<br />した人々 |style="background:#ffffee;"|''ceytatu''<br />した物(単数) |style="background:#ffffee;"|''ceytavai''<br />した物(複数) |} また[[格]]を表すのにも日本語の助詞に相当する接尾辞が用いられる。伝統的にはサンスクリットに倣って8格に分類される(が実際には複合的なものもあり、必ずしも8格に収まらない)。 また日本語の「こ・そ・あ・ど」にちょうど相当する4種の接頭辞''i''、''a''、''u''、''e'' がある。''{{Unicode|vaḻi}}'' 「道」に対して、''{{Unicode|ivvaḻi}}'' 「この道」、''{{Unicode|avvaḻi}}'' 「あの道」、''{{Unicode|uvvaḻi}}'' 「その道」、 ''{{Unicode|evvaḻi}}'' 「どの道」。ただし、''u''は古語および擬古体で用いられ、普通の現代語では用いられず、「その」は''a''により代表される。 [[動詞]]は、人称、数、法、時制および[[態]]を示す接尾辞によって活用する。たとえば ''{{Unicode|aḷkkappaṭṭukkoṇṭiruntēṉ}}'' 「私は滅ぼされんとしていた」は次のように分析される: {| class="wikitable" style="text-align:center;" |- class="Unicode" !''aḷi'' !''kka'' !''paṭṭu'' !''koṇṭiru'' !''nt'' !''ēn'' |- |'''動詞語根'''<br />滅ぼす |'''不定詞[[マーカー (言語学)|マーカー]]'''<br />受動態の態マーカーへの接続形 |'''態マーカー'''<br />受動態 |'''態マーカー'''<br />過去進行 |'''時制マーカー'''<br />過去 |'''人称マーカー'''<br />一人称<br />単数 |} 人称と数は代名詞の斜格(語幹)に接尾辞をつけた形で示される(例では ''ēn'')。このような人称マーカーは[[アイヌ語]]にもある(アイヌ語では ''an'')。三人称はクラスにより変化する。さらに時制と態も接尾辞として示される。 態は補助動詞によって表現される。受動態のみならず、主動詞に対し進行などの動詞のアスペクトを表すことができる。 動詞には強変化と弱変化の対応する2種あるものがあり、おおよそ強変化は他動詞、弱変化は自動詞に対応する。たとえば、「{{Unicode|aḷi}}」(強変化「滅ぼす」:{{Unicode|aḷikka}}、弱変化「滅びる」:{{Unicode|aḷiya}})、「ceer」(強変化「集める」:ceerkka、弱変化「集まる」:ceera)など。 また、語幹が対応する一組の動詞で他動詞と自動詞に対応しているものもある。たとえば、「aaku」(成る)に対する「aakku」(作る←成す)、「{{Unicode|aṭnku}}」(従う)に対する「{{Unicode|aṭkku}}」(従える)など。 時制には過去・現在・未来があるが、古語では現在形が見られず、未来形により表現されていた。未来形という名称にもかかわらず、実際の文章では「~したものだった」という過去の習慣や、「~する」という現在の意味、「~するだろう」という推量の意味にも用いられ、未来の意味以外にも用法は広い。法は命令法、願望法のほか、話者の態度(事象やその結果に対する軽蔑、反発、心配、安心など)を示すことができる。 このほか、[[準動詞]](動名詞や種々の分詞など)も動詞語幹に接尾辞をつけて作られる。 [[形容詞]]と[[副詞]]の区別はなく(''uriccol'' という)、名詞を基本として接尾辞をつけて形容詞または副詞とするのが普通(独立の形容詞・副詞も一部ある)。ほかに[[接続詞]](''{{Unicode|iṭaiccol}}'' )がある。 <!-- == 例文 == --> [[係助詞]](clitic)があり、名詞、動名詞・分詞名詞・(''ē'')、副詞・副詞+(''ē'') などで結ぶ。 === 数詞 === 通常の数詞に使われる文字の他、タミル語では10、100、1000には特別な文字を使う。参考のために上記に加えて、日、月、年、負債、残高、同上、貨幣単位(ルピー)、数詞を以下に示す。 {| class=wikitable style="text-align: center;" ! 0 || 1 || 2 || 3 || 4 || 5 || 6 || 7 || 8 || 9 || 10 || 100 || 1000 |- style="font-size: 150%" | ௦ || ௧ || ௨ || ௩ || ௪ || ௫ || ௬ || ௭ || ௮ || ௯ || ௰ || ௱ || ௲ |} {| class=wikitable style="text-align: center;" ! 日 || 月 || 年 || 負債 || 残高 || 同上 || ルピー || 数詞 |- style="font-size: 150%" | ௳ || ௴ || ௵ || ௶ || ௷ || ௸ || ௹ || ௺ |} ==== 基本数詞 ==== 以下に0から9までの基本数詞の読みを示す。 {| class=wikitable style="text-align:center;" |- !現代タミル文字||アラビア数字|| タミル語とその発音 |- |style="font-size:200%"|0 || 0 || சுழியம் (Suzhiyam) |- |style="font-size:200%"|௧ || 1 || ஒன்று (Ondru) |- |style="font-size:200%"|௨ || 2 || இரண்டு (Irendu) |- |style="font-size:200%"|௩ || 3|| மூன்று (moondru) |- |style="font-size:200%"|௪ || 4 || நான்கு (nangu) |- |style="font-size:200%"|௫ || 5 || ஐந்து (ainthu) |- |style="font-size:200%"|௬ || 6 || ஆறு (aaru)) |- |style="font-size:200%"|௭ || 7 || ஏழு (ézhu) |- |style="font-size:200%"|௮ || 8 || எட்டு (ettu) |- |style="font-size:200%"|௯ || 9 || ஒன்பது (onepathu) |} == 他言語からの影響 == [[タミル語]]にはきわめて近縁の[[マラヤーラム語]]という言語があるが、両者は同一の言語の[[方言]]の関係にあるとは必ずしも言いがたい。それは[[マラヤーラム語]]は[[北インド]]の[[サンスクリット語]]、[[プラークリット]]、[[ヒンドゥスターニー語]]をはじめとする[[インド・アーリア語族]]の言語から[[語彙]]、[[文法]]面での多大な影響を受けており、その他[[アラビア語]]、[[ペルシア語]]、[[ポルトガル語]]、[[英語]]などの語彙を借用しているため、両者の意思疎通が容易でないからである。 但しタミル語は[[ドラヴィダ語族]]の諸語の中では最も上記の言語からの影響が少ない部類に入るが、[[サンスクリット]]や[[ヒンドゥースターニー語]]などからの[[借用語]]は少なからずある。 == 日本語クレオールタミル語説 == 国語学者[[大野晋]]は、[[日本語]]の原型が[[ドラヴィダ語族]]の言語の影響を大きく受けて形成されたとする説を唱えている。ただし、この説には系統論の立場に立つ言語学者からの批判も多く、この説を支持するドラヴィダ語研究者は少ない。{{main|大野晋#クレオールタミル語説}} == タミル映画と日本での認知 == 日本でも、[[1990年代]]のアジア映画ブームの中で、[[インド映画]]が紹介された。その中でも特に『[[ムトゥ 踊るマハラジャ]]』などのタミル映画作品がピックアップされたことなどから、昨今ではタミル語を学ぶ日本人も増えてきている。 == その他== タミル語は7000万人もの話者を持つ言語であり、インド国内のみならず世界的に見ても大言語である。[[南アジア]]、[[東南アジア]]のいくつかの国で[[公用語]]にも採用され、豊富な[[古典]][[文語]]も持つ。これだけの影響力のある言語でありながら、日本では本格的なタミル語文法学習の書籍や辞書、音声教材などがほとんど出ていない(小さい書籍が数点出版されているにとどまる)。かなりマイナーな言語も扱う大手の語学専門出版社でも、タミル語の学習書はあまり出版されていない<ref>マイナーな言語を扱う出版社の一例とされる[[白水社]]でも、2012年12月刊行の『ニューエクスプレス タミル語』が唯一である([http://www.hakusuisha.co.jp/searchresult/index.php?keyword=%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%AB%E8%AA%9E&search_type=1 白水社公式ホームページより]。また、[[大学書林]]においてはタミル語関連書籍は一点も刊行されていない([http://www.daigakusyorin.co.jp/search/?search_keyword=%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%AB&search_title=&search_author=&search_genre=&search_series=&search_isbn=&amount=10&order=book_date_desc&search_submit=%E6%A4%9C%E7%B4%A2 大学書林公式ホームページより])。</ref>。その一方で、タミル語と日本語の関連性を扱った書籍は多数出版されている。そのような現状から、タミル語学習の書籍を出版すると、批判の多い仮説を扱った書籍と混同されるのを恐れて、大手の出版社はタミル語の学習書を出版するのを躊躇っているのではないかといった[[都市伝説]]さえ生まれた。しかし実は、タミル語を学習する書籍は英語などの他言語で出版された物でも決して豊富とは言いがたい。 == 脚注 == <references /> == 関連書籍 == * カルパナ・ジョイ、袋井由布子 『タミル語入門』(南船北馬舎・2007年)ISBN 4931246222 * 袋井由布子 『旅の指さし会話帳76 南インド』(情報センター出版局・2007年)ISBN 4795835934 * 大野晋 『日本語とタミル語』(新潮社・1981年11月) * 風間喜代三 「ことばの系統」(『東京大学公開講座 ことば』(東京大学出版会)所収・1983年7月) * 大野晋 『日本語の起源 新版』(岩波新書・1994年6月)ISBN 4004303400 * 大野晋 『日本語の形成』(岩波書店・2000年6月)ISBN 4000017586 * 田中孝顕著『ささがねの蜘蛛―意味不明の枕詞・神話を解いてわかる古代人の思考法 (古事記・日本書紀・万葉集と古代タミル語の饗宴 1) 』(幻冬舎・2008年12月) ISBN 4344016076 * 大野晋 『弥生文明と南インド』(岩波書店・2004年11月)ISBN 4000023233 * 田中孝顕 『日本語の真実/タミル語で記紀、万葉集を読み解く』(幻冬舎・2006年7月)ISBN 4344011996 * 田中孝顕監修・バロー/エメノー著『オックスフォード・ドラヴィダ語語源辞典第2版日本語版』(きこ書房・2006年6月) ISBN 4877716157 * 大野晋 『日本語の源流を求めて』(岩波新書・2007年9月)ISBN 9784004310914 * 宮本城 『ニューエクスプレス タミル語』(白水社・2012年12月)ISBN 9784560086155 == 関連項目 == {{Wikipedia|ta}} *[[言語の分類一覧]] *[[ドラヴィダ語族]] *[[マラヤーラム語]] *[[カンナダ語]] *[[テルグ語]] *[[サンスクリット]] *[[タミル文字]] *[[日本語の起源#ドラヴィダ語族説]] {{DEFAULTSORT:たみるこ}} [[Category:ドラヴィダ語族]] [[Category:タミル|*こ]] [[Category:インドの言語]] [[Category:スリランカの言語]] [[Category:シンガポールの言語]] {{Link FA|de}} {{Link FA|en}}
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