セダンのソースを表示

{{Pathnav|自動車|frame=1}}
{{Otheruseslist|自動車のスタイル|フランス・アルデンヌ県の都市|スダン|イタリアの競走馬|セダン (競走馬)|[[1962年]]にアメリカが行った[[核実験]]|セダン核実験|ベトナムの少数民族|セダン族}}

'''セダン'''（''{{lang|en|sedan}}'' ）は、車体形状や使用形態により分類される[[自動車]]の形態のひとつである。

== 概要 ==
=== 呼称 ===
[[ファイル:Sedan-chair.jpg|thumb|200px|セダンチェア]]
セダンの名称は17世紀頃に南イタリアから広まった乗り物のセダンチェア（[[:en:sedan chair#In The West|sedan chair]]、椅子かご）からである。ラテン語で「腰掛ける」の意味の '''sedeo, sedo''' が語源といわれている。ちなみに、セダンチェアの語源がフランスの町のスダンで作られたことに由来するといわれることがあるが、間違いである<ref>板倉聖宣『日本史再発見 - 理系の視点から』（朝日選書477）朝日新聞社、1993年、第一部第10話、ISBN4-02-259577-9</ref>。

英国では'''サルーン''' ({{lang|en|saloon}})、ドイツでは'''リムジーネ'''、フランスでは'''ベルリーヌ'''（ベルリネット）、イタリアでは'''ベルリーナ'''（ベルリネッタ）もしくは'''クワトロポルテ'''（「4つの扉」の意） と呼ばれる（ただし一部の欧州では'''クラシック'''と呼ばれる場合もある）。日本および米国では一般にはセダンが一般名称で、サルーンは上級グレードの商標として用いられることが多いが、実質は英国と米国の呼称の違いであり、JISや自動車技術会での技術的な扱いではまったく同じものを表す。<!--ただし、国や地域を問わず、いわゆる「[[高級車]]」ではほとんどがセダンである。-- リムジンやスポーツカーなどの高級車もあるし、偏った高級車定義に基づいている-->

=== セダンとサルーン ===
日本のJISや自動車技術会では、「サルーン」という呼び名が基本で、「セダンともいう」と規定されている。日本では各メーカーが、一時期英国高級車のサルーンをイメージして、大型上級セダンに「サルーン」と名づけたことから、「サルーン」に高級感のイメージが付加された<ref>[[日産・セドリック]]/[[日産・グロリア|グロリア]]や[[トヨタ・クラウン]]など。</ref>。

== セダンの種類 ==
一般的にはリアデッキを持つ3ボックス型の乗用車のことをいうが、中にはリアデッキを持たない2ボックス型も含まれる。
セダンには独立したトランクを持つタイプ（2ドア/4ドアセダン）と独立したトランクを持つかわりにリアハッチを設けた[[ハッチバック]]タイプがある。2ドアセダンはかつて、小型[[大衆車]]を中心にオーナードライバー向けとして設定されていたが、使い勝手の乏しさなどの理由で需要が激減し[[1980年代]]に入ると日本国内ではほとんどが4ドアセダンとなる<ref>ちなみに日本国内向けにおける最後の2ドアセダンは[[1979年]][[3月]]から[[1983年]][[5月]]まで販売されていた[[トヨタ・カローラ#4代目 E70型（1979年 - 1987年）|E70型（4代目）カローラ2ドアセダン「1300STD」]]だった。</ref>。2ドア乗用車は、21世紀の今日では3ドアハッチバック、もしくは[[クーペ]]にそれぞれ分類されるため、用語としての2ドアセダンはほぼ使われていない。

=== ノッチバックセダン ===
[[ファイル:BMW-E30.jpg|thumb|200px|[[BMW・3シリーズ]] (E30)<br />2ドアノッチバックセダンの例]]

{{See also|ノッチバック}}

[[ボンネット]]と、独立したトランクリッドを持つトランクルームの間に車室を持つ。現在のセダンとしてはもっとも車種の多い形状となる。「'''3ボックスカー'''」と呼ばれることもある。

静粛性に優れる、車体剛性が損なわれない（安定しやすい）、荷室の中を覗かれない、被追突時におけるリスクが小さいなどの利点がある。[[北アメリカ|北米]]では、防犯上の理由で独立したトランク構造が好まれ、[[駐車場|バレーパーキング]]ではトランクオープナーに施錠をするか、またはトランクを開けることができないスペアキーのみでクルマを預ける場合に都合が良い。

FR（[[後輪駆動]]）や[[四輪駆動]]の場合は[[サスペンション]]アーム、[[プロペラシャフト]]、[[差動装置|デフ]]、[[ドライブシャフト]]がトランクルームの前や下に位置するため、ラゲッジルームがいびつな形状となったり、容量が限られる場合がある。FF（前輪駆動）の場合はリア周りのレイアウトに制限は少ないが、バルクヘッド貫通型のトランクスルー機構を持った車種以外では、大きな（または長尺の）荷物を積めないなどの欠点もある。

多くの[[自動車産業|自動車メーカー]]の[[コンパクトカー]]を除く基幹車種では、企画時に3ボックス型が最量販車種として位置づけられることが多く、その設計を基本とし、[[ステーションワゴン]]、ハッチバックセダン、クーペをはじめとした派生車が開発され、時として[[コンバーチブル]]が生まれることもある。[[ホンダ・アコード|ホンダ・アコード（セダン）]]をベースに[[ホンダ・アコードツアラー|アコードツアラー]]、[[ホンダ・アコードクーペ|アコードクーペ]]を作るなど。ただし、近年では車体剛性や後方の衝突安全性能の確保が難しいという理由で[[スバル・レガシィ|スバル・レガシィB4]]、および[[トヨタ・カローラアクシオ]]のようにステーションワゴンをベースに逆にセダンを作る例や<ref>[http://techon.nikkeibp.co.jp/article/HONSHI/20061217/125537/ 日経Automotive Technology 2007年冬号『トヨタ自動車「カローラアクシオ」「カローラフィールダー」-新開発のエンジンとCVT、バックモニタを標準装備  ワゴンから（先行）開発-』]（2009年3月6日閲覧）</ref><ref>また、過去の場合だと[[ダイハツ・コンパーノ]]、および初代[[マツダ・ファミリア]]のように商用バン（ライトバン）をベースに逆にセダンを作る例もあった。</ref>[[スズキ・SX4|スズキ・SX4セダン]]のように、[[クロスオーバーSUV]]をベースにセダンを作るという例もある。
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=== セミノッチバックセダン ===
[[ファイル:Mazda 121 erste Serie.jpg|thumb|200px|[[オートザム・レビュー]]<br />セミノッチバックセダンの例]]
ノッチバックセダンのうち、リアデッキが極端に短いタイプ。「'''セミノッチバックセダン'''」「'''2.5ボックスセダン'''」と呼ばれる。ハッチバックのものもある。
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=== ファーストバックセダン ===
[[ファイル:1985-SAAB900CD-front.jpg|thumb|200px|[[サーブ・900]]（初代）]]  
{{節スタブ}}<!--ご存知の方は、加筆お願いします。-->
リアウインドウが比較的寝かされたタイプ。[[流線型]]ブームの始まる1920から1950年代の海外メーカー車によくみられたが、現在では主流ではない。[[ルノー・4CV|日野・ルノー]]や[[フォルクスワーゲン・タイプ1|VW・ビートル]]は日本でもよく知られる存在であり、そのほか、比較的遅くまで採用していたのが[[サーブ・オートモービル|サーブ]]で、同社初の自動車である 92 から、[[サーブ・900|初代 900]] までの各世代でみられる。日本車では[[日産・チェリー]]、初代[[日産・バイオレット]]（前期型のみ）、初代[[日産・パルサー]]、[[トヨタ・スターレット|トヨタ・パブリカスターレット]]セダン/[[ダイハツ・コンソルテ]]セダンに見られるのみとなっている。

近年ではクーペとして分類されることもあり、[[メルセデス・ベンツ CLSクラス]]では'''4ドアクーペ'''としている。また、[[マツダ・アテンザ|マツダ・アテンザスポーツ]]や2代目以降の[[トヨタ・プリウス]]、2代目以降の[[ホンダ・インサイト]]、欧州向け7代目三菱・ランサー（5ドア車）（日本名・[[三菱・ギャランフォルティス|ギャランフォルティス スポーツバック]]）のように3ボックスセダン風に見せた5ドア[[ハッチバック]]車もファーストバックセダンと呼ばれる場合がある。
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=== 2ボックスセダン ===
[[ファイル:Morris Mini-Minor 1967.jpg|thumb|200px|モーリス・ミニ マイナー]]

{{節スタブ}}<!--ご存知の方は、加筆お願いします。-->

リアデッキを持たないタイプ。以前はトランクリッドを持つタイプも製造されていたが、現在ではリアハッチを持つ[[ハッチバック]]タイプがほとんどである。

初代[[ホンダ・シビック#歴史|ホンダ・シビック]]や2代目[[ホンダ・トゥデイ (自動車)#2代目（1993-1998年　JA4/5型）|ホンダ・トゥデイ]]のように、同世代にトランクリッドを持つものとハッチバックをもつものの両方が存在する例もある。
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=== 4ドアハードトップ ===
[[ファイル:Nissan Laurel 1993.jpg|thumb|200px|[[日産・ローレル]]（7代目）]]

{{main|ハードトップ}}

4ドアセダンのうち、ドアに窓枠を持たないものは「'''4ドア[[ハードトップ]]'''」と名付けられる場合が多い<ref>2ドアにもハードトップは存在するが、クーペとして分類されることがほとんどである。</ref>。[[2000年代]]初頭まで中級乗用車や高級車を中心に設定されていた。現在の日本車には採用されていない。ただし、[[富士重工業]]（[[スバル]]）では「'''サッシュレスドア'''」と呼び、セダンとして分類していた。中でも[[スバル・レガシィ|レガシィ]]は[[2009年]]にフルモデルチェンジされるまでサッシュレスドアを採用していた最後の車種であった。なお、軽自動車のカテゴリーでは、2代目[[ダイハツ・オプティ|オプティ]]のみが軽自動車唯一のハードトップセダンであった。かつては車両中央（Bピラー）が無く、4ドアとしては異様にルーフの低い'''ピラーレスハードトップ'''が流行したが、側面衝突安全性への対応や経年劣化後の窓の艤装精度、また[[シートベルト]]の固定位置等に問題があった為、1990年代後半には完全に姿を消した。ピラーレスハードトップはバブルの名残であったとも言える。

欧州では[[2004年]]に4ドアハードトップボディを持った[[メルセデス・ベンツ CLSクラス]]が発表されたのを皮切りに、[[フォルクスワーゲン・パサートCC]]、[[アストンマーチン・ラピード]]、[[BMW・5シリーズ#グランツーリスモ|BMW・5シリーズグランツーリスモ]]、[[アウディ・A5#スポーツバック|アウディ・A5スポーツバック]]、[[メルセデス・ベンツ CLAクラス]]などといったハードトップセダン（クーペとされる事も多い）が発表され、人気を博している。

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=== ハッチバックセダン ===
{{vertical images list
|幅=200px
|1=Datsun-310.jpg
|3=Nissan Sunny front 20080214.jpg
|5=Nissan Sunny California Hatchback.jpg
|6=[[日産・パルサー]]の5ドアモデルはファストバック型、2ボックス型、3ボックス型で製造された時期があった（上から初代、3代目、4代目）。
}}
{{See also|ハッチバック}}

独立したトランクリッドを持つ代わりにリアハッチを設けたタイプ。2ボックス型は単に「'''ハッチバック'''」と呼ばれるが、特に外観上長めのリアデッキ（トランクルーム）を持ち、2.5ボックスや3ボックスもしくは[[ファストバック]]風に見えるものは、メーカーが「'''セダン'''」と名付ける場合がある（「'''5ドアセダン'''」とも呼ばれる<ref>メーカーが独自の呼称を用いる場合もある。トヨタではかつて「'''5ドアリフトバック'''」と呼んでいたが、2代目以降のプリウスでは'''セダン'''としてラインナップしている。[[マツダ・ファミリアアスティナ]]や[[マツダ・ランティス|ランティス]]、[[サーブ・900]]の5ドアモデルも外観上はハッチバックセダンに見えるが、商標上はクーペとしてラインナップされていた。</ref>）。小型車の一部を除き、4ドアセダンをベースにリアハッチを設けたタイプがほとんどである。

3ボックスセダンと比べ、後席と荷室を使い分けるうえでの自由度が大きく、収容力も非常に高いが、その構造上、車体[[剛性]]面や静粛性が劣ること、端正なスタイルにまとめることが難しいことなどから、市場の嗜好や車格により普及度が異なる。その中で、[[シトロエン]]（[[シトロエン・XM|XM]]）は一時、[[ルノー]]（[[ルノー・30|30]]〜[[ルノー・ヴェルサティス|ヴェルサティス]]）は現在もフラッグシップモデルにハッチバックを採用していることが特筆される。

日本国内で最初に導入されたハッチバックセダンは[[1965年]]の[[トヨタ・コロナ]]（5ドア）や、[[1967年]]に追加された[[三菱・コルト800]]（3ドア）であったが、当時の日本人にはセダンというより[[ライトバン]]のようなイメージが強く、ほとんど受け入れられなかった。その後、1980年代前後に、各メーカーが5ドアセダンを小型・中型[[大衆車]]クラスを中心に設定した時期があったが、1990年代になると[[SUV]]や[[ステーションワゴン]]など、ユーティリティービークルのブームもあり、日本向けのラインナップからはほとんど途絶え、[[トヨタ・コロナ|トヨタ・コロナSF]]、[[ダイハツ・アプローズ]]、[[マツダ・MS-6|アンフィニ・MS-6]]、[[三菱・ギャランスポーツ]]、輸入車として[[日産・プリメーラ|日産・プリメーラUK]]などが細々と売られる程度であった。長らく人気の出ないスタイルであったが、2000年代以降は実用性の追求や海外市場との兼ね合いから5ドアボディを採用する車種も登場し、2002年に[[マツダ・アテンザ|マツダ・アテンザスポーツ]]で採用され、2003年には[[トヨタ・プリウス]]が[[モデルチェンジ (自動車)|フルモデルチェンジ]]で、2009年には2代目[[ホンダ・インサイト]]が<ref>ホンダではハッチバックに分類。なお、初代モデルは2シーターの3ドアハッチバッククーペ。</ref>それぞれ[[クーペ#カムテール|コーダトロンカ]]形の5ドアボディが採用された。

近年では欧州の高級車に3ボックス5ドアボディを持つ車種が登場している。[[ポルシェ・パナメーラ]]、[[アストンマーチン・ラピード]]、[[BMW・5シリーズ#グランツーリスモ|BMW・5シリーズグランツーリスモ]]、[[アウディ・A5#スポーツバック|アウディ・A5スポーツバック]]などがこれに当てはまる。なお、これらの車種はサッシュレスドアを持っていることや（上記車種のうちパナメーラは窓枠付きのサッシュドアである）、そのエクステリア・デザインなどから「5ドアクーペ」と呼ばれる事も決して少なくない。

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=== スポーツセダン ===
[[ファイル:20071001 Lancer Evolution X-front.jpg|thumb|200px|[[三菱・ランサーエボリューション|三菱・ランサーエボリューションX]]]] 
セダンにスポーツ性をプラスしたものはスポーツセダンと呼ばれる。
{{main|スポーツセダン}}

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=== 軽セダン ===
{{vertical images list
|幅=200px
|1=Mazda carol360 2.jpg
|2=[[マツダ・キャロル]]（初代）<br />1970年代までは軽自動車でも3ボックス型セダンが製造されていた。
|3=Daihatsu Mira e-S Xf "SA" LA310S.JPG
|4=[[ダイハツ・ミライース]]<br />現在の軽セダンは2ボックス型が主流である。
}}

日本の[[軽自動車]]でも[[1970年代]]まではリアデッキを持った3ボックス型で純粋にセダンといえる車が製造されていたが、利便性に難があることなどから3ボックス型は次第に廃れ、2ボックス（+ハッチバック）型が主流となった<ref>軽自動車規格内で室内空間を大きくできることと、[[軽ボンネットバン]]とボディを共用できることから。</ref>。この傾向は軽自動車の規格がより大きくされた[[1990年]]以降、21世紀に入った現在でも変わっていないが、[[珍車|変わり種]]として[[1998年]]から[[2002年]]まで販売されていた[[ダイハツ・オプティ]]が、小さいながらも本格的なトランクルームを備えた3ボックス（小さいトランクのため2.5ボックスとも）として販売されていた。

ただし現在でも乗用車（5ナンバー車）においては、「バンでもワゴンでもない」ことをアピールするためにメーカーが実質的に「'''セダン'''」と名付けることがある（例外あり<ref>ホンダ・ライフ（初代）と[[スバル・レックス]]（初代）のハッチバックはトランクを持つセダンと区別するため、乗用モデルは「ワゴン」として分類していた。</ref>）。
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== 現状 ==
{{国際化|date=2012年3月|[[日本]]|section=1}}
{{vertical images list
|幅=200px
|1=2013 Toyota Corolla-Axio-Hybrid 01.jpg
|2=日本を代表する小型セダン：[[トヨタ・カローラアクシオ]]<br/>（2代目・通算11代目） 
|3=TOYOTA CAMRY AVV50 001.jpg
|4=かつては中型大衆車であったが現在では3ナンバーセダンとなった[[トヨタ・カムリ]]<br/>（9代目）
|5=Heiwakotsu Comfort.jpg
|6=小型タクシー向けに開発された5ナンバーセダン：[[トヨタ・コンフォート]]
}}
日本では[[高度経済成長|高度経済成長末期]]の1970年代までは、[[大衆車]]でも3ボックス型が好まれたこともあり、各クラスとも3ボックスセダンが販売の主流であったが、2度の[[オイルショック]]を経て大衆車では、スタイルよりも実用性が求められ、小型車の2ボックス化が進んだ。その間、従来の小型車は少しずつ車体の大型化と車格の上級移行が行われていった。1990年代に入ると、従来のクルマにはない付加価値が求められ、[[レクリエーショナル・ビークル|RV]]ブームが起こり、[[SUV]]、[[ステーションワゴン]]、[[ミニバン]]の市場が一気に拡大し、オーソドックスなセダンの需要は縮小していった。2000年代には、[[コンパクトカー]]（ハッチバックや[[トールワゴン]]）と[[ミニバン]]が、そして2010年代にはセダンタイプを除く[[軽自動車|軽乗用車]]（主にトールワゴンやスーパーハイトワゴン）が市場の中心となり、<!--[[トヨタ・クラウン]]や[[トヨタ・マークX]]などに代表される[[高級車]]と[[トヨタ・カローラアクシオ]]などに代表されるごく一部の5ナンバーサイズの小型実用セダン（ほかに[[トヨタ・プレミオ]]／[[トヨタ・アリオン|アリオン]]、[[日産・ラティオ]]など）を除き、-->依然としてセダンのシェアは2ドア、および3ドアの各種[[クーペ]]やSUVのシェアほどではないが、ごく一部の車種を除き低迷が続いている。

最近では税制の緩和やグローバル化による海外市場への対応、<!--衝突安全性の向上、居住性の改善などによる-->ボディの大型化により、1300cc以上2000cc未満クラスのセダンまで含めて3ナンバーセダンが増加し、結果<ref>その一例として[[ホンダ・シビック|シビック]]、[[三菱・ランサー|ランサー]]→[[三菱・ギャランフォルティス|ギャランフォルティス]]、[[スバル・インプレッサ|インプレッサ→インプレッサアネシス（現・インプレッサG4）]]、[[マツダ・ファミリア|ファミリア]]→[[マツダ・アクセラ|アクセラ]]、[[スズキ・エリオ|エリオセダン（1.8Lモデル除く）]]→[[スズキ・SX4|SX4セダン]]、日本市場、および[[香港]]・[[マカオ]]の[[中華圏]][[特別行政区]]を除く海外市場向け[[トヨタ・カローラ|カローラ]]、[[日産・シルフィ|ブルーバードシルフィ→シルフィ]]などそれまで5ナンバーであった車両がセダンに限らずフルモデルチェンジでそれぞれ3ナンバーになるケースも数多く存在する。</ref>として5ナンバーセダンのラインナップは減少し、5ナンバーセダン市場から撤退するメーカーも少なくない。

日本においてこの種の車種が激減したのは、先述の通り背が高くてスペース効率や日常での使い勝手などに優れる（座席定員やドア数が多く、さらにラゲッジルームもセダンより広い）車種が人気の主流となり、尤も2ボックスのハッチバック車や小型ステーションワゴンと基本性能がほぼ変わらない[[コンサバティブ]]な小型セダンが多くの大衆に支持されなくなったこと、海外向け日本メーカー製セダンが日本の道路事情にそぐわなくなったこと、セダンより先に絶滅したクーペタイプの[[スペシャルティカー]]と同じ理由で仮に日本向けに改善したとしても元々需要の少ない車両を販売するため必然的に高価格になり、益々需要が減るという悪循環に陥ったことなどによる。

しかし、[[パトロールカー]]、[[社用車]]、[[タクシー]]、[[教習車]]といった業務用の分野では依然としてセダンの需要はあり、これらには専用のグレードや車種が設定される場合も少なくない。特に、規格に制約があるタクシー用（主に小型・中型料金向け）には[[信頼性]]、[[メンテナンス|整備]]性、[[乗務員]]の[[疲労]]軽減、狭い場所での取り回しに配慮した[[二輪駆動#FR（フロントエンジン・リヤドライブ方式）|FR]]の5ナンバーセダンがトヨタ<ref>例・[[トヨタ・クラウンセダン|クラウンセダン]]、[[トヨタ・クラウンコンフォート|クラウンコンフォート]]、[[トヨタ・コンフォート|コンフォート]]</ref>、日産<ref>例・[[日産・セドリック営業車|セドリック営業車]]</ref>からそれぞれ発売されている。

また、[[輸入車]]で代表的な[[BMW・3シリーズ]]、[[メルセデス・ベンツ Cクラス]]、[[アウディ・A4]]といった[[Dセグメント]]クラスでは、ステーションワゴンがラインナップに加えられれ更にシリーズは異なるがSUVも揃えられているにも関わらず、依然としてセダン人気が高いモデルが大多数を占めている。ワゴンの値付けが総じて高額となっていることもあるが、かつて輸入車に憧れた[[団塊の世代]]の需要、会社経営者層の”ビジネスシューズ”としての需要など、フォーマルなセダンである事を第一条件として挙げた場合に、同じ程度の排気量クラスでは国産車がほとんど残らないという状況も少なからずある。

なお、日本の市場縮小という要因もあってか日本メーカー、海外メーカー問わず海外市場では販売されているセダンが日本では販売されていない（[[セダン#車種一例（現行車種）|下記参照]]）、あるいは日本メーカー車の場合逆輸入扱い<ref>2014年2月現在の車種を例に挙げると[[日産・ラティオ]]（2代目）のみ、これに該当する。また、過去の例だと[[トヨタ・アバロン]]、および[[トヨタ・プロナード]]、[[トヨタ・アベンシス|トヨタ・アベンシスセダン]]、[[三菱・カリスマ]]、[[ホンダ・インスパイア]]（3代目）、[[ホンダ・セイバー]]（2代目）、[[ホンダ・フィットアリア]]などがこれに該当していた。</ref>、もしくは[[受注生産]]・[[受注販売]]<ref>2014年1月現在、一般ユーザー向けの日本メーカーにおけるセダンとしては[[スズキ・キザシ]]がこれに該当する。</ref>・[[OEM]]（[[セダン#車種一例（現行車種）|下記参照]]）扱いなどになっている･･･という現象も決して珍しくない。

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== 車種一例（現行車種） ==
;2014年7月現在。法人向け車種、および[[リムジン]]を含む。
;◎印が付与された車種は[[国内専用車|国内専売車種]]。
;★印が付与された車種は国内メーカー海外生産車種。
;☆印が付与された車種は国内メーカー海外市場向け専売車種。
;●印が付与された車種は海外メーカー日本市場未投入車種。
;(P)印が付与された車種は既存車種をベースとした[[パイクカー]]。
;△印が付与された車種は近日、発売が予定されている車種。
<!-- 「例」ですので記事内を覆い隠すような量のリストは必要ありません。読者に提示し「セダン」の理解の助けのなるだけの分量があればいいのです。-->
{{Div col|cols=3}}
* [[トヨタ自動車]]
** [[トヨタ・センチュリー|センチュリー]]
*** [[トヨタ・センチュリーロイヤル|センチュリーロイヤル]]◎（[[御料車]]専用車種）
** [[トヨタ・クラウン|クラウン]]（ロイヤル/アスリート）◎
*** [[トヨタ・クラウン|クラウンハイブリッド]]◎
*** [[トヨタ・クラウンマジェスタ|クラウンマジェスタ]]◎
*** [[トヨタ・クラウンセダン|クラウンセダン]]◎
*** [[トヨタ・クラウンコンフォート|クラウンコンフォート]]
** [[トヨタ・アバロン|アバロン]]☆
** [[トヨタ・マークX|マークX]]
** [[トヨタ・カムリ|カムリ]]
** [[トヨタ・SAI|SAI]]◎
** [[トヨタ・コンフォート|コンフォート]]◎
** [[トヨタ・アベンシス|アベンシスセダン]]☆<ref>先代モデルは国内でも輸入モデルとして販売されていた。</ref>
** [[トヨタ・プレミオ|プレミオ]]◎
** [[トヨタ・アリオン|アリオン]]◎
** [[トヨタ・カローラ|カローラ]]☆
*** [[トヨタ・カローラアクシオ|カローラアクシオ]]<ref>先代モデルとなるE140型（ナローボディ版）は完全な国内専売車種だったが、現行モデルとなるE160型は2013年2月より無印カローラ名義として香港・マカオの中華圏特別行政区へそれぞれ輸出されている。</ref>
*** [[トヨタ・カローラアクシオ|カローラアクシオハイブリッド]]◎
*** [[トヨタ・カローラアルティス|カローラアルティス]]☆
*** [[トヨタ・カローラEX|カローラEX]]☆
** [[トヨタ・レビン|レビン]]☆
** [[トヨタ・ヴィオス|ヴィオス]]☆<ref>2代目モデルのみ[[トヨタ・ベルタ|ベルタ]]の同型車種。</ref>
*** ヤリスセダン☆
** [[トヨタ・エティオス|エティオス]]☆
* [[レクサス]]
** [[レクサス・LS|LS]]
** [[レクサス・GS|GS]]
** [[レクサス・ES|ES]]☆
** [[レクサス・HS|HS]]◎<ref>発売当初は北米や[[ハワイ]]にも展開されていたが、売れ行きが思いのほか不振だったため結果的に国内専用車に落ち着いた。</ref>
** [[レクサス・IS|IS]]
* [[日産自動車]]
** [[日産・シーマ|シーマ]]<ref>2012年5月にブランド復活。</ref>
** [[日産・フーガ|フーガ]]
** [[日産・ティアナ|ティアナ]]
** [[日産・スカイライン|スカイライン]]
** [[日産・セドリック営業車|セドリック営業車]]
** [[日産・アルティマ|アルティマ]]☆
** [[日産・シルフィ|シルフィ]]
*** [[日産・セントラ|セントラ]]☆
** [[日産・ラティオ|ラティオ]]★
***[[日産・ラティオ|ヴァーサセダン]]☆
***[[日産・ラティオ|サニー（中国仕様）]]☆
***[[日産・ラティオ|アルメーラ（タイ・オセアニア仕様）]]☆ 
* [[本田技研工業]]
** [[ホンダ・インスパイア|アコード（北米仕様）]]☆
** [[ホンダ・アコード|アコード]]
** [[ホンダ・シビック|シビック]]☆<ref>ただし欧州はハッチバックのみ販売。</ref>
** [[ホンダ・シティ|シティ]]☆
** [[ホンダ・ブリオアメイズ|ブリオアメイズ]]☆
* [[マツダ]]
** [[マツダ・アテンザ|アテンザセダン]]
** [[マツダ・アクセラ|アクセラセダン]]
*** [[マツダ・アクセラ|アクセラハイブリッド]]◎
** [[マツダ・デミオ|Mazda 2 Sedan]]☆<ref>新興国専売。3代目[[マツダ・デミオ|デミオ]]の3ボックスセダン版にあたる。</ref>
* [[スズキ (企業)|スズキ]]
** [[スズキ・キザシ|キザシ]]（受注生産）
** [[スズキ・SX4|SX4セダン]]
** [[スズキ・スイフト|スイフトディザイア]]☆<ref>インド市場専売車種。</ref>
* [[富士重工業]]（[[スバル]]）
** [[スバル・レガシィ|レガシィB4]]
** [[スバル・インプレッサ#WRX STI/WRX S4|WRX STI]]
*** [[スバル・インプレッサ#WRX STI/WRX S4|WRX S4◎△]]
** [[スバル・インプレッサ|インプレッサG4]]
* [[三菱自動車工業]]
** [[三菱・ディグニティ|ディグニティ]]◎<ref>2012年7月にブランド復活。</ref>（日産・シーマのOEM車）
** [[三菱・プラウディア|プラウディア]]◎<ref>上記のディグニティ同様、2012年7月にブランド復活。</ref>（日産・フーガのOEM車）
** [[三菱・ギャラン|ギャラン]]☆<ref>日本を除くアジア専売車種のギャラングランダーを含む。</ref>
*** [[三菱・ギャランフォルティス|ギャランフォルティス]]<ref>海外市場向けランサーの同型車種。</ref>
** [[三菱・ランサー|ランサー]]☆<ref>台湾専売車種のランサーiO、中東専売車種のランサーEXを含む。</ref>
*** [[三菱・ランサーエボリューション|ランサーエボリューション]]
** [[三菱・アトラージュ|アトラージュ]]☆<ref>現時点ではタイ専売。6代目[[三菱・ミラージュ|ミラージュ]]の3ボックスセダン版にあたる。</ref>
*** [[三菱・アトラージュ|ミラージュG4]]☆（上記のアトラージュの同型車種）
* [[ダイハツ工業]]
** [[ダイハツ・アルティス|アルティス]]◎<ref>2012年5月にブランド復活。</ref>（トヨタ・カムリのOEM車）
* [[光岡自動車]]
** [[光岡・ビュート|ビュート]]◎(P)（ベースは[[日産・マーチ]]）
** [[光岡・リューギ|リューギ]]◎(P)（ベースはトヨタ・カローラアクシオ）
** [[光岡・ガリュー|ガリュー]]◎(P)（ベースは日産・ティアナ）
* [[メルセデス・ベンツ]]
** [[メルセデス・ベンツ Cクラス|Cクラス]]
** [[メルセデス・ベンツ Eクラス|Eクラス]]
** [[メルセデス・ベンツ CLSクラス|CLSクラス]]<ref>クーペとして扱われることもあり、セダンとして扱うかどうかは見解が分かれる。</ref>
** [[メルセデス・ベンツ Sクラス|Sクラス]]
* [[アウディ]]
** [[アウディ・A3|A3セダン]]
*** [[アウディ・S3|S3セダン]]
** [[アウディ・A4|A4]]
** [[アウディ・A6|A6]]
** [[アウディ・A8|A8]]
* [[BMW]]
** [[BMW・3シリーズ|3シリーズ]]
** [[BMW・5シリーズ|5シリーズ]]
** [[BMW・7シリーズ|7シリーズ]]
* [[フォルクスワーゲン]]
** [[フォルクスワーゲン・パサート|パサート]]
** [[フォルクスワーゲン・ジェッタ|ジェッタ]]●<ref>先代モデルまでは日本市場でも販売されていた。</ref>
* [[アルファ・ロメオ]]
** [[アルファロメオ・159|159]]
* [[キャデラック]]
** [[キャデラック・CTS|CTS]]
* [[ボルボ・カーズ|ボルボ]]
** [[ボルボ・S80|S80]]
* [[ロールス・ロイス・モーター・カーズ|ロールス・ロイス]]
** [[ロールス・ロイス・ファントム|ファントム]]
** [[ロールス・ロイス・ゴースト|ゴースト]]
* [[現代自動車|ヒュンダイ]]
** [[ヒュンダイ・グレンジャー|グレンジャー]]●<ref>3代目(XG系、ヒュンダイ・XG名義）、4代目(TG系)のみ日本市場でも販売されていた。</ref>
** [[ヒュンダイ・ソナタ|ソナタ]]●<ref>5代目(NF系)のみ日本市場でも販売されていた。</ref>
** [[ヒュンダイ・エラントラ|エラントラ]]●<ref>3代目(XD系)のみ日本市場でも販売されていた。</ref>
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※ごく一部の例外（国外では[[フェラーリ]]など）を除き、ほぼすべての乗用車メーカーがセダンを販売している。

== 脚注・出典 ==
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== 参考文献 ==
*『大車林 自動車情報事典』（[[三栄書房]]）

== 関連項目 ==
{{Commons|Category:Sedans}}
* [[乗用車]]
* [[ハッチバック]]
* [[ノッチバック]]
* [[ファストバック]]
* [[ハードトップ]]
* [[クーペ]]
* [[ステーションワゴン]]
* [[スポーツセダン]]
* [[大衆車]]
* [[高級車]]
* [[ハイソカー]]
* [[リムジン]]
* [[社用車]]
* [[教習車]]
* [[タクシー]]
** [[日本のタクシー]]
{{自動車}}
{{Car-stub}}
{{DEFAULTSORT:せたん}}
[[Category:セダン|*]]
[[Category:乗用車のボディスタイル]]

[[fr:Type de carrosserie#Berline]]