スクールカウンセラーのソースを表示

{{Infobox Occupation
| name= {{PAGENAME}}<br />[[ファイル:Go-shichi no kiri crest.svg|15px]]{{Small2|文部科学省の任用規程・資格要件に準拠}}
| image= [[ファイル:Psi2.png|100px]]
| caption= 
| official_names= {{PAGENAME}}
<!------------Details------------------->
| type= 心理職、専門職
| activity_sector= {{Flagicon|JPN}} [[特別職]]<br />（委嘱契約などに基づく非常勤任用）
| competencies= [[臨床心理学]]／[[精神医学]]的専門知識
| formation= [[臨床心理士]]、[[精神科医]]、[[大学教員]]<br />臨床心理学系修士号／医師免許
| employment_field= 教育機関
| related_occupation= 養護教諭、学校医、<br />[[#スクールアドバイザー|スクールアドバイザー]]、<br />[[#スクールソーシャルワーカー|スクールソーシャルワーカー]]
| average_salary= 
}}
'''スクールカウンセラー'''（SC）とは、[[教育機関]]において[[心理相談]]業務に従事する[[心理職]]専門家の職業名、および当該の任に就く者のことである<ref name="mext04a">{{Cite web|author=文部科学省|date=2004|url=http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121502/026.htm|title=スクールカウンセラーについて|accessdate=2010-02-20}}</ref><ref name="mext04b">{{Cite web|author=文部科学省|date=2004|url=http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121505/005.htm|title=教育相談体制の充実について|accessdate=2010-12-13}}</ref>。俗に'''学校カウンセラー'''と呼ばれることもある。本項では、隣接職種である'''[[#スクールアドバイザー|スクールアドバイザー]]'''（SA）、'''[[#スクールソーシャルワーカー|スクールソーシャルワーカー]]'''（SSW）についても記載する。

== 概要 ==
[[児童]]・[[生徒]]・[[学生]]の[[不登校]]や、校内・学内での種々の[[問題行動]]などの対応に当たっては、専門的な[[心理学]]知識や[[心理]]援助知識が求められることがある。各教育機関において、そのような高度な専門的知識を有し、心理相談業務に従事する心理職[[専門家]]が'''スクールカウンセラー'''（SC）である<ref name="mext04a"/><ref name="mext04b"/>。

広義では国公私立を問わず、[[小学校]]、[[中学校]]、[[高等学校]]、[[大学]]ほか、全ての教育機関の校内・学内にある相談室などに勤務する心理職を指すことがある。また、教育機関に関わる[[災害]]や[[事故]]、あるいは[[事件]]・[[犯罪]]・[[自殺]]などの緊急時に、[[地方自治体]]が[[被災者]]・[[被害者]]の[[心のケア]]のため学校などの現場に派遣する「緊急支援チーム（[[クライシス・レスポンス・チーム]]：CRT）」の、[[精神科医]]、[[臨床心理士]]、[[保健師]]、[[精神保健福祉士]]ら専門家スタッフを指す場合がある<ref name="npg06">{{Cite web|author=長崎県ホームページ|date=2006|url=http://www.pref.nagasaki.jp/na_shien/seishin/crt.html|title=学校危機へのこころの緊急支援事業（CRT）|accessdate=2010-02-01}}</ref>。

一方、狭義では[[文部科学省]]（旧[[文部省]]）のスクールカウンセラー事業において、後述する任用規程の'''[[#スクールカウンセラー|スクールカウンセラー資格要件]]'''に掲げられた、高度な[[臨床心理学]]／[[精神医学]]的専門知識を有する心理職専門家を指し<ref name="mext04a"/><ref name="mext04b"/>、法的身分は[[地方自治体]]・[[教育委員会]]からの任用を受けた[[特別職]]である<ref name="mic10a">{{Cite web|author=総務省|date=2010|url=http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO261.html|title=地方公務員法|accessdate=2010-12-08}}</ref>。

=== 第三者性・外部性の確保 ===
広義・狭義いずれの場合においても、従事する業務が「[[心理相談]]」であるという性質上、既存の[[教職員]]とは異なり、各児童・生徒・学生の[[成績]]評価などを行わず、また[[保護者]]や他の教職員とも利害関係が存在しない「'''第三者性'''」「'''外部性'''」を有する[[心理職]]専門家であることが、スクールカウンセラーの[[倫理]]的な大前提として特に必要とされている<ref name="mext04b"/><ref name="mext07a">{{Cite web|author=文部科学省|date=2007|url=http://www.mext.go.jp/a_menu/hyouka/kekka/07110104/002/019.pdf|title=スクールカウンセラー活用事業費補助金（拡充）|format=PDF|accessdate=2010-12-01}}</ref>。この「第三者性」「外部性」の重要性は、利用者側からも、文部科学省が行っている現場調査の中で『教員とは異なり、成績の評価などを行わない第三者的な存在であるため、児童・生徒・保護者が気兼ねなく[[カウンセリング]]を受けることができた<ref name="mext04c">{{Cite web|author=文部科学省|date=2004|url=http://www.mext.go.jp/a_menu/hyouka/kekka/04083003/018.pdf|title=拡充事業 - 事業名：スクールカウンセラー活用事業補助|format=PDF|accessdate=2010-12-01}}</ref>』『“児童・生徒と教員”とは別の枠組み・[[人間関係]]で相談することができる<ref name="mext07b">{{Cite web|author=文部科学省|date=2007|url=http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/kyouiku/houkoku/07082308/002.htm|title=児童生徒の教育相談の充実について ―生き生きとした子どもを育てる相談体制づくり―（報告） - 2 スクールカウンセラーについて|accessdate=2010-01-31}}</ref>』などの実感として報告されているため、それらの報告を踏まえた調査研究において文部科学省は、「高度な専門性」と同時に「第三者性・外部性」の両立を、スクールカウンセラー[[任用]]上の意義として特に重要視している<ref name="mext04c"/><ref name="mext07b"/>。

したがって、例えば在職の教職員が[[研修]]などを受講した後に兼務したり、[[退職]]した教職員OBが指導経験を活かすために登用されたりなどといった、「教職員としての立場の延長線上にある“[[当事者]]”や“[[関係者]]”<ref name="apa10">{{Cite web|author=American Psychological Association|date=2010|url=http://www.apa.org/ethics/code/|title=Ethical Principles of Psychologists and Code of Conduct|accessdate=2010-12-01}}</ref><ref name="tgu05">{{Cite web|author=東京学芸大学|date=2005|url=http://www.u-gakugei.ac.jp/~nmatsuo/hashi-kadai.htm|title=カウンセラーの職業倫理について|accessdate=2010-12-02}}</ref>」が児童・生徒・学生に関わる場合は、臨床心理学／精神医学分野の「'''高度な専門的知識の担保'''」の点に加えて、既存の教職員とは異なるべき「'''第三者性・外部性の確保'''」の点も曖昧となるため、専門的かつ[[中立]]的な立場で心理相談業務を担うスクールカウンセラーの本来的な位置づけとは異なる<ref name="mext04b"/><ref name="mext07a"/><ref name="mext04c"/><ref name="mext07b"/>。これは、他分野の[[心理カウンセラー]]においても同様に大前提とされており、「'''二重関係'''（多重関係）'''の回避'''<ref name="apa10"/><ref name="tgu05"/>」と呼ばれる倫理上の義務とされている<ref name="apa10"/><ref name="tgu05"/>。

この点は、[[アカデミックハラスメント]]などの様々な[[ハラスメント]]関連問題への対策とも共通しており、国公私立や小中高大などを全て含む広義のスクールカウンセラーも、狭義のスクールカウンセラーである[[#スクールカウンセラー|文部科学省の任用規程]]にならい「[[臨床心理士]]」「[[精神科医]]」「[[大学教員]]」などを資格要件として掲げて校外・学外から別途招き<ref name="ut10">{{Cite web|author=東京大学|date=2010|url=http://dcs.adm.u-tokyo.ac.jp/pdf/jokyo201012.pdf|title=東京大学学生相談ネットワーク本部・学生相談所募集要項|format=PDF|accessdate=2010-12-01}}</ref><ref name="umin07">{{Cite web|author=大学病院医療情報ネットワーク|date=2007|url=https://center6.umin.ac.jp/rocols-open/data/2060-1.doc|title=一橋大学保健センター専任講師（臨床心理士）募集|accessdate=2010-12-01}}</ref><ref name="keu08">{{Cite web|author=慶應義塾|date=2008|url=http://www.jinji.keio.ac.jp/saiyo/syokutaku/associate-main.html|title=慶應義塾大学学生総合センター学生相談室職員採用情報|accessdate=2010-12-04}}</ref><ref name="kiu09">{{Cite web|author=北里大学|date=2009|url=http://www.kitasato.ac.jp/houjin/recruit/bosyu090123.html|title=北里大学カウンセラー募集要項|accessdate=2010-12-30}}</ref><ref name="nu10">{{Cite web|author=名古屋大学|date=2010|url=http://www.nagoya-u.ac.jp/global-info/pdf/employment/20110107_htc.pdf|title=名古屋大学学生相談総合センター教員（准教授）募集について|format=PDF|accessdate=2010-12-01}}</ref><ref name="ru10">{{Cite web|author=立命館大学|date=2010|url=http://www.ritsumei.jp/job/pdf/youkou_048.pdf|title=立命館大学心理・教育相談センターカウンセラー（契約職員（専門職））募集要項|format=PDF|accessdate=2010-12-01}}</ref>、「高度な専門的知識の担保」と「第三者性・外部性の確保」の両方を満たした上で、[[メンタルヘルス]]の担い手としての委嘱契約などを交わすといった、業務上の配慮を行っている<ref name="jasso10a">{{Cite web|author=日本学生支援機構|date=2010|url=http://www.jasso.go.jp/gakusei_plan/documents/soudan_cf.pdf|title=学生支援の取組状況に関する調査 - 学生相談等（参考資料）|format=PDF|accessdate=2010-12-01}}</ref><ref name="jasso10b">{{Cite web|author=日本学生支援機構|date=2010|url=http://www.jasso.go.jp/gakusei_shien/documents/sodan_jirei.pdf|title=学生相談に関する特色ある取組み等|format=PDF|accessdate=2010-12-01}}</ref>。

== 歴史 ==
=== 公立学校対象事業 ===
[[メンタルケア]]先進国であるアメリカでは、[[1975年]]の「[[:en:Education of All Handicapped Children Act|Education of All Handicapped Children Act]]」の施行などにより、[[1970年]]代には既に、教育機関における心理職専門家「[[:en:school psychologist|school psychologist]]」が社会的認知を得る土壌が築かれていたが、日本において心理職専門家が各教育機関に公的に参画し、「スクールカウンセラー」として特に広く知られるようになった契機は、[[1995年]]度から旧[[文部省]]が開始したスクールカウンセラー事業である<ref name="mext07b"/>。

同事業は、「'''スクールカウンセラー活用調査研究委託事業'''」として始められたもので、開始年度の全国154校を皮切りに、各[[都道府県]]の[[公立]]の小学校、中学校、高等学校へ心理職専門家としてスクールカウンセラーの配置・派遣が行われてきた。その後、[[2001年]]度からは、現[[文部科学省]]下において「'''スクールカウンセラー活用事業補助'''」と事業名を新たにし、全公立中学校への配置・派遣へ向けさらに本格的に制度化された。同事業開始後のスクールカウンセラー配置・派遣校は全国10,000校を超え、特に[[2008年]]度からは全[[公立学校]]への配置・派遣が計画的に進められている<ref name="mext07b"/>。

=== 私立学校対象事業 ===
文部科学省のスクールカウンセラー事業の直接的対象になっていない[[私立学校]]が、新たにスクールカウンセラーの導入を希望する場合や、継続的にスクールカウンセラーを配置する場合は、[[1975年]]から都道府県に対して行われている「'''私立高等学校等経常費助成費補助''' {{Small2|※「高等学校等」とは、「高等学校」「中等教育学校」「中学校」「小学校」「幼稚園」「特殊教育諸学校」を指す}}」を利用することで、文部科学省からの間接的補助を受けることができる<ref name="mext04b"/>。

同補助事業は、同年（1975年）に[[議員立法]]として成立した「[[私立学校振興助成法]]」を法的根拠にもち、各都道府県が[[私立]]の「高等学校」「[[中等教育学校]]」「中学校」「小学校」「[[幼稚園]]」「[[特殊教育]]諸学校」に、教育条件を維持・向上するために必要な'''経費'''の'''助成'''を行っている場合、当該都道府県に対して文部科学省が'''補助'''を行うものである<ref name="mext07c">{{Cite web|author=文部科学省|date=2007|url=http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/002.htm|title=私学助成の充実|accessdate=2010-12-12}}</ref>。すなわち、【文部科学省「'''補助'''」】⇒【都道府県「'''助成'''」】⇒【私立学校「'''経費'''」】という流れで、文部科学省から私立学校へ間接的な補助が行われ、スクールカウンセラーの導入や維持に関わる経費は、同補助事業の対象となっているため<ref name="mext01">{{Cite web|author=文部科学省|date=2001|url=http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpab200101/hpab200101_2_175.html|title=平成13年度 文部科学白書 - 第2部 第4章 第2節 2 私立高等学校等に対する助成|accessdate=2010-11-17}}</ref>、都道府県側に助成の相談が可能である<ref name="mext04b"/>。

また、臨床心理[[専門職大学院]]認証評価機関である[[日本臨床心理士資格認定協会]]は、各[[都道府県臨床心理士会]]と協力し「'''私学スクールカウンセラー支援事業'''」を[[2010年]]度から実施している<ref name="fjcbcp09">{{Cite web|author=日本臨床心理士資格認定協会|date=2009|url=http://www.fjcbcp.or.jp/shiritsu.html|title=私立学校への臨床心理士支援の取り組み|accessdate=2009-12-14}}</ref>。

同事業は、これまで文部科学省のスクールカウンセラー事業の直接的対象とされてきた公立学校において、[[任用]]を受け職務に当たってきた[[臨床心理士]]が積み重ねた学校臨床の実践的知見を、文部科学省のスクールカウンセラー事業の直接的対象とされていない私立学校へ、実際の[[心理相談]]業務への従事という形で還元することを目的としている<ref name="fjcbcp09"/>。具体的には、特にスクールカウンセラーを未導入の私立学校に対し、日本臨床心理士資格認定協会がほぼ全額の経費支援を行い、私立学校側にとって低負担でのスクールカウンセラー導入機会を提供するものである。手続きとしては、同事業の[http://www.fjcbcp.or.jp/pdf/yoko.pdf 募集要項]にのっとり、あらかじめスクールカウンセラーの受入体制などを整えた上で、日本臨床心理士資格認定協会に[http://www.fjcbcp.or.jp/pdf/shinsei.doc 応募申請書]（[http://www.fjcbcp.or.jp/pdf/kinyu.pdf 同書記入例]）を提出し、審査を通過すると経費支援が実施される、という流れの全国公募形式をとる<ref name="fjcbcp09"/>。

=== 共通事業 ===
国公私立を問わず、小学校、中学校、高等学校、大学ほか、全ての教育機関が、新たにスクールカウンセラーの導入を希望する場合や、後任のスクールカウンセラーを配置する場合は、臨床心理士の[[職能団体]]である[[日本臨床心理士会]]、あるいは各[[都道府県臨床心理士会]]に連絡することで、登録会員臨床心理士への求人情報の周知や、臨床心理士の推薦を行う窓口となることが依頼でき、新規導入時・後任募集時の煩雑な周知広報や事務作業の一部分を、[[臨床心理士会]]の[[事務局]]に委ねることができる<ref name="jsccp10">{{Cite web|author=日本臨床心理士会|date=2010|url=http://www.jsccp.jp/area/|title=都道府県臨床心理士会一覧|accessdate=2010-05-16}}</ref>。

また、教育機関に関わる[[災害]]や[[事故]]、あるいは[[事件]]・[[犯罪]]・[[自殺]]などの緊急時にも、同じく日本臨床心理士会もしくは当該都道府県臨床心理士会に連絡することで、[[被災者]]・[[被害者]]の[[心のケア]]のため、学校などの現場や周辺地域、および事案関係者らを対象に、スクールカウンセラーとして臨床心理士の派遣を依頼できるなど、[[1989年]]の設立以来日本臨床心理士会は継続的に[[地方自治体]]と連携し、各種支援活動の体制を整えている<ref name="jsccp10"/>。

=== 東日本大震災被災者支援事業 ===
[[2011年]][[3月11日]]に発生した[[東日本大震災]]に対する支援として文部科学省は、児童・生徒・学生の安全確保などについての対策の一環として、[[2010年]]度内には「子どもの健康を守る地域専門家総合連携事業」を緊急活用して臨床心理士の現地派遣を行った後に、2011年度明け以降、[[被災地|被災地域]]の全ての公立学校においてスクールカウンセラーの緊急心理支援が行えるよう、スクールカウンセラー事業の拡充措置を下した<ref name="mext11a">{{Cite web|author=文部科学省|date=2011|url=http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/attach/1305642.htm|title=東日本大震災に対する文部科学省のこれまでの主な取組と今後の課題|accessdate=2011-04-28}}</ref><ref name="mext11b">{{Cite web|author=文部科学省|date=2011|url=http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/__icsFiles/afieldfile/2011/04/28/1305422_3.pdf|title=東日本大震災に対する文部科学省のこれまでの主な取組と今後の課題|format=PDF|accessdate=2011-04-28}}</ref>。

また、国内各地への遠隔地避難者となった児童・生徒・学生については、[[転校]]・[[転学]]先の教育機関において、[[健康相談]]や[[心理相談]]などの特段の配慮を行うように全国の各地方自治体・各教育委員会・各教育機関などに要請するとともに、スクールカウンセラーの緊急派遣・継続派遣を含む[[補正予算]]案を[[閣議決定]]し、児童・生徒・学生の心のケアを柱の一角とした被災者支援事業を、今後文部科学省全体をあげて取り組んでいくことを発表した<ref name="mext11a"/><ref name="mext11b"/>。

== 任用規程・資格要件 ==
文部科学省のスクールカウンセラー事業における任用規程の内容を下記に示す。なお、当初の'''スクールカウンセラー活用事業補助'''<ref name="mext04a"/>における「スクールカウンセラー資格要件」を満たす高度な心理職[[専門家]]人材が少ない地域などの事情を考慮し、理由に合理性が認められる場合には「スクールカウンセラーに準ずる者」を任用することも可能とした'''スクールカウンセラー等活用事業実施要領'''に基づく整備が[[2009年]]度より開始されているため、本節の任用規程内容はそちらに準拠する<ref name="mext08a">{{Cite web|author=文部科学省|date=2008|url=http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/046/shiryo/08032502/003/006.htm|title=資料6 スクールカウンセラー等活用事業補助|accessdate=2010-02-01}}</ref>。
* 職務内容
** [[児童]]・[[生徒]]との[[心理カウンセリング]]
** [[保護者]]への助言・援助などの[[心理コンサルテーション]]
** [[教員|教職員]]への助言・援助などの心理コンサルテーション
* 勤務形態
** [[地方公務員法]]に規定する[[非常勤]]の[[特別職]]で週8～12時間（特に必要な場合は30時間までの勤務も可）

=== スクールカウンセラー ===
{| class="wikitable floatright" style="font-size:80%; text-align:center;"
|+ スクールカウンセラーになるには
| colspan="5" style="background-color:#FFDDDD;" | [[ファイル:Psi2.png|20px]]'''スクールカウンセラー'''
|-
| colspan="5" | ↑
|-
| colspan="5" style="background-color:#DDFFDD;" | [[ファイル:Symbol flag of Tokyo.svg|20px]]'''各地方自治体・教育委員会の募集要件'''
|-
| colspan="5" | ↑
|-
| colspan="5" style="background-color:#DDDDFF;" | [[ファイル:Go-shichi no kiri crest.svg|20px]]'''文部科学省の任用規程・資格要件'''
|-
| '''臨床心理士''' || rowspan="5" | || '''精神科医''' || rowspan="5" | || '''大学教員'''
|-
| ↑ || ↑ || ↑
|-
| [[臨床心理士|臨床心理士資格]]取得<br />[[臨床心理士#臨床心理士資格審査|臨床心理士資格審査]]合格 || [[医師免許]]取得<br />[[医師国家試験]]合格 || 各大学教員採用要件合格
|-
| ↑ || ↑ || ↑
|-
| [[臨床心理士#臨床心理士指定大学院|臨床心理士指定大学院]]修了<br />[[臨床心理学]]系[[修士号]]取得 || 大学[[医学部]]卒業<br />（[[総合大学]]／[[医科大学]]） || [[大学院]]修了など<br />[[学位]]取得・[[論文|研究業績]]発表など
|}
* 資格要件
** '''[[臨床心理士]]'''
** '''[[精神科医]]'''
** '''[[大学教員]]'''（児童・生徒の[[臨床心理]]に関して高度に専門的な知識および経験を有し、[[学校教育法]]第1条に規定する大学の'''[[学長]]'''、'''[[副学長]]'''、'''[[教授]]'''、'''[[准教授]]'''または'''[[講師]]'''（[[常勤|常時勤務]]をする者に限る）の職にある者、またはあった者）

=== スクールカウンセラーに準ずる者 ===
* 資格要件
** {{Small|[[大学院]]修士課程を修了した者で、心理臨床業務または児童・生徒を対象とした相談業務について、'''1年以上'''の経験を有する者}}
** {{Small|[[医師]]で、心理臨床業務または児童・生徒を対象とした相談業務について、'''1年以上'''の経験を有する者}}
** {{Small|[[大学]]もしくは[[短期大学]]を卒業した者で、心理臨床業務または児童・生徒を対象とした相談業務について、'''5年以上'''の経験を有する者}}
{{Small|※この「スクールカウンセラーに準ずる者」は、俗に'''準スクールカウンセラー'''（準学校カウンセラー）とも呼ばれる。主に、精神科医以外の医師や臨床心理士資格取得見込者（[[専門職大学院]]などの[[臨床心理士#臨床心理士指定大学院|臨床心理士指定大学院]]修了者）が該当。そのほか、地域によっては[[学校心理士]]、[[臨床発達心理士]]が該当}}
{{-}}

== スクールアドバイザー ==
スクールカウンセラーと同じく、教育機関において心理相談業務に従事する心理職専門家に'''スクールアドバイザー'''（SA）がある<ref name="ks09">{{Cite web|author=千葉県子どもと親のサポートセンター|date=2009|url=http://nxc.jp/k-support/index.php?action=pages_view_main&page_id=32|title=スクールアドバイザー派遣事業|accessdate=2010-02-25}}</ref>。

スクールカウンセラーは上述のように[[文部科学省]]中心の事業として開始されたが、スクールアドバイザーは各[[地方自治体]]や[[教育委員会]]中心の事業として行われており、全ての[[都道府県]]で展開されているとは限らない<ref name="mext05a">{{Cite web|author=文部科学省|date=2005|url=http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/17/06/05062103/006.htm|title=生徒指導上の諸問題に関する調査研究会報告書 - 各都道府県の施策について|accessdate=2010-02-01}}</ref>。資格要件は、概ねスクールカウンセラーに準拠し、「[[臨床心理士]]」「[[精神科医]]」「[[大学教員]]」などの高度な心理職専門家人材が[[任用]]を受け職務に当たっている<ref name="sp06">{{Cite web|author=佐賀県庁ホームページ|date=2006|url=http://www.pref.saga.lg.jp/at-contents/kenseijoho/seisakuhyoka/h17seisakuhyouka/h18tousyo/h18tousyo-kyouiku/school-advisere.pdf|title=重要継続事業 評価表 - スクールカウンセラー・スクールアドバイザー配置事業費|format=PDF|accessdate=2010-02-01}}</ref><ref name="hc10">{{Cite web|author=枚方市役所|date=2010|url=http://www.city.hirakata.osaka.jp/freepage/kyoubun/pdf/soudangyoumu.pdf|title=枚方市立教育文化センター - 教育相談所 主な業務説明|format=PDF|accessdate=2010-02-01}}</ref>。

また、地方自治体主導のため、文部科学省主導のスクールカウンセラー事業に比して[[予算]]が限られており、スクールアドバイザーの活動は基本的に短期間限定である。したがって、非常勤とはいえ長期的に関わる勤務形態のスクールカウンセラーとは、心理相談業務に従事する心理職専門家としての立場は共通するが、その職務内容は幾分異なる<ref name="mext05a"/>。

すなわち'''スクールアドバイザー'''は、一定の期間関わることを前提とする児童・生徒との直接的な[[心理カウンセリング]]は原則として担当せず、教職員への[[心理コンサルテーション]]が主な職務内容となる<ref name="mext05a"/>。

== スクールソーシャルワーカー ==
一方、文部科学省が[[2008年]]度より開始した事業に「'''スクールソーシャルワーカー活用事業'''」がある<ref name="mext08b">{{Cite web|author=文部科学省|date=2008|url=http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/046/shiryo/08032502/003/010.htm|title=資料6 スクールソーシャルワーカー活用事業|accessdate=2010-01-27}}</ref>。

[[ソーシャルワーカー]]（[[ケースワーカー]]）とは、主に[[社会的弱者]]への[[福祉|福祉相談]]業務に従事する[[福祉職]]専門家であり、'''スクールソーシャルワーカー'''（SSW）は、その中で教育機関において当該の任に就く者のことである。資格要件は、[[社会福祉士]]や[[精神保健福祉士]]などの有資格者のほか、過去に教育や福祉の分野において活動経験がある者も含むなど、人材の専門性は様々である<ref name="mext08c">{{Cite web|author=文部科学省|date=2008|url=http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/__icsFiles/afieldfile/2009/04/13/1246334_1.pdf|title=スクールソーシャルワーカー実践活動事例集|format=PDF|accessdate=2010-02-01}}</ref>。

スクールカウンセラーおよびスクールアドバイザーとの同異については、児童・生徒、保護者、教職員へ専門的知識によって関わる点は両者ともに共通するところであるが、スクールカウンセラーおよびスクールアドバイザーが、児童・生徒、保護者、教職員などの「[[個人]]」の理解を起点として発生した問題に対応するのに対し、スクールソーシャルワーカーは、それらの個人により構築されている「[[環境]]」の理解を起点として発生した問題に対応する<ref name="mext08c"/>。

すなわち'''スクールソーシャルワーカー'''は、[[児童相談所]]を始めとした[[行政機関]]や[[資源|社会資源]]などの外部機関と当該教育機関との連携環境の構築、あるいは保護者の[[貧困|経済状況]]や[[社会参加|就労状況]]などの生活面で、特に重大な困難や[[福祉]]的援助の必要性が認められる家庭への、[[社会保障]]・[[生活保護]]提供などを含めた[[自立支援]]相談が具体的な職務内容となる<ref name="mext08c"/>。

しかしながら、無論スクールカウンセラーやスクールアドバイザーの職務や視点に「環境」の[[コーディネート]]は含まれ、一方スクールソーシャルワーカーの職務や視点にも「個人」の[[ケア]]は含まれるため、職務遂行に当たって両者の立場が重なることがあり、お互いが戸惑いを覚え、現場の教職員はさらに戸惑う場合がある<ref name="mext08c"/>。

翻って起源をたどれば、そもそも'''[[#スクールカウンセラー|スクールカウンセラー]]'''、'''[[#スクールアドバイザー|スクールアドバイザー]]'''、'''スクールソーシャルワーカー'''らは、旧来[[教職員]]のみで対応してきた業務を細分化し、それぞれを高度に専門化させた上で外部化した物であり、そうすることでより充実した教育相談体制・教育機関支援体制を実現することを旨とする。したがって、混乱無き様それぞれの立場の職務を今以上に明確にすることや、その上で有効利用されるために周知徹底を行うこと、そしてそれぞれが専門家資源として効果的に機能するために有機的な連携を図ることで、教育体制により一層資することが今後望まれる<ref name="mext08c"/><ref name="mext08d">{{Cite web|author=文部科学省|date=2008|url=http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/02/08021205.htm|title=初等中等教育局メールマガジン第77号 【シリーズ】-生徒指導の車窓から-（第7回）スクールソーシャルワーカーについて|accessdate=2009-12-30}}</ref>。

== スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーとの対比 ==
'''スクールカウンセラー'''および'''スクールアドバイザー'''と、'''スクールソーシャルワーカー'''との事例対応の対比について、近年増加傾向にある「児童・生徒への[[虐待]]が疑われる」旨の架空事例を例に、下記に双方の主な担当職務内容をまとめ、その同異を示す<ref name="mext10a">{{Cite web|author=文部科学省|date=2010|url=http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1289682.htm|title=児童虐待防止に向けた学校等における適切な対応の徹底について|accessdate=2010-12-15}}</ref>。ただし、それぞれの項目例はあくまでも概観であり、個別の事例により職務内容の実際は異なる<ref name="mext08e">{{Cite web|author=文部科学省|date=2008|url=http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/__icsFiles/afieldfile/2009/04/13/1246334_5.pdf|title=スクールソーシャルワーカー実践活動事例集|format=PDF|accessdate=2010-02-01}}</ref>。
{{Pre|教育現場において、教職員らにより「衣服・身体の不衛生さ」「傷・あざなどの不自然な外傷」「給食など食事への執着」「授業・学校行事に家庭が準備する物の不備」「家庭連絡・帰宅を極端に拒否する訴え」「周囲の大人への極端な甘え方」「情緒面・行動面の不安定さ」「問題行動増加・非行傾向」「遅刻欠席増加・不登校傾向」などに当てはまる問題が認められたある児童・生徒について、学校長や教頭などの管理職教員から、スクールカウンセラー、スクールアドバイザー、スクールソーシャルワーカーに専門的介入の依頼が行われた場合<ref name="bswph10">{{Cite web|author=東京都福祉保健局|date=2010|url=http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/jicen/gyakutai/leaf_txt/|title=「虐待かな？」と思ったら・・・。|accessdate=2010-12-22}}</ref>}}
{| class="wikitable" style="width:100%; font-size:80%;"
|+ スクールカウンセラー／スクールアドバイザーとスクールソーシャルワーカーの違い
! !! スクールカウンセラー（SC）／スクールアドバイザー（SA）<br />{{Small2|※スクールアドバイザーは原則的に「教職員への主な対応」のみ担当}}<br />【[[臨床心理士]]／[[精神科医]]／[[大学教員]]】 !! スクールソーシャルワーカー（SSW）<br />【[[社会福祉士]]／[[精神保健福祉士]]ほか】
|-
! 児童・生徒本人への主な対応
| 家庭環境の[[ヒアリング]]<br />[[臨床心理学]]／[[精神医学]]的分析・考察（心理面、発達面など）<br />[[心理カウンセリング]]（虐待（疑い）、二次的問題など） || 家庭環境のヒアリング<br />[[社会福祉]]的判断（生活面、経済面など）<br />{{Small2|※心理カウンセリングなどは専門外}}
|-
! 保護者への主な対応
| 養育状況のヒアリング<br />心理カウンセリング（[[育児ストレス]]、家庭問題など）<br />[[心理コンサルテーション]]（養育への臨床心理学／精神医学的助言） || 養育状況のヒアリング<br />[[福祉|福祉生活相談]]（経済状況、就労状況など）<br />[[自立支援]]相談（[[社会保障]]、[[生活保護]]など）
|-
! 教職員への主な対応
| 心理コンサルテーション（事例への臨床心理学／精神医学的助言） || [[会議|ケース会議]]の導入<br />外部機関からの情報の[[シェアリング]]
|-
! 外部機関に関連した主な対応
| [[教育委員会]]との連携<br />[[児童相談所]]との連携<br />専門[[医療機関]]の受診促進 || 教育委員会との連携・仲介<br />児童相談所との連携・仲介<br />専門[[資源|社会資源]]（医療を含む）との連携・仲介
|-
| colspan="3" style="text-align:right;" | {{Small|SC<ref name="mext04a"/><ref name="mext04b"/>、SA<ref name="ks09"/><ref name="mext05a"/>、SSW<ref name="mext08b"/>}}
|}
{{law|section=1}}
なお、上記のような{{Underline|虐待が疑われる事例に接した際は}}、教職員、スクールカウンセラー、スクールアドバイザー、スクールソーシャルワーカーなどを全て含め、いかなる者であろうとも、「[[児童虐待の防止等に関する法律]]（児童虐待防止法）」第6条「[[s:児童虐待の防止等に関する法律#6|児童虐待に係る通告]]」第1項に基づき、速やかに[[福祉事務所]]もしくは{{Underline|'''[[児童相談所]]'''に通告しなければならない}}<ref name="mext10a"/><ref name="bswph10"/><ref name="mic10b">{{Cite web|author=総務省|date=2010|url=http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO082.html|title=児童虐待の防止等に関する法律|accessdate=2010-12-10}}</ref>。ただし、同法における「児童」の定義は『18歳に満たない者<ref name="mic10b"/>』であるため、明らかに18歳以上の者の被害が疑われる場合は、[[傷害]]事件などとして通常どおり[[警察]]への通報を行う<ref name="cok10">{{Cite web|author=海津市|date=2010|url=http://cgi.city.kaizu.lg.jp/faq/faq.php?ques=1251|title=虐待されている子どもを発見した場合はどうしたらいいのでしょうか。|accessdate=2010-11-29}}</ref>。

また、教職員を始めとした教育機関の関係者は、[[児童虐待]]を発見しやすい立場にある一方、法的に[[守秘義務]]を負っているため、通常は職務上知り得た秘密を漏らしてはならないが、同第3項には『守秘義務に関する法律の規定は、第1項の規定による通告をする義務の遵守を妨げるものと解釈してはならない<ref name="mic10b"/>』との明記があり、{{Underline|児童虐待の通告は、守秘義務違反の罪には問われない}}<ref name="fp07">{{Cite web|author=福島県|date=2007|url=http://www.pref.fukushima.jp/jidou/gakkoutebiki/zenbun.pdf|title=保育従事者・教職員のための児童虐待対応の手引き|format=PDF|accessdate=2010-12-01}}</ref>。さらに、「[[個人情報の保護に関する法律]]（個人情報保護法）」第23条「[[s:個人情報の保護に関する法律#23|第三者提供の制限]]」第1項第3号には『児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき<ref name="mic10c">{{Cite web|author=総務省|date=2010|url=http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H15/H15HO057.html|title=個人情報の保護に関する法律|accessdate=2010-12-12}}</ref>』を除くとの明記があり、{{Underline|個人情報保護法違反の罪にも問われない}}<ref name="fp07"/>。また、上述の「児童虐待の防止等に関する法律（児童虐待防止法）」第7条に基づき、{{Underline|通告をした者が特定されることはない}}<ref name="fp07"/><ref name="mhlw09">{{Cite web|author=厚生労働省|date=2009|url=http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv39/|title=児童相談所全国共通ダイヤル - 0570-064-000|accessdate=2010-12-08}}</ref>。

== 現状と問題点 ==
=== 各教育機関における心のケアの現状 ===
[[1970年]]代には既に法制度などが整備され、心理職専門家「[[:en:school psychologist|school psychologist]]」が参画していたアメリカとは異なり、日本では長きにわたり教育機関における様々な事案には、当該教育機関に所属している[[教職員]]が中心的に対応してきた。しかし、[[昭和期]]や[[20世紀]]に比しての、[[不登校]]児童生徒数増加<ref name="mext08f">{{Cite web|author=文部科学省|date=2008|url=http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2009/08/06/1282571_4.pdf|title=参考図表4 全児童，生徒数に占める「不登校」の比率|format=PDF|accessdate=2010-02-01}}</ref>、対教職員・生徒間などの[[校内暴力|暴力行為]]発生件数増加<ref name="mext10b">{{Cite web|author=文部科学省|date=2010|url=http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/22/09/__icsFiles/afieldfile/2010/09/14/1297352_01.pdf|title=平成21年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果|format=PDF|accessdate=2010-12-01}}</ref>などの既知の社会問題に加え、公的には[[因果関係]]などは断定されていないものの、背景として校内・学内での[[いじめ]]の存在や、いじめとの関連の可能性が取り沙汰される児童・生徒・学生の[[自殺]]は後を絶たないばかりか<ref name="ynb10">{{Cite web|author=Yahoo!ニュース - いじめ|date=2010|url=http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/bullying/|title=近年悪質化し、いじめた側が逮捕されるケースが増加。携帯電話やメールを使ったいじめも急増している|accessdate=2010-12-28}}</ref>、[[1998年]]から年間30,000人を超え続けている[[自殺者]]のうち、生前[[就学]]年齢にあった者（19歳以下だった者）の中では、[[うつ病]]などの「健康問題」や日常の「学校問題」の悩みを自殺の原因・動機とする者が第1位と第2位を占める現状となっている<ref name="npa09">{{Cite web|author=警察庁|date=2009|url=http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki81/210514_H20jisatsunogaiyou.pdf|title=平成20年中における自殺の概要資料|format=PDF|accessdate=2010-02-01}}</ref>。また、年代別の[[死因]]でも、[[思春期]]以降（15歳～19歳）になると全死因中のトップは「自殺」になるなど、我が国の教育機関における就学年齢者への専門的な心のケアの充実は、いまだ途上の段階にある<ref name="cao10">{{Cite web|author=平成22年版 自殺対策白書|date=2010|url=http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2010/html/honpen/part1/s1_1_06.html|title=第1章 自殺の現状 - 6 死因別の自殺の状況|accessdate=2010-12-13}}</ref>。
{{Main2|関連情報は「[[:Category:いじめ]]」、「[[いじめ#いじめ事件の例]]」を}}

[[ファイル:Orange ribbon.svg|thumb|x220px|児童虐待防止のシンボルマーク「[[オレンジリボン]]」]]
また、[[2004年]]に改正施行された「[[児童虐待防止法]]」において、上述のように'''[[虐待]]'''が疑われる事例に接した際の児童相談所への'''通告'''が国民の'''[[法的義務]]'''として課せられたことにより<ref name="mic10b"/>、特に各教育機関においては、虐待が疑われる事例の発見・通告・事後対応に当たり、当該児童・生徒への配慮に加え、他の児童・生徒への配慮、教職員間での連携、対保護者への配慮、児童相談所との連携などに関して、担当教職員に一定の知識が要求されるようになったことなど、児童・生徒・学生の[[メンタルヘルス]]対策は、各教育機関にとって法的観点からも喫緊の課題となった<ref name="fp07"/>。

一方、教職員側の[[メンタルヘルス]]も近年の問題となっている<ref name="mext10c">{{Cite web|author=文部科学省|date=2010|url=http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2010/12/24/1300500_20.pdf|title=平成20年度教育職員に係る懲戒処分等の状況、服務規律の確保及び教育職員のメンタルヘルスの保持等について（抜粋）|format=PDF|accessdate=2010-12-27}}</ref>。現在、教職員が行っている主な業務には、通常の各教科の[[授業]]や[[ホームルーム]]のほか、[[校務分掌]]により割り当てられた[[校務]]があり、放課後には授業や試験の準備と校務に加えて、[[部活動]]、[[児童会]]・[[生徒会活動]]、[[委員会活動]]など、各[[特別活動]]の顧問・指導に当たる必要がある。さらに、[[入学式]]、[[卒業式]]、[[始業式]]、[[終業式]]、[[修了式]]、[[授業参観]]、[[運動会]]・[[体育祭]]、[[文化祭]]、[[修学旅行]]など、各学期には定期的に様々な[[学校行事]]がひかえているため、それらの準備・事後処理も並行して行わなければならない<ref name="mext10c"/>。その上、[[生活指導]]、[[生徒指導]]、[[進路指導]]、[[三者面談]]、[[保護者面談]]など、各児童・生徒・学生個別の指導も同時に行う必要があるほか、昨今は、[[学級崩壊]]、[[小1プロブレム]]、[[中1ギャップ]]、[[モンスターチルドレン]]、[[モンスターペアレント]]などを始めとした、旧来の指導経験では対処に苦慮し、場合によっては[[発達障害]]や[[パーソナリティ障害]]などの基礎知識も求められる問題への対応も迫られるなど、教職員の業務は多忙や困難を極めている<ref name="mext07d">{{Cite web|author=文部科学省|date=2007|url=http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/kyouiku/houkoku/07082308/002.htm|title=児童生徒の教育相談の充実について ―生き生きとした子どもを育てる相談体制づくり―（報告） - 1 学校における教育相談の充実について|accessdate=2010-01-31}}</ref>。このように、様々な課題に直面する教育現場において、教職員の[[病気]]休職者数が年々増加しており<ref name="mext10d">{{Cite web|author=文部科学省|date=2010|url=http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2010/12/24/1300500_13.pdf|title=病気休職者数等の推移（平成12年度～平成21年度）|format=PDF|accessdate=2010-12-27}}</ref>、そのうち、[[うつ病]]や[[適応障害]]などの[[精神疾患]]発病を理由とする[[休職]]者は、[[1990年]]代後半には30%～40%程度の割合だったものが、[[2002年]]には50%を超え、[[2009年]]には63.3%に上り、人数も全国約5,500人に達していることに加え、学校長を始めとした教職員の自殺も発生している<ref name="mext10d"/>。
{{Main2|関連情報は「[[北九州市立皿倉小学校#校長自殺事件]]」、「[[愛媛県立新居浜西高等学校#必履修科目未履修問題]]」、「[[モンスターペアレント#問題点]]」を}}

他方、[[指導力不足教員]]の存在や、[[道徳|モラル]]の欠如した教職員による[[体罰]]、[[わいせつ行為]]、[[児童買春]]など<ref name="mext10e">{{Cite web|author=文部科学省|date=2010|url=http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2010/12/24/1300500_1.pdf|title=懲戒処分等の状況一覧（平成21年度）|format=PDF|accessdate=2010-12-27}}</ref><ref name="mext10f">{{Cite web|author=文部科学省|date=2010|url=http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2010/12/24/1300500_4.pdf|title=体罰に係る懲戒処分等の状況一覧（平成21年度）|format=PDF|accessdate=2010-12-27}}</ref><ref name="mext10g">{{Cite web|author=文部科学省|date=2010|url=http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2010/12/24/1300500_5.pdf|title=わいせつ行為等に係る懲戒処分等の状況一覧（平成21年度）|format=PDF|accessdate=2010-12-27}}</ref><ref name="mext10h">{{Cite web|author=文部科学省|date=2010|url=http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2010/12/24/1300500_18.pdf|title=わいせつ行為等に係る懲戒処分等事案の具体的な状況について|format=PDF|accessdate=2010-12-27}}</ref>、本来は児童・生徒・学生を守る立場の教職員が、逆に[[加害者]]となる[[事件]]・[[不祥事]]も断続的に報道されており<ref name="ynts10">{{Cite web|author=Yahoo!ニュース - 教師の不祥事|date=2010|url=http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/teacher_scandal/|title=子どもへの体罰やわいせつ行為、飲酒運転など教師による犯罪や問題行動が明るみに出ている|accessdate=2010-12-28}}</ref>、それにより児童・生徒・学生や保護者が教職員に対して不信感を抱いたり、心理的に不安定になったりする事例が散見されている<ref name="yol10">{{Cite web|author=読売新聞 - YOMIURI ONLINE|date=2010|url=http://kyushu.yomiuri.co.jp/local/nagasaki/20101111-OYS1T00330.htm|title=「防止策見出せない…」長崎の教員、5人目の逮捕|accessdate=2010-11-11}}</ref><ref name="ac10">{{Cite web|author=朝日新聞 - asahi.com|date=2010|url=http://www.asahi.com/areanews/nagasaki/SEB201011180038.html|title=教員不祥事防止へ、外部専門家招き新組織 県教育長表明|accessdate=2010-11-19|archiveurl=http://web.archive.org/20120524234949/www.asahi.com/areanews/nagasaki/SEB201011180038.html|archivedate=2012-05-24|deadlinkdate=2013-11-01}}</ref>。また、[[神戸連続児童殺傷事件]]、[[附属池田小事件]]、[[佐世保小6女児同級生殺害事件]]、[[中央大学教授刺殺事件]]、[[取手駅通り魔事件]]を始め、学校現場や[[通学路]]が巻き込まれたり、意図的に狙われたりする[[犯罪]]も発生しており<ref name="ynpk10">{{Cite web|author=Yahoo!ニュース - 通り魔事件|date=2010|url=http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/phantom_killer/|title=2001年以降での通り魔殺人事件のピークは、秋葉原無差別殺傷事件が発生した2008年の14件|accessdate=2010-12-27}}</ref><ref name="ynjc10">{{Cite web|author=Yahoo!ニュース - 少年犯罪|date=2010|url=http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/juvenile_crime/|title=少年犯罪は全体的に概ね減少傾向にあるが、一方で社会の注目を集める重大事件が発生している|accessdate=2010-12-29}}</ref>、そのような緊急時には、児童・生徒・学生、保護者や教職員はもちろん、周辺地域住民も含めた事案関係者らが[[急性ストレス障害]]、[[心的外傷後ストレス障害|PTSD]]、[[心身症]]などを発症することがあり<ref name="mext06">{{Cite web|author=文部科学省|date=2006|url=http://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/kokoro/|title=子どもの心のケアのための（PTSDの理解とその予防）保護者向けリーフレットについて|accessdate=2010-12-26}}</ref><ref name="mext10i">{{Cite web|author=文部科学省|date=2010|url=http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2010/10/01/1297590_01.pdf|title=子どもの心のケアのために ―災害や事件・事故発生時を中心に―|format=PDF|accessdate=2010-12-01}}</ref>、特に即応的で丁寧な心のケアが必要と指摘されている<ref name="mext06"/><ref name="mext10i"/>。

このような社会情勢から文部科学省は[[2007年]]、多様な分野の[[有識者]]から成る[[審議会]]「教育相談等に関する調査研究協力者会議」において、「'''児童生徒の教育相談の充実について ―生き生きとした子どもを育てる相談体制づくり―'''<ref name="mext07e">{{Cite web|author=文部科学省|date=2007|url=http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/kyouiku/houkoku/07082308.htm|title=児童生徒の教育相談の充実について ―生き生きとした子どもを育てる相談体制づくり―（報告）|accessdate=2010-01-31}}</ref>」との[[報告書]]を取りまとめ、上記のように[[学校教育]]上の課題や児童・生徒・学生に関わる問題が多様化・深刻化している現状を踏まえた上で<ref name="mext07e"/>、児童・生徒・学生の多様な[[悩み]]や[[相談]]に対応する専門家としてのスクールカウンセラーの参画活用<ref name="mext07b"/>と、スクールカウンセラー事業の順次拡充<ref name="mext07b"/>などを改めて提言し、各教育機関における心のケアを今後より一層充実させるよう唱えた<ref name="mext07e"/>。また、同報告書の中では、スクールカウンセラーの担当職務内容について、従来の[[#任用規程・資格要件|文部科学省の任用規程]]に掲げられている「児童・生徒との心理カウンセリング」や「保護者・教職員への助言・援助などの心理コンサルテーション」に加え、[[事故]]・[[事件]]発生による児童・生徒・学生や保護者の[[PTSD]]などを防ぐための「緊急時の心のケア<ref name="mext07b"/><ref name="mext06"/><ref name="mext10i"/>」や、[[ストレス (生体)|ストレス]]による教職員の休職や不祥事などを防ぐための「教職員のメンタルヘルスケア<ref name="mext07b"/><ref name="mext10d"/><ref name="mext10e"/><ref name="ac10"/>」の担い手としての役割も期待することが述べられている<ref name="mext07e"/>。これを受け、一部の地方自治体に設置されている[[学校問題解決支援チーム]]には、[[医師]]、[[弁護士]]、[[臨床心理士]]、[[警察官]]OBなどとともに当該自治体スクールカウンセラーが参画するなど<ref name="mext10j">{{Cite web|author=文部科学省|date=2010|url=http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/uneishien/detail/__icsFiles/afieldfile/2010/09/13/1297348_1.pdf|title=保護者や地域等からの要望等に関する教育委員会における取組|format=PDF|accessdate=2010-12-01}}</ref>、同報告書は、国や各教育委員会、および各教育機関などの教育関係者がスクールカウンセラーを活用する際の、今後の取組指針となっている<ref name="mext07e"/>。

=== 効果・評価と活用・配置の現状 ===
スクールカウンセラー導入後の効果・評価、およびスクールカウンセラー活用・配置の状況について、[[中央省庁]]は様々な調査を行っている。例えば、[[2005年]]度に[[文部科学省]]が取りまとめた「'''児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査'''<ref name="mext05b">{{Cite web|author=文部科学省|date=2005|url=http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/kyouiku/houkoku/07082308/002/002.htm|title=児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査 - 不登校児童生徒への指導の結果、登校するようになった児童生徒に特に効果があった学校の措置|accessdate=2010-12-08}}</ref><ref name="mext05c">{{Cite web|author=文部科学省|date=2005|url=http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/kyouiku/houkoku/07082308/002/003.htm|title=児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査 - 不登校児童生徒が相談，指導，治療を受けた機関等|accessdate=2010-12-08}}</ref><ref name="mext05d">{{Cite web|author=文部科学省|date=2005|url=http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/kyouiku/houkoku/07082308/002/004.htm|title=児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査 - 平成14～16年度スクールカウンセラー派遣校における問題行動等の派遣前と派遣後の発生状況比較|accessdate=2010-12-08}}</ref>」によると、「不登校児童生徒への指導の結果、登校するようになった児童生徒に特に効果があった学校の措置」の中で、学校内での指導の改善工夫として「スクールカウンセラー等が専門的に指導にあたった<ref name="mext05b"/>」と回答した学校が最も多く、不登校対応への効果が報告された<ref name="mext05b"/>。「不登校児童生徒が相談，指導，治療を受けた機関等」の回答においても、「スクールカウンセラー等による専門的な相談<ref name="mext05c"/>」が最も多く、普段通学している各学校にて無料で相談できる点など[[病院]]や[[児童相談所]]よりも身近な専門家としてスクールカウンセラーが位置づけられていた<ref name="mext05c"/>。また、「暴力行為発生件数」「不登校児童生徒数」「いじめ発生件数」のいずれにおいても、スクールカウンセラーを2年以上継続的に配置した学校は全国平均よりも発生状況が低く<ref name="mext05d"/>、中長期継続的な関わりによる予防的効果が報告された<ref name="mext05d"/>。これらの構成比は、[[2010年]]度発表の同調査<ref name="mext11c">{{Cite web|author=文部科学省|date=2011|url=http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/22/12/__icsFiles/afieldfile/2011/03/14/1300746_2.pdf|title=児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査|format=PDF|accessdate=2011-04-28}}</ref>においても同様の集計結果となっており、スクールカウンセラー導入後の追跡調査によって効果の定着が報告されている<ref name="mext05b"/><ref name="mext05c"/><ref name="mext05d"/><ref name="mext11c"/>。

一方、[[2004年]]度に[[財務省]]が発行した「'''総括調査票'''<ref name="mof04">{{Cite web|author=財務省|date=2004|url=http://www.mof.go.jp/budget/topics/budget_execution_audit/fy2004/sy160622/1606d_19.pdf|title=総括調査票 - スクールカウンセラー活用事業|format=PDF|accessdate=2010-12-01}}</ref>」によると、「[[臨床心理士]]」「[[精神科医]]」「[[大学教員]]」を資格要件とする「[[#スクールカウンセラー|（正規の）スクールカウンセラー]]」と、主に精神科医以外の医師や臨床心理士資格取得見込者（[[専門職大学院]]などの[[臨床心理士#臨床心理士指定大学院|臨床心理士指定大学院]]修了者）を資格要件とする「[[#スクールカウンセラーに準ずる者|スクールカウンセラーに準ずる者]]（準スクールカウンセラー）」の比較について、「問題行動件数」のみに限定して着目し<ref name="mof04"/>、「（正規の）スクールカウンセラー」を配置した場合は全国平均よりも発生状況が低いことを改めて報告した上で、「スクールカウンセラーに準ずる者（準スクールカウンセラー）」も併用して配置した場合にはさらに発生状況が低い自治体の例があると指摘している<ref name="mof04"/>。また、2010年度の同調査票<ref name="mof10a">{{Cite web|author=財務省|date=2010|url=http://www.mof.go.jp/budget/topics/budget_execution_audit/fy2010/sy2302/2302b_04.pdf|title=総括調査票 - スクールカウンセラー等活用事業等|format=PDF|accessdate=2010-12-01}}</ref>の中では、配置している者が「（正規の）スクールカウンセラー」であるのか「スクールカウンセラーに準ずる者（準スクールカウンセラー）」であるのかを配置先の当該校側へ明確に知らせていない自治体が約4割に上ることを指摘し<ref name="mof10a"/>、それと関連して「スクールカウンセラーに準ずる者（準スクールカウンセラー）」でも「（正規の）スクールカウンセラー」と同等の活動ができると思っている自治体が約6割あったとも報告しており<ref name="mof10a"/>、「（正規の）スクールカウンセラー」と「スクールカウンセラーに準ずる者（準スクールカウンセラー）」の区別の明確な周知とともに積極的な活用を提案している<ref name="mof04"/><ref name="mof10a"/>。

このように、スクールカウンセラーの活用・配置によって認められた相応の効果に対する評価や、そのための大前提とされている「[[#第三者性・外部性の確保|第三者性・外部性の確保]]」の重要視は両省ともに共通するところであるが<ref name="mext05b"/><ref name="mext05c"/><ref name="mext05d"/><ref name="mext11c"/><ref name="mof04"/><ref name="mof10a"/>、現場の各教育機関を所管する立場の文部科学省は、[[倫理]]的観点からもより専門性の高い「（正規の）スクールカウンセラー」の活用を基本と掲げているのに対し<ref name="mext04b"/><ref name="mext07b"/>、[[予算]]を管轄する立場の財務省は、より[[人件費]]の安い「スクールカウンセラーに準ずる者（準スクールカウンセラー）」の併用も提案しており<ref name="mof10a"/><ref name="mof10b">{{Cite web|author=財務省|date=2010|url=http://www.mof.go.jp/budget/topics/budget_execution_audit/fy2010/hanei/tyousa/21.pdf|title=反映状況票 - スクールカウンセラー等活用事業等|format=PDF|accessdate=2010-12-01}}</ref>、省としての立場や理念の違いから、両省が打ち出す方針・見解には相違が見られる部分がある<ref name="mext04b"/><ref name="mext07b"/><ref name="mof10a"/><ref name="mof10b"/>。

他方、スクールカウンセラーについての調査の中でも、教育相談や生徒指導をより充実させるために行われた全国規模の現場調査に「'''教育相談等に関するアンケート'''<ref name="mext07f">{{Cite web|author=文部科学省|date=2007|url=http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/kyouiku/houkoku/07082310.htm|title=教育相談等に関するアンケートの実施について|accessdate=2010-12-01}}</ref>」がある。同アンケート調査は[[2006年]]度～[[2007年]]度にかけて実施・取りまとめられたもので、全国62の[[都道府県]]・[[政令指定都市]]における小学校、中学校、高等学校、教育委員会（大学は独自採用のため）を対象とし<ref name="mext07f"/>、スクールカウンセラー導入後の効果・評価、およびスクールカウンセラー活用・配置の状況から今後の要望に至るまでの回答を募るなど、スクールカウンセラーに関する現状や現場[[ニーズ]]の包括的な把握・考察を試みた、全国規模の[[施策]]参考用アンケート調査である<ref name="mext07f"/>。ついては、下記に同アンケート調査の各設問における回答と構成比をまとめ、それぞれを表に示す<ref name="mext07f"/>。

==== 調査結果の内訳 ====
<div class="NavFrame collapsed">
  <div class="NavHead" style="text-align:left;">表1：スクールカウンセラーに対してあった相談等の割合はどうでしたか？</div>
  <div class="NavContent" style="text-align:left;">
{| class="wikitable sortable" style="font-size:85%; margin-left:1em;"
! class="unsortable" | !! 小学校 !! 中学校 !! 高等学校
|-
| 児童・生徒からの相談 || {{bar|r|2|2}} 21.9% || {{bar|g|4|4}} 44.4% || {{bar|b|5|1}} 50.7%
|-
| 保護者からの相談 || {{bar|r|2|8}} 28.3% || {{bar|g|1|9}} 19.2% || {{bar|b|1|3}} 12.8%
|-
| 教職員からの相談 || {{bar|r|4|3}} 43.0% || {{bar|g|3|1}} 31.4% || {{bar|b|3|5}} 34.5%
|-
| その他（事件等にかかわる緊急支援、病気休暇教諭との面談など） || {{bar|r|0|7}} 6.5% || {{bar|g|0|5}} 4.6% || {{bar|b|0|2}} 1.8%
|}
  </div>
</div>
<div class="NavFrame collapsed">
  <div class="NavHead" style="text-align:left;">表2：スクールカウンセラーについてどのように受け止めていますか？（1つ選択）</div>
  <div class="NavContent" style="text-align:left;">
{| class="wikitable sortable" style="font-size:85%; margin-left:1em;"
! class="unsortable" | !! 小学校 !! 中学校 !! 高等学校
|-
| 学校の相談体制の中核的な役割を果たしていると認識している || {{bar|r|1|4}} 13.6% || {{bar|g|1|4}} 14.1% || {{bar|b|2|3}} 22.8%
|-
| 生徒や保護者が気軽に悩みを打ち明ける存在として、必要な存在と感じている || {{bar|r|3|2}} 31.8% || {{bar|g|2|8}} 27.8% || {{bar|b|1|4}} 14.0%
|-
| 教員とは異なる観点を持つ外部の専門家という位置づけで、効果があると感じている || {{bar|r|4|8}} 47.7% || {{bar|g|5|3}} 53.3% || {{bar|b|6|0}} 59.6%
|-
| スクールカウンセラーとのコミュニケーションが不足していることなどにより、<br />学校として、必ずしも有効に活用されているとは言えない || {{bar|r|0|5}} 4.5% || {{bar|g|0|2}} 1.9% || 0%
|-
| スクールカウンセラーに相談する生徒があまり見られないなど、<br />学校としてスクールカウンセラーの活用に疑問を感じている || 0% || 0% || 0%
|-
| スクールカウンセラー以外の外部の専門家や人材の活用がもっと必要である || 0% || {{bar|g|0|1}} 0.9% || {{bar|b|0|2}} 1.8%
|-
| その他 || {{bar|r|0|2}} 2.3% || {{bar|g|0|2}} 2.0% || {{bar|b|0|2}} 1.8%
|}
  </div>
</div>
<div class="NavFrame collapsed">
  <div class="NavHead" style="text-align:left;">表3：学校の教育相談体制をどのように充実すべきと考えますか？（複数選択）</div>
  <div class="NavContent" style="text-align:left;">
{| class="wikitable sortable" style="font-size:85%; margin-left:1em;"
! class="unsortable" | !! 小学校 !! 中学校 !! 高等学校
|-
| 教育相談主事（仮称）を中心とする教育相談部を生徒指導部と同様の位置づけとして設置する || {{bar|r|1|3}} 12.5% || {{bar|g|2|9}} 28.9% || {{bar|b|2|7}} 26.8%
|-
| 教育相談担当のような教育相談を中心になって進めるための者を置く || {{bar|r|5|5}} 55.0% || {{bar|g|4|5}} 45.0% || {{bar|b|5|0}} 50.0%
|-
| 学校内が一体となって取り組むことができるよう、教員間の連携を強める。<br />それにより、教育相談によって得られた情報等を教員間で共有する || {{bar|r|6|5}} 65.0% || {{bar|g|7|7}} 76.9% || {{bar|b|7|5}} 75.0%
|-
| スクールカウンセラーの配置又は充実を図る || {{bar|r|8|3}} 82.5% || {{bar|g|6|7}} 66.8% || {{bar|b|8|4}} 83.9%
|-
| スクールカウンセラー以外の外部の専門家との連携を図る || {{bar|r|2|8}} 27.5% || {{bar|g|1|9}} 18.5% || {{bar|b|1|8}} 17.9%
|-
| 地域や保護者との連携を充実し、生徒に関するきめ細かな対応をより可能にする || {{bar|r|4|8}} 47.5% || {{bar|g|4|0}} 39.5% || {{bar|b|2|9}} 28.6%
|-
| その他 || {{bar|r|0|3}} 2.5% || {{bar|g|0|5}} 4.6% || {{bar|b|0|7}} 7.1%
|}
  </div>
</div>
<div class="NavFrame collapsed">
  <div class="NavHead" style="text-align:left;">表4：現在のスクールカウンセラーの勤務形態について</div>
  <div class="NavContent" style="text-align:left;">
{| class="wikitable sortable" style="font-size:85%; margin-left:1em;"
! class="unsortable" | !! 小学校 !! 中学校 !! 高等学校
|-
| 週1回 || {{bar|r|4|1}} 41.0% || {{bar|g|6|8}} 68.1% || {{bar|b|3|8}} 37.5%
|-
| 週2回 || 0% || {{bar|g|1|4}} 13.6% || {{bar|b|0|9}} 8.9%
|-
| その他（月2回、3回など） || {{bar|r|5|9}} 59.0% || {{bar|g|1|8}} 18.2% || {{bar|b|5|4}} 53.6%
|}
  </div>
</div>
<div class="NavFrame collapsed">
  <div class="NavHead" style="text-align:left;">表5：スクールカウンセラーの活用についてどのように考えますか？（1つ選択）</div>
  <div class="NavContent" style="text-align:left;">
{| class="wikitable sortable" style="font-size:85%; margin-left:1em;"
! class="unsortable" | !! 小学校 !! 中学校 !! 高等学校 !! 都道府県・政令指定都市<br />教育委員会
|-
| 連日の勤務が望ましい || {{bar|r|2|0}} 20.0% || {{bar|g|2|5}} 25.4% || {{bar|b|1|3}} 13.0% || {{bar|c|1|9}} 19.4%
|-
| 連日ではなく、週2日又は週3日のように<br />1週間に複数日の勤務が望ましい || {{bar|r|5|0}} 50.0% || {{bar|g|4|9}} 49.3% || {{bar|b|5|0}} 50.0% || {{bar|c|5|5}} 54.8%
|-
| 勤務日数よりも、1日当たりの勤務時間の拡大が望ましい || {{bar|r|0|5}} 5.0% || {{bar|g|0|7}} 6.9% || {{bar|b|1|5}} 14.8% || {{bar|c|1|5}} 14.5%
|-
| 現状の勤務形態が概ね適当 || {{bar|r|2|0}} 20.0% || {{bar|g|1|4}} 14.1% || {{bar|b|1|1}} 11.1% || {{bar|c|0|5}} 4.8%
|-
| 相談効果があまり見られず、それほど必要性が感じられない || 0% || {{bar|g|0|1}} 0.2% || {{bar|b|0|2}} 1.9% || 0%
|-
| その他 || {{bar|r|0|5}} 5.0% || {{bar|g|0|4}} 4.2% || {{bar|b|0|9}} 9.3% || {{bar|c|0|7}} 6.5%
|}
  </div>
</div>
<div class="NavFrame collapsed">
  <div class="NavHead" style="text-align:left;">表6：スクールカウンセラーの配置についてどのように考えますか？（複数選択）</div>
  <div class="NavContent" style="text-align:left;">
{| class="wikitable sortable" style="font-size:85%; margin-left:1em;"
! class="unsortable" | !! 都道府県・政令指定都市<br />教育委員会
|-
| 現状のように中学校に重点的に配置。可能な限り1校1人の配置が望ましい || {{bar|c|4|0}} 40.3%
|-
| 現状のように中学校に重点的に配置。教育センターや拠点校等に配置し、1人が複数学校を担当する配置が望ましい || {{bar|c|0|8}} 8.1%
|-
| 中学校同様、小学校にもできる限り配置することが望ましい || {{bar|c|7|3}} 72.6%
|-
| 中学校同様、高等学校にもできる限り配置することが望ましい || {{bar|c|6|0}} 59.7%
|-
| 小学校、中学校、高等学校のどこにどのように配置するかは、弾力的に対応することが望ましい || {{bar|c|2|6}} 25.8%
|-
| 現状よりも配置を縮小することが望ましい || {{bar|c|0|2}} 1.6%
|-
| その他 || {{bar|c|1|0}} 9.7%
|}
  </div>
</div>
上記の表のように、全国の都道府県・[[政令]]指定都市の各教育機関や各教育委員会におけるスクールカウンセラーについての現場アンケート調査結果<ref name="mext07f"/>によると、小学校段階では「教職員からの相談」、中学校・高等学校段階では「児童・生徒本人からの相談」を中心として（表1<ref name="mext07f"/>）、「既存の教職員とは異なる観点を持つ外部の専門家」という位置づけで機能しており（表2<ref name="mext07f"/>）、今後の「継続的な配置」や「拡大による充実」を要望する意見が全体の80%以上に達するなど（表3<ref name="mext07f"/>）、[[1995年]]の事業開始から10年以上が経過してスクールカウンセラーが定着した今日では、一定の評価が現場の実感として受け止められている<ref name="mext07f"/>。

その一方で、現在のスクールカウンセラーの勤務形態は「週1回」「月2回、3回など」の合計が約90%を占めるなど（表4<ref name="mext07f"/>）、来校の頻度が依然低いことから、「連日の勤務」や「週2日・週3日のように1週間に複数日の勤務」が望ましいとして、現状の勤務形態をより増加・拡大させることを要望する回答が合計70%以上に達している（表5<ref name="mext07f"/>）。また、各教育委員会側からも、現状の「中学校重点配置」に加え、中学校と同様に小学校・高等学校にもできる限り配置することを望む声が約60%～70%以上に達している（表6<ref name="mext07f"/>）。

==== 不安定な勤務形態 ====
現状のようなスクールカウンセラーの勤務形態の不安定さは、児童・生徒・学生、保護者、教職員などの利用者側への影響だけでなく、スクールカウンセラー任用者の処遇的観点からも問題点があるとして不備が指摘されている<ref name="mext07b"/>。例えば、文部科学省[[行政機関#講学上の行政機関概念|諮問機関]]である「教育相談等に関する調査研究協力者会議」が取りまとめた調査研究<ref name="mext07g">{{Cite web|author=文部科学省|date=2007|url=http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/kyouiku/shiryo/07080209/006.htm|title=教育相談等に関する調査研究協力者会議（第1回）配付資料［資料6］|accessdate=2009-12-10}}</ref>によると、教育臨床現場において、時に[[自殺]]、[[自傷行為]]、[[虐待]]を始めとした事案の訴えがあるなど、[[思春期]]前後の多感な[[発達段階]]にある利用者の[[生命]]・[[身体]]・[[精神]]・[[生活]]の根幹への関わりを日常的業務とし、そのほかにも、様々な価値観を持つ保護者や様々な信条を持つ教職員への助言・援助、ならびに緊急時の心のケアや予防的メンタルヘルスケアも業務範囲に含むとされるスクールカウンセラーの平均[[時間給]]は、全国的に約5000円前後の水準<ref name="mext07g"/>とされ、一見すると数字上は要求される高度な専門性と比例し高給であるように見えるが、[[#任用規程・資格要件|文部科学省の任用規程]]に掲げられている「週8～12時間」の勤務形態のうち、いまだ活用体制の整備が遅れている自治体があるため、実際の平均的な勤務形態は「週4～8時間」に留まっている現状がある<ref name="mext07b"/>。

したがって、平均[[月給]]換算すれば「8万円～16万円」程度でしかなく、さらに「非常勤任用」のために、[[保険料]]・[[年金]]などの[[福利厚生]]、[[出張費]]などの諸[[経費]]、[[病気休暇]]・[[傷病手当金]]などの[[社会保障]]も認められないことが多い<ref name="mext07b"/>。その上、[[春休み]]、[[夏休み]]、[[冬休み]]など、教育機関の[[長期休暇]]中は実勤務不可能として[[報酬]]が支払われないことが多く、[[賞与]]なども無いため、通算の実勤務は「年間35週」前後と見積もられている<ref name="mext07g"/>。すなわち、スクールカウンセラーの平均[[年収]]は、額面で「140万円（最低70万円～最高210万円）<ref name="mext07b"/><ref name="mext07g"/>」という現状で、[[臨床心理学]]系[[修士号]]や[[医師免許]]の取得が必須要件とされるレベルの職務への[[任用]]にもかかわらず、[[収入]]はいわゆる'''[[ワーキングプア]]'''水準<ref name="mext07b"/><ref name="mext07g"/>であり、1ヶ所の教育機関に勤務しただけでは安定した生活を送ることが困難であるため、複数の教育機関を掛け持ちしていたり、別の[[医療機関]]・[[研究機関]]にも所属していたり、あるいはクリニック・相談室の私設[[開業]]と並行しながら、スクールカウンセラーとして活動している専門家が多い。

ただし、不安定な勤務形態が逆に奏功している点として、来校頻度が低いことで、児童・生徒・学生、保護者などの利用者や他の教職員との馴れ合いが生じにくく、その結果「[[#第三者性・外部性の確保|第三者性・外部性の確保]]」を支持している側面があるため<ref name="mext07b"/>、勤務形態の増加・拡大や常勤化を実施する際は、単に機械的に行うのではなく、「'''第三者性'''」「'''外部性'''」を継続的に確保できるよう、業務上の配慮や他の教職員との[[コンセンサス|共通理解]]が特に必要とされる<ref name="mext07b"/>。

=== 名称をめぐる混同 ===
'''スクールカウンセラー'''という名称のため、「'''スクール'''」の部分を「[[学校]]」と和訳し、「'''カウンセラー'''」の部分から「[[心理士]]」を連想し、その2つを組み合わせ「'''スクールカウンセラー'''」＝「学校心理士」と誤解される場合がある。確かに「[[学校心理士]]」という資格自体は日本に存在し、大学院課程修了を一部要件に含む専門性の高い[[日本の心理学に関する資格一覧|心理士資格]]であるが、[[教育職員免許状]]の所有や[[教職員]]活動経験が基本要件とされている資格取得条件上、学校心理士有資格者には[[教員]]在職者や教職員[[OB・OG|OB]]が多く、そもそもとして既存の教職員関係者とは異なる「'''第三者性'''」「'''外部性'''」を有する心理職専門家であることが「[[#第三者性・外部性の確保|第三者性・外部性の確保]]」として[[倫理]]的な大前提とされている[[#スクールカウンセラー|文部科学省の任用規程]]においては、学校心理士は「スクールカウンセラーに準ずる者（準スクールカウンセラー）」のひとつという位置付けである<ref name="mext08a"/>。なお「スクールカウンセラーに準ずる者（準スクールカウンセラー）」は、正規の[[#スクールカウンセラー|スクールカウンセラー資格要件]]を満たす高度な心理職[[専門家]]人材が少ない地域などにおいて理由に合理性が認められる場合に任用されることがあり<ref name="mext08a"/>、「スクールカウンセラーに準ずる者（準スクールカウンセラー）」も、便宜上自身を広義のスクールカウンセラーと呼ぶ場合はある。

また、日本のスクールカウンセラーは、アメリカにおいては「'''[[:en:school psychologist|school psychologist]]'''」に相当する。アメリカにも「[[:en:school counselor|school counselor]]」という職種は存在するが、その業務は日本においての[[キャリアカウンセラー]]に近い。一方、上記の「学校心理士」資格の[[英語]]表記は「school psychologist<ref name="gs08">{{Cite web|author=学会連合資格学校心理士認定運営機構|date=2008|url=http://gakkoushinrishi.jp/syosekihanbai/|title=日本学校心理士会年報 第1号ほか|accessdate=2010-01-11}}</ref>」とされており、こちらも混同されやすい。

なお、アメリカにおける事例などが日本で一般向けに[[報道]]・[[引用]]される際は、「school psychologist」「school counselor」「guidance counselor」などを総じた訳語として「スクールカウンセラー」の名称が用いられる<ref name="abcn11">{{Cite web|author=abc NEWS|date=2011|url=http://abcnews.go.com/Health/jamey-rodemeyer-suicide-ny-police-open-criminal-investigation/story?id=14580832|title=Jamey Rodemeyer Suicide: Police Consider Criminal Bullying Charges|accessdate=2011-09-22}}</ref><ref name="ct11">{{Cite web|author=シネマトゥデイ|date=2011|url=http://www.cinematoday.jp/page/N0035592|title=レディー・ガガ、ツイッターでいじめ撲滅を訴え!14歳で自殺したゲイの少年のために立ち上がる!「いじめは、憎むべき犯罪行為」|accessdate=2011-09-22}}</ref>。例えば、アメリカのポップ歌手[[レディー・ガガ]]が[http://bornthiswayfoundation.org/ Born This Way Foundation]を設立する契機となった[[:en:Jamey Rodemeyer|Jamey Rodemeyer]]の自殺事件の際も、「guidance counselor」は日本の制度に合わせ「スクールカウンセラー」と報道された<ref name="abcn11"/><ref name="ct11"/><ref name="cnn11">{{Cite web|author=CNN|date=2011|url=http://www.cnn.co.jp/showbiz/30004463.html|title=レディー・ガガさん、いじめ撲滅目指し「ボーン・ディス・ウェイ財団」設立|accessdate=2011-11-03}}</ref><ref name="mtv11">{{Cite web|author=MTV|date=2011|url=http://www.mtvjapan.com/news/think/19855|title=レディー・ガガ いじめ撲滅のために「ボーン・ディス・ウェイ財団」設立|accessdate=2011-11-04}}</ref>。

== 脚注 ==
{{Reflist}}

== 関連項目 ==
* [[不登校]] - [[保健室登校]]
* [[問題行動]] - [[非行]]
* [[いじめ]]
* [[虐待]] - [[ネグレクト]]
* [[自傷行為]] - [[自殺]]
* [[養護教諭]] - [[学校医]] - [[学校職員の種類]]
* [[文部科学省]] - [[教育委員会]] - [[特別職]]

== 外部リンク ==
* [http://www.mext.go.jp/ 文部科学省]
** [http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121502/026.htm スクールカウンセラーについて]
** [http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121505/005.htm よくある質問と回答について - 教育相談体制の充実について]
*** [http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/17/06/05062103/006.htm 生徒指導上の諸問題に関する調査研究会報告書 - 各都道府県の施策について]
*** [http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/046/shiryo/08032502/003/010.htm スクールソーシャルワーカー活用事業]

{{DEFAULTSORT:すくうるかうんせらあ}}
[[Category:学校保健]]
[[Category:文部科学省]]
[[Category:教育関連の職業]]
[[Category:福祉従事者]]
[[Category:心]]
[[Category:臨床心理学]]
[[Category:精神医学]]
[[Category:メンタルヘルス]]
[[Category:カウンセリング]]
[[Category:コンサルティングに関する職業]]