シイタケのソースを表示

{{生物分類表
| 色 = lightblue
| 名称 = シイタケ<br />{{lang|la|''Lentinula edodes''}}
| 画像 = [[File:Shiitakegrowing.jpg|250px|シイタケ]]
| 画像キャプション = 
| 界 = [[菌界]] {{sname||Fungi}}
| 門 = [[担子菌門]] {{sname||Basidiomycota}}
| 綱 = [[菌じん綱]] {{sname||Hymenomycetes}}
| 目 = [[ハラタケ目]] {{sname||Agaricales}}
| 科 = [[キシメジ科]] {{sname||Tricholomataceae}}<br />{{Small|もしくは}}<br />[[ヒラタケ科]] {{sname||Pleurotaceae}}<br />{{Small|もしくは}}<br />[[ホウライタケ科]] {{sname||Marasmiaceae}}<br /><small>もしくは</small><br />[[ツキヨタケ科]] {{sname||Omphalotaceae}}
| 属 = [[シイタケ属]] {{snamei||Lentinula}}
| 種 = シイタケ [[w:Shiitake|''L. edodes'']]
| 学名 = '''''Lentinula edodes'''''<br />{{AU|(Berk.) Pegler}}
| 和名 = '''シイタケ'''
| 英名 = [[:en:Shiitake|Shiitake]]<br />[[:en:Shiitake mushroom|Shiitake mushroom]]
}}

'''シイタケ'''（'''椎茸'''、'''香蕈'''、[[学名]]：{{lang|la|''Lentinula edodes''}}、[[英語]]：{{lang|en|[[:en:Shiitake|Shiitake]]}}、{{lang|en|[[:en:Shiitake mushroom|Shiitake mushroom]]}}）は、[[ハラタケ目]]- [[キシメジ科]]（異説：[[ヒラタケ科]]、[[ホウライタケ科]]、[[ツキヨタケ科]]［[[w:Omphalotaceae|en]]］）- [[シイタケ属]] ([[w:Lentinula|en]]) に分類される[[キノコ]]。食用とされている。

== 概要 ==
シイタケは[[日本]]、[[中華人民共和国|中国]]、[[大韓民国|韓国]]などで食用に栽培されるほか、[[東南アジア]]の[[高山帯]]や[[ニュージーランド]]にも分布する。日本においては食卓に上る機会も多く、数あるキノコの中でも知名度、人気ともに高いもののひとつである。英語でもそのままshiitakeで、フランス語ではle shiitake（男性名詞）で受け入れられている。

かつてはマツオウジ属 ''genus Lentinus'' に入れられていたが、[[菌糸]]構成などの違いから分離された。なお、[[学名|種小名]] ''edodes'' を「江戸です」から採ったとする説がある<ref>[http://tochigipower.com/staticpages/index.php?page=c-014shiitake とちぎ農産物マーケティング協会]（2014年4月30日閲覧）にて、[[日本椎茸農業協同組合連合会|日本椎茸農協連]]刊行『しいたけ ひとくち知識』（2000年12月）で言及されていると引用。漫画『[[もやしもん]]』作中の解説（第39話2ページ目、単行本第4巻 p.20）、[http://www.town.uchiko.ehime.jp/kentei/sakumotu/vesi/siitake.html うちこ農と食の検定]（内子町産地収益力向上協議会 2014年4月30日閲覧）などにも言及あり。</ref>が、[[イギリス|イギリス人]]菌類学者{{仮リンク|マイルス・ジョセフ・バークリー|en|Miles Joseph Berkeley}} による[[1878年]]の原記載論文には[[学名]]の由来は記されていない。[[ギリシア語]]で「食用となる」という意味の語は {{lang|el|&epsilon;&delta;&omega;&delta;&iota;&mu;&omicron;&sigmaf;}} であり、[[ラテン文字]]に置き換えると edodimos となり、これに由来すると考えられている。なお、「[[江戸]]」にちなんで命名された学名では yedo と表記される例（[[ソメイヨシノ]]）がある。本菌の原記載論文は[[チャレンジャー (コルベット)|チャレンジャー号探検]]において[[1875年]]に日本で採集された[[標本 (分類学)|標本]]に基づく。

== 生態 ==
自然界では、主に[[クヌギ]]や[[シイ]]、[[コナラ]]、[[ミズナラ]]、[[クリ]]などの[[広葉樹]]の枯れ木に発生するが、希に[[スギ]]などの[[針葉樹]]にも発生する。短い円柱形の[[キノコの部位#柄|柄]]の先に、[[キノコの部位#傘|傘]]を開く。枯れ木の側面に出ることも多く、その場合には柄は大きく曲がる。傘の表面は茶褐色で綿毛状の鱗片があり、裏面は白色で、細かい襞がある。子実体の発生時期は初夏と秋で、適温は10～25℃と幅があり菌株によって異なる。
[[画像:Wild Shiitake-Mushroom Japan.JPG | thumb |240px | 倒木に発生した野生シイタケ]]

=== 類似の毒キノコ ===
よく似た条件で発生し、やや姿が似た[[毒キノコ]]として[[ツキヨタケ]]がある。これをシイタケと間違えて食べて中毒になり、入院するまでの病状になる事が多い。外観は似ており、夜間や暗い場所では青白く光ることで区別がつくが、古くなったものは光らないため注意を要する。　

== 利用 ==
シイタケは食用とされる。日本では「しいたけ品質表示基準」によって、食品としての「しいたけ」を「しいたけ菌の[[子実体]]であって全形のもの、柄を除去したもの又は柄を除去し、若しくは除去しないでかさを薄切りにしたもの」と定義している<ref>「しいたけ表示基準」（平成18年6月30日農林水産省告示第908号）第2条</ref>。

{{栄養価 | name=シイタケ、生| water =89.74 g| kJ =141| protein =2.24 g| fat =0.49 g| carbs =6.79 g| fiber =2.5 g| sugars =2.38 g| calcium_mg =2| iron_mg =0.41| magnesium_mg =20| phosphorus_mg =112| potassium_mg =304| sodium_mg =9| zinc_mg =1.03| manganese_mg =0.23| selenium_μg =5.7| thiamin_mg =0.015| riboflavin_mg =0.217| niacin_mg =3.877| pantothenic_mg =1.5| vitB6_mg=0.293| folate_ug =13| vitD_iu =18| tryptophan =0.011 g| threonine =0.134 g| isoleucine =0.111 g| leucine =0.189 g| lysine =0.134 g| methionine =0.033 g| cystine =0.022 g| phenylalanine =0.111 g| tyrosine =0.078 g| valine =0.145 g| arginine =0.156 g| histidine =0.056 g| alanine =0.167 g| aspartic acid =0.301 g| glutamic acid =0.68 g| glycine =0.145 g| proline =0.1 g| serine =0.145 g| right=1 | source_usda=1 }}
{| class="wikitable" style="float:right; clear:right"
|+ 100g中の食物繊維<ref name=mext>[http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/toushin/05031802/002.htm 五訂増補日本食品標準成分表]</ref>
|-
! 項目 !! 分量
|-
|[[炭水化物]]|| 4.9  g
|-
|[[食物繊維]]総量|| 3.5  g
|-
|水溶性食物繊維|| 0.5  g
|-
|不溶性食物繊維|| 3.0  g
|}
[[旨み]]成分として、5'-[[グアニル酸]]や[[グルタミン酸]]を豊富に含むので、食材としてだけでなく、[[出汁]]をとるのにも使われる。グアニル酸は生のシイタケでは総重量に占める割合が少ないが、乾燥して温度が上昇する過程で、[[リボヌクレアーゼ]]や[[ホスホモノエステラーゼ]]などの酵素の働きにより増加する。また乾燥することで細胞が破損し、旨味成分の抽出効率も上がる<ref>{{Cite journal |和書 |author=黒須泰行 |author2=岩黒大志 |title=シイタケ中のグアニル酸に関する研究 |date=2008-03 |publisher=国際学院埼玉短期大学 |journal=研究紀要 |volume=29 |naid=110006992811 |pages=87-91 |ref=harv}}</ref>。風味・食感に癖があり、[[ピーマン]]や[[ニンジン]]、[[グリーンピース]]と並び好みの別れる食物の一つでもある。また栄養価としては[[炭水化物]]、[[食物繊維]]、[[ミネラル]]が主で、低カロリー食品である。しかし、含有されるミネラル分やビタミン類の量は生育環境（栽培条件）により大きく異なり<ref>[http://dx.doi.org/10.3136/nskkk1962.40.7 ナメコの化学成分組成に及ぼす栽培時のオゾン暴露の影響] 日本食品工業学会誌 Vol.40 (1993) No.1 P7-16</ref><ref>[http://dx.doi.org/10.3136/nskkk.47.191 シイタケの菌床栽培における培地窒素量と子実体の窒素含有成分との関係] 日本食品科学工学会誌 Vol.47 (2000) No.3 P191-196</ref>栄養価として公表されている数値は目安に過ぎない。そのため収穫後の子実体への効果を期待し様々な成分の添加が研究されている<ref>{{PDFlink|[http://www.pref.chiba.lg.jp/ninaite/shikenkenkyuu/documents/52_6.pdf ビタミンB1を多く含むシイタケの菌床栽培方法]}} 千葉県森林研究センター特用林産研究室</ref><ref>[http://dx.doi.org/10.2488/jwrs.55.170 シイタケ培地へ添加したトレハロースの子実体への影響（第1報）添加量と子実体の収量，含有量，鮮度保持，食味との関係] 木材学会誌 Vol.55 (2009) No.3 P170-175</ref><ref>[http://dx.doi.org/10.3136/nskkk.42.682 ヒラタケおよびナメコによるカルシウム塩添加培地からのカルシウムの吸収] 日本食品科学工学会誌 Vol.42 (1995) No.9 P682-686</ref>。

=== 生椎茸 ===
'''生椎茸'''（なましいたけ）は遠火で[[焼く|炙り焼き]]にしたり、[[鍋料理]]、[[スープ]]、[[茶碗蒸し]]、[[饂飩|うどん]]、[[巻き寿司]]などに入れたり、[[炒める|炒め物]]、[[天ぷら]]などにして食べる。鮮度が落ちやすい食材で、店頭で'''大量の汗'''をかいているもの、切り口や傘の裏が茶色く変色したもの、開封すると刺激臭のあるものは食さないことが望ましい。

=== 干し椎茸 ===
'''干し椎茸'''（ほししいたけ・'''乾椎茸'''とも）は、椎茸を乾燥させた[[食品]]である。椎茸は乾燥によって旨み・香り成分が化学的に増すという特徴がある。[[出汁]]をとったり、水で戻してから[[煮る|煮物]]や[[佃煮]]にしたりする。もどし汁も出汁として利用される。また、陽に当てて干すことによって、[[ビタミンD]]<sub>2</sub>の含有量も増える。

成長程度の違いから、肉厚でかさが開ききっていない'''冬菇'''（どんこ）と、薄手でかさが開いている'''香信'''（こうしん。本来は香蕈と書く）、さらに両者の中間的存在の'''香菇'''（こうこ）の区別がある。いずれも中国での呼び方を取り入れたもので、どんこは中国語の発音「dōnggū」を模している。かさの表面に亀裂の様な模様がひろがっているものは'''花冬菇'''（はなどんこ。中国語では花菇）と呼ばれる。この他、スライスしてから乾燥させた製品もある。

=== 健康への影響 ===
生シイタケを食べた場合、[[しいたけ皮膚炎]]と呼ばれる炎症が発生することがある。体部に掻痒が強い[[紅斑]]や[[丘疹]]が発生し、掻痕に一致した線状の皮疹も呈する。原因は不明だがシイタケに含まれる[[レンチナン]]に対する[[アレルギー]]反応だという説がある。しかし後者の場合[[掻痒]]がない。干しシイタケの戻し汁などでも症状が発生することが確認されている。特にアレルギー体質の児童に対しては注意を要する。

=== 生薬 ===
[[中国医学]]では'''香蕈'''（こうしん）と称して生薬ともした。益気、健脾、健胃、化痰の作用があり、[[貧血]]や[[高血圧]]に効くとされる。{{要出典範囲|近年は、[[β1,3-グルカン|β-グルカン]]の[[免疫]]強化、抗癌作用の研究も行われている|date=2013年12月}}が、通常の摂取量での効果は疑問である。その他の医療的利用ではシイタケ属から抽出された[[AHCC]]が健康食品として利用されている。

== 栽培と流通 ==
古来日本では古くから産したものの、栽培は不可能で自生したものを採集するしかなかった。その一方で[[精進料理]]において出汁を取るためには無くてはならないものであり、[[道元]]が[[南宋]]に渡った際に現地の僧から干し椎茸を持っていないかと問われた逸話があるほど高価な食材であった。

[[江戸時代]]から、原木に傷を付けるなどの半栽培が行われ始めた。シイタケの胞子が原木に付着してシイタケ菌の生育が見られるかどうかは全く不明であり、シイタケ栽培は成功した場合の収益は相当なものであったが、失敗した場合は全財産を失うほどの損害となる一種の[[博打]]だった。

人工栽培の方法は[[20世紀]]に確立されたが、最近では[[原木栽培]]または[[菌床栽培]]されたものが市場流通品の殆どを占める。[[2006年]][[10月1日]]からは、商品に必ず原木栽培品か菌床栽培品かを表示する事が義務付けられている。

現在では人工栽培の方法が諸外国にも普及しているものの、日本産干し椎茸は本場ものとして[[台湾]]、[[香港]]などで人気があり、各地の業者が輸出をしている。

=== 人工栽培 ===
[[image:Lentinula edodes USDA.jpg|right|thumb|200px|原木栽培. 原木に駒木を打った跡が残っている]]
[[File:Shiitake.jpg|thumb|200px|[[菌床栽培]]]]
一般的にシイタケの原木栽培（ほだ木）では長さ1m程度に切断した広葉樹を原木として利用する。作業性を考慮し直径10～20cmの樹を利用する事が多い。原木は秋から初冬に伐採し、過度な乾燥を避け保管し翌早春に種菌を接種をする。種菌を接種した原木は、約1年を森林の下に寝かせ菌糸体の蔓延を待つ。種菌の接種から16～18ヶ月経過後にほだ場と呼ばれる栽培場所に移し、柵に立てかけるように原木を並べて子実体の発生を待つ。子実体が発生するのは、通常種菌を植え付けてから18～24ヶ月後で、3～4年間収穫（採集）が可能である。品種改良が進んでおり、シイタケが発生するのに最適な時期はそれぞれの品種によっても異なっている。その地域の気候に最も適した品種を選択し栽培することが大切である。
{{main|原木栽培|菌床栽培}}

原木栽培に於いて、落雷が発生するとその周囲でシイタケが異常発生することが、生産者の間では経験的に知られている。この発生の理由は十分に解明されていないが、伏込んだほだ木に人工的に交流の高電圧パルスを与えた栽培実験では、2～3倍の収量が得られた事が報告されている<ref>{{Cite journal|和書|author=塚本俊介 |author2=前田貴昭 |author3=池田元吉 |author4=秋山秀典 |title=キノコ栽培へのパルス高電圧の利用 |date=2003-01-25 |publisher=プラズマ・核融合学会 |journal=プラズマ・核融合学会誌 = Journal of plasma and fusion research |volume=79 |number=1 |naid=130000133720 |doi=10.1585/jspf.79.39 |pages=39-42 |ref=harv}}</ref><ref>[http://dx.doi.org/10.11357/jsam.74.483 食用きのこ増産用パルス高電圧発生装置の開発とその効果の検証] 農業機械学会誌 Vol.74 (2012) No.6 p.483-489</ref>。

=== 日本国内の主な産地 ===
生産量では[[エノキタケ]]に及ばないが、日本でもっとも生産額が多いキノコである。2010年（平成22年）には生しいたけが77,079トン・721億円、乾しいたけが3,516トン（生換算重量24,614トン）・151億円生産された。乾椎茸は[[大分県]]が、生椎茸は[[徳島県]]が日本一の産地である<ref>林野庁「[http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/tokuyou/pdf/111129-01.pdf 平成22年の主要な特用林産物の生産動向]」、2011年。2013年1月閲覧。</ref>。そのほか[[鳥取県]]、[[島根県]]、[[岡山県]]、[[愛媛県]]、[[熊本県]]、[[宮崎県]]、[[群馬県]]、[[栃木県]]、[[静岡県]]、[[長崎県]]、[[岩手県]]、[[新潟県]]などで栽培が盛んである。
<!--
静岡県では近世に幕府の[[御林]]が設置されていた[[伊豆国]][[天城山]]などで椎茸栽培が盛んで、[[茶]]や[[山葵]]栽培と並び静岡県域にあたる豆駿遠三国の主要特産物となっている。伊豆の椎茸は17世紀後半代には[[年貢]]としても納入され江戸で流通しており、18世紀後半代には伊豆の椎茸師は[[駿河国]]・[[遠江国]]の山林へ進出し、栽培が拡大している。
-->

==== 日本における干し椎茸の歴史 ====
中国では紀元前5000-4500年の浙江省の遺跡にきのこが出土している<ref>小川[2012:39]</ref>。唐時代に詩文にあり、五代時代には菌（きのこ）の記載があり、南宋時代は香椎と栽培法が記載されている。日本渡来は9世紀と考えられる。当時の日本産は中国に輸出されていて、道元は1237年の文献で中国で日本から輸出された干し椎茸を老僧自身が乾しているエピソードを伝えている<ref>小川[2012:23-25]文献は典座教訓という</ref>。その後文献が少ないのは、製品は殆ど中国に輸出されたからである。歴史にのこる椎茸料理は 
*1)1588年秀吉が後陽成天皇の行幸を仰いだ時、2)1591年秀吉が名護屋布陣中、博多の貿易商から招かれた時、3)1593年家康が名護屋で茶会を開いた時の懐石料理　4)1595年秀吉が前田利家邸に招かれた時、5)1626年家光が二条城に後水之尾天皇の行幸を仰いだ時、6)1682年綱吉による朝鮮通信使供応の時、7)1740年吉宗が勅使を招いた時、8)家斉が勅使を接待した際、がある<ref>小川[2012:29]</ref>。

シイタケの人工栽培がどこで始まったのは諸説がある。一つは豊後の国の炭焼き源兵衛が寛永の頃始めたという説である。もう一つは豊後、岡城藩主中川家の記録で寛文4年シイタケの栽培技術を導入するために伊豆の国、三島の駒右衛門を招いたとある。伊豆、豊後以外では、津藩が1700年代末に、直営事業でおこなっており、1800年代には紀伊藩、徳島藩、山口藩、高知藩、人吉藩、鹿児島藩、名古屋藩、盛岡藩、宇和島藩、さらには北海道で栽培が広がっていた<ref>小川[2012:34-35]</ref>。

干し椎茸の生産統計は1905年に始まる。当時の全国生産量は963トンで、静岡県が25%を占め、次いで大分県、宮崎県とつづいている。1933年ころまでに、全国生産量は800トンから1300トンの間を推移し、1934年には1500トン、1935年には2000トンとなる。静岡県、大分県、宮崎県が三つ巴の競争となる。多くの県で同業組合が設立された。戦時中は統制時代となる。輸出統計は明治初年からある。1921年から中国は混乱時代となり、日本からの輸出は半減する。干し椎茸の生産量は戦後、1949年までは1000トンを切り、明治時代の生産量となった。しかし、種駒の発明など、生産技術の確立で安定生産が可能となり、1950年には1400トンに戻し、翌年から2000トン台へ、1955年には3000トンを超え、1965年には5000トン、1970年には8000トンに達した。輸出量は1949年までは10-300トンに落ち込むが、1950年には900トンに戻し、その後年によって多寡はあるが、千数百トンとなった。輸出先は昭和30年代には40ヵ国を超えるが、輸出量は各国の中国人の居住人口に完全に相関した。品柄はほとんど’どんこ’に限られた。

=== 中国の産地 ===
中国（中華人民共和国）においては、[[浙江省]]・[[安徽省]]・[[江西省]]・[[福建省]]・[[湖南省]]などの[[華中]]から[[華南]]地域が主産地となっている。日本産に比べ、乾燥した感じで比重が軽く、匂いも弱い。近年、不正に日本から持ち出された日本国内の優良品種の種駒で栽培を行い、安価な輸入品が増えており、これに対し日本が2001年に[[緊急輸入制限|セーフガード]]を発動するなど[[貿易摩擦]]が起きたこともある{{要出典|date=2012年8月}}<ref>中国の深せんで意見交換会が開かれた。小川[2012:90]</ref>。

中国では1980年代から輸出を大きく伸ばし、日本産の半値以下の価格で世界の消費市場を席巻していた<ref>小川[2012:125]</ref>。1987年頃から中国産が内外市場に急増する。その年は893トン、90年は2404トン、95年は7539トン、2001年は9253トンと鰻登りに上昇する。中国産は国産の半分以下の価格で、欲しい時に入手できる利便性もあり、また、中国産の国産偽装もあった。消費者の乾しいたけ離れ、中国産の急増、輸出の激減と日本産の干し椎茸は三重苦というべき、苦難に陥った。2000年朱首相が来日した時にTBSは市民対話を行った。朱首相は両国の輸出入を正しい方向に導くことが重要と述べた。その後2007年に中国製食品汚染問題が生じたが、問題は依然として残っている<ref>小川[2012:60-95]</ref>。1995年には中国からの輸入量が日本国内生産量を凌駕した<ref>小川[2012:83]</ref>。

=== 日本国外での普及 ===
英語、フランス語などでもそのまま日本語に基づきシイタケと呼ばれる。フランスでは秋に流通する多くのキノコ類の中にシイタケも含まれ、伝統的な食品流通である[[朝市]]のほか、大手スーパーでは菌床栽培品のパッケージが売られている。<ref>[http://www.carrefourdirect.mobi/courses-en-ligne/ContentNavigation.aspx?NOEUD_IDFO=13924]</ref>ブラジル、フィンランド、アメリカ、オランダ等でも栽培するようになってやはりshii-takeの名で販売している。

[[ブータン]]ではキノコの消費が多く、[[西岡京治]]の農業指導によってシイタケがもたらされて以降広く普及している。

== 参考画像 ==
<gallery>
File:Lentinula edodes 20101113 b.jpg | 傘の裏、襞が見える
File:Lentinula_edodes_shiitake.JPG | 原木栽培
File:Shiitake_growing_s.jpg | 菌床栽培
File:Shiitake mushroom.jpg 
File:Lentinula edodes 20101113 a.jpg
File:Lentinula edodes siitake spores.jpg | 胞子が飛んでいる様子
</gallery>

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}

== 参考文献 ==
* 小川武廣　『乾しいたけ』　2012 女史栄養大学出版部 ISBN 978-4-7895-5451-0 
* Berkeley, M. J. 1878. Contribution to the botany of H.M.S. Challenger, 38. Enumeration of the fungi collected during the expedition of H.M.S. Challenger, 3. J. Linn. Soc. Bot. London 16:38-54
* Nakamura, T.  Shiitake (Lentinus edodes) dermatitis.  Contact Dermatitis. 27:65-70,1992.
* 中村雄彦（たけひこ）. シイタケ皮膚炎（中村）　－自験100例の考察 . 日本医事新報　（第4108号）　2003年1月18日,46-49.

== 関連項目 ==
{{Wikispecies|Lentinula edodes}}
{{Commonscat|Lentinula edodes}}
* [[乾物]]
* [[レンチナン]] - 子実体より抽出した多糖体を精製した抗悪性腫瘍剤。
* [[ブナ]]、[[ナラ]] - [[菌床栽培]]の際に、[[おがくず]]にして利用する。
* [[しいたけ皮膚炎]]
* [[シイタケ菌糸体抽出物]]

== 外部リンク ==
<!-- ウィキペディアは宣伝目的のリンクを受け入れていません。ご協力をお願いします。[[Wikipedia:外部リンクの選び方]]を参照してください。 -->
* [http://www.janis.or.jp/shokunounet/saibai/siitake01.html シイタケの栽培方法] (ながの 食農教育情報プラザ)
* [http://hfnet.nih.go.jp/contents/indiv_agreement.html?90 シイタケ - 「健康食品」の安全性・有効性情報] （[[国立健康・栄養研究所]]）
* [http://www.pref.nagano.jp/xtihou/kamiina/nosei/pro/10_shiitake_AK.htm 椎茸原木栽培名人] (長野県上伊那地方事務所農政課)
* {{Cite journal|和書|author=佐藤姚子 |author2=浅輪和孝 |title=ほだ木に施用した殺虫剤フェニトロチオンのシイタケ子実体によるとり込み |date=1995-05-01 |publisher=一般社団法人日本森林学会 |journal=日本林學會誌 |volume=77 |number=3 |naid=110002830667 |pages=220-223 |ref=harv}}

{{林業}}

{{DEFAULTSORT:しいたけ}}
[[Category:キシメジ科]]
[[Category:ホウライタケ科]]
[[Category:食用キノコ]]
[[Category:乾物]]
[[Category:日本の調味料]]
[[Category:林業]]