サン＝ジェルマン条約のソースを表示

{{条約
|題名 =同盟及聯合国ト墺地利国トノ平和条約
|画像 =Staatsgesetzblatt (Austria) 1920 0995.jpg
|画像キャプション =条約発効を告示するオーストリアの官報
|通称 =サン＝ジェルマン条約
|起草 =
|署名 =1919年9月10日（[[サン＝ジェルマン＝アン＝レー城]]）
|効力発生 =1920年7月16日
|寄託者 =フランス共和国政府
|番号 = 大正九年条約第三号
|言語 =[[フランス語]]、[[英語]]、[[イタリア語]]
|内容 =[[連合国 (第一次世界大戦)|連合国]]と[[第一共和国 (オーストリア)|オーストリア]]の講和</br>[[国際連盟]]・[[国際労働機関]]の発足など
|関連 =
|ウィキソース =en:Treaty of Saint-Germain-en-Laye
|リンク =
}}
[[ファイル:TratadoDeSaintGermainRenner.png|300px|thumb|サン＝ジェルマン条約の調印式。中央付近で起立している人物はオーストリア代表[[カール・レンナー]]]] 

'''サン＝ジェルマン条約'''（サン＝ジェルマンじょうやく、{{lang-fr|Traité de Saint-Germain}}、 {{lang-en|Treaty of Saint-Germain}}、 {{lang-de|Vertrag von Saint-Germain}}）は、[[第一次世界大戦]]の後の[[1919年]][[9月10日]]に[[連合国 (第一次世界大戦)|連合国]]側と[[オーストリア]]（[[第一共和国 (オーストリア)|第一共和国]]の間で結ばれた[[条約]]の通称。フランス語、英語、イタリア語で作成され、フランス語版を基本の[[正文]]とする。英文での正式名称は「{{lang-en|Treaty of Peace between the Allied and Associated Powers and Austria}}」。日本語での名称は「'''同盟及聯合国ト墺地利国トノ平和条約'''」。

この通称は締結が行われた[[サン＝ジェルマン＝アン＝レー]]の{{仮リンク|サン＝ジェルマン＝アン＝レー城|fr|Château de Saint-Germain-en-Laye}}にちなむ名称であるので、正確には'''サン＝ジェルマン＝アン＝レー条約'''と呼ぶべきかもしれないが、一般にはやや省略して（日本語はもとより英語、フランス語などでも）サン＝ジェルマン条約と呼ばれる。この地で締結された条約は他にもいくつか存在している（{{仮リンク|サン＝ジェルマン＝アン＝レー条約 (曖昧さ回避)|en|Treaty of Saint-Germain-en-Laye}}）。

[[オーストリア＝ハンガリー帝国]]は[[第一次世界大戦]]末期にはイタリア王国の攻勢と諸民族の反乱の中で内乱状態に陥り、[[1918年]][[11月3日]]、[[イタリア王国]]との間で[[ヴィラ・ジュスティ休戦協定]]を結び敗北した。オーストリア＝ハンガリー帝国はその後解体したため、新たに成立したドイツ＝オーストリア共和国とオーストリアから分かれた[[ハンガリー王国 (1920-1946)|ハンガリー王国]]は別々に講和することとなった。サン＝ジェルマン＝アン＝レーでの講和会議は1919年5月に始まったが、オーストリア代表団の出席は認められず、文書での提案しか認められていなかった。この条約は、1920年7月16日に発効した。ドイツ＝オーストリア共和国はこの調印において「オーストリア共和国」の国名で調印し、国名から「ドイツ」は排除されることとなった。

== 主な条約内容 ==
[[ファイル:Österreich-Ungarns Ende.png|300px|thumb|国境線の変更]] 
*[[ヴェルサイユ条約]]と同様に第一編は[[国際連盟規約]]、第十三編は[[国際労働機関規約]]である。
*オーストリア＝ハンガリー帝国政府が存在しないことを確認する
*[[ボヘミア]]、[[モラヴィア]]の[[ドイツ語圏]]地域、ならびに[[ニーダーエスターライヒ州|下オーストリア]]のいくつかの都市は、新たに成立した[[チェコスロバキア]]に属する。これらは後に[[ズデーテン地方]]の名で呼ばれる。
*南[[チロル]]のドイツ語圏（現在の[[ボルツァーノ自治県]]）、[[トレント自治県|トレンティーノ地方]]は[[イタリア王国]]に属する（[[未回収のイタリア]]）。
*下シュタイアーマルクのいくつかの地区（現[[スロベニア]]領[[シュタイエルスカ地方]]）と[[ケルンテン州|ケルンテン]]のミース渓谷（現スロベニア領[[コロシュカ地方]]）は、[[ユーゴスラビア王国|セルボ・クロアート・スロヴェーヌ王国]]に属する。
*フィウーメ（現在の[[リエカ]]）は、セルボ・クロアート・スロヴェーヌ王国に属する（これを不服とするイタリアとの間で係争となり、最終的にイタリアに属することになる）。
*[[ハンガリー王国の歴史的地域|ハンガリー]]西部のいくつかの地区は[[ブルゲンラント州]]の名でオーストリアに属する。
*[[クラーゲンフルト]]の帰属は住民投票によって決定する。
*オーストリアは領有権を失った地域と、[[ブルガリア王国 (近代)|ブルガリア]]およびトルコ国内、その他すべての海外における一切の権益を放棄する。
*オーストリア＝ハンガリー帝国の所有であり、戦時中にイタリアに占拠された[[ローマ]]の{{仮リンク|ヴェネツィア宮殿|en|Palazzo Venezia}}を正式に無償で譲渡する。
*[[エジプト王国]]に対するイギリスの[[保護国|保護権]]を承認し、エジプトにおける[[治外法権]]を放棄する。
*中国内に設置されていた[[天津市|天津]]の自国民居留地の契約は解除される。
*[[チェコスロバキア]]、セルブ・クロアート・スロヴェーヌ王国（[[ユーゴスラビア王国]]）、旧[[ロシア帝国]]地域の独立を承認する。
*チェコスロバキアは[[ブラティスラヴァ]]南方の[[ドナウ川]]右岸地域に防御施設を建設しない。
*[[ベルギー]]、[[ルクセンブルク]]の中立義務の解除を承認する。
*オーストリアは自国内の少数民族を保護する。
*オーストリアは国際連盟理事会の承認がない限り独立を動かされることはない（これは事実上、ドイツとオーストリアの合邦（[[アンシュルス]]）を禁止した規定である）。
*オーストリアは賠償を払う義務を負う。賠償額は賠償委員会の裁定によって定める（[[第一次世界大戦の賠償]]）。さらにイタリアおよび[[ルーマニア王国|ルーマニア]]に対しては現物賠償として家畜を提供する。またイタリアの君主が過去に保有していた宝飾品・美術品をイタリアに返還する。
*オーストリアの陸軍兵力は3万人に限定される。[[徴兵制度]]は認められない。空軍および航空隊の保有も禁止される。
*兵器および軍事物資の輸入は禁止される。[[火炎放射器]]、[[毒ガス]]の製造・開発・研究は禁止される。戦車・装甲車・軍事用機械の製造も禁止される。
*[[オーストリア＝ハンガリー帝国海軍]]の保有艦艇はすべて連合国に引き渡される。建造中のものはすべて解体される。
*オーストリアはドナウ川の[[国際河川]]化を承認する。
*[[シュレースヴィヒ]]の帰属について、ドイツとデンマークが行った決定を承認する。
*締約国はフランスの[[モナコ]]に対する保護条約を承認する。
*オーストリア西部の[[フォアアールベルク州]]の[[スイス|スイス連邦]]加盟を認めない。
*同じくオーストリア西部の[[チロル州]]の[[ドイツ]]南東部の[[バイエルン州]]への併合を認めない。

== 締結国 ==
;主要連合国
前文では特に「アメリカ合衆国、イギリス帝国、フランス国、イタリア王国、日本国」を「主たる同盟及び連合国」として他の参加国より先に記述している。
*{{GBR3}}
*{{FRA1870}}
*{{ITA1861}}
*{{JPN1889}}

;連合国

*{{Flag2|ベルギー}}
*{{CHN1912}}
*{{Flag2|キューバ}}
*{{GRC1828}}
*{{NIC}}
*{{PAN}}
*{{Flag2|ポーランド}}
*{{Flag2|ポルトガル}}
*{{ROM1881}}
*{{YUG1918}}（セルブ・クロアート・スロヴェーン王国）
*{{Flag2|タイ}}
*{{CSK}}

;イギリス連邦内の参加国
*{{IND1885}}
*{{AUS}}
*{{CAN1868}}
*{{NZL}}
*{{ZAF1912}}

;中央同盟国
*{{AUT1918}}

=== 調印したが、批准を行わなかった国 ===
*{{USA1912}}

== 関連項目 ==
{{commonscat|Treaty of Saint-Germain}}
{{Wikisource|:en:Treaty of Saint-Germain-en-Laye|サン＝ジェルマン条約の英文}}
*[[パリ講和会議]]
*[[第一次世界大戦]]の[[講和条約]]
**[[ヴェルサイユ条約]] - 対[[ドイツ帝国]]
**[[ヌイイ条約]] - 対[[ブルガリア王国 (近代)|ブルガリア王国]]
**[[トリアノン条約]] - 対[[ハンガリー王国 (1920-1946)|ハンガリー王国]]（[[オーストリア＝ハンガリー帝国]]）
**[[セーヴル条約]] - 対[[オスマン帝国]]

== 外部リンク ==
* [http://www.jacar.go.jp/DAS/meta/listPhoto?REFCODE=A03021294400&IS_STYLE=default&image_num=201 JACAR (アジア歴史資料センター) Ref.A03021294400、御署名原本・大正九年・条約第三号・同盟及聯合国ト墺地利国トノ平和条約及附属議定書、同平和条約附属ノ宣言書、伊太利国ノ賠償勘定ニ関スル同盟及聯合国間ノ協定並其ノ修正宣言書、旧墺地利洪牙利君主国ノ諸地方ノ解放費醵出ニ関スル同盟及聯合国間ノ協定並其ノ修正宣言書、羅馬尼亜国ノ加入宣言書 (国立公文書館)]
* [http://www.versailler-vertrag.de/svsg.htm サン＝ジェルマン条約の内容（ドイツ語）]

{{history-stub}}

{{DEFAULTSORT:さんしえるまんしようやく}}
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