グレッグ・マダックスのソースを表示

{{Infobox baseball player
|選手名             = グレッグ・マダックス
|所属球団           = テキサス・レンジャーズ
|役職               = コーチ
|背番号             = 
|英語表記           = Greg Maddux
|選手写真ファイル名 = Maddux 53.jpg
|写真サイズ         = 300px
|写真のコメント     = 
|国籍               = {{USA}}
|出身地             = [[テキサス州]][[サンアンジェロ (テキサス州)|サンアンジェロ]]
|生年月日           = {{生年月日と年齢|1966|4|14}}
|没年月日           = 
|身長               = {{フィートとcm (身長用変換)|6|0}}
|体重               = {{ポンドとkg (体重用変換)|195}}
|利き腕             = 右
|打席               = 右
|守備位置           = [[投手]]
|プロ入り年度       = 1984年
|ドラフト順位       = ドラフト2巡目で[[シカゴ・カブス]]から指名
|初出場             = 1986年9月3日
|最終出場           = 2008年9月27日
|経歴               = <nowiki></nowiki>
;選手歴
*[[シカゴ・カブス]]（1986 - 1992）
*[[アトランタ・ブレーブス]]（1993 - 2003）
*シカゴ・カブス（2004 - 2006）
*[[ロサンゼルス・ドジャース]]（2006）
*[[サンディエゴ・パドレス]]（2007 - 2008）
*ロサンゼルス・ドジャース（2008）
;コーチ歴
*[[テキサス・レンジャーズ]]（2012 - ）
|選出国 = アメリカ
|選出年 = 2014年
|得票率 = 97.2％
|選出方法 = [[全米野球記者協会|BBWAA]]選出
}}
'''グレゴリー・アラン・マダックス'''（'''Gregory Alan Maddux''', [[1966年]][[4月14日]] - ）は、[[アメリカ合衆国]]・[[テキサス州]][[サンアンジェロ (テキサス州)|サンアンジェロ]]出身の元[[プロ野球選手]]。ポジションは[[投手]]。ニックネームは「'''Mad Dog'''」,「'''The Professor'''」。現在は[[テキサス・レンジャーズ]]で[[ゼネラルマネージャー|GM]]補佐とスペシャルアシスタントを務める。

5歳上の実兄[[マイク・マダックス]]も元投手で、現在は[[テキサス・レンジャーズ]]で投手コーチを務めている。

==経歴==
=== プロ入りまで ===
少年時代は[[アメリカ空軍]]のパイロットだった父の仕事の影響で、[[スペイン]]の[[マドリード]]で一時期を過ごした。帰国後は[[ネヴァダ州]][[ラスヴェガス]]に移住。現地の高校に通いながら、兄マイクと共に元メジャーリーグスカウトのラスティ・メーダーから投球術を教わった。彼は兄弟にコントロールとボールに変化を加えることが速いボールを投げることより重要であると教え、ピンチの時こそ思い切り投げ込むのではなく丁寧に投げるべきだと説いた。グレッグはすぐにこれを理解し、将来に渡ってこの教えを大切にした。

マイクは{{by|1982年}}の[[MLBドラフト]]で[[フィラデルフィア・フィリーズ]]から5巡目に指名を受けて入団し、自身も大学に進んで野球を続けることを考えていたが、思ったほどのスポーツ奨学金の申し出を得ることができなかった。高校時代に投手として優秀な成績を残したものの、大学のスカウトは彼の華奢な体格に不安を感じていた。しかし、[[シカゴ・カブス]]のスカウトであるダグ・マプソンは彼の才能を見抜き、スカウティングレポートの中で「体さえ出来上がれば球界ナンバーワンになれる」と太鼓判を押した。

=== シカゴ・カブス ===
[[1984年のMLBドラフト]]でカブスから2巡目（全体31位）に指名を受け入団。{{by|1986年}}9月にセプテンバー・コールアップにより20歳の若さでメジャーに昇格し、[[9月3日]]の[[ヒューストン・アストロズ]]戦でデビュー。シーズン最後の登板となった[[9月29日]]のフィリーズ戦では、同年デビューした兄マイクと史上初の新人兄弟同士の先発投手として投げ合い、勝利した。{{by|1987年}}はほぼ1年を通じてプレイしたが、6勝14敗・防御率5.61に終わる。{{by|1988年}}は[[ディック・ポール]]投手コーチの助言もあって開幕から勝ち星を量産<ref name="library">{{cite web |url=http://www.baseballlibrary.com/ballplayers/player.php?name=Greg_Maddux_1966|title=The Ballplayers - Greg Maddux |language=英語|work=BaseballLibrary.com |accessdate=2008年12月28日 }}</ref>。[[5月10日]]の[[サンディエゴ・パドレス]]戦では延長10回を完封<ref>[http://www.baseball-reference.com/pi/gl.cgi?n1=maddugr01&t=p&year=1988 July Greg Maddux 1988 Pitching Gamelogs - Baseball-Reference PI] 2008年1月10日閲覧.</ref>。[[5月22日]]から[[7月10日]]にかけて9連勝を記録するなど<ref name="bio1988"/>前半戦で15勝3敗・防御率2.14を記録し、自身初の[[1988年のMLBオールスターゲーム|オールスターゲーム]]に球団史上最年少で選出されたが、登板機会はなかった<ref name="bio1988">{{Cite web|url=http://mlb.com/team/player_career.jsp?player_id=118120&y=1988|title= Greg Maddux 2000 Career Highlights|language=英語 |accessdate=2008年4月11日 }}</ref>。後半戦は3勝5敗・防御率4.92と調子を落としたが、18勝8敗・防御率3.18を記録した。

{{by|1989年}}はリーグ2位の19勝を記録し、チームの地区優勝に貢献。[[サンフランシスコ・ジャイアンツ]]との[[1989年のナショナルリーグチャンピオンシップシリーズ|リーグチャンピオンシップシリーズ]]では第1戦と第4戦に登板したが、第1戦で[[ウィル・クラーク]]に満塁本塁打を浴びるなど不本意な投球で2敗を喫し、チームも1勝4敗で敗退した。[[サイ・ヤング賞]]の投票では3位に入った。{{by|1990年}}[[4月29日]]のフィリーズ戦でメジャー記録の1試合7[[刺殺]]を記録した<ref>[http://www.baseball-almanac.com/rb_pipu.shtml Putout Records by Pitchers on Baseball Almanac] 2008年1月10日閲覧,</ref>。初の[[ゴールドグラブ賞]]を受賞し、以後18回受賞する。

{{by|1992年}}は20勝11敗・防御率2.18、リーグ最多の268.0イニングの成績で[[トム・グラヴィン]]と並んで[[最多勝利 (MLB)|最多勝利]]のタイトルを獲得し、サイ・ヤング賞を初受賞。シーズン中に総額2,850万ドルで契約延長を打診されたが<ref name="chronology"/>拒否。オフの10月26日に[[フリーエージェント (プロスポーツ)|フリーエージェント]]となった。

=== アトランタ・ブレーブス ===
[[ニューヨーク・ヤンキース]]からは総額3,400万ドルのオファーがあったが、[[ワールドシリーズ]]出場の機会を求め<ref name="supurstar"/>、[[12月9日]]に5年総額2,800万ドルで[[アトランタ・ブレーブス]]と契約<ref name="chronology">{{cite web |url=http://www.baseballlibrary.com/ballplayers/player.php?name=Greg_Maddux_1966&page=chronology|title=Greg Maddux from the Chronology|language=英語|work=BaseballLibrary.com |accessdate=2008年12月28日 }}</ref>。

移籍1年目の{{by|1993年}}は2年連続の20勝（10敗）・防御率2.36を記録し、[[最優秀防御率]]のタイトルを獲得。22勝のグラヴィン、18勝の[[スティーヴ・エイヴェリー]]、15勝の[[ジョン・スモルツ]]と強力な[[先発ローテーション]]を形成し、チームは104勝を挙げて球団最多勝記録を更新して地区優勝。フィリーズとの[[1993年のナショナルリーグチャンピオンシップシリーズ|リーグチャンピオンシップシリーズ]]では第2戦と第6戦の2試合に登板して1勝1敗<ref>[http://www.baseball-reference.com/postseason/1993_NLCS.shtml 1993 NL Championship Series - PHI vs. ATL - Baseball-Reference.com] 2008年1月10日閲覧.</ref>だったが、チームは2勝4敗で敗退した。オフに2年連続のサイ・ヤング賞を受賞。

{{by|1994年}}は、[[1994年から1995年のMLBストライキ]]の影響でシーズンが打ち切りとなったが、16勝6敗・防御率1.56、いずれもリーグトップの202.0イニング・10完投・3完封・WHIP0.90を記録し、最多勝利（[[ケン・ヒル]]と同数）・最優秀防御率の二冠を獲得。防御率は{{by|1970年}}以降では[[ドワイト・グッデン]]が{{by|1985年}}にマークした1.53に次いで2番目の記録である<ref name="bio1994">{{Cite web|url=http://mlb.com/team/player_career.jsp?player_id=118120&y=1994|title= Greg Maddux 1994 Career Highlights|language=英語 |accessdate=2008年4月12日 }}</ref>。サイ・ヤング賞を満票で受賞し、史上初の3年連続受賞となった<ref name="bio1994"/>。

{{by|1995年}}[[5月28日]]の[[ヒューストン・アストロズ]]戦の8回に[[ジェフ・バグウェル]]に本塁打を打たれ[[ノーヒッター]]を逃す<ref>[http://www.baseball-reference.com/boxes/HOU/HOU199505280.shtml May 28, 1995 Atlanta Braves at Houston Astros Box Score and Play by Play - Baseball-Reference.com] 2008年1月10日閲覧.</ref>。19勝2敗・防御率1.63を記録し、[[ウォルター・ジョンソン]]（1918年 - 1919年）以来となる2年連続で防御率1.70以下を記録<ref name="bio1995">{{Cite web|url=http://mlb.com/team/player_career.jsp?player_id=118120&y=1995|title= Greg Maddux 1995 Career Highlights|language=英語 |accessdate=2008年4月12日 }}</ref>。勝率も[[フィル・リーガン]]が{{by|1936年}}に.9330を記録して以降で最高の.905を記録した<ref>[http://www.baseball-reference.com/leaders/WLp_season.shtml Single-Season Leaders & Records for Won-Loss % - Baseball-Reference.com] 2008年1月10日閲覧.</ref>。チームは[[1995年のワールドシリーズ|ワールドシリーズ]]に進出し、レギュラーシーズン100勝の[[クリーヴランド・インディアンズ]]を破って自身初の、そして生涯唯一のワールドチャンピオンの栄冠を手にした。オフに4年連続4回目のサイ・ヤング賞を受賞し、2年連続の満票受賞は[[サンディ・コーファックス]]以来の快挙となった<ref name="bio1995"/>。

{{by|1996年}}[[5月3日]]のフィリーズ戦で[[ベニート・サンティアゴ]]にレギュラーシーズンでは初の満塁本塁打を喫した（ポストシーズンでは先述の通り、1989年のNLCSでクラークに打たれている）。15勝11敗・防御率2.72を記録し、球団史上初の先発投手として4年連続で防御率3.00未満を達成<ref>{{Cite web|url=http://mlb.com/team/player_career.jsp?player_id=118120&y=1996|title= Greg Maddux 1996 Career Highlights|language=英語 |accessdate=2008年4月12日 }}</ref>。{{by|1997年}}は[[7月22日]]のカブス戦では76球で完投勝利。[[8月10日]]に投手としては史上最高額となる5年総額5,750万ドルで契約延長した<ref name="chronology"/>。19勝4敗・防御率2.20の成績でサイ・ヤング賞の投票では[[ペドロ・マルティネス]]に次ぐ2位だった<ref>[http://www.baseball-reference.com/awards/awards_1997.shtml#NLcya Baseball Awards Voting for 1997 - Baseball-Reference.com] 2008年1月10日閲覧.</ref>。{{by|1998年}}[[8月18日]]のジャイアンツ戦で通算200勝、[[9月8日]]のエクスポズ戦で通算2000奪三振を達成した<ref>{{Cite web|url=http://mlb.com/team/player_career.jsp?player_id=118120&y=1998|title= Greg Maddux 1998 Career Highlights|language=英語 |accessdate=2008年4月12日 }}</ref>。18勝9敗・防御率2.22、リーグ最多の5完封を記録。防御率は8月まで1点台を維持していたが、9月に調子を落とした<ref>[http://www.baseball-reference.com/pi/gl.cgi?n1=maddugr01&t=p&year=1998 Greg Maddux 1998 Pitching Gamelogs - Baseball-Reference PI] 2008年1月10日閲覧.</ref>。{{by|1999年}}はリーグ3位の19勝を記録したが、イニングを大きく上回るキャリアワーストの被安打258、防御率は3.57と前年より1点以上悪化して移籍後初の3点台となるなど、投球内容は良くなかった。

{{by|2000年}}は[[6月14日]]に[[ジャック・モリス]]の持つ通算[[刺殺]]387の記録を更新<ref name="library"/>。[[9月2日]]から[[9月28日]]かけて[[オーレル・ハーシュハイザー]]が1988年に59回連続無失点を記録して以降では2番目に長い39.1回連続無失点を記録<ref name="bio2000">{{Cite web|url=http://mlb.com/team/player_career.jsp?player_id=118120&y=2000|title= Greg Maddux 2000 Career Highlights|language=英語 |accessdate=2008年4月12日 }}</ref>。{{by|2001年}}は5月終了時点で4勝5敗だったが、6月から10連勝を記録し、[[6月20日]]から[[8月12日]]にかけて72.1イニング無四球で連続無四球のリーグ記録を更新<ref name="chronology"/>。9月以降は4連敗で17勝11敗の成績でシーズンを終えた。{{by|2002年}}は16勝を記録し、[[サイ・ヤング]]に次いで史上2人目の15年連続15勝を達成したが199.1イニングに終わり、1988年以来14年続いた200イニングが惜しくも途切れた。5年契約が満了した{{by|2003年}}は1,475万ドルで1年契約を結ぶ。開幕から3試合で3敗、防御率11.05と絶不調だったが徐々に調子を上げ、最終的に16勝11敗・防御率3.96を記録し、史上初めて16年連続15勝を達成した。同年のゴールドグラブ賞は[[マイク・ハンプトン]]が受賞し連続受賞が13年で途切れた。オフの10月29日にフリーエージェントとなった。

===カブス復帰 - ドジャースへトレード ===
[[ファイル:Cubs Maddux 2.jpg|thumb|left|200px|マダックスのピッチング（2006年）]]
{{by|2004年}}[[3月23日]]に古巣カブスと3年総額2,400万ドルで契約した<ref>{{Cite web|url=http://query.nytimes.com/gst/fullpage.html?res=9803E3DB123DF93BA25751C0A9629C8B63|title=BASEBALL; Maddux Is Said to Be Returning to the Cubs - New York Times|language=英語 |accessdate=2008年4月13日 }}</ref>。[[8月7日]]のジャイアンツ戦で史上22人目の[[300勝クラブ|300勝]]を達成。16勝を挙げて17年連続15勝以上を達成。{{by|2005年}}[[4月29日]]のアストロズ戦では[[ロジャー・クレメンス]]と対戦し、リーグでは113年ぶりとなる300勝投手同士の対戦となり、勝利した<ref name="chronology"/>。[[7月26日]]のジャイアンツ戦で史上13人目の通算[[3000奪三振クラブ|3000奪三振]]を達成。300勝＆3000奪三振は史上9人目の快挙である。また1000四球以下での3000奪三振は[[ファーガソン・ジェンキンス]]に次いで2人目の快挙である<ref name="bio2005">{{Cite web|url=http://mlb.com/team/player_career.jsp?player_id=118120&y=2005|title= Greg Maddux 2005 Career Highlights|language=英語 |accessdate=2008年4月13日 }}</ref>。13勝15敗で18年ぶりに負け越し、連続15勝以上の記録も17年で途切れた。

[[ファイル:20060813 Maddux03a.jpg|thumb|right|200px|[[ブルペン]]でウォーミングアップ中のマダックス]]
{{by|2006年}}は4月に5勝0敗・防御率1.35を記録したものの、5月から7月の間は4勝11敗、防御率5点台と不振に陥る。[[7月31日]]に[[シーザー・イズトゥリス]]との交換トレードで[[ロサンゼルス・ドジャース]]へ移籍。8月に3勝0敗・防御率2.37を記録するなど復調。[[9月30日]]は中3日で先発登板し、7回を投げ3安打2失点で勝利投手となった。7月末の時点でチームは地区最下位だったが、マダックス加入が投手陣安定の最大の要因となり、8月は21勝7敗、9月は16勝12敗の好成績で[[ワイルドカード (スポーツ)|ワイルドカード]]でプレイオフ進出の原動力となった<ref>[[杉浦大介]] 「マダックスがドジャースにもたらしたもの グレッグ・マダックス [ドジャース #36] Greg MADDUX」『[[スラッガー (雑誌)|月刊スラッガー]]』2006年11月号、[[日本スポーツ企画出版社]]、2006年、雑誌15509-11、44 - 47頁</ref>。10月31日にFAとなった。

=== サンディエゴ・パドレス ===
2006年[[12月13日]]に[[サンディエゴ・パドレス]]と1,000万ドル（2008年はマダックス、球団双方にオプション）の1年契約を結んだ<ref>{{cite web|url=http://sandiego.padres.mlb.com/news/press_releases/press_release.jsp?ymd=20061213&content_id=1760703&vkey=pr_sd&fext=.jsp&c_id=sd|title=Padres sign right-handed pitcher Greg Maddux|work=MLB.com Padres Press Release|author=|date=December 13, 2006|accessdate=March 2, 2014}}</ref>。

{{by|2007年}}[[8月24日]]のフィリーズ戦で10勝目を挙げ、史上初の20年連続2ケタ勝利を達成。[[7月28日]]から[[9月19日]]にかけて59.2イニング連続無四球を記録。これは2001年の72.1回に次いで自身2位、球団史上[[ランディ・ジョーンズ]]の68イニング（{{by|1976年}}）に次いで歴代2位の記録だった<ref name="mlb20071119">{{Cite web |date=2007年11月19日|url=http://mlb.mlb.com/news/press_releases/press_release.jsp?ymd=20071119&content_id=2304157&vkey=pr_sd&fext=.jsp&c_id=sd&partnered=rss_mlb|title=Padres agree to terms with Maddux|language=英語|work=The Official Site of The San Diego Padres |accessdate=2009年4月3日 }}</ref>。オフに[[ジム・カート]]と[[ブルックス・ロビンソン]]を上回る史上最多17回目のゴールドグラブ賞を受賞し<ref name="mlb20071119"/>、[[11月19日]]に球団が1,000万ドルのオプションを行使し、残留が決まった。本人によると残留以外の選択肢は引退で、同年は楽しく過ごせ、引退する気になれなかったという<ref>{{Cite web|author=Associated Press|authorlink=AP通信|date=2007年11月19日|url=http://sports.espn.go.com/mlb/news/story?id=3119534|title=Maddux, Padres finalize $10M, 1-year contract|language=英語|work=[[ESPN|ESPN.com]] |accessdate=2009年4月3日 }}</ref>。{{by|2008年}}[[5月10日]]の[[コロラド・ロッキーズ]]戦で史上9人目の通算350勝を達成。

=== ドジャース復帰、現役引退 ===
2008年[[8月19日]]に後日発表の2選手プラス金銭との交換トレードでドジャースに復帰<ref>{{cite web|url=http://losangeles.dodgers.mlb.com/news/press_releases/press_release.jsp?ymd=20080819&content_id=3332726&vkey=pr_la&fext=.jsp&c_id=la|title=Dodgers acquire Maddux from Padres|work=MLB.com Dodgers Press Release|author=|date=August 19, 2008|accessdate=March 2, 2014}}</ref>。[[9月28日]]のジャイアンツ戦で通算355勝目を挙げ、通算勝利数において歴代単独8位となった。[[第二次世界大戦]]以降の投手としては[[ウォーレン・スパーン]]の363勝に次ぐ記録であり､戦後生まれとしてはクレメンスを抜き最多勝利投手である。同年は8勝13敗に終わり、連続二桁勝利は20年でストップした。10月30日にFAとなり、[[12月5日]]に現役引退を表明。

{{by|2009年}}[[3月18日]]にカブスは[[5月3日]]からマダックスの[[野球の背番号|背番号]]『'''31'''』を、彼以前に同番号をつけていたジェンキンスと合わせて[[野球界の永久欠番|永久欠番]]とすることを発表<ref>{{Cite web |last=Muskat|first=Carrie|date=2009年3月18日|url=http://chicago.cubs.mlb.com/news/article.jsp?ymd=20090318&content_id=4012782&vkey=news_chc&fext=.jsp&c_id=chc|title=Cubs to retire 31 for Maddux, Jenkins|language=英語|work=The Official Site of The Chicago Cubs |accessdate=2009年4月3日 }}</ref>、[[4月5日]]に11年間在籍したブレーヴスも[[7月17日]]からマダックスの背番号『'''31'''』を永久欠番とすることを発表した。

{{by|2010年}}1月11日にカブスのGM補佐に就任<ref>{{cite web|url=http://chicago.cubs.mlb.com/news/press_releases/press_release.jsp?ymd=20100111&content_id=7900214&vkey=pr_chc&fext=.jsp&c_id=chc|title=Greg Maddux joins Cubs as Assistant to the General Manager|work=MLB.com Cubs Press Release|author=|date=January 11, 2010|accessdate=March 2, 2014}}</ref>。{{by|2011年}}11月29日にカブスを離れ、レンジャーズのGM特別補佐に就任した<ref>{{cite web|url=http://texas.rangers.mlb.com/news/article.jsp?ymd=20111129&content_id=26056430&vkey=pr_tex&c_id=tex|title=Rangers hire Greg Maddux as Special Assistant to the General Manager|work=MLB.com Rangers Press Release|author=|date=November 29, 2011|accessdate=March 2, 2014}}</ref>。

{{by|2013年}}は[[2013 ワールド・ベースボール・クラシック|第3回WBC]]・[[2013 ワールド・ベースボール・クラシック・アメリカ合衆国代表|アメリカ合衆国代表]]の投手コーチを務めた。

{{by|2014年}}[[1月8日]]に資格取得1年目でブレーブス時代の僚友トム・グラビンと共にに[[アメリカ野球殿堂|野球殿堂]]入り。得票率97.2%は歴代7位だった。

== 選手としての特徴 ==
===投球スタイル===
球速自体は遅く、キャリアの初期にも時折93mph（約150km/h）に達する程度であり、その後は選手生活を通じて下がり続け、最終的には86mphを下回っていた<ref>{{cite news |url=http://www.statesman.com/news/sports/pro-sports/greg-maddux-brings-his-pitching-wisdom-to-round--1/nRnX7/ |title=Greg Maddux brings his pitching wisdom to Round Rock |author=Kirk Bohls |date=May 5, 2012 |publisher=''[[Austin American-Statesman]]'' |accessdate=October 19, 2012}}</ref><ref>[http://brooksbaseball.net/player_cards/player_card.php?player=118120 Brooks Baseball · Home of the PitchFX Tool - Player Card: Greg Maddux".] (英語). 2012年8月23日閲覧。</ref>。一方で、代名詞ともいえる[[ツーシーム・ファストボール|ツーシーム]]（高速[[シンカー・スクリューボール|シンカー]]）と[[チェンジアップ#サークルチェンジ|サークルチェンジ]]、他に[[カットボール]]や[[スライダー (球種)|スライダー]]、[[カーブ (球種)|カーブ]]を織り交ぜて投球のほぼ全てを打者の手元で微妙に動かし、打者のタイミングを外したり、バットの芯を外すピッチングが信条<ref name="book2005">{{Cite book|和書|author=友成那智、村上雅則|year=2005|title=メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2005|publisher=廣済堂出版|pages=327項|id=ISBN 978-4-331-51093-3}}</ref>の[[ゴロ/フライ比率#グラウンドボールピッチャー|グラウンドボールピッチャー]]である。抜群の制球力から『'''精密機械'''』と称され<ref>[http://www5.nikkansports.com/baseball/mlb/tetsuya/72167.html マダックス引退で甦る銀がみボールの謎] [[鉄矢多美子]]『Field of Dreams』、2008年12月15日。</ref>、ここぞというときにはフォーシームのきれいな速球やチェンジアップを際どいコースへ投げ込み三振も狙って取れる。また、打者の心理の虚をつく頭脳的な投球スタイルや、普段は[[眼鏡]]をかけていた（後年、視力を矯正）ことから、「プロフェッサー（教授）」なるニックネームが定着している。柔和な容貌とは裏腹に闘争本能が強く、ブレーブス在籍時にチームメイトからは名前の響きからとって「マッド・ドッグ（狂犬）」と呼ばれた<ref name="book2005"/>。

通算与四球率（9イニング当たりの与四球数）は1.80。シーズン与四球率でリーグトップに9度なっている。特に1997年は0.77で、2位に0.5以上の差をつけるなど数々の制球力の良さを示す記録を持つ。

マダックスの象徴的な持論として、投手にとって一番過大評価されている記録は奪三振であり、27個のアウトを27球で取るのがベストというものがある<ref name="supurstar">{{Cite book|和書|author=藤澤文洋|authorlink=藤澤文洋|year=2003|title=メジャーリーグ・スーパースター名鑑|publisher=[[研究社]]|pages=172 - 173項|isbn=4-327-37689-2}}</ref>。実際、奪三振率(K/9)は最も高かった1995年でも7.77、多くのシーズンは7を切る水準だった。また、打者との勝負よりも試合全体の勝敗を重視しており、[[故意四球]]数は通算177で[[ケント・テカルヴ]]の179に次ぐ歴代2位である。<ref>{{cite web |url=http://mlb.com/stats/historical/player_stats.jsp?teamPosCode=all&statType=2&HS=true&timeFrame=3&c_id=la&section2=1&sitSplit=&venueID=&statSet2=2&subScope=teamCode&baseballScope=mlb&timeSubFrame=0&&sortByStat=IBB|title=Sortable Player Stats IBB|language=英語|work=MLB.com |accessdate=2008年12月27日 }}</ref>

===守備力===
史上最多の18回のゴールドグラブ賞に輝き、卓越した守備能力も特筆されるべき彼の特徴である。ただし走者に対するクイックや牽制などは、打者に対する投球術とは裏腹に、無関心と呼べるほど注意を払わない。これは「盗塁を許しても、点に結びつくケースは17%に過ぎない」（本人談）という統計的事実から来るものである（具体的な根拠はマダックス本人も話していないため、不明である）。

しかし、盗塁に無関心な姿勢を[[イチロー]]に利用されてしまったこともある。ブレーブス時代の2003年6月15日、マリナーズとのインターリーグのことである。初回に先頭のイチローに内野安打を許し二盗された後、悪送球で三塁へ進まれ味方のタイムリーで1点。
3回の打席でも内野安打を許したあと二盗、三盗と連続で盗塁され内野ゴロの間に一点を取られ結果的に2-1でマダックスは敗戦投手となってしまった<ref>http://www.baseball-reference.com/boxes/SEA/SEA200306150.shtml</ref>。試合後になって記者の「打ち取っていれば、たとえそれがヒットになっても、打たれたという気はしないものか？」という質問に対し、「あれで気分が良くなったと思うか？　冗談じゃない！　そんな風に考えられるはずはないじゃないか」と返したという<ref>http://archive.sportsnavi.yahoo.co.jp/baseball/mlb/column/200306/0630kimo_02.html</ref>。

ゴールドグラブ賞は監督やコーチの投票で選ばれるため、連続受賞選手の中には、守備力が落ちているのに名前やイメージで選ばれるケースが少なくない<ref name="book2008">{{Cite book|和書|author=友成那智、村上雅則|year=2008|title=メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2008|publisher=廣済堂出版|pages=426項|id=ISBN 978-4-331-51300-2}}</ref>。しかし2007年のマダックスの[[補殺]]数はリーグトップの51で、40歳を過ぎても優れた守備力を誇っていたことの証明である。平均的な投手の補殺数は15から20程度と言われており、平均的な守備力しか持ち合わせていなければ2007年の防御率(4.14)は5点台であったと推測され、自身の投手成績に守備力は大きく影響している<ref name="book2008"/>。

==獲得タイトル・表彰・記録==
*[[サイ・ヤング賞]] 4回：1992年 - 1995年
*[[最優秀防御率 (MLB)|最優秀防御率]] 4回：1993年 - 1995年, 1998年
*[[最多勝利 (MLB)|最多勝利]] 3回：1992年, 1994年, 1995年
*[[ゴールドグラブ賞]] 18回：1990年 - 2002年, 2004年 - 2008年
*[[MLBオールスターゲーム]]選出 8回：1988年, 1992年, 1994年 - 1998年, 2000年
*[[ピッチャー・オブ・ザ・マンス]] 10回：1988年6月、1993年8月、1995年7月・9月、1998年6月、1999年8月、2000年9月、2001年6月・7月、2006年4月
*[[フィールディング・バイブル・アワード]] 1回：2006年

== 年度別投手成績 ==
{|{{投手成績|リーグ=メジャーリーグベースボール}}
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1986}}
|rowspan="7" style="text-align:center;"|[[シカゴ・カブス|CHC]]
|6||5||1||0||0||2||4||0||--||.333||144||31.0||44||3||11||2||1||20||2||0||20||19||5.52||1.77
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1987}}
|30||27||1||1||0||6||14||0||--||.300||701||155.2||181||17||74||13||4||101||4||7||111||97||5.61||1.64
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1988}}
|34||34||9||3||1||18||8||0||--||.692||1047||249.0||230||13||81||16||9||140||3||6||97||88||3.18||1.25
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1989}}
|35||35||7||1||0||19||12||0||--||.613||1002||238.1||222||13||82||13||6||135||5||3||90||78||2.95||1.28
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1990}}
|35||'''35'''||8||2||1||15||15||0||--||.500||1011||237.0||'''242'''||11||71||10||4||144||3||3||116||91||3.46||1.32
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1991}}
|37||'''37'''||7||2||3||15||11||0||--||.577||'''1070'''||'''263.0'''||232||18||66||9||6||198||6||3||113||98||3.35||1.13
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1992}}
|35||'''35'''||9||4||0||'''20'''||11||0||--||.645||'''1061'''||'''268.0'''||201||7||70||7||'''14'''||199||5||0||68||65||2.18||1.01
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1993}}
|rowspan="11" style="text-align:center;"|[[アトランタ・ブレーブス|ATL]]
|36||'''36'''||'''8'''||1||2||20||10||0||--||.667||'''1064'''||'''267.0'''||228||14||52||7||6||197||5||1||85||70||'''2.36'''||'''1.05'''
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1994}}
|25||25||'''10'''||'''3'''||'''6'''||'''16'''||6||0||--||.727||'''774'''||'''202.0'''||150||4||31||3||6||156||3||1||44||35||'''1.56'''||'''0.90'''
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1995}}
|28||28||'''10'''||'''3'''||'''6'''||'''19'''||2||0||--||'''.905'''||785||'''209.2'''||147||8||23||3||4||181||1||0||39||38||'''1.63'''||'''0.81'''
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1996}}
|35||35||5||1||2||15||11||0||--||.577||978||245.0||225||11||28||11||3||172||4||0||85||74||2.72||1.03
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1997}}
|33||33||5||2||'''4'''||19||4||0||--||'''.826'''||893||232.2||200||9||20||6||6||177||0||0||58||57||2.20||0.95
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1998}}
|34||34||9||'''5'''||'''4'''||18||9||0||--||.667||987||251.0||201||13||45||10||7||204||4||0||75||62||'''2.22'''||'''0.98'''
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|1999}}
|33||33||4||0||1||19||9||0||0||.679||940||219.1||258||16||37||8||4||136||1||0||103||87||3.57||1.34
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|2000}}
|35||'''35'''||6||'''3'''||1||19||9||0||0||.679||1012||249.1||225||19||42||12||10||190||1||2||91||83||3.00||1.07
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|2001}}
|34||34||3||'''3'''||1||17||11||0||0||.607||927||233.0||220||20||27||10||7||173||2||0||86||79||3.05||1.06
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|2002}}
|34||34||0||0||0||16||6||0||0||.727||820||199.1||194||14||45||7||4||118||1||0||67||58||2.62||1.20
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|2003}}
|36||'''36'''||1||0||0||16||11||0||0||.593||901||218.1||225||24||33||7||8||124||3||0||112||96||3.96||1.18
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|2004}}
|rowspan="3" style="text-align:center;"|CHC
|33||33||2||1||2||16||11||0||0||.593||872||212.2||218||35||33||4||9||151||2||0||103||95||4.02||1.18
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|2005}}
|35||'''35'''||3||0||1||13||15||0||0||.464||936||225.0||239||29||36||4||7||136||8||0||112||106||4.24||1.22
|-
|rowspan="2" style="text-align:center;"|{{by2|2006}}
|22||22||0||0||0||9||11||0||0||.450||572||136.1||153||14||23||3||0||81||0||0||78||71||4.69||1.29
|-
|rowspan="2" style="text-align:center;"|[[ロサンゼルス・ドジャース|LAD]]
|12||12||0||0||0||6||3||0||0||.667||290||73.2||66||6||14||4||0||36||0||0||31||27||3.30||1.09
|-style="background-color:#f2f2f2"
!style="text-align:center;"|'06計
|34||34||0||0||0||15||14||0||0||.517||862||210.0||219||20||37||7||0||117||0||0||109||98||4.20||1.22
|-
|style="text-align:center;"|{{by2|2007}}
|rowspan="2" style="text-align:center;"|[[サンディエゴ・パドレス|SD]]
|34||34||1||0||1||14||11||0||0||.560||830||198.0||221||14||25||3||6||104||5||0||92||91||4.14||1.24
|-
|rowspan="2" style="text-align:center;"|{{by2|2008}}
|26||26||0||0||0||6||9||0||0||.400||638||153.1||161||16||26||4||5||80||2||2||80||68||3.99||1.22
|-
|rowspan="2" style="text-align:center;"|LAD
|7||7||0||0||0||2||4||0||0||.333||166||40.2||43||5||4||1||1||18||0||0||25||23||5.09||1.16
|-style="background-color:#f2f2f2"
!style="text-align:center;"|'08計
|33||33||0||0||0||8||13||0||0||.381||804||194.0||204||21||30||5||6||98||2||2||105||91||4.22||1.21
|-
!colspan="2"|通算：23年
|744||740||109||35||36||355||227||0||0||.610||20421||5008.1||4726||353||999||177||137||3371||70||28||1981||1756||3.16||1.14
|}
* 各年度の'''太字'''はリーグ最高

== 脚注 ==
{{Reflist|2}}

== 外部リンク ==
{{commonscat|Greg Maddux}}
{{MLBstats |mlb=118120 |espn=1800 |br=m/maddugr01 |fangraphs=104 |cube=m/greg-maddux}}

{{テキサス・レンジャーズ}}
{{Navboxes|title=獲得タイトル・記録
|list1=
</span>
{{ナショナルリーグ サイ・ヤング賞}}
{{ナショナルリーグ最優秀防御率}}
{{ナショナルリーグ最多勝投手}}
{{ナショナルリーグ ゴールドグラブ賞 (投手)}}
}}
{{300勝クラブ}}
{{3000奪三振クラブ}}
{{Chicago Cubs}}
{{Atlanta Braves}}
{{1995 アトランタ・ブレーブス}}
{{2013 ワールド・ベースボール・クラシックアメリカ合衆国代表}}
{{DEFAULTSORT:またつくす くれつく}}

[[Category:アメリカ合衆国の野球選手]]
[[Category:シカゴ・カブスの選手]]
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[[Category:サンディエゴ・パドレスの選手]]
[[Category:テキサス・レンジャーズ関連人物]]
[[Category:最優秀防御率 (MLB)]]
[[Category:最多勝利 (MLB)]]
[[Category:サイ・ヤング賞]]
[[Category:MLBオールスターゲーム選出選手]]
[[Category:アメリカ野球殿堂]]
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[[Category:1966年生]]
[[Category:存命人物]]