クワオアーのソースを表示

{{天体 基本
| 色 = 小惑星
| 和名 = クワオアー
| 英名 = 50000 Quaoar
| 画像ファイル = Quaoar.jpg
| 画像サイズ = 250px
| 画像説明 = クワオアーの想像図<br />(G. Bacon, STScI / NASA)
| 仮符号・別名 = {{mp|2002 LM|60}}
| 分類 = [[太陽系外縁天体]]
| 軌道の種類 = [[エッジワース・カイパーベルト|エッジワース・<br />カイパーベルト]]<br />（[[キュビワノ族]]）
}}
{{天体 発見
| 色 = 小惑星
| 発見日 = [[2002年]][[6月4日]]
| 発見者 = [[チャドウィック・トルヒージョ|C. A. トルヒージョ]]<br />[[マイケル・ブラウン (天文学者)|M. E. ブラウン]]
}}
{{天体 軌道
| 色 = 小惑星
| 元期 = 2010年7月23日 ([[ユリウス通日|JD]] 2,455,400.5)
| 軌道長半径 = 43.405 [[天文単位|AU]]
| 近日点距離 = 41.695 AU
| 遠日点距離 = 45.116 AU
| 離心率 = 0.039
| 公転周期 = 285.97 [[ユリウス年|年]]
| 平均軌道速度 = 4.52 [[メートル毎秒|km/s]]
| 軌道傾斜角 = 8.00 [[度 (角度)|度]]
| 近日点引数 = 155.62 度
| 昇交点黄経 = 189.03 度
| 平均近点角 = 280.55 度
| 前回近日点通過 = 1787年頃
| 次回近日点通過 = 2073年頃
| 衛星数 = 1
}}
{{天体 物理
| 色 = 小惑星
| 直径 = 890 ± 70 [[キロメートル|km]]<ref name="Fraser">{{cite arXiv | author=Fraser, W. C. & Brown, M. E. | year=2010 | title=Quaoar: A Rock in the Kuiper belt | eprint=1003.5911 | version=v1}}</ref>
| 質量 = (1.6 ± 0.3)<br />{{e|21}} [[キログラム|kg]]<ref name="Fraser" />
| 平均密度 = 4.2 ± 1.3 [[グラム毎立方メートル|g/cm{{sup|3}}]]<ref name="Fraser" />
| 表面重力 = 0.276 - 0.376 [[メートル毎秒毎秒|m/s{{sup|3}}]]
| 脱出速度 = 0.523 - 0.712 [[メートル毎秒|km/s]]
| 自転周期 = (8.840 ± 0.008)<br />or 17.6788 時間
| スペクトル分類 =
| 絶対等級 = 2.709
| アルベド = 0.069 - 0.128<br />or 0.077 - 0.140
| 赤道傾斜角 =
| 表面温度 = ~43 [[ケルビン|K]]
| 色指数_BV = 0.94 ± 0.01
| 色指数_VR = 0.64 ± 0.01
| 色指数_BR = 1.58 ± 0.01
| 色指数_VI = 1.28 ± 0.02
}}
{{天体 終了
| 色 = 小惑星
}}
'''クワオアー''' (50000 Quaoar) は、将来的に[[準惑星]]（[[冥王星型天体]]）に分類される可能性がある[[太陽系外縁天体]]の一つ。[[エッジワース・カイパーベルト]]に位置し、[[太陽]]の周りをほぼ円軌道で公転している。

== 概要 ==
[[2002年]][[6月4日]]、[[カリフォルニア工科大学]]の天文学者[[チャドウィック・トルヒージョ]]と[[マイケル・ブラウン (天文学者)|マイケル・ブラウン]]によって、[[カリフォルニア州]][[パサデナ (カリフォルニア州)|パサデナ]]の[[パロマー天文台]]にある[[サミュエル・オシン望遠鏡]]で撮影された画像から発見された。この発見は2002年[[10月7日]]の[[アメリカ天文学会]]年会で発表された。その後の調査で、最も古い画像としてはパロマー天文台で[[1954年]][[5月25日]]に撮影された写真乾板にこの天体が写っていたことが判明した。

クワオアーは発見当時直径約1,200kmと推定され、[[冥王星]]以降に発見された最大の天体であり、またそれまでに知られていた[[小惑星]]の中で最大のものだった（後に[[セドナ (小惑星)|セドナ]]や[[エリス (準惑星)|エリス]]にその座を明け渡した）。太陽からおよそ60億kmの距離にあり、約290年周期で公転している。

== 名称 ==
この天体の名称は、「[[海王星]]よりも十分遠く、太陽系の寿命と同程度に十分長い間安定な軌道を持つ天体には創世神話に関連した名前を付ける」という[[国際天文学連合]]の規則<ref>{{cite web | title=Minor Planet Name Guide | url=http://www.ss.astro.umd.edu/IAU/csbn/mpnames.shtml | publisher=IAU | accessdate=2010-04-07}}</ref>に従い、[[ロサンゼルス]]周辺の[[アメリカ州の先住民族|アメリカ先住民]]であるトングヴァ族に伝わる神話の、歌と踊りで神々と生物を作った創世神クワオアーに因んで名付けられた。

== 組成 ==
クワオアーの[[密度|平均密度]]は4.2±1.3g/cm{{sup|3}}で、太陽系外縁天体としては有意に高密度な天体と考えられている。これはクワオアーの内部には、岩石と氷の混合物からなる一般的な外縁天体と異なり氷がほとんど含まれていないことを示している<ref name="Fraser" /><ref>{{cite news
| author=David Shiga | date=2010-04-07 | title=Is densest Kuiper belt object a wayward asteroid? | url=http://www.newscientist.com/article/dn18739-is-densest-kuiper-belt-object-a-wayward-asteroid.html?DCMP=OTC-rss&nsref=space | publisher=New Scientist | accessdate=2010-04-07
}}</ref>。[[アルベド]]は0.1程度とかなり低いと推定されているが、これは表面から氷が失われている事を意味する。[[ニュー・ホライズンズ]]計画によって[[2015年]]に探査機が冥王星を訪れ、続けていくつかの外縁天体の探査が行なわれた後には、これらの事実に関してはるかに多くの知識を得られるはずである。

[[2004年]]にクワオアーの表面に水の結晶の存在が確認され、研究者を驚かせた。これは最近1000万年以内に表面温度が-160℃ (110K) 以上に上昇したことを示している。どのような原因で-220℃ (55K) というクワオアーの元々の温度が上昇したのかについていくつかの推測が行なわれている。小天体の衝突によって温度が上がったという説を唱える研究者もいるが、最も議論された説ではクワオアーの中心核に含まれる[[放射性同位体|放射性元素]]の[[崩壊熱]]によって氷火山現象が起きているのではないかと推定している (Jewitt &amp; Luu, 2004)。

== 分類の経緯 ==
クワオアーの発見によって、冥王星を惑星に分類する根拠はやや弱くなった。当時、既に天文学者たちはクワオアー程度の大きさを持つ外縁天体が10個ほどは存在するかもしれないと考えていたため、冥王星に加えてクワオアーやそれらの天体を惑星に含めるように[[惑星の定義]]を変更する必要が出てくる可能性が生じたのである。

クワオアーはある意味では冥王星よりも惑星らしいと言える。クワオアーの公転軌道は半径40[[天文単位|AU]]をやや超える円に近いもので、冥王星のような離心率の大きな楕円軌道ではない。また、海王星と同様にクワオアーの軌道も冥王星の[[近点・遠点|近日点と遠日点]]の間にある。よってある時期には冥王星はクワオアーよりも太陽に近く、ある時期にはクワオアーよりも遠くなる。

クワオアーに続きさらに大きな (90377) [[セドナ (小惑星)|セドナ]]が発見され、冥王星よりも直径の大きな (136199) [[エリス (準惑星)|エリス]]が発見されるに及んで惑星定義の見直しを迫られる事となった。結局、[[2006年]][[8月24日]]に[[国際天文学連合]]総会で惑星の定義が採択された結果、冥王星など3つの天体が[[準惑星]] (dwarf planet) に分類されることになった。更に、今後の観測によって準惑星と認められるかもしれない天体としてクワオワーなど10数個がリストアップされた。

== 衛星 ==
[[ハッブル宇宙望遠鏡]]で2006年[[2月14日]]に撮影された画像から、[[マイケル・ブラウン (天文学者)|マイケル・ブラウン]]とT.-A. Suerの分析により衛星が発見されたことが、[[2007年]][[2月22日]]付の[[国際天文学連合回報]] (IAUC) 8812号で報告された。この衛星には'''S/2006 (50000) 1'''という[[仮符号]]が付けられた後、2009年に'''[[ウェイウォット (衛星)|ウェイウォット]]''' ((50000) Quaoar I Weywot) と名付けられた。この名はトングヴァ族の神話でクワオアーによって創られた神の一柱に由来する。

== 参考文献 ==
{{reflist}}
{{refbegin}}
* Jewitt DC, Luu J (2004). Crystalline water ice on the Kuiper belt object (50000) Quaoar. Nature 432 (7018): 731-3.[http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=pubmed&dopt=Abstract&list_uids=15592406]
{{refend}}

== 関連項目 ==
{{commons|Quaoar}}
* [[小惑星の一覧 (49001-50000)]]
* [[準惑星候補の一覧]]
* [[小惑星の衛星]]
* {{mpl|(225088) 2007 OR|10}}

== 外部リンク ==
* [http://ssd.jpl.nasa.gov/sbdb.cgi?sstr=50000 クワオアーの軌道要素]（JPL、英語）
* [http://www.johnstonsarchive.net/astro/astmoons/am-50000.html クワオアーの衛星]
* [http://www.chadtrujillo.com/quaoar/ 発見者トルヒージョのページ]
* [http://www.nytimes.com/2004/12/09/science/09ice.html?ex=1260334800&amp;en=9326ecdbb6f20b0a&amp;ei=5090&amp;partner=rssuserland* Astronomers Contemplate Icy Volcanoes in Far Places] - [[ニューヨーク・タイムズ]]
* [http://www.theage.com.au/articles/2002/10/07/1033538894512.html Quaoar, the newest planet . . . or is it?] - article in an Australian science magazine
* [http://news.nationalgeographic.com/news/2002/10/1003_021007_quaoar.html New Planet-Shaped Body Found in Our Solar System ] - article in National Geographic
* [http://www.cnn.com/2004/TECH/space/12/08/volcano.neptune/index.html Volcanism possible on planet-like Quaoar] - CNN.com
* [http://www.nature.com/news/2004/041206/pf/041206-7_pf.html Chilly Quaoar had a warmer past] - Nature.com article

{{冥王星型天体}}
{{準惑星の衛星}}
{{DEFAULTSORT:くわおああ}}

[[Category:キュビワノ族]]
[[Category:準惑星候補]]
[[Category:衛星を持つ小惑星]]

{{Link GA|cs}}