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クレーター
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{{Otheruses|衝突地形|その他}} [[ファイル:Lunar crater Daedalus.jpg|thumb|アポロ11号が撮影した[[月のクレーター|月面のクレーター]]]] '''クレーター''' (crater) とは、[[天体衝突]]などによって作られる地形である。典型的には、[[円形]]の[[盆地]]とそれを取り囲む円環状の[[山脈]]であるリムからなるが、実際にはさまざまな形態がある。主に[[隕石]]・[[彗星]]・[[小惑星]]・[[微惑星]]などの衝突でできるが、[[核爆発]]や大量の[[火薬]]などの[[爆発]]でも同様の地形ができる。 [[ギリシャ語]]で「[[ボウル]]」「[[皿]]」を意味する語が語源で、本来は成因を問わず円形の窪地を意味し、[[火山]]の[[噴火口]]や、沈降による穴も含む。[[英語]]文献では、そのような意味での使用も少なくない。なお、[[コップ座]]の学名はCrater(クラテル)で、同じ語源である。 狭義には、天体衝突で形成された地形のことである。[[1609年]]に[[ガリレオ・ガリレイ]]が、月面を[[天体望遠鏡]]で観察し、多数の円形の凹地を確認し、クレーターと命名したのが始まりである。成因を明確に示したいときは'''衝突クレーター'''、'''インパクトクレーター''' (impact crater) と呼ぶ。またこの意味で使う場合は、「円形の窪地」という本来の意味ではクレーターと呼べないような形状の地形(たとえば地中構造、リムの一部のみ、など)も含めることが多い。窪地が明瞭なものは'''隕石孔'''(いんせきこう)と呼ぶこともある。 == 概論 == クレーターにはさまざまな形があり、主に以下の要素により決定される。 * 天体の[[運動エネルギー]]。[[質量]]と相対[[速度]]で決まるが、質量・速度自体はあまり影響しない。当然、運動エネルギーが大きいほど、クレーターは大きく、深くなる。 * 天体の[[入射角]]。あまり影響しないが、極端に角度が浅いときのみ[[楕円]]形のクレーターができる。 * [[表面重力]]。 * [[大気]]の有無、あればその[[密度]]。 * 衝突地点の地質。 * [[侵食]]の有無、性質、期間。 クレーターの形や大きさは衝突エネルギー(と衝突される天体の性質)だけで決まり、大きさなど天体自体の性質はほとんど関係しない。エネルギーさえ同じであれば、重い天体がゆっくり衝突しても軽い天体が高速で衝突しても、組成が[[岩石]]でも[[氷]]でも、あるいは衝突でなく[[核爆発]]でも、ほぼ同じクレーターができる。入射角も影響せず、非常に浅い場合を除き常に円形のクレーターができる。クレーター研究の初期にはこのことが十分に理解されておらず、月のクレーターが全て円形であることが、それらの原因が天体衝突でないと主張する根拠にもなった。 == 構造 == ; クレーター底 : クレーターの内部の平らな部分。非常に小さなクレーターは、平らな底を持たない。 ; 縁(クレーターリム) : クレーターの周囲を取り囲む盛り上がった部分。大きなクレーターでは[[山脈]]と認識される。 ; クレーター壁 : クレーターの底から外部へ向かう時の急激な立ち上がり部分。縁の内壁。 ; [[中央丘]] : クレーター中央部に見られる丘状の凸部。大きなクレーターに見られることが多い。 ; [[光条]](レイ) : クレーターから放射状に延びる明るく[[アルベド]]の高い(白い)筋状の構造。月など大気のない天体に多い。 ; 洪水溶岩 : 大型のクレーターの底が[[溶岩]]で埋まって平原となったもの。[[氷衛星]]では岩石の代わりに[[氷]]で埋まる。 ; 2次クレーター : 衝突の噴出物が落下したことによる2次的なクレーター。 ; 堆積物 : [[地球]]や[[火星]]では、底が[[堆積物]]に埋没することがある。 == 形態 == [[ファイル:Craterstructure.gif|thumb|275px|単純クレーター(上)と、中央丘を持った複雑クレーター(下)。]] クレーターはその直径によって異なった形態を示す<ref name="pg-crater">『惑星地質学』 p25~</ref>。 最も小型のクレーターは、断面が単純な[[お碗]]形をしており、'''単純クレーター'''と呼ばれる。単純クレーターの[[直径]]と深さには比例関係があり、岩石天体の場合は直径のおよそ0.2倍、氷天体の場合は0.1倍の深さになる。 衝突の規模が大きくなるとクレーターの形態は'''複雑クレーター'''という埋め立てられた平らな底部を持つクレーターに変化する。このサイズのクレーターは中心に中央丘を持つことが多く、'''中央丘クレーター'''とも呼ばれる。クレーターの規模が大きくなると共に中央丘はより顕著になり、次第にリング状の構造を示しはじめる。このようなクレーターは'''中央リングクレーター'''と呼ばれる。さらに、最大規模の衝突では同心円状の複数のリング構造を持った'''多重リングクレーター'''が形成される。 クレーターの形態はある一定の直径を境に単純クレーターから複雑クレーターに変化するが、その値は[[月]]の場合は15 - 20km、[[水星]]では10km、[[火星]]では5km程度である。[[重力]]が強い天体は一般的に複雑クレーターが形成されやすくなる。また、地表を構成する物質の性質によってもこの値は変化し、氷天体では同程度の重力を持つ岩石天体と比較して複雑クレーターが形成されやすい。 なお、隕石が非常に浅い角度で衝突すると、涙滴状のクレーターが形成される。地球では[[アルゼンチン]]・[[コルドバ州]]の[[リオクアルトクレーター]]([[:w:Rio Cuarto craters|Rio Cuarto craters]])が知られており、他にも火星でも同様に形成されたと思われるクレーター[[:w:Orcus Patera|Orcus Patera]]が発見されている。 == 成因論 == クレーターの成因については、様々な説が唱えられた。[[1787年]]に[[ウィリアム・ハーシェル]]はクレーターは火山の火口であるという論文を発表した。それに対し、[[1829年]]にフランツ・フォン・パウラ・グルイテュイゼン(Franz von Paula Gruithisen)は、クレーターは天体の衝突によって生じたという説を発表した。 当初は火山説の方が有利であった。これは、 * 月のクレーターはほとんどが円形であるが、泥に石などを衝突させる実験などでは真上からの衝突で無い限り楕円形のクレーターしかできないこと。 * [[月の海]](いわゆる[[うさぎ]]模様の部分)にはクレーターがあまり存在せず、分布に著しい地域性があること。これは地球の[[火山帯]]に対応していると考えられた。 * クレーターの重なり方が大きなクレーターの上に小さなクレーターが重なっているものばかりであり、これは徐々に月の内部が冷却して火山活動が弱まっていった結果として説明しやすい。 などが理由としてあげられる。 [[1960年]]頃から、地球のクレーターで隕石の衝突を裏付ける高圧で変成された岩石が発見されたり、[[アポロ計画]]での月面で採取された試料の分析が行われたり、より正確な衝突条件を反映した高速衝突実験が行われて、衝突説を支持する結果が多く得られた。現在では月のクレーターの大部分は衝突によって生じたものと考えられている。 上記の火山説を支持する証拠に対しては * 当時の衝突実験では衝突させた石の速度は、隕石の月面に対する相対速度(数十km/sに達する)よりもはるかに遅く、実際に起こっている衝突を反映しているものとは言えない。高速衝突実験においては衝突時の衝撃波で衝突物の直径の10倍以上の範囲の地面が掘削されてクレーターは円形となることが分かっている。楕円形のクレーターは入射角が10度以下になるような限られた場合しかできない。 * [[アポロ計画]]で採取された岩石の年代測定の結果、月の海ができた時期は衝突が多数起きた時代よりも新しい([[月の海]]も参照のこと)。 * 重なり方の傾向は、小さなクレーターの上に大きなクレーターを作る衝突が起こると衝突による地殻変動が周辺にも及び小さなクレーターの構造は完全に破壊されてしまうためと考えても説明可能。 と反論できる。 衝突説を支持する証拠としては以下のようなものがある。 * アポロ計画で採取されたクレーター周辺の石から高圧で変成された岩石が見つかっている。 * アポロ計画で採取された石から直径1mm以下のクレーターが見つかっている。 * 大きなクレーターでは月全体に噴出物が撒き散らされているが、月の質量ではそのような規模の爆発を起こすだけの火山を生成できない。 * 月の岩石から生成する溶岩の粘性は地球上のそれに比べて著しく低いために、火口には明瞭な盛り上がった縁ができない。(なお、月には少数ながらも縁の盛り上がりの無いクレーターがあり、これらは溶岩の噴出で生じたものと考えられている。) * クレーターが円形であるにもかかわらず、一方向だけに光条が延びる現象は斜め方向からの高速衝突実験で確認されている。 * 月のクレーターの直径と深さの間には一定の関係式が成立する。地球上の衝突で作られたクレーターでも同じ式が成り立つ。 == 天体ごとの様相 == === 月 === {{main|月のクレーター|月のクレーターの一覧}} [[月]]のクレーターの大部分は38億年前よりも以前に作られたものである。その頃にはまだ太陽系内に多数の微惑星が残っていたために大きな衝突が何度も繰り返された。地球の表面では大気や水によって侵食や[[プレートテクトニクス]]による海洋底の更新があるためその痕跡が残っていないが、月では大気や水が存在しないためクレーターがそのまま保存されている。 しかし、[[昼]]と[[夜]]の大きな温度差による熱膨張・収縮の繰り返しや[[太陽風]]の衝突によってわずかずつではあるが風化は進行する。また、宇宙空間からチリが降下し少しずつ降り積もっている。そのため、新しいクレーターでは縁がはっきりしており光条が延びているが、古いクレーターでは縁がはっきりしなくなり光条が失われている。 月面には月形成直後からの多くの衝突クレーターが姿を残しており、表側だけでも直径1km以上のクレーターは30万個以上と見積もられている<ref>[[欧州宇宙機関]] European Space Agency (ESA) [http://planck.esa.int/science-e/www/object/index.cfm?fobjectid=31412 Moon]閲覧2012-8-25</ref>。大きなものでは[[ ヘルツシュプルング (クレーター) ]]クレーターの直径536kmから、小さなものではアポロ計画で持ち帰られた月の石に残されていた顕微鏡サイズのクレーターまでと様々である。[[国際天文学連合]](IAU)で登録している直径60メートル以上の名前が付けられているクレーターは1559個あり、直径10km以上のものでも1395個、100km以上のものでも199個ある<ref>[[アメリカ地質調査所]](USGS) [[国際天文学連合]](IAU) Working Group for Planetary System Nomenclature (WGPSN) [http://planetarynames.wr.usgs.gov/SearchResults?target=MOON&featureType=Crater,%20craters Nomenclature - The Moon - Crater] 閲覧2012-6-25</ref>。また盆地(ベースン)や[[月の海|海]]と名付けられた部分は天体衝突によって形成されたと考えられており、[[月の裏|月の裏側]]の[[南極エイトケン盆地]]は直径2500kmに及ぶ。 月のクレーターの研究から41億年前から38億年前にかけて多くの天体衝突が起きたと想定され、同様に地球でも天体衝突が多く起きているものとみなされ、地球誕生後の数億年([[冥王代]]に相当)の地球の状態が推察されるようになった。{{see also|後期重爆撃期}} === 地球 === 地球と比べて直径が27%で表面積が7%と小さい月に多くの隕石衝突クレーターが形を残していることから、地球にも月と同様の率で隕石衝突があったものと思われるが、現在確認・公認されている衝突クレーターは直径10メートルから160キロメートルのもので182個である<ref name="PASSC">The Planetary and Space Science Centre (PASSC) [http://www.passc.net/EarthImpactDatabase/index.html Earth Impact data] 閲覧2012-6-25</ref>。 その内120個は露出しており、59個は埋もれている。残り3個に関しては露出状況不明と記されている。 露出していない62個の内53個はボーリング調査が実施された。 [[地球]]に落ちる隕石の大きさがそれほど大きくなくても巨大なクレーターができる。クレーター径は隕石の直径の約20倍と見積もられており、周囲5km、深さ170mの大きさのクレーターはクレーターとしてはかなりの大きさだが、それを作った隕石の大きさは直径約250mでしかない。地球上のクレーターは100個以上確認されているが、大部分は侵食で痕跡すら消えてしまっている。 地球上で見られるクレーターの中には、[[ニッケル]]、[[金]]などを多く含んだものがあり、世界最大の[[鉱山]]を形成している場合もある。この為、有望な鉱脈を発見する手がかりともなっている。 * [[フレデフォート・ドーム]] ([[南アフリカ共和国]] - 現在知られている最大の隕石衝突跡。20億2300万年前 直径10-12kmの小惑星が衝突してリム直径160㎞(破壊範囲直径300km)のクレーターを形成したと考えられている<ref name="PASSC"/>。) * [[サドベリー隕石孔]] ([[カナダ]] - 同2番目の大きさ。18億5000万年前、直径10kmの隕石、リム直径130㎞のクレーター(破壊範囲直径~260 km)<ref name="PASSC"/>) * [[チクシュルーブ・クレーター]]([[メキシコ]]・[[ユカタン半島]]- 同3番目の大きさ。6500万年前、直径10kmの隕石、リム直径160㎞のクレーター(破壊範囲直径~240 km)<ref name="PASSC"/>。地下約1000mに埋没している。[[恐竜]]などが絶滅した[[K-T境界]]の原因と考えられている。) :: 以上の3件が3大隕石衝突(3大インパクト)と呼ばれている。 * [[岫岩満族自治県]]<!--[[岫岩隕石孔]]--> ([[中華人民共和国]][[遼寧省]][[鞍山市]]、直径1800m、深さ150m) * [[バリンジャー・クレーター]]([[アメリカ合衆国|アメリカ]]・[[アリゾナ州]]、直径1200m、深さ180m 別名アリゾナ大隕石孔) * [[御池山クレーター]]([[日本]]・[[長野県]][[飯田市]]上村 - 直径900m。日本で初めて確認された。) * [[シルバーピット・クレーター]] ([[イギリス]]・[[北海]] - 水面下40mにあり、堆積物で埋もれている。現在確認されているイギリス唯一のクレーターであるとされているが、異説もある。) * [[マニクアガン・クレーター]](カナダ - 現在ダム湖になっている) * [[ニュー・ケベック・クレーター|ピングアルイト・クレーター]](カナダ) {{仮リンク|地球のクレーターの一覧|en|List of impact craters on Earth}} === 水星 === [[水星]]は、月と同様に全表面がクレーターで覆われている。この水星の姿は[[1975年]]にアメリカの水星探査機[[マリナー10号]]によってはじめて明らかにされた。水星の英名Mercuryは、[[ローマ神話]]の芸術の神の名であるため、水星のクレーターには[[文学者]]や[[芸術家]]の名前が命名されている。特に、1350Kmもある[[カロリス盆地]]は水星最大のクレーターである。 === 金星 === [[金星]]は、厚い[[雲]]に常に覆われているため、地表の可視光による観察は不可能である。しかし[[1990年]]にアメリカの金星探査機[[マゼラン (探査機)|マゼラン]]により[[レーダー]]による地形の観測が行われ、いくつかのクレーターが発見されている。 金星のクレーターの特徴として、直径30km以下のクレーターが少ないことが挙げられる。これは、その程度のクレーターを形成させるような小さな天体は、金星の厚い大気のために衝突前に粉砕されてしまうためと考えられている<ref name="pg-crater"/>。また、金星には形成年代の古いクレーターが存在せず、これは5億年前後前に金星の地表全体を塗り替えるような大規模な変動が起きたこという説の論拠となっている<ref name="pg-venus">『惑星地質学』 p78~88</ref>。 === 火星 === [[火星]]のクレーターは、高地の多い南半球に多く低地の多い北半球には少ない。[[衛星]]の[[フォボス (衛星)|フォボス]]、[[ダイモス (衛星)|ダイモス]]にもクレーターが発見されている。ダイモスのクレーターは[[レゴリス]]に埋まりかけたものが多く、比較的滑らかな表面をしている。 === 小惑星 === 地上からの観測および[[小惑星探査機]]の観測によりいくつかの小惑星の鮮明な映像が撮影されており、クレーターが多数認められている。特に、(4)[[ベスタ (小惑星)|ベスタ]]は直径460kmのクレーターを持つ。 また、NEAR探査機によって観測された小惑星[[マティルド (小惑星)|マティルド]]には、天体の平均直径の半分を超えるクレーターが複数発見されている。通常ならばこのような大規模な衝突で天体は粉砕されるはずだが、平均密度の観測からマティルドの内部には多くの隙間が存在することが示唆されており、この隙間が衝突の衝撃波を緩和する役割を果たしたという説がある<ref name="pg-mathilde">『惑星地質学』 p163</ref>。 === 氷衛星 === 氷衛星の表面にもクレーターが見られる。 [[ガニメデ (衛星)|ガニメデ]]には13個のクレーターがチェーン状に繋がったクレーターがあり、[[シューメーカー・レヴィ第9彗星]]同様に木星の重力により分解した[[彗星]]が衝突したためだと考えられている。[[カリスト (衛星)|カリスト]]には多重リング構造の[[ヴァルハラ盆地]]がある。[[ミマス (衛星)|ミマス]]、[[テティス (衛星)|テティス]]は直径の3分の1にも及ぶ大クレーターを持つ。[[タイタン (衛星)|タイタン]]は厚い大気と雲に覆われているため地表の可視光による観察は不可能だが、[[カッシーニ (探査機)|カッシーニ]]によるレーダー観測によりいくつかクレーターが発見されている。 === クレーターのない天体 === [[木星]]・[[土星]]・[[天王星]]・[[海王星]]は、固体表面がないため、クレーターはない。 [[イオ (衛星)|イオ]]は、[[火山]]活動が非常に活発で表面地形の寿命が非常に短く、クレーターはない。クレーターはあるものの非常に少ない天体として、地球、[[エウロパ (衛星)|エウロパ]]、[[トリトン (衛星)|トリトン]]、[[ タイタン (衛星)|タイタン]]がある。いずれも、イオほどではないがクレーターの寿命がかなり短い。 == 命名 == [[地球]]以外のクレーターの名前は、他の地名同様、[[国際天文学連合]] (IAU) が決定する。最終決定権はIAUが持つが、提案は自由であり、発見した研究者チーム(現在はほとんどが[[惑星探査機]]で発見される)による提案が行われることが多い。惑星系命名タスクグループが外部からの提案や独自の案を選定し、惑星系命名作業部会 (WGPSN) が承認する。通常はこの段階で「命名」などと[[報道]]されるが、正式決定は3年に1度のIAU総会で、次回は[[2009年]]である。 地球以外のクレーターの正式名称には「クレーター」は付かない。たとえば、「[[コペルニクス (クレーター)|コペルニクス]]」が正しく、「コペルニクスクレーター」ではない。逆に、「山脈」「平原」などの一般名詞が付かない地名は、原則としてクレーターである。 === 月 === {{main|月のクレーター}} [[月]]の表の主要なクレーターの名称は、[[イタリア]]の[[ジョヴァンニ・バッティスタ・リッチョーリ]]と[[フランチェスコ・マリア・グリマルディ]]による。なお、それ以前に命名された数少ないクレーターとして、[[ミヒャエル・ラングレン]]が自分の名前をつけた[[ラングレン (クレーター)|ラングレン]]がある。 リッチョーリらは[[1651年]]、自分達が作成した[[月面図]]でクレーターに名前をつけた。そのため、月の表にはそれより新しい人物やヨーロッパ以外の人物の名前はほとんどない(存命中の人物も使われたので同時代人は多い)。彼らが選んだ人名は、月の観測に貢献があった人物で、必然的に[[天文学者]]が多くなった。月の北部のクレーターに古い時代の人物の名を、南部のクレーターに(当時から見て)新しい時代の人物の名を命名した。 [[1935年]]から、月のクレーターの名前はIAUが決定するようになった。ただし、表の主要なクレーターはすでに名づけられており、IAUによる命名はほとんどない。なお、現行のルールでは、「国際的に著名であること、没後3年以上、[[政治]]・[[宗教]]・[[軍事]]関係者は禁止」といった条件がある。[[月の裏]]のクレーターは、[[1959年]]の[[ルナ3号]]の観測に始まり、リッチョーリらより新しい時代の人物の名前を中心に命名された。 現在は月のクレーターの命名はほとんど行われない。近年IAUが名づけたクレーターには、[[チャレンジャー号爆発事故|チャレンジャー事故]]、[[コロンビア号空中分解事故|コロンビア事故]]など宇宙開発の犠牲者の名前が付いている。 月では非常に小さいクレーターまで発見されているが、それらにまで名前が付けられることはない。名前の付いているクレーターは約1500である。約7000の小さなクレーターには、近くの大きなクレーターの名前にアルファベットをつけて識別する「サテライトフィーチャー」という命名法がとられている。 例外的に人名でないクレーターとして、[[アポロ計画]]を記念して名づけられた、月で2番目に大きい[[アポロ (クレーター)|アポロ]]がある。数キロ以下の小さなクレーターには、[[ファーストネーム]](特定の人物を表すものではない)が付けられている。 === 地球 === 地球のクレーターには、公式な命名制度はない。[[湖]]や[[盆地]]としてすでに名前が付いていることも多い。名前がないときは、発見者や、近くの集落の名前などが付けられる。 === 天体ごとのテーマ === 地球以外のクレーターの名前には、天体ごとに共通のテーマがある。ただし、最大級のクレーターは、通常のクレーターとは別のルールで[[盆地]]や海として命名されているものもある。 ==== 惑星 ==== ; [[水星]] : [[芸術家]]、[[音楽家]]、[[作家]]。水星の神[[メルクリウス]]/[[ヘルメース|ヘルメス]]が芸術の神であることから。最大のクレーターは[[作曲家]][[ルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーベン|ベートーベン]]から。ただし、クレーターとしての命名でないものを含めれば[[カロリス盆地]]が最大。日本からは[[俵屋宗達|ソータツ]]など。 ; [[金星]] : [[女性]]。金星の神[[ウェヌス]]/[[アプロディーテー|アフロディーテ]]が美の女神であることから。最大のクレーターは[[人類学者]][[マーガレット・ミード|ミード]]から。日本からは[[林芙美子|ハヤシ]]など。 ; [[火星]] : 大きなクレーターは火星を研究した天文学者。小さなクレーターは地球の町。最大のクレーターは天文学者[[ジョヴァンニ・スキアパレリ|スキアパレリ]]から。ただし、クレーターとしての命名でないものを含めれば、確実なものでは[[ヘラス盆地]]、不確実なものでは[[ボレアリス平原]]が最大。日本からは[[宮本正太郎|ミヤモト]]など。 ==== 衛星 ==== ; [[月]] : [[科学者]]。最大のクレーターは[[天文学者]][[アイナー・ヘルツシュプルング|ヘルツシュプルング]]から。ただし、巨大な溶岩平原クレーターは[[月の海|海]]として気象現象や気分を表す抽象名前がついており、それらを含めれば[[嵐の大洋]]が最大。日本からは[[平山清次|ヒラヤマ]]など。 ; [[フォボス (衛星)|フォボス]] : 火星の衛星を研究した天文学者。最大のクレーターは発見者[[アサフ・ホール|ホール]]の妻の旧姓スティックニーから。 ; [[ダイモス (衛星)|ダイモス]] : 火星の衛星を(発見前に)描いた文学者。『[[ミクロメガス]]』の[[ヴォルテール]]と『[[ガリヴァー旅行記]]』の[[ジョナサン・スウィフト|スウィフト]]から。 ; [[エウロパ (衛星)|エウロパ]] : [[ケルト神話]]の登場人物。最大のクレーターは[[魔術師]](として後に伝説となった[[詩人]])[[タリエシン]]から。 ; [[ガニメデ (衛星)|ガニメデ]] : [[エジプト神話]]など[[中東]]の古代神話の神々。最大のクレーターは[[フェニキア]]の神[[エピゲウス]]から。 ; [[カリスト (衛星)|カリスト]] : [[北欧神話]]の神々。最大のクレーターは光の神[[ヘイムダル]]から。ただし、クレーターとしての命名でないものを含めれば[[ヴァルハラ盆地]]が最大。 ; [[ハイペリオン (衛星)|ハイペリオン]] : 世界各地の[[太陽神]]。[[ヒュペリオン]]が太陽神[[ヘーリオス]]の父であることから。 ; [[ミマス (衛星)|ミマス]] : [[アーサー王伝説]]の登場人物。ただし最大のクレーターは例外で、発見者[[ウィリアム・ハーシェル|ハーシェル]]から。 ; [[エンケラドゥス (衛星)|エンケラドゥス]] : 『[[千夜一夜物語]]』の登場人物。最大のクレーターは[[アリババと40人の盗賊|アリババ]]から。 ; [[テティス (衛星)|テティス]] : 『[[オデュッセイア]]』の登場人物。最大のクレーターは主人公[[オデュッセウス]]から。 ; [[ディオネ (衛星)|ディオネ]] : 『[[アエネイス]]』の登場人物。最大のクレーターは[[メルクリウス]]の息子[[エウアンドロス|エヴァンデル]]から。 ; [[レア (衛星)|レア]] : 世界各地の[[創造神話]]の登場人物。最大のクレーターはアメリカの[[ポーニー族]]神話で[[人間]]を創造した[[ティラワ]]から。日本からは[[イザナギノミコト|イザナギ]]と[[イザナミノミコト|イザナミ]]、[[オノゴロ島|オノコロ]]([[クレーターチェーン]])が。 ; [[タイタン (衛星)|タイタン]] : 世界各地の知識の神。最大のクレーターは[[エトルリア]]の知識の女神[[メンルヴァ]]から。 ; [[イアペトゥス (衛星)|イアペトゥス]] : 『[[ローランの歌]]』の登場人物。最大のクレーターは[[サラセン]]男爵チュルジスから。 ; [[フェーベ (衛星)|フェーベ]] : [[アルゴナウタイ|アルゴノーツ]]。最大のクレーターは[[船長]][[イアソン]]から。 ; [[パック (衛星)|パック]] : ヨーロッパの[[妖精]]の[[種族 (ファンタジー)|種族]]名。[[パック (妖精)|パック]]が妖精であることから。 ; [[ミランダ (衛星)|ミランダ]] : 『[[テンペスト (シェイクスピア)|テンペスト]]』の登場人物。ミランダが『テンペスト』のヒロインであることから。最大のクレーターは[[ナポリ王国|ナポリ]]王アロンゾーから。 ; [[アリエル (衛星)|アリエル]] : 世界各地の妖精。エアリアルが『テンペスト』に登場する妖精であることから。最大のクレーターは[[日]]をもたらす妖精[[ヤングア]]から。 ; [[ウンブリエル]] : 世界各地の[[悪霊]]。ウンブリエルが『[[髪盗人]]』に登場する妖精であることから。最大のクレーターは[[西アフリカ]]の[[バランバ族]]の悪霊[[ウォコロ]]から。 ; [[チタニア (衛星)|ティタニア]] : [[ウィリアム・シェイクスピア|シェイクスピア]]作品の女性[[王族]]。[[タイターニア]]が『[[夏の夜の夢]]』の妖精女王であることから。最大のクレーターは[[ハムレット]]の母ガートルードから。 ; [[オベロン (衛星)|オベロン]] : シェイクスピア作品の男性王族。[[オーベロン]]が『夏の夜の夢』の妖精王であることから。最大のクレーターは[[ハムレット]]から。 ; [[トリトン (衛星)|トリトン]] : 世界各地の[[水妖]]。最大のクレーターは[[タンザニア]]の[[チャガ族]]の伝説上の[[魚]][[マゾンバ]]から。 ==== 小惑星 ==== ; [[エロス (小惑星)|エロス]] : 愛にまつわる物語の登場人物。[[エロス]]が愛の神であることから。最大のクレーターはギリシャ神話の恋心の神[[ヒメロス]]から。日本からは[[光源氏|ゲンジ]]と[[藤壺|フジツボ]]が。 ; [[ガスプラ (小惑星)|ガスプラ]] : 世界各地の[[温泉]]。[[ガスプラ]]が[[ウクライナ]]の温泉地であることから。最大のクレーターは[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の[[サラトガスプリング|サラトガ]]から。日本からは[[別府温泉|ベップ]]。 ; [[マティルド (小惑星)|マティルド]] : 世界各地の[[炭田]]。マティルドが[[石炭]]のように黒いことから。最大のクレーターは[[南アフリカ共和国|南アフリカ]]の[[カロー]]から。日本からは[[石狩炭田|イシカリ]]が。 ; [[イダ (小惑星)|イダ]] : 世界各地の[[洞窟]]。[[イディ山|イダ山]]中の洞窟で[[イーデー|イダ]]が[[ゼウス]]を育てた神話から。最大のクレーターは[[フランス]]の[[ラスコー洞窟|ラスコー]]から。 ; [[ベスタ (小惑星)|ベスタ]] : [[ウェスタの処女]]。ベスタがローマの女神[[ウェスタ]]にちなむことから。最大のクレーターは[[レア・シルウィア|レアシルヴィア]]から。 ; [[シュテインス (小惑星)|シュテインス]] : [[宝石]]。シュテインスが[[ダイアモンド]]のような形状をしていることから。最大のクレーターはダイアモンド。 == 爆発クレーター == クレーターは隕石の衝突以外にも、隕石に匹敵するほどのエネルギーが瞬時に一箇所で発散される現象(つまり[[爆発]])によっても生み出される。 [[ファイル:Sedan Plowshare Crater.jpg|thumb|200px|セダン実験で出来たクレーター]] [[冷戦]]時代は[[核爆発]]により[[ネバダ核実験場]]などに多数の核爆発によるクレーターが出来たが、そのほとんどはその後風雨により自然消滅したか、人為的に埋められた。 しかし強力な爆発が起こったものや、雨のなかなか降らない地域で行われた実験場では、いまだに何十年も前の核爆発クレーターが痕跡として残っているところもある。 右画像のクレーターは[[1962年]][[7月6日]]、ネバダ核実験場で行われた[[セダン核実験]]によるクレーターで、その際に放出されたエネルギーは435テラ[[ジュール]]([[TNT換算]]で104キロトン)。直径約390m、深さ約97.5mのクレーターが出来た。 == 脚注 == {{reflist}} == 参考文献 == {{refbegin}} * {{Cite book | 和書 | author=宮本 英昭、平田 成、杉田 精司、橘 省吾 | title=惑星地質学 | publisher=東京大学出版会 | year=2008}} {{refend}} == 関連項目 == * [[隕石]] * [[隕石衝突]] * [[太陽系の天体の最も大きなクレーターの一覧]] == 外部リンク == {{Commonscat|Impact craters}} * [http://planetarynames.wr.usgs.gov/ USGS Gazetteer of Planetary Nomenclature] {{DEFAULTSORT:くれた}} [[Category:クレーター|*]]
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