クルースンのソースを表示

{{参照方法|date=2013年2月}}
{{暫定記事名|date=2007年7月}}
{{天体 基本
| 幅 = 
| 色 = 小惑星
| 和名 = クルースン<br />（クルイシン他）
| 英名 = 3753 Cruithne
| 画像ファイル = Cruithne.jpg
| 画像サイズ = 250px
| 画像説明 = [[パウエル天文台]]で撮影されたCruithne
| 画像背景色 =
| 仮符号・別名 = 1986 TO
| 分類 = [[地球近傍小惑星]]
| 軌道の種類 = [[アテン群]]<br />（[[火星横断小惑星|火星横断]]<br />[[金星横断小惑星|金星横断]]）
}}
{{天体 発見
| 色 = 小惑星
| 発見日 = [[1986年]][[10月10日]]
| 発見者 = [[ダンカン・ワルドロン|J. D. ワルドロン]]
}}
{{天体 軌道
| 色 = 小惑星
| 元期 = 2012年9月30日 ([[ユリウス通日|JD]] 2,456,200.5)
| 軌道長半径 = 0.998 [[天文単位|AU]]
| 近日点距離 = 0.484 AU
| 遠日点距離 = 1.511 AU
| 離心率 = 0.515
| 公転周期 = 1.00 年<br />（363.98 日）
| 平均軌道速度 = 29.82 km/s
| 軌道傾斜角 = 19.81 [[度 (角度)|度]]
| 近日点引数 = 43.80 度
| 昇交点黄経 = 126.25 度
| 平均近点角 = 277.23 度
}}
{{天体 物理
| 色 = 小惑星
| 直径 = 5 [[キロメートル|km]] 以下
| 質量 = 1.3 {{e|14}} [[キログラム|kg]]
| 平均密度 = 2.0? [[グラム毎立方メートル|g/cm<sup>3</sup>]]
| 表面重力 = 0.0014 [[メートル毎秒毎秒|m/s<sup>2</sup>]]
| 脱出速度 = 0.0026 [[メートル毎秒|km/s]]
| 自転周期 = 27.44 時間
| スペクトル分類 = Q
| 絶対等級 = 15.1
| アルベド = 0.15（推定）
| 表面温度 = ~378 [[絶対温度|K]]
}}
{{天体 終了
| 色 = 小惑星
}}
'''クルースン''' (3753 Cruithne)（日本ではほかに'''クルイシン'''、'''クルイーニャ'''、'''クルーフニェ'''、'''クルイニェ'''などの表記がある）は[[太陽系]]の[[地球近傍小惑星]]（[[アテン群]]）であり、[[地球]]に沿った軌道を持つ（一部に地球の[[自然衛星]]であると唱える者もいるが事実ではない）。

[[1986年]][[10月10日]]、[[オーストラリア]]の[[クーナバラブラン]]市にある[[サイディング・スプリング天文台]]において、[[ダンカン・ワルドロン]] (J. Duncan Waldron) が[[ロバート・マクノート]]、[[マルコム・ハートレイ]]、[[マイケル・ホーキンス]]らと共に発見した。その後、[[1983年]]に[[チリ]]の[[ヨーロッパ南天天文台]]で発見された1983 UHと同一であることが判った。

== 名前 ==
クルースンは、[[イギリス]]諸島に最初に住み着いた[[ケルト人|ケルト]]の部族集団クリフニャ族にちなんで命名された。クリフニャ族は[[ヨーロッパ大陸]]から移り住み、イギリス諸島に現れたのは、紀元前800年から同500年にかけてである[http://www.electricscotland.com/webclans/cairney/51.htm]。

当時のケルト人が「Cruithne」をどう発音していたのか、正確なところはわかっていない。現代のアイルランド・ゲール語での発音は、[[英語版ウィキペディア]]などを元にカタカナで表記すると、「クリフニャ」が近い ({{IPA|ˈkrihnʲə}}) が、英語化された発音では「クルーフニェ」({{IPA|krúxnjə}}) となる<ref>『リーダーズ・プラス』研究社（1994年）</ref>。ただし小惑星の名称については、ポール・ウィガートのWebサイト（外部リンク参照）では「krooy-nyuh」または「KROOee-nyuh」と発音するべきだとされており、これに近い表記は「クルイーニャ」などである。日本では現在のところ、「クルースン」もしくは「クルイシン」と表記されることが多い。

== 軌道 ==
[[ファイル:Horseshoe orbit of Cruithne from the perspective of Earth.gif|frame|left|地球から見たクルースンは豆のような形の軌道を描く。さらに長期的には、この豆自体が地球の軌道に沿って往復運動する。]]
[[ファイル:Orbits of Cruithne and Earth.gif|frame|left|クルースンと地球がそれぞれの軌道を周っている。]]
[[1997年]]までに、[[カナダ]]・[[ヨーク大学 (カナダ)|ヨーク大学]]の[[ポール・ウィガート]]と[[キンモ・イナネン]]、[[フィンランド]]・[[トゥルク大学]]の[[セッポ・ミッコラ]]によって、この小惑星が異常な軌道を持つことが割り出された。

クルースンは、実際には地球の周りを回っているわけではない。その代わり、地球の軌道の周りを螺旋状に動く。クルースンの（見かけ上）[[馬蹄形軌道|馬蹄形の軌道]] ([[:en:Horseshoe orbit|Horseshoe orbit]]) の両端では、それぞれ地球の反対側に接近するが、接触はしない。近日点は金星よりも太陽に近く、遠日点は火星軌道の長半径とほぼ等しい。

馬蹄形の軌道自体が回転するため、クルースンが元の馬蹄形軌道に戻るには地球年で385年かかる。このようにクルースンの軌道は地球から観測する限り非常に複雑に見え、直感にも反する。しかし、太陽を基準に取ると、理解しやすい。多少楕円形ではあるが、比較的平凡な軌道をほとんど地球年の1年で公転する。地球の重力が楕円軌道にわずかな影響を与えるため、クルースンの[[歳差運動]]が変化し、極端に軌道が地球に近づくことはなくなる。

クルースンは直径約5kmで、地球に1500万kmまで接近する。これは地球 - [[月]]間の距離の約40倍である。クルースンの軌道は長期的には安定していないと考えられているが、ウィガートとイナネンの計算によると、長い年月にわたって地球の軌道と同期していたことが分かった。この先数百万年の間、衝突の危険がないことは確実である。

クルースンと同様に地球と[[共鳴軌道]]にある別の地球近傍小惑星は、2004年現在で3つ発見されている。(54509) [[YORP (小惑星)|YORP]] ({{mp|2000 PH|5}})、{{mpl|(85770) 1998 UP|1}}、{{mpl|2002 AA|29}}である。

<!-- この記事を執筆した時点で、-->他にクルースンのような馬蹄型の軌道を持つ自然の天体として、[[土星]]の[[衛星]]である[[ヤヌス (衛星)|ヤヌス]]と[[エピメテウス (衛星)|エピメテウス]]が知られている。地球とクルースンの場合に比べれば2つの衛星の質量の違いは遥かに小さいため、2つの衛星は完全に互いの軌道を入れ替わることができる（[[ラグランジュ点#他の同期軌道天体]]、[[土星の衛星と環#共有軌道衛星]]を参照）。

[[火星]]にもこのような共鳴軌道にある小惑星 (5261) [[エウレカ (小惑星)|エウレカ]]があり、[[木星]]には[[トロヤ群]]と呼ばれる約400個もの同種の天体が従っている。[[土星]]にも[[テティス (衛星)|テティス]]に従う[[テレスト (衛星)|テレスト]]と[[カリプソ (衛星)|カリプソ]]や[[ディオネ (衛星)|ディオネ]]に従う[[ヘレネ (衛星)|ヘレネ]]のような[[トロヤ衛星]]がある。しかしながら、いずれも馬蹄形の軌道はとっていない。

[[SF作家]]の[[スティーヴン・バクスター]]は、クルースンの奇妙な軌道のためか、著書「Manifold:Time（多様体：時間）」のなかでクルースンを舞台に取り上げている。

== 参考文献 ==
<references/>

== 関連項目 ==
{{commons|(3753) Cruithne}}
* [[小惑星の一覧 (3001-4000)]]
* [[準衛星]]
* [[軌道共鳴]]
* [[ラグランジュ点]]

== 外部リンク ==
* [http://ssd.jpl.nasa.gov/sbdb.cgi?sstr=3753 Cruithneの軌道要素] {{en icon}} （JPL）
* [http://www.astro.uwo.ca/~wiegert/3753/3753.html 軌道を確定したP.ウィガートのWebサイト Paul Wiegert's page about Cruithne, with movies] {{en icon}}
* [http://burtleburtle.net/bob/physics/cruithne.html クルースンの軌道を表示するJava Applet]
* [http://www.dalriada.co.uk/ ケルトの歴史についての英語のWebサイト (The Dalriada Celtic Heritage Trus)]
* [http://en.wikipedia.org/wiki/3753_Cruithne （2004年11月20日 15:13版より訳出）]


{{小惑星ナビゲーター|カミッロ (小惑星)|キャスリーン (小惑星)}}
{{DEFAULTSORT:くるうすん}}

[[Category:準衛星|地くるうすん]]
[[Category:アテン群の小惑星]]
[[Category:金星横断小惑星]]
[[Category:地球横断小惑星]]
[[Category:地球近傍小惑星でもある火星横断小惑星]]
[[Category:Q型小惑星]]
[[Category:天文学に関する記事]]