クリミア半島のソースを表示

{{Infobox 半島
|半島名=クリミア半島
|画像=[[ファイル:Satellite image of Crimea.png|239px]]<br />クリミア半島の衛星写真<br />[[ファイル:Crimea (orthographic projection).svg|239px]]
|座標={{Coord|45.3|34.4|scale:2000000|display=inline,title}}
|面積=26,844
|周囲=
|標高=1,545
|最高峰=[[クリミア山脈|ロマン・コーシュ山]]
|最大都市=[[ファイル:Flag_of_Sevastopol.svg|border|25x20px]] [[セヴァストポリ]]<br />（{{RUS}}（事実上））
|大陸・島=[[ユーラシア大陸]]
|海域=[[黒海]]・[[アゾフ海]]
|国=帰属係争中
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{{RUS}}・[[クリミア連邦管区]]<br />
[[クリミア共和国]]<br />
[[セヴァストポリ|セヴァストポリ連邦市]]
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{{UKR}}<br />
[[クリミア自治共和国]]<br />
[[セヴァストポリ|セヴァストポリ特別市]]
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'''クリミア半島'''（クリミアはんとう）、または単に'''クリミア'''（{{lang-en|Crimea}}, {{lang-ru|Крым}}, {{lang-uk|Крим}}, {{lang-crh|Qırım}}）は、[[黒海]]の北岸にある[[半島]]。面積は2万6844km<sup>2</sup><ref>http://w1.c1.rada.gov.ua/pls/z7502/A005?rdat1=02.03.2014&rf7571=2</ref><ref>http://w1.c1.rada.gov.ua/pls/z7502/A005?rdat1=02.03.2014&rf7571=41624</ref>、2014年1月1日時点の人口は235万3100人<ref name="population">{{Internetquelle | url=http://www.ukrstat.gov.ua/operativ/operativ2014/ds/kn/kn_e/kn0114_e.html | titel=Population as of January 1, 2014. Average annual populations 2013 | hrsg=State Statistics Service of Ukraine | zugriff=2014-03-25 | sprache=en}}</ref>。

1991年の独立以来[[ウクライナ]]に属していたが、2014年の[[2014年クリミア危機|クリミア危機]]で[[ロシア]]への編入の是非を問う[[2014年クリミア住民投票|住民投票]]が実施されて以降、帰属について国際的な係争状態にある。ロシアは[[ロシアによるクリミア・セヴァストポリの編入|自国に編入]]し、[[クリミア連邦管区]]を置いて実効支配しているが、ウクライナは現在も自国の領土の一部であるとしている。
==名称==
「半島」という単語を用いてクリミア半島と呼ぶ場合と、単にクリミアと呼ぶ場合がある。

'''クリミア半島'''は、英語で{{lang|en|Crimean Peninsula}}、ロシア語で{{lang|ru|Крымский полуостров}}、ウクライナ語で{{lang|uk|Кримський півострів}}、クリミア・タタール語の[[キリル文字]]表記で{{lang|crh|Къырым ярымадасы}}、同じく[[ラテン文字]]表記で{{lang|crh|Qırım yarımadası}}。

'''クリミア'''は、英語で{{lang|en|Crimea}}、ロシア語で{{lang|ru|Крым}}、ウクライナ語で{{lang|uk|Крим}}、クリミア・タタール語の[[キリル文字]]表記で{{lang|crh|Къырым}}、同じく[[ラテン文字]]表記で{{lang|crh|Qırım}}。

日本語で一般的な名称となっている「クリミア」は英語の{{lang|en|Crimea}}（{{IPA|kɹaɪˈmiːə}} <small>クライミア</small>）に由来する。

このほか、ロシア語{{lang|ru|Крым}}（{{IPA|krɨm}} <small>クルィム</small>）またはウクライナ語{{lang|uk|Крим}}（{{IPA|krɪm}} <small>クルィム</small>）のカタカナ表記から'''クルィム'''、ロシア語の日本語表記の異形またはドイツ語の{{lang|de|Krim}}（{{IPA|kʀɪm}} <small>クリム</small>）から'''クリム'''と呼ぶこともある。

これらのヨーロッパ諸言語に基づく名称は、クリミア・タタール語を含む[[テュルク諸語]]による古くからの名称 {{lang|ota|قريم}} / Qïrïm / {{lang|crh|Qırım}} （{{IPA|qɯˈrɯm}} <small>クルム</small>）に由来する。クルムは、もともとはキプチャク・ハン国（[[ジョチ・ウルス]]）時代のクリミア半島の中心都市（現在の[[スタールイ・クルイム]]）の都市名で、[[オスマン帝国]]が[[クリミア・ハン国]]を支配していた時代に半島全体の名称となった<ref>Vasily Radlov|W. Radloff, ''Versuch eines Wörterbuches der Türk-Dialecte'' (1888), ii. 745</ref>。クルムの語源は確かではなく、[[古テュルク語]]で「丘」、「尾根」、「山の頂」などを意味した“*Kɨr”<ref>http://starling.rinet.ru/cgi-bin/response.cgi?single=1&basename=%2fdata%2falt%2fturcet&text_number=1013&root=config&encoding=utf-eng</ref>という単語にあてる説<ref>Sergei Starostin, Vladimir Dybo, Oleg Mudrak (2003), ''Etymological Dictionary of the Altaic Languages'', Leiden: Brill Academic Publishers. Other suggestions include Greek or Mongol etymologies (Adrian Room, ''Placenames of the World'', 2003, [http://books.google.co.uk/books?id=PzIer-wYbnQC&pg=PA96  p. 96]</ref>、黒海北岸の古代地名である「[[キンメリア人|キンメリア]]」と関係あるとする説<ref>{{cite book|last=Asimov|first=Isaac|title=Asimov's Chronology of the World|year=1991|publisher=HarperCollins|location=New York|pages=50}}</ref>などがある。

ヨーロッパでは、古くは[[ギリシア語]]の地名{{lang|el|Ταυρική}}（タウリケ）に由来する[[タウリカ]]、[[タウリス]]と呼ばれていた。この名前は古代にクリミア半島に居住していた[[スキタイ]]＝キンメリア系民族の[[タウロイ]]に由来する。[[ストラボン]]と[[クラウディオス・プトレマイオス|プトレマイオス]]は、現在の[[ケルチ海峡]]を「ボスポロス・キンメリオス」（キンメリア海峡）、タウリカの中心都市を「キンメリウム」、半島そのもの又は最東端の岬のことを「プロモントリウム・キンメリウム」（キンメリア岬）とキンメリア人と関連づけて呼んでいる<ref>''An universal history, from the earliest accounts to the present time'', vol. 9 (1779), [http://books.google.ch/books?id=CCsIAAAAQAAJ&pg=PA127  p. 127].</ref>。

英語でのクリミア系統の名称の用例は、18世紀にクリミア・ハン国を指してクリム・タルタリー（Crim Tartary）としたものがある<ref>Edward Gibbon, ''The History of the Decline and Fall of the Roman Empire'', Volume 1, [http://books.google.ch/books?id=LvENAAAAQAAJ&pg=PA306 306f.] "the peninsula of Crim Tartary, known to the ancients under the name of Chersonesus Taurica"; ibid. Volume 10 (1788), p. 211: "The modern reader must not confound this old Cherson of the Tauric or Crimean peninsula  with Kherson|a new city of the same name".
see also John Millhouse, ''English-Italian'' (1859), [http://books.google.ch/books?id=jfAPAAAAYAAJ&pg=PA597 p. 597]</ref>。英語のCrimeaのつづりは[[イタリア語]]（少なくとも17世紀にはこの名称が使用されていた<ref>Maiolino Bisaccioni, Giacomo Pecini, ''Historia delle guerre ciuili di questi vltimi tempi, cioe, d'Inghilterra, Catalogna, Portogallo, Palermo, Napoli, Fermo, Moldauia, Polonia, Suizzeri, Francia, Turco''. per Francesco Storti. Alla Fortezza, sotto il portico de'Berettari, 1655, [http://books.google.ch/books?id=o1AQbgLabIoC&pg=PA349 p. 349]: "dalla fortuna de Cosacchi dipendeva la sicurazza della Crimea".
Nicolò Beregani, ''Historia delle guerre d'Europa'', Volume 2 (1683), [http://books.google.ch/books?id=28BCAAAAcAAJ&pg=PA251 p. 251].</ref>。）由来で1780年代に使われ<ref>J. Dodsley, ''The annual register or a view of the history, politics, and literature for the year 1783'' (1785), [http://books.google.ch/books?id=oY1h2Pa1kaUC&pg=PA364 p. 364].</ref>、19世紀を通じて英語の伝統的な名称であったタウリカやタウリスに置き換わった。

ロシア語では、古名であるタウリカが、18世紀末に[[ロシア帝国]]が併合したクリミア半島に[[タヴリダ県|タヴリダ州]]を設置したことで復活している<ref>Edith Hall, ''Adventures with Iphigenia in Tauris'' (2013), [http://books.google.ch/books?id=CjwfAQAAQBAJ&pg=PA176 p. 176]:
"it was indeed at some point between the 1730s and the 1770s that the dream of recreating ancient 'Taurida' in the southern Crimea was conceived. Catherine's plan was to create a paradisiacal imperial 'garden' there, and her Greek archbishop ugenios Voulgaris obliged by inventing a new etymology for the old name of Tauris, deriving it from ''taphros'', which (he claimed) was the ancient Greek for a ditch dug by human hands." 
</ref>。
タヴリダの地名は[[ソビエト連邦|ソ連]]以降、公式の行政地名としては用いられていないが、クリミア半島に所在する機関や団体の名称に用いられることがあり、[[タヴリダ国立大学]]、[[SCタフリヤ・シンフェロポリ]]などがある。

==歴史==
[[File:Національний заповідник «Херсонес Таврійський» 2.jpg|thumb|upright|ギリシア人の植民都市[[ケルソネソス]]の遺跡]]
[[File:Ласточкино гнездо.jpg|thumb|upright|[[ツバメの巣 (ヤルタ)|ツバメの巣]]（[[ヤルタ]]）。帝政末期の1912年に建設されたクリミアのランドマーク]]
{{main|クリミアの歴史}}
古代には、[[キンメリア人]]と[[スキタイ|スキタイ人]]の居住地であるとともに、[[古代ギリシア|ギリシア人]]の植民都市が建設された。この時代の主要都市である[[ケルソネソス]]は現在の[[セヴァストポリ]]の近郊にあった。

その後、[[古代ローマ|ローマ人]]、[[クリミアゴート族|ゴート人]]、[[フン族|フン人]]、[[ブルガール人]]、[[ハザール|ハザール人]]、[[キエフ大公国]]、[[東ローマ帝国|ビザンティン帝国]]、[[キプチャク|キプチャク人]]などによる支配を受けた。13世紀には[[モンゴルのルーシ侵攻|モンゴルの征服]]を受けて[[モンゴル帝国]]の分枝である[[ジョチ・ウルス]]（キプチャク・ハン国）の支配下に入り、沿岸の一部が[[ヴェネツィア共和国|ヴェネツィア]]と[[ジェノヴァ共和国|ジェノヴァ]]の統治下におかれた。

1441年から1779年まで、ジョチ・ウルスの継承政権である[[クリミア・ハン国]]が[[オスマン帝国]]の属国となって存続した<ref>{{cite web |author=Brian Glyn Williams |title=The Sultan’s Raiders: The Military Role of the Crimean Tatars in the Ottoman Empire |url=http://www.jamestown.org/uploads/media/Crimean_Tatar_-_complete_report_01.pdf |work=The Jamestown Foundation|year=2013|page=27|accessdate=?}}</ref>。1783年に[[ロシア帝国]]の[[エカチェリーナ2世]]がクリミア・ハン国を併合した。1853年から1856年にかけては[[フランス第二帝政|フランス]]、[[イギリス帝国|イギリス]]、オスマン帝国および[[サルデーニャ王国]]の同盟軍とロシア帝国が激突した[[クリミア戦争]]の主要な戦場となった。

1917年に始まる[[ロシア内戦]]では、クリミアは[[白軍]]（反革命側）に占拠されていた。白軍が[[赤軍]]によって駆逐された後、クリミアは[[ソビエト連邦]]の一部となり、1921年に[[クリミア自治ソビエト社会主義共和国]]が置かれた。[[第二次世界大戦]]では、数年にわたって[[ナチス・ドイツ]]の占領下にあった。

1954年、クリミアは[[ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国]]から[[ウクライナ・ソビエト社会主義共和国]]へとソ連構成国間の移管が行われた<ref>"[http://www.theguardian.com/world/2014/mar/10/ukraine-and-west-hot-air-hypocrisy-crimea-russia Ukraine and the west: hot air and hypocrisy]". ''The Guardian''. March 10, 2014.</ref>。1991年の[[ソ連崩壊]]により独立した[[ウクライナ]]に属する[[クリミア自治共和国]]となった。

[[2014年クリミア危機]]の結果、クリミア半島の帰属はウクライナと[[ロシア|ロシア連邦]]との間で現在係争状態にある。クリミア半島全域がロシアと親ロシア派によって掌握される中、ウクライナに留まって自治を拡大するかロシア連邦に編入されるかが問われた[[2014年クリミア住民投票|住民投票]]を受けて、ロシアは[[ロシアによるクリミア・セヴァストポリの編入|クリミア編入]]を行ったが、ウクライナ政府および国際社会の多数派はこれを認めていない。

==政治==
{{see|2014年クリミア危機|ロシアによるクリミア・セヴァストポリの編入}}

[[2014年クリミア住民投票]]の結果、3月18日に[[ロシア]]が[[ロシアによるクリミア・セヴァストポリの編入|クリミア半島の編入]]を宣言し、[[クリミア共和国]]と[[セヴァストポリ]]連邦市を自国の[[ロシア連邦の地方区分|連邦構成主体]]とした。事実上、ロシアの実効支配下にあるが、ウクライナ政府および国際社会の多数派は、住民投票およびロシアによる編入を非合法のものであったとして承認しておらず、[[国際連合総会]]は住民投票を無効とする決議を賛成100か国、反対11か国（棄権58か国）で採択した<ref name= UN>{{cite web |url=http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=47443&Cr=Ukraine&Cr1= |title=Backing Ukraine’s territorial integrity, UN Assembly declares Crimea referendum invalid |date=27 March 2014|publisher=UN News Centre |accessdate=28 March 2014}}</ref>。

国際社会がロシアによる事実上の編入以降も法的に存続しているとみなす[[ウクライナ]]領の[[クリミア自治共和国]]は、1991年に設立された。1990年代には一時期、[[大統領]]がいたこともあったが、その後はウクライナ中央政府が派遣する大統領特別代表の下に、議院内閣制を採用していた。立法府は100議席のクリミア自治共和最高会議で、ウクライナ実効支配下で最後に行われた2010年選挙ではクリミア住民の大半を占める[[ロシア人]]などの[[ロシア語]]話者を支持基盤とした[[地域党]]が50選挙区のうちの48区で勝利した<ref name="SvobodawonthankstoYanu">[http://www.osw.waw.pl/en/publikacje/eastweek/2010-11-04/local-government-elections-ukraine-last-stage-party-regions-takeover- Local government elections in Ukraine: last stage in the Party of Regions’ takeover of power], Centre for Eastern Studies (October 4, 2010)</ref>。

政府による公式の統治機構と別に、[[クリミア・タタール人]]の民族自治機関として[[クリミア・タタール民族会議]]（メジュリス）が活動している<ref>{{cite web|url=http://www.csmonitor.com/2007/0220/p09s02-coop.html |title= A lesson in stifling violent extremism |accessdate=March 26, 2007 |author= |last=Ziad |first=Waleed | coauthors=Laryssa Chomiak |date=February 20, 2007 |work=CS Monitor }}</ref>。

==行政区分==
[[ファイル:Crimea republic map.png|thumb|300px|クリミア自治共和国/クリミア共和国（黄色）とセヴァストポリ特別市/セヴァストポリ連邦市（ピンク）]]
{{Main|クリミア自治共和国|クリミア共和国|クリミアの行政区画}}

ウクライナ領としては[[クリミア自治共和国]]と[[セヴァストポリ]]特別市、ロシア領としては[[クリミア共和国]]とセヴァストポリ連邦市が置かれる。

クリミア自治共和国は[[単一国家]]であるウクライナでは唯一の自治共和国であり、セヴァストポリは[[ロシア海軍]]の[[黒海艦隊]]が租借する基地があるという重要性から自治共和国の管轄外でウクライナ中央に直属する特別市となっている。ロシアはクリミア自治共和国を[[クリミア共和国]]として編入し、セヴァストポリは都市単独で州や共和国と対等な[[ロシア連邦の地方区分|連邦構成主体]]である[[ロシアの連邦市|連邦市]]とした。ロシアはクリミア半島の連邦構成主体を管轄させるため、[[クリミア連邦管区]]を設置している。

クリミア自治共和国/クリミア共和国は14郡と11の基礎自治体からなり、セヴァストポリは5区に分かれている。

== 地理 ==
[[File:Sivash, Ukraine.jpg|thumb|left|300px|腐海（スィヴァーシュ）とペレコープ地峡（ピンク色に濁った海域の西側）]]

クリミア半島の位置は、北緯44度23分-44度23分（約322km）、東経32度30分-32度30分（約177km）。面積は2万6844km2で、日本列島と比較すると四国より大きく、九州より小さい。

北部は幅5-8kmの[[ペレコープ地峡]]によって[[ユーラシア大陸]]（[[ウクライナ]]の[[ヘルソン州]]）とつながっている。ペレコープ地峡の東は、[[アゾフ海]]にかけて極めて浅い干潟のような[[腐海]]（スィヴァーシュ）と呼ばれる[[潟]]が広がり、大陸側から突き出した{{仮リンク|チョンガル半島|en|Chongar Peninsula}}との間の浅く狭い海峡にも自動車と鉄道の渡れる短い橋で接続している。クリミアの東端は{{仮リンク|ケルチ半島|en|Kerch Peninsula}}と呼ばれる細長い陸地で、最狭部の幅が3.1kmほどの[[ケルチ海峡]]を挟んで[[ロシア]]の[[クラスノダール地方]]から伸びる[[タマン半島]]と向かい合っている。ロシアはクリミア半島を事実上編入した後、ケルチに車道橋を架橋する計画を立てている<ref>{{Cite news|url=http://jp.rbth.com/business/2014/03/21/47637.html|title=クリミア半島へ架橋|newspaper=ロシアNOW|date=2014-03-21|accessdate=2014-04-05}}</ref>。

全体的な地形は、北部・中部の[[ステップ]]と、南部の山岳地帯、および沿岸部に分かれる。

海岸は浸食されて多くの入り江を形成している。ペレコープ地峡の西側には複数の港を持つカーキニット湾がある。カラミタ湾のある南西の海岸には、[[イェウパトーリヤ]]、[[セヴァストポリ]]、[[バラクラヴァ]]の港があり、[[1854年]]の[[クリミア戦争]]など何度かの戦争で激戦地となった。[[ケルチ海峡]]の北側には、アラバト湾またはイエニカレ湾があり、同じく南側には、[[ジェノヴァ共和国]]と[[オスマン帝国]]が黒海交易の拠点としたカッファ港のあるフェオドシヤ湾（カッファ湾）がある。

南東の海岸は、[[クリミア山脈]]（ヤイラ山地）にそって、すぐ8-12kmのところにある。内陸部にはもう一つアルピンメドゥーの山々が並んでいる。これらの山々は、{{仮リンク|ヘラクレス半島|uk|Гераклейський півострів|ru|Гераклейский полуостров|en|Heracles peninsula}}の南西の先端では、黒海の海底から標高600から750mまで、急勾配にそびえ立っている。その{{仮リンク|フィオレンテ|uk|Фіолент|ru|Фиолент|label=フィオレンテ岬}}の頂上には、ギリシャ人の女司祭[[イーピゲネイア]]が仕えた[[アルテミス]]の神殿があったと考えられている。

半島の中央部から北部は山地から北西方向になだらかに傾斜し、[[東ヨーロッパ平原]]に連なるステップになっている。ステップは半島の75%を占め、古代からロシア併合まで[[遊牧民]]が放牧を行っていた地域で、古代[[スキタイ|スキタイ人]]の墓や古墳が点在している。

ヤイラ山地の背面の風景はまた違ったものになっていて、細い海岸線や山地の斜面は、草木で覆われている。ロシアの[[リビエラ]]と言われる場所が、[[サールィチ岬]]からフェオドシヤまでの{{仮リンク|クリミア南岸|ru|Южный берег Крыма|label=南岸}}である。そこには、{{仮リンク|フォロス|ru|Форос|en|Foros, Ukraine}}、{{仮リンク|アルプカ|uk|Алупка|ru|Алупка|en|Alupka}}、[[ヤルタ]]、{{仮リンク|グルズフ|uk|Гурзуф|ru|Гурзуф|label=グルスフ}}、{{仮リンク|アルシタ|uk|Алушта|ru|Алушта|en|Alushta}}、{{仮リンク|スダク|uk|Судак (місто)|ru|Судак (город)|en|Sudak}}、[[フェオドシヤ]]など、夏の海水浴リゾート地が軒をつらねている。また、[[タタール人]]の村の遺跡や、[[モスク]]、カトリックの[[修道院]]も数多くある。ロシアの皇族や貴族たちがよく訪れた場所でもあり、[[古代ギリシア]]の趣ある遺跡や、中世に建てられた要塞なども見ることができる観光地である。

==経済==
[[Image:Koreiz - beach3.jpg|thumb|観光客で賑わう海水浴場。観光はクリミア経済における主要産業となっている。]]

工業地帯は主にクリミア半島の北部に位置する。主要な工業都市はクリミア半島内の各地とウクライナの本土（大陸）側を結ぶ鉄道の結節点となっている[[ジャンコイ]]である。ほかの都市にに[[クラスノペレコプスク]]、[[アルミャンスク]]などがある。クリミアにおける主要な工業分野には食品、化学、機械製造、金属加工、および燃料生産が含まれる<ref name = "CMU"/>。工業市場の60%は食品製造業が占める。製造業の企業数は大規模なものが291社、小規模なものが1002社である<ref name = "CMU"/>。

農業は穀物、野菜、園芸と、[[ウクライナワイン]]の一種として知られ、特に[[ヤルタ]]や[[マッサンドラ]]で盛んなブドウ果樹栽培などが行われている。畜産は牧畜、養鶏、畜羊などである<ref name="CMU">{{cite web|url=http://www.kmu.gov.ua/control/en/publish/printable_article?art_id=301361 |title=Autonomous Republic of Crimea – Information card |accessdate=February 22, 2007 |work=Cabinet of Ministers of Ukraine }}</ref>。クリミア半島のその他の生産物には[[塩]]（海塩）、[[斑岩]]、[[石灰岩]]、[[鉄鉱石]]（[[ケルチ]]近郊で採掘される）がある<ref>{{Cite book| title=[[Encyclopædia Britannica Eleventh Edition]] | author=Bealby, John T. | publisher=[[Cambridge University Press]] | year=1911 | page= 449}}</ref>。

このほか、クリミアは陸上および海中の両方に[[ガス田]]を有する。これらはすべてウクライナのパイプラインに接続され、西側の石油・ガス会社によって開発されていた<ref>{{cite news |url=http://www.reuters.com/article/2014/03/07/ukraine-crisis-gas-crimea-idUSL6N0M41R320140307 |title=Ukraine's Black Sea gas ambitions seen at risk over Crimea |date={{date|2014-03-07}} |accessdate={{date|2014-03-07}} |first=Henning |last=Gloystein |publisher=Reuters }}</ref><ref>{{cite web|url=http://www.eegas.com/ukraine.htm |title=East European Gas Analysis - Ukrainian Gas Pipelines |publisher=Eegas.com |date=2013-02-09 |accessdate=2014-03-08}}</ref>。陸上のものは[[チェルノモルスク郡]]と[[ジャンコイ]]にあり、海中のものは西海底の[[黒海]]と北東海底の[[アゾフ海]]にある<ref>{{cite news |url=http://www.bbc.com/news/world-europe-26387353 |title=Ukraine crisis in maps |date={{date|2014-03-05}} |accessdate={{date|2014-03-07}} |publisher=BBC }}</ref>。

===交通===
[[Image:Crimean 52 Simferopol-Alushta-Yalta inter-city trolleybus in Simferopol.jpg|thumb|シンフェロポリとヤルタを結ぶ[[トロリーバス]]]]

クリミアの都市・村の間はバス路線によって結ばれている。[[トロリーバス]]では世界最長の路線がある<ref name="Crimea">{{cite web|url=http://www.blacksea-crimea.com/Places/trolleybuses.html |title=The longest trolleybus line in the world! |accessdate=January 15, 2007 |work=blacksea-crimea.com }}</ref>。この路線は[[シンフェロポリ]]の鉄道駅からクリミア山脈を超えて[[アルシタ]]と[[ヤルタ]]までを3時間で結ぶ全長約96キロメートルの山岳線で、1959年に開通した。

鉄道は[[アルミャンスク]]-[[ケルチ]]線（[[フェオドシヤ]]支線に接続）と、[[メリトポリ]]-[[セヴァストポリ]]線（[[イェウパトーリヤ]]支線に接続）がある。両路線は半島北部の[[ジャンコイ]]で交差したあと、アルミャンスクから[[ペレコープ地峡]]を経て[[ヘルソン州]]へ、ジャンコイから[[腐海]]を渡って[[ザポーリジャ州]]のメリトポリへとウクライナ本土側に接続している。また、イェウパトーリヤには市内と近隣の村を結ぶ[[路面電車]]がある。

海上交通はヤルタ、フェオドシヤ、ケルチ、セヴァストポリ、チョルノモルスクとイェウパトーリヤがそれぞれ結ばれている。

===観光===
クリミアの保養地としての開発は19世紀後半に始まった。交通ネットワークが整備され、[[ロシア帝国]]中央からの観光客が増大した。20世紀初頭には、離宮や別荘の開発が行われた。これらは現存し、クリミアの主要な観光スポットとなっている。

観光開発の次の段階は、空気や湖、環境の療養効果を認めたソビエト政府の政策により始められた。ソ連の労働者にとってクリミアは「健康改善」のための療養地となり、数多くのソ連人民がクリミアを訪れた。

1990年代には、クリミアは「健康改善」のためというよりもリゾートのための保養地となった。多くの観光客が訪れるのは南部海岸の[[ヤルタ]]や[[アルシタ]]、西部海岸の[[イェウパトーリヤ]]や[[サーキ]]、東南部海岸の[[フェオドシヤ]]や[[スダク]]である。[[ナショナルジオグラフィック協会|ナショナルジオグラフィック]]によると、クリミアは2013年の全世界の観光地トップ20のひとつである<ref>[http://travel.nationalgeographic.com/travel/best-trips-2013/ Best Trips 2013 Crimea], [[National Geographic Society]]</ref>。

==住民==
2014年1月1日時点の人口は235万3100人<ref name="population" />で、[[2001年ウクライナ国勢調査]]で報告された237万6151人からわずかに減少している<ref>
クリミア自治共和国 2,033,700人、セヴァストポリ特別市 342,451人。{{cite web|url=http://2001.ukrcensus.gov.ua/eng/regions/reg_crym/ |title= Regions of Ukraine / Autonomous Republic of Crimea |accessdate=December 16, 2006 |work=2001 Ukrainian Census}}</ref>。このうち約200万人が[[クリミア自治共和国]]、約35万人が[[セヴァストポリ]]特別市に居住する。
[[File:Церква Воскресіння Христового Форос 01.jpg|thumb|正教会の聖堂]]
[[File:Stary Krym Meczet Chana Uzbeka.jpg|thumb|スタールイ・クルイムのウズベク・ハン・モスク]]

人口に占める民族の割合は、[[2001年ウクライナ国勢調査|2001年調査]]において、調査対象者が自己申告した民族籍によると以下のとおりである<ref name="census">クリミア自治共和国とセヴァストポリ特別市で5000人以上が記録された民族のみ。{{cite web|url=http://2001.ukrcensus.gov.ua/eng/results/general/nationality/Crimea/ |title= Autonomous Republic of Crimea |accessdate=2014-03-24 |work=2001 Ukrainian Census}}; {{cite web|url=http://2001.ukrcensus.gov.ua/eng/results/general/nationality/Sevastopol/|title=Sevastopol|work=2001 Ukrainian Census|accessdate=2014-03-24}}</ref>。
{|
|
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{{Bar pixel|[[ロシア人]]|#CCCCCC|58.5||1,450,000人（58.5%）}}
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{{Bar pixel|[[ベラルーシ人]]|#FF3300|1.4||35,000人（{{0}}1.4%）}}
{{Bar pixel|[[ヴォルガ・タタール人|タタール人]]|green|0.5||13,500人（{{0}}0.5%）}}
{{Bar pixel|[[アルメニア人]]|#FFE26F|0.4||10,000人（{{0}}0.4%）}}
{{Bar pixel|[[ユダヤ人]]|#71C2FF|0.2||5,500人（{{0}}0.2%）}}
}}
|}
===人口の変遷===
クリミアの民族構成は20世紀前半に劇的な民族移動が起こった結果の産物である。1783年のロシア併合以前の住民は[[イスラム教]][[スンナ派]]を信仰するクリミア・タタール人が多数派で、そのほかに[[正教会]]信徒のギリシャ人（言語的に[[クリミアゴート語]]を話した[[クリミアゴート族|ゴート人]]や[[クリミアタタール語]]を話した[[ウルム人]]を含む）、[[アルメニア教会]]のアルメニア人と、[[ユダヤ教]]を信じるユダヤ人がおり、併合後にロシア人やウクライナ人などの東スラブ系民族が入植した。1879年にクリミア半島を含む地域を管轄した[[ロシア帝国]]の[[タヴリダ県]]で行われた調査によると、当時の人口はクリミア・タタール人が194,294人 (35.55%) 、ロシア人が180,963人 (33.11%)、ウクライナ人が64,703 (11.84%)であった<ref name="1897census">{{Cite web|url=http://demoscope.ru/weekly/ssp/rus_lan_97_uezd_eng.php|title=The First General Census of the Russian Empire of 1897. Breakdown of population by mother tongue and districts* in 50 Governorates of the European Russia|accessdate=2014-04-04}}</ref>。

{| class="wikitable" style="text-align: right;"
|- style="background:#e0e0e0;"
! rowspan="2" | 民族
! colspan="2" | 1897年<ref name="1897census"/>
! colspan="2" | 1926年<ref name="yamauchi">{{Cite book|和書|author=山内昌之|title=瀕死のリヴァイアサン : ペレストロイカと民族問題|year=1990|publisher=TBSブリタニカ|isbn=4-484-90202-8|ncid=BN04545756|}}</ref>{{rp|184}}
! colspan="2" | 1939年<ref name="1897census">{{Cite web|url=http://demoscope.ru/weekly/ssp/rus_nac_39.php?reg=68|title=Всесоюзная перепись населения 1939 года. Национальный состав населения по регионам России|accessdate=2014-04-04}}</ref>
! colspan="2" | 1989年<ref name="census"/>
! colspan="2" | 2001年<ref name="census"/>
|- style="background:#e0e0e0;"
! 人口
! 割合
! 人口
! 割合
! 人口
! 割合
! 人口
! 割合
! 人口
! 割合
|-
| style="text-align:left;"| 総人口
| 546,592人
|100.0%
| 713,823人
|100.0%
| 1,126,429人
|100.0%
| 
|100.0%
| 2,033,700人
|100.0%
|-
| style="text-align:left;"| [[ロシア人]]
| 180,963人
|33.1%
| 301,398人
|42.2%
| 558,481人
|49.6%
| 
|65.6%
| 1,180,441人
|58.5%
|-
| style="text-align:left;"| [[ウクライナ人]]
| 64,703人
|11.8%
| 77,405人
|10.8%
| 154,123人
|13.7%
| 
|26.7%
| 492,227人
|24.4%
|-
| style="text-align:left;"| [[クリミア・タタール人]]
| 194,294人
|35.6%
| 179,094人
|25.1%
| 218,879人
|19.4%
| 
|1.9%
| 243,433人
|12.1%
|-
| style="text-align:left;"| その他の民族
| 106,632人
|19.5%
| 155,926人
|21.9%
| 194,946人
|17.3%
| 
|5.8%
| 117,599人
|5%
|}
（1989年と2001年の数値はセヴァストポリ特別市を除く。）

[[クリミア・タタール人]]は、2001年の国勢調査ではクリミア自治共和国の12.1%、クリミア半島全域の10.2%を占めるに過ぎないが<ref name=2001CensusUKRCR>[http://2001.ukrcensus.gov.ua/eng/results/general/nationality/Crimea About number and composition population of AUTONOMOUS REPUBLIC OF CRIMEA by data All-Ukrainian population census'], Ukrainian Census (2001)</ref>、[[クリミア・ハン国]]が成立した中世後期以降にクリミア半島内で[[キプチャク]]系の[[ノガイ・オルダ|ノガイ族]]の遊牧民と[[オグズ]]系の[[トルコ人|トルコ民族]]、南部の山岳地帯や海岸部に住む元キリスト教徒の諸民族の子孫が混交して形成された土着の民族である<ref name="hayasaka">{{Cite book|和書|author=早坂真理|title=ウクライナ : 歴史の復元を模索する|year=1994|publisher=リブロポート|isbn=4-8457-0973-2|ncid=BN11848882|}}</ref>{{rp|74}}。1944年に[[ヨシフ・スターリン]]の政策で[[中央アジア]]に[[クリミア・タタール人追放|強制移住]]させられ、ソ連末期の1980年代末からクリミア半島に帰還し始めた<ref>Pohl, J. Otto. ''The Stalinist Penal System: A Statistical History of Soviet Repression and Terror''. Mc Farland & Company, Inc, Publishers. 1997. [http://www.euronet.nl/users/sota/statshist.html 23].</ref>。

クリミア半島のユダヤ人は、歴史的には[[ラビ派]]を信仰し[[テュルク諸語]]の[[クリムチャク語]]を使用した[[クリムチャク人]]と[[カライ派]]を信仰しクリムチャク語とは異なるテュルク諸語の[[カライム語]]を使用した{{仮リンク|クリミア・カライム人|ru|Караимы (народ)|en|Crimean Karaites}}からなる。1879年のタヴリダ県の人口調査によると、ラビ派のユダヤ人は4.20%、カライム人は0.43%であった。1939年の時点で約6万5000人いたユダヤ人（クリムチャク人を含み、カライム人は含まない）は第二次世界大戦中のナチス・ドイツによる占領下で、[[ホロコースト]]の犠牲になっている。

{{仮リンク|クリミア・ドイツ人|en|Crimea Germans}}も1939年の時点で6万人いたが、第二次大戦で[[独ソ戦]]が始まると、スターリンの命令で追放された<ref>"[http://www.volgagermans.net/norka/docs/Deportation%20and%20Destruction%20Soviet%20Germans.pdf The Deportation and Destruction of the German Minority in the USSR]" (PDF)</ref> <ref>"[http://jpohl.blogspot.co.uk/2006/08/on-germans-living-on-territory-of.html On Germans Living on the Territory of the Ukrainian SSR]" </ref> <ref>"[http://www.goldade.net/Arrests/NKVD.pdf NKVD Arrest List]" (PDF)</ref>。少数がソ連崩壊後に帰還しており、2001年の国勢調査によると約2500人（0.1%）のドイツ人がクリミアに居住している。クリミア・タタール人、ドイツ人のほか、スターリンは1944年に2万人の[[ギリシャ人]]と1万4000人の[[ブルガリア人]]も追放した<ref>"[http://jrs.oxfordjournals.org/cgi/reprint/4/4/372.pdf The Persecution of Pontic Greeks in the Soviet Union]" </ref>。一連の民族移動の結果、第二次世界大戦後にはロシア人、ウクライナ人、ベラルーシ人の東スラブ系民族以外で規模の大きい民族はクリミア半島から激減して現在に至っている。

===言語===
[[File:Russianlang2001ua.PNG|thumb|ロシア語話者のウクライナの地域別分布図（2001年国勢調査）]]

2001年の国勢調査によると、クリミア自治共和国の住民の77%が[[ロシア語]]を母語としており、自分自身を民族的にロシア人とみなさないウクライナ人などの間でも広くロシア語が話されている。クリミア半島はウクライナの中でもロシア語を日常的に話す人の割合が特に高かった地域で、[[2014年ウクライナ騒乱]]で親ロシア派政権とされる[[ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ]]政権が崩壊した直後に、暫定政権がウクライナ語以外の少数言語を地域公用語とすることを認める法律を廃止した際にクリミアでは強い反発が起こった<ref>{{Cite news|url=http://sankei.jp.msn.com/world/news/140301/erp14030108480008-n2.htm|title=緊迫のクリミア・ルポ　「ロシア編入」求める住民　「権利守るのはプーチンだけ」|newspaper=msn産経ニュース|date=2014-03-01|accessdate=2014-04-05}}</ref>

クリミア・タタール人は93%と非常に高い割合で[[クリミア・タタール語]]を母語と申告しており、クリミア・タタール語話者の人口は自治共和国全体の11.4%である。[[ウクライナ語]]を母語とすると申告した人は10.1%で、民族としてはウクライナ人と申告した人の中でも半分以下（40.4%）に過ぎない<ref>{{cite web|url=http://2001.ukrcensus.gov.ua/eng/results/general/language/Crimea/ |title= Results / General results of the census / Linguistic composition of the population / Autonomous Republic of Crimea |work=2001 Ukrainian Census|accessdate=?}}</ref>。

===宗教===
{{see also|ウクライナの宗教}}
クリミアは[[キリスト教]]の受容が早くに進み、沿岸部に住む[[ギリシャ人]]や山岳地帯に住む[[クリミアゴート族|ゴート人]]が[[正教会]]を信仰していた。8世紀のゴート主教[[イオアンニス (ゴート主教・ドロス府主教)|イオアンニス]]がよく知られている。988年に[[キエフ大公国]]の[[ウラジーミル1世]]はクリミア半島のギリシャ人都市[[ケルソネソス]]（現在の[[セヴァストポリ]]）でキリスト教に改宗した。中部・北部の[[ステップ]]では、[[ハザール]]が[[ユダヤ教]]を信仰していた時代もあったが、13世紀にクリミア半島の支配者となった[[ジョチ・ウルス]]（キプチャク・ハン国）が[[イスラム教]]を受容した。[[スタールイ・クルイム]]には支配下の部族をイスラムに集団改宗させたことで知られる[[ウズベク・ハン]]が1314年に建立した[[モスク]]がある<ref>{{Cite web|url=http://www.iccrimea.org/monuments/monuments.html|title=Crimean Tatar Architecture|publisher=International Committee for Crimea|accessdate=2014-04-05}}</ref>。

[[オスマン帝国]]支配下の[[クリミア・ハン国]]時代、クリミア半島ではイスラム教が浸透していたが、1783年のロシア帝国の併合以降は東スラブ系の正教会が再び優勢となった。現在も全人口の10%ほどのクリミア・タタール人の大部分がイスラム教徒であるが、80%以上を占める東スラブ系民族は[[ロシア正教会]]などのキリスト教徒または無宗教である。

==文化==
[[File:1837. Пушкин в Бахчисарайском дворце.jpg|thumb|170px|バフチサライの泉とプーシキン（グリゴリー・チェルネツォフ画）]]

クリミア半島には古代ギリシア、ローマ以来の遺跡が数多くある。クリミア・ハン国時代の遺跡は、旧都[[バフチサライ]]に現存する[[バフチサライ宮殿|ハン宮殿]]（ハンサライ）が知られる。

ロシアへの併合以降、クリミアはロシアや周辺地域の[[ロマン主義|ロマン派]]に大きな影響を与えた。[[ロシア]]の詩人[[アレクサンドル・プーシキン]]は、[[1820年]]にバフチサライの宮殿を訪問し、代表作のひとつ「[[バフチサライの泉]]」の着想を得た。[[ポーランド]]の詩人[[アダム・ミツキェヴィチ]]にとっては、連作「クリミアのソネット」の背景となった。クリミアを旅行した際に得た詩情を込めた18連作のソネットは、祖国を追われた絶望を東方の文化と自然のロマン主義的な叙述で表現している。[[レフ・トルストイ]]、[[アントン・チェーホフ]]らも一時期クリミアに滞在し、作品を執筆している。

クリミア出身の芸術家としては、[[イヴァン・アイヴァゾフスキー]]が著名である。アイヴァゾフスキーは[[19世紀]]に[[フェオドシヤ]]で[[アルメニア人]]の家系に生まれ、生涯のほとんどをクリミアで過ごした。存命中から海をモチーフにした作品を発表する海洋画家として非常に高名で、彼の作品の多くは黒海を描いている。[[クリミア戦争]]中には戦闘についての作品を描いたことも知られる<ref>{{cite web|last=Rogachevsky|first=Alexander|title=Ivan Aivazovsky (1817-1900)|url=http://www.tufts.edu/programs/mma/fah189/2003/alex/aboutframeset.htm|publisher=Tufts University|accessdate=10 December 2013}}</ref>。

<gallery widths="170px">
File:Burek.jpg|代表的なクリミア・タタール料理、[[チェブレキ]]
File:People at KaZantip.jpg|カザンティプ音楽フェスティバルに集まった人々（2007年）
File:Ivan Constantinovich Aivazovsky - The Russian Squadron on the Sebastopol Roads (detail).JPG|セヴァストポリのロシア艦隊（イヴァン・アイヴァゾフスキー画、1846年）
File:Могила поета і художника М. О. Волошина.JPG|詩人[[マクシミリアン・ヴォロシン]]の墓
</gallery>

==画像==
<gallery mode="packed" heights="170px">
File:Hansaray1.jpg|バフチサライのハン宮殿
File:Dulber Palace.JPG|コレイズのドゥルベル宮殿
File:Комплекс споруд Воронцовського палацу.jpg|アルプカのヴォロンツォフ宮殿
File:Yalta-catholic church.jpg|ヤルタのカトリック教会
File:St. Volodymyr's Cathedral, Chersones.jpg|セヴァストポリの聖ウラジーミル大聖堂
</gallery>

==脚注==
{{reflist|2}}

==関連項目==
{{Commonscat|Crimea}}

*[[クリミア|クリミア (曖昧さ回避)]]
*[[クリミアの歴史]]
*[[クリミア戦争]]
*[[クリミア (小惑星)]]
*[[タウリス (小惑星)]]

{{DEFAULTSORT:くりみあはんとう}}
[[Category:クリミア|*くりみあはんとう]]
[[Category:ウクライナの地形]]
[[Category:ロシアの半島]]
[[Category:ヨーロッパの半島]]
[[Category:黒海]]
{{Link FA|sv}}