クフィル (航空機)のソースを表示

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{{ Infobox 航空機
|名称=IAI クフィル/{{lang|he|IAI כפיר}}
|画像=File:Kfir.jpg
|キャプション=クフィルC2
|用途=[[戦闘機]]
|分類=[[戦闘機]]、[[戦闘爆撃機|戦闘攻撃機]]
|設計者=
|製造者=[[イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ|IAI]]社
|運用者=
|運用者 more=：
**{{ISR}}（[[イスラエル航空宇宙軍|イスラエル空軍]]）
**{{USA}}（[[アメリカ海軍|海軍]]・[[アメリカ海兵隊|海兵隊]]）
**{{ECU}}（[[エクアドル空軍]]）
**{{COL}}（[[コロンビア空軍]]）
**{{SRI}}（[[スリランカ空軍]]）
|初飛行年月日=[[1973年]]
|生産数=220機
|生産開始年月日=
|運用開始年月日=[[1975年]]
|退役年月日=
|運用状況=現役（[[コロンビア]]、[[エクアドル]]、[[スリランカ]]）
|ユニットコスト=  
}}
'''クフィル'''（{{lang|he|Kfir}}）は、[[イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ|イスラエル・エアクラフト・インダストリー]]（IAI）が[[ミラージュIII (戦闘機)|ミラージュIII]]をベースに独自改良を行って開発した[[戦闘機]]。Kfirとは[[ヘブライ語]]で子ライオンの意。[[日本語]]では'''クフィール'''と表記されることもある。

== 概要 ==
=== 開発の経緯 ===
[[第三次中東戦争]]後、[[フランス]]の[[シャルル・ド・ゴール]]政権の[[中東]]外交政策転換により、[[イスラエル航空宇宙軍|イスラエル空軍]]が50機発注した[[ミラージュ5 (航空機)|ミラージュ5]]（ミラージュIIIの電子機器を簡素化し、実戦環境で機体の可動率の効率化を狙った機体）の輸出が禁止されイスラエル空軍に引き渡されなかったことが、本機の開発の発端だった。

これを受け、[[イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ|IAI]]は既に機体の[[ライセンス生産]]の契約を結んでいたミラージュ5に第三国から図面を盗み出し製造した[[SNECMA アター|SNECMA アター9C]][[エンジン]]を組み合わせることで、独自生産型ミラージュ5と言える'''[[ネシェル (航空機)|ネシェル]]'''（{{lang|he|Nesher}}、ヘブライ語で鷲の意）を完成させたものの、イスラエル空軍は高地・高温条件下や兵装搭載時におけるエンジンのパワー不足に不満を持っていた。

そこで、同時期に[[アメリカ合衆国]]から[[F-4 (戦闘機)|F-4E]]を導入した事から、ミラージュIIIのエンジンをF-4Eに搭載されていた[[ゼネラル・エレクトリック J79|J79]]に換装し、能力向上を図る目的で計画された機体'''サルボ'''が開発され、ネシェルとサルボの開発成果を組み合わせた機体であるクフィルの製作へと繋がった。

[[フランス]]製のミラージュIIIにJ79を搭載したサルボは[[1970年]][[10月]]に飛行した。この試作機に続いて[[1973年]][[6月]]に'''ラーム'''（{{lang|he|Raam}}、ヘブライ語で雷鳴の意）と名づけられた[[プロトタイプ]]が製作された。続いて'''バラク'''（{{lang|he|Barak}}、ヘブライ語で電光の意）と名付けられた機体がIAIによって生産され、[[1973年]][[10月6日]]に勃発した[[第四次中東戦争]]中に運用された。クフィルの名称でJ79に最適化された機体の量産開始は第四次中東戦争終了後の[[1975年]][[4月]]のことだった。

輸出も行われたが、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]によるJ79の再輸出許可が大幅に遅れたため少数の国にしか輸出されなかった。その中で[[アメリカ海軍]]・[[アメリカ海兵隊|海兵隊]]は[[F-16 (戦闘機)|F-16N]]が導入されるまでの間、'''F-21'''の名称で[[リース]]し、[[アグレッサー部隊|仮想敵機]]として運用した。その性能は[[MiG-21 (航空機)|MiG-21]]をよくシミュレートできると好評だったという。[[イスラエル]]では既に退役しているが、未だ多数が保管状態にあるとされ、一部はレストアと改修を受け海外保有国に輸出されている。

=== 特徴 ===
外見こそ[[ミラージュ5 (航空機)|ミラージュ5]]に似ているが、アター9Cより2t以上推力が大きいJ79を搭載したことにより飛行性能が向上し、ペイロードも約1,500kg増加した。

J79を搭載するために、胴体には大きな改修が加えられている。インテークは拡大され、後部胴体は太くなり、熱に強い[[チタン]]も導入している。垂直尾翼基部には[[アフターバーナー]]部冷却用の、後部胴体には[[タービン]]冷却用の小型インテークが追加されている。また、[[重心]]を合わせるために尾部が0.6m短くなっている。

生産型である'''クフィルC2'''からはインテーク肩部に[[エンテ型#ジェット戦闘機のカナード|カナード翼]]、機首先端に[[ストレーキ]]、主翼に[[ドッグトゥース (航空)|ドッグトゥース]]が追加され、離着陸性能や旋回性能、高迎え角時の操縦性が大きく向上した。これらの改修（特にカナード翼の追加）は、後に本家である[[ミラージュIII (戦闘機)|ミラージュIII]]やミラージュ5の近代化改修機にも取り入れられている。なお、C2の「C」はカナードを意味するため、初期型は単に'''クフィル1'''と呼ばれたが、後にカナード翼（ただしC2より小さい）とストレーキが追加されて'''クフィルC1'''と呼ばれるようになった。

電子機器も更新されており、エルタ製M-2001B測距[[レーダー]]やMBT製二重[[コンピュータ]]操縦システムなどが搭載されている。

=== 実戦 ===
[[1982年]]の[[レバノン内戦|レバノン侵攻]]で[[イスラエル航空宇宙軍|イスラエル空軍]]機が初めて実戦に投入され、[[A-4 (航空機)|A-4]]や[[F-4 (戦闘機)|F-4]]と共に対地攻撃を実施した。

[[1995年]]に[[エクアドル]]と[[ペルー]]の間で起きたセネパ紛争では、[[エクアドル空軍]]機が[[ミラージュF1 (戦闘機)|ミラージュF1]]と共に[[ペルー空軍]]機3機を撃墜する戦果を挙げている。

== 派生型 ==
[[Image:DN-ST-85-08601.jpg|thumb|250px|アメリカ海軍のF-21A]]
[[Image:Kfir CE a.JPG|thumb|250px|エクアドル空軍のクフィルCE]]
; クフィルC1
: 初期型。当初はカナード翼を装備していなかったため'''クフィル1'''と呼ばれていた。
;; F-21A
:: [[アメリカ海軍]]・[[アメリカ海兵隊|海兵隊]]が仮想敵機としてリースしたクフィルC1に用いた名称。愛称は'''ライオン'''（Lion）。
; クフィルC2
: 生産型。
;; クフィルTC2
:: クフィルC2の複座[[練習機]]型。機首は延長され、前方視界を確保するために垂れ下がった形状になっている。 
; クフィルC7
: クフィルC2の改良型。[[エンジン]]に数分間だけ出力を5%増加させられる「コンバット・プラス」改修を施し、[[コックピット]]には[[軍用機のコックピット#HOTAS概念|HOTAS概念]]を導入。また、電子機器が更新され、[[ハードポイント|パイロン]]も2箇所増設された。[[イスラエル航空宇宙軍|イスラエル空軍]]機は最終的にC7仕様機に統一された他、[[コロンビア]]のクフィルC2もC7仕様に改修された。また、[[スリランカ]]も追加発注により数機を配備している。
;; クフィルTC7
:: クフィルC7の複座仕様。 
; クフィルC10
: アップグレード型。'''クフィル2000'''とも呼ばれ、外見上は[[南アフリカ共和国]]の[[チーター (航空機)|チーターC]]によく似た形状をしている。[[レーダー]]を[[EL/M-2032]]へ換装しアクティブ・レーダー誘導[[ミサイル]]の運用が可能になった他、コックピットも[[グラスコックピット]]化された。[[エクアドル]]のクフィルC2が[[1999年]]より'''クフィルCE'''の名称でC10仕様に改修されている。また、コロンビアのクフィルC2も同仕様に改修されたが、一部はレーダーを換装せず対地攻撃に最適化された'''クフィルC12'''仕様になっている。

== 仕様 (クフィルC2) ==
[[File:Kfir_C-2_0007.jpg|right|600px|三面図]]
{{航空機スペック
|固定翼 or 回転翼?=固定翼
|ジェット or プロペラ?=ジェット
|出典=[[:en:IAI Kfir]]
|乗員=1
|定員=
|ペイロード SI=
|ペイロード fp=
|全長 SI= 15.65m
|全長 fp= 51ft4.25in
<!-- 翼長・全幅 -->
|スパン SI= 8.21m
|スパン fp= 26ft11.5in
|全高 SI= 4.55m
|全高 fp= 14ft11.5in
|面積 SI= 34.80m<sup>2</sup>
|面積 fp= 374.60ft<sup>2</sup>
|翼型=
|空虚重量 SI= 7,285kg
|空虚重量 fp= 16,060lb
|運用時重量 SI= 10,415kg
|運用時重量 fp= 22,961lb
|有効搭載量 SI= 6,065kg
|有効搭載量 fp= 13,343lb
|最大離陸重量 SI= 14,670kg
|最大離陸重量 fp= 32,340lb
|その他の諸元=
|エンジン名（ジェット）=[[GE・アビエーション|GE]] J79-J1E
|エンジン種類（ジェット）=アフターバーナー付[[ターボジェット|ターボ]]
|エンジン数（ジェット）=1
|推力 SI= 52.89kN
|推力 fp= 11,890lbf
|推力 original=
|推力 more=
|アフターバーナー作動時 推力 SI= 83.40kN
|アフターバーナー作動時 推力 fp= 18,750lbf
|エンジン名（プロペラ）=
|エンジン種類（プロペラ）=<!--レシプロ/ターボプロップ/ターボシャフト/など-->
|エンジン数（プロペラ）=<!--1つなら1と書くこと-->
|出力 SI= 
|出力 fp= 
|出力 original=<!--出典にある数値と単位-->
|出力 more=
|最大速度 SI= 2,440km/h
|最大速度 fp= 1,317kt
|最大速度 more=
|巡航速度 SI=
|巡航速度 fp=
|巡航速度 more=
|失速速度 SI=
|失速速度 fp=
|失速速度 more=
|超過禁止速度 SI=
|超過禁止速度 fp=
|航続距離 SI= 770km
|航続距離 fp= 416nm
|航続距離 more=
|フェリーレンジ SI=
|フェリーレンジ fp=
|フェリーレンジ more=
|上昇限度 SI= 17,700m
|上昇限度 fp= 58,000ft
|上昇率 SI= 233.3m/s
|上昇率 fp= 45,930ft/min
|翼面（円板）荷重 SI=
|翼面（円板）荷重 fp=
|推力重量比= <!--計算して無次元数にする-->
|馬力荷重 SI= 
|馬力荷重 fp= 
|最大馬力荷重 SI=
|最大馬力荷重 fp=
|最大推力重量比=
|その他の性能=
<!-- 武装= に直接書いても良いし、以下のパラメタを使っても良い -->
|武装=
 '''固定武装'''
* [[DEFA 550]] 30mm[[機関砲]] &times; 2
* '''ミサイル''' 
** [[サイドワインダー (ミサイル)|サイドワインダー]] [[空対空ミサイル]]
** [[シャフリル (ミサイル)|シャフリル]] 空対空ミサイル
** [[パイソン (ミサイル)|パイソン]] 空対空ミサイル
** [[AGM-65 マーベリック|マーベリック]]  [[空対地ミサイル]]
** [[AGM-45 (ミサイル)|シュライク]]  [[対レーダーミサイル]]
* '''爆弾'''
** [[Mk 82 (爆弾)|Mk 82]] 通常[[爆弾]]
** GBU-13 [[レーザー]][[誘導爆弾]]（LGB）
** TAL-1/2 [[クラスター爆弾]]（CBU）
** [[デュランダル (爆弾)|デュランダル 滑走路破壊用特殊爆弾]]
** HOBOS
* '''ロケット弾'''
|アビオニクス=

}}
<!--
* 乗員：1-2名
* 全長：15.65m
* 全幅：8.21m
* 全高：4.55m
* 最高速度：
* エンジン：[[ゼネラル・エレクトリック|GE社製]]　J79-GE-17A×1基
* 推力：8,120kg×1
-->

== 採用国と採用を検討した国 ==
=== 採用国 ===
[[ファイル:IAI Kfir operators.png|thumb|350px|採用国（赤は退役済）]]
;{{ISR}}
:[[イスラエル航空宇宙軍|イスラエル空軍]]
;{{COL}}
:[[コロンビア空軍]]
;{{ECU}}
:[[エクアドル空軍]]
;{{USA}}
:[[アメリカ海軍]]・[[アメリカ海兵隊]]
;{{SRI}}
:[[スリランカ空軍]]

この他にも、[[民間軍事会社]][[ATAC (企業)|ATAC]]が民間登録された機体を使用している。

=== 採用を検討した国 ===
;{{ARG}}
;{{BRA}}
;{{SVN}}
;{{PHI}}
;{{MEX}}
;{{TWN}}

== 登場する作品 ==
* 『MetalStorm』
: [[戦闘機]]（週替り）で「ゼファー」の名で稀に登場。最強の戦闘機として有名。旋回優良機。200-300コイン。
* 『[[エリア88]]』
: アスラン王国空軍の[[傭兵]]部隊の機体として登場。主にサキ・ヴァシュタール（エリア88の司令官）などが使用。
* 『[[萌え萌え大戦争☆げんだいばーん]]』
: 鋼の乙女「リオン」のモデルとなっている。一部のステージではサポートユニットとしてクフィルが直接登場する。


{{main|ダッソー社製軍用機に関連する作品の一覧}}

== 関連項目 ==
{{commons|IAI Kfir}}
*[[イントレピッド海上航空宇宙博物館]]

{{Dassault Mirage}}
{{アメリカ軍の固定翼機 (呼称統一以降)}}

{{DEFAULTSORT:くふいる}}
[[Category:イスラエルの戦闘機]]
{{Link_FA|es}}