キエフのソースを表示

{{otheruses|[[都市]]としてのキエフ|その他の用法|キエフ (曖昧さ回避)}}
{{世界の市
|正式名称 =キエフ
|公用語名称 =Київ<br />{{flagicon|Ukraine}}</br>
|愛称 =「[[ルーシ]]の町々の母」<ref>『[[原初年代記|ルーシ年代記]]』の[[882年]]の条に、[[ルーシ族]]の公[[オレグ (キエフ大公)|オレーグ]]が[[キエフ大公国|ルーシ]]の都をキエフに定めた時、キエフを「ルーシの町々の母」と名づけた（{{lang|sla|''Полное собрание русских летописей'' (ПСРЛ). — Т. 2. Ипатьевская летопись. — [[サンクトペテルブルク|СПб.]], 1908. — c. 17.}}）。</ref>；「第二のエルサレム」<ref>キエフは[[東欧]]の[[キリスト教]]の発祥地で、[[1453年]]の[[コンスタンティノープルの陥落]]後、[[エルサレム]]に次ぐ[[正教会]]の聖地であると主張したウクライナの聖職者の概念。[[1622年]]にキエフ、[[ハールィチ]]および全[[ルーシ]]の府主教[[イオウ・ボレーツィクィイ]]による書状、[[1633年]]に彼の後継者となった[[ペトロー・モヒーラ]]による『洞窟大修道院のアテナイオス』、また[[キエフ・モヒラ・アカデミー]]の校長および[[ロシア正教会]]会議の会長を務めた[[フェオファン・プロコポーヴィチ]]を[[イヴァン・マゼーパ|マサーパ]]時代の聖職者・文人の著作などにおいてにしばしば見られる（{{lang|uk|Рибалка І. К. ''Історія України'' (частина перша) — К.,1994 — 7. Культура в Україні у XVIII ст. }}）。</ref>
|標語 =
|画像 =Kyjiv sofienkathedrale.jpg
|画像サイズ指定 =250px
|画像の見出し =ソフィア広場、キエフの中心地
|市旗 =Flag of Kiev.svg
|市章 =Coat of arms of Kiev.svg
|位置図 =Map of Ukraine political simple city Kiew.png
|位置図サイズ指定 =
|位置図の見出し =
|位置図2 =
|位置図サイズ指定2 =
|位置図の見出し2 =
|緯度度 =50 |緯度分 =27 |緯度秒 =0 |N(北緯)及びS(南緯) =N
|経度度 =30 |経度分 =30 |経度秒 =0 |E(東経)及びW(西経) =E
|成立区分 =建設
|成立日 =[[5世紀]]（伝説上）
|成立区分1 =
|成立日1 =
|成立区分2 =
|成立日2 =
|旧名 =
|創設者 =
|下位区分名 ={{UKR}} <!--必須-->
|下位区分種類1 =[[ウクライナの地方行政区画|行政区画]]
|下位区分名1 =キエフ特別市
|下位区分種類2 =
|下位区分名2 =
|下位区分種類3 =
|下位区分名3 =
|下位区分種類4 =
|下位区分名4 =
|規模 =市 <!--必須-->
|最高行政執行者称号 =市長
|最高行政執行者名 =[[ビタリ・クリチコ]]
|最高行政執行者所属党派 =
|総面積(平方キロ) =827
|総面積(平方マイル) =
|陸上面積(平方キロ) =
|陸上面積(平方マイル) =
|水面面積(平方キロ) =
|水面面積(平方マイル) =
|水面面積比率 =
|市街地面積(平方キロ) =
|市街地面積(平方マイル) =
|都市圏面積(平方キロ) =
|都市圏面積(平方マイル) =
|標高(メートル) =179
|標高(フィート) =587
|人口の時点 =2014年
|人口に関する備考 =
|総人口 =2,869,361
|人口密度(平方キロ当たり) =3,469
|人口密度(平方マイル当たり) =
|市街地人口 =
|市街地人口密度(平方キロ) =
|市街地人口密度(平方マイル) =
|都市圏人口 =
|都市圏人口密度(平方キロ) =
|都市圏人口密度(平方マイル) =
|等時帯 =[[東ヨーロッパ時間]]
|協定世界時との時差 =+2
|夏時間の等時帯 =[[東ヨーロッパ夏時間]]
|夏時間の協定世界時との時差 =+3
|郵便番号の区分 =郵便番号
|郵便番号 =01000—06999
|市外局番 =+380-44
|ナンバープレート =АА
|ISOコード =
|公式ウェブサイト =http://kievcity.gov.ua/
|備考 =
}}
'''キエフ'''（{{lang-uk|'''Київ'''}} {{IPA|ˈkɪjiʋ <small>キーイーウ</small>}}<ref>[[公用語]]のウクライナ語に沿った表記では「'''キーウ'''」などと転写されるが、本項では[[ロシア語]]名に沿った表記であるが、[[日本語]]名として公式に用いられている「キエフ」で記述する。</ref>）は、[[ウクライナ]]の[[首都]]。[[ドニプロ川]]の中流に位置する。同国最大の[[都市]]で、政治・経済・社会・学術・交通の中心地である。特別自治都市。[[5世紀]]後半に建設された[[ポリャーネ族]]の集落から発展した。[[中世]]には[[キエフ・ルーシ]]の都であったが、[[近世]]には[[コサック]]の[[キエフ連隊]]の中心となった。[[20世紀]]中に[[ウクライナ人民共和国]]、[[ウクライナ国]]と[[ウクライナ・ソビエト社会主義共和国]]の首都であり続けた。キエフ市内の人口はおよそ279万人であるが、キエフ首都圏の人口はおよそ400万人となっている。[[東ヨーロッパ]]における最古の都市で、[[キリスト教]]の[[聖地]]の一つである。都内にある[[聖ソフィア大聖堂 (キエフ)|聖ソフィア大聖堂]]と[[キエフ洞窟大修道院]]は[[世界遺産]]に登録されている。

{{bar box
|title=母語話者（キエフ市） 2001
|titlebar=#ddd
|float=right
|bars=
{{bar percent|[[ウクライナ語]]|yellow|72.1}}
{{bar percent|[[ロシア語]]|#8dd3c7|25.4}}
}}
{{bar box
|title=民族構成（キエフ市） 2001
|titlebar=#ddd
|float=right
|bars=
{{bar percent|[[ウクライナ人]]|yellow|82.2}}
{{bar percent|[[ロシア人]]|#8dd3c7|13.1}}
}}
== 名称 ==
キエフという名称は「キーイの都市」を意味し、キエフを創建した伝説の[[公爵]][[キーイ]]の名前に由来する。キエフは他国の支配を受けた歴史があるため、文献によってその名称が異なっている。
*[[ウクライナ語]]:'''{{lang|uk|Київ}}'''で、発音は{{IPA|ˈkɪjiʋ}}（<small>ケィーイィウ</small>）に近い。[[古ルーシ語]]の {{lang|orv|{{Script/Slavonic|Къıѣвъ}}}}に由来する。[[ラテン文字]]転写としては簡略な''{{lang|uk-Latn|Kyiv}}''が正式な表記とされているが、政府の発表により表記が統一されるまでは各文字を機械的に転写した''{{lang|uk-Latn|Kyijv}}''、''{{lang|uk-Latn|Kyjiv}}''などが用いられていた。
*[[ロシア語]]:'''{{lang|ru|Киев}}'''で、発音は{{IPA|ˈkʲijef}}（ <small>キーイェフ</small>）に近い。ラテン文字転写としては、最も多い''{{lang|ru-Latn|Kiev}}''の他、''{{lang|ru-Latn|Kijev}}''、''{{lang|ru-Latn|Kiyev}}''などが用いられる。
*[[ポーランド語]]:'''{{lang|pl|Kijów}}'''で、発音は{{IPA|ˈcijuf }}（<small>キーユフ</small>）に近い。日本語転写としては「キユフ」と書かれる。日本語文献では、ポーランド支配時代に関する記述等でこの名称が使われることがある。
*[[英語]]:'''{{lang|en|Kyiv}}'''または'''{{lang|en|Kiev}}'''。独立以前はKievが公式のラテン文字表記であったが、独立以降は唯一の[[公用語]]（[[国家語]]）のウクライナ語の名前である{{lang|uk|Київ}}から、'''Kyiv'''との表記がウクライナ政府によって決められた。これに従い国内の道路標識や空港や駅等の表記は「Kyiv」で統一されている。ウクライナ国外では新聞や雑誌等のメディアは慣例から'''Kiev'''の表記を使う方が現状もっぱら一般的である一方、学術的な専門書ではKyivが使われることが多い<ref>2011年現在確認。補足だが、主要メディアに対してKievからKyivへと表記を変えるようにウェブ署名を行う等の活動が散見される。また、英語版ウィキペディアのノートでもこの表記に関して長年議論が繰り返されている。</ref>。
*[[日本語]]:ウクライナ語名に沿った「'''キイウ'''」、「'''キーウ'''」、「'''キーイウ'''」、「'''キーイヴ'''」等の表記がされる場合はあるが、現時点ではまだ使用頻度は少ない<ref>使用例は以下の通りである。
;キーウ
:『ニューエクスプレス ウクライナ語』中澤英彦著. 白水社, 2009
;キーイウ
:『ポーランド・ウクライナ・バルト史』 伊東孝之, 井内敏夫, 中井和夫共著. 山川出版社, 1998（巻末の地図のみ）
;キーイヴ
:『ウクライナ語のための日本語学習辞典 {{lang|uk|Українсько-Японський Японсько-Український Словник Навчальний Словник Японських Ієрогліфів}}』ボンダレンコ I.・日野貴夫共著. アリテルナティーヴィ出版所, 1998</ref>。外務省発表も含め、各メディアともロシア語名に沿った「キエフ」と表記がなされることが多い。アクセントを表す[[長音符]]を保持して「キーエフ」と書かれることもある。また、「キイフ」、「キーフ」と書かれる場合もあるが、これらはウクライナ語の表記をロシア語等の読み方に沿って誤って転写したものである。また、漢字表記は「計由」である<ref>[http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/exhibition/kochizu/gazou/lime/2-11.html 重訂萬國全圖] 明治4（1871）年。</ref>。
*:ウクライナ語に沿った「'''キイウ'''」という日本語の名称は、はじめて[[新訂万国全図]]に見られる。この地図は、[[1807年]]に[[江戸幕府]]の命により[[高橋景保]]、[[間重富]]、[[馬場佐十郎]]が作成した[[世界地図]]である<ref>[http://www.digital.archives.go.jp/gallery/view/category/categoryArchives/0200000000/0212000000 新訂万国全図]</ref>。

ウクライナの独立後、本国では公式な名称をロシア語名からウクライナ語名に変更された。現地では政策としてロシア語の使用は制限されている。また、上記にあるようにロシア語に沿ったラテン文字表記である ''{{lang|ru-Latn|Kiev}}'' (''{{lang|ru-Latn|Kiyev}}'') も同様の扱いである。ロシア語表記はかつての[[ロシア帝国]]・[[ソビエト連邦|ソ連]]の支配を快く思わないウクライナの人々の感情を害しかねないこともあり、近年[[英語]]圏における出版物では、政府発表の正式ラテン文字表記である''{{lang|uk-Latn|Kyiv}}''と書かれるのが一般的である。日本でも、その傾向を受けて学者等から「キーウ」等とウクライナ語に準ずる表記が推奨される機会が増えつつある。しかし、現状では、日本やロシアにおける[[ウクライナ語]]の知識をもつ人口が少ないことや、以前は学会等でもウクライナに言及する場合、歴史的にロシア語文献を参照した研究が多かった経緯もあり、まだまだ慣例として「キエフ」と呼ばれる事例が圧倒的に多い。

ウクライナ語の認知度が相対的に低いため、政府や各メディア等々でもロシア語に沿った従来の「キエフ」という表記を用いている。しかし、上の問題を受けて、今後ウクライナ語名に沿った表記「キーウ」を用いることが必要との意見もある。

== 概要 ==
[[東ヨーロッパ]]有数の[[世界都市]]である。週末になると、歩行者天国になる市の中心部を通る[[フレシチャーティク]]通りや、[[2001年]]の独立10周年を記念して整備され、地下ショッピングセンターなどを備えた[[独立広場 (キエフ)|独立広場]]（マイダン・ネザレージュノスチ）などで人々が賑わっている。 

市内には[[キエフ大公国]]時代の建築物が多数残されているが、戦火や共産党政権などによって破壊されたものも少なくない。その上で、[[黄金の門]]のように復元されたものも少なくない。ウクライナは両大戦において主戦場となったためそれにまつわる多くの記念碑が建てられているが、キエフ市内及び郊外にも数多くの記念碑が見られる。それ以外には、現在のキエフに戦火の傷跡を見つけることは難しい。

町は年々発展しており、他の主要都市などと比べても外観・内容ともに豊かである。

5月には[[春]]の[[祭り]]が行われる。

== 地理 ==
[[ファイル:Kiev L7 20010914.jpg|thumb|right|250px|キエフとドニプロ川、[[ランドサット]]7による[[衛星写真]]]]
キエフの旧市街は、[[ドニプロ川]]を見下ろす小高い丘の上にある。

市はドニプロ川を挟んで広がっているが、その内丘陵地帯の西岸側が古い建物の残る従来の市街地で、それに対し低地である東岸側は、高層建築物の目立つ新市街となっている。川の中州にはかつてドイツ軍に破壊された村の跡に[[ヒドロパールク]]がつくられている。

[[1986年]][[4月26日]]、キエフの北130kmにある[[チェルノブイリ原子力発電所]]で[[原子力事故]]が発生した（[[チェルノブイリ原子力発電所事故]]）。直後にソビエト連邦上層部によって全住民350万人の疎開が検討されたが、風向きの関係で健康への影響は無いと判断され、疎開は中止された。現在はキエフを起点としたチェルノブイリの観光ツアーが存在し、事故を起こした4号炉を間近に見ることも可能である。

== 気候 ==
[[大陸性気候]]であり、[[ケッペンの気候区分]]では[[湿潤大陸性気候]]（Dfb）に属する。最も暑い7月の平均気温は20.5°Cで、時に30°Cを超えることも少なくない。最も寒い1月の平均気温は−3.5°Cで急速に平年値は上昇したものの、近年は寒冬になることも多く、時に零下20度を下回ることも珍しくない。過去最高気温は[[1936年]]7月31日観測された39.4 °C、過去最低気温は[[1929年]]2月7日と9日に観測された−32.2 °Cである。年間降雪量は355cmと欧州の大都市の中ではかなり多い方である。
{{Weather box|location= キエフ
|metric first= Yes
|single line= Yes
|Jan record high C= 11.1
|Feb record high C= 17.3
|Mar record high C= 22.4
|Apr record high C= 30.2
|May record high C= 33.6
|Jun record high C= 35.0
|Jul record high C= 39.4
|Aug record high C= 39.9
|Sep record high C= 33.8
|Oct record high C= 27.9
|Nov record high C= 23.2
|Dec record high C= 14.7
|year record high C= 39.9
|Jan high C= -0.9
|Feb high C= 0.0
|Mar high C= 5.6
|Apr high C= 14.0
|May high C= 20.7
|Jun high C= 23.5
|Jul high C= 25.6
|Aug high C= 24.9
|Sep high C= 19.0
|Oct high C= 12.5
|Nov high C= 4.9
|Dec high C= 0.0
|year high C= 12.5
|Jan mean C= −3.5
|Feb mean C= −3.0
|Mar mean C= 1.8
|Apr mean C= 9.3
|May mean C= 15.5
|Jun mean C= 18.5
|Jul mean C= 20.5
|Aug mean C= 19.7
|Sep mean C= 14.2
|Oct mean C= 8.4
|Nov mean C= 1.9
|Dec mean C= -2.3
|year mean C= 8.4
|Jan low C = -5.8
|Feb low C= -5.7
|Mar low C= -1.4
|Apr low C= 5.1
|May low C= 10.8
|Jun low C= 14.2
|Jul low C= 16.1
|Aug low C= 15.2
|Sep low C= 10.2
|Oct low C= 4.9
|Nov low C= 0.0
|Dec low C= -4.6
|year low C= 4.9
|Jan record low C= -31.1
|Feb record low C= -32.2
|Mar record low C= -24.9
|Apr record low C= -10.4
|May record low C= -2.4
|Jun record low C= 2.4
|Jul record low C= 5.8
|Aug record low C= 3.3
|Sep record low C= -2.9
|Oct record low C= -17.8
|Nov record low C= -21.9
|Dec record low C= -30.0
|year record low C= -32.2
|Jan precipitation mm= 36
|Feb precipitation mm= 39
|Mar precipitation mm= 36
|Apr precipitation mm= 46
|May precipitation mm= 57
|Jun precipitation mm= 82
|Jul precipitation mm= 72
|Aug precipitation mm= 61
|Sep precipitation mm= 58
|Oct precipitation mm= 40
|Nov precipitation mm= 48
|Dec precipitation mm= 44
|year precipitation mm= 619
|Jan humidity= 83
|Feb humidity= 80
|Mar humidity= 74
|Apr humidity= 64
|May humidity= 62
|Jun humidity= 67
|Jul humidity= 68
|Aug humidity= 67
|Sep humidity= 74
|Oct humidity= 77
|Nov humidity= 85
|Dec humidity= 86
|year humidity= 74
|Jan precipitation days = 8
|Feb precipitation days = 7
|Mar precipitation days = 9
|Apr precipitation days = 13
|May precipitation days = 14
|Jun precipitation days = 15
|Jul precipitation days = 14
|Aug precipitation days = 11
|Sep precipitation days = 14
|Oct precipitation days = 12
|Nov precipitation days = 12
|Dec precipitation days = 9
|year precipitation days= 138
|Jan sun = 31.0
|Feb sun = 56.5
|Mar sun = 124.0
|Apr sun = 180.0
|May sun = 279.0
|Jun sun = 270.0
|Jul sun = 310.0
|Aug sun = 248.0
|Sep sun = 210.0
|Oct sun = 155.0
|Nov sun = 60.0
|Dec sun = 31.0
|year sun = 
|source 1= Pogoda.ru.net<ref name="pogoda">{{cite web
|url= http://pogoda.ru.net/climate/33345.htm |title= Pogoda.ru.net|accessdate=3 July 2012
|language= Russian}}</ref>
|source 2 = BBC weather (sun values).<ref name="BBC weather">[http://www.bbc.co.uk/weather/703448 BBC Weather: Kiev], BBC. Retrieved 3 July 2012.</ref>
|date=August 2010
}}

== 歴史 ==
<!-- :''主要記事：[[w:History of Kiev|History of Kiev]]'' -->
=== 中世前期===

[[ファイル:Klosterkirche St Michael.JPG|thumb|250px|中世期のキエフの象徴。[[聖ムィハイール黄金ドーム修道院|聖ミハイール黄金ドーム修道院]]]]

ウクライナの最古記録『[[ルーシ年代記]]』の伝説によれば、キエフは[[ポリャーネ族 (東)|ポリャーネ族]]の[[公爵]][[キーイ]]、ならびに彼の兄弟[[シュテーク]]、[[ホリーウ]]と[[リービジ]]によって創建されたという<ref name="ЕІУ-Толочко-201">Толочко 2007:201.</ref>。しかし、年代記には創建の年代は記載されていない。考古学の資料によると、キエフは[[5世紀]]末から[[6世紀]]初頭に形成した集落として発展してきたという<ref name="ЕІУ-Толочко-201"></ref>。当時の集落の中心地は[[ドニプロ川]]の右岸に位置する[[城山 (キエフ)|城山]]にあったとされる<ref name="ЕІУ-Толочко-201"></ref>。[[6世紀]]から[[7世紀]]にかけて集落は城山から周りの丘陵への拡大したのである<ref name="ЕІУ-Толочко-201"></ref>。キエフはドニプロ川の貿易ルート、[[森林]]と[[草原]]が接する地帯、そして多[[民族]]が交わる境界地に位置していたため、ドニプロ川の中流における政治・経済・文化的拠点として成長した<ref name="ЕІУ-Толочко-201"></ref>。[[6世紀]]の[[ゴート人]]の歴史家[[ヨルダネス]]は、「ドニプロ川の町」という意味のダナピルスタディル (Danapirstadir) という名で記録している。 

[[8世紀]]末にキエフは、「[[ルーシ (地名)|ルーシの地]]」と呼ばれる南方の[[東スラヴ人]]の共同体の中核的都市であった<ref name="ЕІУ-Толочко-201"></ref>。[[882年]]に[[北欧]]の[[ヴァリャーグ]]（[[ヴァイキング]]）がその都市を征服すると、キエフは「[[ルーシ]]」という[[キエフ大公国|国家]]の[[首都]]、いわゆる「ルーシの都市の母」<ref>「都市の母」とは、スラヴ語の[[翻訳借用]]で、[[ギリシア語]]の[[メトロポリス]](「メトロ」（母）・「ポリス（都市）」）に由来する。</ref>となった<ref name="ЕІУ-Толочко-201"></ref>。8世紀から[[9世紀]]にかけてキエフでは、[[古キエフ山]]にある[[山の手]]（[[古キエフ]]）と山麓にある[[下町]]（[[ポジール]]）というの2つの区域が形成された。前者では[[貴族]]と[[聖職者]]、後者では[[庶民]]が暮らしていた<ref name="ЕІУ-Толочко-201"></ref>。当時のキエフは、[[東ローマ帝国]]、[[北欧]]、[[西欧]]、[[イスラム]]系諸国と貿易をし、国際都市として発展した。[[10世紀]]前半にキエフでは始めての[[キリスト教]]の[[イッリャ教会 (キエフ)|聖堂]]が建立された<ref name="ЕІУ-Толочко-201"></ref>。

[[ウラジーミル1世|ヴォロディーミル聖公]]の代（[[980年]]–[[1015年]]）には、キエフの山の手の範囲が拡大され、防衛が強化された。研究史では改善された山の手は「ヴォロディーミルの町」と呼ぶ<ref name="ЕІУ-Толочко-201"></ref><ref name="ЕІУ-Толочко-202">Толочко 2007:202 .</ref>。山の手は高い[[土塁]]によって囲まれて、土塁には3つの大門が設けられた。正門であるソフィア門は町の南方に置かれた<ref name="ЕІУ-Толочко-202"></ref>。[[988年]]にルーシがキリスト教を[[国教]]にすると、キエフは[[コンスタンディヌーポリ総主教庁]]の[[キエフ府主教区]]の中心となった。キエフの最大の教会は、「[[バーバの市|像の市]]」と呼ばれる市場と大公の宮殿の隣に建立された[[什一聖堂]]であった<ref name="ЕІУ-Толочко-202"></ref>。ヴォロディーミル聖公の子息、[[ヤロスラフ1世|ヤロスラーウ賢公]]（[[1019年]]–[[1054年]]）は、さらに山の手をおよそ80[[ヘクタール]]まで拡大させ、いわゆる「ヤロスラーウの町」を建設した<ref name="ЕІУ-Толочко-202"></ref>。本城を囲む土の城壁の長さは3.5キロメートまで達した<ref name="ЕІУ-Толочко-202"></ref>。これによってキエフは東欧の最大の都市となった<ref name="ЕІУ-Толочко-202"></ref>。ヤロスラーウ賢公はキエフの正門を[[黄金の門 (キエフ)|黄金の門]]に改め、キエフ府主教の座として[[聖ソフィア大聖堂 (キエフ)|聖ソフィア大聖堂]]を建立した。ヤロスラーウ賢公の子孫[[イジャスラフ1世|イジャスラーウ]] ([[1054年]]–[[1068年]], [[1069年]]–[[1073年]])と[[スヴャトポルク2世|スヴャトポールク]] ([[1093年]]–[[1113年]])は新たな「イジャスラーウ・スヴャトポールクの町」を建設した。この町における中心的な建造物になったのは[[聖ムィハイール黄金ドーム修道院|聖ミハイール黄金ドーム大聖堂]]であった<ref name="ЕІУ-Толочко-202"></ref>。

キエフの最大の地区は下町ポジールであった。12世紀から13世紀前半にかけてポジールの面積は約200ヘクタールに及んでおり、土塁と柵によって囲まれていた<ref name="ЕІУ-Толочко-202"></ref>。ポジールの中欧にはキエフ最大の市場「市の場」（トルホーヴィシュチェ）が位置しており、その周りにプィロホーシュチャ聖堂、ボリス・フリブ聖堂、ミハイール聖堂などが並んでいた<ref name="ЕІУ-Толочко-202"></ref>。古キエフの西部ではコープィル隅という地区があり、[[スヴャトスラウ2世|スヴャトスラーウ2世]]の代（[[1073年]]－[[1076年]]）にはそこで[[聖シメオン修道院]]が建立された<ref name="ЕІУ-Толочко-202"></ref>。キエフ郊外では[[キリーロ修道院]]、[[クローウ修道院]]、[[キエフ・ペチェールシク大修道院|洞窟修道院]]（[[1598年]]以降は[[キエフ・ペチェールシク大修道院|キエフ洞窟大修道院]]）、[[ヴィードゥビチ修道院]]などの[[正教会]]の修道院が置かれた<ref name="ЕІУ-Толочко-202"></ref>。キエフの周りに[[プレドスラーヴィネ]]村、[[ベレストーヴェ]]村、公爵と貴族の別荘、[[ドロホージチ谷]]と[[ハンガリー谷]]があった<ref name="ЕІУ-Толочко-202"></ref>。

[[12世紀]]半ばにキエフは約5万人の[[人口]]、400の[[教会]]と8つの[[市場]]を有していた。キエフの総合面積はおよそ400ヘクタールであった<ref name="ЕІУ-Толочко-202"></ref>。

=== 中世後期 ===
12世紀後半以降、キエフはルーシの[[聖地]]の役割を保ちながら、政治的な中心として衰退した。[[ムスチスラフ1世|ムスチスラーウ大公]]（[[1125年]] - [[1132年]]）の後、キエフを治める有能な統治者がなく、ルーシというキエフ大公国を構成して諸公国は独立しはじめた。[[1169年]]に[[ウラジーミル・スーズダリ大公国|ウラジーミル・スーズダリ公国]]の公爵[[アンドレイ・ボゴリュブスキー|アンドレイ]]は武力でキエフを占領して掠奪し、キエフ大公に即位せず帰国した。さらに、[[1203年]]に[[チェルニーヒウ公国]]の公爵[[リューリク2世]]はキエフを攻略して同様な掠奪を行った。このような事件によってキエフ大公の地位と威厳は大きく損なわれた。また、[[1223年]]にキエフの軍勢は[[カルカ河畔の戦い|カルカ川でモンゴル軍に敗北し]]、1235年にチェルニーヒウの公爵[[ミハイール2世]]は[[キプチャク]]を連れてキエフを陥落させた。[[1239年]]に[[ハールィチ公国|ハリーチ公国]]の公爵[[ダヌィーロ・ロマーノヴィチ|ダニーロ]]はキエフを獲得し、最後の[[キエフ大公]]となった。

[[1240年]]にモンゴル帝国の軍勢[[キエフの戦い (1240年)|キエフを包囲して破壊させた]]。決定的な打撃を受けた古キエフは全滅され、ルーシというキエフ大公国は名実と共に亡国となった。キエフの中心地は下町ポジールへ移った。

支配する勢力は、[[1264年]]までの[[ハールィチ・ヴォルィーニ大公国]]から非スラヴ系国家の[[リトアニア大公国]]に移り、[[1569年]]にリトアニアが同君連合を結んでいた[[ポーランド王国]]と[[ルブリン合同]]を結んで[[ポーランド・リトアニア共和国]]を形成すると、ウクライナ貴族は[[シュラフタ]]として共和国のうちのポーランド王国への帰属移動を求め、[[キエフ県]]としてポーランド王国に加盟した。その後、ドニエプル川の中流に興った[[ザポロージャ・コサック]]の統治地域に加わった。コサックたちはポーランド・リトアニア共和国の中央政界（[[セイム]]）との対立を深め、[[1648年]]には県全体が[[ヘーチマン国家]]（コサック国家）の一部としてポーランド・リトアニア共和国からの自治権を得た。キエフはヘーチマン国家の文化的中心として再び栄え、[[ウクライナ・バロック]]文化が養われた。

=== 近世･近代===
[[ファイル:2005-08-11 Kiev Pechersk Lavra 157.JPG|thumb|250px|コサックの[[イヴァン・マゼッパ|頭領]]によって復元された[[キエフ洞窟大修道院]]における[[至聖三者大門教会]]]]

[[1654年]]、ヘーチマン国家は[[モスクワ大公国]]・[[ロシア帝国]]に対する政治的な闘争に敗れ、その宗主権下に入ることとなった。[[1667年]]、ウクライナ・コサックを巡るポーランドとロシアの戦争が講和を迎え、キエフを含むヘーチマン国家は正式にロシア帝国の版図と定められた。

その後、キエフは徐々にロシアの一地方に地位を落としていったが、それでもやはりウクライナ文化や政治運動の中心地のひとつとしての機能を担っていた。そのため、モスクワ政府はキエフを強力な監視下に置くようになり、時期により差異はあるとはいえ、ウクライナの文化的あるいは政治的運動は「[[マゼッパ主義]]」や「裏切り独立主義」などと呼ばれ弾圧を加えられた。

=== 現代 ===
[[ファイル:3 viysk zyizd.jpg|thumb|250px|キエフにおけるウクライナ人民共和国の士官]]
[[1917年]]の[[ロシア革命]]後、ウクライナは[[ロシア内戦]]・[[ウクライナ内戦]]の主戦場となった。ウクライナの中心都市であったキエフは多くの勢力によって次々に支配をされた。

1917年秋、キエフの[[ウクライナ中央ラーダ]]が[[ウクライナ人民共和国]]の事実上の独立宣言をするとロシアの[[ボリシェヴィキ]]はウクライナに侵攻を始め、[[ウクライナ・ソビエト戦争]]が開始された。共和国の首都となったキエフは[[赤軍]]による攻撃を受けた。1918年[[1月29日]]、[[ウクライナ人民共和国軍]]はキエフ郊外の[[クルトィ駅の戦い]]で赤軍に敗れ、ウクライナ勢力の劣勢が決定的になった。その後、[[1918年]][[2月8日]]にロシアの占領軍によってキエフの住民の虐殺が行われた。

この内戦で、ウクライナの古都キエフは[[ウクライナ民族主義]]の拠点となった。一方、赤軍に協力する[[ウクライナ人民共和国 (ソビエト派)|ウクライナ人民共和国]]（ウクライナ・ソビエト共和国）の首府は、[[ロシア人]]や[[ユダヤ人]]の多い[[ハルキウ|ハリコフ]]に置かれた。

1918年[[4月29日]]には[[ドイツ帝国]]の軍事力と[[農家|農民]]層の支持を後ろ盾とする[[ヘーチマンの政変]]が[[ウクライナ国立サーカス|キエフ・サーカス場]]にて発生し、キエフを首都とする[[ウクライナ国]]が建設された。だが、12月にはドイツ軍の撤退により同国は[[ディレクトーリヤ]]に倒され、ディレクトーリヤはウクライナ人民共和国を再建した。

1918年にウクライナからの要請によって始められた[[ポーランド・ソビエト戦争]]でも、キエフは主戦場の一つとなった。[[1920年]]には、[[ポーランド軍]]と合同したディレクトーリヤ軍による[[キエフ攻勢]]が実行され一時はキエフを奪還したが、最終的には赤軍に敗れた。

結局、ウクライナの独立各派は相互の協力に失敗し、また[[イギリス]]や[[フランス]]、そして[[ポーランド]]などのような外国勢力も非協力的であったことから[[ソビエト]]政府に対して敗北を喫し、ウクライナの独立は潰えた。それに伴い、[[ソビエト連邦|ソ連]]時代初期の[[ウクライナ社会主義ソビエト共和国]]の首都は民族主義熱の高かったキエフを避け、[[1934年]][[6月24日]]にキエフに戻るまでハリコフに置かれた<ref>中井 1998:040.</ref>。[[1937年]]、国号は[[ウクライナ・ソビエト社会主義共和国]]に改称されたが、キエフはその首都であり続けた。

[[第二次世界大戦]]中の[[1941年]][[9月19日]]、侵攻して来た[[ナチス・ドイツ]]軍が[[バルバロッサ作戦]]の一環としてキエフを占領した。同年の[[9月29日]]と[[9月30日|30日]]に、キエフ近郊の[[バビ・ヤール]]で、[[親衛隊 (ナチス)|ナチス親衛隊]]の特別殺戮部隊が、33771人の[[ユダヤ人]]を虐殺した。
キエフ市は[[1943年]][[11月6日]]に赤軍によって奪還されるまでドイツの占領下にあった。市街や郊外はドイツ軍による激しい破壊を受けたが、戦後復興に力が入れられ、比較的早い時期に復興を果たした。1941年の激しい戦いを記念し、キエフは戦後「[[英雄都市]]」の称号を贈られた。

=== 現在 ===
[[1991年]]にウクライナが独立して[[ソ連崩壊|ソ連が崩壊]]すると、キエフは新たな独立ウクライナの首都となった。

独立後は、それまでのロシア語優遇政策が改められ、市内の表記も広告等ふくめ全てウクライナ語に制限されるようになった。テレビ放送は放送法により、外国語の放映に関してはウクライナ語字幕をかぶせなければならなくなった。そのためロシアで製作されたロシア語番組はウクライナ語字幕つきロシア語放送となっている。 ただし、キエフでは2006年の調査によると人口の半数程が家庭においてロシア語を主に話しているとされ、また、ウクライナ語とロシア語を併用している住民も非常に多く、ウクライナ語のみで生活している人はむしろ少数派である。そのため、街中で見られる表記はウクライナ語であるものの、聞こえる言語はむしろロシア語の方が多くなっている。TVではロシア語放送も行われ、新聞などもロシア語での発行が許されている。

==行政区分==
[[ファイル:Kiev map english.png|thumb]]
{| Class="wikitable" width="60%" 
|- Bgcolor="# 77D7D7" 
! 区!! 面積（km²）!! 人口（人）
|-
| Colspan = 3 |'''[[ドニプロ川]]の右岸（西部）:''' 
|- 
| [[ホロシーイウ区]]　{{lang|uk|Голосіївський район}}　|| 156 || 232.800
|- 
| [[オボローニ区]]　{{lang|uk|Оболонський район}}|| 110 || 314.900
|- 
| [[ペチェールシク区]]　{{lang|uk|Печерський район}}|| 27 || 139.800 
|- 
| [[ポジル区]]　{{lang|uk|Подільський район}}|| 34 || 190.300
|- 
| [[スヴァトシネ区]]　{{lang|uk|Святошинський район}}|| 101 || 334.300
|- 
| [[ソロミャンカ区]]　{{lang|uk|Солом'янський район}}|| 40 || 342.500
|- 
| [[シェウチェーンコ区]]　{{lang|uk|Шевченківський район}}|| 25 || 231.100
|- 
| Colspan = 3 |'''[[ドニプロ川]]の左岸（東部）:''' 
|- 
| [[ダルヌィツャ区]]　{{lang|uk|Дарницький район}}|| 134 || 312.000
|- 
| [[デスナ区]]　{{lang|uk|Деснянський район}}|| 148 || 356.700
|- 
| [[ドニプロ区]] {{lang|uk|Дніпровський район}}|| 67 || 345.800 
|}

==人口==
[[2001年ウクライナ国勢調査]]によるデータ。
*[[総人口]]：{{Nts|2611300}}人<ref>{{Cite web
|author=ウクライナ国立統計委員会
|date=2001-12-5
|url=http://2001.ukrcensus.gov.ua/results/general/estimated/
|title=2001年ウクライナ国勢調査。ウクライナの総人口
|language=ウクライナ語
 |accessdate=2011年12月14日 
}}</ref>
*[[都市人口]]：{{Nts|2611300}}人（100%）<ref name="都市人口">{{Cite web
|author=ウクライナ国立統計委員会
|date=2001-12-5
|url=http://2001.ukrcensus.gov.ua/results/general/urban-rural/
|title=2001年ウクライナ国勢調査。ウクライナの都市人口・農村人口
|language=ウクライナ語
 |accessdate=2011年12月14日 
}}</ref>
*性別人口：[[男性]]は{{Nts|1218700}}人（47%）；[[女性]]は{{Nts|1392700}}人（53%）<ref name="性別人口">{{Cite web
|author=ウクライナ国立統計委員会
|date=2001-12-5
|url=http://2001.ukrcensus.gov.ua/results/general/sex_region/
|title=2001年ウクライナ国勢調査。ウクライナの性別人口
|language=ウクライナ語
 |accessdate=2011年12月14日 
}}</ref>

{|
|-
|
{{Bar box
|width=350px
|title=民族構成<ref name="地域別民族構成">{{Cite web
|author=ウクライナ国立統計委員会
|date=2001-12-5
|url=http://2001.ukrcensus.gov.ua/results/general/nationality/
|title=2001年ウクライナ国勢調査。地域別民族構成
|language=ウクライナ語
 |accessdate=2011年12月14日 
}}</ref>
|titlebar=#eee
|right2=
|float=left
|bars=
{{Bar pixel|[[ウクライナ人]]|#F9C700|82.2||2,110,800人 (82.2%)}}
{{Bar pixel|[[ロシア人]]|#CCCCCC|13.1||337,300人 (13.1%)}}
{{Bar pixel|[[ユダヤ人]]|#71C2FF|0.7||17,900人 (0.7%)}}
{{Bar pixel|[[ベラルーシ人]]|#FF3300|0.6||16,500人 (0.6%)}}
{{Bar pixel|[[ポーランド人]]|#CA0243|0.3||6,900人 (0.3%)}}
{{Bar pixel|[[アルメニア人]]|#FFE26F|0.2||4,900人 (0.2%)}}
}}
|}

== 交通 ==
[[ファイル:Trolleybus kiev.jpg|thumb|right|200px|トロリーバス]]
[[ファイル:Tram Kiev.jpg|thumb|right|200px|キエフ市電]]

=== 市内交通 ===
キエフ市内には、いくつかの公共交通手段と半公共交通手段が存在する。

公共機関としては、まず[[キエフ地下鉄|地下鉄]]が、3路線が走っている。これらは現在も建設中であり、今後路線数と総延長共に伸びる予定である。旧市街と新市街にはそれぞれ[[キエフ市電]]が、また旧市街と南西の郊外を結ぶ[[ライトレール]]も運行されている。この他、[[トロリーバス]]と路線[[バス (交通機関)|バス]]が走っている。公共交通機関は充実しており、また料金も乗車1回に付き一律2[[フリヴニャ]]という低価格に抑えられている。

これらに加え、半公共交通機関といえる営業免許制の[[マルシュルートカ]]（ワゴン車・[[マイクロバス]]等を利用した個人経営のバス・乗り合いタクシー）が無数に運行されている。これは、料金は乗車距離に応じた運賃制度で公共交通機関よりかなり割高であるとは言え、低速の路線バスなどに比べ所要時間や運用本数・路線数で大きなメリットがあり、やはり市民にとっては欠かせない交通手段である。しかし、路線網が複雑なので外国人が利用する際には注意を要する。

地下鉄車両や路面電車、バスやトロリーバスには、ソ連時代に製造されたソ連製や[[チェコスロバキア|チェコスロヴァキア]]製、[[ハンガリー]]製の車両の他、新型のウクライナ製や[[ドイツ]]製のものも多く見られる。しかし、一般に設備の悪い古い車両が多いというイメージは利用者の間で根強い。

=== 郊外・国際交通 ===
郊外に向かって運行される交通機関には、[[キエフ旅客駅]]などから発着する[[ウクライナ鉄道]]がある。鉄道には近距離の「エレクトルィーチュカ」と長距離の「ポーイズド」があり、夜行列車や国際列車も運行されている。この他、鉄道のない地域を補うための長距離バスが地下鉄[[スヴャトーシン駅]]前ターミナルなどから発着している。

この他の交通機関としては、ドニエプル川を航行する[[遊覧船]]などの発着する船着場[[キエフ河川港]]がある。また、旧市街の低地から高台を結ぶ[[キエフ・ケーブルカー]]も運行されている。

=== 空港 ===
キエフには、周辺都市を含めいくつかの[[空港]]が所在する。しかし、本格的な[[国際空港]]といえるだけの設備と規模を持った空港はいまだ整備されていない。

市内に所在する[[キエフ・ジュリャーヌィ国際空港]]は、かつてはウクライナの空の玄関口として機能した空港であるがその後衰退し、現在では主に国内線と近距離の国際線が乗り入れている。この他、個人の所有するビジネスジェットなども数多くこの空港を利用している。これについては、空港の私物化との批判がある。この他、空港には[[ウクライナ空軍]]の使用機等を展示する[[国立航空博物館 (ウクライナ)|国立航空博物館]]も併設されている。この空港は、市内にあり利用の便は非常によいが、安全面と土地の問題から本格的な国際空港への拡張は困難である。

[[スヴャトーシン]]地区に所在する[[キエフ・スヴャトーシノ空港]]は、ウクライナの航空産業初期から存在する空港であるが規模が小さく、また町に隣接しているため拡張できない。現在では、[[O・K・アントーノウ記念航空科学技術複合体]]や[[アヴィアーント・キエフ航空機工場]]の使用する小規模な[[飛行場]]となっている。

キエフ市外に隣接する[[キエフ・チャイカ空港]]は、民間のスポーツ用の小規模な空港である。

[[ボルィースピリ国際空港]]は、厳密にはキエフ市ではなく東隣の[[ボリスピリ|ボルィースピリ市]]に所在するが、「キエフ空港」と呼ばれる空港のひとつとなっている。主に国際線が乗り入れる国際空港であるが、鉄道や地下鉄のアクセスはなく、タクシーが必要になるなどキエフからのアクセスは不便であるが、近年はキエフ旅客駅から定期的にシャトルバスが運行されている。所要時間は1時間ほど。

[[ホストーメリ空港]]もキエフ市に所在する空港ではなく、隣の[[ホストーメリ|ホストーメリ市]]に所在する。小規模な空港で、別名アントーノフ空港と呼ばれるとおり、アントーノフの機体の試験に使用されている。

== 教育 ==

<center><gallery widths=160px heights=160px>
ファイル:Universität Kiew.jpg|<center><small>[[キエフ大学]]<br>（科学全般）</small></center>
ファイル:NaUKMA today.jpg|<center><small>[[キエフ・モヒーラ・アカデミー国立大学]]<br>（人文科学・社会科学）
</small></center>
ファイル:Kiev-PolitekhnichnyiInstytut 02.jpg|<center><small>[[キエフ工学大学]]<br>（自然科学・技術）</small></center>
ファイル:NPU Dragoman01-Kiew.jpg|<center><small>[[キエフ教育大学]]<br>（教育学・人文科学）</small></center>
</gallery></center>

*[[キエフ言語大学]]（言語学・人文科学）
*[[キエフ経済運営大学]]（政治学・経済学）
*[[キエフ美術大学]]
*[[キエフ劇場・映画・テラビ大学]]

== キエフの風景 ==
=== 建物 ===
キエフの[[聖ソフィア大聖堂 (キエフ)|聖ソフィア大聖堂]]は、キリスト教を広めようとする[[東ローマ帝国]]の協力の下、ビザンティン様式の華麗な教会を模して、[[1037年]]に建てられた。コンスタンティノープルにある[[アヤソフィア|ハギア・ソフィア大聖堂]]と同じように、「[[ソフィア (神秘思想)|聖なる知恵]]」に捧げたものであったが、建物の姿形は全く異なるものである。四角い建物の上に一つの半球状のドームがあるコンスタンティノープルの大聖堂に対して、キエフのハギア・ソフィアは、円柱状の建物の上に13の[[ハート]]状のドームがある。この教会は過去に幾度か損傷を受け、最近の修復作業により装飾しなおされている。

<center><gallery widths=160px heights=160px>
ファイル:Saint Sophia Cathedral in Kyiv 2006.jpg|<center><small>[[聖ソフィア大聖堂 (キエフ)|聖ソフィア大聖堂]]</small></center>
ファイル:2005-08-11 Kiev Pechersk Lavra 163.JPG|<center><small>[[キエフ・ペチェールシク大修道院]]</small></center>
ファイル:St. Michael's cathedral 2006, Kyiv.jpg|<center><small>[[聖ムィハイール黄金ドーム修道院|聖ミハイール修道院]]</small></center>
ファイル:St. Andriy's Church in Kyiv.jpg|<center><small>[[聖アンドリーイ教会]]</small></center>
ファイル:2005-08-19 Kiev 036.JPG|<center><small>[[聖ヴォロディームィル大聖堂|聖ヴォロディーミル大聖堂]]</small></center>
ファイル:IMG 2228-1.JPG|<center><small>[[聖ムィコラーイ教会 (アスコルドの墓)|聖ミコラーイ教会]]</small></center>
ファイル:Golden-gate-2008.jpg|<center><small>[[黄金の門 (キエフ)|黄金の門]]</small></center>
ファイル:Vydubychi Monastery 2008(Kiev).JPG|<center><small>[[ヴィードゥビチ修道院]]</small></center>
ファイル:House with Chimaeras RU.JPG|<center><small>[[怪物屋敷]]</small></center>
ファイル:Kiev Opera House.JPG|<center><small>[[ウクライナ国立歌劇場]]</small></center>
ファイル:Maryinsky Palace, residence of the Ukrainian President.JPG|<center><small>[[マリア宮殿 (キエフ)|マリア宮殿]]</small></center>
ファイル:National Bank of Ukraine.jpg|<center><small>[[ウクライナ国立銀行]]</small></center>
ファイル:Kiev Pyrogiv Podillya 070628.jpg|<center><small>[[ウクライナ建築民俗博物館]]</small></center>
ファイル:Foreign Ministery.jpg|<center><small>外務省</small></center>
ファイル:Kiev Conservatoriy.jpg|<center><small>キエフ芸術学校</small></center>
ファイル:Bogorodica-Pirogoscha.jpg|<center><small>聖母マリア教会</small></center>
ファイル:Olga Monument.jpg|<center><small>キエフ大公オーリハ像</small></center>
ファイル:Illy Proroka Churrch in Kyiv4.jpg|<center><small>[[イッリャ教会 (キエフ)|イッリャ教会]]</small></center>
</gallery></center>

==スポーツ==
*[[オリンピスキ・スタジアム|五輪スダジウム]]：ウクライナ最大の陸上競技場。
**[[2012年]][[7月1日]]には[[サッカー欧州選手権]]（[[UEFA EURO 2012|EURO　2012]]）決勝 [[スペイン]]対[[イタリア]]が行われた。
*[[キエフ・スポーツ宮殿]]
*[[FCディナモ・キエフ]]：キエフを本拠地とする[[サッカー]]クラブ。
*[[FCアルセナル・キエフ]]：キエフを本拠地とする[[サッカー]]クラブ。

== 出身の人物 ==
[[:Category:キエフ出身の人物]]を参照。
<center><gallery widths=160px heights=160px>
ファイル:Anne of Kyiv.jpg|<center>[[アンナ・ヤロスラヴナ]]<br>フランスの王妃
ファイル:Mykola Pymonenko-Avtoportret.jpg|<center>[[ムィコーラ・プィモネーンコ|ミコーラ・プィモネーンコ]]<br>ウクライナの画家
ファイル:Golda Meir 03265u.jpg|<center>[[ゴルダ・メイア]]<br>イスラエルの政治家
ファイル:Sikorsky, Igor.jpg|<center>[[イーゴリ・シコールスキイ]]<br>アメリカの発明家
ファイル:Reinhold Glière.jpg|<center>[[レインゴリト・グリエール]]<br>ウクライナの作曲家
ファイル:Casimir Malevich photo.jpg|<center>[[カジミール・マレーヴィチ]]<br>ウクライナの画家
ファイル:Serge Lifar Harnasie 1936.jpg|<center>[[セルジュ・リファール]]<br>フランスのバレエダンサー
ファイル:Valeri Lobanovsky.jpg|<center>[[ヴァレリー・ロバノフスキー]]<br>ウクライナのサッカー監督
ファイル:Milla Jovovich Cannes 2011.jpg|<center>[[ミラ・ジョヴォヴィッチ]]<br>アメリカの女優
</gallery></center>

== 姉妹都市 ==
*{{Flagicon|JPN}} [[京都市]]（[[日本]]）
*{{Flagicon|MDA}} [[キシナウ]]（[[モルドバ]]）
*{{Flagicon|GEO}} [[トビリシ]]（[[グルジア]]）
*{{Flagicon|SRB}} [[ベオグラード]]（[[セルビア]]）
*{{Flagicon|TUR}} [[アンカラ]]（[[トルコ]]）
*{{Flagicon|GRE}} [[アテネ]]（[[ギリシア]]）
*{{Flagicon|HUN}} [[ブダペスト]]（[[ハンガリー]]）
*{{Flagicon|USA}} [[シカゴ]]（[[アメリカ合衆国|米国]]）
*{{Flagicon|SCO}} [[エディンバラ]]（[[スコットランド]]）
*{{Flagicon|GER}} [[ミュンヘン]]（[[ドイツ]]）
*{{Flagicon|FRA}} [[パリ]]（[[フランス]]）
*{{Flagicon|FRA}} [[トゥールーズ]]（フランス）
*{{Flagicon|POL}} [[ワルシャワ]]（[[ポーランド]]）
*{{Flagicon|AUT}} [[ウィーン]]（[[オーストリア]]）
*{{Flagicon|ITA}} [[ローマ]]（[[イタリア]]）
*{{Flagicon|CAN}} [[トロント]]（[[カナダ]]）
*{{Flagicon|SWE}} [[ストックホルム]]（[[スウェーデン]]）
*{{flagicon|BEL}} [[ブリュッセル]]（[[ベルギー]]）

== 注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{reflist}}

== 関連項目 ==
*[[ディナモ・キエフ]] [[サッカー]]クラブ
*[[:w:BC Kiev|BCキエフ]] [[バスケットボール]]クラブ
*[[キエフ級航空巡洋艦]]
*[[キエフ大公国]]
*[[展覧会の絵]]
*[[ビタリ・クリチコ]]　

== 参考文献 ==
*{{ja icon}} [[伊東孝之]], 井内敏夫, [[中井和夫]]編　『ポーランド・ウクライナ・バルト史』 (世界各国史; 20)－東京: [[山川出版社]], 1998年.  ISBN 9784634415003
*{{ja icon}} 黒川祐次著　『物語ウクライナの歴史 : ヨーロッパ最後の大国』 (中公新書; 1655)－東京 : 中央公論新社, 2002年. ISBN 4121016556
*{{uk icon}} {{lang|uk|''[[ウクライナ・ソビエト社会主義共和国の市町村史|Історія міст і сіл Української РСР]]'': Київ. — Київ: УРЕ АН　УРСР, 1968.}}
*{{uk icon}} {{lang|uk|Толочко П. П., Івакін Г. Ю., Верменич Я. В. Київ // ''Енциклопедія історії України''. — Київ : Наукова думка, 2007. — Т. 4. — С. 201–218.}}

== 外部リンク ==
{{Commons&cat|Kyiv|Kiev}}
; 公式
* [http://kievcity.gov.ua/ キエフ市公式サイト]

; 旅行
* [http://www.kiev.info キエフ市観光情報] {{en icon}}

{{ウクライナの地方行政区画}}
{{ウクライナの都市}}
{{英雄都市}}

{{DEFAULTSORT:きえふ}}

[[Category:ヨーロッパの首都]]
[[Category:ウクライナの都市]]
[[Category:キエフ|*]]
[[Category:世界歴史都市連盟]]

{{Link FA|mk}}
{{Link GA|ar}}