カール5世 (神聖ローマ皇帝)のソースを表示

{{基礎情報 君主
| 人名       = カルロス1世 / カール5世
| 各国語表記 = Carlos I / Karl V.
| 君主号     = スペイン王<br />（カスティーリャ王、レオン王、アラゴン王、ナバラ王、バレンシア王、マヨルカ王、……）<br />神聖ローマ皇帝
| 画像       = Charles V, Holy Roman Emperor by Tizian.jpg
| 画像サイズ =
| 画像説明   = 伝[[ティツィアーノ・ヴェチェッリオ]]画、[[1548年]]（[[アルテ・ピナコテーク]]蔵）
| 在位       = [[1519年]] - [[1556年]]（神聖ローマ皇帝）<br />[[1516年]] - 1556年（スペイン王）
| 戴冠日     = [[1530年]][[2月24日]]（神聖ローマ皇帝）
| 別号       = ブルゴーニュ公<br />ブラバント公<br />フランドル伯<br />ルクセンブルク公<br />ネーデルラント君主<br />ミラノ公<br />ナポリ王<br />シチリア王
| 姓名       = 
| 出生日     = [[1500年]][[2月24日]]
| 生地       = [[ファイル:Flag of Flanders.svg|20px]][[フランドル]]、[[ヘント]]
| 死亡日     = [[1558年]][[9月21日]]
| 没地       = {{ESP}}、[[ユステ]]
| 埋葬日     = 　
| 埋葬地     = [[エル・エスコリアル修道院]]
| 配偶者1    = [[イサベル・デ・ポルトゥガル・イ・アラゴン]]
| 子女       = [[フェリペ2世 (スペイン王)|フェリペ2世]]<br/>[[マリア・デ・アブスブルゴ|マリア]]<br/>フェルナンド<br/>[[フアナ・デ・アウストリア|フアナ]]<br/>フアン<br/>[[マルゲリータ・ダウストリア (パルマ公妃)|マルガリータ]]<br/>[[ドン・フアン・デ・アウストリア|フアン]]（異説あり）
| 王家       = [[ハプスブルク家]]
| 王朝       = [[ハプスブルク家|ハプスブルク朝]]
| 王室歌     = 
| 父親       = [[フェリペ1世 (カスティーリャ王)|フィリップ美公]]
| 母親       = [[フアナ (カスティーリャ女王)]]
}}
'''カール5世'''（'''Karl V.''', [[1500年]][[2月24日]] - [[1558年]][[9月21日]]）は、[[ハプスブルク家]]出身の[[神聖ローマ皇帝]]（在位：[[1519年]] - 1556年）であり、[[スペイン君主一覧|スペイン国王]]（在位：[[1516年]] - [[1556年]]）としては'''カルロス1世'''（'''Carlos I'''）と呼ばれる<ref>欧米語では、欧米の歴史上の人物の名前は自国語で表すことが多く、この人物の名はドイツ語ではカール、スペイン語ではカルロスであるが、スペインではCarlos I de España、Carlos V de Alemania<small>（カルロス・プリメーロ・デ・エスパーニャ、カルロス・キント・デ・アレマニア）</small>のように言う。このような場合、日本語では各肩書きに関連する言語における名前で呼ぶことが通常であるため、神聖ローマ皇帝としてはドイツ語名で、スペイン国王としてはスペイン語名で呼ぶことが通常である。</ref>。

[[ハプスブルク帝国]]の絶頂期に君臨し、[[近世]]における最も重要な人物の一人である。その治世は、ヨーロッパ統合を果たした[[カール大帝]]以来の歴史的ヨーロッパ概念の創造者、体現者と言われる。さらに当時は大航海時代の真っ只中にあったため、「太陽の沈まない国」と称されたようにヨーロッパから新大陸、アジア（[[フィリピン]]）に至る世界帝国を築き上げた。彼の理想は[[オットー1世 (神聖ローマ皇帝)|オットー1世]]以来有名無実化していた神聖ローマ帝国を統一し、最終的には西ヨーロッパの統一とカトリック的世界帝国の構築であったが、覇権を争う[[フランス王国]]との戦い、[[宗教改革]]の嵐、[[スレイマン1世]]が率いる[[オスマン帝国]]との相次ぐ戦いに阻まれ、あと一歩のところで目的は果たせなかった。晩年は長年の[[痛風]]と相次ぐ戦争に疲れ果て自ら退位し、修道院に隠棲した。しかしその理想は気宇壮大で、後々から現代にいたるまで偉大な皇帝として敬愛されている。

== カール5世の血筋 ==
[[ネーデルラント]]の領主[[フェリペ1世 (カスティーリャ王)|フィリップ美公]]と[[カスティーリャ王国|カスティーリャ]]女王[[フアナ (カスティーリャ女王)|フアナ]]の間に生まれた。母方の祖父母は結婚によって統一スペイン王国を誕生させた[[アラゴン連合王国|アラゴン]]王[[フェルナンド2世 (アラゴン王)|フェルナンド2世]]（カスティーリャ王フェルナンド5世）とカスティーリャ女王[[イサベル1世 (カスティーリャ女王)|イサベル1世]]であった。さらに父方の祖父母は神聖ローマ皇帝[[マクシミリアン1世 (神聖ローマ皇帝)|マクシミリアン1世]]と[[ブルゴーニュ公国|ブルゴーニュ]]女公[[マリー・ド・ブルゴーニュ|マリー]]という、当時のヨーロッパ王族のサラブレットともいうべき血筋の生まれであった。

「カール5世は～国の人間である」と言い切るのは難しい。なぜなら母フアナはスペイン出身で、統治領域の中心はスペインであり、カール5世は自分の生まれ故郷の[[ネーデルラント|低地諸国]]に愛着を持っていたので、言葉の問題から当初は馴染めなかったからである。それでもカール5世はスペイン王位についてから熱心にスペイン語を覚え、スペインを統治した。ちなみに、弟のフェルナンド（神聖ローマ皇帝[[フェルディナント1世 (神聖ローマ皇帝)|フェルディナント1世]]）は兄と違いスペイン生まれのスペイン育ちである。

また、父方から[[ハプスブルク家]]の血を受け継いだ神聖ローマ皇帝であるものの、[[ドイツ人]]とは言い難い。カール5世は[[フランドル]]のガン（[[ヘント]]、現在は[[ベルギー]]の都市）で生まれ、[[母語]]は当時のフランドル貴族の公用語であった[[フランス語]]であった。

カール5世はフランス人ではなかったが、[[フランス]]と[[パリ]]をこよなく愛した。当時の貴族の常として西欧最大の都市にして西ヨーロッパ社交界の中心都市であったパリに数回滞在しており、フランス社交界でも「シャルル・カン」（Charles Quint）として知られていた。父フィリップも親仏派だったといわれるが、カール5世は「パリはもはや都市というより、一つの世界だ」（[[ラテン語]]：Lutetia non urbs, sed orbis.）と言ったと伝えられる。最もよく使ったのもフランス語だったが、皮肉なことに政治的にはフランス王と生涯対立関係にあった。

スペイン王として、神聖ローマ皇帝として、生涯かけてヨーロッパ全土を回り、[[北アフリカ]]にまで足を伸ばしている。[[多言語話者]]であったと言われており、カール5世の言葉として伝えられる有名なものに"I speak Spanish to God, Italian to women, French to men and German to my horse." 「[[スペイン語]]は神への言葉、[[イタリア語]]は女性への言葉、[[フランス語]]は男性への言葉、[[ドイツ語]]は馬への言葉」というものがある。しかし、実際は、カール5世が不自由なく完璧に話すことができたのは、フランス語とスペイン語だけであり、ドイツ語とイタリア語については完全ではなかった。ラテン語も話せたが、これも不完全であった<ref>アントニオ・ドミンゲス・オルティス 「スペイン 三千年の歴史」立石博高訳、昭和堂、2006年、152-153頁。</ref>。

{{競走馬血統表
|name = カール5世
|inf  = （[[ハプスブルク家]]）
|f    = [[フェリペ1世 (カスティーリャ王)|フィリップ美公]]（ブルゴーニュ公）
|ff   = [[神聖ローマ皇帝]][[マクシミリアン1世 (神聖ローマ皇帝)|マクシミリアン1世]]
|fff  = 神聖ローマ皇帝[[フリードリヒ3世 (神聖ローマ皇帝)|フリードリヒ3世]]
|ffff = オーストリア公[[エルンスト (オーストリア公)|エルンスト]]
|fffm = [[ツィンバルカ・マゾヴィエツカ]]
|ffm  = [[エレオノーレ・フォン・ポルトゥガル|レオノール・デ・ポルトゥガル]]
|ffmf = ポルトガル王[[ドゥアルテ1世 (ポルトガル王)|ドゥアルテ1世]]
|ffmm = [[レオノール・デ・アラゴン (ポルトガル王妃)|レオノール・デ・アラゴン]]
|fm   = [[ブルゴーニュ公国|ブルゴーニュ]]女公[[マリー・ド・ブルゴーニュ|マリー]]
|fmf  = ブルゴーニュ公[[シャルル (ブルゴーニュ公)|シャルル]]
|fmff = [[フィリップ3世 (ブルゴーニュ公)|フィリップ善良公]]（ブルゴーニュ公）
|fmfm = [[イザベル・ド・ポルテュガル|イザベル・デ・ポルトゥガル]]
|fmm  = [[イザベル・ド・ブルボン]]
|fmmf = ブルボン公[[シャルル1世 (ブルボン公)|シャルル1世]]
|fmmm = [[アニェス・ド・ブルゴーニュ]]
|m    = [[カスティーリャ王国|カスティーリャ]]女王[[フアナ (カスティーリャ女王)|フアナ]]
|mf   = [[アラゴン連合王国|アラゴン]]王[[フェルナンド2世 (アラゴン王)|フェルナンド2世]]
|mff  = アラゴン王[[フアン2世 (アラゴン王)|フアン2世]]
|mfff = アラゴン王[[フェルナンド1世 (アラゴン王)|フェルナンド1世]]
|mffm = [[レオノール・デ・アルブルケルケ]]
|mfm  = [[フアナ・エンリケス]]
|mfmf = [[ファドリケ・エンリケス]]
|mfmm = [[リアナ・デ・コルドバ]]
|mm   = カスティーリャ女王[[イサベル1世 (カスティーリャ女王)|イサベル1世]]
|mmf  = カスティーリャ王[[フアン2世 (カスティーリャ王)|フアン2世]]
|mmff = カスティーリャ王[[エンリケ3世 (カスティーリャ王)|エンリケ3世]]
|mmfm = [[カタリナ・デ・ランカステル|キャサリン・オブ・ランカスター]]
|mmm  = [[イサベル・デ・ポルトゥガル (カスティーリャ王妃)|イザベル・デ・ポルトゥガル]]
|mmmf = ポルトガル王子[[ジョアン・デ・ポルトゥガル (1400-1442)|ジョアン]]
|mmmm = [[イザベル・デ・バルセロス]]
}}

== 生涯 ==
=== 生い立ち ===
[[ファイル:Bernaerd van Orley 004.jpg|thumb|160px|少年時代のカール、[[ベルナールト・ファン・オルレイ]]画]]
1500年に[[フランドル]]のガン（[[ヘント]]）で生まれ、1517年まで[[ネーデルラント]]で育った。名前は曾祖父[[シャルル (ブルゴーニュ公)|シャルル豪胆公]]にちなむ。共に暮らしていた両親は、1506年にカスティーリャ王位を継承するためスペインへ渡った。残されたカールは叔母のネーデルラント総督[[マルグリット・ドートリッシュ|マルグリット]]に育てられた。少年時代の個人教師には、後に[[教皇]][[ハドリアヌス6世 (ローマ教皇)|ハドリアヌス6世]]となったオランダ人、[[ユトレヒト]]のアドリアンがおり、恵まれた環境で帝王学を学んだ。さらに側近としてシェブレ侯や[[ジャン・ル・ソヴージュ]]、[[メルクリノ・ガッティナラ]]らが従っていた。

[[1506年]]、スペインに渡ったばかりの父が急死すると、幼くしてネーデルラントの継承者[[ブルゴーニュ公一覧|ブルゴーニュ公]]となった。[[1516年]]に外祖父フェルナンド2世が死去すると、スペイン語を解さなかったカールは[[ブリュッセル]]にいながらにして母フアナと共同統治という形でカスティーリャ王になった。それは同時に[[アラゴン王国|アラゴン]]、[[ナバラ王国|ナバーラ]]、[[グラナダ]]、[[ナポリ王国|ナポリ]]、[[シチリア王国|シチリア]]、[[サルデーニャ]]、さらに[[イスパノアメリカ|スペイン領アメリカ]]にいたる広大な領域の統治者となったことを意味していた。1515年、父方の祖父マクシミリアンにより[[ハンガリー王国|ハンガリー]]と[[ボヘミア王国|ボヘミア]]の王家である[[ヤギェウォ朝|ヤギェウォ家]]との二重結婚が取り決められたが、[[アンナ・ヤギエロ|アンナ]]王女がカールと弟[[フェルディナント1世 (神聖ローマ皇帝)|フェルディナント]]のどちらの妃となるかはその時点では未定だった。結婚相手を将来の皇帝であるカールではなくフェルディナントに決めると、ハンガリー側からは猛反発を受けた。しかしフェルディナントとアンナにとっては幸福な結婚となった。

[[1517年]]に初めて「本国」スペイン入りし、[[トルデシリャス]]で母と再会すると、[[バリャドリッド]]で[[摂政]][[フランシスコ・ヒメネス・デ・シスネロス|ヒメネス・デ・シスネロス]][[枢機卿]]を解任して親政を開始した。[[1519年]]にマクシミリアン1世が死去すると、オーストリアをはじめとするハプスブルク家の領土を継承した。さらに叔母の[[マルグリット・ドートリッシュ]]や[[フッガー家]]の支援を得て1519年6月28日には生涯の宿敵・[[フランソワ1世 (フランス王)|フランソワ1世]]を破り、[[フランクフルト・アム・マイン|フランクフルト]]に集まった[[選帝侯]]達が全票をカールに投じて神聖ローマ皇帝に選出した。しかしこの選挙資金のために莫大な負債を負っている。[[1520年]]には[[戴冠式]]の途上、[[イングランド王国|イングランド]]に立ち寄って[[ヘンリー8世 (イングランド王)|ヘンリー8世]]夫妻と対面している。ヘンリー8世の王妃[[キャサリン・オブ・アラゴン|キャサリン]]はカール5世の叔母だったからである。その後、伝統に従って[[アーヘン]]で神聖ローマ皇帝としての戴冠を受けた。

しかし戴冠式の最中に、皇帝選挙に使用する懐柔工作資金（スペイン王国の国家予算5年分）の国外持ち出し、「外国人君主と外国人顧問、側近」の統治に反発していた[[トレド]]や[[セゴビア]]などカスティーリャの諸都市が、カール5世が[[コルテス (身分制議会)|コルテス]]で新たに3年毎の40万ドゥカットの上納金と商品売上に対する税を課したことを端緒に一揆契約を結び、[[コムネロスの反乱]]が勃発した。コムネロスの反乱は外国人幹部によるスペイン支配への抵抗から、貴族の特権に対する反乱へと変質していった<ref>[[エドゥアルド・ガレアーノ]]/大久保光夫：訳『[[収奪された大地 ラテンアメリカ五百年]]』新評論、1986/09 p.78</ref> 。1521年にカール5世は1年余り続いたこの内乱を鎮圧したことで名実共にスペインの支配者となり、強大な兵力を率いて生涯各地を転戦した。しかし、これ以降スペインはハプスブルク家の進める戦争への財物供出を余儀なくされ、カスティーリャやアラゴンからの税収や[[インディオ]]の奴隷労働によって[[ポトシ]]などから収奪された金銀はスペインの為に使われる事はなく、ハプスブルク家の利害のために使われ諸外国に流出した<ref>[[エドゥアルド・ガレアーノ]]/大久保光夫：訳『[[収奪された大地 ラテンアメリカ五百年]]』新評論、1986/09 pp.75-77</ref>。

=== フランスとの戦い、宗教改革への対応 ===
[[ファイル:Jakob_Seisenegger_001.jpg|thumb|160px|[[ヤーコプ・ザイゼネッガー]]画、[[1532年]]]]
[[File:Empire-Roman-Emperor-Charles-V.jpg|thumb|300px|カール5世時代のハプスブルク帝国。西ヨーロッパの大半を手中にした。<br><div style="float: left; vertical-align: top; white-space: nowrap; margin-right: 1em;">{{legend|#c71585|カスティーリャ|border=1px solid #000}}{{legend|#ff0000|アラゴン|border=1px solid #000}}{{legend|#ffa500|ブルゴーニュ|border=1px solid #000}}</div>{{legend|#ffd700|オーストリア|border=1px solid #000}}{{legend-line|black solid 2px|神聖ローマ帝国の境界}}]]
カール5世は生涯フランス国王[[フランソワ1世 (フランス王)|フランソワ1世]]・[[アンリ2世 (フランス王)|アンリ2世]]父子との戦争を繰り返すことになる。初めは[[1521年]]に[[北イタリア]]で争い、後にイタリア全土を戦火に投じることになる（[[イタリア戦争]]）。[[1527年]]にはカール5世のドイツ人傭兵（[[ランツクネヒト]]）達がローマで狼藉を働いた。これが[[ローマ略奪]]である。このような行為はカール5世の意図するところではなかったとされるが、結果的にカール5世の軍勢を恐れた教皇[[クレメンス7世 (ローマ教皇)|クレメンス7世]]がイングランド王ヘンリー8世の[[婚姻の無効|結婚無効]]の申請を却下し、イングランドのローマ教会からの離反へとつながっていく。

神聖ローマ皇帝として、カール5世は当時論議の的となっていた[[マルティン・ルター]]の扱いにも苦慮し、身の安全を保障して[[ヴォルムス帝国議会 (1521年)|ヴォルムス帝国議会]]に召喚している。結果的にルターの主張を認めず、同調者達と共に法の保護を剥奪（[[帝国アハト刑|帝国追放]]）するが、[[プロテスタント]]の興隆を食い止めることにはならなかった。

ヘンリー8世と同盟して行った対フランス戦争では[[1525年]]に[[パヴィアの戦い]]でフランス王フランソワ1世を捕虜とすることに成功し、[[1526年]]にフランスの北イタリアにおける権益を全面放棄するという[[マドリード条約 (1526年)|マドリード講和条約]]を承認させた。しかし、フランソワ1世は釈放されるとすぐに前言を翻してこの条約を破棄したため、[[1529年]]にあらためてフランスとの間に[[貴婦人の和約|カンブレー講和条約]]を、[[ローマ教皇庁]]との間にバルセロナ和約を結んで、北イタリアにおける権益を確保した。1524年に起きた[[ドイツ農民戦争]]と[[シュマルカルデン同盟]]の成立に際しては、手一杯だったカール5世は弟のフェルディナントを代行としてドイツ地方における政務を委託している（フェルディナントは[[1531年]]に[[ローマ王]]に即位）。

=== オスマン帝国との戦い ===
[[ファイル:Carlos_V_en_Mühlberg,_by_Titian,_from_Prado_in_Google_Earth.jpg|thumb|180px|カール5世騎馬像、ティツィアーノ・ヴェチェッリオ画、[[1548年]]]]
やがてカール5世は、ヨーロッパを圧迫していた[[オスマン帝国]][[スルタン]]・[[スレイマン1世]]との戦いにも身を投じるようになる。当時、[[地中海]]ではオスマン帝国艦隊が制海権を握り、陸上では[[1529年]]に[[ウィーン]]が包囲されるまでになっていた（[[第一次ウィーン包囲]]）。しかしカール5世は[[1535年]]の[[チュニス]]において勝利し、[[1536年]]には宿敵フランソワ1世と対オスマン帝国同盟を結んだ。フランスがやがてオスマン帝国と単独講和してもカール5世は和睦しなかったが、[[1538年]]の[[プレヴェザの海戦]]ではローマ教皇・[[ヴェネツィア共和国]]と結ぶも敗退し、地中海の制海権を失う。最終的に[[1543年]]にフランスとは[[クレピーの和約]]を結び、戦費の増大のためにオスマン帝国とも講和せざるを得なくなった。これにより、オスマン帝国との決着は息子の[[フェリペ2世 (スペイン王)|フェリペ2世]]に引き継がれることとなった。

=== トリエント公会議と宗教和解への努力 ===
カール5世は宗教問題解決のため、[[公会議]]の実施に尽力し、[[1545年]]の[[トリエント公会議]]の開会でその努力は実を結んだ。公会議はカール5世の意図したルター派のカトリックへの改宗という成果はなかったが、カトリック教会の[[対抗改革]]の頂点となり、カトリック教会再生の里程標となった。

その間もドイツでは[[シュマルカルデン同盟]]との戦いが続いていたが、[[ザクセン公国|ザクセン]][[ザクセン君主一覧|公]][[モーリッツ (ザクセン選帝侯)|モーリッツ]]を味方に引き入れたことによって、戦況はカール5世に有利に傾き、[[1547年]][[4月24日]]の[[ミュールベルクの戦い]]で決定的な勝利を収めた。同盟の2人の中心的指導者[[ザクセン選帝侯領|ザクセン]][[ザクセン君主一覧|選帝侯]][[ヨハン・フリードリヒ (ザクセン選帝侯)|ヨハン･フリードリヒ]]と[[ヘッセン方伯]][[フィリップ1世 (ヘッセン方伯)|フィリップ]]を虜囚とすることに成功した。これ以上の内戦の激化を危惧したカール5世は[[1548年]]に[[アウクスブルク]]で[[アウクスブルク仮信条協定|暫定規定]]（Interim）を発令し、カトリックとプロテスタントのドイツにおける共存を提案した。この結果、[[1555年]]に[[アウクスブルクの和議]]が結ばれることになる。

=== 退位と晩年 ===
1548年には[[ネーデルラント17州]]のスペイン王国およびフランスからの分離独立を認めている（1548年の国事勅定）。さらに[[1550年]]には「[[バリャドリッド論争]]」の名で知られる、アメリカ先住民（[[インディオ]]）の地位とインディアス問題に関する審議会を開いている。これは[[バルトロメ・デ・ラス・カサス|ラス・カサス]]らの長年の活動が実ったともいえるもので、最終的にエンコミンダの世襲化の導入が阻止されるなど、ラス・カサスの努力が報われる形となり、アメリカ先住民への不当な行為の撤廃を目指した非常に画期的な審議会となった。

[[1556年]]、長年の[[痛風]]及び統治と戦争に疲れたカール5世は退位を決意する。ブリュッセルでの退位式では、「余はドイツへ9回、スペインへ6回、イタリアへ7回、フランドルへ10回、フランスへ4回、イギリス、アフリカへ2回づつ、合計40回におよぶ旅をした。（略）これまで余は、経験不足や、あまりのむこうみずさなどによって、多くの過ちを犯してきた。しかし、けっして誰かを傷つけようという意図はもっていなかった。もし万一、そんなことがあったとすれば、ここにゆるしを請いたい」と言って、涙で演説がとぎれたという。

両親から受け継いだスペイン・ネーデルラント関係の地位と領土は全て息子のフェリペ2世に譲り、父方の祖父から受け継いだオーストリア・神聖ローマ帝国関係の地位と領土は弟のフェルディナント1世に継承させた。この頃すでに神経衰弱気味であったといわれているカール5世は、スペインの[[ユステ修道院]]に隠棲し、1558年に亡くなった。晩年の10年ほどは常に痛風の激痛に悩まされていた。

== 称号一覧 ==
{{Wikiquote|en:Charles V, Holy Roman Emperor}}
{{Commons category|Charles V, Holy Roman Emperor}}
* [[ファイル:Blason fr Bourgogne.svg|40px]] [[1506年]][[9月25日]] - [[1556年]][[1月16日]]：[[ブルゴーニュ公]]'''シャルル2世'''（有名無実）
* [[ファイル:Coat of arms of Brabant.svg|40px]] 1506年9月25日 - [[1555年]][[10月25日]]：[[ブラバント公]]'''シャルル2世'''
* [[ファイル:Limburg New Arms.svg|40px]] 1506年9月25日 - 1555年10月25日：[[リンブルフ|リンブルフ公]]'''シャルル2世'''
* [[ファイル:Austria coat of arms simple.svg|40px]] 1506年9月25日 - 1555年10月25日：[[ロレーヌ公|下ロタリンギア公]]'''シャルル2世'''
* [[ファイル:Armoiries Comtes de Luxembourg.svg|40px]] 1506年9月25日 - 1555年10月25日：[[ルクセンブルク君主一覧|ルクセンブルク公]]'''カール3世'''
* [[ファイル:Namur Arms.svg|40px]] 1506年9月25日 - 1555年10月25日：[[ナミュール|ナミュール辺境伯]]'''シャルル2世'''
* [[ファイル:Blason comte fr Nevers.svg|40px]] 1506年9月25日 - 1556年[[2月5日]]<ref name=cburgundy>[http://books.google.es/books?id=m9YdtLnRO_gC&lpg=PA41&dq=&pg=PA41#v=onepage&q&f=false]</ref>：[[ブルゴーニュ伯]]'''シャルル2世'''
* [[ファイル:Artois Arms.svg|40px]] 1506年9月25日 - 1555年10月25日：[[アルトワ|アルトワ伯]]'''シャルル2世'''
* [[ファイル:Blason Charolais.svg|40px]] 1506年9月25日 - 1556年2月5日<ref name=cburgundy/>：[[シャロレー伯]]'''シャルル2世'''
* [[ファイル:Blason Nord-Pas-De-Calais.svg|40px]] 1506年9月25日 - 1555年10月25日：[[フランドル伯]]'''シャルル3世'''
* [[ファイル:Hainaut Modern Arms.svg|40px]] 1506年9月25日 - 1555年10月25日：[[エノー伯]]'''シャルル2世'''
* [[ファイル:Counts of Holland Arms.svg|40px]] 1506年9月25日 - 1555年10月25日：[[ホラント伯]]'''カレル2世'''
* [[ファイル:Coatofarmszeeland.PNG|40px]] 1506年9月25日 - 1555年10月25日：[[ゼーラント|ゼーラント伯]]'''カレル2世'''
* [[ファイル:Guelders-Jülich Arms.svg|40px]] [[1543年]][[9月12日]] - 1555年10月25日：[[ゲルデルン公]]'''カール3世'''
* [[ファイル:Escudo de Zutphen 1581.png|40px]] 1543年9月12日 - 1555年10月25日：[[ズトフェン伯]]'''カレル2世'''
* [[ファイル:Escudo Corona de Castilla.png|40px]] [[1516年]][[3月14日]] - 1556年1月16日：[[カスティーリャ君主一覧|カスティーリャ王]]・[[ナバラ君主一覧|ナバラ王]]'''カルロス1世'''（1516年3月14日 &ndash; 1555年[[4月12日]]は[[フアナ (カスティーリャ女王)|フアナ]]の代行）
* [[ファイル:Escudo Corona de Aragon y Sicilia.png|40px]] 1516年3月14日 - 1556年1月16日：[[アラゴン君主一覧|アラゴン王]]・[[ナポリとシチリアの君主一覧|シチリア王]]'''カルロス（カルロ）1世'''（1516年3月14日 - 1555年4月12日はフアナ（ジョヴァンナ）の代行）
* [[ファイル:Armas del reino de Nápoles - Casa de Austria.svg|40px]] 1516年3月14日 - [[1554年]][[7月25日]]：[[ナポリとシチリアの君主一覧|ナポリ王]]'''カルロ4世'''（1516年3月14日 &ndash; 1555年4月12日はジョヴァンナの代行）
* [[ファイル:Holy Roman Empire Arms-single head.svg|40px]] [[1519年]][[6月28日]] - [[1530年]][[2月24日]]：[[ローマ王|ローマ人の王（ドイツ王）]]'''カール（カロルス）5世'''
* [[ファイル:Holy Roman Empire Arms-double head.svg|40px]] 1530年2月24日 - 1558年2月24日：[[神聖ローマ皇帝]]'''カール5世'''
* [[ファイル:Austria coat of arms simple.svg|40px]] 1519年[[1月12日]] - [[1521年]]：[[オーストリア大公]]'''カール1世'''

称号がすべてついた場合、以下のようになる。

カール、神の恩寵による、神聖ローマ皇帝、永遠の尊厳者、[[ドイツ王]]、[[イタリア王]]、全スペインの王及び[[カスティーリャ王国|カスティーリャ王]]、[[アラゴン王国|アラゴン王]]、[[レオン王国|レオン王]]、[[ナバラ王国|ナバラ王]]、[[グレナダ|グレナダ王]]、[[トレド王国|トレド王]]、[[バレンシア王国|バレンシア王]]、[[ガリシア王国|ガリシア王]]、[[マヨルカ王国|マヨルカ王]]、[[セビリア|セビーリャ王]]、[[コルドバ|コルドバ王]]、[[ムルシア|ムルシア王]]、[[ハエン|ハエン王]]、[[アルガルヴェ王国|アルガルヴェ王]]、[[アルヘシラス]]王、[[ジブラルタル]]王、[[カナリア諸島]]の王、[[両シチリア王国|両シチリア]]及び[[サルデーニャ王]]、[[コルシカ]]王、[[エルサレム王]]、[[東インド]]、[[西インド]]の王、大洋と島々の君主、[[オーストリア大公]]、[[ブルゴーニュ公]]、[[ブラバント公]]、[[ロレーヌ公]]、[[シュタイアーマルク|シュタイアーマルク公]]、[[ケルンテン公]]、[[カルニオラ]]公、[[リンブルク公]]、[[ルクセンブルク公]]、[[ヘルダーラント]]公、[[アテネ公国|アテネ公]]、[[ネオパトラス]]公、[[ヴュルテンベルク公]]、[[アルザス]]辺境伯、[[シュヴァーベン公]]、[[アストゥリアス公]]、[[カタルーニャ君主国|カタルーニャ公]]（prince）、[[フランドル伯]]、[[ハプスブルク]]伯、[[チロル]]伯、[[ゴリツィア]]伯、[[バルセロナ伯]]、[[アルトワ]]伯、[[ブルゴーニュ伯|ブルゴーニュ自由伯]]、[[エノー伯]]、[[ホラント伯]]、[[ゼーラント伯]]、[[フェレット]]伯、[[キーブルク]]伯、[[ナミュール]]伯、[[ルシヨン]]伯、[[サルダーニャ]]伯、[[ズトフェン]]伯、神聖ローマ帝国の[[辺境伯]]、[[ブルガウ]]辺境伯、[[オリスターノ]]辺境伯、[[ゴチアーノ]]辺境伯、[[フリジア]]・[[ヴェンド人|ヴェンド]]・[[ポルデノーネ]]・[[バスク国 (歴史的な領域)|バスク]]・モリン・サラン・[[トリポリ]]・[[メヘレン]]の領主。

== 容姿 ==
両親の血を引いて生まれつきアゴの筋力が弱く、[[下顎前突症]]であり、また幼少期の病気により鼻腔が閉塞気味であったため、多くの肖像画でも見られる通り、一見すると非常に下あごが突出してるように見え、常に口の開いた状態だったとされている。

== 子女 ==
[[ファイル:Tizian 057.jpg|thumb|160px|皇后・王妃イサベル]]
1526年に[[ポルトガル王国|ポルトガル]]の先王[[マヌエル1世 (ポルトガル王)|マヌエル1世]]の王女で、互いに母方の従兄妹である[[イサベル・デ・ポルトゥガル・イ・アラゴン|イサベル]]（イザベル、イザベラ）と結婚した。前年の1525年にイサベルの兄[[ジョアン3世 (ポルトガル王)|ジョアン3世]]とカール5世の妹[[カタリナ・デ・アウストリア|カタリナ]]が結婚するという二重結婚であった。また、カール5世の姉[[レオノール・デ・アウストリア|レオノール]]は1518年にマヌエル1世の3番目の王妃となったが、マヌエル1世とは1521年に死別していた。

イサベルとの間には3男2女が生まれた。うち男子2人は夭逝した。
* [[フェリペ2世 (スペイン王)|フェリペ2世]]（1527年 - 1598年） - スペイン王及びポルトガル王
* [[マリア・デ・アブスブルゴ|マリア]]（1528年 - 1603年） - 神聖ローマ皇帝[[マクシミリアン2世 (神聖ローマ皇帝)|マクシミリアン2世]]の皇后
* フェルナンド（1530年）
* [[フアナ・デ・アウストリア|フアナ]]（1535年 - 1573年） - ポルトガル王[[ジョアン3世 (ポルトガル王)|ジョアン3世]]の子[[ジョアン・マヌエル・デ・ポルトゥガル|ジョアン・マヌエル]]王太子の妃、[[セバスティアン1世 (ポルトガル王)|セバスティアン1世]]の母
* フアン（1539年）

人の良い性格であったため、貴族身分の母から[[庶子]]が生まれれば認知し、商人・工人身分の母から子が生まれれば修道院などへ入れた。うち有名なのは、ヨハンナ・ファン・デル・ヘインストが儲けた[[マルゲリータ・ダウストリア (パルマ公妃)|マルガリータ]]（1522年 - 1586年）と、バルバラ・フォン・ブロンベルクが儲けた[[レパント海戦]]の英雄[[ドン・フアン・デ・アウストリア]]（1547年 - 1578年）である。事跡の不明な子女としては、祖父フェルナンド2世の後妻[[ジェルメーヌ・ド・フォワ]]が儲けた女子イサベル{{enlink|Infanta Isabel de Castilla||es|a=on}}と夭折した子、オルソリーナ・デッラ・ペンナが儲けた女子タデア、母不詳の女子フアナ、などが知られている。

==系譜==
{| class="wikitable"
|-
| rowspan="4" align="center"| '''カール5世'''
| rowspan="2" align="center"| '''父:'''<br />[[フェリペ1世 (カスティーリャ王)|フィリップ美公]]（ブルゴーニュ公）
| rowspan="1" align="center"| '''祖父:'''<br />[[神聖ローマ皇帝]][[マクシミリアン1世 (神聖ローマ皇帝)|マクシミリアン1世]]
|-
| rowspan="1" align="center"| '''祖母:'''<br />[[ブルゴーニュ公国|ブルゴーニュ]]女公[[マリー・ド・ブルゴーニュ|マリー]]
|-
| rowspan="2" align="center"| '''母:'''<br />[[カスティーリャ王国|カスティーリャ]]女王[[フアナ (カスティーリャ女王)|フアナ]]
| rowspan="1" align="center"| '''祖父:'''<br />[[アラゴン王国|アラゴン]]王[[フェルナンド2世 (アラゴン王)|フェルナンド2世]]
|-
| rowspan="1" align="center"| '''祖母:'''<br />カスティーリャ女王[[イサベル1世 (カスティーリャ女王)|イサベル1世]]
|}

== 年表 ==
* [[1500年]]：[[フランドル]]（現在の[[ベルギー]]）に生まれる。
* [[1516年]]：母方の祖父[[フェルナンド2世 (アラゴン王)|フェルナンド2世]]の死後、スペイン王カルロス1世として即位（[[スペイン・ハプスブルク朝]]の開始）。一部は正式には女王[[フアナ (カスティーリャ女王)|フアナ]]の王権代行である（フアナは精神を病んでいたため、カールが実質的に統治）。
* [[1517年]]：初めてのスペイン入り。[[フェルディナンド・マゼラン|マゼラン]]を西回り航路艦隊の長に任命。
* [[1519年]]：父方の祖父[[マクシミリアン1世 (神聖ローマ皇帝)|マクシミリアン1世]]が死去し、神聖ローマ皇帝の選出選挙が行われる。フランス王[[フランソワ1世 (フランス王)|フランソワ1世]]と争った末に、神聖ローマ皇帝カール5世として即位。選挙資金は[[フッガー家]]の支援を得る。同年9月にマゼランの艦隊が出発。
* [[1521年]]：帝国議会に[[マルティン・ルター|ルター]]を喚問。[[ルーテル教会|ルター派]]の禁止を決定。同年、皇帝軍・教皇軍がフランス占領下の[[ミラノ公国]]を侵攻（1521年 - 1544年の間にフランソワ1世との間で行われた一連の戦闘を[[イタリア戦争]]という）。
* [[1522年]]：マゼランの艦隊が帰還、[[世界一周]]を達成。船長[[フアン・セバスティアン・エルカーノ]]に称号を授ける（マゼランは[[フィリピン]]で戦死）。
* [[1525年]]：[[パヴィアの戦い]]で捕虜になったフランソワ1世がスペインに送られる。同年、[[ポルトガル王国|ポルトガル]]王女[[イサベル・デ・ポルトゥガル・イ・アラゴン|イザベル]]と結婚。
* [[1526年]]：ルター派を黙認、教皇[[クレメンス7世 (ローマ教皇)|クレメンス7世]]がフランスと同盟（[[コニャック同盟]]）。
* [[1527年]]：コニャック同盟への報復措置として皇帝軍がローマに侵攻（[[ローマ略奪]]）。
* [[1529年]]：[[オスマン帝国]]による[[第一次ウィーン包囲]]、ルター派を再び禁止。
* [[1530年]]：[[フィレンツェ]]侵攻、[[メディチ家]]を臣下とし、[[フィレンツェ公国]]を建国。[[ボローニャ]]で[[教皇]][[クレメンス7世]]のもと神聖ローマ皇帝の戴冠式。
* [[1532年]]：オスマン帝国の脅威に備えるため[[プロテスタント]]諸侯に一定の譲歩、[[ニュルンベルクの和議]]を結ぶ。
* [[1535年]]：オスマン帝国艦隊を破る。
* [[1538年]]：[[プレヴェザの海戦]]、オスマン帝国に大敗。[[地中海]]の[[制海権]]を失う。
* [[1539年]]：プロテスタント諸侯と休戦。　　
* [[1541年]]：[[バルトロメ・デ・ラス・カサス|ラス・カサス]]に謁見、スペイン人による[[アメリカ先住民]]虐殺の報告を受ける。
* [[1545年]]：オスマン帝国と休戦、[[トリエント公会議]]が始まる（カール5世はカトリックとプロテスタントの和解を望む）。
* [[1546年]]：プロテスタント諸侯と対立、[[シュマルカルデン戦争]]。
* [[1547年]]：プロテスタント諸侯を破る。
* [[1552年]]：シュマルカルデン同盟の指導者のザクセン選帝侯[[モーリッツ (ザクセン選帝侯)|モーリッツ]]に破れる。弟の[[ローマ王]][[フェルディナント1世 (神聖ローマ皇帝)|フェルディナント]]はモーリッツとの間で[[パッサウ条約]]を締結。
* [[1555年]]：母フアナが死去し、正式にスペイン国王になる。[[アウクスブルクの和議]]でルター派を許容。
* [[1556年]]：スペイン王・神聖ローマ皇帝を退位、修道院に隠棲。
* [[1558年]]：死去。

== 脚註 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}

== 参考文献 ==
* [[エドゥアルド・ガレアーノ]]/[[大久保光夫]]：訳『[[収奪された大地 ラテンアメリカ五百年]]』新評論、1986年9月 
* [[立石博高]]：編『新版世界各国史16 スペイン・ポルトガル史』[[山川出版社]]、2000年6月
* 新人物往来社編『ビジュアル選書 ハプスブルク帝国』新人物往来社、2010年

== 関連項目 ==
{{Wikiquote|{{PAGENAME}}}}
{{Commons|Charles V}}
* [[アルハンブラ宮殿]]
* [[グラナダ大学]]
* [[プロテスタントとイスラム]]

{{カスティーリャ王}}
{{レオン王}}
{{アラゴン王}}
{{ナバラ王}}
{{神聖ローマ皇帝}}
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|-
| style="width: 33%; text-align: center; border-right: solid 1px #ccc; border-bottom: solid 1px #ccc" | '''先代:'''<br/>[[フェルナンド2世 (アラゴン王)|フェルナンド2世]]<br/>（[[フアナ (カスティーリャ女王)|フアナ]]）
| style="width: 33%; text-align: center; border-bottom: solid 1px #ccc" | '''[[アラゴン君主一覧|アラゴン王]]<br/>[[ナバラ君主一覧|ナバラ王]]'''<br/>'''[[バルセロナ伯]]'''<br/> '''[[バレンシア王国|バレンシア王]]<br>[[マヨルカ王国|マヨルカ王]]'''<br/>'''[[ナポリとシチリアの君主一覧|シチリア王]]<br/>[[ナポリとシチリアの君主一覧|ナポリ王]]'''<br/>[[1516年]] - [[1554年]]/[[1556年]]<br/><small>1555年まで[[フアナ (カスティーリャ女王)|フアナ]]と共治</small>
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