カール・グスタフ・エミール・マンネルヘイムのソースを表示

{{大統領
|人名=カール・グスタフ・エミール・マンネルヘイム
|各国語表記={{lang|fi|Carl Gustaf Emil Mannerheim}}
|画像=Carl Gustaf Emil Mannerheim.jpg
|画像サイズ=200px
|キャプション=
|国名={{FIN}}
|代数=第6
|職名=[[フィンランドの大統領|大統領]]
|就任日=[[1944年]][[3月8日]]
|退任日=[[1946年]][[3月1日]]
|出生日={{生年月日と年齢|1867|6|4|死去}}
|生地={{FIN1809}} [[トゥルク・ポリ州]]<br />{{仮リンク|アスカイネン|label=アスカイネン村|en|Askainen}} ロウヒサーリ
|死亡日={{死亡年月日と没年齢|1867|6|4|1951|1|27}}
|没地={{CHE}} [[ヴォー州]]<br />[[:en:Lausanne District|ローザンヌ郡]] [[ローザンヌ]]
|配偶者=アナスタシア・アラフォヴァ
|政党=
|サイン=CGE Mannerheim autograph.svg
}}
'''カール・グスタフ・エミール・マンネルヘイム'''（{{lang-fi|Carl Gustaf Emil Mannerheim}}、[[1867年]][[6月4日]] - [[1951年]][[1月27日]]）は、[[フィンランド]]の[[軍人]]、[[フィンランドの大統領|大統領]]。[[フィンランド軍]]の最高司令官として[[フィンランド内戦]]、[[冬戦争]]、[[継続戦争]]を指揮した。

士官候補生として[[ロシア帝国陸軍]]に入隊し、[[日露戦争]]などで実績を積み将軍となった。[[第一次世界大戦]]中にフィンランドが独立すると、その後の混乱から起こったフィンランド内戦で、{{仮リンク|フィンランド白衛軍|label=白衛軍|en|White Guard (Finland)}}の司令官として闘った。独立早期、フィンランドが[[フィンランド王国|君主制]]を目指した際には[[摂政]]として連合国に独立承認を求めた。その後、一時は公職を離れたが、第二次大戦突入前の情勢不安の中で先の実績を買われて国防委員長となり、軍の装備の更新などに力を入れた。その後の[[ソビエト連邦|ソ連]]との戦争である[[冬戦争]]、[[継続戦争]]においては[[最高指揮官]]となり、フィンランドの防衛を行った。継続戦争の戦況悪化と[[ナチス・ドイツ]]との同盟の責任から大統領を辞した[[リスト・リュティ]]を継いで、[[1944年]]から[[1946年]]にかけて第6代[[フィンランドの大統領|大統領]]となり、ソ連との難しい講和を成し遂げ、独立を保った。

[[2000年]]のフィンランド国内の調査においてフィンランドで最も偉大な人物として選ばれた<ref>[[#百瀬・石野|百瀬・石野]] pp. 340-341.</ref>。

== 生い立ち ==
[[ファイル:Mannerheim siblings.jpg|thumb|マンネルヘイム（向かって右端）と兄弟達]]
父カール・ロベルト・マンネルハイム（{{lang|fi|Carl Robert Mannerheim}}）と母ヘドウィグ・シャルロッタ・ヘレネ・フォン・ユーリン（{{lang|fi|Hedvig Charlotta Helena von Julin}}）の第3子としてフィンランド南西部にある[[トゥルク]]の{{仮リンク|アスカイネン|label=アスカイネン村|en|Askainen}}のロウヒサーリで生まれた<ref name="uemura_21" />。父はリベラルで急進的な思想を持つ劇作家である一方、製紙会社を起業していた<ref name="uemura_21" />。母は{{仮リンク|フィスカース鉄器|en|Fiskars}}を営んでいた生産業者ヨハン・ヤコブ・フォン・ユーリン（{{lang|fi|Johan Jacob von Julin}}）の娘であった。母方の祖先は[[スウェーデン]]の[[セーデルマンランド地方]]の出身とされる<ref>"Julin von, Ätten härstammar från Säby i Österåkers socken i Södermanland, med namnet taget av grannsocknen Julita. Överflyttade till Finland 1782". http://www.ritarihuone.fi/sve/atterochvapen/http://www.ritarihuone.fi/sve/atterochvapen/</ref>。

マンネルヘイム家は[[ドイツ人]]の実務家で[[ハンブルク]]の工場の経営者、ハインリッヒ・マーヘイム（[[1618年]] – [[1667年]]）が元とされ、マーヘイムは[[バルト帝国|スウェーデン]]の[[イェヴレ]]へ移住しヘンリークと改名した<ref name=pieterse>[http://www.kaleva.fi/plus/index.cfm?j=640489 Kaleva.fi], [http://www.mtv3.fi/uutiset/kotimaa.shtml/arkistot/kotimaa/2007/03/508593 MTV3.fi]</ref>。マーヘイム家の出身は[[ネーデルラント連邦共和国|オランダ]]とされていたが、現代ではそれは覆されている<ref name=pieterse/>。マンネルヘイムの父方の祖先には[[スコットランド人]]がいたとされており、その先祖とされるフィンランド貴族{{仮リンク|フォン・ライト一族|en|Von Wright}}の創始者であるジョージ・ライト（{{lang|sco|George Wright}}）は17世紀に[[ダンディー (スコットランド)|ダンディー]]からスウェーデンに移住している<ref>{{cite web|url=http://suvut.genealogia.fi/wrights/JohanPetterWrightinjaNilsWrightinjalkelaisia.pdf|title=Georg Wrightin jälkeläisiä|publisher=suvut.genealogia.fi|accessdate=24 April 2009}}</ref>。ヘンリークの息子のオーガスティン・マルヘインは[[1693年]]に苗字の響きの良さをあげるために苗字を「マンネルハイム」と変えた。マルヘインの息子ヨハン・オーガスティン・マンネルハイムは大佐で工場監督となり、兄弟とともに1768年に男爵の地位まで上がった。

マンネルハイム家がフィンランドに移ったのは[[18世紀]]のことである<ref name="uemura_21">[[#植村|植村]] pp. 21-24.</ref>。カール・グスタフ・マンネルヘイムの曽祖父であるカール・エリック・マンネルハイム（{{lang|fi|Carl Erik Mannerheim}}）はスウェーデンからフィンランドへ移住し<ref name="uemura_21" />、[[ロシア帝国]]に半分自治を認められていた[[フィンランド大公国]]で市民軍の将校になり、議会議員になった。1825年にエリックは更に伯爵の称号を得た。エリックの息子の{{仮リンク|カール・グスタフ・マンネルハイム (博物学者)|label=カール・グスタフ・マンネルハイム|en|Carl Gustaf von Mannerheim (naturalist)}}は昆虫学者として有名になり、[[ヴィボルグ|ヴィープリ]]王宮で首相を務めた。彼の孫がカール・グスタフ・エミール・マンネルヘイムである。

マンネルヘイムは[[スウェーデン語]]で育ったが7歳になるとヘルシンキの学校へ進み、[[フィンランド語]]で教育を受けた<ref name="uemura_21" />。父は金融取引に楽観的過ぎる[[双極性障害#軽躁状態（軽躁病エピソード）|障害]]に苦しんだ。1870年代から会社の経営が悪化すると<ref name="uemura_21" />、賭け事で経済状況をより悪化させて1880年に破産した。負債の支払いの為にロウヒサーリの荘園を含む土地や美術品を手放し、妻を置いて愛人と[[パリ]]へ去った<ref>Meri, Veijo: "Suomen marsalkka C. G. Mannerheim" (1990) pp. 107–108.</ref>。母のヘレネはこの破綻と夫に捨て去られたショックで精神を弱め<ref> Meri, Veijo: "Suomen marsalkka C. G. Mannerheim" (1990) p. 108. </ref>、1881年に心臓発作で死去した<ref name="uemura_21" />。母の死によってマンネルハイム家の7人の子供たちは親類の手によって別れて育てられることになり、母方の叔父アルベルト・フォン・ユーリン<ref name=tv8> Mannerheim - Marshal of Finland, TV8, 2006. </ref>と叔母ルーイスが法定後見人となった、この夫妻の住んでいた[[サールヴィク]]に居を移した。

== 学生時代 ==
叔父アルベルトの家の家計が悪化していたことと、学校での素行の問題からアルベルトは自己規律と専門知識を習得させるためにマンネルヘイムを軍に入れる決心をした。13歳の時に{{仮リンク|ハミナ|en|Hamina}}の学校に移り、1882年に{{仮リンク|フィンランド幼年学校|en|Hamina Cadet School}}へ入学した<ref>Jägerskiöld, Stig: "Nuori Mannerheim" (1965) pp. 68-70.</ref><ref name="uemura_21" />。

マンネルヘイムは母語であるスウェーデン語のほかに、[[フィンランド語]]、[[ロシア語]]、[[フランス語]]、[[ドイツ語]]、[[英語]]を覚えた<ref name=Jagerskiold>Jägerskiöld, Stig ''Mannerheim: Marshal of Finland'' (1986)</ref><ref name="Screen, J.E.O. 2000">Screen, J.E.O. ''Mannerheim'' (2000)</ref>。[[1887年]]から[[1917年]]のロシア軍での兵役の中で、子供時代に覚えたフィンランド語の多くを忘れてしまい、後年再びフィンランド語を学習しなければならなかった<ref name=Jagerskiold /><ref name="Screen, J.E.O. 2000"/> 。

[[Image:Mannerheim In Nicholas Cavalry School.png|thumb|マンネルヘイム（右）。左は仲間の学生{{仮リンク|アンタナス・リカルダス・ドルーヴェ|en|Antanas Ričardas Druvė}}<ref>Visuotinė lietuvių enciklopedija, V t. Vilnius: Mokslo ir enciklopedijų leidybos institutas, 2004. T.V: Dis-Fatva., 163 psl.</ref>。（19世紀末サンクトペテルブルク、ニコラエフ騎兵学校にて）]]
マンネルヘイムは困窮した家計状態のため会計と経済を学んでいた。どんな小さな支出も叔父に確認されて屈辱を感じていた。また、叔父や親戚によって質素さと善行についての文章を読むことを強要されていた<ref name=jager9394>Jägerskiöld, Stig: "Nuori Mannerheim" (1965) pp. 93-94. </ref>。素行は改まらず<ref name=tv8/>、マンネルヘイムは学生生活とハミナの狭い社会でのつながりを嫌った。1886年には無許可の外出が発覚して幼年学校を退学させられた<ref name=jager9394/><ref name="uemura_28">[[#植村|植村]] pp. 28-30.</ref>。

フィンランド軍での栄達が望めなくなり、出世のための唯一の選択肢は[[ロシア帝国陸軍]]となった。ロシア軍ではフィンランド出身でも認められれば将軍になることが可能であり<ref name="uemura_28" />、マンネルヘイムはこの考え方に反感は覚えていなかった。フィンランド幼年学校在籍中に、[[サンクトペテルブルク]]のロシア帝国騎士見習学校の入学を試みたが、学校での問題行動の多さから阻まれることとなった<ref> Jägerskiöld, Stig: "Nuori Mannerheim" (1965) p. 92. </ref>。

ウクライナの[[ハリコフ]]に住み、ロシア風の教育を受けていた叔父の義兄弟エドワルド・ベルゲンヘイム（{{lang|fi|Edvard Bergenheim}}）<ref> Meri, Veijo: "Suomen marsalkka C. G. Mannerheim" (1990) p. 121. </ref>によって[[ヘルシンキ私立講堂]]へ出席するようになり、[[1887年]]6月、高校卒業資格試験に合格した<ref name=meri123> Meri, Veijo: "Suomen marsalkka C. G. Mannerheim" (1990) p. 123. </ref><ref name="uemura_31">[[#植村|植村]] pp. 31-36.</ref>。マンネルヘイムは{{仮リンク|近衛騎兵連隊|en|Chevalier Guard Regiment}}を目指すため[[ニコラエフスク・ナ・アムーレ|ニコラエフスク]][[騎兵]][[見習学校]]に入ることを望んでいたが、必要な費用を負担の問題があった。そこで伯爵夫人である[[代父母|代母]]のアルフヒルト・スキャロン・デ・コリニー（{{lang|fi|Alfhild Scalon de Coligny}}）に、ニコラエフスク騎兵見習学校入学の助力を求める手紙を書いた。伯爵夫人は1887年の夏にマンネルヘイムを夫の実家に招いた。ロシアにいる間、[[ハルキウ州]]の{{仮リンク|チュグエフ|en|Chuhuiv}}軍事キャンプで過ごしたことで、軍の将校になる決意を強くしていった<ref name=meri123/>。

1887年7月、ニコラエフ騎兵学校の入学試験に参加できるという報を受け取った<ref> Meri, Veijo: "Suomen marsalkka C. G. Mannerheim" (1990) p. 129. </ref>。1887年春に入学試験に合格し、1887年9月16日に兵士の誓いを立てた。1889年に次席の好成績で卒業し<ref name="uemura_31" />、騎兵少尉の位に進級した。卒業後は[[ドイツ帝国|ドイツ]]国境線近くの[[カリシュ]]の第15アレクサンドリスキー[[竜騎兵]]隊に配属された<ref name="uemura_31" />。

== ロシア将校時代 ==
[[File:Mannerheim rakuuna.jpg|left|thumb|第52ネージン竜騎兵連隊司令としてのマンネルヘイム]]
カリシュで2年勤務した後、[[1891年]]1月にサンクトペテルブルクで皇后[[マリア・フョードロヴナ (アレクサンドル3世皇后)|マリア・フョードロヴナ]]の{{仮リンク|近衛騎兵連隊|label=近衛騎兵|en|Chevalier Guard Regiment}}として異動した。マンネルヘイムは187cmと長身であり、そのことが宮廷行事の際に有利に働いた<ref name="uemura_31" />。1896年には[[ニコライ2世]]の戴冠式において目立つ場所の警護を任されることになった<ref>Screen, J.E.O. ''Mannerheim'' (2000) </ref>。

マンネルヘイムはサンクトペテルブルクの社交界に受け入れられたが、経済的な負荷がかかった<ref name="uemura_31" />。1892年、伯爵夫人の仲介でマンネルヘイムはアナスタシア・アラフォヴァ（{{lang|ru|Анастасия Арапова}}）と結婚した。アナスタシアはロシア少将ニコライ・アラポフの遺児で、農園を所有した裕福な貴族であり、家計の問題は無くなった<ref> Meri, Veijo: "Suomen marsalkka C. G. Mannerheim" (1990) pp. 145-147. </ref><ref name="uemura_31" />。1893年に長女アナスタシエ、1895年に次女ソフィーが生まれ、三人目は男児であったが死産であった。娘のアナスタシエは後に[[カトリック教会|カトリック]]に改宗し、ロンドンで[[カルメル会]]の修道女となった。マンネルヘイムとアナスタシアの結婚生活は[[1902年]]には別居という形で非公式に終わりを迎え、[[1919年]]に正式に民事離婚した<ref> Meri, Veijo: "Suomen marsalkka C. G. Mannerheim" (1990) pp. 148-149. </ref>。

1904年まで近衛騎兵を勤めたが、1897年から1903年にかけては王室厩舎に出向していた<ref name="uemura_31" />。王室厩舎は馬に関する帝国全体の管理を行う部門であり、マンネルヘイムはより専門的な馬の知識を習得し、他国から優れた[[種牡馬|種馬]]や特別な軍馬を調達した<ref name="uemura_31" />。1903年に展覧騎兵中隊に任じられ、騎兵連隊の装甲訓練委員の一員となった<ref>Screen, J.E.O. "Mannerheim" (2000) p.333 </ref>。妻と別れてから経済的状況は再び悪化し、ギャンブルの負けによってさらに加速した。マンネルヘイムは環境を変えることで解決を図り、[[日露戦争]]が勃発すると前線勤務を志願して受理された<ref name="uemura_42">[[#植村|植村]] pp. 42-51.</ref>。

1904年の10月、[[満州]]の[[パーヴェル・ミシチェンコ]]指揮下の第52ネージン竜騎兵連隊へ中佐昇進と共に配属された<ref name="uemura_42" />。マンネルヘイムは[[奉天会戦]]において騎兵2個隊と軽装歩兵を指揮してロシア軍右翼で警戒と偵察を行い、[[乃木希典]]の第三軍の行動を捉えるなどの功績を挙げ、終戦後の12月に大佐へと昇進した<ref> Screen, J.O.P. "Mannerheim" (2000) p.43-49</ref><ref name="uemura_42" />。次の任務として、[[内モンゴル自治区|内モンゴル]]の長期間の偵察を任され、計画と準備を行ったが実行されなかった<ref name="uemura_42" />。[[ロシア第一革命]]のストライキでシベリア鉄道の輸送が遅れ、[[1906年]]1月にサンクトペテルブルクに戻ると私的な長期休暇が認められ、親類の住む[[フィンランド]]や[[スウェーデン]]を訪れた<ref name="uemura_51">[[#植村|植村]] pp. 51-54.</ref>。その間にマンネルヘイムは男爵分家の代表としてフィンランド議会に参加した<ref name="uemura_51" />。

== アジアへの冒険旅行 ==
[[File:Horsethatleaps Map1 wikipedia.jpg|thumb|300px|マンネルヘイムの1906年-1908年のアジア探検。サンクトペテルブルクから北京へのルート <ref>Tamm, Eric Enno. ''[http://horsethatleaps.com The Horse That Leaps Through Clouds: A Tale of Espionage, the Silk Road and the Rise of Modern China.]'' Vancouver: Douglas & McIntyre, 2010.</ref>]]
1906年3月、サンクトペテルブルクのロシア軍参謀本部に呼び出されたマンネルヘイムは[[フランス第三共和政|フランス]]の[[ポール・ペリオ]]が行う、[[中央アジア]]から[[トルキスタン]]、[[チベット]]を経由して[[北京市|北京]]までを横断する考古学調査隊へ参加することになった<ref name="uemura_55">[[#植村|植村]] pp. 55-60.</ref>。ペリオの目的は研究だが、マンネルヘイムの役目は[[清]]の地域事情と軍事情勢を調査する[[諜報活動]]であった<ref name="uemura_55" />。華北はロシア、清<ref> Screen, J.E.O. "Mannerheim" (2000) </ref>、そして時に[[グレートブリテン及びアイルランド連合王国|イギリス]]の間の勢力争いがあり、潜在的な危機を持った一帯だったためである。しかしマンネルヘイム自身も、異国の文化をフィンランドに紹介できることに魅力を感じ、参加を決めた<ref name="momose_342">[[#百瀬・石野|百瀬・石野]] pp. 342-344.</ref>。出発前には、後に現地で実際に会う事になる[[オーレル・スタイン]]の清への遠征報告書などを読んでいる。

サンクトペテルブルクを列車で出立し、[[タシュケント]]で情報収集した上で[[ウズベキスタン]]の[[アンディジャン]]で馬と人夫を手配し、[[オシ]]でペリオの調査隊と合流した<ref name="uemura_55" />。ペリオ側はロシアの物資・資金の援助を期待しており、それが叶わないことを知るとマンネルヘイムを調査隊の一員ではなく同行者として扱った<ref name="uemura_55" />。

一行は8月11日に出発し、8月24日に[[カシュガル市|カシュガル]]に到着した。1ヶ月間滞在した後ペリオの調査隊と別れ、10月にカシュガルを出て南東方向の[[ヤルカンド県|ヤルカンド]]、[[ホータン市|ホータン]]を巡り12月末にカシュガルへ戻った。1月27日に再出発し、今度は北東へ向かい[[天山山脈]]の地形を調査しながら[[グルジャ市|グルジャ]]を経由して7月24日に[[新疆省]]の中心地である[[ウルムチ市|ウルムチ]]へ到着した<ref name="uemura_60">[[#植村|植村]] pp. 60-64.</ref>。8月にウルムチから東へ進み、[[トルファン市|トルファン]]、[[バルクル・カザフ自治県|バルクル]]、[[クムル市|ハミ]]、[[敦煌市|敦煌]]を訪れた<ref name="uemura_60" />。1908年1月29日に[[蘭州市|蘭州]]へ入り、4月28日に[[西安市|西安]]、5月30日に[[開封市|開封]]と清の西部の要所となる都市を調べながら東へ進んだ<ref name="uemura_60" />。開封から列車で[[山西省]]へ向かい、[[五台山 (中国)|五台山]]の寺院でイギリスによって国を追われた[[ダライ・ラマ13世]]と謁見した<ref name="uemura_60" />。ダライ・ラマはロシアの援助を望んでおり、[[ニコライ2世|ロシア皇帝]]への贈物として白色の絹地を受け取った<ref name="uemura_60" />。マンネルヘイムは自身のピストルを献上品として捧げた。

その後は馬車と鉄道で北へ向かい内モンゴルの首都[[フフホト市|フフホト]]ではモンゴル人の牧草地に植民し、開拓する中国人を見た。[[1908年]]7月25日にマンネルヘイムは北京へ辿り着いた<ref name="uemura_60" />。総行程は14,000kmにおよび、そのうち10,000kmは馬で移動した<ref name="momose_344">[[#百瀬・石野|百瀬・石野]] pp. 344-347.</ref>。この間自分の他には数人の地元民を雇っていただけで、ほとんど単独行に近い状態であったという<ref>Screen, J.E.O. "Mannerheim" (2000) p. 58-65</ref>。この旅を通じて、マンネルヘイムは1,200点の蒐集品、1,370枚の写真、2,000点の古文書やその一部を集めた<ref name="momose_344" />。この中には学術的に価値の高いものも含まれており、1911年に72ページの論文を発表した<ref name="uemura_65">[[#植村|植村]] pp. 65-69.</ref>。同時代のスウェーデンの地理学者・探検家である[[スヴェン・ヘディン]]はマンネルヘイムの調査を評価した<ref name="uemura_65" />。

北京に6週間滞在した後、[[天津市|天津]]から[[長崎市|長崎]]に向かい、日本で8日間を過ごして[[舞鶴市|舞鶴]]から[[ウラジオストク]]を経由して10月8日にサンクトペテルブルクへ戻った<ref name="uemura_65" />。諜報活動の成果は報告書としてまとめられ、清の遅い近代化、教育、軍の改革、異民族地方の漢人の殖民地化、工業、産業、鉄道建設、日本の影響、アヘンの喫煙などが詳細に記録されていた<ref>[http://idp.afc.ryukoku.ac.jp/pages/collections_other.a4d IDP その他コレクション.フィンランドのコレクション]</ref>。そのほかに非公開で、[[新疆省]]への兵力展開の可能性などについて報告した<ref name="uemura_65" />。

この旅を終えた[[1909年]]、マンネルヘイムは{{仮リンク|ミンスク・マゾヴィエツキ|en|Mińsk Mazowiecki}}の第13ウラジミール・[[ウーラン]]連隊の指揮官となる<ref name="uemura_72">[[#植村|植村]] pp. 72-76.</ref>。翌年に少将へ格上げされワルシャワで皇帝を護衛する近衛長槍騎兵連隊の指揮官を任されることとなった<ref name="uemura_72" />。[[1912年]]にニコライ2世から側近の将校のみに与えられるア・ラ・スーツの称号をうけ、[[1914年]]には近衛騎兵旅団の司令官となり、元々指揮していた騎兵連隊の他に騎兵連隊1つと騎砲兵中隊1つを指揮することになった<ref name="uemura_72" />。

== 第一次世界大戦 ==
1914年7月28日、[[オーストリア＝ハンガリー帝国]]がセルビアへ宣戦布告を行い、セルビア独立を支持するロシアは動員を開始した（[[第一次世界大戦]]）。マンネルヘイムの近衛騎兵旅団はロシア第4軍に配備されオーストリア＝ハンガリーに対する[[東部戦線 (第一次世界大戦)#緒戦、ガリツィア方面|緒戦]]と、続く10月の[[東部戦線 (第一次世界大戦)#10月以後|戦い]]で名を上げ、12月に{{仮リンク|聖ゲオルグ十字章|en|Order of St. George}}4級を受けている<ref name="uemura_76">[[#植村|植村]] pp. 76-81.</ref>。彼はこの章を受けたときに「今、心安らかに死ねる」と語ったという。

[[1915年]]3月、マンネルヘイムは第12騎兵師団の司令官となり、東[[ガリツィア]]へ移動した<ref name="uemura_76" />。この方面では敵将[[アウグスト・フォン・マッケンゼン|マッケンゼン]]の攻撃によってロシア軍は徐々に後退していたが、司令官に[[アレクセイ・ブルシーロフ|ブルシーロフ]]が着任し、1916年6月に[[ブルシーロフ攻勢]]が開始された<ref name="uemura_76" />。この攻勢でロシア軍が成功を収めると、ルーマニアが8月に連合国側として参戦した<ref name="uemura_76" />。

マンネルヘイムの第12騎兵師団はルーマニアを支援するため[[カルパティア山脈]]へ移った<ref name="uemura_76" />。1916年冬に中央同盟が攻勢を行い、12月に[[ブカレスト]]が陥落すると、大部分を失ったルーマニア軍は[[モルダヴィア]]へ後退し、マンネルヘイムを含むロシア軍は[[シレト川]]で防衛にまわり、大きな戦闘は発生しなかった<ref name="uemura_76" />。後にドイツ元帥として有名になる[[エルヴィン・ロンメル]]率いるヴュルテンベルク山岳猟兵大隊が第12騎兵師団の守備する山岳に対して攻撃を行っている。マンネルヘイムはこれらの戦いによって前線指揮官から司令官へと変わり、有利な地形を活かした拠点防衛を学んだ。

1917年1月に第12騎兵師団が後備に回されると、マンネルヘイムは休暇をとり、ペトログラードでニコライ2世に謁見した後にヘルシンキで2週間を過ごした<ref name="uemura_81">[[#植村|植村]] pp. 81-91.</ref>。3月9日にペトログラードに戻り、[[2月革命 (1917年)|2月革命]]の蜂起に遭遇すると、義弟のミカエル・グリッペンベルクの助力で前線のモルダヴィアへ戻った<ref name="uemura_81" />。6月に中将へ昇進し、3個の師団で構成された第6騎兵軍団の指揮官となった<ref name="uemura_81" />。

革命後の[[ロシア臨時政府|臨時政府]]は戦争を継続したが、軍事大臣となった[[アレクサンドル・ケレンスキー|ケレンスキー]]による攻勢が失敗すると支持は低下した<ref name="uemura_81" />。8月に最高総司令官の[[ラーヴル・コルニーロフ|コルニーロフ]]が臨時政府から[[ソビエト]]の排除を求めて反乱を起こしたが失敗した<ref name="uemura_81" />。9月にマンネルヘイムが膝の古傷の療養を理由として[[オデッサ]]で病気休暇をとっている間に、{{仮リンク|ニコライ・ドゥホーニン|label=ドゥホーニン|en|Nikolay Dukhonin}}により思想の不一致から予備役へ入れられた<ref name="uemura_81" />。これはフィンランドで独立の気運が高まると同時に、左派勢力によってフィンランドが社会主義化されることを危惧するマンネルヘイムを考えた対処であった<ref name="uemura_81" />。この年の12月3日にオデッサを出発し、12月18日にヘルシンキへ戻った<ref name="uemura_81" />。

== フィンランド内戦 == 
{{See also|フィンランド内戦}}
[[File:Mannerheim In Victory Parade 1918.png|300px|thumb|1918年、フィンランド内戦終結の勝利パレード。ヘルシンキ]]
[[1917年]]11月のフィンランドの選挙で保守系の[[ペール・スヴィンヒュー]]が首相になり、[[ボリシェヴィキ]]の指導を受けた社会民主党による革命は阻止された<ref name="uemura_92">[[#植村|植村]] pp. 92-97.</ref>。[[12月6日]]、[[フィンランド独立宣言]]が採択され、フィンランドはロシアから独立した。フィンランドの軍隊は1905年にニコライ2世により廃止されており、スヴィンヒューは12月に帰国したマンネルヘイムに軍隊の創設を委託した<ref name="uemura_92" /><ref name="momose_162">[[#百瀬・石野|百瀬・石野]] pp. 162-165.</ref>。

ロシアは[[十月革命]]によって[[ボリシェヴィキ]]による[[ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国|新政府]]が成立し、[[第一次世界大戦]]から離脱するため中央同盟と休戦交渉を行っていた。対ドイツのためのロシア軍10万がフィンランドに駐留し、フィンランドの社会主義革命を目指す{{仮リンク|フィンランド赤衛軍|label=赤衛軍|en|Red Guards (Finland)}}<ref group="注釈">1905年 ロシア帝国によるフィンランド抑圧に抵抗して労働者階級が形成した民兵組織、[[#百瀬・石野|百瀬・石野]] pp. 64-65.</ref>の武装を支援していた<ref name="uemura_92" />。ロシアが独立宣言を承認したあとも4万以上の兵力がフィンランドに残っていた<ref name="uemura_92" />。

スヴィンヒューを支持する{{仮リンク|フィンランド白衛軍|label=白衛軍|en|White Guard (Finland)}}<ref group="注釈">1905年 ロシア帝国によるフィンランド抑圧に抵抗してブルジョア、農民階級が形成した民兵組織。[[#百瀬・石野|百瀬・石野]] pp. 64-65.</ref>は赤衛軍と対立し、武力衝突が発生していた<ref name="uemura_92" />。白衛軍は1918年1月13日に国軍として認められ、マンネルヘイムの提案で政府は首都機能を赤衛軍の勢力が強いヘルシンキから保守勢力の強い北部の[[ヴァーサ]]へ移すことを決めた<ref name="momose_162" />。1月27日、[[ヘルシンキ]]で赤衛軍によるクーデターが発生し、[[フィンランド内戦]]が始まった<ref name="uemura_92" />。

白衛軍は兵数の不足を補うため2月に[[徴兵制度|徴兵制]]を施行し、兵士の動員が行われた<ref name="uemura_99">[[#植村|植村]] pp. 99-102.</ref>。白衛軍はマンネルヘイムを始めとするロシアから帰国した将校、ドイツで訓練を受けたイェーガー、スウェーデンからの義勇兵を含めて約7万の兵力で構成された<ref name="uemura_99" />。赤衛軍は緒戦において[[タンペレ]]、[[ヘルシンキ]]、[[ヴィボルグ|ヴィープリ]]など重要都市を押さえ、工業力に富んでいた。駐留ロシア軍から訓練を受け、武装を供給された赤衛軍は3月上旬まで攻勢を行ったが、白衛軍は徐々に拠点防御で勝利するようになった。

ロシアは3月3日に[[ブレスト＝リトフスク条約]]に調印してドイツなどと停戦したが、条約に含まれていたフィンランドからの撤退はすぐには実行されなかった<ref name="uemura_99" />。フィンランド政府はドイツに援軍を求めたが、マンネルヘイムは大国の力に依存して戦うことの危険性を説き、反対した<ref name="uemura_103">[[#植村|植村]] pp. 103-107.</ref>。マンネルヘイムはは、ドイツ軍は赤衛軍とは戦わず他国の軍を対象とすることと、指揮権をマンネルヘイムに委ねる条件を政府に認めさせた<ref name="uemura_103" />。政府はマンネルヘイムを騎兵大将(Ratsuväenkenraali) へ昇進させ、序列を示した<ref name="uemura_103" />。ドイツ軍の到着前の3月上旬から白衛軍はタンペレを目標に反抗作戦を行い、4月3日に陥落させた<ref name="uemura_103" />。同日、{{仮リンク|リュディガー・フォン・デア・ゴルツ|en|Rüdiger von der Goltz}}の率いるドイツ軍約1万が海上からヘルシンキの西にあるハンコ岬とヘルシンキの東、[[ロヴィーサ (フィンランド)|ロヴィーサ]]に無血上陸した<ref name="uemura_103" />。白衛軍が東国境のヴィープリを攻略し、別働隊で西部の[[ポリ (フィンランド)|ポリ]]を解放する間にドイツ軍はヘルシンキをほぼ無抵抗で落とした<ref name="uemura_103" />。内戦は終結し、5月16日に白衛軍はヘルシンキで勝利パレードを行った<ref name="uemura_103" />。

内戦で勝利を収めると、フィンランド政府は親ドイツの勢力が強まった<ref name="uemura_108">[[#植村|植村]] pp. 108-113.</ref>。マンネルヘイムは[[連合国 (第一次世界大戦)|連合国]]側の優勢を認識しており<ref name="uemura_95">[[#植村|植村]] pp. 95-96.</ref>、[[スカンディナヴィア|スカンディナヴィア諸国]]と協調した[[武装中立]]を訴えたが、ドイツ軍参謀将校によるフィンランドの[[軍政 (行政)|軍政]]への介入をフィンランド政府が承認したため1918年6月にスウェーデンへ亡命した<ref name="uemura_108" />。

== 摂政、ロシア内戦 ==
[[File:Mannerheim, Lilius, Kekoni, Gallen-Kallela,Rosenbröijer.jpg|200px|thumb|摂政となったマンネルヘイム。中央に座っている。副官と。]] 
亡命したマンネルヘイムは[[ストックホルム]]に駐在する連合国の外交官と会談し、フィンランド政府の親独的傾向に反対していること、フィンランドはドイツに頼らずに独立するべきとの方針を表明した<ref name="uemura_110">[[#植村|植村]] pp. 110-118.</ref>。フィンランド議会は[[フリードリヒ・カール・フォン・ヘッセン|フリードリヒ・カール]]をフィンランド王に決めたが、[[西部戦線 (第一次世界大戦)|西部戦線]]でドイツ軍の戦況が悪化すると、連合国との関係改善と飢餓回避の食糧輸入のため、マンネルヘイムにフィンランドを代表してフランスとイギリスに行くことを求めた<ref name="uemura_110" /><ref group="注釈">[[フィンランド独立宣言]]はスウェーデンやロシアには認められていたがイギリスやアメリカからは承認されていなかった。</ref>。マンネルヘイムはヘルシンキに戻り摂政<ref group="注釈">君主制への移行のためにスウェーデン統治時代の役職が適用されていた [[#植村|植村]] pp. 108-110.</ref>のスヴィンヒュー、首相の[[ユホ・クスティ・パーシキヴィ|パーシキヴィ]]と会談した上で[[ロンドン]]、[[パリ]]を訪れた<ref name="uemura_110" />。フランスはフィンランド国会議員の選挙実施を求め、1918年の5月に行うことを約束した<ref name="uemura_110" />。イギリスは選挙実施後に独立の承認を決定することとした<ref name="uemura_110" />。マンネルヘイムは食糧の輸入許可を成功させ、ノルウェーとスウェーデンから小麦を借りて輸入した<ref name="uemura_110" />。交渉中の12月、パリにいたマンネルヘイムはフィンランドに呼び戻されて[[摂政]]になった。彼をフィンランド王にしようと考えていた君主主義者すらいた。

摂政としてマンネルヘイムはしばしばクスター（{{lang|fi|kustaa}}）の文字でサインをした。これは彼の[[洗礼名|クリスチャン・ネーム]]であるグスタフのフィンランド表記であり、これまで長い間ロシアに仕えてきたマンネルヘイムを疑わしく思うフィンランド人がいたため、フィンランド人であることを強調するためであった<ref name=Jagerskiold /><ref>Screen, J.E.O. ''Mannerheim'' (2000) </ref>。クリスチャン・ネームのエミールの部分が嫌いでありC.G.マンネルヘイム、または単にマンネルヘイムとして署名した。 彼の親類や友人には、グスタフと呼ばれていた<ref> Meri, Veijo: "Suomen marsalkka C.G. Mannerheim" (1990) p.104</ref>。

1918年12月にフリードリヒ・カールは王位を辞退し、1919年5月には国会議員選挙が行われ、新しい議会はフィンランドを大統領制の共和国とする決議を7月に採択した<ref name="momose_120">[[#百瀬・石野|百瀬・石野]] pp. 120-122.</ref>。その間マンネルヘイムは国内では融和のため革命側に対する恩赦を行い<ref name="momose_68">[[#百瀬・石野|百瀬・石野]] pp. 68-70.</ref>、国防のために1919年2月に新しい徴兵法を制定し、士官学校を設立した<ref name="momose_162" />。外交においては北欧諸国との協調を目指したが、スウェーデンとは[[オーランド諸島]]の帰属を巡る問題は解決されず対立が続いた<ref name="uemura_110" />。ロシアでは[[ロシア内戦]]が続き白衛軍<ref group="注釈">フィンランドの白衛軍とは異なる組織</ref>がボリシェヴィキ政権に抵抗していた。マンネルヘイムは自国を含むヨーロッパの安全とロシア自身の為にロシアの共和国化を望み、白衛軍に応じてロシアへ進軍することを提言した<ref name="uemura_110" />。しかし、フィンランド国内でこの考えに同調する者は少なく、議会は反対した上、ロシア側の白衛軍の指導者の中にはフィンランドの独立を認めないものも存在した<ref name="uemura_110" />。

[[File:Valtionhoitaja mannerheim.jpg|thumb|事務中]]
マンネルヘイムは7月の初代大統領選挙に立候補した。マンネルヘイムを支持したのは[[国民連合党]]と[[スウェーデン人民党 (フィンランド)|スウェーデン人民党]]のみで、政権を運営していた保守連合は{{仮リンク|カールロ・ユホ・ストールベリ|en|Kaarlo Juho Ståhlberg}}を候補とした<ref name="uemura_119">[[#植村|植村]] pp. 119-121.</ref>。恩赦によって社会主義者の勢力が戻り、5月の選挙で200議席中80議席を獲得した<ref name="uemura_110" />社会民主党もストールベリを支持した<ref name="uemura_119" />。マンネルヘイムは大統領選挙で143対50で敗れた<ref name="uemura_119" />。

当時フィンランドは[[エストニア]]に義勇兵を派遣しており、またイギリスからフィンランド軍のペトログラード攻撃を要請されていた。マンネルヘイムはフィンランドの独立が確保されることとフィンランド東部の{{仮リンク|ペッツァモ|en|Pechenga (urban-type settlement), Murmansk Oblast}}、[[東カレリア]]周辺領土のフィンランドへの帰属を条件にこの要請に応えようとしていた。東方積極的外交はこのときは認められなかった。マンネルヘイムはこれを期に公職から身を引いた。

1919年10月にロシア白衛軍の[[ニコライ・ユデーニチ|ユデーニチ]]はエストニアからペトログラード近郊まで攻め込んだが援護が取られず撤退した<ref name="uemura_119" />。マンネルヘイムはユデーニチを支援することをストールベリに求めたが、実現しなかった<ref name="uemura_119" />。ロシア内戦は[[赤軍]]の勝利で終わり、1920年に[[ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国|ソビエト・ロシア]]とフィンランドは[[タルトゥ条約]]を結び国境が確定した<ref name="uemura_119" />。

== 大戦戦間期 ==
=== 慈善活動 ===
ボリシェヴィキに反対する発言から、マンネルヘイムは中道から左派にかけての多くの政治家から問題人物と見られていた。フィンランドの社会主義者はマンネルヘイムを「[[ブルジョワジー]]」や「白い将軍」と認識し、ロシア内戦におけるフィンランドの積極策について反感を抱いていた。マンネルヘイムは主義主張に基く現代の政党政治がよい指導者を生み出せるかどうか疑問に思っていた。マンネルヘイムの悲観的な認識としては、国益は党利党略のために「民主的な政治家」によって頻繁に犠牲にされていた<ref name=Virkkunen>Sakari Virkkunen, "Presidents of Finland II" ''(Suomen presidentit II)'', published in Finland in 1994</ref><ref>See, for example, Kallio - Ryti - Mannerheim" / Suomen presidentit II:  Kallio - Ryti - Mannerheim, Helsinki:  Otava Publications Ltd., 1994;  Stig Jägerskiöld, Mannerheim 1867–1951, Helsinki:  Otava Publications Ltd., 1983.</ref>。

マンネルヘイムは1925年の大統領選挙に出馬を要請されたが拒否し、慈善活動を行った<ref name="uemura_123">[[#植村|植村]] pp. 123-126.</ref>。姉のソフィエが作った戦争被害を受けた子供に対する病院を参考にしたマンネルヘイム児童福祉連盟を1920年に設立し、1921年に[[フィンランド赤十字社]]の会長になり積極的に活動した<ref name=Museum>[http://www.mannerheim-museo.fi/mm.php?page=marsalkka&lang=eng Mannerheim-Museo.fi]</ref><ref name="uemura_123" />。

=== アジア旅行 ===
マンネルヘイムは狩りや旅行を好み<ref name="uemura_123" />、[[1927年]]の旅では[[ソビエト連邦|ソビエト]]を避けてロンドンを経由して[[コルカタ|カルカッタ]]へと向かった。陸行で[[ミャンマー|ビルマ]]へ向かい、[[ヤンゴン|ラングーン]]、[[ガントク]]、[[シッキム州|シッキム]]で一ヶ月を費やした。さらに自動車と飛行機で[[バスラ]]、[[バグダード|バグダッド]]、[[カイロ]]、[[ヴェネツィア|ベニス]]を経由して帰還した。1935年に日本から贈呈刀を贈られている<ref>[http://www.k3.dion.ne.jp/~j-gunto/gunto_115.htm マンネルヘイム元帥への贈呈刀]</ref>。

[[1936年]]の旅では[[アデン]]を経由して[[ムンバイ|ボンベイ]]へ向かった。マンネルヘイムはインド滞在中ヨーロッパから来ていた多くの旧友や知人と会った。旅行と狩りの間、[[チェンナイ|マドラス]]、[[デリー]]、[[ネパール]]を訪ねた。ネパールではマンネルヘイムは[[トリブバン・ビール・ビクラム・シャー・デーヴ|国王]]に虎狩りに招かれた。そこで測定された中でも最大級の大きさであり、二人の人間を殺したとされる2.23mの虎を狩った。その毛皮は現在ヘルシンキ、カイヴォプイストの{{仮リンク|マンネルハイム博物館|en|Mannerheim Museum}}に飾られている。

=== フィンランド軍の改革 ===
[[1929年]]、フィンランドの農民が左翼政党に反対した[[ラプア運動]]が広まり、共産党が非合法化された<ref name="momose_69">[[#百瀬・石野|百瀬・石野]] pp. 69-70.</ref>。マンネルヘイムは当初はラプア運動を認めていたが、事実上の軍事独裁者になって欲しいとの申し立てを拒んだ<ref name="Screen, J.E.O. 2000"/>。ラプア運動はストールベリの誘拐などの暴力手段をとり、マンネルヘイムを含む多数の支持を失った<ref name="momose_69" />。1931年に[[ペール・スヴィンヒュー]]が大統領となり、マンネルヘイムをフィンランド国防委員会の議長に指名した<ref name="uemura_129">[[#植村|植村]] pp. 129-130.</ref>。そして戦争になった場合は、マンネルヘイムがフィンランド軍の[[最高指揮官|最高司令官]]となることが決められた<ref name="uemura_129" />。スヴィンヒューをのあとを継いだ{{仮リンク|キョスティ・カッリオ|en|Kyösti Kallio}}もまた[[1937年]]にこの約束を更新した。1933年、スヴィンヒューによってマンネルヘイムは陸軍元帥(sotamarsalkka, fältmarskalk)に昇進した<ref name="uemura_129" />。

マンネルヘイムはフィンランドの軍需産業を支援し、叶わなかったもののスウェーデンとの軍事同盟を得ようとした<ref name="uemura_130">[[#植村|植村]] pp. 130-134.</ref>。フィンランド軍の近代化と軍組織の刷新に取り組み、カレリアの防御線の作成や空軍の導入を実施した<ref name="uemura_130" />。1934年に動員の仕組みを改めることで常備軍の対応速度を早め、有事には最大で人口の8.6%にあたる31万5000人を動員する計画が策定された<ref name="momose_162" />。国民に対して防衛力の必要性について理解を深める活動も行ったが、不況と防衛に対する閣僚との意見の食い違いで予算は不足した。防衛予算の増強を求める彼の意見は内閣と様々な点で折り合わず、何度も辞表にサインした。

== フィンランド最高司令官 ==
{{See also|冬戦争|継続戦争}}
[[File:Mannerheim3.jpg|thumb|1937年撮影]]
1939年8月、[[ソビエト連邦]]は[[ナチス・ドイツ|ドイツ]]との間に[[独ソ不可侵条約|モロトフ＝リッベントロップ協定]]を結び勢力圏の確認をすると、フィンランドに対して東カレリアとの交換で[[カレリア地峡]]の割譲を要求した<ref name="momose_72">[[#百瀬・石野|百瀬・石野]] pp. 72-75.</ref>。

ソ連の要求は主にレニングラードを攻撃することのできる範囲をフィンランドが保有していることに対して安全保障のための領域を獲得するものだった<ref name="momose_72" />。しかし、カレリア地峡はフィンランドの人口のおおよそ10%が居住し、工場も多く建設されておりフィンランドとしてはこれを割譲することはできなかった。マンネルヘイムやソ連との交渉を担当した[[ユホ・クスティ・パーシキヴィ|パーシキヴィ]]は要求の受け入れを進言した<ref name="uemura_135">[[#植村|植村]] pp. 135-138.</ref>が内閣は拒否し、交渉は決裂した<ref name="momose_72" />。マンネルヘイムは10月17日再度辞任を撤回し、フィンランド軍の[[最高指揮官|最高司令官]]を引き受けた。公式にはソビエトの攻撃があった後の11月30日に最高司令官職についている。この攻撃によって[[冬戦争]]が開始された。マンネルヘイムの気持ちは娘ソフィーへの手紙に書かれている。「歳と健康を考えれば私は最高司令官の重責など引き受けたくなかった。しかし私は政府と大統領の懇願に膝を折らねばならなかった。私は今4度目の戦争の中だ。」<ref name=Jagerskiold />

戦争が始まるとその日のうちにマンネルヘイムは最高司令官として国防軍にその日の最初に命令を出した。

{{quote|大統領は1939年11月30日をもって私をフィンランド軍の最高司令官に任命した。勇敢なるフィンランドの兵士諸君！私がこの職に就いた今、我々の不倶戴天の敵が再びわが国を侵している。まずは自らの司令官を信頼せよ。諸君は私を知っているし私も諸君を知っている。また、階級を問わず皆がその本分の達成のためであれば死を厭わないことも知っている。この戦争は我々の独立の継続のため以外の何者でもない。我々は我々の家を、信念を、国を守るために戦うのだ。<ref name=Jagerskiold />}}

マンネルヘイムは急いで自らの司令部を[[ミッケリ]]に再編成し、[[アクセル・アイロ]]中将と[[カール・ワルデン|カール・ルドルフ・ワルデン]]大将が補佐した。アクセル・アイロはマンネルヘイムの親しい友人であり、ルドルフ・ワルデンは1939年12月から1940年3月27日まで司令部の代理人として内閣に送られ、戦後に防衛相となった<ref name="Virkkunen"/><ref>Martti Turtola, "Risto Ryti:  A Life for the Fatherland" / Risto Ryti:  Elämä isänmaan puolesta</ref>。

マンネルヘイム自身は冬戦争と継続戦争の大半でミッケリの司令部を使ったが、何度も前線へ足を運んだ。1940年3月12日に締結された{{仮リンク|モスクワ平和条約|en|Moscow Peace Treaty}}によって冬戦争は終結した。憲法上は戦争が終結すれば最高司令官は大統領である{{仮リンク|キュオスティ・カッリオ|en|Kyösti Kallio}}や後を継いだ[[リスト・リュティ]]に戻さねばならなかったが、カッリオもリュティも留任させた<ref>Martti Turtola, "Risto Ryti:  A Life for the Fatherland"</ref><ref name="uemura_170">[[#植村|植村]] pp. 170-173.</ref>。

冬戦争の後、デンマークとノルウェーは[[ヴェーザー演習作戦]]でドイツの侵攻を受け、ソ連はバルト三国を占領した（[[バルト諸国占領]]）<ref name="momose_75">[[#百瀬・石野|百瀬・石野]] pp. 75-78.</ref>。1940年7月、ドイツからの密使がリュティとマンネルヘイムを訪れ、ドイツはフィンランドの独立を認めることを伝えた<ref name="uemura_173">[[#植村|植村]] pp. 173-179.</ref>。8月にドイツはノルウェーに進駐している軍人の往復のためにフィンランドを通過する許可を得た<ref group="注釈">ドイツは同様の協定を中立国のスウェーデンと結んでいた</ref><ref name="uemura_173" />。マンネルヘイムはスウェーデンと共同した中立化を画策したが、ドイツはフィンランドが中立になることを認めなかった<ref name="uemura_173" />。

独ソ関係が険悪化する中、ドイツ軍はフィンランドに駐留し、ドイツ軍80000人の指揮権の譲渡をマンネルヘイムに対して提案した<ref>Max Jacobsson 1999 Century of Violence</ref>。マンネルヘイムはフィンランドをドイツの戦争目的に結び付けないように断った。マンネルヘイムはナチス・ドイツの政府との関係を可能な限り形式的なものに保ち、同盟のための条約の拒否に成功した<ref name="uemura_180">[[#植村|植村]] pp. 180-183.</ref>。

6月22日、ドイツがソ連に対して[[バルバロッサ作戦]]を開始するとフィンランド領からドイツ軍が攻撃をはじめ、これに対してソ連はフィンランドに空爆を行った。こうしてフィンランドとソ連間でも戦争が始まり、マンネルヘイムの発案でフィンランドはこの戦争を[[継続戦争]]と呼称した<ref name="uemura_180" />。フィンランド国内からドイツ軍が侵攻したが、マンネルヘイムはドイツへの支援は控え、フィンランド軍に[[レニングラード包囲戦]]の手伝いをさせることは堅く拒否した<ref name=Virkkunen>Sakari Virkkunen, "Presidents of Finland II" / Suomen presidentit II, published in Finland in 1994</ref><ref>[[Siege of Leningrad]]</ref>。

マンネルヘイムの75歳の誕生日である1942年6月4日に、政府は{{仮リンク|フィンランド元帥|en|Field marshal (Finland)}}({{lang-fi|Suomen Marsalkka}}、{{lang-sv|Marskalk av Finland}})の称号を与えた。彼はこの称号を得た唯一の人間である。この日、マンネルヘイムの誕生日を祝して[[アドルフ・ヒトラー]]が急遽訪問したが、これはあまり嬉しくない出来事であり、マンネルヘイムを困惑させた<ref name="Virkkunen"/><ref name=Turtola>Martti Turtola, "Risto Ryti:  A Life for the Fatherland" / Risto Ryti:  Elämä isänmaan puolesta, published in Finland in 1994</ref>。

=== ヒトラーの訪問 ===
[[File:Hitler Mannerheim Ryti.jpg|300px|thumb|ヒトラーとリュティとの会談。マンネルヘイムは中央。]]
1942年6月4日にヒトラーはフィンランドを訪れ、マンネルヘイムの75歳の誕生日を祝った<ref name="uemura_191">[[#植村|植村]] pp. 191-195.</ref>。前日の夕方に知らされた<ref name="uemura_191" />マンネルヘイムは、より公式的な訪問のように見えるミッケリや[[ヘルシンキ]]の司令部で会うことは避けた。会談はフィンランド南東部の[[イマトラ]]で、ごく秘密裏にセッティングされた<ref name="Virkkunen"/>。

イマトラ空港からリュティ大統領同伴のもと、ヒトラーは車でマンネルヘイムの待つ鉄道線の近くまで移動した。ヒトラーのスピーチのあと、誕生日の食事を行いヒトラーとマンネルヘイムは会談した。リュティとその他フィンランド、ドイツの高官もこれに参加していた。ヒトラーはフィンランドで5時間を過ごしてドイツへ戻った。ヒトラーはソ連反抗作戦を促進するように求めるつもりであったとされるが、特に具体的な要求はしなかった<ref name="Virkkunen"/>。

[[フィンランド国営放送|フィンランド国営放送Yle]]の技術者Thor Damenはヒトラーとマンネルヘイムの会談を記録することに成功した。ヒトラーは気を許した姿を記録することを許さないため、この記録は密かに行われた。これはヒトラーが非公式的な口調でしゃべることを記録した唯一の記録となっている<ref>[http://www.hs.fi/english/article/1076153999513 Helsingin Sanomat International Web-Edition] - "Conversation secretly recorded in Finland helped a German actor prepare for Hitler role" Helsingin Sanomat / First published in print 15.9.2004 in Finnish.</ref><ref>Recording available [[YLE]]'s [http://www.yle.fi/elavaarkisto/?s=s&g=1&ag=3&t=22&a=376 web-archive]</ref>。

確証がない話であるが、ヒトラーとの会談の間にマンネルヘイムが自分の葉巻に火をつけたという話がある。マンネルヘイムはヒトラーがフィンランドに対ソ連の手伝いを求めると考えており、マンネルヘイムにとってはこれは不本意だった。マンネルヘイムが葉巻に火をつけた時、ヒトラーが嫌煙家であることはよく知られていたので他の出席者は息をのんだという。しかし、ヒトラーは葉巻についてコメントせず、冷静に会話を続けた。ヒトラーが自分が優位だとして話をしているならばマンネルヘイムに対して喫煙をやめるように言うはずである。マンネルヘイムはヒトラーが自分の立ち位置を強者と弱者のどちらと考えているかを判断できたという。ヒトラーが強く指図できないと判断しているため、ヒトラーの申し出を断ることができたという<ref name=Virkkunen /><ref name=Turtola />。

=== 最高司令官としての評価 ===
マンネルヘイムのフィンランド最高司令官としての戦時の記録は評価が簡単ではない。今日でさえ、マンネルヘイムの大きな名声に対抗して戦争中の指揮内容はほぼ国家反逆であるという批判が存在する。こうした批判は主にソ連やフィンランドの共産主義者から来ている。おそらく最も簡単なのはマンネルヘイムの役割を政治家と軍司令官の二つに分けることである。

軍司令官としてのマンネルヘイムはおおむね成功した。彼の指導の下、フィンランド防衛軍はフィンランドをソ連の占領から守った。マンネルヘイムは兵士の生命を浪費しないように注意しており、不要な危険を避けた。おそらく彼の最大の短所は人を介して報告を聞くことを嫌うことである。アクセル・アイロのような多くの優秀な部下がいるにも関わらず、総司令部の部門の責任者がマンネルヘイムへ直接報告するよう求めたため、参謀総長である歩兵大将のエリック・ハインリッヒは役目がほとんど無かった。マンネルヘイムは仕事に圧倒され、結果として総司令部での部門の間の調整に苦悩した。1944年6月のソビエトのカレリア攻勢が予測できなかったことはマンネルヘイムが木を見て森を見ずの状態になっていたことが原因の一つとして示唆されている。負担を減らすため代わりに情報を集めて、作戦命令ができるような他の権威はいなかった。

冬戦争と継続戦争の間、マンネルヘイムと他のフィンランド指導者との間には問題が何度かあった。リュティは少なくとも一度、可能な限りよい歴史的評価を保とうと行動しているとマンネルヘイムを非難した。首相の{{仮リンク|エドウィン・リンコミエス|en|Edwin Linkomies}}は死後に出版された回顧録で有名な芸術家にありがちな気性のむらや移り気な振舞いを非難した。マンネルヘイムが大統領に就任した際に首相を勤め、後に第7代大統領になった[[ユホ・クスティ・パーシキヴィ|パーシキヴィ]]はマンネルヘイムがすでに老齢であり常に平静を保てるわけではないと主張した<ref name="Virkkunen"/><ref>See, for example, Martti Turtola, "Risto Ryti:  A Life for the Fatherland" / Risto Ryti:  Elämä isänmaan puolesta, Helsinki:  Otava Publications Ltd., 1994;  Edwin Linkomies, "A Difficult Time" / Vaikea aika, published in Finland in 1970.</ref>。

一方でマンネルヘイムは政治に優れていたと言われる<ref name="uemura_242">[[#植村|植村]] pp. 242-244.</ref>。彼は軍人であり、[[文民統制]]の原則に従ったが、フィンランドの中心人物であった<ref name="uemura_242" />。特に重大な問題はいつソ連と講和するかであった、早すぎればドイツの報復的な予防占領を招き、遅すぎればソ連にフィンランドが占領される<ref name="uemura_191" />。1942年にソ連の優位が明確になると、国の主権を守って平和へ導くためにマンネルヘイムは軍事力を蓄えた<ref name="uemura_191" />。

== 終戦と大統領職 ==
1944年6月、フィンランドはソ連からの大規模な攻勢を受けていた<ref name="uemura_202">[[#植村|植村]] pp. 202-206.</ref>。ドイツのラップランド軍司令である[[エデュアルト・ディートル|ディートル]]はフィンランド支援に動き、本国からの増援をとりつけたが飛行機での移動中に墜落死した<ref name="uemura_202" />。ドイツ外相の[[ヨアヒム・フォン・リッベントロップ|リッベントロップ]]は援助と引き換えにフィンランドが公式に継戦する誓約を求め、ソ連は正式な降伏を求めた<ref name="uemura_202" />。リュティはソ連の要求を議会に知らせず、ドイツの要求を検討を行った<ref name="uemura_202" />。マンネルヘイムは議会の正式な承認でドイツと協定を結ぶことに懸念を示し、首相の{{仮リンク|エドウィン・リンコミエス|en|Edwin Linkomies}}はソ連が降伏を求めていることを公開しなければ議会はドイツの要求を承認しないと判断した<ref name="uemura_202" />。リュティは個人として約束し、その後のロシアとの単独講和の際は大統領を辞めることでドイツとの協定を反故にすることを法律学者に検討させて可能であるという判断を得た<ref name="umemoto_1999_246">[[#梅本(1999)|梅本(1999)]] pp. 246-248.</ref>。

リュティは議会の承認を得ずに協定へサインし、ドイツと共に戦うことを誓う{{仮リンク|リュティ・リッベントロップ協定|en|Ryti–Ribbentrop Agreement}}を結んだ<ref name="uemura_202" />。この協定でフィンランドはドイツから大量の支援物資を得た<ref name="uemura_202" />。マンネルヘイムはソ連の攻勢に対応し、侵攻を停止させた<ref name="uemura_202" />。その後主戦場はフィンランドから欧州へと向かい、7月にソ連から降伏を含まない和平の打診を得た<ref name="uemura_202" />。

リュティ・リッベントロップ協定に背いて単独講和を行うため、リュティは辞任した<ref name="uemura_206">[[#植村|植村]] pp. 206-208.</ref>。8月4日、議会の特別立法でマンネルヘイムは第6代フィンランド共和国大統領となった<ref name="uemura_206" /><ref name="Virkkunen"/><ref name="Zetterberg"/> 。マンネルヘイムは国内的にも国際的にも、フィンランドを戦争から開放するために十分な威信を持つ唯一の人間であることが明らかであった。彼はフィンランド人の多くの信任を受け、また、戦争から平和へとフィンランドを導くことのできる事実上ただひとりの権威であった。ドイツとフィンランドの間の条約はリュティ個人の結んだものとして破棄した<ref name="Virkkunen"/><ref name=Zetterberg>Seppo Zetterberg et al., eds., "A Small Giant of Finnish History" ''(Suomen historian pikkujättiläinen),'' 2003</ref>。

フィンランドの立たされた危険な状況はマンネルヘイムのフィンランド大統領府前での就任演説にも反映された。

{{quote|議長、温かいお言葉感謝申し上げます。誉れ高い議員の皆さんに国難の時に国家の長たる職務の二度目の許しをいただいたことに、私にのしかかる責任を重く感じています。大きな課題は我々の未来を守るために打ち勝たなければならない困難です。今、真っ先に私の心にあるのはもう5年の間戦っているフィンランド軍のことです。議会、政府の支援と我々を支える人々の満場一致によって、我々は独立と国家の存続の維持に成功すると私は望み、そう信じております。}}

継続戦争は厳しい条件で終結した。しかし、ソ連が国境を越えたほかの国に比べればはるかに厳しくないものであった。フィンランドは主権も、議会制民主主義も、経済の自由も維持した。カレリア全土とペッツァモを失い、数多くのカレリア難民はフィンランド国内に安住の地を求めた。賠償金として3億ドル相当の物資を支払うことになった<ref name="momose_75">[[#百瀬・石野|百瀬・石野]] pp. 79-78.</ref><ref name="momose_168">[[#百瀬・石野|百瀬・石野]] pp. 169-169.</ref>。さらにフィンランドは12月までに動員を解除して常備軍のみに縮小すると同時に北部からドイツ軍を撤退させるために[[ラップランド戦争]]を戦った<ref name="uemura_213">[[#植村|植村]] pp. 213-219.</ref>。ソ連優位の連合国管理委員会の受け入れながら戦後の復興を受け入れなければならなかった。この難しい時期を通してフィンランドを導けたのはマンネルヘイムただ一人であったことは広く認められている<ref name="Zetterberg"/>。

[[File:Mannerheim Leaving Presidents Residence.png|thumb|1946年3月4日、官邸を去るマンネルヘイム]]
大統領としての任期はマンネルヘイムにとっては難しいものだった。6年の任期があったが、すでに70代後半であり、強い要請を受けて不本意ながらその職に留まった。頻繁な病気、連合国管理委員会の要求、戦争責任裁判によって状況は悪くなった。彼は任期中の多くの期間、委員会が[[平和に対する罪]]によって自分を告訴するように要求することを恐れていた。しかし、これらの告訴は行われることはなかった。理由の一つとして[[ヨシフ・スターリン|スターリン]]のマンネルヘイムへの感心と尊敬があるとされる。スターリンは1947年、モスクワのフィンランド代表団にフィン人は老元帥に多くの借りがあると語っている。いずれにせよ、彼の一意でフィンランドは占領されなかった<ref>Meri, Veijo: "Suomen marsalka C. G. Mannerheim" (1990) p. 397.</ref>。連合国管理委員会のいくつかの要求に対してマンネルヘイムは批判を持っていたかかわらず、マンネルヘイムは休戦義務を果たすために働いた。マンネルヘイムは戦後のフィンランドの復興における仕事の必要性を強く感じていた<ref name="Virkkunen"/><ref name="Zetterberg"/>。

マンネルヘイムは議会政治について学ばなければならなかった。彼は貴族政治観のために議会政治を完全には尊敬していなかった。また、時にはいやいやながらもフィンランド初の共産党員出の大臣を任命しさえした。<ref name="Virkkunen"/>

マンネルヘイムは1945年に健康問題を再発して仕事に支障を来たし、同年11月から1946年2月まで仕事から離れて病気休暇を取った。休養のため南フランスとポルトガルで過ごした<ref name="uemura_224">[[#植村|植村]] pp. 224-227.</ref>。戦犯裁判の評決の発表の後、マンネルヘイムは大統領を辞職を決意した<ref name="uemura_224" />。休戦条約を結び、ラップランド戦争の趨勢が決まったことで自らに求められた役目を果たしたと考えた<ref name="uemura_224" />。

1946年3月4日、マンネルヘイムは大統領を辞職した<ref name="uemura_224" />。1918年には敵であったフィンランドの共産党員でさえ、難しい時期に国家の結束を維持するためにはらわれた努力とその役割に感謝した。首相である保守派の[[ユホ・クスティ・パーシキヴィ]]が後任として第7代大統領となった<ref name="Zetterberg"/>。

== 晩年 ==
[[File:Mannerheims funeral parade Helsinki.png|300px|thumb|ヘルシンキでの葬儀パレード]]
大統領を辞任した後、マンネルヘイムは[[ロホヤ]]のキルクニエミの館（{{lang|fi|Kirkniemi Manor}}）を買った。彼はそこで余生を過ごすつもりであった。1946年6月、[[消化性潰瘍]]で手術を行い、10月には十二指腸潰瘍と診断された。1947年に[[スイス]]でさらに手術を受けた<ref name="uemura_228">[[#植村|植村]] pp. 228-230</ref>。[[モントルー]]のヴァルモンサナトリウムはマンネルヘイムが余生を過ごす主な場所となった。

1948年、徐々に体力が回復してきたマンネルヘイムは回想録に取り組んだ<ref name="uemura_228" />。口述筆記した部分以外は、モントルーに住んで協力した{{仮リンク|アルダー・パーソネン|en|Aladár Paasonen}}<ref name="uemura_228"/>をはじめ、将軍の[[エリック・ハインリッヒス]]、[[レオナルド・グランデル]]、オリヴァ・オレニウス、イルマリ・マルトラ、大佐のヴィルヤネンなどの協力者によって書かれた。彼らは戦争歴史家でもあった。マンネルヘイムはできる限り、タイプされた自分の記憶の草稿を校正した。総じて私生活は触れず、自分のかかわったフィンランド内戦頃と冬戦争、継続戦争頃のフィンランドの出来事に焦点を合わせた。1951年1月に胃の発作が起きた時<ref name="uemura_228" />、マンネルヘイムの回想録はまだ完成してはいなかった。彼らはマンネルヘイムの死後に発行している<ref>See, for example, Stig Jägerskiöld, Mannerheim 1867–1951).</ref>。

[[File:Mannerheim-grave-1834.JPG|300px|thumb|マンネルヘイムの墓]]
1951年1月27日（フィンランド時間1月28日）、マンネルヘイムはスイス、[[ローザンヌ]]の州立病院で永眠した<ref name="uemura_228" />。2月4日には全ての軍関係者の出揃う中、ヘルシンキの{{仮リンク|ヒエタニエミ墓地|en|Hietaniemi cemetery}}に国葬された。マンネルヘイムは今日でもフィンランドで偉大な政治家として多くの人々から敬意をもたれている。政党に属さず、利己的な動機なしに行われた祖国への献身、最前線へ赴く勇気、70代後半でも熱心に働く能力、ソ連とフィンランドの衝突を見越して備えた外交的遠望がその理由と考えられる<ref name="Virkkunen"/><ref>(see, for example, Jägerskiöld, "Mannerheim 1867–1951";"The Republic's Presidents 1940–1956" / Tasavallan presidentit 1940–1956, published in Finland in 1993-94)</ref>。

マンネルヘイムの誕生日である6月4日は国旗の日として[[フィンランド国防軍]]によって祝われている。これはフィンランド政府によって、1942年の75歳の誕生日にフィンランド元帥の称号を与えたことを期に始まった。国旗の日にはパレードと国防軍の兵員への報酬と昇格が行われる。マンネルヘイムの人生とその歩みはマンネルヘイム博物館に記されている<ref name=Museum>http://www.mannerheim-museo.fi/mm.php?page=marsalkka&lang=eng</ref>。

マンネルヘイムはフィンランドの記念硬貨のモチーフに選ばれている。2003年に造幣されたマンネルヘイムとサンクトペテルブルクの10ユーロ記念硬貨では、コインの表がマンネルヘイムの肖像になっている。2004年12月5日、{{lang|fi|Suuret suomalaiset}}（偉大なフィンランド人）コンテストにおいて、マンネルヘイムは1位に選ばれた<ref>{{fi icon}} [http://www.yle.fi/suuretsuomalaiset/ Suuret suomalaiset] at [[フィンランド国営放送]].fi</ref>。

== 階級と配属 ==
=== 階級 ===
* [[下士官]] (Non-commissioned officer) (1888年)
* 騎兵[[少尉]] (Cornet) (1889年)
* 近衛[[少尉]] (Cornet of the Guard) (1891年) 
* 近衛[[中尉]] (Lieutenant of the Guard) (1893年)
* 近衛騎兵隊副隊長 (Subaltern Cavalry Captain of the Guard) (1899年)
* 近衛騎兵隊隊長 (Cavalry Captain of the Guard) (1902年)
* [[中佐]] (1904年) 
* [[大佐]] (1905年) 
* [[少将]] (1911年) 
* [[中将]] (1917年)
* 騎兵[[大将]] (1918年)
* 陸軍[[元帥]] (1933年) 
* {{仮リンク|フィンランド元帥|en|Field marshal (Finland)}} (1942年) 

=== 配属 ===
* 第15アレクサンドリュスキー竜騎兵連隊 (15th Alexandrijski Dragoon Regiment) (1889年)
* 皇后マリア・フョードロヴナ親衛騎兵隊 (Her Majesty Maria Feodorovna's Chevalier Guards) (1891年–1904年)
* 帝国宮廷厩舎管理 (Imperial Court Stables Administration) (1897年–1903年)
* 騎兵学校模範大隊長 (Chief of the Model Squadron of the Cavalry School) (1903年–1904年)
* 第52ネージン竜騎兵連隊 (52nd Nezhin Dragoon Regiment) (1904年–1909年)
* 第13ウラジミール長槍騎兵連隊司令官 (Commander, 13th Vladimir Uhlan Regiment) (1909年)
* 皇帝近衛長槍騎兵連隊司令官 (Commander, Life Guard Uhlan Regiment of His Majesty) (1911年)
* 独立騎兵守備旅団司令官 (Commander, Separate Cavalry Brigade of the Guard) (1913年)
* 第12騎兵師団司令官 (Commander, 12th Cavalry Division) (1917年)
* 第6騎兵軍司令官 (Commander, 6th Cavalry Corps) (1917年)
* フィンランド白衛軍総司令官(1918年1月〜5月)
* フィンランド国防軍最高司令官(1918年12月〜1919年7月)
* フィンランド国防委員会議長(1931年〜1939年)
* フィンランド国防軍最高司令官(1939年〜1946年)

== 賞歴 ==
[[File:Mannerhein saa-vapaudenristin.jpg|thumb|キュオスティ・カッリオに自由勲章一等を授与されるマンネルヘイム]]存命中、マンネルヘイムは合計82の軍事勲章、市民勲章を受けている<ref>[http://www.mannerheim.fi/13_erity/kunnmerk.htm Mannerheim Internetprojekti, kunniamerkit valokuvineen] (Finnish)</ref>。第一次、第二次大戦の両大戦で敵味方双方から軍事勲章を受け取った唯一の人間である。中立であったスウェーデンからも勲章を受け取っている。第二次世界大戦に参加したすべての司令官のなかで、マンネルヘイムは第一次世界大戦時に最高位の軍の階級を持っていた。第一次大戦が終結した1918年にマンネルヘイムの階級は騎兵大将であった。

{| class="wikitable"
|-
| '''賞'''
| '''等級'''
| '''贈与国'''
| '''贈与年'''
|-
| [[レジオンドヌール勲章]] || 騎士勲章 <br> 将校勲章 <br> 大十字章 || [[フランス第三共和政|フランス]] || 1902年 <br> 1910年 <br> 1939年 
|-
| [[聖アンナ勲章]] || 2級勲章 || [[ロシア帝国]] || 1906年
|-
| [[聖スタニスラフ勲章]] || 2等勲章 || [[ロシア帝国]]/[[ポーランド]] || 1906年
|-
| [[聖ウラジーミル勲章]] || 4級勲章 || [[ロシア帝国]] || 1906年
|-
| [[聖ゲオルグ勲章]] || 4等騎士章 || [[ロシア帝国]] || 1914年
|-
| [[自由十字勲章]] || 司令官剣大十字 || [[フィンランド]] || 1918年
|-
| [[剣勲章]] || 司令官大十字 || [[スウェーデン]] || 1918年
|-
| [[セラフィム勲章]] || 騎士 || [[スウェーデン]] || 1919年
|-
| [[象勲章]] || 騎士 || [[デンマーク]] || 1919年
|-
| [[旭日章]] || [[勲一等旭日桐花大綬章]] || [[日本]] <ref>[http://www.mannerheim.fi/13_erity/kunnmerk.htm No. 77, ''Nousevan Auringon Ritarikunnan I luokka Paulovniakukkasin, Japani''], mannerheim.fi.</ref> ||
|-
| [[鉄十字|鉄十字勲章]] || 2級、1級 <br> 1939年章 <br> 鉄十字騎士十字章 <br> 柏葉鉄十字騎士十字章 || [[ドイツ帝国|ドイツ]] || 1918年 <br> 1942年 <br> 1942年 <br> 1944年
|-
| [[大英帝国勲章]] || 騎士大十字 || [[イギリス]] || 1938年
|-
| [[自由十字勲章]] || 司令官剣ダイアモンド大十字 || [[フィンランド]] || 1940年
|-
| [[マンネルハイム十字章]] || 1等、2等 || [[フィンランド]] || 1941年
|-
| [[ハンガリー功労賞]] || 聖イシュトヴァーン冠聖大十字 || [[ハンガリー王国]] || 1941年
|-
| [[ミハイ勇敢公勲章]] || 1級  || [[ルーマニア王国|ルーマニア]] || 1941年
|-
| [[白薔薇勲章]] || 司令官剣ダイアモンド大十字 || [[フィンランド]] || 1944年
|-
| [[フィンランド獅子勲章]] || 司令官剣ダイアモンド大十字 || [[フィンランド]] || 1944年
|}

== 称号、役職 ==
* 哲学名誉博士 ([[ヘルシンキ大学]]) (1919年)
* 白衛軍名誉最高司令官 (1919–1944年)
* マンネルヘイム児童福祉協会名誉社長  (1920年–1951年)
* フィンランド連合銀行会長 (1920年–1931年)
* [[フィンランド赤十字社|フィンランド赤十字協会]]会長 (1922年–1951年)
* ウーシマー竜騎兵連隊名誉大佐 (1928年)
* ヘルシンキ有限銀行会長 (1931年–1935年)
* ボーイスカウトフィンランド連盟名誉会長 (1936年)

== 後世の影響 ==
近衛騎士であった頃、兵たちは1日ショットグラス1杯の[[ウォッカ]]を飲む権利を与えられていた。ショットグラスはすべての者が確実に他の者と同じだけをもらえるように縁まで満たされ、こぼさずに空にするようにとされていた。マンネルヘイムはその後もこの伝統を続けた。マンネルヘイムはまた当時フィンランドで飲むことができたスピリッツでは満足せず、このため、手に入りやすい[[アクアビット]]に混ぜる[[ジン (蒸留酒)|ジン]]や[[ベルモット|フレンチ・ベルモット]]を求めた。この結果できた飲み物はフィンランドでは"{{lang|fi|Marskin ryyppy}}"（元帥の杯）として広く知られている。

1942年6月4日、誕生日プレゼントとして[[カレロ＝フィン・ソビエト社会主義共和国|ソ連領カレリア]]であったフィンランド語圏のリエクサヤルヴィに狩用のコテージを送られている。これはこの地域を守備している一般兵たちが建設したログハウスだった。しかしながら、戦況の変化からこの建物は取り去られ、フィンランド国内のロッピに移設された。これは"{{lang|fi|Marskin maja}}" (元帥のコテージ)の名前の観光名所として知られている。<ref>{{fi icon}} [http://www.marskinmaja.fi/index.phtml Marskin maja], marskinmaja.fi</ref>

<!--*== 発言 ==

*冬戦争の講和に際して
「戦える力が残っている今だからこそ和平協定のテーブルに着かねばならない。戦える力を失ったら我々は何を材料に彼らと協定を結べるというのか。残されるのは完全な屈服だけだ。」

*ドイツとの同盟に関して
「自らを守りえない小国を援助する国はない。あるとすれば何か野心があるはずだ。」
「大国に頼りきることは大国を敵にするのと同じくらい危険なことだ	」

*病気療養を前にして
「この戦いに負ける準備はできている。」

「足元を踏みしめる大地のみならず、岸辺を洗う湖水のみならず、頭上にざわめく大空も我が祖国である。 」-->

== 脚注 ==
=== 出典 ===
{{reflist}}

=== 注釈 ===
<references group="注釈" />

== 関連項目 ==
* [[マンネルハイム線]]
* [[マンネルハイム十字章]]

== 伝記・関連資料 ==
{{commonscat|Carl Gustaf Emil Mannerheim}}
{{Refbegin}}
* Carl Gustaf Emil Mannerheim (1953) ''The Memoirs of Marshal Mannerheim''. London. OCLC 12424452
* J. E. O. Screen (1993) ''Mannerheim: The Years of Preparation''. Vancouver: University of British Columbia Press. ISBN 0-900966-22-X
* Petteri Koskikallio, Asko Lehmuskallio, and Harry Halén (1999) ''C. G. Mannerheim in Central Asia 1906–1908''. Helsinki: National Board of Antiquities. ISBN 951-616-048-4
* J. E. O. Screen (2000) ''Mannerheim: The Finnish Years''. London: Hurst. ISBN 1-85065-573-1
* Stig Jägerskiöld (1986) ''Mannerheim: Marshal of Finland''. Minneapolis:  University of Minnesota Press. ISBN 0-8166-1527-6
* William R. Trotter (2000) ''A Frozen Hell: The Russo-Finnish Winter War of 1939–1940''. ISBN 1-56512-249-6
* Tamm, Eric Enno. (2010) [http://horsethatleaps.com/''The Horse That Leaps Through Clouds: A Tale of Espionage, the Silk Road and the Rise of Modern China'']. Vancouver: Douglas & McIntyre. ISBN 978-1553652694
* {{Cite book|和書|author=植村英一|year=1992|title=グスタフ・マンネルヘイム　フィンランドの白い将軍|publisher=[[荒地出版社]]|id=ISBN 4-7521-0069-X|ref = 植村}}
* {{Cite book|和書|author=[[梅本弘]]|year=1989|title=雪中の奇跡|publisher=大日本絵画|id=ISBN 4-499-20536-0}}
* {{Cite book|和書|author=[[梅本弘]]|year=1999|title=流血の夏|publisher=大日本絵画|id=ISBN 4-499-22702-X|ref = 梅本(1999)}}
* {{Cite book|和書|author=百瀬宏・石野裕子|year=2008|title=フィンランドを知るための44章|publisher=明石書店|id=ISBN 978-4-7503-2815-7|ref = 百瀬・石野}}
* [http://idp.afc.ryukoku.ac.jp/pages/collections_other.a4d#4 国際敦煌プロジェクト フィンランドのコレクション]
{{Refend}}

{{フィンランド大統領}}
{{先代次代|第6代[[フィンランドの大統領]]|1944年 - 1946年|[[リスト・リュティ]]|[[ユホ・クスティ・パーシキヴィ]]}} 

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[[Category:1951年没]]

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