カラチのソースを表示

{{世界の市
|正式名称 =カラチ <!--必須-->
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|最高行政執行者称号 =City Nazim
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|総面積(平方キロ) =3,527 
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|人口の時点 = 2008年
|人口に関する備考 =
|総人口 =12,461,423
|人口密度(平方キロ当たり) =3,533.2
|人口密度(平方マイル当たり) =9,189.8
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|等時帯 =パキスタン標準時
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|公式ウェブサイト =[http://www.kmc.gos.pk/ www.kmc.gos.pk]
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}}
'''カラチ'''（{{Lang-ur|{{nastaliq|کراچی}}}} カラーチー、{{lang-en|Karachi}}）は、[[パキスタン]]南部、[[アラビア海]]沿岸にあるパキスタン最大の都市。[[インダス川]]河口の西に位置する。[[シンド州]]の州都であり、世界有数の[[メガシティ]]である。

[[2010年]]の近郊を含む[[世界の都市的地域の人口順位|都市的地域の人口]]は1,308万人であり、世界第20位である<ref>[http://www.demographia.com/db-worldua.pdf Demographia: World Urban Areas & Population Projections]</ref>。また、パキスタンにおける商業・金融の中心地でもある。位置は、[[北緯]]24度48分、[[東経]]66度59分。

== 歴史 ==
=== 概要 ===
[[バローチスタン|バローチスタン州]]や{{仮リンク|Makran|en|Makran}}に住んでいた{{仮リンク|バローチ人|en|Baloch people}}が漁村を作ったのがカラチの始まりである。バローチ人の多くが今もなお、カラチに居住しており、バローチ語ではこの都市のことをKolachiと呼ぶ<ref>R Asif (2002) [http://www.dawn.com/2002/08/08/fea.htm#2 Lyari Expressway: woes of displaced families]. Dawn. 8 August. Retrieved on 10 January, 2008</ref>。しかしながら、カラチが現在の姿に発展するようになったのは[[19世紀]]から始まる[[イギリス]][[植民地]]時代に起因する。[[1947年]]、パキスタンが[[インド・パキスタン分離独立|独立]]を達成すると、カラチはパキスタンの首都となり、[[インド]]から[[ムスリム]]が多く移住した。独立直後の人口移動により、カラチは、急速に人口が拡大するとともに、パキスタンにおける政治・経済の中心として機能するようになった。カラチはインフラストラクチャーが貧弱だったこともあり、社会経済的に大きな問題に直面したが、現在では、パキスタンにおける産業・ビジネスの中心地として発展を遂げた。

=== カラチの発展史 ===
現在のカラチを中心とする地域は、[[古代ギリシア]]の時代より様々な呼ばれ方がされてきた。[[アレクサンドロス3世]]は、インド遠征から[[バビロニア]]へ帰還する際に、海路を選択しているがそのころの呼び名は、クロカラであった。8世紀には、[[アラブ人]]の間では、{{仮リンク|デバル|en|Debal}}と呼ばれた港町であり、[[712年]]に始まる[[ムハンマド・イブン・カースィム]]によるインド遠征の拠点となった。

今日のカラチは、{{仮リンク|Mai Kolachi|en|Mai Kolachi}}と呼ばれる[[シンド人]]の漁師が住居を構えたことから始まっており、その村は後にシンド語で''Kolachi-jo-Goth''と呼ばれる村に成長していった。1700年代の後半になると村は、[[マスカット]]や[[ペルシア湾]]と結びついていた[[アラビア海]]の地域との交易の中心地となり、マスカットからは[[大砲]]が輸入され、城塞も建築された。城塞は2つの門を持っていた。1つは、''Kharra Darwaaza''と呼ばれ海に面し、もう一つは、''Mitta Darwaaza''と呼ばれ{{仮リンク|Lyari River|en|Lyari River}}に面していた。

[[1795年]]、カラチは、バローチ人の{{仮リンク|タルプール|en|Talpur}}の支配を受けるようになった。[[1799年]]にはイギリス人の手によって小さいながらも工場の建設が行われた。しかし、この工場はすぐに閉鎖された。[[1839年]]、[[イギリス東インド会社]]はカラチの支配に着手し、[[1843年]]には他のシンド人居住地域とともに、{{仮リンク|Charles James Napier|en|Charles James Napier}}の手によって、東インド会社の支配する領域に組み込まれることとなった。

[[1840年]]代より、カラチはシンドの首都としての機能を有することとなった。イギリスはカラチの地政学的重要性を理解しており、また、インダス川流域で生産される産品の輸出港としての機能もカラチは有していたことから、急速にカラチとその港は、発展を遂げることとなった。カラチの地方政府は、インフラストラクチャーの整備を実行に移し、新しいビジネスがカラチで勃興し、カラチの人口は増加の一途をたどった。

[[1857年]]、[[インド大反乱]]が勃発すると、カラチに駐在していた第21歩兵部隊はイギリスに対抗する形で反乱に参加した。イギリスはすぐさま、カラチの鎮圧に乗り出した。

[[ファイル:429068485 5f192dcf9f o.jpg|thumb|left|[[19世紀]]末の{{仮リンク|D.J.サイエンス・カレッジ|en|D. J. Science College}}]]
[[1864年]]、インドからイギリスへ最初の[[電信]]が試みられたが、その際のインド側の発信地はカラチであった<ref>Christina P Harris (1969) [http://www.jstor.org/view/00167398/ap020714/02a00000/0 The Persian Gulf Submarine Telegraph of 1864]. ''[[The Geographical Journal]]''. vol. 135(2). June. pp. 169-190</ref>。このころ[[アメリカ]]で[[南北戦争]]が勃発し、イギリス本国の[[綿花]]不足を補うためパンジャーブの綿花が着目されて、綿花を輸出するためにカラチからハイデラバード対岸のコトリまで鉄道が建設された<ref>「世界地理4　南アジア」p341　織田武雄編　朝倉書店　1978年6月23日初版第1刷</ref>。鉄道はさらに延伸され、[[1878年]]にはカラチは現在のインド共和国の領域と鉄道で結ばれるようになった。また、{{仮リンク|Frere Hall|en|Frere Hall}}や{{仮リンク|Empress Market|en|Empress Market}}といった公共建築が建設されると同時に、カラチの町には[[教会]]、[[モスク]]、庁舎、[[市場]]、舗装された道路、港の整備が行われた。その結果、[[1899年]]にはカラチは、東洋世界で最大の[[コムギ]]輸出港へ変貌を遂げた<ref name="feldman">Feldman 1970:57</ref>。19世紀の終わりには、カラチの人口は105,000人を数え、[[ヒンドゥー]]、ムスリム、ヨーロッパ人、[[ユダヤ人]]、[[パールシー]]、[[イラン人]]、[[レバノン人]]、ゴア系（ゴアは、ポルトガル領である）の人々が住むコスモポリタンな都市へ成長した。

[[1947年]]、パキスタンが独立を達成するとカラチはパキスタンの首都となった。そのことにより、インドから多くのムスリムが移住することとなり、結果として、カラチは劇的に文化の多様性を抱える都市へと変貌を遂げた。しかし、[[1958年]]に[[ラーワルピンディー]]に遷都するとカラチは長い間、経済的に停滞の時期を迎えた。さらに、[[1980年]]代から[[1990年]]代にかけて、[[アフガニスタン]]から多くの難民が流入したこともカラチの停滞に拍車をかけた。{{仮リンク|ムハージル|en|Muhajir (Pakistan)}}と呼ばれるインド・パキスタン分離後にカラチに流入したムスリムと、従来カラチに居住していた住民との間で、政治的に対立が生じ、暴力事件にまで発展することもあった。現在では、この対立は沈静化している。

カラチは{{仮リンク|パキスタンの経済|en|Economy of Pakistan}}の中心として、首都がラーワルピンディーから[[イスラマバード]]へ移った現在も君臨し続けている。パキスタンに占める国内総生産の大部分をカラチが占めている現状は変わっておらず、現在ではカラチを中心とするカラチ都市圏の人口は非公式では2千万人といわれている。また、パキスタンでは経済的に活況を呈しており、新時代への旗手的役割を担っている。
{{Clearleft}}

== 地理 ==
[[ファイル:STS087-715-70.jpg|200px|right|thumb|カラチの衛星写真]]
カラチ市はシンド州に属するが州の西端に位置し、西は[[バローチスターン州]]に接する。市の中心部の北側をリヤーリー川が、南側をマリール川が流れ、中心市街地はこの両河川の間の三角州に発達している<ref>辛島昇・前田専学・江島惠教ら監修『南アジアを知る事典』p207　平凡社、1992.10、ISBN 4-582-12634-0</ref>。町の南にはアラビア海が広がり、クリフトン・ビーチやマノラ・ビーチといったビーチがあって多くの市民が訪れる。中心市街地の西から南西には潟湖が広がっている。この潟湖に接する地点に港が置かれ、その周辺には旧市街が広がっている。旧市街から東に向かうと新市街であり、サダル地区を中心に現在のカラチの中心となっている。

== 行政 ==
[[2011年]]、カラチ市の地区政府は東カラチ、南カラチ、中央カラチ、西カラチ、マリール地区の5つに分割され、この5地区が現在カラチ地区を形成している.<ref>{{cite web|url=http://www.pakistantoday.com.pk/2011/07/sindh-back-to-5-divisions-after-11-years/ |title= Sindh back to 5 divisions after 11 years
|accessdate=2012-06-16}}</ref><ref>[http://tribune.com.pk/story/208342/changing-hands-karachi-split-into-5-districts/ Express Tribune, Changing hands: Karachi split into 5 districts, date: 13-July-2011, Access date: 29 Feb, 2012]</ref><ref>[http://kmc.gov.pk.sv2.premiumwebserver.com/ KMC Website]</ref>。市管理者はムハンマド・フセイン・サイードであり<ref>[http://kmc.gov.pk.sv2.premiumwebserver.com/Contents.aspx?id=21 KMC Administrator]</ref>、市政長官はマタナト・アリ・カーンである。このほかに、市内には[[パキスタン軍]]によって管理される6つの[[宿営地]]（カントンメント）が存在している.<ref>[http://kmc.gov.pk.sv2.premiumwebserver.com/Contents.aspx?id=54 Municipal Commissioner of Karachi]</ref>。

== 気候 ==
カラチは[[砂漠気候]]に属するが、降水量は約250mmと砂漠気候としては多い。[[降水量]]は少ないものの、海に近いため、湿度は高めである。降水は、[[モンスーン]]の影響を受ける7月から9月に集中する。また、モンスーン時には、排水設備が殆ど整備されていない為、道路等が冠水する。また、冠水した水も主要道路を除いて殆ど処理されない為に水に細菌が繁殖し、伝染病等の危険性が懸念されている。

夏になると海から涼しい風が吹き込むため、パキスタン国内では割合穏やかな気候である。モンスーンの吹く前の5月から6月にかけてが最も暑く乾燥し、12月から1月にかけては冬に当たるためやや気温が下がり、快適な気候となる。カラチの月間降雨記録は[[1967年]]7月の429.3mmである<ref name=pakmet/>。一日の最高降雨記録は[[1953年]]8月7日の278.1mmであり、このときカラチは記録的な大洪水に見舞われた.<ref>http://www.dawn.com/2006/08/18/top2.htm</ref>
。カラチの最高気温記録は[[1979年]]6月18日の47℃.<ref name=pakmet/>、最低気温記録は[[1934年]]1月21日の0.0℃である<ref name=pakmet/>。

{{Weather box
|location = カラチ
|single line = Y
|metric first = Y
|Jan high C = 25.6
|Feb high C = 26.4
|Mar high C = 28.8
|Apr high C = 30.6
|May high C = 32.3
|Jun high C = 33.3
|Jul high C = 32.2
|Aug high C = 30.8
|Sep high C = 30.7
|Oct high C = 31.6
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|Jan low C = 14.1
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|May record high C = 47.8
|Jun record high C = 47.0
|Jul record high C = 42.2
|Aug record high C = 41.7
|Sep record high C = 42.8
|Oct record high C = 43.3
|Nov record high C = 38.5
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|year record high C = 47.8
|Jan record low C =  0.0
|Feb record low C =  3.3
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|Sep record low C = 18.0
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|Nov record low C =  6.1
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|Jan rain mm =  3.6
|Feb rain mm =  6.4
|Mar rain mm =  8.3
|Apr rain mm =  4.9
|May rain mm =  0
|Jun rain mm =  3.9
|Jul rain mm = 66.4
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|Sep rain mm = 22.8
|Oct rain mm =  0.3
|Nov rain mm =  1.7
|Dec rain mm =  4.5
|source = HKO (normals, 1962–1987)<ref name = HKO>{{cite web
| url = http://www.hko.gov.hk/wxinfo/climat/world/eng/asia/westasia/karachi_e.htm
| title = Climatological Information for Karachi, Pakistan
| publisher = Hong Kong Observatory
| accessdate = 2011-05-02}}</ref>
|source 2 = PakMet (extremes, 1931–2008)<ref name = pakmet>{{cite web
| url = http://www.pakmet.com.pk/cdpc/extrems/KARACHI.htm
| title = Karachi (During 1931-2008)
| publisher = Pakistan Meteorological Department
| accessdate = 2011-05-02}}</ref>
}}

== 経済 ==
[[ファイル:MCB2.jpg|thumb|left|180px|MCBタワー（MCB銀行本社ビル）]]
カラチはパキスタンの経済、金融の首都である<ref>[http://14.192.147.139/CDGK/Portals/0/Department/Master%20Plan/App%20KSDP-2020%20VERSION%20ANNEXURE1.pdf Economy of Karachi]</ref>。パキスタン最大の都市と唯一の主要港としての地位にあるこの都市は、パキスタンの歳入のかなりの部分を占めている。パキスタン連邦歳入庁によると、カラチはパキスタン全体の[[直接税]]の46.75%、連邦[[消費税]]の33.65%、国内売上税の23.38%を占めている.<ref name="fbr0607">{{cite web|url=http://www.cbr.gov.pk/YearBook/2006-2007/FBRyearbook2006-2007.pdf|title=Federal Board of Revenue Year Book 2006-2007|accessdate=2009-04-12}}</ref>。また、[[関税]]の75.14%、輸入売上税の79%はカラチからのものである.<ref name="fbr0607"/>。したがって、カラチからの税収は連邦歳入庁の集める税金全体の53.38%を占め、そのうち53.33%が関税および輸入売上税である<ref name="fbr0607"/>。（ただしカラチからの税収には、カラチや[[ハイデラバード]]、[[スックル]]、[[クエッタ]]、シンド州および[[バローチスターン州]]をカバーするカラチ地方税務署および大規模税ユニットからの税収を含む）.<ref name="fbr0607"/>。カラチの住民からの税収はおよそ25%程度である。

[[File:Malir bridge.jpg|thumb|マリール川橋。パキスタンでもっとも長い橋である]]
パキスタンの製造業のうちカラチの占める割合はおおよそ30%である.<ref name="stepmother">{{cite web|url=http://www.pakistaneconomist.com/database2/cover/c99-15.asp|title=Karachi: Step-motherly treatment|author=Pakistan and Gulf Economist|accessdate=2007-10-15}}</ref>。シンド州のGDPのかなりの部分はカラチに負うものである<ref name="gdp4">{{cite web|url=http://www.spdc-pak.com/pubs/pubdisp.asp?id=nps5|title=Provincial Accounts of Pakistan: Methodology and Estimates|author=Social Policy and Development Center|accessdate=2009-01-01}}</ref><ref name="dawngdp2">{{cite web|url=http://www.dawn.com/2006/02/21/ebr3.htm|title=Sindh, Balochistan’s share in GDP drops|author=Dawn Group of Newspapers|accessdate=2009-01-01}}</ref>。（シンド州のGDPはパキスタン全体の28%から30%を占める]]).<ref name="gdp4"/><ref name="dawngdp2"/><ref name="dawngdp1">{{cite web|url=http://www.dawn.com/2007/06/16/ebr3.htm|title=Sindh’s GDP estimated at Rs240 billion|author=Dawn Group of Newspapers|accessdate=2009-01-01}}</ref><ref name="dawngdp3">{{cite web|url=http://www.dawn.com/2004/12/02/ebr1.htm|title=Sindh share in GDP falls by 1pc|author=Dawn Group of Newspapers|accessdate=2009-01-01}}</ref>）。カラチのGDPはパキスタンのおよそ20%を占めている.<ref name="adb">{{cite web|url=http://www.adb.org/Documents/Produced-Under-TA/38405/38405-PAK-DPTA.pdf|title=Karachi Mega-Cities Preparation Project|author=Asian Development Bank|accessdate=2009-01-01}}</ref><ref name="coastline">{{cite web|url=http://www1.american.edu/TED/karachi.htm|title=The Karachi Coastline Case|author=The Trade & Environment Database|accessdate=2009-01-01}}</ref>。プライスウォーターハウスクーパースは、2008年のカラチのGDPを780億ドルと推定した<ref name="pwc1">{{cite web|url=https://www.ukmediacentre.pwc.com/Content/Detail.asp?ReleaseID=3421&NewsAreaID=2|title=Global city GDP rankings 2008-2025|publisher=PricewaterhouseCoopers|accessdate=12 February 2010}}</ref>。2025年には年平均5.5%の成長率で1930億ドルになると推定している<ref name="pwc1"/>。なお、パキスタンではカラチに次ぐ大都市とされるラホールおよびファイサラーバードの2008年のGDPはそれぞれ400億ドルと140億ドルとなっている<ref name="pwc1"/>。カラチの高いGDPは[[金融]]セクターに大きく依存している。[[繊維]]、[[セメント]]、[[鉄鋼]]、[[重機]]、[[化学]]、[[食品]]、[[銀行]]、[[保険]]がカラチの主な産業となっている。世界銀行は2007年2月にパキスタンで最も企業活動がしやすい都市としてカラチを選んだ.<ref name="dawn4">{{cite web|url=http://www.dawn.com/2007/02/14/ebr1.htm|title=World Bank report: Karachi termed most business-friendly|author=Dawn Group of Newspapers|accessdate=2007-10-15}}</ref>。

カラチはパキスタン経済の中枢であるが、政治的無秩序によって引き起こされた経済の停滞や[[1980年代]]と[[1990年代]]後半に起こった民族紛争や軍事作戦は、カラチからの企業の流出を引き起こした。パキスタンの政府系および民間銀行のほとんどはI.I.Chundrigar通りに本部を置いており、2001年にはパキスタンの[[キャッシュフロー]]の60%がこの通りで行われていた。[[多国籍企業]]のパキスタン本部もほぼカラチに置かれている。[[カラチ証券取引所]]は、パキスタン最大の[[証券取引所]]であり、この証券取引所が2005年以降のパキスタンの8%成長に果たした役割は大きいと多くの経済学者は考えている.<ref>[http://www.businessweek.com/bwdaily/dnflash/apr2005/nf20050422_9277_db016.htm "Pakistan: After the Crash."] ''Business Week''. 22 April 2005. Retrieved on 1 January 2008.</ref>。

== 人口統計 ==
{{歴史的人口
| title = 都市部人口推移
| 1856 | 56875
| 1872 | 56753
| 1881 | 73560
| 1891 | 105199
| 1901 | 136297
| 1911 | 186771
| 1921 | 244162
| 1931 | 300799
| 1941 | 435887
| 1951 | 1068459
| 1961 | 1912598
| 1972 | 3426310
| 1981 | 5208132
| 1998 | 9269265
| 2008 | 12461423
| source = <ref name="worldgazetteer1">{{cite web
  | url=http://world-gazetteer.com/wg.php?x=&men=gpro&lng=en&dat=32&geo=-172&srt=pnan&col=aohdq&pt=c&va=&geo=413520701
  | title=Karachi
  | author=Stefan Helders, World-Gazetteer.com
  | accessdate=2008-01-07
  |archiveurl=http://www.webcitation.org/6Hegir97z
  |archivedate=2013-06-26}}</ref>
}}

カラチの人口は、直近150年間で劇的に変貌を遂げた。非公式ではカラチの人口は2000万人に到達したとされる<ref name="pop_dispute"> 1998年の人口統計ではカラチの人口は約900万人である。しかし、公式・非公式で人口に大きな乖離が生じている。その理由は、1つにカラチに居住しているが戸籍をカラチに移していない人口が存在すること（したがって、カラチの人口は推計で1,500万人になる）、もう1つが1998年の人口統計ではアフガニスタン難民を統計に加えていないことが理由として挙げられている [http://www.karachicity.gov.pk/msg-nazim.asp City Government] estimates "more than 15 million inhabitants". Reasons for the discrepancy include workers living in Karachi but registered as living elsewhere in Pakistan by the National Database and Registration Authority; and Afghan refugees were not counted in the 1998 census.</ref> 。1947年でのカラチの人口は40万人程度であった。カラチの人口は年率5%の増加を続けており、この増加数には、パキスタン各地からカラチへ出稼ぎとして働きに出てきている労働者の数も含んでいる<ref name="migrants">{{cite web| url=http://www.dawn.com/2006/01/16/letted.htm| title="Karachi turning into a ghetto"| date=2006-01-16| publisher=Dawn Group of Newspapers| accessdate=2006-04-20}}</ref>。

カラチの歴史と関連するが、1947年以前のカラチには、パールシー、ユダヤ人、ヒンドゥー、[[キリスト教徒]]、バローチ人、{{仮リンク|グジャラート人|en|Gujarati people}}とシンド人が居住していた。しかし、パキスタンの分離独立により、多くのヒンドゥーがカラチを離れ、それに変わる形でインドから多くのウルドゥー語話者ムスリムが移住した。彼らをムハージルと呼ぶ。ムハージルは、インド各地からカラチへやってきたため、それぞれの故郷の文化、料理をもたらした。現在ではムハージルの存在がカラチのコスモポリタン性に彩を添えている。

一方で、ムハージルと土着のシンド人との関係は良好とは言えず、しばしば衝突が起こっている。カラチはシンド州に属する都市だが、1960年代の推計ではカラチ人口におけるシンド人の割合は20%にすぎず、人口の6割以上はムハージルが占めていたとされる<ref>「パキスタンを知るための60章」pp169-170広瀬崇子・山根聡・小田尚也編著　明石書店　2003年7月22日初版第1刷</ref>。1960年代からシンド人の民族主義が高揚する一方、それに対抗する形で1970年代からムハージルの地位向上を目指す民族運動が盛んになり、[[1984年]]にはカラチでムハージルの民族政党であるムハージル民族運動 (Muhajir Quami Movement 、MQM) がアルターフ・フセインによって結成された<ref>「世界民族問題事典」（新訂増補）p1133　平凡社　2002年11月25日新訂増補第1刷</ref>。ムハージル民族運動はカラチを地盤として勢力を伸ばしたが、1992年には2派に分裂し、[[1997年]]にはアルターフ・フセイン派が党名を統一民族運動 (Muttahida Qaumi Movement、MQM) と変更した。

1979年、[[アフガニスタン紛争 (1978年-1989年)|ソ連によるアフガニスタン侵攻]]が勃発した。この侵攻を契機に多くの[[アフガン難民]]がカラチにも殺到した<ref>UN Refugee Agency [http://www.unhcr.org/cgi-bin/texis/vtx/home/opendoc.pdf?tbl=SUBSITES&page=SUBSITES&id=430b1e562 Case Study: Afghans in Pakistan] Retrieved on January 1, [[2008年]]</ref>。彼らはカラチに定住し、その人口は100万人以上と推計される。また、アフガニスタンからの難民は様々な民族から構成されている。具体的には、[[パシュトゥーン人]]、[[タジク人]]、[[ハザーラ人]]、[[ウズベク人]]、[[トルクメン人]]である。

カラチには、それ以外にも多くの民族が居住している。例えば、[[アラブ人]]、[[イラン人]]、[[フィリピン人]]、[[ミャンマー]]の軍事政権下から逃れてきた[[在パキスタンビルマ人|ロヒンギャ]]人、[[ボスニア人]]、[[アルバニア人]]、[[ポーランド人]]、レバノン人、[[アルメニア人]]、[[ベンガル人]]であり、また、[[アフリカ]]から移住してきた人々も居住している。

宗教的には[[イスラム教徒]]が圧倒的に多く、1998年の国勢調査では、カラチ市民の96.45%がイスラム教徒であり、ついで[[キリスト教]]（2.42%）、[[ヒンドゥー教]](0.86%)、[[アフマディーヤ]]（0.17%）、その他宗教（[[バハーイー教]]、[[シーク教]]、[[ゾロアスター教]]、[[ユダヤ教]]、[[仏教]]）が0.10%となっている<ref name=usrkarachi>{{cite web|url=http://www.ucl.ac.uk/dpu-projects/Global_Report/pdfs/Karachi.pdf|title=Urban Slums Reports: The case of Karachi, Pakistan|author=Arif Hasan, Masooma Mohibur|format=PDF|date=2009-02-01|accessdate=2010-08-24}}</ref>。

言語的には、1998年の国勢調査では[[ウルドゥー語]]人口が62.52%で過半数を占め、ついで[[パンジャブ語]]13.94%、[[シンド語]]7.22%、[[パシュトゥーン語]]5.42%、[[バローチー語]]4.34%、[[サライキ語]]2.11%、その他12.4%となっている。その他言語の話者には[[グジャラート語]]、[[ペルシア語]]、[[アラビア語]]、[[ベンガル語]]、[[コワール語]]、[[ブルシャスキー語]]、[[ブラーフーイー語]]などがある<ref>[http://www.findpk.com/cities/html/karachi.html Karachi Demographics] Findpk.com</ref>。

== 交通 ==
{{Multiple image
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| caption1 = カラチの主要道路、鉄道、港湾、空港
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| caption2 = カラチ・カントンメント駅
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| caption3 = [[ジンナー国際空港]]
}}

=== 航空便 ===
カラチの[[空港]]としては、市街の東部に位置する[[ジンナー国際空港]]（カーイデ・アーザム国際空港）がある。パキスタンのフラッグキャリアである[[パキスタン国際航空]]はカラチに本社を置き、ジンナー国際空港を[[ハブ空港]]としている。「対テロ戦争」において、[[アメリカ合衆国]]およびその同盟軍は、この空港を戦略的兵站拠点として用いている。[[パキスタン国際航空]]が[[成田国際空港]]から週2便の[[北京首都国際空港]]、[[ベナジル・ブット国際空港]]経由便を運航している。1970年代初頭までは南回りヨーロッパ線の主要経由空港としてアジアとヨーロッパを結ぶ世界の重要空港であった。
このほか、町から離れた場所に2ヶ所の飛行場がある。

=== 海運 ===
カラチ港はパキスタン最大の港であり、パキスタン建国以後は国内唯一の輸出港として重要性を増した。カラチ港の混雑を緩和するため、1970年代末にはカラチ港の東35km、カラチ市域の東端に[[カシム港]]が開港し、パキスタン第2の港となった。この両港ともにカラチ市に属するため、カラチにパキスタンの海運のほとんどが集中している状況には変わりない。

カラチ港については定期旅客航路はない。しかし近場の島、パキスタン風ビーチにアクセスする近距離船は、日中ならば複数航行している。

=== 鉄道 ===
カラチは[[鉄道]]により、国内の他の地域と結ばれている。カラチ・シティ (Karachi City) とカラチ・カントンメント (Karachi Cantonment) の二つが主要な駅である。特に、カラチ・カントンメント駅は、市中心街の南に位置し、パキスタン国鉄一のハブ駅で、ここからパキスタン各地の主要都市へ、毎日列車が発着する。また、全長44kmの環状線があるが、朝夕の限られた時間に限られた本数しか走行していないため、実用性は低い。この環状線を活性化させ、近代的な大量輸送システムに変換する計画がパキスタン政府によって承認された。このプロジェクトの総工費は1600億円であり<ref>[http://globe.asahi.com/feature/091207/03_1.html 朝日新聞グローブ (GLOBE)｜アフガン民生支援の深淵 -- 隣国パキスタンと一体としての取り組み]</ref>、日本政府の[[政府開発援助]]によって[[2013年]]度に完成予定である<ref>[http://www.jetro.go.jp/jetro/activities/oda/model_study/earth/pdf_h17/17.pdf カラチ環状線修復プロジェクト - JETRO]</ref>。

=== キンキラバス ===
現在、カラチにおける主な大量輸送機関はきらびやかに装飾された、その名も「キンキラバス」である。この名は現地の日本人による通称であり、現地人は「マツダ」と呼んでいる。これは、[[マツダ]]のバスをベースに改造されたもののためである。約1万台のキンキラバスがあるが、それをもってしてもラッシュ時の輸送量をさばききれていない。中でも、カラチ中心部のサダル地区「エンプレスマーケット」前のキンキラバス渋滞は凄まじい。

== 教育・文化 ==
[[ファイル:Khi National Museum.jpg|thumb|left|200px|パキスタン国立博物館]]
カラチには[[1951年]]に設立された市街東部のカラチ大学をはじめ、いくつかの大学がある。また、パキスタン国立博物館がバーンズ・ガーデンにある。

カラチにはパキスタンで最も古い英字紙である「ドーン」紙やパキスタン建国以前に創刊されたおおてウルドゥー語紙である「ジャング」紙など、多くの新聞社が存在している<ref>「パキスタンを知るための60章」pp129-130広瀬崇子・山根聡・小田尚也編著　明石書店　2003年7月22日初版第1刷</ref>。

カラチで最も人気のあるスポーツは[[クリケット]]であり、市内中心部に位置する国立競技場は、カラチ唯一の世界レベルのクリケットスタジアムであり、パキスタン国内でもラホールのガダフィ・スタジアムに次いで2番目に大きな競技場である。

;カラチのプロスポーツチーム
{| class="wikitable sortable"
|-
! scope="col" | 名称
! scope="col" | 所属リーグ
! scope="col" | ジャンル
! scope="col" | Venue
! scope="col" | 設立
|-
! scope="row" style="font-weight: normal; text-align: left;" | カラチ・ドルフィンズ
| Faysal Bank T20 Cup
| [[クリケット]]
| カラチ国立競技場
| 2004
|-
! scope="row" style="font-weight: normal; text-align: left;" | カラチ・ゼブラズ
| Faysal Bank T20 Cup
| [[クリケット]]
| カラチ国立競技場
| 2004
|-
! scope="row" style="font-weight: normal; text-align: left;" | {{仮リンク|Karachi Bazigar|en|Karachi Bazigar|label=Karachi Energy}}
| Geo Super Football League
| [[サッカー]]
| Peoples Football Stadium
| 2007
|-
! scope="row" style="font-weight: normal; text-align: left;" | {{仮リンク|カラチ HBL FC|en|HBL F.C.}}
| [[パキスタン・プレミアリーグ]]
| [[サッカー]]
| Peoples Football Stadium
| 1975
|-
|}

== 姉妹都市 ==
{{Col-begin}}
{{Col-2}}
* {{Flagicon|CHN}} [[上海市]]（[[中華人民共和国]]、1984年2月15日締結<ref name="shanghai">{{cite web| url=http://www.shanghai.gov.cn/images/2007english/sister_1.htm| title=International Sister Cities| publisher=Shanghai Municipal Government| accessdate=2007-12-31}}</ref>）
* {{Flagicon|MRI}} [[ポートルイス]]（[[モーリシャス]]、2007年5月1日締結<ref name="portlouis">{{cite web| url=http://www.dawn.com/2007/05/01/local17.htm| title=Karachi: Sister-city accord with Port Louis| publisher=Dawn Group of Newspapers| date=2007-05-01| accessdate=2007-12-31}}</ref>）
* {{Flagicon|KSA}} [[ジッダ]]（[[サウジアラビア]]）
* {{flagicon|Hong Kong}} [[香港]]
* {{flagicon|Uzbekistan}} [[タシケント]], [[ウズベキスタン]]
* {{flagicon|Turkey}} [[イスタンブル]], [[トルコ]]
* {{flagicon|Lebanon}} [[ベイルート]], [[レバノン]]
* {{flagicon|Bangladesh}} [[ダッカ]], [[バングラデシュ]]
{{Col-2}}
* {{flagicon|Turkey}} [[イズミル]], [[トルコ]], 1985年締結
*{{flagicon|USA}} [[ヒューストン]], [[アメリカ合衆国]]、 2008年5月8日締結<ref>{{cite web|url=http://221.132.118.186/CDGK/NewsDetails/tabid/255/NewsId/777/Default.aspx|title=News Details|date=2009-05-08|publisher=City-District Government of Karachi|accessdate=2010-08-26}}</ref><ref>{{cite web|url=http://beta.dawn.com/wps/wcm/connect/dawn-content-library/dawn/news/pakistan/sindh/houston-karachi-declared-sister-cities--zj|title=Houston-Karachi declared sister cities|date=2009-03-09|publisher=Dawn Media Group|accessdate=2010-08-26}} {{リンク切れ|date=October 2010|bot=H3llBot}}</ref>
* {{flagicon|Bahrain}} [[マナーマ]], [[バーレーン]]
* {{flagicon|Kosovo}} [[プリシュティナ]], [[コソボ]] 、2008年7月24日締結
* {{flagicon|UAE}} [[ドバイ]], [[アラブ首長国連邦]]
* {{flagicon|Malaysia}} [[クアラルンプール]], [[マレーシア]]、2008年6月1日締結
*{{flagicon|Russia}} [[モスクワ]], [[ロシア]]、2011年8月28日締結
{{Col-end}}

== ギャラリー ==
<gallery>
ファイル:Mazare_Quaid.JPEG|[[ジンナー廟]]
ファイル:Karachi - Pakistan-market.jpg|カラチの織物市場

ファイル:Karachi Golf Club3.jpg|カラチ最大のゴルフ場であるカラチゴルフクラブ
ファイル:IICROAD.jpg|I. I. Chundrigar Road。銀行や金融業者の集まるパキスタン経済の中心地
ファイル:Pakistan 8.jpg|カラチの食料品店
ファイル:Korangi Road Karachi.jpg|コランギ・ロード
</gallery>

== 脚注 ==
{{Reflist|2}}

== 外部リンク ==
{{commonscat|Karachi}}
* [http://www.kmc.gos.pk/ カラチ市公式サイト] {{ref-en}}{{ur icon}}

{{世界20大都市圏}}
{{DEFAULTSORT:からち}}
[[Category:パキスタンの都市]]
[[Category:古都]]
[[Category:カラチ|*]]
[[Category:アジアの港町]]

{{Link GA|sv}}