エリザベス2世のソースを表示

{{Otheruses|イギリス女王|その他}}
{{存命人物の出典明記|date=2010年8月27日 (金) 09:01 (UTC)}}
{{基礎情報 君主
| 人名       = エリザベス2世
| 各国語表記 = {{Lang|en|Elizabeth II}}
| 君主号     = [[イギリス]][[イギリスの君主|女王]]
| 画像       = Elizabeth II greets NASA GSFC employees, May 8, 2007 edit.jpg
| 画像サイズ = 225px
| 画像説明   = [[アメリカ航空宇宙局|NASA]][[ゴダード宇宙飛行センター]]訪問時のエリザベス2世（[[2007年]][[5月]]）
| 在位       = [[1952年]][[2月6日]] - 在位中
| 戴冠日     = [[1953年]][[6月2日]]、於[[ウェストミンスター寺院]]
| 別号       = {{collapsible list |title=[[英連邦王国|イギリス連邦王国]]女王 |1='''{{GBR}}''' (1952 - ) |2='''{{CAN}}''' (1952 - ) |3='''{{AUS}}''' (1952 - ) |4='''{{NZL}}''' (1952 - ) |5='''{{JAM}}''' (1962 - ) |6='''{{BAR}}''' (1966 - ) |7='''{{BAH}}''' (1973 - ) |8='''{{GRN}}''' (1974 - ) |9='''{{PNG}}''' (1975 - ) |10='''{{SOL}}''' (1978 - ) |11='''{{TUV}}''' (1978 - ) |12='''{{LCA}}''' (1979 - ) |13='''{{VIN}}''' (1979 - ) |14='''{{BIZ}}''' (1981 - ) |15='''{{ATG}}''' (1981 - ) |16='''{{SKN}}''' (1983 - ) }}
| 全名       = エリザベス・アレクサンドラ・メアリー<br />{{Lang|en|Elizabeth Alexandra Mary}}
| 出生日     = {{生年月日と年齢|1926|4|21}}
| 生地       = {{ENG}}、[[ロンドン]]、[[メイフェア]]
| 死亡日     = 
| 没地       = 
| 埋葬日     = 
| 埋葬地     = 
| 継承者     = 
| 継承形式   = 
| 配偶者1    = [[エディンバラ公]][[フィリップ (エディンバラ公)|フィリップ]]
| 子女       = {{Collapsible list|title = 一覧参照|[[チャールズ (プリンス・オブ・ウェールズ)|ウェールズ公チャールズ]]<br />[[アン (イギリス王女)|プリンセス・ロイヤル・アン]]<br />[[アンドルー (ヨーク公)|ヨーク公爵アンドルー王子]]<br />[[エドワード (ウェセックス伯爵)|ウェセックス伯爵エドワード王子]]}}
| 王家       = [[ザクセン＝コーブルク＝ゴータ家|ウィンザー家]]
| 王朝       = [[ウィンザー朝]]
| 王室歌     = [[女王陛下万歳]]
| 父親       = [[ジョージ6世 (イギリス王)|ジョージ6世]]
| 母親       = [[エリザベス・ボーズ＝ライアン]]
| 宗教 = [[イングランド国教会]]<br />[[スコットランド国教会]]
| サイン     = 
}}
{{British Royal Family}}

'''エリザベス2世'''（{{Lang-en|'''Elizabeth II'''}}、[[1926年]][[4月21日]]<ref group="注釈">{{仮リンク|女王公式誕生日|en|Queen's Official Birthday}}とされる5月末から6月初め頃と実際の女王誕生日が異なることについては、当該項目を参照。</ref> - ）は、[[イギリス|グレートブリテン及び北アイルランド連合王国]]（イギリス）を含む、16か国の[[主権国家]]（[[英連邦王国|イギリス連邦王国]]）の[[君主]]であり、54の加盟国から成る[[イギリス連邦]]およびイギリスの[[イギリスの王室属領|王室属領]]と[[イギリスの海外領土|海外領土]]の[[元首]]である。また、[[イングランド国教会]]の首長、および[[ウィンザー朝]]の第4代女王でもある。実名は、'''エリザベス・アレクサンドラ・メアリー'''（{{Lang-en|'''Elizabeth Alexandra Mary'''}}）。

[[1952年]][[2月6日]]の即位を以て、イギリス連邦に加盟する独立国家である7か国、すなわち、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国（[[イギリス]]）、[[カナダ]]、[[オーストラリア]]、[[ニュージーランド]]、[[南アフリカ連邦]]、[[パキスタン (ドミニオン)|パキスタン]]、[[セイロン (ドミニオン)|セイロン]]の[[女王]]となった。1956年から1992年までの間に、独立を果たしたり、共和制へと移行したりしたことにより、連合王国女王の[[レルム]]に属する国家および領土の数は、度々移り変わっていった。

[[2014年]]現在の今日においては、（現在まで存続している）前述の4か国（[[イギリス]]、[[カナダ]]、[[オーストラリア]]、[[ニュージーランド]]）に加え、[[ジャマイカ]]、[[バルバドス]]、[[バハマ]]、[[グレナダ]]、[[パプアニューギニア]]、[[ソロモン諸島]]、[[ツバル]]、[[セントルシア]]、[[セントビンセント・グレナディーン]]、[[ベリーズ]]、[[アンティグア・バーブーダ]]、[[セントクリストファー・ネイビス]]が女王を君主としている。こうしてエリザベス2世は、合計16か国の君主を兼ねている。また[[クック諸島]]など、上記の国と自由連合制をとる国や、その一部となっている国・地域の中にも女王を元首としているところが存在する。

エリザベス2世のこれまでの62年間という在位期間は、イギリスの君主としては、63年間に亘って在位した[[ヴィクトリア (イギリス女王)|ヴィクトリア女王]]に次いで、史上2番目の長さである。[[2007年]][[12月20日]]には、[[続柄#高祖父母|高祖母]]たるヴィクトリア女王を抜いて、イギリス史上最高齢の君主となった。

== 略歴 ==
[[ロンドン]]の[[メイフェア]]にて、ヨーク公[[ジョージ6世 (イギリス王)|アルバート]]王子と[[エリザベス・ボーズ＝ライアン|エリザベス]]王妃の長女として誕生し、宮廷内で大切に養育された。1936年、父のアルバート王子が、兄である[[エドワード8世 (イギリス王)|エドワード8世]]の退位を受けて、ジョージ6世として王位に就くと、エリザベス王女は[[推定相続人]]となった。王女は、第二次世界大戦中に{{仮リンク|英国女子国防軍|en|Auxiliary Territorial Service}}に属して公務に携わるようになった。1947年には、[[エディンバラ公|エディンバラ公爵]][[フィリップ (エディンバラ公)|フィリップ]]と結婚し、[[チャールズ (プリンス・オブ・ウェールズ)|チャールズ]]、[[アン (イギリス王女)|アン]]、[[アンドルー (ヨーク公)|アンドルー]]、[[エドワード (ウェセックス伯爵)|エドワード]]の4人の子をもうけた。なお、夫（[[王配]]）のフィリップは共同君主・共同統治者ではない。女王エリザベス2世に即位するにあたって、1953年6月2日に執り行われた戴冠式は、史上初めてテレビ中継された。

{{仮リンク|エリザベス2世のアイルランド共和国への公式訪問|en|Queen Elizabeth II's visit to the Republic of Ireland|label=アイルランド共和国への公式訪問}}や、[[教皇|ローマ教皇]]との間の相互訪問など、多くの歴史的な訪問および会合を遂行しただけでなく、{{仮リンク|イギリスの権限委譲|en|Devolution in the United Kingdom|label=イギリスの地方分権}}やカナダ憲法における{{仮リンク|パトリエーション|en|Patriation}}のように、重大な憲法改正を目の当たりにしてきた。このほか、意義深い個人的な出来事としては、自らの子女の誕生と結婚、および孫の誕生、{{仮リンク|プリンス・オブ・ウェールズの叙任|en|Investiture of the Prince of Wales}}（立太子礼）、そして自身の{{仮リンク|エリザベス2世のシルバー・ジュビリー|en|Silver Jubilee of Elizabeth II|label=シルバー・ジュビリー}}（1977年）、{{仮リンク|エリザベス2世のゴールデン・ジュビリー|en|Golden Jubilee of Elizabeth II|label=ゴールデン・ジュビリー}}（2002年）、{{仮リンク|エリザベス2世のダイヤモンド・ジュビリー|en|Diamond Jubilee of Elizabeth II|label=ダイヤモンド・ジュビリー}}（2012年）、それぞれの祝事を経験した。

=== 生い立ち ===
[[ファイル:Queen Elizabeth II 1929.jpg|thumb|left|200px|[[1929年]]、3歳のエリザベス王女]]
[[1926年]][[4月21日]]午前2時40分（[[英国夏時間|BST]]）、[[ロンドン]]市内の[[メイフェア]]地区ブルートン・ロード17番地に所在する母方の祖父の家において、[[ヨーク公]]アルバート（後の[[ジョージ6世 (イギリス王)|ジョージ6世]]）と妃[[エリザベス・ボーズ＝ライアン|エリザベス]]との間に、第一子として、[[帝王切開]]により生まれる。父アルバートは、国王[[ジョージ5世 (イギリス王)|ジョージ5世]]と妃[[メアリー・オブ・テック|メアリー]]の次男で、母はスコットランド貴族の第14代ストラスモア伯爵[[クロード・ボーズ＝ライアン (第14代ストラスモア伯爵)|クロード・ボーズ＝ライアン]]の末女である。

同年5月29日に、[[バッキンガム宮殿]]内のプライベート・チャペルで、{{仮リンク|ヨーク大主教|en|Archbishop of York}}の{{仮リンク|コズモ・ラング|en|Cosmo Gordon Lang}}によって[[洗礼]]が施された<ref group="注釈">洗礼式で代父母を務めたのは、父方の祖父ジョージ5世、父方の祖母メアリー王妃、母方の祖父ストラスモア伯爵、父方の曾祖叔父[[アーサー (コノート公)|コノート公爵アーサー]]、父方の叔母[[メアリー (ハーウッド伯爵夫人)|ハーウッド伯爵夫人メアリー]]、母方の伯母エルフィンストーン男爵夫人メアリー。</ref><ref>Hoey, p. 40</ref>。名前はそれぞれ母エリザベスと父方の曽祖母[[アレクサンドラ・オブ・デンマーク|アレクサンドラ]]、同じく父方の祖母メアリーに因んで命名され<ref>Brandreth, p. 103</ref>、家族からは“リリベット”の愛称で呼ばれていた<ref>Pimlott, p. 12</ref>。ジョージ5世はエリザベスを溺愛しており、1929年に大病を患った際も、彼女が定期的に見舞いに訪れたことが、病の回復を早めるのに一役買ったと言われている<ref>Lacey, p. 56; Nicolson, p. 433; Pimlott, pp. 14–16</ref>。

1930年、4歳の時に、妹[[マーガレット (スノードン伯爵夫人)|マーガレット]]が誕生した。当時は、結婚を保証されている上流階級の娘達には教育は不必要という時代であったが、祖母[[メアリー・オブ・テック|メアリー]]王妃の方針によって、姉妹揃って[[ガヴァネス|家庭教師]]{{仮リンク|マリオン・クロフォード|en|Marion Crawford}}から、宮廷において、歴史、言語、文学、音楽を中心とした教育を施された<ref>Crawford, p. 26; Pimlott, p. 20; Shawcross, p. 21</ref><ref>Brandreth, p. 124; Lacey, pp. 62–63; Pimlott, pp. 24, 69</ref>。クロフォードが後に記した伝記によれば、この頃から馬や犬などの動物好きな傾向が見受けられたことや、規律正しく責任感の強い性格であったと言われている<ref>Brandreth, pp. 108–110</ref>。また[[ウィンストン・チャーチル]]も、当時2歳だったエリザベスに接して「子供ながら驚くほど威厳と沈思のある態度だった」と回想している<ref>Brandreth, p. 105; Lacey, p. 81; Shawcross, pp. 21–22</ref>。

=== 王女時代 ===
[[File:Philip Alexius de Laszlo-Princess Elizabeth of York, Currently Queen Elizabeth II of England,1933.jpg|200px|thumb|right|エリザベス（[[1933年]]）]]出生時における正式な称号は、''Her Royal Highness Princess Elizabeth of York''（ヨーク公エリザベス王女殿下）であり、伯父の王太子[[エドワード8世 (イギリス王)|エドワード]]、父のヨーク公エドワードに次いで、第3位の[[イギリス王位継承順位|王位継承順位]]にあった。エリザベスの誕生は世間の関心を集めたが、当時は、まだ若くて独身だった王太子のエドワードおよび将来的に彼が結婚することにより生まれるであろうと思われた、その子への王位継承が期待されており、彼女の即位を予想する者はいなかった<ref>Bond, p. 8; Lacey, p. 76; Pimlott, p. 3</ref>。

しかし、[[1936年]]1月のジョージ5世の死去を受けて即位した[[エドワード8世 (イギリス王)|エドワード8世]]が、イギリスと対立しつつあった[[枢軸国]]に親近感があるような態度をとった上に、離婚経験のある[[アメリカ合衆国|アメリカ]]人女性の[[ウォリス・シンプソン]]との結婚をほのめかしたことを受けて、[[スタンリー・ボールドウィン]][[イギリスの首相|首相]]らに退位を迫られ、同年12月に退位することとなる（この一件は「王冠を賭けた恋」として知られる）<ref>Lacey, pp. 97–98</ref>。そして、エドワード8世の弟でエリザベスの父であるヨーク公が即位して、ジョージ6世となる。これを受けて、エリザベスは一家とともに[[バッキンガム宮殿]]に移住し、''Her Royal Highness Princess Elizabeth''（エリザベス王女殿下）の称号を与えられた上で、王位の[[推定相続人]]となる<ref>e.g. {{cite journal|last=Assheton|first=Ralph|date=18 December 1936|title=Succession to the Throne|journal=The Times|page=10}}</ref>。この時点でもしもエリザベスに弟が存在したならば、彼が[[皇太子|王太子]]となり王位継承順位においてエリザベスよりも上位に位置付けられることとなり、彼女は推定相続人としての地位を逃していたであろうと考えられる<ref>Marr, pp. 78, 85; Pimlott, pp. 71–73</ref>。

以降は、特に[[帝王学]]・法律・歴史・フランス語を中心に学んだ。一方、[[ガールスカウト]]などに参加し、同年代の子供とも積極的に関わっていた。このように、王位継承者として息つく暇も無い日々を送り、たまの休日に田舎道を馬に乗って走ることが唯一の楽しみといった生活を送り続けていたことから、側近には「デイヴィッド（エドワード8世）伯父様が退位しなければ、田舎で馬や犬に囲まれて過ごせていたはずなのにね」とこぼすこともあったという。

1939年には、[[カナダ]]政府から両親の外遊に同行するよう打診されるも、父が年齢の幼さと1ヶ月という期間の長さを理由に拒否したため、実現しなかった。

==== 第二次世界大戦 ====
[[File:Queen Mary with Princess Elizabeth and Margaret.jpg|thumb|right|200px|[[1939年]]、祖母[[メアリー・オブ・テック|メアリー王太后]]、妹[[マーガレット (スノードン伯爵夫人)|マーガレット王女]]とエリザベス王女]]
1939年9月に[[第二次世界大戦]]が勃発し、1945年まで続いた。この間、しばしばロンドンも[[空襲]]の対象とされ、ロンドンに住む多くの子どもが[[疎開]]していった。エリザベス王女姉妹についても、より安全なカナダへと疎開させることが政府から提案されたものの、母エリザベスが「私の子供たちは私のもとを離れません。また、私は国王陛下のもとを離れません。そして、国王陛下はロンドンをお離れになりません」と述べて、これを拒否した<ref>{{cite web|url=http://www.royal.gov.uk/HistoryoftheMonarchy/The%20House%20of%20Windsor%20from%201952/QueenElizabethTheQueenMother/ActivitiesasQueen.aspx|title=Biography of HM Queen Elizabeth the Queen Mother: Activities as Queen|publisher=Royal Household|accessdate=28 July 2009}}</ref>。

結局、両姉妹は1939年のクリスマスまで、スコットランドの[[バルモラル城]]で過ごすことになり、その後は[[ノーフォーク]]の{{仮リンク|サンドリンガム・ハウス|en|Sandringham House|label=サンドリンガム御用邸}}に移った<ref>Crawford, pp. 104–114; Pimlott, pp. 56–57</ref>。さらに1940年2月から5月まで、ウィンザーの{{仮リンク|ロイヤル・ロッジ|en|Royal Lodge}}に滞在した後、[[ウィンザー城]]へ移り住み、以後5年近くを過ごすこととなった<ref>Crawford, pp. 114–119; Pimlott, p. 57</ref>。ウィンザー城滞在時には、軍用衣類向けのニット生地を生成する毛糸を調達していたクイーン・ウール・ファンドを支援するために、クリスマスに家族や友人たちを招待して、王室職員の子女たちとともに、[[パントマイム]]を上演したこともあった。この際、14歳のエリザベスは[[英国放送協会|BBC]]のラジオ放送を通じて初めて演説を行い<ref name="CH">{{cite web|url=http://www.bbc.co.uk/archive/princesselizabeth/6600.shtml?all=1&id=6600|title=Children's Hour: Princess Elizabeth|publisher=BBC|date=13 October 1940|accessdate=22 July 2009}}</ref>、{{quote|私たちの勇敢な陸海空の軍人の助けとなるために、私たちが出来ることはすべて試みていますし、私たちが共有する戦争の危険や悲しみに耐えようと努力しています。私たち一人一人が、終いには万事上手くいくことを確信しています。<ref name="CH" />}}と述べた。

これ以後、王位継承者として少しずつ公務に携わるようになる。当初は、[[看護師]]となることを志望したものの、父の反対にあったことから実現しなかったが、その代わりとして、1942年に近衛歩兵第一連隊の[[名誉連隊長]]となり、大戦中も国民と共に後方支援にあたった。1943年、16歳の時に、エリザベスは初めての単独での公務において、名誉連隊長として[[グレナディアガーズ]]を訪問した<ref>{{cite web|url=http://www.royal.gov.uk/HMTheQueen/Publiclife/EarlyPublicLife/Earlypubliclife.aspx|title=Early public life|publisher=Royal Household|accessdate=20 April 2010}}</ref>。以降も各地への訪問および激励を重ねた。

[[File:Hrh Princess Elizabeth in the Auxiliary Territorial Service, April 1945 TR2832.jpg|250px|thumb|right|エリザベスと軍用トラック（1945年4月）]]
18歳の誕生日を迎えると、法律が改正されて、父王が公務を執行できない場合や国内に不在である場合（例えば、1944年7月のイタリア訪問時）に、彼女が5人の{{仮リンク|カウンセラー・オブ・ステート|en|Counsellor of State}}のうちの1人として行動できるようになった<ref>Pimlott, p. 71</ref>。1945年2月には、{{仮リンク|英国女子国防軍|en|Auxiliary Territorial Service}}に入隊し、名誉第二[[准大尉]]として、「エリザベス・ウインザー」の名および230873の[[認識番号]]において<ref>{{London Gazette|issue=36973|date=6 March 1945|startpage=1315|supp=yes|accessdate=5 June 2010}}</ref>、軍用車両の整備や弾薬管理などに従事したほか、[[大型自動車]]の免許を取得し、軍用トラックの運転なども行った<ref>Bradford, p. 45; Lacey, p. 148; Marr, p. 100; Pimlott, p. 75</ref>。

それまでの女性王族は、軍などにおいて肩書きが与えられたとしても、名誉職としての地位に過ぎないというケースが慣例だったが、イギリス本土への上陸の危機という事態を受けて、エリザベスはその慣習を打ち破り、他の学生たちと同等の訓練を受け、軍務に従事する初めてのケースとなった。エリザベスは、一般の兵士とまったく同じ待遇をされることを非常に喜び、これらの経験をもとに、自分の子供たちも宮廷で学ばせるより、一般の子女たちと同じ学校に通わせることを決意したという。欧州での戦争が終結した[[ヨーロッパ戦勝記念日]]には、ロンドンの街中で戦勝を祝福する一般市民の中に妹と共に匿名で混じって、真夜中まで喜びを分かち合ったという。

第二次世界大戦におけるイギリスの勝利後の1947年4月には、両親に付き添って初めて外遊し、[[南アフリカ連邦|南アフリカ]]を訪問した。外遊中、[[ケープタウン]]にて21歳の誕生日を迎えた際には、[[イギリス連邦王国|英連邦]]に向けたラジオ演説の中で、エリザベス王女は次のような誓いを交わした。

{{quote|私は、私の全生涯を、たとえそれが長かろうと短かろうと、貴方方と我々のすべてが属するところの偉大な、威厳ある国家に捧げる決意であることを、貴方方の前に宣言する。<ref>{{cite web|url=http://www.royal.gov.uk/ImagesandBroadcasts/Historic%20speeches%20and%20broadcasts/21stbirthdayspeech21April1947.aspx|title=21st birthday speech|publisher=Royal Household|accessdate=28 July 2009}}</ref>}}

==== 結婚 ====
[[ファイル:Canadian Prince Philip.jpg|200px|thumb|フィリップ（[[1951年]]）]]
将来の夫となる[[ギリシャ王国|ギリシャ]]および[[デンマーク]]王子[[フィリップ (エディンバラ公)|フィリッポス]]（フィリップ）とは、1939年7月に[[海軍兵学校 (イギリス)|ダートマス海軍兵学校]]で出会い、一目惚れして以降、文通を始めることとなる<ref>Bond, p. 10; Brandreth, pp. 132–136, 166–169; Lacey, pp. 119, 126, 135</ref>。また、これ以前にも1934年と1937年の二度にわたり面会している<ref>Brandreth, pp. 132–139; Lacey, pp. 124–125; Pimlott, p. 86</ref>。なお、二人は[[クリスチャン9世 (デンマーク王)|クリスチャン9世]]と[[ヴィクトリア (イギリス女王)|ヴィクトリア女王]]を通して遠戚関係にある。

1947年7月9日に正式に婚約が発表されたが<ref>Heald, p. 77</ref>、婚約に至るまでの経緯は決して順風満帆とは言えなかった。その要因は、フィリップが経済的に自立していなかったことや、外国生まれであることのほか、フィリップの姉が[[国家社会主義ドイツ労働者党|ナチス]]との関係を持ったドイツ系貴族と結婚していたこと等にある<ref>{{cite web|author=Edwards, Phil|url=http://www.channel4.com/history/microsites/R/real_lives/prince_philip_t.html|title=The Real Prince Philip|publisher=Channel 4|date=31 October 2000|accessdate=23 September 2009}}</ref>。

同年11月20日に[[ウェストミンスター寺院]]にて、かねてから交際を続けていたフィリップ王子と婚礼を挙げた。結婚後の数ヶ月間を当時英国領だった[[マルタ]]で過ごした。夫妻は世界中から2500個の結婚祝い品を受け取った<ref name="news1">{{cite web|url=http://www.royal.gov.uk/LatestNewsandDiary/Factfiles/60diamondweddinganniversaryfacts.aspx|title=60 Diamond Wedding anniversary facts|publisher=Royal Household|date=18 November 2007|accessdate=20 June 2010}}</ref>。戦後のイギリスにあっては、婚礼に招待するに際して、当時存命していた3人の姉を含めて、フィリップ（エディンバラ公）のドイツとの関係は受け入れ難いものだった<ref>Hoey, p. 59; Petropoulos, p. 363</ref>。また、ウィンザー公爵（かつての国王エドワード8世）も招待されなかった<ref>Bradford, p. 61</ref>。

エリザベスは、1948年11月14日に第一子[[チャールズ (プリンス・オブ・ウェールズ)|チャールズ王子]]を出産し、1950年には第二子となる[[アン (イギリス王女)|アン王女]]が誕生した。

=== 女王時代 ===
[[File:Coronation of Queen Elizabeth II Couronnement de la Reine Elizabeth II.jpg|thumb|left|エリザベスの即位式]]
[[ファイル:Elizabeth and Philip 1953.jpg|thumb|right|200px|戴冠時の女王夫妻]]
生来病弱であった父ジョージ6世の健康状態は1951年に入り悪化し、翌1952年2月6日未明、療養を兼ねて狩猟やスポーツを楽しむ為に訪れていたノーフォークのサンドリンガム御用邸で、就寝中に冠状動脈血栓症により死去した（エリザベスは、[[オーストラリア]]と[[ニュージーランド]]公式訪問の途上、[[ケニア]]滞在中であった）。これを受けエリザベスは即位して女王「エリザベス2世」となり、同名の母エリザベスは「エリザベス[[王太后]]」となる。

翌1953年6月2日にはウェストミンスター寺院で[[戴冠式]]を行い、この模様はイギリス連邦内だけでなく世界各国に当時の最新メディアである[[テレビ]]により中継された。

以来半世紀以上に亘ってイギリス女王の座にあり、「国民に親しまれる王室」を目指し、即位後は積極的にイギリス連邦諸国のみならず[[日本]]やアメリカ、[[フランス]]などの諸外国を訪問するほか、私生活を[[テレビ]]で放送するなど新しい試みを行った。その一方で超然たる一面を持ち、[[マーガレット・サッチャー]]首相が「女王と服装を合わせたい」と希望した際には「臣下の服装に興味はありません」と一蹴したという。

日本へは[[1975年]]（昭和50年）に1度だけ訪問している。5月7日に特別機で[[東京国際空港|羽田空港]]に到着、その夜は東京都港区元赤坂にある[[迎賓館]]で[[昭和天皇]]主催の晩餐会に出席した。翌5月8日には[[日本放送協会|NHK]]を訪問し[[大河ドラマ]]『[[元禄太平記]]』の収録を見学、5月9日には帝国ホテルから国立劇場までの約2kmをオープンカーに乗りパレードしている。5月10日には飛行機で関西へ移動し[[京都御所]]などを見学し、翌5月11日には[[三重県]][[伊勢市]]の[[伊勢神宮]]や三重県[[鳥羽市]]の[[御木本真珠島]]を訪問。この日は[[鳥羽国際ホテル]]に宿泊した。5月12日に名古屋を経由して[[東海道新幹線]]で東京に戻り、そのまま羽田空港から離日した<ref group="注釈">5月10日の関西への移動も当初新幹線の予定であったが、労働組合による[[ストライキ]]のため変更となった。名古屋からの帰路は新幹線での移動となり当時の[[日本国有鉄道|国鉄]]は面目を保った形になった。なお、京都から伊勢市までと鳥羽市から名古屋までの移動は、ともに[[近畿日本鉄道]]が特急用車両による専用列車を運行して対応した。</ref>。

[[2006年]]に80歳を迎えたが、現在も精力的に公務を行っている。[[2007年]]5月、英国植民地設立400周年を記念して[[アメリカ合衆国|アメリカ]]を訪問した。同年11月19日には成婚60周年を祝う祝賀行事が催された。イギリスの君主で成婚60周年を迎えるのは、エリザベスが史上初である。翌日からは新婚時代を過ごした[[マルタ]]を訪問したが、1泊した後、イギリス連邦首脳会議のため[[ウガンダ]]へ出発した。

[[2010年]]、[[2010年ウィンブルドン選手権|ウィンブルドン選手権]]4日目（6月24日）には、[[1977年ウィンブルドン選手権|1977年]]以来33年ぶりに、大会を観戦した<ref>{{Cite web |url=http://media.yucasee.jp/posts/index/3929|title=エリザベス女王、33年ぶりにウィンブルドン観戦|publisher=ゆかしメディア|date=2010年6月25日 |accessdate=2010年9月5日 }}</ref>。

2010年[[12月29日]]、[[ピーター・フィリップス]]に女児[[サバンナ・フィリップス]]が誕生し、曾祖母となった。

2011年5月17日、1911年の[[ジョージ5世 (イギリス王)|ジョージ5世]]による訪問以来、100年ぶりにイギリスの君主としてアイルランドを公式訪問している<ref>{{Cite news
|url=http://sankei.jp.msn.com/world/news/110517/erp11051721010008-n1.htm
|title=英女王、アイルランドを公式訪問
|work=MSN産経ニュース
|newspaper=[[産経新聞]]
|date=2011-05-17
|accessdate=2011-05-18
}}</ref>。1911年当時はイギリスの植民地であったため、独立後としては初の訪問である。

近年は、息子たちの離婚・再婚問題や孫[[ヘンリー・マウントバッテン＝ウィンザー|ヘンリー王子]]のスキャンダルなどに苦悩が絶えない。一方で、そんな女王自身の人気はイギリス国内でも高く、国民も退位を望まず、「最後まで女王でいて欲しい」などの声も大きい。

== 称号 ==
[[File:HMQ and R Menzies.jpg|right|thumb|alt=Elizabeth and Robert Menzies at a formal evening event|180px|[[オーストラリア]]を初訪問した際に[[ロバート・メンジーズ]][[オーストラリアの首相|首相]]と並ぶエリザベス2世（[[1954年]]）]]
エリザベス2世はイギリスを含め16の国家の女王・元首であり、それぞれの国で異なる正式称号を持っている。そのうち、イギリスにおける正式称号は以下のものである。
* Her Majesty Elizabeth the Second, By the Grace of God of the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland and of Her Other Realms and Territories Queen, Head of the Commonwealth, Defender of the Faith
**直訳『神の恩寵による、グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国ならびにその他の諸王国および諸領土の女王、イギリス連邦の元首、信仰の擁護者、エリザベス2世陛下』

「信仰の擁護者」は、元来は[[マルティン・ルター]]に反対した[[ヘンリー8世 (イングランド王)|ヘンリー8世]]に対し、[[ローマ教皇]][[レオ10世 (ローマ教皇)|レオ10世]]から与えられた称号である。1534年の[[国王至上法]]により[[イングランド国教会]]首長の称号となった。

=== 論点 ===
[[ファイル:Personal flag of Queen Elizabeth II.svg|thumb|right|220px|紋章入りの旗]]
[[ファイル:Royal Standard of Canada.svg|thumb|right|220px|紋章入りのカナダの旗]]
このため、法的に厳密に考えると、相互に反対の意見を持っている国の元首としての顔を持つことになる。たとえば、[[2003年]]に勃発した[[イラク戦争]]では、同戦争に賛成したイギリスやオーストラリアなどの元首という立場を持つ一方で、同戦争に反対したカナダの元首として行動することもできる。

実際にイギリス以外の国の元首として行動することもある。特にその国に滞在している場合、たとえば、カナダ滞在中はカナダ女王として、オーストラリア滞在中はオーストラリア女王として、パプアニューギニア滞在中はパプアニューギニア女王として、それぞれ行動する。<!--[[1976年]]の[[モントリオール五輪]]ではカナダ女王として開会宣言を行った。また[[2012年]]の[[ロンドンオリンピック (2012年)|ロンドン五輪]]では英国女王として開会宣言を行っている--><!--重複--><!--（代理を含めると、カナダ女王としては[[カルガリー五輪]]、[[バンクーバー五輪]]、[[オーストラリア女王]]としては[[メルボルン五輪]]、[[シドニー五輪]]の開会宣言者（開催国元首）であり本人がした2度を含めるとエリザベス女王は6回五輪の開会宣言をした人物となる）。--><!--混乱回避-->

[[イングランド銀行]]が発行する4種全ての[[スターリング・ポンド紙幣]]や王室属領で発行される[[マンクス・ポンド]]、[[ガーンジー・ポンド]]（1ポンドを除く）、[[ジャージー・ポンド]]、海外領土の[[ジブラルタル・ポンド]]、[[フォークランド諸島ポンド]]、[[ケイマン諸島・ドル]]などの大半の[[紙幣]]で表面に肖像が描かれている。またイギリス連邦加盟国では20[[カナダドル]]、5[[オーストラリア・ドル]]、20[[ニュージーランド・ドル]]などの紙幣に肖像が描かれている。

=== 称号の変遷 ===
* 1926年4月21日 - 1936年12月11日
**エリザベス・オブ・ヨーク王女殿下（Her Royal Highness Princess Elizabeth of York）
* 1936年12月11日 - 1947年11月20日
**エリザベス王女殿下（Her Royal Highness The Princess Elizabeth）
* 1947年11月20日 - 1952年2月6日
**エジンバラ公爵夫人エリザベス王女殿下（Her Royal Highness The Princess Elizabeth, Duchess of Edinburgh）
* 1952年2月6日 - 
**女王陛下（Her Majesty The Queen）

== 人物 ==
=== 女王と競馬 ===
[[ファイル:President Reagan and Queen Elizabeth II 1982.jpg|thumb|right|250px|騎乗するエリザベス2世。左は[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の[[ロナルド・レーガン]][[アメリカ合衆国大統領|大統領]]]]
近代競馬発祥の地であるイギリスにおいては、競馬を庇護・発展させる君主がしばしば現れている。エリザベス2世も競馬の熱心な[[パトロン]]である。イギリス史上初めて、スポーツ団体に勅許を与えてジョッキークラブの決定に法的基盤を付与したのはエリザベス2世である<ref name="siryou_7003">『競馬資料』1970年3月号,日本中央競馬会,p62-64</ref>
。この結果、200年以上にわたって「先例」でしかなかったジョッキークラブの裁定には法的な根拠が認められることになり、権威と権限が大幅に強化されることになった<ref name="siryou_7003"/>。また、ニューマーケットに[[ナショナルスタッド|英国国立牧場]]を移したのもエリザベス2世である<ref name="siryou_7003"/>。

エリザベス2世は馬主・生産者として大きな成功を収めている<ref>『競馬 - サラブレッドの生産および英国競馬小史』pp.237-238</ref>。両親の名を冠した[[キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス]]の優勝馬[[オリオール (競走馬)|オリオール]]のほか、4頭の[[クラシック (競馬)|クラシック競走]]優勝馬など、所有馬には数々のステークス優勝馬がいる（[[#主な所有馬|詳細]]）。

1954年と1957年にはイギリスのリーディングオーナー（所有馬の獲得賞金額首位）となった。在位中にこのタイトルを複数回獲得した君主は史上にエリザベス2世のみである<ref>『競馬 - サラブレッドの生産および英国競馬小史』p.238</ref>。所有馬に騎乗する[[騎手]]が着用する[[勝負服 (競馬)|勝負服]]は、紫色の胴部に金ボタンと刺繍をあしらい、袖色は赤。帽子は黒のベルベット地、頭頂部に金モールをあしらったものを使用している。

イギリスにおける牡馬・牝馬のクラシック競走のうち、[[ダービーステークス]]のみ所有馬の優勝がない。2011年には所有馬のカールトンハウスが1番人気となり、85歳にして初のダービー優勝馬所有なるかと競馬界を超えて広くイギリス社会の注目を集めた。女王自身も[[エプソム競馬場]]でレースを天覧したが、落鉄のアクシデントなどもあり3着に終わった。

2013年6月、王室自ら開催する[[ロイヤルアスコット開催]]において、所有馬のエスティメイトが[[ゴールドカップ]]に優勝し36年ぶりにGⅠ制覇を達成した。

ロイヤルアスコット開催時には、毎年宮殿から[[馬車]]で[[アスコット競馬場]]へ向かうのが慣例である。ロイヤルアスコット開催のレースにおける優勝馬の関係者は、エリザベス2世などが出席するイギリス王室主催の茶会に招かれる。

イギリスの「[[クイーンエリザベス2世ステークス]]」、[[アメリカ合衆国]]の「[[クイーンエリザベス2世チャレンジカップステークス]]」、[[日本]]の「[[エリザベス女王杯]]」、イギリスの[[植民地]]であった[[香港]]の「[[クイーンエリザベス2世カップ (香港)|クイーンエリザベス2世カップ]]」など、エリザベス2世の名を冠した[[競走]]が世界各地に存在している。

==== 主な所有馬 ====
* Aureole（[[オリオール (競走馬)|オリオール]]） - ジョージ6世が生産し、1954年[[キングジョージ6世&amp;クイーンエリザベスステークス]]、[[コロネーションカップ]]などに優勝。種牡馬としても1960年、1961年にイギリスの[[リーディングサイアー|首位種牡馬]]となる。
* Carrozza（カロッツァ）- 1957年[[オークス]]に優勝。馬主としてクラシック競走初優勝。
* Almeria（アルメリア）- 1957年[[ヨークシャーオークス]]などに優勝。
* Above Suspicion（アバーヴサスピション）- 1959年[[セントジェームズパレスステークス]]に優勝。 
* Pall Mall （ポールモール）- 1958年[[2000ギニー]]に優勝。
* Canisbay（キャニスベイ） - 1965年[[エクリプスステークス]]に優勝。
* Hopefull Venture（ホープフルヴェンチャー）- 1968年[[サンクルー大賞]]などに優勝。オリオールの子。
* Highclere（[[ハイクレア]]）- 1974年[[1000ギニー]]、[[ディアヌ賞]]（フランスオークス）に優勝。日本では[[ディープインパクト (競走馬)|ディープインパクト]]の曽祖母として知られる。
* Height of Fashion（[[ハイトオブファッション]]）- ハイクレアの子。1981-1982年に3つの重賞競走に勝利。[[ナシュワン]]、[[ネイエフ]]などの母。
* Dunfermline（ダンファームライン） - 1977年[[オークス]]、[[セントレジャーステークス]]に優勝。後者で[[アレッジド]]を破る。

=== 女王とオリンピック ===
[[近代オリンピック]]の開会宣言は[[オリンピック憲章]]によって「開催国の国家元首がこれを行う」と定められている。エリザベス女王を国家元首に戴く[[イギリス連邦]]諸国の中では[[カナダ]]と[[オーストラリア]]と[[イギリス]]で計6回のオリンピックがその在位中に開催されているが、このうち実際に女王が開会式に赴いて開会宣言を行ったのは2回にすぎず、あとは女王の[[王配]]が女王の名代として開会を宣言したことが1回あるのみで、その他は事実上の国家元首である総督が自らの名のもとに開会を宣言している。
{| class="wikitable" 
|-
!年
!季
!オリンピック
!開催国
!開会宣言
|-
|1956年
|夏
|[[メルボルンオリンピック|メルボルン五輪]]
|オーストラリア
|オーストラリア女王の名代として王配[[フィリップ (エディンバラ公)|エディンバラ公]]が宣言
|-
|1976年
|冬
|[[モントリオールオリンピック|モントリオール五輪]]
|カナダ
|'''カナダ女王としてエリザベスが宣言'''
|-
|1988年
|冬
|[[カルガリーオリンピック|カルガリー五輪]]
|カナダ
|カナダ総督として{{仮リンク|ジャンヌ・ソーヴェ|en|Jeanne Sauvé}}総督が宣言
|-
|2000年
|夏
|[[シドニーオリンピック|シドニー五輪]]
|オーストラリア
|オーストラリア総督として[[ウィリアム・パトリック・ディーン|ウィリアム・ディーン]]総督が宣言
|-
|2010年
|冬
|[[バンクーバーオリンピック|バンクーバー五輪]]
|カナダ
|カナダ総督として[[ミカエル・ジャン]]総督が宣言
|-
|2012年
|夏
|[[ロンドンオリンピック (2012年)|ロンドン五輪]]
|イギリス
|'''イギリス女王としてエリザベスが宣言'''
|}
<!--開会宣言を複数回経験した元首には、他に[[アドルフ・ヒトラー]]と[[昭和天皇]]がいるが、それに比べても圧倒的に数が多い。また「配偶者も開会式宣言者である開会式宣言者」は、エリザベス女王夫妻の2人だけである。--><!--脱線トリビア／混乱回避-->

=== 逸話 ===
[[ファイル:2002 Bentley State Limousine.jpg|thumb|right|250px|公用車のベントレー・ステートリムジン]]
* 執務の一環として、老若男女あらゆる階級から届けられた中で厳選された手紙を読む。内容は主に女王に対する願い事。また最近では[[電子メール]]にも目を通している。
* 即位50周年記念に、イギリスの自動車製造者協会から[[ベントレー・ステートリムジン]]が公用車として進呈された。
* 愛犬家であり、少女時代に父王ジョージ6世が遊び相手として与えたことから、現在も[[ウェルシュ・コーギー・ペンブローク]]を飼っている。その他にレトリーバーも飼っている。国内旅行時には、可能な限り愛犬達を同伴する。2012年のロンドンオリンピックの開会式のために『幸福と栄光』というショートフィルムでジェームズ・ボンドと共演したが、このときも愛犬たちも出演している。
** コーギーを飼っていた日本人が出した手紙に女王の名代で返事の手紙が来たことがある。
* 「クイーン・エリザベス」という[[バラ]]が即位の年に出された。在位50年の記念の年には「ジュビリー・セレブレーション」というバラが贈られている。
* 若い頃に熱中したことがきっかけで[[クロスワードパズル]]を解く事が趣味。毎朝目を通す新聞（[[ザ・サン|サン紙]]などの[[タブロイド]]も含む）に掲載されているクロスワードを空き時間などに解く。
* 孫･ウィリアム王子妃（当時は恋人）の[[キャサリン (ケンブリッジ公爵夫人)|キャサリン妃]]からクリスマスプレゼントとして贈られた[[Wii]]を気に入っており、『Wii Sports』のボウリングでは83歳(当時)には思えない実力を披露したと言われる。
* 1975年に訪日した際、[[名古屋駅]]から[[東京駅]]まで[[東海道新幹線]]・[[ひかり (列車)|ひかり号]]に乗車。発車時は大雨の影響で2分遅れていたが、運転士が[[自動列車制御装置|ATC]]速度ぎりぎりで走行し、東京に定時に到着したため「新幹線は時計より正確」と話したと言われる。<ref>[[読売新聞]][[1994年]][[10月1日]]付朝刊</ref>
* 女王自身が「時代に合わない」として1958年を最後に女王主催の[[バッキンガム宮殿]][[舞踏会]]（[[デビュタント]]）は行われなくなった。替わりに、夏の[[ガーデンパーティー]]が行われている。（[[英国放送協会|BBC]]製作　ダイヤモンド・クイーン～王室の存亡と近代化～）
* 祖父[[ジョージ5世 (イギリス王)|ジョージ5世]]から代々の国王がラジオ放送していたクリスマスメッセージを、1957年テレビで生放送した。現在は事前録画で放送されている。
*[[2012年ロンドンオリンピックの開会式]]には[[バッキンガム宮殿]]から、[[ジェームズ・ボンド]]のエスコートでヘリコプターでオリンピックスタジアム上空まで移動し、[[ユニオンジャック]]の[[パラシュート]]で地上に降下し、貴賓席に姿をあらわす、という「サプライズ演出」がなされた。この演出のために[[ダニー・ボイル]]監督と[[BBC]]によって『幸福と栄光』というショートフィルムが制作されたが、女王の召喚をうけてバッキンガム宮殿の女王の私室をボンドが訪れる場面では女王本人が出演。その際に私室内での出演のみならず私室の撮影を許可している。在位60年、007シリーズ50周年の節目の年に、ジェームズ・ボンドとエリザベス女王が共演する、「女王陛下の007」が現実のものとなった。2013年4月、これらの功績により、[[英国映画テレビ芸術アカデミー]]から、[[英国アカデミー賞]]名誉賞を授与される。

== 王子女 ==
夫エディンバラ公爵フィリップとの間には3男1女がいる。
* [[プリンス・オブ・ウェールズ|ウェールズ公]][[チャールズ (プリンス・オブ・ウェールズ)|チャールズ王子]]（1948年 - ） - [[法定推定相続人]]（[[皇太子#ヨーロッパ大陸諸国の王太子・皇太子|王太子]]）
* [[プリンセス・ロイヤル]]・[[アン (イギリス王女)|アン]]（1950年 - ） 
* [[ヨーク公|ヨーク公爵]][[アンドルー (ヨーク公)|アンドルー王子]]（1960年 - ） 
* [[ウェセックス伯爵]][[エドワード (ウェセックス伯爵)|エドワード王子]]（1964年 - ）

== 脚注 ==
<references group="注釈"/>

=== 出典 ===
{{Reflist}}

== 参考文献 ==
* [[君塚直隆]]『女王陛下の外交戦略 - エリザベス二世と「三つのサークル」』　[[講談社]]、2008年。ISBN 978-4062145664。
* デニス・クレイグ著、佐藤正人訳『競馬 - サラブレッドの生産および英国競馬小史』[[中央競馬ピーアール・センター]]、1986年。ISBN 978-4924426184。
* アンドルー・ダンカン著、読売新聞社外報部訳『イギリス王室の内幕』[[読売新聞社]]、1971年。ASIN B000J9GFAQ。
* ウィリー・ハミルトン著、北畠霞訳『女王陛下と私 - エリザベス2世』[[勁文社]]、1975年。ASIN B000J9F8XG
* サラ・ブラッドフォード著、尾島恵子訳『エリザベス（上・下）』[[読売新聞社]]、1999年。ISBN 978-4643990300

== 関連項目 ==
{{Commons&cat|Queen Elizabeth II|Elizabeth II of the United Kingdom}}
* [[イギリス王室]]
* [[クイーン・エリザベス]]
* [[クイーンエリザベス諸島]]
* [[クイーン・エリザベス・ランド]]
* [[クィーン (映画)]]
* [[デイムラー DS420]]
* [[ハー・マジェスティー]] - [[ザ・ビートルズ|ビートルズ]]の楽曲。
* [[エリザベス1世]]

== 外部リンク ==
; 公式
: [http://www.royal.gov.uk/HMTheQueen/HMTheQueen.aspx 英国版公式サイト] {{en icon}}
: [http://www.pch.gc.ca/eng/1286996248156/1266202116409 カナダ版公式サイト] {{en icon}}
; その他
: {{YouTube|mBRP-o6Q85s|1957年のクリスマス}} 女王のメッセージを聞くことが出来る。

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|-
! style="background:#ccf;"|称号など
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|
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{{s-hou|[[ウィンザー朝]]|1926年|4月21日|||[[ヴェッティン家|ヴェッティン]]}}
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{{s-bef|rows=7|before=[[ジョージ6世 (イギリス王)|ジョージ6世]]}}
{{s-ttl|title={{flagicon|GBR}} [[イギリスの君主|連合王国女王]]|years=第9代：1952 - }}
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{{s-ttl|title=[[ファイル:Flag of Tanganyika (1919-1961).svg|25px]] [[タンガニーカ]]女王|years=1961 - 1962}}
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[[Category:女性君主]]
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[[Category:存命人物]]

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