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アミノ酸
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[[画像:Glycine-skeletal.png|thumb|グリシンの構造式。最も構造が単純なアミノ酸]] [[画像:Amminoacido triptofano formula.svg|thumb|トリプトファンの構造式。最も構造が複雑なアミノ酸の1つ。]] '''アミノ酸'''(あみのさん、{{Lang-en-short|Amino acid}})とは、広義には(特に[[化学]]の分野では)、[[アミノ基]]と[[カルボキシル基]]の両方の[[官能基]]を持つ[[有機化合物]]の総称である。一方、狭義には(特に[[生化学]]の分野やその他より一般的な場合には)、生体の[[タンパク質]]の構成ユニットとなる「α-アミノ酸」を指す。分子生物学など、生体分子をあつかう生命科学分野においては、遺伝暗号表に含まれるプロリン([[イミノ酸]]に分類される)を、便宜上アミノ酸に含めることが多い。 動物が体内で合成できないアミノ酸を、その種にとっての[[必須アミノ酸]]と呼ぶ。必須アミノ酸は動物種によって異なる。 == 構造 == α-アミノ酸とはカルボキシル基が結合している[[炭素]]([[α炭素]])にアミノ基も結合しているアミノ酸であり、RCH(NH<sub>2</sub>)COOH という構造を持つ。Rが水素 (H) であるグリシン以外のアミノ酸では、α炭素へのアミノ基やカルボキシル基などの結合様式が立体的に2通り可能で、それぞれ、D型、L型の[[光学異性体]]として区別される。生体の[[タンパク質]]はα-アミノ酸の[[ポリマー]]であるが、基本的にL型のものだけが構成成分となっている。D型は天然では細菌の細胞壁の構成成分や老化組織、ある種の神経細胞などに存在が見出されている。生体のタンパク質はほとんどの場合、Rで表記した[[側鎖]]の違いによる20種類のアミノ酸からなる。個々のアミノ酸はこの側鎖の性質によって、[[親水性]]・[[疎水性]]、[[塩基性]]・[[酸性]]などの性質が異なる。 == タンパク質を構成するアミノ酸 == 一部の特殊なものを除き、タンパク質は20種類のアミノ酸が結合して作られている。これらのアミノ酸にはそれぞれアルファベット1文字または3文字からなる略号が付与されており、[[一次構造]]の記述に使用される。 それぞれのアミノ酸は、構造によって異なる[[酸と塩基|酸・塩基性]]を持つ。構造内に2つの[[カルボキシル基]]を持つアミノ酸([[アスパラギン酸]]および[[グルタミン酸]])は酸性を、2つ以上のアミノ基を持つアミノ酸([[リシン]]・[[アルギニン]]・[[ヒスチジン]])は塩基性を、その他のアミノ酸はほぼ中性を示す。また、それぞれのアミノ酸は[[等電点]]が実験的に決定されており、[[電気泳動]]などの分離時に意味を持つ。 中性アミノ酸は、カルボキシル基およびアミノ基以外に持つ特徴的な基によって、幾つかに分類される。主に、アルキル鎖を持つ[[グリシン]]・[[アラニン]]・[[バリン]]・[[ロイシン]]・[[イソロイシン]]、ヒドロキシ基を持つ[[セリン]]・[[トレオニン]]、硫黄を含む[[システイン]]・[[メチオニン]]、[[アミド基]]を持つ[[アスパラギン]]・[[グルタミン]]、イミノ基を持つ[[プロリン]]、芳香族基を持つ[[フェニルアラニン]]・[[チロシン]]・[[トリプトファン]]に分類され、タンパク質の持つ疎水性や[[立体配座]]はこれらの分類を考慮しながら考察される。 {| class="wikitable" style="background-color:#fff" ! アミノ酸 !! 3文字略号 !! 1文字略号 !! 分子量!! 等電点 !! 構造式 |- | [[アラニン]] || Ala || A || 89.09 || 6.00 || [[画像:L-alanine-skeletal.svg|100px]] |- | [[アルギニン]]|| Arg || R || 174.20 || 10.76 || [[画像:L-arginine-skeletal-(tall).png|100px]] |- | [[アスパラギン]]|| Asn || N || 132.12 || 5.41 || [[画像:L-asparagine-skeletal.png|100px]] |- | [[アスパラギン酸]]|| Asp || D || 133.10 || 2.77 || [[画像:L-aspartic-acid-skeletal.png|100px]] |- | [[システイン]] || Cys || C || 121.16 || 5.05 || [[画像:Cysteine.png|100px]] |- | [[グルタミン]] || Gln || Q || 146.15 || 5.65 || [[画像:L-glutamine-skeletal.png|100px]] |- | [[グルタミン酸]]|| Glu || E || 147.13 || 3.22 || [[画像:Kwas glutaminowy.svg|100px]] |- | [[グリシン]]|| Gly || G || 75.07 || 5.97 || [[画像:Glycine-2D-skeletal.png|100px]] |- | [[ヒスチジン]] || His || H || 155.15 || 7.59 || [[画像:L-histidine-skeletal.png|100px]] |- | [[イソロイシン]]|| Ile || I || 131.17 || 6.05 || [[画像:L-isoleucine-skeletal.svg|100px]] |- | [[ロイシン]]|| Leu || L || 131.17 || 5.98 || [[画像:L-leucine-skeletal.png|100px]] |- | [[リシン]]|| Lys || K || 146.19 || 9.75 || [[画像:L-lysine-skeletal.png|100px]] |- | [[メチオニン]]|| Met || M || 149.21 || 5.74 || [[画像:L-methionine-skeletal.png|100px]] |- | [[フェニルアラニン]]|| Phe || F || 165.19 || 5.48 || [[画像:Fenyloalanina.svg|100px]] |- | [[プロリン]] || Pro || P || 115.13 || 6.30 || [[画像:L-proline-skeletal.png|100px]] |- | [[セリン]] || Ser || S || 105.09 || 5.68 || [[画像:L-serine-skeletal.png|100px]] |- | [[トレオニン]]|| Thr || T || 119.12 || 6.16 || [[画像:L-threonine-skeletal.png|100px]] |- | [[トリプトファン]] || Trp || W || 204.23 || 5.89 || [[画像:L-tryptophan-skeletal.png|100px]] |- | [[チロシン]]|| Tyr || Y || 181.19 || 5.66 || [[画像:L-tyrosine-skeletal.png|100px]] |- | [[バリン]]|| Val || V || 117.15 || 5.96 || [[画像:Valine 3.svg|100px]] |} 上に挙げた20種類のアミノ酸は、タンパク質合成時に遺伝情報に基づいて連結される。多くのタンパク質は上記の20種類のアミノ酸[[残基]]からなるが、ある種のタンパク質には[[セレノシステイン]][[残基]]、''N''-[[ホルミルメチオニン]]残基、[[ピロリシン]]残基、[[ピログルタミン酸]]残基などの特殊なものも含まれる。 上記のほかにタンパク質合成後に修飾を受けて作られるアミノ酸残基も存在する。例えば以下のようなものである。 *[[シスチン]] — システイン2分子が酸化されて生成する。 *[[ヒドロキシプロリン]]、[[ヒドロキシリジン]] — [[ゼラチン]]、[[コラーゲン]]に含まれる。 *[[チロキシン]] — [[甲状腺]]タンパク質に含まれる。 *[[ホスホセリン|''O''-ホスホセリン]] — [[カゼイン]]など、多くのリンタンパク質に含まれる。 *[[デスモシン]] — エラスチンやコラーゲンに含まれる。 タンパク質に含まれないアミノ酸として、以下のようなものも存在する(こうしたアミノ酸を総称して異常アミノ酸と呼ぶこともあるが、必ずしも適切な命名ではないという批判もある)。 *[[β-アラニン]] — [[筋肉]]中に存在する。 *[[サルコシン]] — ある種の[[抗生物質]]に含まれる。''N''-メチルグリシンに相当する。 *[[オルニチン]] — [[尿素回路]]の中間体。 *[[シトルリン]] — [[尿素回路]]の中間体。 *[[クレアチン]] — 筋肉中に存在する。 *[[γアミノ酪酸]] — [[神経伝達物質]]。GABA とも呼ばれる。 *[[オパイン]] — [[アグロバクテリウム]]のエネルギー源に利用される。 *[[トリメチルグリシン]] — == その他のアミノ酸 == 天然に産する広義のアミノ酸の中には、旨み成分や、薬物として作用するもの、そして毒となるものがある。 *[[テアニン]] — [[茶]]の旨み成分。 *[[トリコロミン酸]] — [[ハエトリシメジ]]の旨み成分。 *[[カイニン酸]] — [[海人草]]の薬用成分。 *[[ドウモイ酸]] — [[貝毒|記憶喪失性貝毒]]の毒成分。 *[[イボテン酸]] — [[テングタケ]]などの毒成分。 *[[アクロメリン酸]] — [[ドクササコ]]の毒成分。 ==アミノ酸の合成== ===ユーリー・ミラーの実験=== [[1953年]]、[[シカゴ大学]]の[[ハロルド・ユーリー]]と[[スタンリー・ミラー]]は、[[アンモニア]]・[[メタン]]・[[水素]]の混合ガス(当時原始大気成分と考えられていた)と[[水]]の入った容器に電気火花を飛ばす実験を行い、グリシン・アラニン・アスパラギン酸などの各種アミノ酸が生成することを発見した([[ユーリー・ミラーの実験]])。原始[[地球]]において、生命の素材となったアミノ酸が生成した過程の可能性を示した、史上有名な実験である。 ===現代の実用的アミノ酸合成=== いわゆる異常アミノ酸の中にも重要な生理活性を持つものは数多く存在し、また医薬にもD体または非天然型のアミノ酸は数多く使われている。このためアミノ酸の合成(特に[[不斉合成]])は需要が高く、種々の方法が提案されている。 古くから用いられているアミノ酸の合成法として[[ストレッカー反応]]がある。[[アルデヒド]]と[[アンモニア]]・[[シアン化水素]]の3成分[[縮合]]によってα-アミノ[[ニトリル]]を合成し、この加水分解によりアミノ酸を得るというものである。 他にα-ハロカルボン酸とアミンの反応、グリシンのα位のアルキル化などによる方法も知られている。不斉合成に関しても様々な手法が提案されている([[ストレッカー反応]]の項目なども参照)。 工業的には、[[微生物]]を用いた[[アミノ酸発酵]]によって大量に合成されている。人工的に突然変異させた微生物株を、炭素源となる[[糖類]]や窒素源となる[[硫酸アンモニウム]]と共に培養することで、安価に目的のアミノ酸が合成できる。 == サプリメント == 近年(2006年現在)はアミノ酸を含有する[[サプリメント]]が日本の消費者に一種の[[健康ブーム]]を引き起こしており、[[健康食品]]、[[飲料]]メーカーなどが盛んに新製品を出している。しかし、そのアミノ酸の成分のバランスが人間に必要な量通りに研究され、配合されているかは不明確である。 == 関連項目 == *[[必須アミノ酸#推奨摂取量]] *[[ニンヒドリン反応]] *[[コドン]] *[[ペプチド結合]] *[[スティックランド反応]] {{DEFAULTSORT:あみのさん}} {{タンパク質を構成するアミノ酸}} [[Category:栄養素]] [[Category:アミノ酸|*]] [[Category:有機化合物]] {{Link GA|en}}
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