アボガドロ定数のソースを表示

{{物理定数
| 名称 =アボガドロ定数
| 英語 =Avogadro constant
| 画像 =
| 記号 ={{math|''N''{{sub|A}}}}
| 値 ={{val|6.02214129|(27)|e=23|u=mol{{sup|&minus;1}}}} (2010 [[CODATA]]推奨値)
| 不確かさ =
| 定義 =物質 1 mol の中に含まれている構成要素の総数
| 語源 =[[アメデオ・アヴォガドロ]]
}}

'''アボガドロ定数'''（アボガドロていすう、{{lang-en|''Avogadro constant''}} ）とは、[[物質量]] 1 [[モル|mol]] とそれを構成する粒子（[[分子]]、[[原子]]、[[イオン]]など）の個数との対応を示す比例定数で、[[単位]]は '''mol{{sup|&minus;1}}''' である。[[イタリア]]出身の[[化学者]]、[[アメデオ・アヴォガドロ]]にちなんで名付けられており、記号 {{math|''N''{{sub|A}}}} で表す。以前は'''アボガドロ数'''（アボガドロすう、{{lang-en-short|''Avogadro's number''}} ）と呼ばれたが、[[1969年]]の[[IUPAC]]総会で'''アボガドロ定数'''に名称が変更された。

なお、アボガドロ定数に関連し、時に混同される数として、0 ℃, 1 atm の気体 1 cm{{sup|3}} に含まれる分子の数、'''[[ロシュミット数]]'''（{{lang-en-short|''Loschmidt's number''}} ）がある。

== 定義と数値 ==
アボガドロ定数は、ある[[物質]] 1 mol の中に含まれている[[構成要素]]の総数を意味し、{{sup|12}}C 12 g の中に含まれている原子の総数で定義される。

現在の 2010[[CODATA]]推奨値は {{math|''N''{{sub|A}} {{=}} {{val|6.02214129|(27)|e=23|u=mol{{sup|&minus;1}}}}}} である<ref>[http://physics.nist.gov/cgi-bin/cuu/Value?na]　CODATA2010 NIST</ref>。

アボガドロ定数の測定の仕方としては初期のものとして、[[ヨハン・ロシュミット]] ({{de|J. J. Loschmidt}}) による気体の分子数の測定（最初の測定、[[1865年]]）や、[[ブラウン運動]]から求められているが、現在では以下の方法が用いられている。

# [[ファラデー定数]]と[[素電荷]]との比から求める。
# [[水素イオン|プロトン]]（陽子）の核磁気回転などから求める。
# [[X線]]回折と結晶の[[密度]]から求める。
# X線と光干渉計を組み合わせた実験による測定（[[単結晶]]の格子定数を精密に求める）。

以上のうち、最後の方法が他のものより若干精度的に優れている。問題は現実の結晶には[[不純物]]や[[欠陥]]があることで、これが格子定数の精度を落としている。いかに[[完全結晶]]に近い結晶を作成し、観測するかが求めるアボガドロ定数の精度の鍵となっている<ref>[http://www.jsac.or.jp/bunseki/pdf/bunseki2005/kougi02.pdf] 
"アボガドロ定数はどこまで求まっているか"  日高　洋, ぶんせき, 2005年2月</ref><ref>[http://www.aist.go.jp/aist_j/aistinfo/aist_today/vol08_10/p23.html] "本格的測定を開始したアボガドロ国際プロジェクト  28Si によるキログラムの再定義", 藤井 賢一, 産総研TODAY 2008.10 </ref>。

現在、もっとも不純物が少なく、且つ欠陥も少ない結晶は単結晶シリコンである。真球度 50 nm の単結晶シリコン製の密度標準原器を[[X線干渉計]]で計測することで 200 ppm のオーダーで格子定数が決定でき、この方法を用いると 10<sup>&minus;8</sup> の精度でアボガドロ定数が決定できる<ref>[http://www.nmij.jp/2004_10_12.pdf], [http://www.nmij.jp/fujiiVol.3No4.p35.pdf](独立行政法人 産業技術総合研究所)</ref>。 この方法により、測定された値、{{val|6.02214078|(18)|e=23|u=mol{{sup|&minus;1}}}} が2011年1月に発表された<ref>[[#Andreas|Andreas (2011)]].</ref>。将来的には、この方法で[[質量]]（[[キログラム]]）を定義することができると考えられている。

== 質量の基準 ==
{{see also|新しいSIの定義}}
アボガドロ定数は[[質量]]の単位にとってかわる可能性がある。従来は質量原器（[[キログラム#キログラム原器|国際キログラム原器]]）が質量の単位[[キログラム]]の基準とされてきたが、アボガドロ定数の精度を向上させることで、質量原器にかわって新たなキログラムの基準として用いることも可能となるので、その研究が進められている。

現状ではフランスの[[国際度量衡局]]に保管されている白金・イリジウム合金製の質量原器が 1 kg と定義されているが、埃の堆積や風化、災害による破損などによる質量変化の懸念があるので、普遍定数を基準とすることができれば、そのような心配は払拭される。

この候補に挙がっているのがアボガドロ定数と[[プランク定数]]である<ref>[http://wired.jp/wv/archives/2005/03/01/100%E5%B9%B4%E3%81%B6%E3%82%8A%E3%81%AB%E5%A4%89%E3%82%8F%E3%82%8B%E3%81%8B%EF%BC%9F-%E3%80%8C%E3%82%AD%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%A0%E3%80%8D%E3%81%AE%E5%AE%9A%E7%BE%A9/] 100年ぶりに変わるか？ 「キログラム」の定義, WIRED NEWS, 2005.3.1 </ref>。

現在提案されている新しい SI の定義では、アボガドロ定数およびプランク定数の値は定義値とされる<ref>[[#SI9thDraft|SI 9th Draft Dec. 2013]], pp.13-16</ref>。質量単位の定義にはプランク定数が用いられ、物質量単位の定義にはアボガドロ定数が用いられるようになった。また、現行の物質量単位の定義は質量単位の定義に依存していたが、新しい定義では両者は独立に定義されることとなる。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}

== 参考文献 ==
* {{cite journal|url=http://prl.aps.org/abstract/PRL/v106/i3/e030801|author=B. Andreas ''et al.'' |title=Determination of the Avogadro Constant by Counting the Atoms in a 28Si Crystal|journal=Physical Review Letters|volume=106|page=030801|year=2011|ref=Andreas}}
* {{cite book|url=http://www.bipm.org/utils/common/pdf/si_brochure_draft_ch123.pdf|author=BIPM |title=Draft Chapters 1, 2 and 3 of the 9th SI Brochure|date=16 December 2013|ref=SI9thDraft}}
==関連項目==
*[[ロシュミット数]]
*[[モル]]
*[[規定度]]
*[[ファラデー定数]] - [[電子]] 1 mol のもつ電荷を示す比例定数

{{DEFAULTSORT:あほかとろていすう}}
[[Category:化学定数]]
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{{Link GA|zh}}