アブラナのソースを表示

{{生物分類表
| 名称 = アブラナ
| 色 = lightgreen
| 画像 = [[Image:Brassica rapa ja02.jpg|250px]]
| 画像キャプション =菜の花
| 界 = [[植物界]] [[:w:Plantae|Plantae]]
| 門 = [[被子植物門]] [[:w:Magnoliophyta|Magnoliophyta]]
| 綱 = [[双子葉植物綱]] [[:w:Magnoliopsida|Magnoliopsida]]
| 目 = [[フウチョウソウ目]] [[:w:Brassicales|Brassicales]]
| 科 = [[アブラナ科]] [[:w:Brassicaceae|Brassicaceae]]
| 属 = [[アブラナ属]] ''[[:w:Brassica|Brassica]]''
| 種 = [[ブラッシカ・ラパ|ラパ]] ''rapa''
| 変種 = '''アブラナ''' var. ''nippo-oleifera''
| 学名 = ''Brassica rapa'' L. var. ''nippo-oleifera''<br />(syn. ''B. campestris'' L.)
| 和名 = 油菜、菜の花、菜種、赤種
| 英名 = Turnip rape, Chinese colza
}}

'''アブラナ'''（'''油菜'''）は、[[アブラナ科]][[アブラナ属]]の[[二年生植物]]。古くから野菜として、また油を採るため栽培されてきた作物で、別名として'''ナノハナ'''（菜の花）、'''ナタネ'''（菜種は正式な作物名である）などがあり、[[江戸時代]]には胡菜または蕓薹と呼ばれた。

実際にはアブラナ属の花はどれも黄色で似通っていることから、すべて「'''[[菜の花]]'''」と呼ばれる傾向がある。

植物油の原料として栽培されているのは、ほとんどが別種の'''[[セイヨウアブラナ]]'''（西洋油菜、学名：''B. napus''）であり、[[在来種]]のアブラナは[[野菜]]として生産され、開花前に収穫されてしまう事が多い。

== 概要 ==
[[ブラッシカ・ラパ|原種]]は、西[[アジア]]から北[[ヨーロッパ]]の[[大麦]]畑に生えていた[[雑草]]で、[[農耕文化]]と共に移動したと考えられている。漢代の中国に渡ると[[栽培作物]]となり多様な野菜を生むなど、東アジアで古くから栽培されている。日本では[[弥生時代]]以降から利用されたとみられる。

本来は菜、つまり葉物[[野菜]]として利用され、[[古事記]]では[[吉備国|吉備]]の菘菜（あおな）、[[万葉集]]では[[佐野市|佐野]]の茎立（くくたち）として登場し、花芽についても、[[延喜式]]に記されている。

江戸時代になって、[[植物油]]の採油目的として栽培され、その油は[[菜種油]]と呼ばれた。菜種油は、主に灯油原料として利用され、生活に密着したものとなった。そのため、菜種という言葉は、一般的な植物（作物）名として定着したのであった。また、一般にアブラナ属植物の種子からは油が採取でき、[[カラシナ]]や[[カブ]]も利用されている。

丈夫で育てやすく、広く栽培されたなじみ深い作物だった。また、菜種畑は明るい黄色が畑を覆う「菜の花畑」として[[風物詩#春|春の風物詩]]とされ、[[歌]]や[[文学]]作品の題材となるが、[[明治時代]]以降はセイヨウアブラナに置き換わっている。

== 変種 ==
原種である''Brassica rapa''の変種は数多く[http://www.plantnames.unimelb.edu.au/Sorting/Brassica_rapa.html]、野菜として利用されているものが多い。

* ''B. rapa'' var. ''nippo-oleifera'' - アブラナ
* ''B. rapa'' var. ''nipposinica'' - [[ミズナ]]
* ''B. rapa'' var. ''rapa'' - [[カブ]]（ヨーロッパ系）
* ''B. rapa'' var. ''hakabura'' - [[ノザワナ]]
* ''B. rapa'' var. ''perviridis'' - [[コマツナ]]
* ''B. rapa'' var. ''chinensis'' - [[パクチョイ]]、[[チンゲンサイ]]
* ''B. rapa'' var. ''pekinensis'' - [[ハクサイ]]、
* ''B. rapa'' var. ''narinosa'' - [[ターサイ]]（{{lang-en-short|[[w:Tatsoi|Tatsoi]]}}、{{lang-ja-short|[[塌菜]]}}）
* ''B. rapa'' var. ''glabra'' - カブ（アジア系）
* ''B. rapa'' var. ''utilis'' - [[サイシン (中国野菜)|サイシン]]
このほかコウサイタイ、ブロッコレットなどが、市場に出回るようになっている。アスパラ菜など、交配による新顔も登場している。

=== 自然交雑 ===
アブラナ科植物は形態的な変異に富んでいるが、その見た目とは反対に交雑して[[雑種]]が生まれ易い。すなわち、同種だけでなく他種の[[花粉]]によって結実してしまうもので、学術的な分類の困難な品種も多い。

これは、固定種や在来品種を維持するために自家採種を行っている農家にとって、特に頭の痛い問題であり、[[種苗]]用の種子生産では交雑を避けるために隔離栽培（他のアブラナ科植物の花粉で汚染されないよう、数百メートル以上離す）が必要だが、一般の圃場では不可能に近い（小さな島などで例がある）

== 利用 ==
この項では、セイヨウアブラナも含めたアブラナとしての用途を記す。
[[Image:Canola.jpg|thumb|250px|黒種（セイヨウアブラナの種子）]]
[[Image:Raapstelen gekiemde zaden (Brassica campestris germinating seeds).jpg|thumb|250px|赤種（アブラナと同属の種子）]]
[[Image:菜の花畑2.JPG |thumb|250px|菜の花畑（[[兵庫県]][[小野市立ひまわりの丘公園]]内）]]
国内の栽培面積では、[[北海道]]が最大で、特に[[滝川市]]が多い。また、[[青森県]][[横浜町]]、次いで、[[秋田県]]の作付けが大きい。[[千葉県]]の[[房総半島]]南部（[[館山市]]、[[南房総市]]、[[鴨川市]]など）の栽培は、統計上大きくはないが、県の花になっている。

==栽培==
=== 生産量 ===
{| class="wikitable sortable" 
|+ Top rapeseed producers <br>(million metric ton)
|-
! Country ||1965 ||1975 ||1985||1995||2000||2005|| 2007 || 2009
|-
| {{CHN}} ||1.1 ||1.5 ||5.6 ||9.8 ||11.3 ||13.0 || style="text-align:right;"| 10.5 || style="text-align:right;"| 13.5
|-
| {{CAN}} ||0.5 ||1.8 ||3.5 ||6.4||7.2 ||9.4 || style="text-align:right;"| 9.6 || style="text-align:right;"| 11.8
|-
| {{IND}} ||1.5 ||2.3 ||3.1 ||5.8 ||5.8 ||7.6 || style="text-align:right;"| 7.4 || style="text-align:right;"| 7.2
|-
| {{GER}} ||0.3 ||0.6 ||1.2 ||3.1 ||3.6 ||5.0 || style="text-align:right;"| 5.3 || style="text-align:right;"| 6.3
|-
| {{FRA}} ||0.3 ||0.5 ||1.4 ||2.8 ||3.5||4.5 || style="text-align:right;"| 4.7 || style="text-align:right;"| 5.6
|-
| {{POL}} ||0.5 ||0.7 ||1.1 ||1.4 ||1.0 ||1.4 || style="text-align:right;"| 2.1 || style="text-align:right;"| 2.5
|-
| {{GBR}} ||<0.007 ||0.06 ||0.9 ||1.2 ||1.2 ||1.9 || style="text-align:right;"| 2.1 || style="text-align:right;"| 2.0
|-
| {{AUS}} ||<0.007 ||<0.06 ||0.1 ||0.6 ||1.8 ||1.4 || style="text-align:right;"| 1.1 || style="text-align:right;"| 1.9
|-
| {{UKR}} ||<0.007 ||<0.06 ||<0.03 ||<0.1||0.1 ||0.3 || style="text-align:right;"| 1.0 || style="text-align:right;"| 1.9
|-
| {{CZE}} ||0.07 ||0.1 ||0.3 ||0.7 ||0.8 ||0.7 || style="text-align:right;"| 1.0 || style="text-align:right;"| 1.1
|-
| {{USA}} ||<0.007 ||<0.06 ||<0.03 ||0.2 ||0.9 ||0.7 || style="text-align:right;"| 0.7 || style="text-align:right;"| 0.7
|-
| {{RUS}} ||N/A ||N/A ||N/A ||0.1 ||0.1 ||0.3 || style="text-align:right;"| 0.6 || style="text-align:right;"| 0.7
|-
| {{DEN}} ||0.05 ||0.1 ||0.5 ||0.3 ||0.3 ||0.3 || style="text-align:right;"| 0.6 || style="text-align:right;"| 0.6
|-
| {{BLR}} ||N/A ||N/A ||N/A ||0.03 ||0.07 ||0.1 || style="text-align:right;"| 0.2 || style="text-align:right;"| 0.6
|-
| {{HUN}} ||0.008 ||0.1 ||0.1 ||0.1 ||0.2 ||0.3 || style="text-align:right;"| 0.5 || style="text-align:right;"| 0.6
|-
| {{ROM}} ||0.01 ||0.02 ||0.04 ||0.04 ||0.1 ||0.1 || style="text-align:right;"| 0.4 || style="text-align:right;"| 0.6
|-
|'''World Total'''||5.2||8.8 || 19.2||34.2 ||39.5 ||46.4 || style="text-align:right;"| 50.5 || style="text-align:right;"| 61.6
|-
|colspan=9|''Source: <br>[[UN Food & Agriculture Organisation]] (FAO)''<ref name="autogenerated1">http://faostat.fao.org/faostat/form?collection=Production.Crops.Primary&Domain=Production&servlet=1&hasbulk=0&version=ext&language=EN</ref>
|}

=== 種子 ===
; [[菜種油]]
: 種子の含油量40%、比重0.9、搾り取った菜種油は[[食用油]]、灯火、[[潤滑油]]の原料となる。精製したものは「[[白絞油]]（しらしめゆ）」または「水晶油」。
: 近年の菜種油は、[[成分育種]]が進んでおり、有害な[[エルカ酸]]（エルシン酸とも）を含まないエルシン酸フリー品種が主流である。[[キャノーラ]]品種とはエルシン酸フリー及び低グルコシノレートの特性を持つ品種であり、エルシン酸フリーのみの品種はキャノーラ品種とは呼ばれない。
: 世界的にセイヨウアブラナ種子の生産量は年々増加していて、4600万トンを超え、主要生産国は[[中華人民共和国]]、[[カナダ]]、[[インド]]、[[ドイツ]]、[[フランス]]など（[[国際連合食糧農業機関|FAO]]の2005年の資料から）
: いずれも[[遺伝子組み換え]]品種の導入が盛んで、特定の[[除草剤]]に耐性をもつものが広く導入されている。日本では組換え作物の生産は行われていない。
; 菜種油粕
: 「[[油粕]]」と言えば「菜種油粕」を指すほど、菜種の[[絞り粕]]はよい[[肥料]]にもなった。成分は窒素約5%、五酸化リン約2.5%。[[大豆]]と違って飼料にされなかったのは、エルカ酸でなく主にグルコシノレートを含んでいたため。
; 香辛料
: [[マスタード]]と同様に、種子（菜種）が[[薬味]]などに用いられる。

=== 花 ===
{{main|菜の花}}

=== 野菜 ===
: 市場では、上記の[[蕾]]の時期の若い芽の部分だけをまとめたタイプ（はなな）のほかに、掻き取った脇芽を平たく袋詰めにしたタイプ（なばな）が主流となっており、後者の産地としては[[三重県]][[桑名市]][[長島町]]の栽培面積が170ha（[[2007年]]現在）と全国一で、「なばな発祥の地」と呼ばれている。
: これは、従来から栽培していた食用選抜したセイヨウアブラナを、[[1990年]]頃から「三重なばな」の名で販売戦略を進めたもので、ブランド野菜の成功例として有名。

== 関連項目 ==
*[[菜の花舞台]]
*[[バイオディーゼル]]
*[[遺伝子組み換え作物]]
*[[生物多様性]]
*[[なばなの里]]
{{Commons|Brassica rapa subsp. oleifera|Brassica rapa subsp. oleifera}}

==脚注==
{{reflist}}

== 外部リンク ==
* [http://www.domyojitenmangu.com/natane.shtml 道明寺天満宮・菜種御供大祭]
* [http://www.kobe-motomachi.or.jp/cont08/cont08-14.htm 神戸元町]
* 環境研究所 [http://www.nies.go.jp/kenkyusaizensen/2005-2006/060201.html 国道沿いに咲くアブラナ]
* [http://www.i-apple.jp/medicinal/rapeseed/ アブラナ（油菜）] - 江戸の植物図鑑（[[長野電波技術研究所]]）

{{DEFAULTSORT:あふらな}}
[[Category:アブラナ属]]
[[Category:葉菜]]
[[Category:野菜]]
[[Category:油糧作物]]
[[Category:花卉]]