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'''アコースティック録音'''(アコースティックろくおん)とは、音楽・音響の[[録音]]において、音声を電気信号に変換することなく、機械的振動を直接レコード原盤に伝達して刻み込む録音方式のこと。ラッパ型の集音器を使うため、しばしば「'''ラッパ録音'''」と呼ばれることもあり、後に登場した[[電気録音]]に対する[[レトロニム]]であり、古い録音法の意から「'''旧吹き込み'''」などとも呼ばれる。 初期の[[レコード]]録音においては、[[マイクロフォン]]が発明されていなかったため、蓄音機の逆の方法、すなわちラッパに向かって歌いあるいは楽器を演奏し、その音でダイヤフラムを振動させ、その振動を針に伝達して記録用媒体に溝を記録(カッティングという)しており、これがアコースティック録音である。 [[File:Violon de jazz a pavillon.JPG|thumb|200px|right|シュトローヴァイオリン]] この方式では、ある程度の音質で記録可能な音源は独唱曲か小編成の器楽曲程度で、[[オーケストラ]]の記録はかなり貧弱な音質にしかならなかった。特に[[ヴァイオリン]]などの[[弦楽器]]の収録は楽器の広い範囲から音が輻射・拡散するため、集音用のラッパで捕らえることが難しかった。このため、録音専用の特殊なヴァイオリンとして[[シュトローヴァイオリン]](Stroh Violin)が使用された。これは、ヴァイオリンの発音機構にサキソフォーンのようなラッパを取り付けて音を拡大するとともに、集音ラッパの方向に音を集中させるものである。 指揮者[[レオポルド・ストコフスキー]]はアコースティック録音においてオーケストラの音を効果的に録音するため、オーケストラの楽器編成を大幅に改変した。一例として、弦楽器のパートに[[木管楽器]]を重ねて重要な音を増強する、逆に[[打楽器]]が他の楽器の音を隠さないように弱めたり省略したりする、などである。これはいわば原音における[[イコライザー (音響機器)|イコライゼーション]]と言うべき工夫であり、ストコフスキーと[[フィラデルフィア管弦楽団]]が演奏したレコードは当時としてはかなりオーケストラの音らしく聴こえるため売上増に貢献したという。 == 関連項目 == * [[電気録音]] * [[ダイレクトカッティング]] [[Category:録音|あこうすていつくろくおん]]
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