陸上幕僚監部

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テンプレート:行政官庁 陸上幕僚監部(りくじょうばくりょうかんぶ、テンプレート:Llang)は、日本官公庁のひとつ。防衛省特別の機関である。略称は陸幕(りくばく)。

概要

防衛省に置かれている特別の機関のひとつであり、陸上自衛隊の任務に関する防衛大臣幕僚機関として、防衛警備計画の立案や部隊等の管理運営の調整等を掌る。

陸上幕僚監部の長は陸上幕僚長で、所在地は市ヶ谷駐屯地東京都新宿区)。主に陸上自衛官によって構成され、いわゆる背広組(事務官)中心の防衛省内部部局(内局)とともに、専門的知見に基づき、防衛大臣を補佐する役割を担う。陸上幕僚副長は師団長または相当職を経験した陸将から任じられ、主に幕僚長に事故が発生時における職務代行及び幕僚監部の業務を監督する。幕僚副長職を任じられた者の退任後は方面総監に栄転する例が多い。

大日本帝国陸軍では陸軍省軍政を、参謀本部軍令を分担していたのに対し、陸上自衛隊ではまず陸上幕僚監部が双方の事項について計画立案し、さらに防衛省の内部部局がそれらを調整するという二重プロセスになっている。陸幕の部局等組織編制と、防衛省内局とのそれとが類似しているのは、この為である。

沿革

  • 1950年(昭和25年)8月14日 - 警察予備隊が発足。総隊(長は総隊総監・警察監)が置かれる。
  • 1952年(昭和27年)8月1日 - 保安庁が発足。第一幕僚監部(長は第一幕僚長・保安監)が置かれる。
  • 1954年(昭和29年)7月1日 - 防衛庁が発足。陸上幕僚監部(長は陸上幕僚長・陸将)が置かれる。

内部組織

2014年3月現在の内部編成は以下の通り。部長は陸将補、課長は1等陸佐(一)である。

  • 監理部(部長:将補(二))
    • 総務課
    • 会計課
  • 人事部(部長:将補(一))
    • 人事計画課
    • 補任課
    • 募集・援護課
    • 厚生課
  • 運用支援・情報部(部長:将補(二))
  • 防衛部(部長:将補(一))
    • 防衛課
    • 情報通信・研究課
  • 装備部(部長:将補(一))
    • 装備計画課
    • 武器・化学課
    • 通信電子課
    • 航空機課
    • 需品課
    • 施設課
  • 教育訓練部(部長:将補(一))
    • 教育訓練計画課
    • 教育訓練課
  • 衛生部(部長:将補(二))
    • 企画室
  • 監察官(将補(二))
  • 法務官(将補(二))
  • 警務管理官(1佐(一))
  • 開発官(将補(二))

内部組織の変遷

  • 1952年(昭和27年) - 保安庁第一幕僚監部組織規程(昭和27年総理府令第47号)が制定された。
  • 1957年(昭和32年) - 「陸上幕僚監部の内部組織に関する訓令」(昭和32年陸上自衛隊訓令第21号)が制定される。
  • 1978年(昭和53年)1月13日 - 「陸上幕僚監部の内部組織に関する訓令」(昭和53年1月13日陸上自衛隊訓令第2号)が制定され、「陸上幕僚監部の内部組織に関する訓令」(昭和32年陸上自衛隊訓令第21号)が全部改正される。
  • 1997年(平成9年)1月20日 - 情報本部の新編に伴い、調査部調査第1課と調査第2課を統合、「調査課」とする。
  • 2001年(平成13年)4月 - 人事部警務課を廃止し、幕僚長の下に警務管理官を新設。
  • 2002年(平成14年)3月 - 教育訓練部の教育課と訓練課を統合、教育訓練課とするとともに教育訓練計画課を新設。
  • 2006年(平成18年)3月27日 - 教育訓練部及び衛生部を除く各部課について、大規模な組織改編が行われた。
  1. 情報本部防衛庁長官直轄の機関に移行したことに伴い調査部が廃止され、運用支援・情報部情報課が新設された。調査部には警察予備隊時代から色々な都市伝説的な噂(日本における軍事諜報機関・謀略機関など)があった。なお、陸軍の電波傍受担当・「中央特種情報部」で幹部を務めたお歴々がここで復活したのは事実である[1]
  2. 統合幕僚監部新設に伴い防衛部運用課は廃止され、防衛課及び情報通信・研究課の2課体制となった。
  3. 監理部法務課(1佐職)を廃止し陸上幕僚長の直属の法務官(将補職)を新設
  4. 人事部の援護業務課及び募集課を統合し、募集・援護課に改編
  5. 装備部の輸送課を輸送室に縮小
  • 2010年(平成22年)3月26日 - 運用支援・情報部運用支援課に自衛艦隊及び航空総隊航空支援集団との連絡調整を司る「陸上連絡官」を新設。
  • 2014年(平成26年)3月26日 - 装備部副部長及び装備部開発課を廃止し、陸上幕僚長直隷の「開発官」を新設[2]

陸上幕僚長

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陸上幕僚副長

歴代の陸上幕僚副長(前身の役職を含む)
氏名 在任期間 出身校・期 前職 後職
1 武内征平 1952.8.1 - 1954.6.30 警察予備隊・警察監 調達実施本部長
2 杉山茂 1954.7.1 - 1957.8.1 陸士36期・陸大45期 保安庁第一幕僚監部第三部長 陸上幕僚長
3 大森寛 1957.8.2 - 1960.3.10 東京帝国大学 第一管区総監 東部方面総監
4 細田煕 1960.3.11 - 1962.3.11 陸士39期・陸大51期 陸上幕僚監部第5部長
5 高山信武 1962.3.12 - 1964.3.15 陸士39期・陸大47期 北部方面総監 陸上幕僚監部付
→1964.4.1退職[3]
6 天野良英 1964.3.16 - 1965.1.15 陸士43期・陸大52期 第2師団長 陸上幕僚長
7 山田正雄 1965.1.29 - 1966.4.29 東京帝国大 陸上幕僚監部第5部長 東部方面総監
8 田中兼五郎 1966.4.30 - 1968.3.13 陸士44期・陸大54期
9 益田兼利 1968.3.14 - 1969.6.30 陸士46期・陸大54期
10 衣笠駿雄 1969.7.1 - 1970.6.30 陸士48期・陸大55期 第3師団長 陸上幕僚長
11 竹田津護作 1970.7.1 - 1971.6.30 陸士49期・陸大58期 第4師団長 東部方面総監
12 堀江正夫 1971.7.1 - 1972.3.15 陸士50期・陸大57期 陸上幕僚監部第5部長 西部方面総監
13 曲壽郎 1972.3.16 - 1973.1.31 陸士50期・陸大58期 防大幹事 陸上幕僚長
14 倉重翼 1973.2.1 - 1974.3.15 陸士52期 陸上幕僚監部第5部長 北部方面総監
15 三好秀男 1974.3.16 - 1974.6.30 陸士53期・陸大59期 第11師団長 陸上幕僚長
16 塚本勝一 1974.7.1 - 1976.3.15 陸士54期・陸大60期 通信学校長 西部方面総監
17 永野茂門 1976.3.16 - 1977.10.19 陸士55期 第11師団長 東部方面総監
18 鈴木敏通 1977.10.20 - 1979.3.15 陸士57期 第13師団長 中部方面総監
19 登張史郎 1979.3.16 - 1980.7.1 第5師団長 退職
20 村松榮一 1980.7.1 - 1982.3.15 陸上幕僚監部防衛部長 西部方面総監
21 中村守雄 1982.3.16 - 1983.3.15 陸航士61期 第7師団長 北部方面総監
22 馬郡道生 1983.3.16 - 1984.3.28 陸士60期 第2師団長 東部方面総監
23 久山辰治 1984.3.29 - 1985.10.1 第11師団長 退職
24 石井政雄 1985.10.1 - 1986.3.16 立教大学 陸上幕僚長
25 寺島泰三 1986.3.17 - 1987.3.15 東北大学 東部方面総監
26 種具正二郎 1987.3.16 - 1987.12.10   第4師団長
27 中尾時久 1987.12.11 - 1989.6.29 防大1期 第6師団長 中部方面総監
28 西元徹也 1989.6.30 - 1991.3.15 防大3期 第7師団長
29 冨澤暉 1991.3.16 - 1992.3.15 防大4期 第1師団長 北部方面総監
30 内田十允 1992.3.16 - 1993.7.1 第4師団長 退職
31 渡邊信利 1993.7.1 - 1994.6.30 防大6期 第2師団長 北部方面総監
32 宮本敏明 1994.7.1 - 1995.6.29 防大7期 第4師団長 中部方面総監
33 藤縄祐爾 1995.6.30 - 1996.6.30 防大8期 第7師団長 東部方面総監
34 磯島恒夫 1996.7.1 - 1997.6.30 防大9期 第6師団長 北部方面総監
35 天野良晴 1997.7.1 - 1998.6.30 防大10期 第12師団長 西部方面総監
36 山口義廣 1998.7.1 - 1999.12.9 防大11期 第6師団長 東部方面総監
37 先崎一 1999.12.10 - 2001.1.10 防大12期 第3師団長 北部方面総監
38 菅博敏 2001.1.11 - 2002.3.21 防大13期 第4師団長 東部方面総監
39 森勉 2002.3.22 - 2003.6.30 防大14期 第7師団長 西部方面総監
40 林直人 2003.7.1 - 2004.8.29 防大15期 第3師団長
41 折木良一 2004.8.30 - 2005.7.27 防大16期 第9師団長 中部方面総監
42 廣瀬誠 2005.7.28 - 2006.8.3 防大17期 第9師団長 北部方面総監
43 宗像久男 2006.8.4 - 2007.7.2 防大18期 第6師団長 東北方面総監
44 酒井健 2007.7.3 - 2008.7.31 生徒13期・防大19期 第8師団長 北部方面総監
45 関口泰一 2008.8.1 - 2009.7.20 防大20期 第3師団長 東部方面総監
46 荒川龍一郎 2009.7.21 - 2010.7.25 防大21期 第7師団長 中部方面総監
47 渡部悦和 2010.7.26 - 2011.8.4 東京大学[4] 第2師団長 東部方面総監
48 久納雄二 2011.8.5 - 2012.7.26 防大22期 第6師団長 退職
49 番匠幸一郎 2012.7.26 - 2013.8.21 防大24期 第3師団長 西部方面総監
50 山下裕貴 2013.8.22 - 2014.8.4 大分工業大学[5] 中部方面総監
51 鈴木純治 2014.8.5 - 防大26期 第3師団長

前身である組織・役職およびその期間

  • 警察予備隊総隊副総監(1950.12.29-1952.7.31)
  • 保安隊第1幕僚副長(1952.8.1-1954.6.30)

陸上自衛隊最先任上級曹長

歴代陸上自衛隊最先任上級曹長
氏名 階級 在任期間 前職
1 鈴木弘雄 准陸尉 2006.4.1 - 2008.3.21 第13普通科連隊レンジャー教官
2 下浅勝雄 2008.3.23 - 2010.7.31 第2施設団本部付隊偵察班長
3 清水一郎 2010.8.1 - 2013.7.31 第10師団司令部最先任上級曹長
4 鈴木喜晃 2013.8.1 - 陸上幕僚監部監察官付

脚注

  1. 陸軍暗号機関の中佐がトップ 極秘に存在した公安調査庁の電波傍受機関アジア放送研究会
  2. 防衛省組織令等の一部を改正する政令(平成二十六年一月三十一日公布政令第二十号、防衛省HP)
  3. 平成9年4月までは定年前将官の部付(=無任所)配置が行われていた(それ以降の付配置は不祥事を起こした場合の更迭)
  4. 1978年(昭和53年)卒(78幹候・防大22期相当)。
  5. 昭和54年卒、昭和56年入隊(防大25期相当)

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