埋蔵文化財

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埋蔵文化財(まいぞうぶんかざい)は、地中に埋蔵された状態で発見される文化財文化遺産)である。一般には文化遺産保護制度における保護の対象となっている。

日本での制度上の位置づけ

埋蔵文化財は、日本の文化財保護法上の定義では、第92条(旧第57条。以下平成17年3月31日まで施行されていた条文を「旧」で示す)の「土地に埋蔵されている文化財」としているが、事実上、考古学の研究対象となる遺跡あるいは考古資料とほぼ同義である。ただし、厳密には「埋蔵文化財」といった場合、土地に埋蔵されている文化財としての価値が認められる遺構と文化財としての価値が推定される民法第241条の「埋蔵物」としての遺物のことを指しており、面的な遺跡及び遺跡の範囲としてとらえた場合は、第93条(旧第57条の2)の「貝づか古墳その他埋蔵文化財を包蔵する土地として周知されている土地」として「周知の埋蔵文化財包蔵地」が定義されている。

法律上定義される範囲

土地に埋蔵されている文化財としての価値が認められる「遺構」、および、有形文化財としての価値が推定される「遺物」の範囲、すなわち、法的に「埋蔵文化財」として取り扱うことのできる範囲は、1998年(平成10年)9月29日文化庁次長による都道府県教育委員会教育長あての「埋蔵文化財の保護と発掘調査の円滑化等について(通知)」、いわゆる平成10年の「円滑化通知」によって定義された。

それによると、「埋蔵文化財として扱う範囲に関する原則」は、

  1. おおむね中世までに属する遺跡は、原則として対象とすること。
  2. 近世に属する遺跡については、地域において必要なものを対象とすることができること。
  3. 近現代の遺跡については、地域において特に重要なものを対象とすることができること。

とされ、「埋蔵文化財として扱う範囲の一基準の要素」として、「遺跡の時代・種類を主たる要素とし、遺跡の所作する地域の歴史的な特性、文献絵図民俗資料その他の資料との補完関係、遺跡の遺存状況、遺跡から得られる情報量等を副次的要素とする」よう指示がなされた。

出土品、出土遺物の法律上の位置づけ

埋蔵文化財包蔵地内を分布調査して土器片を採集したり、調査した結果、遺物が出土した場合、これを発見した日から1週間以内に遺失物法第13条によって所轄の警察署に届け出ることになっている(「埋蔵物発見届」)。掘り出される以前は民法上の「埋蔵物」であり掘り出されたり拾われた時点で「拾得物」となるという法的解釈がなされている。

警察署では、拾得物として受け付けた埋蔵物が文化財と認められるときは、法101条(旧第60条)に基づき管轄の都道府県、政令指定都市及び中核市の教育委員会に「埋蔵文化財提出書」を提出する。また、発見者は、「埋蔵文化財保管証」を管轄の都道府県、政令指定都市及び中核市の教育委員会に提出し、これを照合することによって法102条(旧法61条)の鑑査が行われ、実物を見たことと同様にみなし、「文化財認定の通知」を警察署に行い、発見者にも認定通知の写しが送付され、出土品は、この時点でようやく正式に文化財として認定されたことになる。内容がたとえ土器片一点であっても、指定されることなしに法的に文化財として認定する制度があることに特徴があるといえる。

土地利用への影響

日本においては、文化財保護法に基づく発掘調査、現状を変更することとなるような行為の停止又は禁止、設計変更に伴う費用負担、土地利用の上の制約等により、その土地の価格形成に重要な影響を与える場合がある[1][2]

したがって、周知の埋蔵文化財包蔵地に含まれるか等埋蔵文化財の存在に留意した上で、発掘調査の必要の有無、調査に要する費用や期間については、自治体の教育委員会等所管の行政庁に確認すべきとされる[3]。また、土地取引においても、宅地建物取引業法第47条の告知事項に関係する。


出典、脚注

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参考文献

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関連項目

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  1. 不動産鑑定評価基準運用上の留意事項 総論第3章
  2. 三内丸山遺跡は、予定されていた事業(野球場建設)が、遺跡の存在により中止に追い込まれた著名な事例でもある。
  3. 『新・要説不動産鑑定評価基準』p.65