ホワイトホール

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ホワイトホール (white hole) は、ブラックホール解を時間反転させたアインシュタイン方程式の解として、一般相対性理論で理論上議論されるものである。

ブラックホールは事象の地平線を越えて飛び込む物質を再び外部へ逃さずにすべてを呑み込む領域であるが、ホワイトホールは事象の地平線から物質を放出する。加速度の符号は時間反転に対して保存されるので、どちらも重力(引力)が起因する現象であるが、ホワイトホールの重力はブラックホールと同等なため、放出された物質が再び引き戻されて事象の地平面へ降り積もった結果、ホワイトホールの外側にブラックホールの領域が形成されるとする説もある(以前は、クエーサーがホワイトホールであるとする説もあったが、上記の説によって否定された)。

数学的には在り得るが、実際に天体として存在するかどうかは不明である。ブラックホール熱力学は、量子効果によってホーキング放射することによってブラックホールが最終的には蒸発することを予言するが、このプロセスも時間反転に対して対称であるため、熱的平衡にあるブラックホールの時間反転解もブラックホール解である。そうなら、ブラックホールもホワイトホールも同じ物体として解釈され得る[1]

フィクションにおけるホワイトホール

SFの中では「ワープ航法」(光速以上での移動)の原理として、ブラックホールとホワイトホールが一方通行のワームホールを通じて繋がっており、「ブラックホールから入ってホワイトホールから出ることによりワープが可能である」との説明が行われることがある(ただし、ワープ先はまた別の宇宙であり、我々の存在する宇宙ではないうえに一方通行であるため、元の宇宙へ戻ることは不可能である)。理論上は、電荷を持ったブラックホールや回転しているブラックホールではそのような軌跡を取れることが、時空の大域的構造を示すペンローズ図を描くことによって説明されるが、ブラックホール内部での潮汐力が大きいため、実際には無事に通過できないであろう。また、ワームホール内を物体が通過することにより内部がかき乱され、ワームホールが潰れてしまうとする理論もある。通過可能なワームホールの議論については、ワームホールの項を参照。

参考文献

  1. Hawking S. W. [Journal Paper] Physical Review D13, 191; v 14 p. 2460 (1976)

関連項目