ほしのこえ

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テンプレート:Infobox Filmほしのこえ』は、新海誠が制作し2002年に公開されたアニメーション映画、およびそれを原作としてメディアミックス的展開がなされた小説などの作品群のことをいう。

概要

『ほしのこえ -The voices of a distant star-』は、『彼女と彼女の猫』に続く、新海誠の2作目の作品。25分のフルデジタルアニメーションの、監督脚本演出・作画・美術編集を、新海が殆ど一人で行なったことが注目を浴びた。

第1回新世紀東京国際アニメフェア21公募部門で優秀賞を受賞し、実行委員会委員長の石原慎太郎都知事から「この知られざる才能は、世界に届く存在だ!」と絶賛を浴びた。

他にも 第7回アニメーション神戸・第6回文化庁メディア芸術祭 デジタルアート部門特別賞・第34回星雲賞 メディア部門・第8回AMD AWARD BestDirector賞 などの様々な賞を受賞し、個人制作のアニメーションでは 他に類を見ないほどの出来だとして、大きく評価されている。

本作では戦闘ロボットがモチーフとして登場するが、監督はロボットアニメをほとんど見たことがなく、製作途中に知人の紹介で『機動戦士ガンダム』、『蒼穹のファフナー』のメカニックデザインである鷲尾直広のデザイン画を見た程度だという。

DVDも発売され、10万枚以上(日本6万枚、国外4万枚)という個人制作のアニメとしては大ヒットを記録し、新世紀インディーズアニメの金字塔とも言える作品となった。ラジオドラマ化、小説化、漫画化がなされたほか、DVDも世界各国で発売されている。

本作には、小説版・漫画版があるが、いずれも、アニメ本編とは描写の差異があるため、それぞれ別個の話とみなされる。2002年にはメディアファクトリー MF文庫Jから大場惑著、柳沼行挿絵による小説版(ISBN 4-8401-0600-2)が[1]2005年には講談社アフタヌーンKCから佐原ミズによる漫画版(ISBN 4-06-334984-5)が[2]2006年にはエンターブレインから加納新太による新小説版「『ほしのこえ』 あいのことば / ほしをこえる」が発売されている[3]

携帯電話のメールをモチーフに、宇宙に出た少女と地球に残った少年の間でずれていく時間と2人の想いを描いた本作品は、大きなメッセージ性を備えており、それがヒットした要因の一つであるとされている。

ストーリー

2039年、人類は火星タルシス台地で異文明の遺跡「タルシス遺跡」を発見したが、NASAの調査隊は突然現れた異生命体によって全滅させられてしまう。この事実に人類は国連宇宙軍を組織し、遺跡の名前から「タルシアン」と呼称された異生命体の謎と脅威に対抗しようとしていた。

2046年、中学3年生の長峰美加子は、国連宇宙軍のロボット「トレーサー」オペレーターの選抜メンバーとなっていた。翌年にはタルシアンの追跡調査のため4隻の最新鋭戦艦と1000人以上で編成されるリシテア艦隊の一員として、艦隊旗艦「リシテア」に乗艦し、生還の保障のない遠征調査に旅立った。地球には家族と、ほのかな恋心を抱く友人、寺尾昇 を残して……・

調査艦隊がタルシアンの痕跡を追って地球から離れてゆくにつれ、ミカコとノボルの距離も光年単位で離れ、2人の携帯電話メールのやりとりにかかる時間も次第に長くなっていく。

ついに調査艦隊は、導かれるように地球から8.7光年の距離に位置するシリウスα・β星系第4惑星・アガルタに降り立つ。そこでミカコは、地球に届くのに8年もかかるメールをノボルに送信する。そこに突如タルシアンが出現、攻撃を受けた艦隊は全滅の危機に瀕する。ミカコは艦隊を救うため、タルシアンと対峙する。

登場キャラクター

長峰 美加子(ながみね みかこ)
声 - 篠原美香(オリジナル版) / 武藤寿美(声優版)
本作の主人公。埼玉県の中学3年生。国連宇宙軍の選抜メンバーとなる。大型機動マシン「トレーサー」のオペレーターとして、宇宙艦〔リシテア〕配属となり、地球を発つ。
寺尾 昇(てらお のぼる)
声 - 新海誠(オリジナル版) / 鈴木千尋(声優版)
本作のもう1人の主人公。ミカコとは中学校時代のクラスメイトで、剣道部仲間の友人。ミカコに密かに想いを寄せ、彼女を待ち続けている。
北條 里美(ほうじょう さとみ)
小説版のオリジナルキャラクター。17歳。ミカコと友人になる。
ロコモフ司令官
小説版のオリジナルキャラクター。宇宙艦〔リシテア〕艦長。
高鳥 瑤子(たかとり ようこ)
小説版のオリジナルキャラクター。ノボルの後輩で一時付き合うものの、ノボルの心がミカコにあるのを感じ別れる。
リシテア艦オペレーター
声 - Donna Burke

用語

タルシアン
2039年に人類が初めて接触した地球外知的生命体。火星のタルシス台地で確認された事からこの名がついたもので、タルシス遺跡を築いたのも彼らだと思われる。「タルシス人」とも呼ばれる。人類に攻撃を行っているが、その意図は不明。
体表は銀色の流体金属の様な質感を持っているが、内部には体内組織があり、血液の様な液体で満たされている。また、飛行や宇宙空間での戦闘機動なども行う事が可能。トレーサーとほぼ同等の大きさの個体が主だが、戦艦クラスの大きさの個体も存在している。攻撃手段は体当たりの他、ビームを用いる事もある。
2039年以来その存在は観測されていなかったが、タルシス遺跡に残されていた技術は人類の文明を半世紀分以上発展させた。再び人類の前に姿を現したのは2047年8月の事で、冥王星付近でリシテア艦隊が襲撃を受けた。
トレーサー
タルシアンに対抗するために、国連宇宙軍が運用している宇宙空間用汎用兵器(ロボット兵器)。動力はタルシス遺跡の技術を応用してDARPAが開発した、ラム駆動を利用した真空エネルギーエンジンで、宇宙空間での戦闘の他、大気圏内での飛行も可能である。プロトタイプはJ・ナッコーズらローレンス・リバモア研究所の開発チームの手によって2044年にロールアウトし、現在では国連宇宙軍の主力兵器となっている。
武装は、固定武装として背部に6連装のマイクロミサイル2基、両腕部に機関砲2基、左腕部に剣状のビーム兵器を備えるほか、ビーム銃を携行する事も可能。
リシテア
国連宇宙軍が運用する宇宙戦艦。楔形に近い流線形の艦体を持ち、大気圏内での飛行や超光速航法を行う事が可能。多数のレーザー砲の他、トレーサー用のカタパルトを計10基備えている。太陽系外でのタルシアン追跡調査の為に編成された「リシテア艦隊」の旗艦であり、リシテア艦隊には他に同型艦「エララ」、「ヒマリア」、「レダ」の三隻が所属している。
なお、艦名は四隻ともヒマリア群に分類される木星の衛星の名から取られている。
ハイパードライブ
タルシス遺跡の技術を元に実用化された超光速(ワープ)航法。制御ワームホール巨視的量子トンネル効果を用いるもので、2042年に理論物理学者キップ・ソーンが解析に成功した。2047年の人類の技術力では、1.5光年以上の長距離ワープを行うには銀河規模で存在するワープポイント「ショートカット・アンカー」を使用する必要がある。なお、このショートカット・アンカーは一方通行であるらしい。

制作スタッフ

  • 監督・脚本・映像・制作:新海誠
  • 音楽:天門
  • 主題歌:「THROUGH THE YEARS AND FAR AWAY(HELLO, LITTLE STAR)」
作曲:天門
作詞:K. JUNO
唄:Low(みずさわゆうき)
  • 制作・配給:コミックス・ウェーブ

関連項目

出典

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外部リンク

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