U.S.S.ヴォイジャー

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U.S.S.ヴォイジャーU.S.S.Voyager)は、テレビ番組『スタートレック:ヴォイジャー』(Star Trek: Voyager, VGRまたはVOY)に登場する架空の宇宙船。

イントレピッド級軽巡洋艦で、登録番号はNCC-74656。

艦長はキャスリン・ジェインウェイ

特徴

全長:344.4m、重量:70万t、デッキ数:15、乗員:約150人。

惑星連邦所属の最新鋭艦(当時)で最大速度はワープ9.975とディファイアント級(ワープ9.982)に次ぐスピードである。ワープ時にはワープナセルが可変するのも特徴のひとつとなっている。この可変ワープナセルは時空連続体の破壊の危険性があるとされてきたワープ5以上の航行を安全に行うために開発された機構である。

ヴォイジャーには連邦鑑に通常見られる第一船体、第二船体という区分が存在せず、緊急時の分離機能を備えていない。そのため、通常第一船体にある軟着陸用脚部パッドが第二船体にあたる部分にあるため、ヴォイジャー自身での惑星着陸が可能である(参考:ディファイアント級にも単独惑星着陸能力がある)。

また、この艦のもっとも特徴的な装備のひとつに緊急用医療ホログラム(通称「ドクター」)が挙げられる。デルタ宇宙域に飛ばされた際に主任を含む、医療班全員が死亡してしまったヴォイジャーにとっては、この「ドクター」なしには生還は考えられなかったと言っても過言ではない(緊急用医療ホログラムは本来『短期間的』ホログラムドクターだったが、状況的に短期では済まない為、数々の改良・修理が必要となり、他艦のホロドクターより人間に近い存在になる)。

攻撃および防御システム

主な攻撃システムは、フェイザー・アレイを計13基(第一船体に8基、第二船体に5基)、光子魚雷ランチャーを計4門(第一船体後部に2門、第二船体前部に2門)装備。タイプ6光子弾頭を38発(地球出航時)積載している他、「トリコバルト魚雷」や爆発物である「サルメライト」を40トン以上搭載している。量子魚雷ランチャーを装備していないため、量子弾頭は積載していない。

また、普段は隕石や宇宙塵などの衝突などから艦を護る「デフレクター盤」は、後に「タキオン・ビーム」や重力子ビームなどの指向性ビームを発射出来るように改造された。

さらに最終話において、未来から「過去の自分」を救助しにやってきたジェインウェイ提督の技術で強化改造されたヴォイジャーは、トランスフェイズ魚雷や展開式装甲(船体表面に設置したジェネレーターにより実体化させた融除装甲基板で船全体を覆う防御システムで、防御スクリーンとの併用は出来ない)といったものを装備する。その性能はすさまじく、当時の通常の艦ならば大艦隊で攻撃を仕掛けなければ一隻すら沈められないはずのボーグ・キューブ[1]三隻と交戦したが、これを一蹴している。一説に最終話のヴォイジャーがスタートレック史上最強だとも言われる由縁である。

ちなみに時間規則を厳守している為か、ヴォイジャーが地球に帰還した後の話である『ネメシス/S.T.X』においてトランスフェイズ魚雷や展開式装甲は使用されていない。2409年が舞台の「Star Trek Online」の世界ではどちらも実用化されている。

制御システム

制御システムには人間の脳を模したバイオ・ニューラル・ジェルパックという有機回路を利用している、バイオ神経回路システムを取り入れている。メンテナンス・ハッチを開けると、パックに入った黒っぽいゲル状物質が見える。故障の際はこのジェルパックごと取り替えるだけで修復が可能である。

このバイオ神経回路の搭載により情報処理速度が飛躍的に向上したが、デルタ宇宙域で孤立無援となったヴォイジャーにとって、予備の補充もなくレプリケーターでの複製の困難なバイオ神経回路の故障は致命的である。またこのバイオ神経回路は通常の生命体同様に疾病にかかることがあるという弱点もある。このことにより思いがけない危機に瀕した事もあるが、ワクチンや熱消毒などの有機的治療が可能であると実証されたため、ドクターによる治療で何とか危機を脱している。

デッキ構成

「第1デッキ」にメインブリッジ。その右舷側には作戦室(艦長室)、左舷側には会議室がメインブリッジから直接行き来出来る位置にある。

「第2デッキ」には艦長専用の食堂ニーリックスが改造した厨房食堂がある。

「第3デッキ」には乗客用船室と艦長の私室があり、「第4デッキ」には船首センサーアレイの多くの部分が含まれている他、メインターボリフト付近には転送室がある。また、「第3、第4デッキ船尾」には光子魚雷発射管も装備されている。

「第4、6、9デッキ」にクルーの私室があり、おのおのに割り振られている。

「第5デッキ」にはドクターのいる医療室、「第6デッキ」にはホロデッキがあり、重力子ジェネレーター、フィールド増幅器、収束コイルなど重要な設備も存在する。

「第7デッキ」には貨物室があり、第二貨物室はケス水耕栽培室になっている。

「第8デッキ」はこの艦において最長のデッキで、主だったネットワーク設備や空気再処理システムがある。また星図作成室、後にセブン・オブ・ナインハリー・キムによって改造され天体測定ラボになる部屋もこの第8デッキに存在する。

「第9、10デッキ」船尾には格納庫、「第10デッキ」前方に前部光子魚雷発射管、「第10〜12デッキ」にはメイン・コンピュータ・コアがあり、艦の心臓部である機関室は「第10、11デッキ」にある。機関室を貫くように設置されているワープ・コアは「第10〜15デッキ」にまたがり、船体後方に位置する予備ワープコアは「第9〜第14デッキ」を貫く。

艦載機

艦載シャトルはクラス2のタイプ6「サカジャウェア」、タイプ8「テレシコワ」「ドレイク」、タイプ9「コクレーン」があるが、最も任務に貢献したシャトルといえば、トム・パリスがヴォイジャー内で設計、建造した「デルタ・フライヤー」が挙げられるであろう。

また、第一船体下部には、エアロシャトル(Aeroshuttle)またはエアロウィング(AeroWing)と呼ばれるキャプテン専用シャトル(captain's yacht)の一種がドッキングされている。劇中で活躍することがなかったため、その存在はあまり知られていないが、第一船体下部の切れ込みからその存在を知ることが出来る。

映画『スタートレック 叛乱』では、U.S.S.エンタープライズEのキャプテン専用シャトルが登場するが、こちらはクストー(Cousteau)と名づけられている。

脚注

  1. 宇宙艦隊はウルフ359の戦いでは一隻のボーグ・キューブ相手に39隻の宇宙艦を損失して全滅しており、セクター001の戦いでも多大な被害を受けている。

関連項目

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