SH-2 (プロセッサ)

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スーパー32X,セガサターン用SH-2 HD6417095

SH-2は、日立製作所(現ルネサス エレクトロニクス)が開発した32ビットRISC CPUSuperH(スーパー日立)シリーズの一つ。1994年6月に量産開始。

概要

SH-2は元々、組み込み用32bit RISCプロセッサであるSHシリーズ(SH-1)を当時SEGAが開発していた32bitゲーム機セガサターンへの搭載を念頭に改修した製品である。また、当時日立の研究所で開発中であった情報端末で採用したいとの要望が社内であり、マルチプロセッサ機能が試験的に組み込まれていた。SH-2の量産に入る直前の1993年夏になって、競合ゲーム機[1]の性能を知ったセガから大幅な性能向上の要望が出されたが、日立はこのマルチプロセッサ機能を活用することでその要望に答えることとし、セガサターンにSH-2の採用が見送られるどころか2個搭載されることとなった。

SuperH RISC engine(SHシリーズ)は、当時の組み込み向け32bitプロセッサと比較して命令長を16bitに縮小するなどしてメモリ効率を向上させた高速かつ高機能なプロセッサであったが、採用用途が限られ知名度と実績はいまひとつであった。セガスーパー32Xやセガサターンに搭載されたことによりSHシリーズの知名度は向上した。また、スーパー32XやセガサターンにはSH-2が2個ずつ、セガサターンにはSH-1も一緒に搭載されたため、それまで月数千個だったSHシリーズの出荷数はセガサターン用だけで2000万個近くに上り、一気に世界第2位のRISC型組み込みCPUに躍り出た。

設計コストの償却を早々に終えたことから価格を低下させ、その後DRAMインターフェイスや入出力インターフェイス、周辺インターフェイスの内蔵ラインナップを増加させることにより国産プロセッサとして組み込み向けに一定のシェアを確保することに成功している。大口顧客として当初は利益率の低かったセガサターン向けSH-2も、微細化や2個のSH-2を1チップにしたものなどの投入で改善させた。一方、セガサターン自体は高機能なプロセッサを複数搭載したことにより、その後のコストダウンに苦しむことになった。

後に高クロック・高機能化したSH-3を経て、より高速なSH-4が登場し、これもセガの後継ゲーム機ドリームキャストに搭載された。もっともドリームキャストは奮わず、セガはコンシューマ市場へのハードウェア供給から撤退することになり、SHシリーズもSH-5を最後に高クロック化を一時中断し、携帯電話向けのシリーズにシフトしていった。

応用製品

  • SHシリーズは本来組み込み向けであり、情報家電やカーナビゲーションシステムなどに搭載されている。
  • SH-2はSuperH RISC engineの中でも一番ラインナップが多く、アーケードゲーム基板をはじめ自動車のエンジン制御分野などでも採用され、各種制御機器、通信機器への採用例が多い。現在はSH-2Aなど高速版も発売されている。
  • SH-DSPは、HDD制御やHDD/DVDレコーダ制御などでも採用されている。

脚注

  1. この時点では[[PlayStation (ゲーム機)|]]ではなくNINTENDO64を指す

関連項目

関連リンク

日経エレクトロニクス 1997年9月22日号開発ストーリ「SHマイコン開発-最終回 - ルネサスによる開発の裏話

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