Planetarian 〜ちいさなほしのゆめ〜

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テンプレート:小文字 テンプレート:Infoboxplanetarian 〜ちいさなほしのゆめ〜』(ぷらねたりあん-)は、ゲームブランド・Keyが制作した4番目の作品で、キネティックノベル第1回作品である。また、それを原作としてメディアミックス的展開がなされた小説などの作品群のことも指す。

概要

ビジュアルアーツの提唱するキネティックノベルの第1回作品。戦争により荒廃した近未来の廃墟を舞台に、ひとりの男とそこにとり残されたロボットとの奇妙ながらも心温まる交流を描いた作品である。Keyブランドとしては初のSFを題材にした作品であるが、シナリオや音楽は過去の作品同様、高い評価を得ている。

作品の舞台は静岡県浜松市中区がモデルとされており、作品中に出てくる花菱デパート本店のモチーフは同地の松菱新館跡である。また、「花菱デパート屋上プラネタリウム館」は名古屋市科学館明石市立天文科学館コニカミノルタプラネタリウム「満天」in Sunshine Cityをモデルにしている事を、シナリオ担当の涼元悠一が自身のブログで語っている。

歴史

  • 2004年11月29日 Windows版、Yahoo! BBユーザー限定で先行ダウンロード販売開始。
  • 2004年12月6日 Windows版、一般向けにダウンロード販売開始(オープニング・エンディングのみ声入り)。
  • 2006年4月28日 Windows用のパッケージ版発売(ヒロインのみフルボイス対応)。
  • 2006年8月24日 プロトタイプからPlayStation 2 (PS2) 版発売(全キャラクターフルボイス対応)。なお、本作は後に発売されたPSP版も含め、Keyブランドの家庭用ゲーム機への移植作としては唯一、CEROのレーティングが「A(全年齢対象)」に区分されている。
  • 2006年11月28日 携帯電話ゲームとして、ソフトバンクモバイル3G対応端末NTTドコモFOMA向けに配信開始(全キャラクターフルボイス対応)。
  • 2009年2月28日3月1日 Key誕生10周年記念イベントにおいて、PSPパッケージ版発売(イベント会場限定販売)。
  • 2009年7月31日 『KEY 10th MEMORIAL BOX』(ビジュアルアーツ通販限定ソフト)発売。PSP版で収録した音声を使用して全キャラクターフルボイス化したWindows版が収められている。
  • 2009年8月24日 PlayStation Storeにて、PSP版のダウンロード販売開始。
  • 2010年4月30日 ドラマCD(後述)全3巻が同梱された、Windows版『メモリアルエディション』発売。
  • 2011年5月12日 イベント限定販売であったPSPパッケージ版を、同年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震を受け、『東北地方太平洋沖地震被災地チャリティー版』として初回生産分のみ一般販売[1]。16,663本の発注を受け、諸経費を差し引いたプロトタイプの利益や版権元のビジュアルアーツに入るロイヤルティーなどの合計金額およそ2,000万円を、日本赤十字社を通じて全額被災地への義援金に充てた[2]
  • 2011年11月8日 スマートフォン用ゲームとして、iOS端末向けに配信開始(全キャラクターフルボイス対応)。
  • 2011年11月30日 Android端末向けに配信開始(全キャラクターフルボイス対応)。
  • 2011年11月30日より、デジタルノベルアプリ『星の人〜planetarian サイドストーリー〜』配信。全4話。

ストーリー・登場キャラクター

ファイル:Matsubishi 2.jpg
本作の舞台・花菱デパート本店のモデルとされている松菱新館跡
ファイル:Akashi-jena.JPG
本作に出てくる投影機のモデルとなった、明石市立天文科学館のプラネタリウム投影機(カール・ツァイスイエナUPP23/3)

キネティックノベル

時間軸になぞらえると、小説およびドラマCD(後述)の『エルサレム』と『星の人』の間に入る話である。なお、各対応機種によるストーリーやビジュアルなどの相違点は一切無い。

ストーリー

世界規模の戦争によって荒廃した近未来の世界。人口は激減し、気候変動によって地上に陽光が差すことはなくなり、厚く垂れ込めた雲からは生物に有害な物質を含んだ雨が絶え間なく降り続いていた。「屑屋」と呼ばれる一人の男は、「封印都市」と人々が忌み嫌う廃墟の都市からまだ使用可能な物を探すべく、あるひとつの巨大なビルの廃墟に潜入する。ところがその屋上にあるプラネタリウムで、彼は少女の形をしたロボットほしのゆめみと出会う。その純粋な言葉や思いに、初めは厄介この上ないと思っていた屑屋の気持ちが、次第に変化していく。

登場キャラクター

声はPCパッケージ版(ヒロインのみ収録)、PS2版、携帯端末版、PSP版のいずれも共通。

ほしのゆめみ(すずきけいこ
形式名:SCR5000 Si/FL CAPELII。外見の設定年齢は15〜16歳。封印都市の中、廃墟と化した「花菱デパート屋上プラネタリウム館」の中で30年近くもの間、客が訪れるのをひたすら待ち続けていた少女型のコンパニオンロボットで、花菱デパート屋上プラネタリウム館の解説員。プラネタリウムに迷い込んだ屑屋を『開館から数えて250万人目のお客さま(本当は違うのだが、屑屋に喜んでもらおうとサバを読んだ)』と称して歓迎し、記念特別投影を見せようとする。
花菱デパートの制服を模したコスチューム(光繊維が織り込まれており、停電などの緊急時には自身の電力で発光させる事が出来る)を身に纏い、頭部の帽子には自らの意思で自由に文字を表示させたり変色・発光させる事が可能なインフォメーションリボンを装備している。コンパニオンロボットであるため外見は人間の少女を模して作られているが、人間で言うところの両にあたる部分には、ホロスナップ(ホログラフィーで映像を撮影・録画・再生する装置)や小型プリンタ、コネクタなどを備えたイヤーユニットを装着しており、後頭部で左右に振り分けられた膝まで届くほどの長い淡色の髪とともに身体的な特徴となっている。動力源は筐体に内蔵されたバッテリーから供給される電気であるが、自己での発電機能などを持っていないため、電池への電力供給は外部電源からの充電に完全依存している。廃墟であるにもかかわらず、何らかの理由で現在も送電が続いているドームの中で「1年間のうちの1週間だけ稼動し、残りの51週は充電のために眠りに就く」というサイクルを30年近くの間人知れず繰り返してきたため、外の世界で起こったことを全く把握していない。また、30年もの間メンテナンスを全く受けていないため、本人によれば「少しだけ壊れている」。その他に、故障とは関係なく冗長な会話を繰り返してしまうという仕様(ゆめみ自身は「既知のバグ」と解釈している)があり、ゆめみ自身が人と話をすることが大好きなこともあって、非常に饒舌である。投影時には投影機(カール・ツァイス・イエナ社製2球式投影機で、ゆめみは『イエナさん』と呼ぶ)の操作卓を使うことなく、無線もしくは有線で投影機を操作することが可能である。
今でも客はきっと来ると信じて疑っておらず、また「長期の慰安旅行に出かける」と言ったまま戻らないスタッフがいつかここに帰って来ることも頑ななまでに信じる、ロボットであるがゆえにとても純粋な思考の持ち主。本作のヒロインであるとともに、小説・ドラマCDを含めた一連の『planetarian』の世界を象徴する存在である。
なお、「ほしのゆめみ」という名前は、花菱デパートへの配属時に一般公募により決定した愛称である。
屑屋(声:小野大輔
プレイヤーの分身ともいえる男性。名前は不明。廃墟に眠る物資などを探すために封印都市に潜入、レーダー基地の跡と勘違いして侵入した花菱デパートの屋上ドームでゆめみと出会い、成りゆきでプラネタリウム投影機の修理をする羽目になる。非常にシニカルな性格で、当初はゆめみのことを非常に鬱陶しく思っていたが、ドーム内で過ごすうちに徐々に心情が変化していった。
なお、「屑屋」という呼称は彼固有の呼称ではなく、「廃墟を巡って役に立ちそうな物資を回収し、それを売買する事を生業とする者、またはその行為」全般を指す俗称である。
館長(声:石上祐一
ゆめみの回想の中で登場。花菱デパート屋上プラネタリウム館の館長。
老屑屋(声:千々和竜策
屑屋の回想の中で登場。かつて屑屋とコンビを組んでいた老人。屑屋が封印都市に潜入する以前、屑屋とともに潜入した別の廃墟でブービートラップに引っかかって死んでしまった。若き屑屋に対して、ロボットに対する警鐘とも取れる発言をしている。

小説

キネティックノベルのPCパッケージ版とPS2版の初回特典として付属された短編小説集。副題として『星座言葉神様ロボット 四の主題による小品集』と名付けられており、4編の短編小説が収められている。なお、PCパッケージ版付属を『初版』、PS2版付属を『第2版』としており、それぞれ帯としおりが異なる。編集協力はパラダイム

この小説は、2008年10月30日に新創刊されたVA文庫の第2弾として、新書版から文庫版に装丁を変えて一般販売が開始された。なお、小説の内容そのものはゲーム特典版と文庫版で特に違いはない。

planetarian -ちいさなほしのゆめ VA文庫 ISBN 4-89490-622-8

雪圏球 (スノーグローブ

世界的大戦が発生する以前、人々が平和な時代を生きていたときの物語。ほしのゆめみと名付けられた女性型ロボットが、花菱デパート屋上のプラネタリウムで働き始めてから10年。ゆめみは、ある日突然、奇妙な行動をとるようになる。それは、職場を離れ街中を歩き回るというものだった。特に目的の無いその行動の原因がわからず、困惑する職員たち。そんななか、職員の倉橋里美は、ゆめみの後を追って街に出たが、やはり原因はわからない。やがて、ゆめみはバッテリー切れになってしまう。

ほしのゆめみ
戦争前のゆめみ。まだこの時点ではインフォメーションリボンを装着していない。
倉橋里美
花菱デパート屋上プラネタリウム館の解説員。スタッフのリーダー的存在として、ゆめみをはじめとするスタッフの面倒から館の運営に至るまでを一手に引き受けている。
三ケ島吾朗
里美の同僚。ゆめみを製造したメーカーより派遣され、花菱デパートに出向。ロボットとしてのゆめみのメンテナンスやデータ収集を主に担当している。ゆめみのホームドクター的存在。
森見由香
花菱デパート屋上プラネタリウム館の解説員でゆめみの同僚。
古賀茜
花菱デパート屋上プラネタリウム館の新人解説員。

エルサレム

世界的な大戦が勃発した直後の物語。南米パタゴニアのある教会に、一人の狙撃兵が立て篭もっていると報告を受けた南米統合軍は、説得または排除のためにマードック曹長の所属する一個小隊を派遣した。しかし、狙撃兵は説得を受け入れず、小隊は一人また一人と狙撃されていく。残されたマードックは絶望的な状況の中、双眼鏡の中に狙撃兵の姿を捉えた。それは、一人の美しい修道女だった。「老屑屋」の若き頃を描いた作品。

星の人

大戦により世界が崩壊し、生き残った人が細々と生きる世界の物語。ある地下集落に住む3人の子供たちのレビルツヨブは、雪の中で倒れていた一人の老人を見付けた。地下集落へ運ばれた老人のことを、大人たちは「星の人」と呼んだ。滅多に無い外部からの訪問者に、そして「星の人」と呼ばれる所以に興味を持つ子供たち。やがて子供たちは、老人の指示のもと、あるものを作り始める。「屑屋」のその後の人生が描かれた作品。
また、シナリオ担当の涼元悠一自身のブログにて、推敲時にカットした幻のパートをショートストーリーに仕立て直した二次創作物「星の人/系譜 planetarian 〜ちいさなほしのゆめ〜より」が公開されている。このストーリーは、後述のドラマCDにも収録された。

チルシスとアマント

双子のチルシスアマントは、2人だけの世界で勉強を続けている。ある時、チルシスは考えた。「何のために、いつまで、勉強を続けるのだろう」。その答えを知る時は、すぐそこまで来ていた。

ドラマCD

上記の小説のストーリーに若干のアレンジを加えてドラマCDとしたもの。

雪圏球 (スノーグローブ

2006年12月29日コミックマーケット71にてビジュアルアーツのセット同梱物として限定販売(後日、ネット通販でも同じ物が限定販売された)。この時の外装はスリムケースであった。2007年5月25日、外装(トールケースになった)とジャケットイラストを変更、全3章を収納可能な特製ボックスにカードブックを付属して一般に市販された。

エルサレム

2007年7月27日発売。

星の人

2007年7月27日発売。

チルシスとアマント

「星の人」に特典として同梱。

  • 朗読:ほしのゆめみ(声:すずきけいこ)

主題歌・音楽

エンディングテーマ 『星めぐりの歌
作詞 / 作曲:宮沢賢治、編曲:戸越まごめ、歌:MELL

パッケージ版の発売にあわせてエンディングテーマが追加された。

また2006年8月11日、コミックマーケット70にて『planetarian Original SoundTrack』が限定販売された(特典としてイラストレーションブックが付属)。ゲーム中の楽曲に加えて、作曲者である戸越まごめの手によるアレンジ曲と、折戸伸治の手による書き下ろし曲が各1曲追加されている。このサウンドトラックは2006年12月28日に一般販売された。

製作スタッフ

関連項目

脚注

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外部リンク

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