物質・材料研究機構

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テンプレート:Infobox 研究所 独立行政法人物質・材料研究機構(ぶっしつ・ざいりょうけんきゅうきこう)は、茨城県つくば市にある独立行政法人の研究所。英語表記はNational Institute for Materials Scienceで、通称はNIMS(ニムス)。潮田資勝理事長。2001年4月に旧科学技術庁所管の2つの国立研究所である金属材料技術研究所無機材質研究所が合併して発足した。その名称が表すとおり、物質材料の基礎・基盤的研究開発および重点研究開発などを総合的に行っている研究機関である。

研究分野

平成23年度からスタートした第三期中期計画では、これまでに培った各種技術やナノスケールレベルの探索をさらに高度化し、環境・エネルギー問題など地球規模の重要課題解決を目指す研究を重点的に推進するとし、以下の2つの研究事業を達成するために3つの重点研究開発領域を設定している。

社会的ニーズに応える材料の高度化のための研究開発の推進

  • 環境・エネルギー・資源材料領域

新物質・新材料の創製に向けたブレークスルーを目指す横断的先端研究開発の推進

  • 先端的共通技術領域
  • ナノスケール材料領域

沿革

  • 1956年 - 東京都目黒区に金属材料技術研究所設立(現在の目黒地区)
  • 1966年 - 東京都豊島区に無機材質研究所設立
  • 1972年 - 無機材質研究所が筑波研究学園都市に移転(現在の並木地区)
  • 1979年 - 金属材料技術研究所筑波支所開設(現在の千現地区)
  • 2001年 - 両研究所が統合し、独立行政法人化。物質・材料研究機構となる

組織

研究開発を担う「環境・エネルギー材料部門」「ナノスケール材料部門」「先端的共通技術部門」の研究3部門、設備の共用サービス等を担う「中核機能部門」、外部機関等との連携を担う「外部連携部門」と、経営企画を担う「企画部門」、バックオフィス業務を担う「総務部門」からなり、常勤職員は約550名在籍している[1]。また、内部には文部科学省世界トップレベル国際研究拠点形成促進プログラムの助成対象として選定された研究拠点「国際ナノアーキテクトニクス研究拠点MANA)」や、「ナノ材料科学環境拠点」「低炭素化材料設計・創製ハブ拠点」などを擁する。なお、これらの拠点名称には「国際~」とつくものが多いのが特徴で、実際に研究所内には外国籍の研究者も多く見受けられる。後述のMANAのように約半数が海外出身の研究者という組織もあり、国際化を積極的に推進している研究機関である。

研究開発3部門

“環境、エネルギー、資源などに関する地球規模の課題解決のための物質・材料科学技術”という研究方針のもと、物質・材料の基礎・基盤的研究開発やプロジェクト研究等を総合的に行う研究組織で、以下3部門から構成されている。なお、第2期中期計画で「センター」と呼ばれていた研究ユニットの呼称が、第3期では「ユニット」に変更されている。また上述の研究方針も、前期の「ナノテクノロジー」を前面に押し出したものから「環境・エネルギー問題の解決」を前面に押し出したものに変化している。

環境・エネルギー材料部門

  • 環境再生材料ユニット
  • 超伝導物性ユニット
  • 超伝導線材ユニット
  • 電池材料ユニット
  • 水素利用材料ユニット
  • 太陽光発電材料ユニット
  • 材料信頼性評価ユニット
  • 先進高温材料ユニット
  • ハイブリッド材料ユニット
  • 光・電子材料ユニット
  • サイアロンユニット
  • 磁性材料ユニット

ナノスケール材料部門(MANA)

ナノマテリアル分野

  • ソフト化学ユニット
  • 無機ナノ構造ユニット
  • ナノチューブユニット
  • 超分子ユニット
  • ナノエレクトロニクス材料ユニット

ナノシステム分野

  • ナノシステム構築ユニット
  • ナノ機能集積ユニット
  • 原子エレクトロニクスユニット
  • ナノ物性理論ユニット
  • パイ電子エレクトロニクスユニット

ナノグリーン分野

  • ナノ界面ユニット
  • ソフトイオニクスユニット
  • ナノ光触媒ユニット
  • ネットワーク錯体ユニット

ナノバイオ分野

  • 生体機能材料ユニット
  • 生体組織再生材料ユニット

ファウンドリ

  • MANAファウンドリ

先端的共通技術部門

  • 極限計測ユニット
  • 表界面構造・物性ユニット
  • 量子ビームユニット
  • 理論計算科学ユニット
  • 先端フォトニクス材料ユニット
  • 先端材料プロセスユニット
  • 高分子材料ユニット

元素戦略材料センター

資源枯渇時代の材料における希少金属元素の減量・代替・循環のための研究を遂行するために、他の研究3部門とは独立して設置されている。 「都市鉱山」や「レアメタル」「レアアース」などの調査を行うグループもある。

  • 構造材料ユニット

中核機能部門

高度な施設・設備の開発・整備を行い、広く所内外の研究者への利用機会を提供している。

  • 材料情報ステーション
  • 材料創製・加工ステーション
  • 材料分析ステーション
  • 電子顕微鏡ステーション
  • 高輝度放射光ステーション
  • 強磁場ステーション
  • ナノテクノロジー融合ステーション

外部連携部門

国内外の企業や大学・研究機関との連携・交流を進めると同時に連係・連携大学院制度等を通して、若手研究者の育成も推進している。

企画部門

経営に関する企画面を担う部門で、戦略室や人材開発室、広報室などからなる。

総務部門

バックオフィス業務を行う部門で、総務部の下に総務課、人事課などからなる。

研究拠点・企業連携研究センター等

  • 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(MANA - International Center for Materials Nanoarchitectonics)
  • 若手国際研究センター(ICYS - International Center for Young Scientists)
  • 国際ナノテクノロジーネットワーク拠点(International Center for Nanotechnology Network)
  • ナノ材料科学環境拠点(GREEN - Global Research Center for Environment and Energy Based on Nanomaterials Science)
  • 低炭素化材料設計・創製ハブ拠点(CMRLC - Center of Materials Research for Low Carbon Emission)
  • NIMS-トヨタ次世代自動車材料研究センター(NIMS-TOYOTA Materials Center of Excellence for Sustainable Mobility)
  • NIMS-サンゴバン先端材料研究センター(NIMS Saint-Gobain Center of Excellence for Advanced Materials)

MANA

文部科学省の世界トップレベル国際研究拠点形成促進プログラム(WPIプログラム)の6拠点のひとつ。2007年に独立行政法人としては唯一助成対象機関に選定。残りの5機関は全て大学(東京大学京都大学東北大学大阪大学九州大学)。次世代ナノ科学技術の基礎研究センターとして、以下の4分野でナノテクを活用した革新的材料の創製に挑戦している。

  • ナノマテリアル
  • ナノシステム
  • ナノグリーン
  • ナノバイオ

また、組織の中でも国際化を特に強く意識しており、研究者の約半数が海外出身である。さらに、英語を公用語化して事務書類も英語化することで、外国人研究者が快適に研究に打ち込めるような環境を構築するという方針のもと、英会話が可能な事務職員を多く配置しているのも特徴である。

事業所

茨城県つくば市を中心に複数の事業所があり、事業所はその所在地名を冠に通称“○○地区(サイト)”と呼ばれている。

このうちつくば市の3地区が主な研究拠点で、千現地区が本部となっている。並木地区にはMANAがあり、桜地区には世界最高レベルの強磁場施設がある。また東京には、物性などを扱うデータベース研究や、世界最長記録を持つ[1]クリープ試験を行っている目黒地区や会議室があり、兵庫県のSPring-8内には専用ビームライン「BL15XU (WEBRAM)」を持つ。

クリスマスイルミネーション

1993年(平成5年)より、毎年クリスマスに地元小学校からデザインを公募したイルミネーションを飾り、地域交流のひとつとなっていたが、2008年(平成20年)の実施を最後に終了した。

クリープ試験世界最長試験記録

1969年(昭和44年)6月19日に開始したクリープ試験が、2011年(平成23年)2月27日に試験開始からの総試験日数が14,853日間に到達し、世界最長クリープ試験データの記録を更新した。

主要人物

潮田資勝 
現理事長。2009年7月1日就任。
岸輝雄 
初代理事長。2009年6月30日退任。
青野正和 
MANA拠点長。
板東義雄 
MANA最高運営責任者。カーボンナノチューブ等、ナノ材料の研究。ナノ温度計を発明。ナノ温度計は世界最小の温度計として、ギネスブックに登録。
前田弘 
ビスマス系酸化物超伝導体の発見。
泉富士夫 
世界中で使われているリートベルト解析プログラムRIETANの開発。
広崎尚登, 解栄軍 
αおよびβサイアロン系新蛍光体の開発[2][3]
原田幸明  
エコマテリアルの提唱者の一人で、日本に蓄積された「都市鉱山」の規模を計算[4]
コスチャ・ヤクボヴスキー 
科学情報室所属。英文雑誌 Science and Technology of Advanced Materials の編集。

脚注

  1. 組織に関する情報 物質・材料研究機構ウェブサイト 2012-01-16 閲覧

外部リンク

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