NHKワールドTV

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:Pathnav テンプレート:Infobox TV channel NHKワールド(英語NHK World、日本語エヌエイチケイワールド)はNHK(日本放送協会)による国際テレビ放送。放送では使用しないがNHKの国際放送部門の総称「NHKワールド」との混同を避ける為に「NHKワールドTV(エヌエイチケイ-ティービー)」としており、このページでもこれに準ずる。

概要

NHKが運営しているテレビ放送。財源はNHKの予算と日本国政府からの交付金からとした。ノンスクランブルの無料放送で視聴料金は発生しない(日本国内で受信する場合でも実質、現行のNHK受信料額の支払いのまま変わらない)。開局期は日本語放送で総合テレビのニュース番組の同時放送などで構成。段階的に英語放送を拡充し、2009年2月に英語国際放送として開局し直した。新生NHK Worldのスローガンは「Your Eye on Asia」

日本語放送

在外邦人向けの国内向け番組のニュース・情報番組専門チャンネルとして開局。国内放送番組の同時・時差放送中心とした日本語放送が7割~8割、国際放送独自による英語によるニュース・情報番組が2割程度。

「情報番組」は放送されるが「ドラマ・バラエティー(娯楽)・スポーツ番組」は放送されない。それらは、スクランブルで有料放送のNHKワールド・プレミアムで放送される。

英語放送への移行に伴い、国内放送番組(日本語放送番組)は、NHKワールド・プレミアムに一本化された。無料放送と有料放送の違いがあり、その差異を解消するためにニュース・情報番組とごく一部の娯楽・教養番組についてはNHKワールド・プレミアムの一部時間帯(その他、災害・地震・津波などの緊急時と政局関連などの特設ニュースがある場合も含む[1])でノンスクランブル放送を実施している。

英語放送

テンプレート:Seealso 全時間帯が英語放送。国際放送独自番組は全て英語放送。ニュース・情報番組を中心に文化・音楽・料理・紀行番組などが放送される。原則日本語の発言がそのまま放送される場合がある。

クローズアップ現代』などNHK国内放送番組も英語吹き替えの上で放送。副音声による日本語放送を行っている番組もあるが、2012年度下半期の時点では「TOMORROW beyond 3.11」「Begin Japanology」「The Great Summits(グレートサミッツ)」の3番組にとどまっている。その副音声による日本語の放送も2013年度の番組改編で全廃となり、終日英語音声のみのモノラルまたはステレオ放送となる予定。ただし、NHKワールドTV独自番組でも国内向け放送およびNHKワールド・プレミアム向けに放送される際の日英2か国語放送は2013年度も継続される。

NHKの国内向け/海外向けのテレビ・ラジオ放送の全チャンネルを通じてスポーツ中継の放送が一切組まれていない(2011年4月以降はBSプレミアムも該当する)。編成面では日本国内向け放送のBS1並であるが、BS1よりも圧倒的にニュース・情報番組が多く、完全独自編成による英語放送の専門チャンネルとして明確化されている。

歴史

1990年、ヨーロッパで日本のテレビ番組を放送するJSTVが開局、1991年には北米地域で放送するテレビジャパンが開局。どちらもNHKの関連会社が運営(どちらも改組している)。共に放送内容はNHKを中心に、民放の番組も放送している共通点がある。

1995年4月、NHKによるテレビ国際放送としてNHKワールド開局。受信エリアはヨーロッパ・北アメリカ。

1998年4月、アジア/太平洋地域への放送を開始。

2001年8月、使用衛星の変更によりアフリカ南部地域への到達により、全世界での視聴が可能になった。

英語放送へ転換(2006年 - 2008年)

2006年1月からの総務大臣懇談会「通信・放送の在り方に関する懇談会」、および3月の外務大臣諮問機関「海外交流審議会」の答申において国際放送の強化が謳われる。この時期は新興の国際ニュースチャンネル(RTフランス24アルジャジーラの英語放送)が開局し、広報手段として国際放送の強化を検討しだした格好[2]。ここでは英語放送の拡充のほか、NHKの子会社に民放出資する形態が検討された。これ以降、NHKワールドTVは英語放送化へ向けて英語放送の拡充を行ってゆく。

2008年4月1日、外国人向けテレビ国際放送の強化を目指して日本国際放送が発足、NHKから番組制作や運営・セールス業務を受託している。

2008年9月29日の後期番組改編を以ってNHKワールドTVの英語放送の比率が100%に達した、とされている。ここでいう「英語放送の比率」とは英語音声のみの番組、2か国語放送(全時間帯で英語主音声・日本語副音声)の番組、英語字幕・ニュースティッカー表示の番組(音声は日本語のみ)を合わせた比率を言う。この改編では英語ニュース『NHK NEWSLINE』の拡充が目玉だったが、この時点では日本語番組が幾つか残されている。

再開局(2009年 - )

2009年2月2日、NHKワールドTVは再開局(Relaunch)。日本時間8:00からは開始前のカウントダウンが表示され、日本時間9:00から本放送を開始。100%自主編成の英語放送とし、ロゴ・映像デザインの変更、BS1に似た報道番組を中心にした新編成にリニューアル。スタジオもハイビジョン対応の設備にリニューアルした。これにより国内向け放送の番組編成の変更に左右されることなく常に定時放送が行えるようになった。

定時ニュース『NHK NEWSLINE』の制作や運営業務は日本国際放送に委託している。日本国際放送が週2本の番組制作を担っており、その番組のみCMを放送することが出来る。

2009年12月には従来のSD放送に加え、HD放送を開始(12月7日からの試験放送を経て14日本放送開始)、SD放送はサイドカットした4:3サイズが維持されている(国内向け放送の一部番組は14:9サイズまたは16:9レターボックス)。HD放送開始と同時にNHKワールドTVのPAL方式のSD放送とNHKワールド・プレミアム(NTSC方式のSD放送)も画質が従来よりも大幅に向上された。

2010年3月より民放で制作された良質のドキュメンタリー番組もNHKワールドTVで配信されることとなった[3]

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震発生時以降は通常番組の放送中止を行った上で、NEWSLINEの放送時間拡大や2009年の再開局以降初となる総合テレビのサイマル放送(ただし音声は総合テレビの副音声)、常に地震関連情報を提供するためNEWSLINEの録画放送を行うなどの特別編成を行っている。また、放送中は画面右上にNHKワールドのURLを常時表示していた。

ステーションID

NHKワールド・プレミアムと共通のものを使用している。英語放送を機にスローガン「Your Eyes on Asia」を使用している。日本国内ではデジタル教育テレビのマルチ編成(023ch)で高校野球中継期間を除く毎週日曜日(10:00~11:30の間)に見ることができる(デジタル教育テレビではステーションIDがステレオ放送となっている)。

インターネット配信

2008年頃より、NHKワールドの英語トップページよりストリーミング配信[4]が実施されており、日本国内からも直接受信の機材を必要とせずに視聴が可能となった。但し、定時ニュースと情報番組の一部に限られ、定時ニュースでも放映権など権利関係から放送出来ない事がある。2009年の再開局まではIPアドレスからの識別によって日本のプロバイダからビデオアーカイブにアクセス出来ないようにされていた。

2010年2月5日、NHKワールドTVのインターネット配信を視聴するアプリケーションをApp Storeで配布[5]。これにより、iPhone / iPod touch / iPadでも視聴できる。その後、 Android Market(現・Google Play)でAndroid対応のスマートフォンタブレット端末向けの配布も行われる。

2011年3月11日発生した東北地方太平洋沖地震発生後は特別措置として公式サイト・iPhoneアプリの他、USTREAMニコニコ生放送LiveStationからも配信を実施。

日本での放送

テンプレート:Main

日本で視聴する場合、直接受信する必要があるが、NHKワールドTV自主制作の殆どが総合テレビEテレ(一部番組はマルチ編成)、NHK BS1でも放送されていた。英語放送以降も国内チャンネルで視聴できるが、自主制作が増えた為に国内チャンネルで視聴できる番組は限られている。現在放送されている本数もBS1が7番組あるものの、Eテレ3(マルチ編成サブチャンネル)が2番組、BSプレミアムが1番組のみにとどまっており、総合テレビでは1番組も放送されていない。なお、英語ニュースはBS1・深夜の録画放送しかない(2011年4月以降は週末の2番組のみ)。

自主編成・自主制作となったのを機に駐日大使館や在留外国人などから英語放送の需要がある事から[6]、NHKワールドTVを日本で視聴する為の環境整備が課題とされている。その為に、2010年1月には総務省が法改正を検討している事が明らかになった[7]

国内チャンネルでの放送はスポーツ中継など特別編成で放送がない場合がある。海外安全情報は、NHKオンライン上のNHKワールド公式ウェブサイトから動画で視る事ができる。

北海道洞爺湖サミット開催期間中(2008年7月7日~9日)は、会場周辺地域とプレスセンターのみであるが、関係者に貸し出される特殊な携帯電話でNHKワールドTVを含めた8カ国の国際テレビ放送をワンセグ放送での再送信を行った。日本国内でNHKワールドTVの再送信を行うのは放送開始以来初めてとなった。

2009年3月22日、総合テレビで「密着!NHKワールドTVの舞台裏」と題した毎正時に放送される英語ニュースの舞台裏などを紹介する特集番組が放送された(23:00~23:30 ステレオ放送・字幕放送あり)。キャスター陣は本番時は英語で伝えるが、本番前のスタッフとの打ち合わせでは日本語でやりとりすることがほとんどである。

また、2011年東日本大震災において被災した外国人に対する情報提供の一環として、同3月15日より4月8日までNHKワールドTVの番組を日本の以下に示すケーブルテレビ局でも無料配信を実施している。局により対応はまちまちで24時間終日放送している局、時間帯を限定して提供する局等様々。番組では震災関係のニュースを提供するほか、日本国内向けのおはよう日本、NHKニュース (正午)、NHKニュース7クローズアップ現代ニュースウオッチ9の各番組を同時生放送し、国内一般視聴者向けには副音声(デジタル・ステレオ2)で提供する英語翻訳の同時放送を行っている[8][9]

2011年4月1日より、研究学園都市コミュニティケーブルサービスつくば市)において正式な番組配信も開始された[10]。ケーブルテレビ再送信局ではいずれもPAL方式のSD放送をNTSC方式に変換して再送信している。

東日本大震災時に配信を行っていたケーブルテレビの一覧

定時配信を行っているケーブルテレビ局

2014年7月1日現在[11]

脚注

  1. 太平洋・インド洋でM7.6以上の地震発生で広範囲で津波の可能性がある場合は画面下のティッカー表示を行い、邦人向けの重要な情報を伝える観点から通常のスクランブル配信となっている番組もノンスクランブル放送となる。
  2. 総務省「映像国際放送の在り方に関する検討委員会」
  3. 静岡新聞「NHKが海外向けへ民放番組 来月、静岡放送作品も」
  4. 通信技術により、海外衛星放送受信装置での直接受信より遅れる
  5. WORLD TV Live
  6. テンプレート:PDFlink
  7. 『放送局への出資上限、3分の1未満に緩和 総務省、地方支援容易に』 - 日本経済新聞 2010年1月7日
  8. 震災特別編成「NHKワールドTV」国内番組提供について - NHKワールド
  9. 「NHKワールドTV」ネット経由によるケーブル局への番組提供停止について - NHKワールド
  10. 【お知らせ】4月からのACCSTVサービス番組変更のお知らせ - 研究学園都市コミュニティケーブルサービス
  11. NHKワールドTVをご覧いただける国内のケーブルテレビ局 - NHKワールド
  12. ひかりTVで海外向け英語チャンネル「NHKワールドTV」を放送開始 - NHKワールド

関連項目

外部リンク

テンプレート:Navbox with collapsible groups テンプレート:日系人zh:NHK World TV