光磁気ディスク

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ファイル:MO OLYMPUS OL-D640.jpg
光磁気ディスク オリンパス製
ファイル:MO-Drive-Front.jpg
MOディスクドライブ(内蔵型)

光磁気ディスク(ひかりじきディスク、Magneto-Optical diskdisc))とは赤色レーザー光と磁場を用いて磁気記録を行い、レーザー光を用いて再生を行う記録媒体の1つである。MO(エムオー)あるいはMOディスクと略す。最初の光磁気ディスクメディアおよび対応製品は1988年に各社より発売された。

概要

ファイル:Buffalo MO-PL640U2.jpg
外付け型MOディスクドライブ
バッファロー製MO-PL640U2)

光磁気ディスクには磁性を持った記録層が形成されており、外部から電磁石による記録用の磁界を加えて媒体を磁化する点では磁気ディスクと似ているが、記録層が常温ではほとんど磁化されず、これを熱して磁化する点に特徴がある。記録の際に光の強度を変化させて磁界を一定とする光変調方式と、光の強度を一定として磁界を変化させる磁界変調方式がある。

記録方法

磁界変調方式(MFM方式)では、以下の手順でデータが記録される。

  1. メディアの磁性層に高出力のレーザ光を照射して、磁性が失われる温度(キュリー温度:ISO規格のMOでは摂氏150 - 180度)以上にまで瞬時に加熱する
  2. レーザで照射された部分が、レーザ光から離れて磁性を記録保持できる温度まで冷え始めた所で、電磁石により記録層と垂直方向の磁界を与える
  3. 磁性体が十分に冷えて、磁性が完全に保持される

この繰り返しにより磁性体にN極とS極の磁性が記録されていく。読み出し時には書き込み時よりも出力の弱いレーザを照射し、N極S極の向きの違いによってレーザの偏光面が回転する現象(磁気光学カー効果)を検出しそれを0と1のデータとして読みとっている。

また光変調方式ではまず一定磁界・高出力レーザ光で記録層の磁力を一方向にそろえることで初期化(消去)し、続いて加える磁界を反転したうえで、記録したい部分を光で加熱し磁気を反転させて記録を行う。

各種の光磁気ディスク

ISO規格のMOディスク

概要

通常「MO」と呼ばれるのは着脱可能な記憶媒体リムーバブルメディア)の1つ。記録方法は光磁気変調方式。トラックはフロッピーディスクやHDD(ハードディスクドライブ)の同心円状とは違い、螺旋状になっている。しかし、シークができないクイックディスクに対しMOはランダムアクセスが可能。

一般的にパソコンで用いられる3.5inchタイプのメディアでは、128MB・230MB・540MB・640MB・1.3GB・2.3GBの容量がある(GBクラスの容量を持つものは「GIGAMO(ギガモ)」と呼ばれる[1])。他にも5.25inchタイプのメディアがあり、パソコン及びワークステーションサーバで用いられ最大で9.1GB(両面)の容量がある。

3.5インチの640MBまでのMOは内周からアクセスを開始するが、GIGAMOでは外周からアクセスする。また、5.25インチメディアではディスク両面に記録している。5.25インチメディアにはWrite Once Read Manyタイプや医療専用メディアまで存在する。

3.5インチメディアはフロッピーディスク2枚分の厚さを持つプラスチックカートリッジに収められている。このため記録面は指紋や傷などから保護され、むき出しのメディアより指紋や傷がつきにくい。またドライブの利用に際しても特にデバイスドライバは不要で[注釈 1]、データの読み書きもフロッピーディスクと同様の感覚で(つまりライティングソフトなしで)行うことができると共に下位互換性があるために旧来のメディア(例:128MBメディア)を最新のドライブ(例:2.3GB対応ドライブ)で利用することも可能である(この逆は容量の問題で不可)。ただし、初期規格のメディアを最新規格のドライブで書き込むことができない等の制限はある。

メディアの耐久性も高く、各メディア製造メーカーの加速劣化試験によるとデータ保持寿命は推定50年から100年とされ、現在もMOの耐久性に匹敵するメディアは存在しない事からプロユースを中心とした需要は根強い(使用環境にもよるが、メディアよりもドライブの寿命の方が早いことすらある)。なお、MOの書き換え回数はハードディスクドライブをも上回る1000万回とされる(GIGAMOは100万回以上)。対するハードディスクドライブは100万回以上とされる。

3.5インチメディアにおいては、近年ではMedia IDと呼ばれる著作権保護機能が備わったメディア / ドライブが発売されている。

5.25インチメディアは3.5インチメディアが普及する以前に発売され、円盤の大きさはコンパクトディスクとほぼ同じで通常はDVD-RAMカートリッジとほぼ同形状のカートリッジケースに収められているが使われる機器によりケースに収めていない場合もある。

DVD-RAMと違ってMS-DOSのデフォルトでデフラグが可能で頻繁な同期化、バックアップ用のメディアとして適している[注釈 2]

大容量化

3.5インチMOはこれまでに幾多の技術を盛り込んで大容量化してきた。その技術のすべてを以下に挙げ、解説する。

MSRは磁気超解像(Magnetically included Super Resolution)のことで、フロントマスクとリアマスクによってレーザのビームスポット(照射面積)を狭めることで記録密度、読み取り精度を向上することができる。また素材が摂氏150度になったときだけ記録層の磁気を再生層に転写する中間層を設け、読み取り精度を高めている。しかしこの読み取り方式の特性上、従来よりも読み取り用レーザの出力が約7倍に高まることになり、結果として書き換え回数を激減させてしまった。 記録方式にMFM方式、再生技術にMSR技術を採用し2インチ(5cm)径で730MBの容量を持つiD PHOTO規格が実用化されたが、普及には至らなかった。

このほか、磁区拡大再生技術(MAMMOS:Magnetic AMplifying Magneto-Optical System)や磁壁移動検出方式(DWDD:Domain Wall Displacement Detection)といった記録再生技術や、青紫色レーザを利用することで5.25inchサイズで最大200GBの容量が見込まれている。このうちMAMMOSは従来のレーザ波長で20GB/12cm、現時点でのDWDDは従来のレーザー波長で3GB/5cmの容量とされる。なおDWDDの技術目標は100GB/12cm、青紫色レーザで200GB/12cmを見込んでいる。ちなみに、DWDDを用いたメディアとしてHi-MDがある。Hi-MDはMDの上位互換のメディアで、MDと同じサイズで1GBを実現している。

記録方法の高速化

当初のMOディスクへの書き込みはディスクの1回転毎に以下の3行程を行っていたため、ヘッド - MO間の物理的なデータ転送速度が遅かった。

  • 磁性層のデータ消去(フォーマット
  • 磁性層へのデータ記録(書き込み)
  • 磁性層に書かれたデータの検証(ベリファイ)

寸法の大きい5.25インチタイプでは複数のレーザーを照射し、複数の行程を同時に行い物理的なデータ転送速度を速くしたドライブもある。

現在では以下のような方法で物理的な書き込み速度を向上させると共に、MOドライブに搭載されるキャッシュメモリの大容量化とキャッシュコントローラの改良によるデータ転送の改善も図られている。

  • 「消去」と「記録」を1回転中の工程で行う技術(ダイレクトオーバーライト。対応するドライブとメディアを組み合わせて使用した場合のみ有効)
  • ディスクの回転速度向上(1996年末で最大3,600rpm2005年末で最大6,750rpm)
  • ディスクのデータ密度向上

MOの耐久性

MOの耐久性は次のような要因による。

  • カートリッジに収められていることで、傷や埃によるダメージが少ない
  • ディスクの両面を覆う分厚いポリカーボネート製の保護層により傷へのさらなる耐久性が高まる
  • 記録時のレーザーの出力がCDやDVDと比較するとはるかに弱いため、ディスクへのダメージが少ない
  • 加熱しないと磁気の影響を受けないため、磁石を近づけただけではダメージを受けることはない
  • CD-RDVD-Rとは違い、紫外線の影響はほとんど受けない
  • フロッピーとは違ってヘッドが接触することがないため、ディスクやヘッドが摩耗することはない

その他のメディアが抱える弱点に悩まされることが少ない点が、MOに対する根強い支持に繋がっている。

ただしドライブの構造上、レーザー岐路にプリズムを使っているため、喫煙場所やほこりの多い室内で使うと書き込み読み取りエラーが出て、耐久時間内にもかかわらず故障となることが多い。分解して清掃すると回復するが、かなりの熟練を要する。また高温下で使うとディスクの冷却が遅くなるため、書き込み速度の低下が起こる(電子投票に使われたMOで不具合が発生し記事になった[2])。現在のドライブ自体は10万時間の耐久性がある。

普及と衰退

MOの普及率は世界的に見た場合には決して高いものではなく、むしろ日本での普及の高さはかなり珍しい部類に入る。1990年代にはドライブ単価の安いZipドライブが世界中で普及を見せ、MOは他のリムーバブルメディア共々その余波をまともに浴び普及は微々たるものだった。その後、1990年代後半からはCD-Rが安価に出回るようになり、さらにはフラッシュメモリの大容量・低価格化による普及も進んでいるためMOは地味な(あるいはそれ以下の)存在のままである。

一方、日本国内では当初から企業や官公庁を中心に登場時からデータの保存・運搬用として広く普及しており、デスクトップパブリッシングやデザイン・印刷・出版の分野では、そのメディア信頼性の高さと容量に対するコストパフォーマンスの良さから広く使われている。特にPC-9800シリーズではデバイスドライバを必要とせずSCSI接続のMOからのブートも可能だったため、Windowsの普及初期に広く出回った(PC/AT互換機ではデバイスドライバが必要)。Windows 95まではHDDレスのシステムも構築可能だった。1990年代にはZipドライブの普及に押され気味だった時期もあったが、Zipドライブが衰退し始めてからは一時期勢いを取り戻したこともあった。しかし代わってCD-RWDVDドライブがパソコンに標準搭載されることが急増し、さらに高速なフラッシュメモリー(主にUSBメモリー)が安価に出回るようになり始めてからはすぐに衰退の一途を辿った。富士通よりCD-ROM・MOの両方が使えるコンボドライブが開発・試作されたが、市場販売には至らなかった。MOはドライブの小型化やインターフェースにUSBバスパワータイプを採用した製品が登場し、信頼性・長期保管性に長けたメディアとして見直す動きもあったが、大容量化でDVDやBD、DDS、フラッシュメモリーに遅れを取ったこともあり、需要は伸びることはなかった。関連企業により1999年結成された「MOフォーラム」も2009年から休眠、2010年に解散しており、コンシューマー向けの規格としては終焉したとみてよい。

現在MOディスクドライブの生産・販売はロジテック[3]以外は終了している。コニカミノルタ2010年9月に販売を終了、富士通バッファローも生産を終了、オリンパス2005年後半に生産を中止して2006年3月にMO事業から完全撤退した。記録メディアについては、日立マクセル2009年9月末に、三菱化学メディアは2009年12月末にMOディスクの販売を終了している。アイ・オー・データ機器も在庫限りの販売になっており、これで日本国内でディスクを製造しているのはソニーのみになった。

ラジオ放送業務用としては、信頼性・耐久性・使い勝手の面からMOを積極的に採用しており、2000年代中盤以降はラジオ放送局内のデジタル化進展や業務用6mmテープの在庫希少化により番組制作・CM制作・番組搬入用の録音メディアとしてPro-MO(業務用MO)が使用されている[4]。代表的なレコーダーとしては、DENON ProfessionalのDN-H5600N・DN-H4600N(いずれも生産終了)などが現在も使用されている。しかしこの分野も、ディスクおよびディスクドライブの生産・販売が終了しつつあることに伴い、徐々にSDメモリーカードコンパクトフラッシュなどフラッシュメモリーを媒体とした機材に代替されつつある。 またCD制作時のマスターレコーダーとして、ソニーPCM-9000があった。これは、専用の5インチMO (5.2GB) を用いて、24bit/44.1kHzの音源を記録するものであった。

標準

  • ISO/IEC 10090(128MB)
  • ISO/IEC 13963(230MB)
  • ISO/IEC 15041(540 / 640MB)
  • ASMO 5inch
  • GIGAMO 《ギガモ》 3.5inch(1.3 / 2.3GB)- GIGAMOにはオーバーライトメディアはない

MD

基本的には音声録音用の光磁気ディスクであるが、データ記録用のMDもあった。ミニディスクを参照。

HS (Hyper Storage)

ソニーが開発した光磁気ディスク[5]で、3.5インチフロッピーディスクとほぼ同じサイズのカートリッジに納められており、容量は約650MB。HSの開発にあたっては日立製作所3Mが協力している。 1995年にSONYから発表され、将来的には2002年頃までに約2.5GBに容量を段階的に拡大する予定だった。しかし、当時普及していたMOとの互換性がない上にMOと比べてドライブやメディアが高額だったため普及しなかった。 現在はドライブ、メディアとも製造・販売は終了しており、開発も停止されたままである。

その他

1980年代から1990年代前半に磁気テープに代わる映像記録媒体として研究開発が行われ、アナログあるいはデジタル記録媒体として実用化された。ハードディスクの大容量化によって、ほぼ代替されている。ただし、1990年代後半から将来迎えるであろうハードディスクの記録密度の限界が問題視され、各磁気ディスクメーカーでは高速リードライト、高記録密度の光ディスクを研究している。

実用化例

メディアの論理フォーマット

光磁気ディスクメディアの論理フォーマットとしては、ハードディスク形式スーパーフロッピー形式の2種類がある。

ハードディスク形式
MOをハードディスクのようにフォーマットした形式で、パーティション分割可能。PC/AT互換機においては「FDISK形式」、FMRシリーズFM TOWNSにおいては「富士通形式」と呼ばれるものが用いられる。その他、PC-9800シリーズ、MacintoshUNIX等にも独自のフォーマットがある。
なお、後述のスーパーフロッピー形式に比べメディアのマウント・アンマウント(取り出し)に制限を受けることがある。
スーパーフロッピー形式
MOを大容量のフロッピーディスクのようにフォーマットした形式で、主にWindowsで利用される。「MS-DOSフォーマット済み」として市販されているMOはこのスーパーフロッピー形式である。パーティション分割ができない。
スーパーフロッピー形式をさらに分類すると、IBM形式セミIBM形式の2種類に細分できる。ちなみに、MOにおけるIBM形式はフロッピーディスクにおけるIBM形式とは無関係である。

注釈

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脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

テンプレート:Sister テンプレート:光ディスク

テンプレート:補助記憶装置
  1. 富士通とソニーが、1.3GBの3.5型光磁気ディスクシステムを共同開発ソニー 1998年11月5日 プレスリリース
  2. テンプレート:Cite web
  3. プレスリリース - >現役でMOをご使用中の方に朗報。Windows7、Mac OS X Lionでも動作する、USB 2.0バスパワー対応ポータブルタイプ外付型MOユニット新発売! - ロジテック
  4. ProMO ユーザーインタビュー SONY Pro-Media 放送・業務用レコーディングメディア
  5. 3.5インチで容量650メガバイト 大容量光磁気ディスク“HS”ディスクユニット 発売 ---個人のコンピューター環境を可搬メディアで実現する高性能--- ソニー 1996年1月25日 プレスリリース


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