JR西日本281系電車

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テンプレート:鉄道車両 281系電車(281けいでんしゃ)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)の直流特急形車両

概要

1994年9月4日に開港した関西国際空港への空港アクセス列車である特急はるか」の専用車両として、同年春に川崎重工業近畿車輛で製造された。

1994年度グッドデザイン賞[1]、第5回ブルネル賞近距離列車部門最優秀賞を受賞している。

構造

車体

車体は普通鋼を基本とし、塗装は大空に輝く雲をイメージさせるシャイニングホワイトをベースに、肩部には無限に広がる宇宙をイメージしたコスモグレー、車体の袖部には成層圏をイメージさせるストラトブルーが使用されている。車体側面には「はるか」ロゴが描かれている。先頭車前面はS字型の形状になっており、非常時用の貫通扉が備えられている。付随車の屋根部には大きくJRのロゴが表記されている。

警笛は、タイフォンに加え、681系電車と同じ旋律ミュージックホーンが装備されている。前照灯は前面腰部に2基、尾灯連結器の左右に発光ダイオード (LED) 式のものを設置している。

後述のお召し列車としての運用のため、ガラスは防弾ガラスを利用している。

主要機器

制御装置は、東芝GTOサイリスタ素子によるVVVFインバータ(1C1M制御)である。形式名は WPC4 であり、ほぼ同時期に登場した207系1000番台や223系0番台などと同一である。主電動機は定格出力180kWの WMT100B かご形三相誘導電動機が装備されている。

補助電源装置 (WSC40) は130kVAの容量を有する静止形インバータ (SIV) であり、電動車に1基搭載されている[2]

空気圧縮機(WMH3094-WTC1000改)は1000lの容量を有し、6両編成では編成中に2基、3両編成では編成中に1基搭載されている[2]

集電装置は下枠交差式パンタグラフ (WPS27D) が採用され、各電動車の京都寄りに1基設置されている[2]

空調装置は、集約分散式のWAU703を屋根上に1両あたり2台搭載されている。1台あたりの冷凍能力は18,000kcal/hである[2]

車内

車内は運用開始当初から全席禁煙とし、一部の車両に限って喫煙コーナーが設置されていた。喫煙コーナーには灰皿を2個埋め込んだカウンターテーブルを窓際に設置し、天井に換気扇を設置していた。その後、2007年3月18日から全面禁煙化により灰皿が撤去され、携帯電話の通話などのフリースペースとされている。

グリーン車の座席は681系に準じた回転式リクライニングシートが横2+1列の3アブレストで配置され、シートピッチは1,160mmである。座席のモケットは、関西の伝統が感じられる落ち着いた空間を演出するために、レイッシュパープルが採用されている。テーブルは肘掛けに収納された小型のものを取り付けており、座席の背面にはテーブルの代わりにマガジンラックが取り付けられている。

普通車の座席は、シートピッチ970mmの回転式リクライニングシートが横2+2列の4アブレストで配置される。モケットは包み込むような上品な空間とするため茶色黄色が採用された。グリーン車と同様に背面テーブルは設置されていないが、収納式のカップホルダー付きの小型テーブルが取り付けられている。

折り返し駅での清掃時間短縮のため運転席より全座席を自動で方向転換できる機構が装備されている。航空旅客が携行するスーツケースなどの大型荷物を置くことが可能な荷物置場は、各車両の出入口付近のデッキに設置されている。

編成・形式

クモハ281形 (Mc)
普通席を備える制御電動車。関西空港向き運転台、喫煙ルーム[3]が設置され、VVVFインバータ装置・補助電源装置・集電装置などが搭載されている。定員44名。
クハ281形 (Tc)
普通席を備える制御付随車。関西空港向き運転台・荷物室[4]が設置され、空気圧縮機などが搭載されている。定員44名。
クロ280形 (Tsc)
グリーン席を備える制御付随車。京都向き運転台・トイレ洗面所が設置されている。定員30名。
クハ280形 (Tc)
普通席を備える制御付随車。京都向き運転台・トイレ・洗面所が設置され、空気圧縮機などが搭載されている。定員44名。
モハ281形 (M)
普通席を備える中間電動車。喫煙ルーム[3]が設置され、VVVFインバータ装置・補助電源装置・集電装置などが搭載されている。定員48名。
サハ281形
普通席を備える中間付随車。
0番台(T)
車いす対応トイレ・洗面所・車いす対応座席などのバリアフリー設備が設置され、空気圧縮機が搭載されている。定員42名。
100番台(T1)
トイレ・洗面所が設置されている。定員48名。
2011年4月1日現在の編成表
テンプレート:TrainDirection
基本編成 クロ280
- 0
モハ281
- 0
サハ281
- 0
サハ281
- 100
モハ281
- 0
クハ281
- 0
付属編成 クハ280
- 0
サハ281
- 100
クモハ281
- 0

営業運転開始当時は関西空港寄り先頭車がグリーン車クロ280形、京都寄り先頭車は荷物室付きの普通車クハ281形であった。クハの荷物室は京都駅構内に設置されていた京都シティエアターミナル (K-CAT) で搭乗手続きを済ませた国際線航空旅客の手荷物を収容するものであった。その後 K-CAT 廃止に伴い先頭車両の方向転換が実施され、京都寄り先頭車がグリーン車になるよう改められた。なお、荷物室は使用停止のままで、客室への改造もされていない。

車両配置と運用線区

2012年6月1日現在、基本編成の6両編成9本、付属編成の3両編成3本、計63両が吹田総合車両所日根野支所(旧日根野電車区)に配置されている[5]。運転開始当初は5両編成だったが、好調な乗車率のために付随車を新造・増結し現行の6両編成とされ、さらに3両の付属編成も用意された。

特急「はるか」の専用車両として米原駅 - 関西空港駅間で運用されている。朝晩の一部列車が付属編成を併結した9両で、そのほかの列車は基本編成の6両で運転されている。付属編成は関西空港側に連結される。年末などの多客期には3両付属編成が不足するため、6両基本編成から中間車3両を抜き取って他の6両基本編成に挿入して9両貫通編成を組ませて、残った3両を付属編成として他の6両基本編成に増結する変則9両編成を組む事もある。この場合、一部「はるか」にグリーン車2両の列車が発生する事になる。

「はるか」以外の営業運転では、1999年10月2日には舞鶴線電化開業記念列車として舞鶴線に入線したほか、お召し列車として下記のように運用された。

歴史

  • 1994年(平成6年)
    • 3月:第1編成が完成。運転開始までに5両編成9本(45両)が揃う。
    • 9月4日:関西国際空港が開港し、「はるか」として営業運転開始。
  • 1995年(平成7年)
    • 4月:中間付随車が新製され、6両編成化される。
    • 7月:付属3両編成3本(9両)新製。
  • 2002年(平成14年)10月1日:編成の方向転換が行われる。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

参考文献

関連項目

外部リンク

テンプレート:Sister

テンプレート:JR西日本の車両リスト
  1. グッドデザイン賞受賞概要 - 日本産業デザイン振興会
  2. 2.0 2.1 2.2 2.3 テンプレート:Cite book
  3. 3.0 3.1 2007年3月18日以降携帯電話スペースに変更。
  4. K-CAT での国際線搭乗手続業務終了後は使用停止。
  5. テンプレート:Cite book