ホンダ・ホーク
ホーク(HAWK)とは、本田技研工業が1977年から1980年にかけて製造販売していた、直列2気筒エンジンを搭載したオートバイのシリーズである。
目次
概要
ドリームCB400FOURの後継として投入されたのがホークシリーズである。販売当初は、その野暮ったいスタイルによる下馬評にもかかわらず、当時のライバルであるヤマハのRD、GX、スズキのGT、GS、カワサキのKH、Zを凌駕する性能の高さでベストセラーモデルになった。
なお各車両ともCBシリーズのとしての機種記号も割り振られているが、ペットネームである「ホーク」のシリーズ車種として扱われている。
CB400T (HAWK-II)
CB400T(ホーク II)は1977年5月25日にドリームCB400FOURの後継として発売された[1]。ドリームCB400FOURが直列4気筒であったのに対し、CB400Tが直列2気筒であるのは、ミドルクラスなら4気筒より2気筒のほうが速いとの理論に基づいて開発されたことにある。
実際に電気進角式CDIを採用したバランサー内蔵の超ショート・ストローク(70.5×50.6)の直列2気筒SOHC3バルブエンジンはドリームCB400FOURの37/36馬力に対して約1割増の40馬力を誇った。
このモデルには「コムスターホイール」と名付けられたホンダ独自の組み立て式ホイール(当初はアルミリムに鉄製のスポークプレートをリベット止めしたもの、スポークホイールやキャストホイールよりコストが低かったという)が採用されたが、その他の各部のつくりはメーター周辺にプラスチックが多用されたり、フレームは鉄板プレス張り合わせのダイヤモンド形式、トップブリッジは鉄板プレス製、メインキー連動ハンドルロックは省略等、コスト高だったドリームCB400FOURに対して大幅なコストダウンを目指したものともいわれる。
カフェレーサー風の華麗なスタイルで人気を博したドリームCB400FOURと違い、スタイルは野暮ったく、丸いガソリンタンク、アップハンドル、厚いロール&タックシート、短く太いマフラーなどが装備された。ただしアメリカンタイプとヨーロピアンタイプを混ぜたようなスタイルは誰にでも乗りやすかったため、教習車としても多く使われたり、その人気も決して低くなかった。
発売当時のタンクが丸く、やかんに似ているから「やかんタンク」と揶揄されたが、このやかんタンクは、1978年3月9日のマイナーチェンジが行われ[2]、後述する「ホンダマチック装備車」と同じやや角張ったタンクに変更される。
CB400Aホンダマチック装備車 (HAWK)
CB400Aホンダマチック付(ホーク)は1978年1月25日に発売された[3]。これは、ホンダ・エアラに続いてオートマチックトランスミッションを搭載したモデルで、四輪の技術だったホンダマチックを搭載し、通常クラッチレバーの位置がサイドブレーキになっていたり、通常タコメーターの位置がシフトパターンの表示になっている。
CB400N (HAWK III)
CB400N(ホーク III)は1978年8月24日に発売された[4]。CB400T(ホークII)を元として、CB750F(発表順はCB900F→CB400N→CB750F)に似たヨーロピアンスタイルを取り入れ、コンチネンタルハンドル、6速トランスミッション、フロントダブルディスクブレーキ、アルミスポークプレート(オールアルミのコムスターホイール)など走りに徹したスポーツモデルとされている。
CB400D (SUPER HAWK III)
CB400D(スーパーホーク III)は1980年7月24日に発売された[5]。ハンドルロック連動のイグニッションキー、ジュラルミン鍛造のセパレートハンドル、ブレーキペタル、チェンジペタル、二輪車初のデュアルピストンキャリパーの採用や、セミ・エアサスペンションの採用、リアブレーキがドラム式からディスク式に変更された。
CB250T (HAWK)
CB250T(ホーク)は1978年4月20日に発売された[6] 。CB400T(ホーク II)のボアダウン版となっている。初期のモデルはCB400Tと違いスポークホイールを装備した。
CB250N(HAWK)
CB250N(ホーク)は1979年7月21日に発売された[7]。CB400N(ホーク III)のボアダウン版だが、コムスターホイールのスポーク部がアルミではなく、前後とも18インチなどの違いがある。CB400Nには設定のないCB750Fと同じブルーメタリックがラインアップされていた。
SUPER HAWK
スーパーホーク[8]は1980年9月6日に発売された[9]。CB400D(スーパーホーク III)と車体を共通化しているが、ホイールやサスペンションなど異なる点も多い。
エピソード
- 当初は2気筒エンジンの同クラスにおいて優勢であったが、1979年に発売されたカワサキのZ400FX、1980年に発売されたヤマハのXJ400、スズキのGSX400Fといった直列4気筒DOHCエンジンを搭載したモデルが登場するとよりスポーツ志向を強くしたCB400Nをもってしてもさすがに販売面で苦しくなっていった。ホンダがこのクラスで再度逆転するのは、ホンダとしては400、4気筒として二巡目となるCBX400Fが発売された1981年をもってである。
脚注
関連項目
- ホンダ・CM(400ccと250ccはホークシリーズのエンジンを搭載していたクルーザータイプの姉妹車)
- ホンダ・VTR1000F(ホークシリーズとはエンジン形式等関連はないが、北米仕様にSuper Hawkのペットネームが付けられていた)
- ホンダ・ナイトホーク