博覧会国際事務局
博覧会国際事務局(はくらんかいこくさいじむきょく、テンプレート:Lang-en, テンプレート:Lang-fr, BIE)は、国際博覧会の開催について責任を持つ国際組織。国際博覧会事務局とも。2005年現在、98か国が加盟。1928年に締結された国際博覧会条約(BIE条約)に基づき同年設立された。パリに本部をおく。博覧会国際事務局によって承認された博覧会のみが、国際法上「国際博覧会(万博)」を名乗ることができる。ただしBIE非公認の博覧会でも、例外的に国際博覧会と呼ばれることがある(例:1964/1965年ニューヨーク世界博)。このほか、BIE条約成立以前から開催されていた一部の博覧会は、国際博覧会(万博)を名乗ることがBIE条約で認められている。詳細は国際博覧会を参照のこと。
BIE条約加盟国が国際博覧会を開くときには、政府がBIEに申請を行い、BIE総会で承認されると国際博覧会として開催することができる。条約上はBIE条約非加盟国も申請は可能だが、その場合、申請と同時にBIEに加盟することが多い。国際博覧会は1つ以上のテーマを持つこととされている。 国際博覧会は規模などで大別して「登録博覧会(登録博)」と「認定博覧会(認定博)」の2種類に分けられる(以前は「一般博」と「特別博」 の2種類に分けられていた)。
目次
登録博覧会と認定博覧会
博覧会国際事務局(BIE)のホームページでは、国際博覧会条約に規定する博覧会について、次のように説明がされている(訳は、筆者がつけた)。
- 登録博覧会(登録博)(または「総合的な万国博覧会」)(International Registered Exhibition (or World Exhibition))
- 開催間隔(Frequency): 5年おき(every five years)
- 開催期間(Duration): 6ヶ月以内(6 months at most)
- 会場面積(Area): 制限なし(not restricted)
- テーマ(Theme): 一般的・総合的な内容(注:国際博覧会の規定にある分類であり、総合的であること)(general (cf. General classification for International exhibitions))
- 認定博覧会(認定博)(International Recognised Exhibition)
- 開催間隔(Frequency): 2つの登録博覧会の間(during the interval between two International Registered Exhibitions)
- 開催期間(Duration): 3ヶ月以内(3 months at most)
- 会場面積(Area): 25ヘクタール以内(25 ha at most)
- テーマ(Theme): 特定・専門的な内容(specialized)
- 特別に「国際博覧会」と称することが認められている次の博覧会は、区分上は「認定博(旧条約の規定では特別博)」にあたる。これらは開催年や規模などについては上記の規定とは関係なく、別の規定で認められることとなっている。
- 国際園芸家協会が認定した国際園芸博覧会(Horticultural Exhibitions)のうち大規模(大国際園芸博覧会)なものでBIEが認めたもの
- ミラノ・トリエンナーレ(Triennal of Milan)でBIEが認めたもの
- 特別に「国際博覧会」と称することが認められている次の博覧会は、区分上は「認定博(旧条約の規定では特別博)」にあたる。これらは開催年や規模などについては上記の規定とは関係なく、別の規定で認められることとなっている。
博覧会の区分と歴史的変遷
現行の登録博覧会と認定博覧会の区分は、1996年発効の新条約(1988年条約)によるものである。 その前は1972年条約が適用されており、「一般博(Universal)」、「特別博または国際博(Internationalまたはspecialized)」の2種類に分けられていた。ただし、歴史的に別の区分が行われた時代もあった。
1933年から1976年
1933年から1976年までは、次の2種類の国際博覧会があった(1928年条約)。
- 一般博(General)
- 第1種一般博(first category) - 参加各国がそれぞれ自身のパビリオンをもつ。
- 第2種一般博(second category) - パビリオンの躯体は開催国側が用意する。
- 特別博(Special)または国際博(International) - パビリオンの躯体を開催国側が用意する専門(または国際)博覧会。
一般博と特別博(国際博)との最大の違いは、そのテーマが博覧会国際事務局が定めた人類の諸活動の二分野以上に渡るか一分野のみであるかという点であった。 一般博と異なり、特別博と次の特別博の間には期間に関する制限がなかった。しかし、特別博の一部で、いくつかの国は各国自身のパビリオンを建造した(1939年リエージュ博が該当する)。1962年シアトル21世紀博は、1937年パリ博や1939年ニューヨーク博と同じ第2種一般博覧会で、これらでは各参加国はパビリオンの建設が許されていなかった。
1976年から1996年
1972年、国際博覧会条約が改定され、国際博覧会の区分も若干変更された。この時代の国際博覧会は、大きくは「一般博(universal)」と「特別博(specialized)もしくは、国際博(international)」の2種類に分けられる面では同じではあったが、一般博の1種と2種の区分が廃止された。この分類は1975年沖縄国際海洋博覧会の次の博覧会から、2005年愛知万博の申請時まで使われた。この時代の一般博は、1992年セビリア博と2000年ハノーヴァー博がある。この時代の一般博では、各国はそれぞれパビリオンを建設することができた。また、建造物は発展途上国に対して開放されていた。一般博ではテーマはより広く、大きいものだった。特別博では、博覧会自身がパビリオンを建設した。
1996年以降
1988年、再び国際博覧会条約が改定され、新しい分類が採用された。それは、大規模で総合的な「登録博覧会(登録博)」と会期と規模、テーマに制限がつく「認定博覧会(認定博)」の2つである。「登録博」は新条約が発効していれば1995年から実施可能であったが、1996年の「2005年愛知万博」の申請(立候補)時までは新条約が発効できておらず、1972年条約が有効だった。そのため愛知万博は、申請時は旧条約による「特別博」に区分された。1997年6月のBIE総会で各国代表の投票により、日本・カナダ両国で2005年の開催権を争い、日本・愛知が多数を獲得し、2000年に総会で開催承認され「国際特別博」(新条約における登録博に該当する)として登録された。 その結果「愛知万博」は、1972年条約(旧条約)の「特別博」※と1988年条約(新条約)の「登録博」という新・旧の条約による国際博覧会となった(※ただし、特例で旧条約の「国際博」という区分にも含まれている)。
「登録博」は、新条約発効後は5年間隔で開催されることになっており、愛知万博の次は2010年上海万博であり、新条約のみでの登録博は上海万博が最初となる。
会場建設費用の負担に関しては、BIEは「2020年、2030年…など、西暦年数が10で割り切れる年の登録博では、博覧会自身がパビリオンを建設しなければならない。そして、間の5年(2015年、2025年、2035年…)には、博覧会のパビリオンのほか参加国がパビリオンを持つことを願う」と表明している。
この5年おきに開催される(予定)の登録博の間に1回のみ、認定博を行うことができる。これには、開催期間が3か月以下、会場面積は25ヘクタール以下、テーマは特定(専門的)という制限がつく。最初の認定博は2004年に開催予定であったが実際には開催されなかった。1992年ジェノバ博と1993年大田博は、認定博の試行を兼ねて行われた。最初の認定博として2008年にサラゴサ国際博覧会が実施された。
- 日本では、「2005年愛知万博」(登録博)が該当
日本との関係
日本国は1964年に国際博覧会条約1928年条約を批准。翌年発効。条約に加盟し、博覧会国際事務局の一員となった(ただし、BIEのサイトでは、日本の加盟日は1928年11月22日(BIE成立日と同日)となっている)。 なお、大日本帝国は1928年11月22日に国際博覧会条約1928年条約を締結していた。
なお、これまでに日本で開催された国際博覧会は「国際博覧会」の項目を参照のこと。