黒眼銀河
黒眼銀河 (Black Eye Galaxy) | |
M64 黒眼銀河 | |
星座 | かみのけ座 |
観測データ | |
型 | Sab |
赤経 (RA, α) | 12 h 56.7 m (J2000.0) |
赤緯 (Dec, δ) | +21° 41' (J2000.0) |
距離 | 1,600万 光年 4.9 Mpc |
視等級 | +9.4m |
視直径 | 9' x 5' |
物理的性質 | |
その他の名称 | |
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黒眼銀河[1](M64、NGC4826)はかみのけ座にある銀河である。1779年3月にイギリスのエドワード・ピゴットによって、また同年4月にはドイツのヨハン・エラート・ボーデによってそれぞれ独立に発見された。翌1780年にはシャルル・メシエも発見している。
渦巻銀河の中心核の手前にはっきりとしたダークレーンを持っているのが特徴である。この暗黒帯は銀河の星間塵によって光が吸収されるために黒く見えている。この暗い帯が黒目のように見えることからこの名前が付けられている。
一見すると暗黒帯が濃いという特徴以外にはごく普通の渦巻銀河に見える。他の大多数の渦巻銀河と同様に渦巻が巻き込まれる方向(地球から見て時計回りの方向)に回転している。
しかし最近の詳細な観測から外縁部分にある星間ガスは内側とは逆方向に回転していることが明らかになっており、これは過去に2つの銀河が衝突合体した名残ではないかと考えられている。研究者の推定では、約10億年以上前に伴銀河と合体し、この逆回転するガスを残したと見られている。この逆回転するガスとのずり運動によって星間ガスが圧縮され、この銀河では新しい星が活発に生成されている。
高解像度の画像を見ると、赤い水素ガスの星雲の中で高温の青く若い星が生まれていることが分かる。これは誕生した青い大質量星からの強い紫外線によって水素ガスが電離され、Hα線を放出しているものである。
過去に衝突した小さな銀河は現在ではほぼ完全に破壊されてしまっている。この小銀河の星は本体と合体したか、宇宙空間に四散してしまったと考えられる。しかし外縁部のガスが逆回転しているという観測事実に、過去の衝突の証拠が現在でもはっきりと残されている。
双眼鏡では小さなまるい星雲状に見える。口径8cmの望遠鏡ではぼんやりとした丸い光の集まりが見えてくる。口径15cmでは楕円形の様子がはっきりしてくる。口径20cmではくっきりとした姿が分かる。中心部の黒色部分はまれに口径7.5cmの望遠鏡でみたという人もいるが、通常は口径20cm以上で好条件であることを必要とする。はっきりと黒目を見るためには口径30cmを必要とし、黒目の湾曲構造も見えてくる。
出典
- ↑ メシエ天体ガイドM64AstroArts