高速鉄道

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テンプレート:独自研究 高速鉄道(こうそくてつどう)とは、主に200km/h以上の速度で走行できる鉄道システムを指す。車輌やインフラなどの個々の要素を意味する場合もあるが、それらの要素を組み合わせた、一つの「システム」を意味することも多い。 テンプレート:Multiple image

高速鉄道の定義

高速鉄道(新幹線・ICE・TGVなど)

国際的な定義のひとつとして、国際鉄道連合 (UIC) では最高速度250km/h以上で走行する列車[1]を指す。高規格化された在来線のみを走行する場合でもこれに該当するが、専用の高速新線を建設する場合はインフラ部分が250km/hでの走行に耐えうる基準を要求している。なお、「高速鉄道」とは車輌・インフラ・運用など「システム」を構成する全ての要素のコンビネーションによってもたらされるものであるとしている[2]。このことから、日本マスメディアフランスTGVドイツICEなどの高速鉄道を○○(国名)版新幹線と紹介することもあるが、新幹線はインフラ・信号・車両・経営・運営・保守・財務・マネジメントのすべてを高度に統合したシステムの名称であり、高速鉄道の一種とみるのが正しい。また、磁気浮上式鉄道リニアモーターカー)のうち高速輸送を目的としたものも高速鉄道に含まれると考えられている。

世界で最初に高速鉄道が整備された日本では、新幹線整備計画に伴い制定された全国新幹線鉄道整備法第2条で、新幹線鉄道を「その主たる区間を列車が200km/h以上高速度で走行できる幹線鉄道」と定義している。新幹線を法律で定義しているのは、在来線とは異なる運転規則や構造規則(いずれも省令)が必要なため。また、路線建設の際の勾配、曲線などの設計値も定められている。

最高速度

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試験走行(有人)での最高速度

営業最高速度

各国の高速鉄道開業年

高速鉄道の戦略など

高速鉄道は、世界の鉄道業界においては、莫大な建設財源などの問題はあるものの、中長期的には非常に有望な市場であり、特に東ヨーロッパ北アメリカBRICs諸国では、今後、大幅な進展が期待されるほか、高速鉄道網が発達している西ヨーロッパ諸国でも、潜在需要は少なくない。

この市場を制覇すべく、日本やドイツ、フランス、イタリアなどのいわゆる「鉄道先進国」は、高速鉄道の売込みにしのぎを削っている。同時に、特に西ヨーロッパでは、高速鉄道の相互乗り入れ(インターオペイラビリティ)も進展している。

その一方で高速鉄道は、鉄道技術だけでなく、電気・機械・建設・土木・情報工学・経営・経済・人間管理・人的能力・教育・法律などの多分野にわたる、非常に高度な技術を高度に結集したシステムである。それは即ち、一国の技術水準を評価する基準でもあり、一言で言えば「国の知的財産である。そのため、今後の世界規模の売り込みにあたっては、日本に限らず各国とも、積極的な受注戦略を立てる一方で、国の高度な技術が他国に流出しないような対策も、真剣に検討されている。

高速鉄道は、技術力が必要なのはもちろんだが、それだけでなく、高速鉄道の需要が存在するかどうかも重要な要素である。即ち、小規模な国家や、人口密度の低い国、あるいは、都市間流動(鉄道による都市間流動も含む)の小さい国では、たとえ鉄道技術が優秀であっても、高速鉄道の自国開発は事実上困難である(それ故に、ベルギーやオランダではTGVなどによる国際鉄道網が整備されている)。また、大規模かつ流動性の高い都市に至っても、複雑な事情故に自国開発できない国もある[16]

また、高速鉄道は、前述の通り数多くの分野の技術やノウハウを高度に結集したシステムの結晶である。そのため、海外から導入した技術を基にして、自国独自の高速鉄道を短期間で開発することは、事実上不可能である。たとえ開発が可能であるとしても、高速鉄道を構成する様々な要素の全てを高度化する必要や、鉄道の運営・技術に対する膨大な知識・ノウハウを有する必要があるため、非常に長い年月を要する。即ち高速鉄道とは、他国の技術をコピーして、短期間で自国技術として開発できるようなシステムではない(中国にしても、あくまで鉄道先進国である日独仏3国に対して技術移転を求めているのもその為であるが、台湾高速鉄道のように日本の車両・信号システムにドイツの分岐器を使用するだけで問題が生じるのも、其々に特化したシステムの高度さの証左とも言える。現実に中国の中国高速鉄路では2011年7月23日深夜、温州市付近を走行中のCRH1型列車が落雷を受け停車中、後続のCRH2E型が追突し死者35名以上を出すと言う惨事を起こしている)。

言うなれば、第二次世界大戦まで(核兵器出現以前)における戦艦空母機甲部隊などの軍備にも相当する、21世紀における総合的国力の指標でもある。

世界で初めて高速鉄道網を実現した日本をはじめ、ドイツやフランス、イタリアのような「鉄道先進国」が、完全な自国技術で高速鉄道を開発できたのは、上記の背景が存在する。

建設計画など

日本
いくつか新幹線の建設計画が進められている。2014年度に北陸新幹線長野-金沢間、2015年度に北海道新幹線新青森-新函館北斗間、2027年にリニア中央新幹線品川-名古屋間が開業する予定。※ 詳細は各路線の項目を参照。
中華人民共和国
中華人民共和国の鉄道では、京滬高速鉄道計画があり、日仏独加の受注合戦が熾烈を極め、最終的に全ての国が受注し、日本及びカナダの車両は既に納品されている。尚、今後は今回得た技術を基に自国生産を行う予定としている。
一方、人口密度の高い都市部で騒音被害や電磁波の懸念に関する苦情が増えており、建設計画の詳細を事前に明らかにしなかった成渝高速鉄道に対しては激しい反対運動も起こっている。
欧州連合 (EU)
2007年9月25日欧州議会は、EU域内の国際旅客鉄道輸送の自由化を可決し、EUの国境を超える国際鉄道旅客輸送は2010年に自由化される。既にイタリアのNTV社が、イタリア国内の高速鉄道輸送に参入することを決定しているほか、航空会社のエールフランス‐KLMも参入を検討している。
イギリス
2005年6月2日CTRL国内路線で運行する高速車両において、A-trainで臨んだ日立と契約を結び、2009年に部分開業した。また、2027年までに総事業費4兆円でロンドンと中部の主要都市マンチェスターなどを結ぶ最高時速400km/hの高速鉄道の建設計画があり、日本の新幹線技術が導入される可能性がある[17]。このほか、2005年からトランスラピッドタイプの磁気浮上式鉄道の導入計画も浮上している。
オランダ・ベルギー
2007年にはオランダのスキポール - ロッテルダム - ブレダ/ベルギー国境までの高速新線HSL-Zuidnl:HSL-Ziudを参照)とベルギーのブリュッセル - アントウェルペン - オランダ国境を結ぶLGV-Norden:HSL_4を参照)が完成し、乗り入れているタリスが大幅に速度向上する予定である。
ドイツ
バイエルン州ではトランスラピッドの建設が計画されていたが、2008年3月に中止が決定された[18]
ロシア
2006年5月、モスクワ - サンクトペテルブルク間で建設中の高速鉄道向けの車両において、ドイツ・シーメンス社とICE3ベースの新型車両サプサンの納入契約を交わした。また、日本の新幹線技術にも関心を寄せており、2007年にはモスクワ - ソチ間での新幹線技術導入に向けたトップレベルの交渉が行われている。
アメリカ
カリフォルニア高速鉄道による全長1127kmの鉄道建設計画が1996年に州政府によって策定された。建設には90億ドルの州債が発行されるため、2008年11月の総選挙でその是非について問われ、賛成票が多かったため、前進した。ロサンゼルスのユニオン駅とサンフランシスコの「Transbay Terminal」間を2時間半で結ぶ事になる。その他、MDPなど、ニューヨーク - ボストン - ワシントンDCアナハイム - ラスベガスなどに磁気浮上式鉄道の建設計画がある他、テキサス州 - フロリダ州ルートに、カナダのボンバルディア社製の「ジェットトレイン」を建設する構想がある。また、カリフォルニア州ヴィクターヴィルとネバダ州ラスベガスを結ぶデザートエクスプレスが民間資本によって計画されている他、構想段階の超高速鉄道としてはテスラモーターズ等が主導する、カリフォルニア - ロサンジェルス間を30分でつなぐ空気浮上式のハイパーループ計画が持ち上がっている。
カナダ
トロントからモントリオールを経由してケベックまでを、TGVとフランスのターボトレイン技術を基に製作されたボンバルディア社製の「ジェットトレイン」(最高速度300km/h)の建設計画がある。
ブラジル
ブラジル高速鉄道としてリオデジャネイロ - サンパウロ - カンピーナスを高速鉄道で結ぶ計画を進めており、当初は2015年に完成予定であったが、2010年現在、予算の確保等の事情から未定である。シビルエンジニアリング2010年4月号によれば、2009年にブラジル政府から示された入札ドラフトでは、事業費は政府が30%程度出資し、残りの建設費は落札した事業者がPhased Project Planning(段階的プロジェクト計画)等により調達することを前提としている。このため、今後予定される入札は、インフラ全体の建設だけではなく今後40年間の事業権を含めた事業が対象となる見込み。従って、鉄道建設や運用に関する技術力はさほど重視されず、建設及び運営コストの圧縮を重視した企業群が有利となる模様。
アルゼンチン
ブエノスアイレス - ロサリオ - コルドバ間(約710km)を結ぶ高速鉄道計画があり、2007年に行われた入札でアルストム社を中心としたフランスのコンソーシアムが優先交渉権を獲得[19]TGV-Duplexをベースとした車両が採用される予定。
インド
ムンバイ - アフマダーバード間(約490km)、バンガロール - ハイデラバード間、アムリトサル - ニューデリー - ラクナウ間、パトナ - コルカタ間、チェンナイ - バンガロール間などで最高速度250 - 300km/hの高速鉄道計画がある。高速鉄道の事業化に向けて日印両政府が政府間協議に入ることで合意しており、このうち第1号路線として検討されているムンバイ - アフマダーバード間では日本の新幹線方式が採用される可能性が高まっている[20]
イラン
エスファハーン - ゴム間(約240km)を最高速度250 - 270km/hの高速鉄道計画があり、テヘラン方面への在来線に直通予定。また、テヘラン - マシュハドをトランスラピッドで結ぶ計画がある。
タイ
バンコク - ナコーンラーチャシーマー間を最高速度200km/hの高速鉄道計画がある。
サウジアラビア
メッカ - ジッダ - マディーナ間(約440km)の高速鉄道計画がある。
パキスタン
ラーワルピンディー - ラホール間(約280km)を最高速度300km/hの高速鉄道計画がある。
メキシコ
メキシコシティ - グアダラハラ間を最高速度300km/hの高速鉄道計画がある。
モロッコ
タンジェ - ケニトラ間(約200km)を最高速度320km/hの高速鉄道計画があり、18編成のTGV-Duplexが導入され、2013年に営業開始予定。またカサブランカマラケシュアガディール方面への延伸計画もある。
南アフリカ
ヨハネスブルグ - ダーバン間(約700km)の高速鉄道計画があり、韓国がKTXの技術供与を申し出ている。
その他
ベトナムベトナム高速鉄道)、マレーシアクアラルンプール) - シンガポール間、トルコ、イスラエルなどに高速鉄道の建設計画がある。

ギャラリー

リニアモーターカー

鉄輪式高速鉄道

アジア

ヨーロッパ

脚注

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関連項目

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外部リンク

テンプレート:高速鉄道 テンプレート:日本の新幹線 テンプレート:公共交通

  1. UIC CODE 660,1.General
  2. General definitions of highspeed,www.uic.asso.fr テンプレート:En icon - 高速鉄道の一般定義
  3. 東北新幹線宇都宮-盛岡間の「はやぶさ」単独列車)
  4. 東ヨーロッパ線内のみ
  5. フランス国内の東ヨーロッパ線にて、ICE3のみ
  6. 開業当初は、車両はフランスから、軌道周辺技術はドイツから技術供与されたが、現在は自国開発車両も運行中。最高速度は330km/hだが、営業速度は300km/h。
  7. 7.0 7.1 車両はフランスから技術供与。
  8. 日本から技術供与。分岐器はドイツから、運転士はフランスから提供。
  9. 車両はTGVをベースに製造。ドーバー海峡の海底トンネル内は160km/h。
  10. 車両はTGVをベースに製造。オランダ・ドイツ国内は200km/h。
  11. 日独仏加から技術供与。
  12. ドイツから技術供与。
  13. スウェーデンの鉄道、EuRail(2013年5月19日閲覧)
  14. ドイツから技術供与された磁気浮上式鉄道
  15. Ankara-Eskişehir hızlı tren fiyatı
  16. 例えば、アメリカの場合はTGVが開発され、開業した1960 - 80年代には国政経済的に大赤字(ニクソンショック双子の赤字ブラックマンデー)であった事と、元々アムトラックは輸送公社ながら、実質自社路線が北東回廊と呼ばれる路線とミシガン州の一部のみであり、他は日本で言う第二種鉄道事業者のように、アムトラックの名前を借りているのみである。その為、他社線路なので公社で開発する事もできず(アムトラックでは頻繁に遅れが出ているが、自社路線ではないので対応が利かない事も一因)、尚且つ1979年の航空緩和によりサウスウエスト航空などのLCCが台頭し、ビジネス客を殆ど奪われた為、現行の客層が低所得層及び退職者による旅行がメインとなった事も一因である。現行北東回廊路線370km区間には、高速列車アセラ・エクスプレスが走行しているが、こちらもTGVベースである(ただし、在来線を走行するため、線形の関係で最高210 - 240km/hしか出せない)。現行計画中のカリフォルニア高速鉄道も、日独仏などの高速鉄道が参入を表明している。
  17. テンプレート:En icon英が4兆円で高速鉄道整備 日本の新幹線導入も
  18. テンプレート:Cite web
  19. テンプレート:En iconArgentina chooses Alstom-led consortium to build the first very high speed line in Latin America
  20. インド、新幹線の採用前進 日本と事業化協議、首脳合意へ - 2012年11月19日付日経新聞