馬術

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馬術(ばじゅつ)はに騎乗して運動の正確さ、活発さ、美しさなどを目指すスポーツ技術体系、また競技種目である。

概説

現代における馬術を大きく分類すると「ブリティッシュ馬術」と「ウェスタン馬術」の2つに分類される[1]。「ブリティッシュ馬術」はヨーロッパ発祥の馬術であり、それに対して「ウェスタン馬術」は新大陸におけるカウボーイ乗馬を起源とした馬術である。

ヨーロッパの馬術は古代ギリシアで発達し、クセノポンの著作は現存する最古の馬術書として知られているが[1]、近代馬術はルネサンス期のイタリアでクセノポンの再評価から始まった[1]18世紀フランスのド・ラ・ゲリニエールは、この流れを集大成し「近代馬術の父」と呼ばれている。また、19世紀ドイツのシュタインブレヒトは現在のドイツ馬術全盛の基礎を築いた馬術家として知られており、彼らの騎乗法・調教法が今日の馬場馬術の基礎をなしている。

一方、障害飛越競技総合馬術の分野では、20世紀初頭、イタリア騎兵将校のカプリリーが編み出した、鐙を短くして上半身を前傾させる騎乗法が広く採用されている。

日本の古来からの馬術は日本でもほとんど廃れ、一部の研究家が実践するにとどまっている(時代劇大河ドラマなどでも乗馬シーンのほとんどは、ブリティッシュかウェスタンの馬術によっている)。

上二者は技術もスタイルも大きく異なっているが、双方に共通する最も大きな特徴は愛馬精神の尊重である。オリンピックでは動物を使用する唯一の種目であり、選手自身の性別に左右されること無く純粋に個人の技量を競うことの出来る唯一の競技でもある[2]

ファイル:Rolex XCountry.JPG
総合馬術競技のうち、クロスカントリーの様子

なお、オリンピックでは、馬場馬術(Dressage ドレッサージュ)、障害飛越競技(jumping ジャンピング)、総合馬術(Eventing イベンティング)の3種目によって行われるが[2]、FEIによって開催される世界馬術選手権(World Equestrian Games)ではこれらに加え、長途騎乗(エンデュランス)競技(endurance riding)、レイニング(Reining)、馬車競技(en:Combined driving)、障害者馬術(en:Para-equestrian パラエクエストリアン)、軽乗競技(en:Equestrian vaulting)、の計8種目により行われる[3]

かつて、パリオリンピック(1900年)では「乗馬走り高跳び」「乗馬走り幅跳び」の2種目があったが、転倒・落馬の危険が高いため、この回のみで廃止された。アントワープオリンピック(1920年)では「乗馬フィギュア(個人・団体)」の種目があったが、この回のみで廃止された。近代オリンピックにおいては、ヘルシンキオリンピック(1952年)にて軍人以外の男子および女子の参加が認められるまでは、馬術は軍人だけが参加できる競技であった。

用語

明治以降、日本での馬術は、伝統の馬術を廃して西洋馬術を主に、大日本帝国陸軍陸軍騎兵学校を参照)において導入し発達したという経緯がある。そのため、用語の多くは、軍隊用語の流れを汲むものとなっている。

  • 脚(きゃく)
    騎乗者のあし(下腿・ふくらはぎ)を意味する。馬のあしは肢(あし)と表現して区別する。脚の馬腹との接触は人馬のコミュニケーションにおいて重要で、馬を推進させる方向に働く。

伝統日本馬術

日本での馬術は弓馬の道、武芸十八般にも数えられているように、中世武士にとって必須科目であった。しかし、江戸時代を降るにつれて日本古来の馬術が没落していく。その要因として、長きに渡った平安な世の中であったこと、武芸より政治的手腕を重視されるようになったこと、乗馬できる人がごく限られていたこと、馬術を教われるほどの財産を所持していない者が多かったことなど様々である。日本において馬とは、刀剣鉄砲と同じように兵器として扱われていたので、武士以外の身分商人農民)などは通常、乗馬することを禁止されていた。

特色として、蹄鉄が伝えられていなかったので、わらじをはかせていたか、が硬いので何もはかせずに乗っていたことがあげられる。また、去勢の技術が伝えられていなかったこと、戦場には人を齧るくらい元気な牡馬が尊ばれていた。

日本の古来の乗馬位置は西洋馬術と反対の右乗りである。平治物語絵巻や1887年のイギリス・イラストレーテッド・ロンドン・ニュースなど古来から明治初期まで日本人が馬には右から乗っていたことを示す絵画が存在する[4]

競技種目としては流鏑馬笠懸打毬などがある。

日本の馬術流派

テンプレート:武道・武術

ブリティッシュ馬術

貴族社会のたしなみを反映した流派であり、運動の正確さ、美しさなどを重視する。

馬術家の礼儀・作法も重んじており、公式の場では燕尾服トップハット(シルクハット)軍服などの正装を要求する[1]。ほとんど見られることはないが、女性の正装はロングドレス、つば付きの帽子で胸に花をつけサイドサドルを用いる。

一般的に障害競技では乗蘭メット、馬場馬術競技では乗蘭、あるいは燕尾服にハットが義務付けられる。基本的には、収縮課目であるか否かで乗蘭と燕尾服の使用が分かれるような慣習があり、収縮課目では燕尾服とするのが一般的である。乗蘭には黒と赤があるが、赤は本来、狐狩りのリーダーが着るものであり、通常は黒の乗蘭を用いる。

乗馬スタイルは、手綱を比較的緊密に用いて馬への細かい指示を可能にしている。馬具はシンプルな、脚を使いやすい(サドル)を用いる。オリンピックをはじめとした、公式の馬術競技で競われる種目のほとんどはブリティッシュ馬術に由来する。

ファイル:English saddle.jpg
ブリティッシュ乗馬用の鞍

ウェスタン馬術

未開拓の新大陸(西部開拓時代)で長距離の騎乗を行うことを目的とした、カウボーイ乗馬に端を発する馬術である。服装も、カウボーイハット、バックル、ジーンズとウェスタンファッションが正装である。

ファイル:Westernsattel.jpg
ウェスタン乗馬用の鞍。右は腹帯

長時間座っても疲れない堅牢な(サドル)を使用し、手綱はルーズレインと呼ばれ、馬が自由に首を動かしバランスをとりやすい様ゆるませ、ハミに直接プレッシャーを掛けるのではなく、手綱(レイン)を馬の首に触れてコントロールする乗り方が特徴。これは、カッティング競技などで必要な馬の反射神経を最大限に活用させるための工夫でもある。

カウボーイの仕事から発生した馬術である。ウエスタンホースマンシップ 、 レイニングバレルレーシングカッティングなどの競技も存在する。ロデオ競技にその技術が使われてはいるが、ロデオ競技とは別物である。

一般的に、ウェスタンにおいては片手手綱での騎乗も特長のひとつとされているが、これは利き手を作業のためにあけておくために必要な高等技術であり、上級競技以外の競技や基礎練習などでは、両手手綱が基本となる。日本でそういわれているが、ブリティッシュでも、ポロ儀典などの科目においては、片手手綱が必須である。多くの場合、片手で4本の手綱を繰る。

また、ブリティッシュ馬術における軽速歩が無いといわれることもあるが、日本でそういわれているだけのことで、Posting Trotといわれる乗り方がある。ただ、Posting Trotはブリティッシュの用語である上、ブリティッシュでもこの歩法はかなり最近用いられるようになったものである。それ以前には存在しないし、伝統的なスパニッシュ馬術などにも存在しない。

学生馬術

第二次世界大戦敗戦により、日本では兵科としての騎兵科は廃止され、馬術の拠点の一つが失われた。また、当時は既に世界中で騎兵そのものが廃れつつあり、それに代わって自動車化歩兵機械化歩兵)や戦車が急速に台頭する時代に突入しており、国防組織として警察予備隊保安隊陸上自衛隊が発足しても、騎兵は復活しなかった。

馬術には、馬匹と馬場・厩舎等の設備が不可欠であり、乗馬クラブが平成の現在ほど普及していなかった戦後期には、学生馬術が馬術競技を行う主体として重要であった。現在でも、乗馬、特に馬術競技を始めるきっかけとして、大学体育会馬術部の存在は大きい。

大学体育会馬術部の競技会として、1928年(昭和3年)に第1回全日本学生馬術選手権大会が開催された。1957年(昭和32年)には、日本馬術連盟の傘下団体として、全日本学生馬術連盟が組織された。全日本学生馬術連盟は、全日本学生賞典馬場馬術・障害馬術・総合馬術および全日本学生馬術選手権・女子選手権を主催している。

障害者と馬術の関わり

身体障害を持つ者にとっても馬術の歴史が積み重ねられており、「紀元前5世紀に、戦争で傷ついた兵士を馬に乗せることで治療していた」とされる文献があるという[5]。障害者による競技は、「馬場馬術」が一般的になされ[6]、FEIも「障害者馬場馬術競技(Para-Equestrian Dressage)」を管轄している[7]。なお、限られた例ではあるが「障害飛越競技」に取り組んだ競技者も存在する[6]。馬術はパラリンピックの競技種目としても登録されている[8]。演目は規定演技を行う「チャンピオンシップテスト」と、各自で選んだ楽曲に合わせて演技を組み合わせていく「フリースタイルテスト」の2つがある[8]。競技者の障害程度により「Ⅰa」「Ⅰb」「Ⅱ」「Ⅲ」「Ⅳ」のグレードへ分類される[8]。 なお、FEIでは「障害者馬車競技(Para-Equestrian Driving)」も管轄しており世界選手権大会も開催している[9]

出典

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関連項目

外部リンク

  • 1.0 1.1 1.2 1.3 テンプレート:Cite web
  • 2.0 2.1 テンプレート:Cite web
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  • 6.0 6.1 テンプレート:Cite web
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