もち米

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蒸したもち米で餅をつく

もち米もちごめ、もちこめ、もちよね、もちまい、糯米テンプレート:Lang-en-short)とは、糯性をもつコメの品種群。糯性とはアミロースを全くあるいはほとんど含まない作物の種類を指す[1][2]

「糯」の一字でもち米を意味することもある[3]。同音の字として「餅」があるが、本来、「餅」はモチ性の穀粒などを蒸した上で搗くなどして作られた食物をいうのに対し[4]、「糯」はアミロースを全くあるいはほとんど含まない性質を持つ作物を指す[1][2]。ただし、近年では餅米と表記されていることもある。

糯米に対してアミロースを含む粘り気が少ないコメは粳米(うるちまい、うるごめ)、粳(うるち、うる)という。

概要

テンプレート:栄養価

主に日本朝鮮半島中国フィリピンタイ王国ラオスインドネシアインドベトナムミャンマーなどで栽培されている。タイのイーサーン地方やラオスでは主食とされ、ラオスではコメの生産量割合の85%を占める。照葉樹林文化に属する地域では、しばしばハレの食材としての役割を持つ。

日本においてのコメの生産量割合では全体の3% - 5%程度となっている。また、その中でも主食として用いられるうるち米と比べて陸稲が占める割合が大きい。

うるち米は主要部位の胚乳が淡い半透明であるが、もち米の胚乳は白く不透明である。東南アジアではインディカ種(長粒種)のもち米が多く栽培され、果皮の黒い黒米のもち米もある。

モチ性の品種のデンプンは調理時に強い粘性を生じるという特性を持つ[5]。デンプンの成分の点で、もち米はほとんどがアミロペクチンのみとなっており、このアミロペクチンがもちの粘り成分であるため、もち米は蒸してつくと強く粘るのである。ただし、栄養学的には「うるち米」との差はほとんどない。

なお、うるち米でも、炊いた米をお湯に漬けてアミロースを抜き、再び蒸してつくと「たがねもち」というにすることが出来る。

もち米は赤飯おこわ、中華風のちまきに用いたり、搗き餅や練り餅にするだけでなく、粉砕して白玉粉道明寺粉などに加工した上で、あられ団子などの菓子原料に使用する。

また、醸造原料としても用いられる。

なお、糯(もち)の品種のある植物としては、イネのほかに、トウモロコシ、オオムギ、アワキビモロコシアマランサスなどがある[1]

主な品種

もち米の主な品種(年代順)
種別 登録番号・名称 地方番号(旧系統名) 交配品種 育成機関 登録年 備考
水稲 羽二重糯
大正糯
藤蔵糯
旭糯
こがねもち 中新糯40号 信濃糯3号/農林17号 新潟県農業試験場 1956年
みやこがねもち
水稲農林糯144号(マンゲツモチ) 関東糯64号 F3 249/農林糯45号 埼玉県農事試験場 1963年
水稲農林糯145号(カグラモチ 関東糯66号 F3 249/平六糯 埼玉県農事試験場 1963年
喜寿糯 42-6 35-8/幸風 愛知県農業総合試験場作物研究所 1970年
水稲農林糯216号(ヒヨクモチ 西海糯118号 ホウヨク/祝糯 福岡県九州農業試験場 1971年
水稲農林糯221号(ヒメノモチ 奥羽糯277号 大系227/こがねもち 東北農業試験場 1972年
水稲農林糯233号(クレナイモチ 西海糯129号 ホウヨク/祝糯/コシヒカリ 福岡県九州農業試験場 1974年
水稲農林糯254号(ヒデコモチ 奥羽糯296号 大系糯1076/ふ系72号 秋田県東北農業試験場 1979年
もちひかり 信交糯135号 みすずもち/トドロキワセ 長野県農事試験場 1985年
はくちょうもち 北育糯80号 上育糯381号/おんねもち 北海道北見農業試験場 1989年
水稲農林糯317号(峰の雪もち 北陸糯141号 奥羽302号/ヒメノモチ 新潟県北陸農業試験場 1992年
陸稲 陸稲農林糯55号(トヨハタモチ 陸稲関東糯137号 石系201号/ワラベハタモチ 茨城県農業試験場 1985年
陸稲農林糯60号(ゆめのはたもち 陸稲関東糯168号 陸稲農林糯4号/陸稲農林糯4号/陸稲農林糯4号 茨城県農業総合センター 1996年

ギャラリー

脚注

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関連項目

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  • 1.0 1.1 1.2 農業・生物系特定産業技術研究機構編『最新農業技術事典』農山漁村文化協会 p.1525 2006年
  • 2.0 2.1 渡部忠世・深沢小百合著『ものと人間の文化史 もち(糯・餅)』法政大学出版局 p.2 1998年 引用エラー: 無効な <ref> タグ; name "monotoningennobunkashi_p2"が異なる内容で複数回定義されています
  • 『大修館漢語新辞典』大修館書店 p.917 2001年
  • 渡部忠世・深沢小百合著『ものと人間の文化史 もち(糯・餅)』法政大学出版局 p.3 1998年
  • 農業・生物系特定産業技術研究機構編『最新農業技術事典』農山漁村文化協会 p.1126 2006年