飛島 (山形県)

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テンプレート:Pathnav テンプレート:Infobox 飛島(とびしま)は、日本海に浮かぶ山形県酒田市に属する。

地理

酒田港から北西39kmの沖合にある山形県唯一の有人島で、島の東側の勝浦、中村、北側の法木の計3ヶ所の集落によって構成されている。

新潟県粟島佐渡島とは一直線に結ばれた海の道であり、古来より交流があった。

山形県に属しているが、本土からの距離は秋田県のほうが近い。

  • 面積 - 2.7km²
  • 周囲 - 10.2km
  • 最高標高 - 68m(高森山)
  • 人口 - 275人(2005年国勢調査時点)

歴史

  • 島の成立過程については諸説あるが、鳥海山の山頂が噴火によって吹き飛んで島になったという伝説があり、飛島の名前もそれに由来している。島内に祀られた小物忌神社は、鳥海山大物忌神社と対をなしている。
  • 島内からは約6000年前の縄文時代前期のものと推定される遺物が発見されている。
  • 島の洞窟「テキ穴」から、平安時代の頃の物と推定される人骨や土器など、人が住んでいた形跡が見つかっている[1]。人骨は鶴岡市致道博物館に展示してある。
  • 平安時代には安部氏清原氏の支配下におかれた。
  • 15世紀にはそれまでの海賊の根拠地から、羽後の豪族仁賀保氏の所領となる。戦国時代末期に仁賀保氏が常陸国武田へ移封されると最上氏の所領となった。
  • 江戸時代には庄内藩の所領であり、加茂港から島役人が派遣されていた。酒田港に出入りする北前船の潮待ち港や、水や食料の補給港として使われていた。
  • 幕末になると、ロシア船やイギリス船などの外国船がたびたび近辺を航行するようになり、庄内藩の沿岸警備の最前線となった。
  • 明治時代に、全国初の女性消防団が誕生した。
  • 1933年昭和8年)に、東北大学八木秀次博士らによって開発された八木・宇田アンテナを使った初の公衆無線電話が、飛島 - 酒田間に開通。島内に「無線通信発祥の地」碑が立っている。
  • 古来より第2次世界大戦中の頃まで、漁業の労働力移入のため酒田周辺の貧農から「ナンキンコゾウ」と呼ばれる男子の養子(多くは寄留籍を置くのみ)を貰い、数え年21歳で解放するまで働かせる風習があった。その過酷な待遇は庄内地方の農村の間でも知られていたという。
  • 1950年(昭和25年)に飛島村が酒田市に編入。
  • 1963年(昭和38年)に島全域が国定公園に指定される。

気候

対馬海流のただ中にあり、年平均気温は約12℃。山形県の最北端でありながら、山形県でもっとも温暖。海底には珊瑚もある。夏にはしばしば渇水に悩まされ、冬は荒天により絶海の孤島となる。トビシマカンゾウなど独自の草花が植生し、野鳥の種類は約270種。渡り鳥の中継地となっており季節により多くの鳥が見られる。御積島などと共にウミネコの繁殖地となっている。漁業が盛んで、釣り客も多い。

なお、地球温暖化に伴う栽培北限の北上を受けて山形県では2010年から飛島でスダチユズレモンなどの5種類の柑橘類の栽培適応性の調査を行っている[2]

交通

ファイル:酒田市定期航路事業所旅客ターミナル(全体).JPG
酒田市定期航路事業所旅客ターミナル。ここから旅客船「とびしま」が発着している。

貨客船で230人が乗れるとびしまにより酒田市の酒田港と結ばれており、2010年平成22年)7月19日に、旧船「ニューとびしま」の老朽化に伴い就航した。所要時間は約1時間15分、運航頻度は1日1~3便(時季による)である。この船は自家用車を運ぶことは出来ない。とびしまのドック入り期間中は、羽幌沿海フェリー所有の高速旅客船「さんらいなぁ」と、粟島浦村漁業協同組合所有の貨物船「かもめ丸」をそれぞれ傭船し、運航を維持する。

飛島(勝浦)港には、旅客ターミナルとビジターセンターを兼ねた三角型の「飛島マリンプラザ」がある。1階が乗船券売場と待合室、2階が売店及び軽食・喫茶コーナー、3階は島についての展示スペース、4階が展望室となっている。

他には中村の裏手に公共用ヘリポートがあり、急患搬送が行われている。

冬になると海が荒れるため、とびしまが長いときで一週間以上欠航して絶海の孤島になることも度々あり、海上保安庁巡視船が渡海して物資を届けることがある。

島は歩いても移動できる程度の大きさだが、勝浦に自転車を貸してくれる食堂がある。

島内に無線方位信号所があり、付近を航行する船舶に、安全航行のための位置信号を発信している。

生活

  • 行政機関 - 勝浦の飛島港旅客ターミナル内に酒田市役所飛島連絡所、中村に公民館体育館を兼ねたとびしま総合センターがある。他に酒田市営飛島葬祭場あり。
  • 警察 - 勝浦に酒田警察署飛島駐在所がある。
  • 学校 - 中村に飛島小中学校がある(Iターン者の移住により、小学校は2009年4月に9年振りに、中学校も2011年に再開[3])。
  • 水道 - 島内に簡易水道を引いている。貯水池の整備と浄水場の数度の増槽により、渇水が当たり前だった時期に比べると供給量には余裕がある。トリハロメタンを除去する高度処理設備を導入したため、水質も向上している。
  • 電気 - 勝浦に東北電力飛島火力発電所があり、ここで島の電気を賄っている。重油を燃料とし、650kwの発電能力がある。
  • 医療機関 - 日本海総合病院酒田医療センター飛島診療所があり、急患はヘリコプターで同医療センターに搬送される。基本的に山形空港から山形県消防防災航空隊が飛んでくるが、時宜により山形県警察航空隊、海上保安庁新潟航空基地所属ヘリ、近傍派遣により新潟県消防防災航空隊ヘリが派遣されることもある。
  • 金融機関 - 島内に銀行等の金融機関は存在しないが、飛島郵便局ATMを利用することができる(ただし、ゆうちょ銀行以外のキャッシュカードでの入出金は所定の手数料がかかる金融機関が多い。また2010年4月の時点でホリデーサービスは実施されていない)。
  • 商店 - 勝浦に雑貨店・食堂・釣具店などがある。
  • 宿泊施設 - 旅館民宿は21軒
  • 電話 - 通じている。NTT酒田ビルから無線伝送を行い、島内の無線中継所から有線回線でサービス。
  • 携帯電話 - NTTドコモauSoftBank 3Gの携帯電話が使える。ウィルコムイー・モバイルは使用できない。
  • 放送 - 山形県の放送局は全て受信可能(鶴岡市高館山から)。隣県(秋田、新潟)の放送もほとんどの場所で受信可能。
  • 宅配便 - 各社とも荷物の受付は行っており、宛先は島内の住所で届くが、配送員による島内各戸への配達は行っていない。宅配便業者による配達は酒田港までであり、荷物は船で運ばれた後、飛島港預かりになる。港の荷捌業者から連絡を受けた島民が港まで取りに来る方式である。そのため、島民は通信販売の商品代引が受けられない。一方、郵便局員が配達を行っているゆうパックは本土と同じサービスが受けられる為、一部通信販売業者は、通常とは別料金になることをことわった上で、ゆうパックによる配送を行っている。
  • ガソリンスタンド - なし。漁船や火力発電所に給油するために給油船が来航する。
  • ごみ・し尿 - 島外に搬出。島内に回収業者があり、定期的に回収船で酒田港に輸送。
  • 選挙 - 交通の便の問題から、選挙期間中に候補者が来島することはほとんどない。投票は投票日の3日前までに終了し、2日前に、選挙管理員によりとびしまで酒田港に運ばれ、開票まで酒田市選挙管理委員会で封印される。投票箱の輸送の様子は、選挙のたびに地元ニュースで紹介されている。

名所

  • テキ穴 - 1964年(昭和39年)に平安時代のものと思われる人骨と土器が発見された洞窟。
  • 源氏盛・平家盛 - 源氏平家落ち武者が島に流れ着き、漁師となった際に刀剣を埋めたという伝承の塚。
  • 刻線刻画石
  • 賽の河原

名産品

出身者

飛島にゆかりのある人物

脚注

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関連項目

外部リンク

  • 酒田市観光ガイド 飛島の名所・見処・味処より
  • テンプレート:Cite news
  • とびしま観光情報まっぷ:TOBISHIMA.INFO
  • 「天保のそば」で恩返し 山形から福島へ炊き出し