預言者生誕祭

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預言者生誕祭テンプレート:Lang-ar mawlid al-nabī マウリド・アン=ナビー) は、預言者ムハンマドヒジュラ暦による誕生日、ラビー・アル=アウワル月(第3月)12日に行われるイスラム教の祭礼。祝う対象がイスラム教の開祖ムハンマドであるために、イスラム世界において広くみられる聖者生誕祭(マウリド)のうちでも、特に盛大かつ広い地域で行われる。

犠牲祭のようにイスラム教にもともと存在する祭礼ではなく、ファーティマ朝期のエジプトで宮廷の祭礼として始められたものを起源とすると言われる。シーア派イスマーイール派)ファーティマ朝に代わってエジプトを支配してスンナ派を復興したアイユーブ朝の時代に、エジプトで活動するスーフィー教団(神秘主義教団)の儀礼に組み込まれ、王侯から一般庶民まであまねくムスリム(イスラム教徒)が参加する大祭礼へと変貌した。

預言者生誕祭はエジプトから神秘主義教団のネットワークに乗ってイスラム世界の各地に広がり、現代ではムハンマドの生誕日はイスラム世界の各地で行われ、多くのイスラム教国で祝日となっているが、もっとも有名なものは起源であるエジプトにおける預言者生誕祭である。生誕祭当より前からスーフィー教団は様々な儀礼を行って預言者を称え、祭りへの準備を行う。町々、村々、大都市のモスク前には市場、屋台、芝居小屋が立ち、砂糖菓子でできた花嫁や馬、ラクダの人形が贈答されたり、預言者を称えるの朗読やスーフィーによるズィクル(唱名)などが行われる。生誕祭の前日から当日の夜にかけてはそれぞれのスーフィー教団が教団員で大行列を組み、ムハンマドとアッラーフを称えながら行進し、祭りが終わると人々は飾られていた砂糖菓子の人形を食べる。

一方で、預言者生誕祭の開催やその祭礼の内容がクルアーン(コーラン)にもハディースにも依拠しない新しいもので、また非イスラム的な起源をもつと思われるような要素を多く含むことから、預言者生誕祭を反イスラム行為と見る厳格論もワッハーブ派などに存在する。

グレゴリオ暦での月日

ヒジュラ暦の1年は354日でグレゴリオ暦と1年に約11日の差が発生するためグレゴリオ暦で見ると毎年違う日に行われるので注意が必要

ヒジュラ暦グレゴリオ暦
1420年1999年6月26日
1421年2000年6月15日
1422年2001年6月4日
1423年2002年5月24日
1424年2003年5月14日
1425年2004年5月2日
1426年2005年4月21日
1427年2006年4月11日
1428年2007年3月31日
1429年2008年3月20日
1430年2009年3月9日
1431年2010年2月26日
1432年2011年2月15日
1433年2012年2月4日
1434年2013年1月24日