静脈瘤

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静脈瘤(じょうみゃくりゅう、: varicose vein)とは、静脈の壁の一部が何らかの要因で薄くなり、その血管が膨らむことで発病する循環器病。同様の疾患が動脈に発生した場合は動脈瘤と呼ばれる。

下肢静脈瘤

下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう、: varix of the lower extremity)は、下肢の静脈が拡張し血液が滞ることでおきる疾患

こむらがえり、下肢のだるさなどの自覚症状に加え、色素沈着潰瘍などの皮膚病変を主症状にすることが多い。

初期の治療法には圧迫法(弾性ストッキング着用など)、マッサージ法の保存的治療法がある。

静脈瘤の形によって、治療法が異なる。クモの巣状静脈瘤(1mm以下の細かい静脈がクモの巣状にみえる)や網目状静脈瘤(2~3mmの静脈が網の目状にみえる)は、硬化療法(高張液を静脈瘤に注射する治療法)などの適応である。

側枝型静脈瘤(孤立性の静脈の拡張・蛇行)の場合は、硬化療法で治療できる場合と、静脈瘤に逆流している元を結紮する、または結紮して硬化療法を行う。

伏在型静脈瘤では、硬化療法単独では再発が多く、高位結紮を行ってから硬化療法を行うが、高位結紮だけでも治療効果のみられる場合が多い。

伏在型を根治的に治療する場合は、静脈抜去術、瘤切除術などがある。

どの治療においても再発や、別の静脈瘤が出てくる場合があるが、不適切な治療では早期(半~1年以内)に再発する。

また、現在ではレーザーやラジオ波による静脈内膜の焼却も行われている。

なお、下肢静脈瘤の多くは、1次性静脈瘤(ふくれている、または蛇行している静脈そのものに原因のあるもの)であるが、似た症状で2次性静脈瘤(ふくれている、または蛇行している静脈瘤以外に原因のある静脈瘤)があり、これは深部静脈血栓症(かつてエコノミークラス症候群と呼ばれていた)が原因であることもあり、深部静脈が開存していることを確認した上(1次性静脈瘤と確認した上)で、治療しなければならない。

食道静脈瘤

食道静脈瘤はしばしば肝硬変に伴いみられる。かつては静脈瘤破裂により死に至ることもあった。現在は、予防的な治療が行われている。

  1. 内視鏡的食道静脈瘤結紮法(endoscopic variceal ligation; EVL)
  2. 内視鏡的硬化療法(endoscopic injecion sclerotherapy; EIS)
  3. 静脈離断術
  4. 経頚静脈肝内門脈大循環ステント短絡術 (Transjugular intrahepatic portosystemic shunt; TIPS)

胃静脈瘤

食道静脈瘤同様、肝硬変に伴い発症することが多い。予防的治療には内視鏡的治療法やinterventional radiology(IVR)によるものが主流である。

  1. 内視鏡的CA/EO併用法[1]
  2. バルーン下逆行性経静脈的塞栓術(balloon-occluded retrograde transvenous obliteration; B-RTO)[2]

脚注

  1. Mebio 19:8,2002
  2. 日消誌 88: 1459, 1991

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