阪急5000系電車

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テンプレート:画像改訂依頼 テンプレート:鉄道車両 テンプレート:Sound 阪急5000系電車(5000けいでんしゃ)は、1968年から1969年に製造された阪急電鉄通勤形電車である。

2011年現在、全車が西宮車庫に配置されて神戸本線にて使用されており、5100系から編入された車両と共に8両編成8本を組成している。本項目では解説の便宜上、梅田方先頭車+F(Formation=編成の略)を編成名として記述(例:5000以下8両編成=5000F)する。

製造の経緯

1960年代の阪急電鉄は、輸送力増強と、神戸高速鉄道東西線山陽電気鉄道本線(以下「山陽電鉄」)乗り入れ計画の具体化から、神戸線の架線電圧を当時の600Vから1500Vに昇圧する事を予定していた。それに備えて双方の電圧に無改造で対応できる複電圧車2021系が在籍していたが、1967年に行われる昇圧以降の600V対応機能の不要による単電圧化および居住性や乗り心地向上のための足回りの改善を眼目に新たに設計したのが5000系で、合計47両が製造された。 基本的な構造は先輩格の3000系に準じており、170kW主電動機を搭載し、歯車比も3000系と共通で定格速度も高い(車体は先々代の2000系以来の構造を引き継いでいる)。

3000系からの変更点としては、

  • 電動車は製造当初からユニット方式とされ、制御電動車の連結向きが5040形登場までは従来と逆の梅田方となる。
  • 台車は3300系から採用されたダイレクト・マウント型住友金属工業製の空気バネ付きミンデンタイプ(形式:動力台車=FS-369形、付随台車=FS-069形)を履く。尚、冷房化による重量増加に伴い台車枠と軸箱が強化され、5200系台車と同様、形式名末尾に(A)が付き、同FS-369A、同FS-069Aとなった。
  • M車(下記形式参照)が装備するパンタグラフは1ユニット当たり2基から1基に変更された。
  • 主電動機を3000系と同出力だが1500V専用設計のSE-542[1]に変更。
  • 運転台計器類の上部に飛び飛びで付けられていた丸型の戸閉合図灯などの確認灯類が、台上に一列で四角い枠に纏められて設置。
  • 扉開閉スイッチが乗務員室側面乗降扉上の小型ボックスによる押しボタン式だったのを、胸元あたりで操作可能な箱型で一本のレバーを上下する方式(↑開:↓閉)に変更。
  • 車内放送で使用する車掌マイクの設置位置を、車内から見て乗務員室側面乗降扉左側から右側の扉開閉スイッチ真下に移設。
  • 運転台側にも車掌マイクを設置(後に3000系にも設置)。
  • 先頭車両の中間車使用時の正面貫通扉と乗務員室扉畳み順を変更(3300系から変更された)。
  • 天井のファンデリア枠が丸型から3300系と同一の角型へ変更(冷房化で撤去)
  • 車掌台側に客室との仕切りガラスを設置(その後、2000,3000系にも冷房化に伴い取り付けられた)
  • 車内天井の蛍光灯ボックスの間に仕込まれているスピーカー部を拡大、左右とも同じものを設置(ただしどちらか片側は非常灯)。

などがある。 テンプレート:-

形式

新規製造形式

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  • 5000形(5000~5013・5030・5031、16両)
梅田方の先頭に連結される制御電動車。MGCPを搭載し、5500形または5040形とユニットを組んで使用される。5030・5031は、連結解放運用(下記就役後の変化参照)用に密着式電気連結器を装備して製造された車両で、区別のために30番台が付けられたが性能に差は無い。5500形(一部は5540形)とユニットを組み、増結車を解放した時の6両編成の先頭車として使用されていた。下記編成図ではM'cと表記。
  • 5040形(5040・5041、2両)
5030・5031と同時に製造された、かつて増結用2両編成の新開地方の先頭に連結されていた制御電動車パンタグラフと制御器を搭載する。5000形の5000・5002とユニットを組んで2両編成を組成していたが、リフレッシュ改造で2両とも5540形に形式変更され消滅している。
  • 5500形(5500~5513、14両)
5000形とユニットを組む中間電動車。パンタグラフと制御器を搭載。下記編成図ではMと表記。
  • 5050形(5050~5063、14両)
新開地方の先頭に連結される制御車。下記編成図ではTcと表記。
  • 5550形(5563、1両)
付随車宝塚本線の7両編成組成用に製造されたが、結局1本分1両のみの製造に留まった。その後、5050形がリフレッシュ時に中間車化された際、本形式に編入されたため、形式内の車両数が増加している[2]。中間改造車の車番は元番号+500である[3]。下記編成図ではT(新造車および完全改造車)またはTo(簡易改造車)と表記。

改造編入形式

  • 5520形
リフレッシュ編成に組み込まれる、5000形を中間車化して誕生した中間電動車。機能的には改造前と変わらないが、5050形の中間化改造車と異なり新形式が起こされている。車番は5030・5031を改造した5520・5521以外は元番号+520。下記編成図ではM'o(簡易改造車)またはM’(完全改造車)と表記。
  • 5540形
リフレッシュ編成に組み込まれる、5040形を中間車化して誕生した中間電動車。機能的に5500形とほぼ同一となった。車番は元番号+500。下記編成図ではMと表記。
  • 5570形・5580形
リフレッシュ編成に組み込まれる、5100系から編入された付随車。5570のみ制御電動車の5130を大改装して完全な中間車形態の付随車とし、他は全て5650形が種車となっている。元々5000系だった車両とは、車体高・台車の形・床下機器の配置・車側表示灯の位置で区別が付く。車番は5570と5591・5593以外は元番号-80。なお正式には5570形と5580形の2形式が存在しているが、両者の相違点は不明。下記編成図ではTと表記。
非リフレッシュ編成に組み込まれていた、2000、2021系由来の付随車。リフレッシュ工事に伴い5570形・5580形と入れ替わる形で編成から外され消滅した。詳細は阪急2000系電車の項目を参照。

就役後の変化

当初は3両編成を2本繋いだ6両編成(5000形‐5500形‐5050形×2)が神戸本線に配備された。最終編成の5012Fは投入直後の1969年秋に、新規に製造された5550形付随車を連結して宝塚本線に転出したが、その後の増備は本形式の冷房搭載仕様車5200系に移行し、47両で製造は終了した。

この時点での編成は以下の通り。番号順に規則的な編成組成がなされていた。
←梅田
  • 5000-5500-5050+5001-5501-5051
  • 5002-5502-5052+5003-5503-5053
  • 5004-5504-5054+5005-5505-5055
  • 5006-5506-5056+5007-5507-5057
  • 5008-5508-5058+5009-5509-5059
  • 5010-5510-5060+5011-5511-5061(以上、神戸本線用)
  • 5012-5512-5062+5013-※5563-5513-5063(宝塚本線用)
+は先頭車同士の連結部を示す。
ここでは5550形をで示した。5000系の製造終了に伴い、5550~5562は欠番となった。


1970年末より、神戸本線で連結解放運用が始まった。これは、6両編成に梅田側に2両を増結して8両編成を組成し、編成長が6両に制限される山陽電鉄乗り入れ時にはこの2両を三宮駅で切り離して入線するというものである。これに伴い、5000F、5002Fが編成を崩され、新規に製造されたを組み込んで以下のように再組成された。

  • 5000-※5040+※5030-5500-5050+5001-5501-5051
  • 5002-※5041+※5031-5502-5052+5003-5503-5053

製造・組み込みは前年中で、連結解放運用の開始までは神戸本線内で8両固定で使用された。5563が組み込み先編成の車両番号を考慮して飛び番号で製造されたのに対し、今回は製造順に0、1と番号が付された。連結解放運用はこの4本が5200系の同様の編成と共に限定的に充当された。

一方、5200系5200Fが製造されたのに伴い、連結解放運用対象外の編成のうち2本が暫定的に5200系と編成を組んで以下のようになった。ここでは5200系をで示す。

  • 5006-5506-※5741-※5711-5056+5007-5507-5057
  • ※5201-※5241+※5231-※5701-※5251+5004-5504-5054
  • ※5202-※5242+※5232-※5702-※5252+5005-5505-5055

5006Fは、編成内に5両編成が発生した点、非冷房の5000系編成内に冷房車の5200系が連結された点で非常に特異な存在となった。また、5004F、5005Fは5200系が密着式電気連結器を装備していたため、連結解放運用に使用された。


1971年、5000系は5012Fが宝塚本線から神戸本線に再転用され、5200系は5203Fが製造され、再び編成替えが行われた。が新たに製造された車両である。5004Fと5006Fは6両編成に復帰し、5013Fは分割の上で新たに連結解放運用に充当されるようになった。

  • 5202-5242+5232-5702-5252+5012-5512-5062
  • ※5203-※5243+※5233-※5244+5013-5563-5513-5063
  • 5004-5504-5054+5005-5505-5055(旧編成復帰)
  • 5006-5506-5056+5007-5507-5057(旧編成復帰)


1973年1974年にかけて、京都線特急車2800系の追う形で冷房搭載工事が施工された。搭載された冷房機は2800系や5200系で採用された扇風機併用集約分散式(形式:RPU2202形)8000cal/h×4基/1両であり、冷房ダクトが設置された関係で屋根が室内側に若干低くなった[4]。同時にそれまで屋根上にあった通風ダクト(モニター)が、パンタグラフの下の部分を除いて撤去され、2両に1台の割合で搭載されていた60kVAMGが京都線車両と同様の4両に1台の割合で120kVAを搭載する方式[5]に変更、台車が重量増加に対応するために5100系等が使用するFS-369A、FS-069A形と同等までに強化(形式は変更されず)されるなど、機器類の更新が図られている。


1977年12月、連結解放運用が6000系に置き換えられることになり、それに先立って同年3月に、5000系の連結解放運用編成が元々6両編成だった編成も交えて編成替えが実施され、4両編成×2本の8両編成が5本造られた。上記の通り付随車が1両しか製造されていないことから車両が大幅に不足したが、製造終了から時間が経っていたうえ、同時期に機器の構造が複雑な2021系(改造後・2071系)の編成解除・付随車化工事が行われていたことから、これらが5550形付随車の代用として5000系に編入されることになった。連結位置は基本的に上記の5013Fに準じていたが、連結解放運用に用いられていた4本は変則編成となった。ここでは新たに組み込まれた付随車をで表す。

  • 5000-※2184-※2085-5040+5030<※2083-5500-5050
  • 5002-※2181-※2082-5041+5031-※2182>5502-5052
  • 5001<※2081-5501-5051+5003-※2183>5503-5053(通常の編成)
  • 5004<※2084-5504-5054+5005-※2185>5505-5055(通常の編成)
  • 5006<※2086-5506-5056+5007-※2186>5507-5057(通常の編成)
<、>は2021(2071)系の元先頭車の運転台部分との連結部を示す。例えば<2081‐は梅田側に運転台を持っていた車両である。2021系の運転台部分以外の貫通路幅は5000系よりも広く、改造時に狭めるためのアダプターが設置された。ただし、元連結解放運用編成2本(上2段)の2184‐2085、2181‐2082間の連結部は、2021系同士で連結に支障がないため、原形のまま残された。
ファイル:Hankyu 5000 local 5001 sonoda.jpg
神戸線普通 5001ほか8両
園田駅 1988年

この時編入された2021系12両は、エコノミカル台車と呼ばれる空気バネ台車を装備しており、この改造で2021系の空気バネ台車装備車両は全車5000系に編入されて消滅することになった。また、当時非冷房であったので転用改造時に冷房搭載改造された。車内側の意匠は極力前後の5000系に合わせられたものの、冷房機は当時の新造車に使用されていた新型機(10500cal/h×3基/1両)が搭載され、さらに元先頭車は運転台撤去跡が残る改造[6]のみで編入されている。


1979年、連結解放運用からの撤退後も6M2T編成(他の8両編成は4M4T)のままとなっていた5200系との混結編成が、編成替えによって6両編成化された。この時5563は5202Fに編入され、連結していた2本は製造時の編成に復帰した。ここでは5200系をで示す。

  • 5012-5512-5062+5013-5513-5063
  • ※5202-※5242+※5232-※5702-5563-※5252


1984年からは車体更新工事が行われた。この時、パンタグラフ下に残っていた通風ダクトが撤去され、2071系も含めた全車両の側面と先頭車の前面上部に方向幕が設置された。前面は方向幕の設置に伴い、同部分にあった標識灯2灯に代わって、窓下に種別灯尾灯が別々に4灯新設されたが、伊丹線予備車となった5000Fを除いて4両編成での運用機会は無くなっていたため、この時点で1、8両目に連結されていた先頭車のみが施工された。5000F中の5040、5030以外の4、5両目の先頭車は、後にマスコンブレーキスタフ切替器といった運転機器が撤去されて先頭車としての機能を失っている(乗務員室自体は残存)。更新工事は1990年に完了した。

また、同年6両編成のまま残った3編成に対して増結が行われ、全編成が8両固定編成となった。6両編成は長らく今津線を中心に使用されていたが、西宮北口駅の神戸本線ホーム延長に伴い南北に分断されることになり、それを機に2000系と入れ替わる形で神戸本線に集結することになった。組成順に以下の通りである。

  • 5008-**2066-5508-5058+5009-**2069-5509-5059
  • 5012-*2882-5512-5062+5013-2883-5513-5063
  • 5010-※2090-5510-5060+5011-※2171-5511-5061

この時連結された車両は、2000系は支線転出で、2800系は7両編成化で余剰となった車両で、特に元特急車の2800系は窓の形状などに大きな差異があった。ここでは2071系を、2000系を**、2800系をで示した。


しかし、同年中に発生した六甲事故で廃車された2000系2050の代車を手配するにあたり、他形式を巻き込んだ編成替えが行われた。これにより、5010Fの2171が3100系編成に転用され、代わりに2800系の2886を編入することとなった。

  • 5010-2090-5510-5060+5011-*2886-5511-5061


1987年、車体更新の進捗に伴い、5010F、5012Fは改造時に対象から外れた2800系中間車を差し替えるための編成替えが実施された。ここで長らく5200系の編成内に連結されていた5563が5000系編成に復帰。抜かれた2800系は中間車捻出元の5200系や2000系の編成に転用された。ここでは新たに連結された車両をで示す。

  • 5010-2090-5510-5060+5011-※5563-5511-5061
  • 5012-※2172-5512-5062+5013-※2174-5513-5063


1995年阪神・淡路大震災が発生。5000系は特に被害を受けなかったが[7]、他形式の破損したパンタグラフの予備品を確保するため、5001F・5004F・5006Fの菱型パンタグラフ(東芝製)がシングルアーム式(東洋電機製)に交換された。その他の編成はその後も菱型パンタグラフを搭載していたが、後述のリフレッシュ工事を受ける際に同時に交換されている。


2000年よりリフレッシュ工事が始まった。詳細は後述する。これにより、順次2000系列付随車を連結した状態でリフレッシュ入場し(出場時に脱車)、代わりに同様の工事を受けた5100系付随車5650(→5580)形を連結して下記編成図の状態になった。ただし、5012Fのみ2003年に未改造のまま、同じく未改造の5650形を連結し、2071系を置き代える編成替えが行われた。ここでは新たに連結された車両をで示す。

  • 5001<2081-5501-5051+5003-※5563-5503-5053
  • 5012-※5662-5512-5062+5013-※5663-5513-5063

5012Fはリフレッシュまでの約1年間、この編成で使用された。

リフレッシュ工事

昨今の阪急電鉄の経営は厳しいことから新車の大量投入が難しく、3000系や増結用中間車となった2000系列がまだ大量に残存している状況であることから、今後しばらくの使用のためにアルナ工機(2002年以後はアルナ車両)で製造から30年近くになった本形式に再度車両の大規模な更新工事が実施された。全編成ががほとんど新車同様に改造されている。この工事は、編成中に空気バネ台車ではない2000系列車両を含む編成から優先的に施工され、2007年11月に5002Fの出場により全編成のリフレッシュが完了した。制御装置は従来の抵抗制御のままである。

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変更点

外観・機能面

  • 編成中間に組み込まれていた先頭車の運転台を撤去し、8両固定編成に改造された。撤去部は5010F・5008Fの2編成目までは編入していた2000系同様の簡易的な改造(ただし、2000系と異なり2人掛けの座席が設置されている。)であったが、3編成目の5006F以降は切妻の完全な中間車スタイルに改造されている。ただし、該当箇所の台車排障器は中央部あたりで切断されたのみで、現在も他車とは形状が異なっている。
  • 編成中の老朽化していた2000系列は脱車され、一部を除き廃車となった。代わりに宝塚本線から転属した5100系車両が改造・改番の上編入された。なお、下記脚注4の事情から、元5100系車のみ屋根高さが若干高く、また台車も種車のものをそのまま使用しているためやや形状に差が見られる。
  • 上2つの改造を機に、電動車が隣同士になるよう編成内容が変更された(MTMTMTMT or MTTMMTMT → MMTTMMTT[8])。蓄電池は1・4・5・8号車に搭載するようにした。
  • 先頭車前面の形状が、以前と大きく異なった近代的なもの(写真参照)となった。2編成目の5008F以降では車両番号の掲出位置が貫通扉部分から左側の窓下に変更され、それに伴い同部分の種別灯・尾灯の位置が若干下げられた。下部の足掛け板の厚みも更新時期につれ、順次薄いものに変更されている。また足掛け板の設置に伴い、それまで2000系から7300系までの系列と同じく設置されていた小型の足掛け板は撤去されている。
  • 種別灯はHIDに変更。青みを帯びた光を発するようになった。前照灯は取り付け部が横に引き伸ばされ、そこに8000系などと同様のものを搭載されている。
  • 障害物対策で先頭車体下にスカートが取り付けられた。6000系以降の車両に取り付けられているものと似た形状だが、連結器の下を通る板金の幅がやや広いなど相違がある。
  • 車体屋根肩部分が6000系以降の車両と同じくアイボリーに塗り分けられた。
  • 屋根上の冷房室外機が交換された。製からFRP製になり、側面ルーパーも横割りから縦割り(金網)になった。
  • 改造時点で菱形パンタグラフ搭載車(5010F・5008F・5012F・5000F・5002F)はシングルアーム式に交換された。
  • 非常ブレーキが3300系同様の電気指令とされた。
  • 補助電源装置(電動発電機・MG)が東芝製から東洋電機製造製に変更されている。
  • 電気笛が設置され、マスコンとブレーキ弁の間に手押しスイッチがある(3300系5300系と同様)。

テンプレート:-

車内・接客装備

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  • 先頭車貫通扉ガラス部分が9300系と同じ位置まで下方に延長され、展望が向上した。2本目の5008Fからはドア開閉予告ランプとブザーも設置され、よりバリアフリーが徹底されている。妻部貫通扉もガラス部分を下方に拡大したものに交換されている。乗降扉も複層ガラスで下方に拡大したものに交換されている。
  • 窓ガラスが全て緑がかかったUVカット複層ガラスに交換された。側窓は8000系同様、ドアに隣接する物はパワーウィンドウ化、それ以外は固定窓化された。
  • 日除けが阪急伝統の鎧戸型からロール式カーテンに変更された。これにより日除けを任意の位置で固定することや子供や老人が簡単に操作することが可能となった。5010F・5012F・5004F・5001F・5000Fがロール窓上収納の下降式、5008F・5006Fがロール窓下収納の上昇式である。なお、上昇式は鎧戸のレールを再利用している。
  • 情報伝達性を向上させるため、LED電光表示機が各ドア横に設置された。7000系リフレッシュ車などと同様の、箱型で表示機下に路線図が貼り付けられているタイプである。
  • 側面の化粧板は8000系と同じ濃い目のものに、妻面や扉部分の化粧板は日焼け対策として9300系と同じく8000系のそれより更に濃い茶色のものに変更された。3本目の5006F以降は貫通扉上部に広告設置枠の設置も行われている。床材は中央部に着席マナーの遵守を促すタイル状(5010Fのみ小石状)の模様が入るものとなった。
  • 車内天井の回転ファンが撤去され、従来の冷房吹き出し口にスウィープ機能(吹き出し口部分のファンによって冷風を広範囲に送る機能)が付加された。5本目の5004F以降は回転ファンの付いていた場所にスウィープファンが増設されている。
  • 荷棚は物を置きやすいようにパイプ式から半透明プラスチック張りのものに変更された。6本目の5001Fからは9300系と同じデザインの物が取り付けられている。
  • つり革が通常よりやや長いものに交換されている。ただし5004Fのみ省略。
  • 車内の製造銘板が、製造年の記されない「アルナ工機」表記のみのものとなり、樹脂製プレートから簡素なステッカーに変更された(これは近鉄京都市営地下鉄の車両にも言えることである)

運用

連結解放運用からの撤退以降、基本的に神戸線の連結解放がない全ての運用に入っていた。しかし、2006年10月28日に115km/h運転を行う特急(A特急)が設定された際、加減速に優れる本系列は普通運用を中心とすることになり、同種別が運行される昼間は運用が限定されるようになっている。方向幕取り付けの改造工事を行うまでは6両編成も存在していたために定期列車として山陽電鉄本線須磨浦公園駅まで乗り入れた実績もある。また1970年大阪万博開催時には臨時列車として京都線千里線での入線実績(冷房改造前)もある。

編成

2007年10月以降の編成。矢印は中間に組み込まれる先頭車の運転台(簡易中間化改造車は撤去跡)の方向で、←は梅田向き、→は新開地向きを示している。斜体字は他形式由来の車両。改番が行われた車両は括弧内に旧車番を示す。

テンプレート:TrainDirection リフレッシュ工事期間 備考
5000
(M'c)
5500
(M)
5580
(T)
5550
(To →)
5520
(← M'o)
5500
(M)
5580
(T)
5050
(Tc)
 
5010 5510 5580
(5660)
5560
(5060)
5531
(5011)
5511 5581
(5661)
5061 2000年10月 - 2001年8月 リフレッシュ編成で唯一、前面の車番表記が扉部にあり、運転台が黒色化されている。
5008 5508 5588
(5668)
5558
(5058)
5529
(5009)
5509 5589
(5669)
5059 2001年10月 - 2002年10月 5010Fとの違いは変更点の項目で記述。
5000
(M'c)
5500
(M)
5580
(T)
5550
(T)
5520
(M')
5500
(M)
5580
(T)
5050
(Tc)
 
5006 5506 5586
(5666)
5556
(5056)
5527
(5007)
5507 5587
(5667)
5057 2002年10月 - 2003年8月 本編成以降4、5両目を完全な中間車に改造。
2014年に前照灯をLEDに改造[9]
5012 5512 5582
(5662)
5562
(5062)
5533
(5013)
5513 5583
(5663)
5063 2004年2月 - 11月 本編成以降カーテンが9300系と
同じ素材になった。
5004 5504 5584
(5664)
5554
(5054)
5525
(5005)
5505 5585
(5665)
5055 2005年2月 - 11月 本編成以降ドア附近に
スイープファンが取り付けられた。
5000
(M'c)
5500
(M)
5570
(T)
5550
(T)
5520
(M')
5500
(M)
5563
(T)
5050
(Tc)
 
5001 5501 5591
(5681)
5551
(5051)
5523
(5003)
5503 5563 5053 2005年11月 - 2006年8月 荷棚が9000系と同じ構造になった。
5563号は本系列唯一の新造付随車。
5000
(M'c)
5500
(M)
5570
(T)
5570
(T)
5520
(M')
5540
(M)
5570
(T)
5050
(Tc)
 
5000 5500 5590
(5670)
5593
(5680)
5520
(5030)
5540
(5040)
5570
(5130)
5050 2006年6月 - 2007年1月 元・伊丹線予備
座席端の手摺りの形状が従来車と
若干異なり、9000系と同じ形状になった。
表示幕のついた運転台が撤去された。
5002 5502 5592
(5672)
5572
(5652)
5521
(5031)
5541
(5041)
5573
(5653)
5052 2007年5月 - 11月 11月28日運用開始

脚注

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  1. 直流直巻補償巻線無し。170kW/375V・500A・2150rpm、最弱界磁率35%。
  2. 書籍によっては中間車化された車両のみを「5550形」とし、5563は「5563形」としている場合もある。
  3. 5055は改造対象にならなかったため、5555は欠番のままである。
  4. 5200系は当初から屋根が高めに造られて、2800系はダクトのみが室内に張り出した形で設置されたため、結果的にこれらのどれとも異なる形態となった。この違いは後述のリフレッシュ時に屋根高さの不揃いとして表れる事となる。
  5. MGそのものも京都線車両と同様の東洋電機製TDK3760形という物。なお、神宝線車両で京都線方式を採用しているのは5000系のみである。
  6. 新造時から中間車の車両と異なり、妻面に丸みが残り、乗務員用扉の代わりに設けられた側面窓は小さく、運転台仕切りが一部残っていて運転機器撤去後には座席がない。 つまり、車内でもこの部分のみは意匠が異なっている。
  7. 5012Fがこのとき岡本 - 御影間で被災し同区間に閉じ込められ、全線復旧までの間夙川 - 岡本(後に夙川 - 新開地)間の折り返し運用に就いていた。緊急停車した場所が住吉川擁壁直前だったため、間一髪直撃はまぬがれた。
  8. ここのみ、モーター付き車両を全て「M」、モーターなし車両を全て「T」とした。
  9. 阪急5000系にヘッドライトLED化編成 - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2014年3月12日