関東鉄道

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テンプレート:Infobox 関東鉄道株式会社(かんとうてつどう、テンプレート:Lang-en-short)は、茨城県に2つの鉄道路線と多くのバス路線を有する鉄道・バス不動産事業等を行う日本会社である。略称は関鉄(かんてつ)。京成グループの一員で、京成電鉄持分法適用会社である。

概要

茨城県に本社を置く交通事業者としては最大手。主たる営業エリアは常総ニュータウン筑波研究学園都市水郷筑波国定公園鹿島臨海工業地帯などを抱える茨城県南部で、東京通勤輸送を柱とする2路線の鉄道事業を核として、高速路線バスを含む乗合バス事業を広く展開している。守谷市龍ケ崎市などでは、同社と同社の子会社によって市内の公共交通事業をほぼ独占している。

鉄道事業は、かつて4路線を保有しており、4路線を合わせると保有路線すべてが非電化の鉄道会社としては日本最長のキロ数 (123.1km) を有していたが、1979年に筑波線と鉾田線を、それぞれ筑波鉄道(現・関鉄筑波商事)と鹿島鉄道に分社している(ともにのちに廃線)。

バス事業については、他社と同様に一部地域の分社化(関鉄観光バス関鉄パープルバス関鉄グリーンバス関鉄メロンバス(→関鉄グリーンバスに統合))が行われている。

その他、不動産事業なども手がける。日本民営鉄道協会・関東鉄道協会・茨城県バス協会・日本バス協会・茨城県宅地建物取引業協会・全国宅地建物取引業保証会・東日本不動産流通機構並びに茨城県つくばエクスプレス等整備利用促進協議会・つくばセンター地区活性化協議会に加入している。

資本関係

京成電鉄の保有率は約30%で筆頭株主であり、同社の持分法適用会社となっている。京成グループ内の人的交流は盛んであり、社長は代々京成役員から就任している。一方で東武鉄道が約4%、茨城交通が約2%と京成系以外の交通企業も出資している。

この関係で京成グループ統一マーク(K'SEIロゴ)も長らく使われていなかったが、観光バスについては京成グループの統一観光カラー(白地にオレンジと紺色の「Kanacカラー」と呼ばれる)を採用してきた。鉄道車両も1994年以降の新製車はK'SEIロゴこそ掲出しないものの京成グループカラーに似た塗装を採用し、高速バス車両についてはKaNaCカラーに代わる京成グループ統一カラーを採用した車両も出現し、こちらにはK'SEIロゴが大きく表示されている。

関鉄の出資先には分社子会社のほか、つくばエクスプレスを運営する首都圏新都市鉄道があり、同社と接続する鉄道会社では唯一出資している。

沿革

常総筑波鉄道鹿島参宮鉄道が1965年に対等合併して発足した。法的には鹿島参宮鉄道が存続会社で、公式の創立年月日も鹿島参宮が設立された1922年9月3日となっている。常総筑波鉄道は第二次世界大戦中に常総鉄道(常総線)と筑波鉄道(旧)(筑波線)が合併して成立したもので、国鉄常磐線以北にバス路線網を持っていた。一方、鹿島参宮鉄道(鉾田線)は竜崎鉄道(竜ヶ崎線)を戦時中に吸収合併し、逆に国鉄常磐線以南から鹿行地区に至るバス路線網を保有していた。

常総筑波鉄道は1959年に赤字体質の経営を改善するために京成電鉄と東武鉄道の資本と取締役を受け入れ、1961年には京成が筆頭株主になっている。鹿島参宮鉄道も、労使紛争が起きていた最中の1950年代、霞ヶ浦の観光開発を主目的に京成が資本参加し、1961年に筆頭株主になっている。両者とも京成系列になったことから、バス事業での競合関係を解消し、合理化の推進ならびに資本力を増強するために合併した。

常総筑波鉄道

鹿島参宮鉄道

関東鉄道

  • 1965年(昭和40年)6月1日: 常総筑波鉄道と鹿島参宮鉄道が合併して関東鉄道に
  • 1968年(昭和43年): 三ツ矢観光自動車(牛久市)を吸収合併
  • 1970年(昭和45年): 住宅団地「関鉄霞ヶ浦阿見台」分譲開始
  • 1979年(昭和54年)4月1日: 赤字路線の鉾田線・筑波線を分離して鹿島鉄道・筑波鉄道に
  • 1984年(昭和59年)11月15日: 常総線取手 - 水海道間17.2kmの複線化完成。
  • 1987年(昭和62年)4月1日: 筑波研究学園都市と東京駅を結ぶ高速バス「つくば号」を東日本旅客鉄道(JR東日本)と共同で運行開始、高速バスに参入。
  • 1992年(平成4年)6月2日: 常総線取手駅で列車脱線衝突事故発生。乗客1名死亡、250名以上重軽傷。これを機に新造車両導入方針に転換。
  • 1994年(平成6年): 建設業免許取得
  • 1999年(平成11年)9月16日: グループの貸切バス事業を関鉄観光バスに統合
  • 2001年(平成13年)
    • 茨城観光自動車の一部路線を継承
    • 6月1日: 鉾田地区の乗合バス事業を関鉄メロンバスに分離、下妻地区の乗合バス事業を関鉄パープルバスに分離。
  • 2002年(平成14年)7月1日: 石岡・柿岡地区の乗合バス事業の一部を関鉄グリーンバスに分離
  • 2005年(平成17年)8月24日つくばエクスプレスの開業と同時に常総線で快速列車を運行開始
  • 2009年(平成21年)3月14日: 鉄道事業においてPASMOを導入。全線全駅にPASMO用機器(チャージ機・改札機等)を設置。

鉄道事業

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非電化で複線区間がある常総線(1978年撮影)

茨城県南部に2路線55.6km28駅を有し、全て非電化となっている。沿線にベッドタウンを抱え、1980年代以降東京方面への通勤旅客輸送が柱となっており、常総線の取手駅 - 水海道駅間は日本で数少ない非電化複線で、短い駅間距離と電車区間並みの高頻度運転という特徴を持つ。一方、1950年代にあった常総線特急・急行列車廃止以降、2005年の常総線線路改良(快速列車運転開始)まで線内長距離輸送に対する施策は後回しにされており、2013年現在でも快速列車の運行本数は1日下り7本・上り6本で、普通列車も常総線全線51.1kmを80分かけて走るほど低速である。

常総線には自動進路制御装置(PRC)、竜ヶ崎線には自動列車停止装置(ATS)をそれぞれ配備。年間輸送人員は1,148万6,000人、乗車効率は14.2%、営業収益は約24億円[2]である。

営業収益に占める割合こそバス事業より小さいが、定期運賃収入が見込める安定した主力事業で、同社の筆頭部門となっている。執行部の直下に鉄道事業を分掌する「鉄道部」が組織されており、その現業拠点は常総線の南水海道水海道車両基地)に構える。常総線の運転指令ならびに乗務・車両・検修・施設系の各部門は南水海道に所在する。駅務は広い駅務管区制を採っており、管理駅は全28駅中3駅のみである。

路線

現在の路線

  • 常総線(取手駅 - 下館駅間、51.1km25駅)
  • 竜ヶ崎線(佐貫駅 - 竜ヶ崎駅間、4.5km3駅)

過去の路線

車両

全路線が非電化のため、保有車両はすべて気動車である。旅客用の気動車61両及びディーゼル機関車1両の計62両を保有する。通勤路線でもあるため、旅客用全車両が通勤型車両で、片側3ドアロングシートの座席構造である。旅客車両は全てワンマン運転対応である。

常総線

運賃収受方式の違いから複線用(取手 - 水海道間)と単線用(水海道 - 下館間)の2種類に大別でき、後者は単線区間における車内運賃収受のため整理券発行機・運賃箱を備える。

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竜ヶ崎線

1971年からワンマン運転を行なっているが、途中駅1駅という特殊な条件下にあるため、整理券発行機や運賃箱、自動運賃表などは一切備えない。全ての駅のプラットホームが竜ヶ崎方に向かって右側に設置されているので、運転席は竜ヶ崎に向かって右側に統一されている。 テンプレート:Main

鉾田線

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筑波線

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運賃

大人普通旅客運賃(ICカード・切符購入とも同額、小児半額・10円未満切り上げ)。2014年4月1日改定[3]

1km未満の端数は切り上げ。43, 47, 51kmについては、国土交通省に申請した運賃においては設定があるが[3]、該当区間は実際には存在しない。

キロ程 運賃(円)
初乗り2km 140
3 150
4 170
5 220
6 250
7 300
8 350
9 380
10 420
11 450
12 490
13 540
14 550
15-16 620
17-18 680
19-20 740
21-22 820
23-24 880
25-26 950
キロ程 運賃(円)
27-28 990
29-30 1030
31-32 1070
33-34 1110
35-36 1170
37-38 1210
39-40 1250
41 1260
42 1280
43 1310
44 1330
45 1350
46 1370
47 1390
48 1420
49 1440
50 1460
51 1490
52 1510


企画乗車券

通年で発売されているものでは、次のものがある。

このほか、JR東日本の水戸支社が発行する「ときわ路パス」には、常総線全線がフリー区間(乗り降り自由)に含まれている。JR東日本の水戸支社管内の駅と取手駅で発売するが、関東鉄道側では発売されない。

バス事業

ファイル:1958MT.JPG
みと号(赤塚ルート)

営業収益の約70%を占める[4]バス事業は、茨城県南部を拠点に乗合・特定・貸切事業を展開。鉄道に対し優位性すら持っている高速バスかしま号・みと号を有力路線に持ち、茨城県内と東京都心などを結ぶ高速バス並びに土浦市・つくば市・取手市・龍ケ崎市・守谷市・水戸市などを中心とした一般路線バスを運行している。営業所10ヶ所、乗合バス路線2,788.8km、乗合車両410両、貸切車両34両を保有し、乗合の運行系統整理番号は4桁に達する。

かつては茨城県水戸以南地域に広大なバス路線網を有していたが、主力地域以外は子会社に分離するか撤退している。貸切事業についてその主力は子会社の関鉄観光バス(67両)に譲っている。

一般路線バスの主たる営業エリアには筑波山や筑波研究学園都市の研究所、竜ヶ崎ニュータウンを始めとする東京通勤のベッドタウンなどを抱えており、観光から用務・通勤・通学まで幅広い需要の受け皿となっている点が特徴的である。また、土浦全国花火競技大会など営業エリア内で開催される巨大催事においても高い保有車両数を生かして観客輸送を担っている。また、コミュニティバスの運行も多数受託しており、つくば市つくバス、土浦市のキララちゃん、牛久市のかっぱ号などを担当している。

主なバスターミナルには水戸駅つくばセンター土浦駅取手駅守谷駅佐貫駅があり、これらには乗合バス券売所も設置されている。

高速バス等

  • よかっぺ関西号(水戸駅・土浦駅・つくばセンター⇔京都・大阪、近鉄バスと共同。関鉄唯一の夜行高速バス)
  • つくば号(東京駅⇔つくばセンター・筑波大学、JRバス関東と共同)
  • ミッドナイトつくば号(東京駅→つくばセンター・筑波大学、JRバス関東と共同)
  • かしま号(東京駅⇔鹿島セントラルホテル・鹿島神宮駅・カシマサッカースタジアム、JRバス関東・京成バスと共同)
  • ミッドナイトかしま号(東京駅→鹿島セントラルホテル・鹿島神宮駅)
  • カシマサッカースタジアム号(東京駅⇔(直行)カシマサッカースタジアム、JRバス関東・京成バスと共同)※鹿島アントラーズ主催試合開催日のみ運行
  • はさき号(東京駅⇔神栖市役所・波崎、関鉄観光バスとJRバス関東が運行、2010年7月16日より関鉄観光バスに替わり関東鉄道が運行)
  • 常総ルート(東京駅⇔水海道駅・岩井、関鉄パープルバスと共同)
  • みと号(東京駅⇔水戸駅、JRバス関東・茨城交通と共同)
  • ミッドナイト水戸号(東京駅→赤塚駅・水戸駅)
  • エアポートライナーNATT'S(土浦駅東口・つくばセンター・ひたち野うしく駅⇔成田空港、千葉交通成田空港交通と共同)
  • つくばセンター - 羽田空港線(京浜急行バスと共同)
  • 鹿島神宮駅・鹿島セントラルホテル・水郷潮来⇔羽田空港(京浜急行バスと共同)
  • 鹿島神宮駅・鹿島セントラルホテル・水郷潮来⇔海浜幕張駅・TDR・東京テレポート
  • 土浦駅東口・つくばセンター⇔東京ディズニーリゾート・東京テレポート駅・国際展示場駅
  • 東京駅⇔茨城空港
  • つくばセンター⇔茨城空港
  • 水戸駅南口⇔茨城空港

車両

自社発注車はいすゞ車が多く、以下三菱日野日産ディーゼル(当時、現「UDトラックス」)車の順となる。子会社以外では、2012年の元京成のLV832型(トルコンAT)をのぞいて、全車MT車を採用している。2013年7月時点では、アリソンAT仕様の車輌は、1台も在籍していない。2001年春に、初めてノンステップバスが投入されたが、関東地方の他県及び東京都では98年度時点で既に登場していたことで、茨城県が関東で最も遅く、他県よりも大幅に遅れて初投入となった。2010年以降、大型路線車の新製配置が無かったが、2013年にいすゞ・エルガワンステップ(QPG-LV234N3)を1台投入し、取手に配置された。さらに、Q尺ワンロマ仕様も約6年ぶりに投入され、水海道に2台配置された。なお、ハイブリッドバスは、2013年7月時点で1台も在籍していない。

中古車両は1990年に水戸営業所と土浦営業所に導入された神奈川中央交通の中古車に始まり、都営バス京阪バス西武バス千葉内陸バスなどの中古車を導入してきたが、2002年春以降は京成バス(当時は京成電鉄直営)からの移籍車にほぼ統一された。近年は新京成バスを始めとした京成グループ会社からの移籍車も多くなってきているほか、2010年以降は初期型のノンステップバスを中心に、京成グループ会社以外からの移籍車も増えつつある[5] 。2013年には、尼崎市交通局からのニューエアロスター・ノーステップ(KC-MP747K)が5台配置(4台土浦、1台水海道に配置)された。さらに同年には、KL-規制車の車輌が譲渡が始まった。第1号は、京浜急行バスからのいすゞ・エルガワンステップ(KL-LV280L1)で3台譲渡され、2台が龍ケ崎、1台は水海道に配置された。高速車に関しては三菱ふそう車が主力となっており、日野製の高速車は在籍していない[6]。なお、夜行・よかっぺ関西号用の車輌は近鉄バスとは異なり、ダブルデッカーのエアロキングは1台も在籍しておらず、全車エアロクイーン(スーパーハイデッカー)となっている。

カラーリングはグレー地に窓周りを白、窓の下に青帯が入るデザインで、2001年より導入されているワンステップバス、ノンステップバスはこれに曲線でアレンジした塗装となっている。貸切車や一部の高速バスでは京成バスと共通のデザインを採用する。また、2007年以降に新製配置された高速バスや貸切バスでは、京成グループ共通色新カラーが採用されている。

車内の運賃表示機は、廃車時に撤去された物を引き続き使用していたが、2012年度以降に新製配置された車輌では、川崎市バスの同様に、LCDモニターが採用されている。又運賃箱は、水戸営業所のみ2010年以降順次、レシップ製新型のICカード及び釣り銭対応の運賃箱に交換された。それ以外の営業所・車庫では、旧式の運賃箱を使用しており、廃車時に撤去された物を引き続き使用している。

社番

社番は自社発注車が0001 - 、中古車が9001 - の付番であり、関鉄観光バスは路線車が7001 - 、貸切車が8001 - である。年式、メーカー、使用用途などに問わず全て導入順に通し番号で表記され忌み番である『××42』や『××49』も欠番にはならない[7]

分離子会社になって導入された車は頭に子会社の記号(関鉄グリーンバス:G、関鉄パープルバス:P)が入って001 - となっている。

なお、廃車が出てもその社番は使用しないが、関鉄→他事業者→関鉄と渡ってきた車両は1台で2つの社番を持つこともある(例:9037IS:元川崎鶴見臨港バス日本観光バス→関鉄観光バス7001TCなど)。

営業所

バスの営業所は以下の通りである。水戸営業所、潮来営業所、波崎車庫、関鉄グリーンバス鉾田営業所の車両は水戸ナンバー、つくば北営業所、つくば中央営業所、水海道営業所、関鉄パープルバス、関鉄観光バス下館営業センターの車両はつくばナンバー(ただし2007年2月13日以降に当所に配置された車両に限り、それ以前は土浦ナンバー)、関鉄観光バス佐原営業センターの車両は千葉ナンバーで、他は土浦ナンバーとなっている。また、営業所名後ろの括弧内の英字は営業所・車庫を略記する際の記号であり、車体には社番の後に表記されている。

現在の営業所

過去に存在した営業所

  • 石岡営業所 (IS:茨城県石岡市行里川)→現在は関鉄グリーンバス石岡営業所
  • 柿岡営業所 (KK:茨城県石岡市柿岡)→関鉄グリーンバス柿岡営業所に移管→現在は閉鎖
  • 鉾田営業所 (HK:茨城県鉾田市鉾田)→関鉄メロンバス本社営業所→現在は関鉄グリーンバス鉾田営業所
  • 下妻営業所(SM:茨城県下妻市下妻乙)→現在は関鉄パープルバス下妻本社営業所
  • 田伏営業所(TB:茨城県かすみがうら市田伏)→関鉄観光バス田伏営業センターに移管→現在は閉鎖
  • 鹿島営業所(KS:茨城県鹿嶋市宮中)→ITに移動。

交通系ICカード

PASMO(PASMO協議会)に加盟[8]しており、鉄道全線および高速バス「かしま号」でPASMOなどのICカードが利用できる。カードの発売・払戻等は一部の鉄道駅で取り扱う。

鉄道

鉄道では2009年3月14日からPASMOを全線全駅に導入し、同時にSuicaが相互利用できるようになった。ただし、2013年3月15日からの全国相互利用からは除外[9]されており、利用できるICカードはPASMO・Suica(首都圏ICカード相互利用サービス)のみである[10]

バス

高速バス「かしま号」に限り2013年3月31日からPASMOおよび全国相互利用の全10種類のカード(他にKitacaSuicamanacaTOICAICOCAPiTaPanimocaSUGOCAはやかけん)が利用できる[11]。履歴は当面の間「京成バス」となる。一部の臨時便とその他のバス路線(高速バスの他の路線、一般路線バス・コミュニティバス・特定バス全線)ではICカードは使えない。

ICカード回数券(廃止)

かつて取手営業所では、ICカード回数券という独自のICカード乗車券が導入されていた。2003年12月1日に導入され2009年7月31日に新規発行終了、2010年3月31日利用終了となっている。初回販売額は3000円でデポジット不要。最大チャージ可能額は30000円で1000円のチャージ毎に1100円分利用可能であった。

不動産事業

自社線・JR常磐線沿線及びつくば市周辺において、宅地の開発、ビルの賃貸、土地・建物の仲介などを開発部が行っている。宅地開発については、1970年の関鉄霞ヶ浦阿見台(稲敷郡阿見町)の開発をはじめとして、1978年の「関鉄ニュータウン取手」(取手市・常総線西取手駅周辺)、1983年の「関鉄ニュータウン伊奈すみれ野」(つくばみらい市谷井田)、「関鉄ニュータウンつくば南」(土浦市、バス「荒川沖センター」線沿い)などの開発を行っている。貸ビルは土浦市・つくば市などにある。

宅地建物取引業茨城県知事免許「(14)第203号」。一般建設業茨城県知事許可「(般-20)第25403号」。

つくばエクスプレスとの関係

首都圏新都市鉄道 (MIR) が経営するつくばエクスプレス (TX) とは、「競合」と「協調」の相反する二面性を持った関係となっている。TX開業によって主力の高速バス・鉄道事業が圧迫される一方、関鉄によるMIR株の保有のみならず事業における一定の協調関係を持っており、その関係はTXと距離を置く鉄道事業者が多い中やや目立ったものとなっている。

競合面

ファイル:Jrbsu-omiya・tukuba.JPG
TX打撃をカバーする路線になれず失敗した大宮線(他社車両)

TX開業以前はJR常磐線と並び高速バス「つくば号」が筑波研究学園都市主要部と東京都心を結ぶ主な移動手段であった。また、守谷以北の常総線利用者が東京都心に出る場合、取手駅まで常総線を利用し、そこからJR常磐線に乗り換える経路が主な移動手段であった。

TX開業に当たり、つくば号の減便・再編をせず様子を見ていたが、速度で劣るつくば号は乗客が70%減少し[12]、後々減便された。守谷市と北柏駅(JR常磐線)を結ぶ一般バス路線なども乗客が減少した。収益性の高い高速バス乗客離れによりバス運賃収入は減少した。また、守谷以北の乗客の多くが守谷駅でTXに乗り換えるようになったため、常総線も減収となった。

これらを理由として全従業員に対して給与削減を実施し、2007年4月の運賃改定で鉄道運賃を上げた。また、減収を理由として連結子会社である鹿島鉄道に行っていた経済支援を2007年度以降継続しないこととしたこともあり、鹿島鉄道線は2007年4月1日廃止となるなど関鉄の経営に大きく影響している。

2012年現在でもつくば号では対TX競合姿勢を崩しておらず、割引率の高い回数乗車券を設定して「安さ」を強調したり、筑波大学乗り入れを行って鉄道との差別化を図ったり、つくば駅前のバス停留所も「つくばセンター」のままで「つくば駅」への改称を見合わせるなどしている。つくば号沿線(つくば市並木など)からTXとの競合が弱い他の目的地への新規路線開拓・撤退も散発されている[13]。TX側も2005年の開業時からつくば号を意識し[14]、つくば号より100円安い運賃(1150円、現在はつくば号値下げにより同額)とする攻めの姿勢を採った。

協調面

ファイル:TX Kantetsu FareMap.jpg
つくばエクスプレスの関鉄線連絡運賃表(他の会社線は掲示されていない)

両者の利害が一致する分野においては協調関係が見られる。関鉄の主たる営業エリアはTXの終点付近に広がっているという地理的な理由が背景にあり、具体的には本線(TX)と培養線(関鉄)の関係にあたる。

関鉄は茨城県内の市長・議長、商工・青年会議所長などとMIR代表取締役で構成する「茨城県つくばエクスプレス等整備利用促進協議会」特別会員になっている。この協議会の事業には「常総線の複線電化等整備促進及びつくばエクスプレスとの輸送の一本化の確保に関すること」[15]が含まれている。

TXと組み合わせることで水海道・下妻・下館方面から東京都心への最短・最速経路になる常総線では、沿線自治体の意向と線路改良に対する支援[16]によりTX開業と同時に快速列車が新設された。「TX&常総ライン往復きっぷ」という往復割引乗車券も双方で発売するなど、TXと関鉄はこのルートの利用促進に努めている。

また、TX各駅の運賃表には接続路線で唯一、関鉄常総線連絡運賃を表示しているのみならず、自社線運賃表にまで常総線の乗換案内が表示されていることも特徴的である[17]

バス事業においては、東京から筑波山への最短ルートになったTXの開業後、TX列車に接続する「筑波山シャトルバス」を設けTX接続を強化する一方、直通高速バス「ニューつくばね号」を早々に撤退させた。これはつくば号の競合姿勢とは対照的である。「筑波山もみじまつり」「筑波山つつじまつり」など筑波山シャトルバスを利用した筑波山の観光促進キャンペーンをMIR、筑波観光鉄道、つくば市、つくば観光コンベンション協会と共同して行っている。関鉄のつくばエリアのバスは「つくば駅周辺フードマップ」などTX発行のパンフレットにも頻繁かつやや詳細に掲載される[18]

その他関鉄では、TX沿線において宅地開発を行っている。常総線沿線でもある守谷市のほか、つくば市のTX沿線でも行っている。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

関連項目

外部リンク

テンプレート:Sister テンプレート:Multimedia

テンプレート:PASMO テンプレート:関東鉄道バスの営業所

テンプレート:京成グループ
  1. 3月27日許可「鉄道譲渡」『官報』1944年3月30日(国立国会図書館デジタル化資料)
  2. 関東鉄道株式会社の有価証券報告書 2007年04月01日 - 2008年03月31日期
  3. 3.0 3.1 テンプレート:PDFlink - 関東鉄道、2014年3月5日(2014年4月8日閲覧)
  4. 平成23年度単体決算報告
  5. 東急バス立川バス小田急バスの中古車がその例。2012年には、京成バス江戸川営業所からの、キュービックノンステップ(KC-LV832N)が2台譲渡され、土浦に配置。関東鉄道にとっては、初のAT仕様の路線車投入となった
  6. 過去には夜行バス・よかっぺ関西号の開業時に共同運行の近鉄バスより日野製中古車を1台購入した事例がある。
  7. ただし、関鉄グリーンバスはG042,G049は欠番となっている。
  8. ご利用可能交通機関
  9. テンプレート:PDFlink
  10. 各駅の掲示より
  11. 鹿島〜東京駅線ICカードサービス開始
  12. 「新時代への扉 つくば-秋葉原45分 第4部 動く 鹿島鉄道廃線ヘ決断」『茨城新聞』2006年3月5日
  13. さいたま新都心・大宮(撤退)、TDR・幕張新都心
  14. 記者発表など
  15. テンプレート:PDFlink
  16. 「沿線14市町村でつくる常総地域振興促進既成同盟会が快速運行など近代化事業運動を展開。国や県、自治体、関鉄が負担して総事業費10億8500万円で、快速運行の整備が進められた」(常陽新聞2005年8月6日)
  17. つくばエクスプレス運賃表(のりかえ路線は常総線のみ記載)
  18. つくば駅周辺フードマップ」は駅前飲食店情報パンフレットでありながらわざわざ2ページを割いて関鉄グループバスの案内をしている。関鉄グループ以外のバスは掲載されておらず、他エリアの「フードマップ」にはバス情報のページすらない。