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(うるう)とは、において1年の日数や月数が普段の年(平年)よりも多いこと、または1日の秒数が普段の日よりも多いことをいう。またはその余分な日・月・秒のこと。

解説

季節とのずれを調節するために入れられる。”うるう”という読みは、閏と潤を混同して”うるおう”という読みがなまったものだという。なお暦学理論上、閏週という考えもあり得るが、今日の暦法において採用しているものはない。

閏日・閏月

多くの太陽暦においては約4年に1度、余分な1日閏日が入れられる。多くの太陰太陽暦においては約3年に1度、一ヶ月を余分に入れてそれを閏月と称する。

暦と季節とのずれは、太陽年の長さがそれぞれの暦において基準としている期間の整数倍でないために起こるものである。太陽暦では1太陽年の長さが365日より約4分の1日長く、太陰暦では12朔望月より約11日長い。それによりこの少し長い分のずれが月日を重ねるうちに蓄積され、暦と季節が無関係なものになる。そこでこれを補正するために太陽暦では四年に一度、一年に1日を足すことにし、また月の朔望のみに頼る太陰暦ではなく、閏月を入れて暦を調整する太陰太陽暦が用いられた。太陽暦、太陰太陽暦ともに古来より何度か改暦が行われているが、どちらも閏の入れかた(置閏法)を改良するものであった(太陰太陽暦の場合は天体位置の計算法の改良もある)。

太陰暦でも閏日が入れられることがあるが、これは月齢と暦とのずれを補正するものである。このずれは、1朔望月が1日の整数倍でないために起こるもので、小の月(29日の月)を大の月(30日の月)に変更することで補正する。

閏日または閏月が入れられる年のことを閏年という。

閏秒

テンプレート:Main 現在の1は原子の振動を元に定義されており、常に一定間隔で時刻が刻まれている。しかし地球の自転速度が一定ではないため、原子の振動に基づいた時刻の定義では、実際の昼夜とのずれが生じることになる。これを補正するため、ずれが0.9秒を超えないように余分な1秒閏秒が挿入される(定義上は1秒を削除することもあり得るが、実際に行われたことはない)。

転用

閏月は一年の内ではあるが、一月から十二月までの本来の12ヶ月からは外れた存在であり、また同じ月がたとえば「八月」「閏八月」と二ヶ月連続することになる。このことから、或る程度の期間並立した複数の王朝のうちでどれが正統であるかを論じる議論を、「正閏論」と呼ぶことになった。

「天に二日なく、地に二王なし」との礼記の記述から中国及びその影響を受けた諸国では、「本来皇帝はただ一人であるから、過去の複数の皇帝が居た時代においてもどれか一つの皇帝を正統として歴史書を記すべきである」という思想が支配的であった。内藤湖南は『支那史学史』において、王夫之が歴代王朝における正統(正閏)の議論を批判したことに触れ、「支那人には珍しい通達の論」としている(『東洋文庫』・『支那史学史 1』310頁)。中国では三国時代の正閏論、日本では南北朝正閏論が有名である。

参考文献

  • 広瀬秀雄 『暦』〈『日本史小百科』〉 東京堂出版、1978年
  • Samuel A.Goudsmit/Robert Claibrne 『時間の測定』〈『ライフ/人間と科学シリーズ』〉 タイムライフブックス、1982年 ※日本語版、小野健一監修
  • 内藤湖南 『支那史学史 1』〈『東洋文庫』557〉 平凡社、1992年

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