近鉄1220系電車

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1220系電車(1220けいでんしゃ)とは、近畿日本鉄道が保有する通勤形電車の一系列。

本稿では、同じく日立製作所VVVFインバータ機器を搭載した2両編成の系列である1230系(1233系などの派生系列を含む)と、その4,6両編成の系列である1020系(および派生系列である1021系、1026系、1031系)についても記述する。

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1220系

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概要

1420系の量産バージョンとして、1987年(昭和62年)3月に登場した2両編成のVVVFインバータ車両。最大車体幅2800mm。裾を絞ったアルミ車体を採用。インバータ装置のメーカーを除く仕様は、1422系と同一である。電算記号は1420系、1422系では大阪・名古屋線系統の青山越え可能な2連車を意味するWを用いてVWとなっていたが、これらが三菱電機製のVVVFインバータ制御装置を採用したのに対して、1220系では日立製作所製のものを採用したため、これと区別する意味合いでVCとなった。この区別はその後も1230系、1240系、1253系、1254系、1259系等で継承されていくことになる。しかし標準軌全線共通仕様の1230系に移行したため、新製は3編成にとどまる。2014年4月現在、全車が大阪線高安検車区に所属する[1]

主要機器・性能

上記のとおり日立製作所製のGTO素子によるVVVFインバータ機器を搭載する。主電動機は三菱電機製のMB-5023A型で、モーター出力165kW。歯車比は6.31(16:101)となっており、これらの仕様は1422系や5200系(5201F - 5204F)と同一である。

台車は近畿車両製のシュリーレン台車で、Mc車はKD-95、Tc車はKD-95Aを装備する。基礎ブレーキ装置は車輪の踏面を前後から制輪子で締め付ける両抱き式である。全編成が合成制輪子に交換されているが、踏面清掃装置が追設されていない。

車両性能は起動加速度2.6km/h/s。減速度4.0km/h/s。運用上の最高速度は110km/hで、大阪線西青山駅 - 東青山駅間の新青山トンネル内22.8‰上り勾配においても均衡速度104km/h以上の走行性能が確保され、33‰上り勾配・架線電圧10%減・定員乗車条件でも均衡速度96km/hを確保している。

改造

登場から25年以上経過しているものの、2014年4月現在のところ車体更新工事は行われていないが、2009年8月から2010年3月にかけて簡易内装更新が行われており、全編成に転落防止幌が設置され、同時に車内の床材が明るめのグレー系に更新された。ドアチャイムや車内案内表示器の設置は行われていない。 2011年から2013年にかけて車体側面のVVVFマークが撤去されており、2011年から2012年にかけて全編成が新型ATS設置・デッドマン装置更新、戸締灯の増設工事を受けている。 テンプレート:-

1230系

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概要

ファイル:Kintetsu-1252-uozaki.JPG
近鉄1252・1253系電車
(2009年3月21日 阪神伝法駅

1989年(平成元年)7月に登場した、標準軌全線共通仕様のVVVFインバータ、アルミ車体の2両編成の車両である。1220系をベースに、標準軌全線共通仕様に変更されている。標準軌全線共通仕様とは車体設計の共通化とともに、大阪・名古屋線と奈良・京都線の間の車両転配がスムーズに行えるように機器類の配置を可能な限り共通化した仕様のことである。奈良線用は8000系2両編成の置き換え目的で、大阪・名古屋線用は1600系・1800系2400系の置き換え目的で製造されている。

電算記号は、奈良線京都線系統では同線の2両編成車を意味するEを用いてVE、大阪線・名古屋線系ではVCであるが、これは同線系統の1220系の制御装置メーカーが同一であることに倣ったものである。1276Fで製造を完了し、シリーズ219020系が後継系列として製造されている。1277Fも存在するが、これは後述の1020系の1030Fの中間2両を離脱させ、1026Fに組み込んだため、先頭2両のみを1編成とし、運転台寄りにパンタグラフを増設し、1277Fとなって1252系に編入したものである。

車体・走行機器等

1230系では台車は、21000系(アーバンライナー)にならってホイールベース台車軸距)を、従来車の 2150 mm から 2100 mm に変更した新仕様台車KD-96形 (M)、KD-96A形 (T)を採用している。主電動機は中期型まではMB-5035A型、後期型ではMB-5035B型を、歯車比を1220系の6.31から5.73に変更し、これがシリーズ21登場前まで標準軌VVVF通勤車に採用されている。

1231F、1232Fの2編成は1220系、1224F、1225Fとして製作されている途中での仕様変更に対し、1233F以降は設計当時からの仕様変更のため、1233F以降の車両を1233系と呼ぶことが多い。1233系以外にも1240系1249系1252系1253系1254系1259系と細かく分類されることがある。

なお1224F1225F製作時の当初の計画では、最初の新造車5編成の車両形式は仮称1230系 1231F - 1235Fを予定していたが、1220系、1230系関連の計画変更で1233系 1233F - 1237Fとなっている。

1233系(1989年7月に登場)は当初から共通仕様の下に設計した車体(新アルミ材を採用)に新仕様台車をさらに改良したKD-96B形(M)、KD-96C形(T)を装備している。1249系(1992年2月登場)では補助電源装置がSIV(静止型インバータ)のBS-483Q形(70kVA)となり、運転台後方に車椅子スペースが設けられた。1252系(1993年3月登場)には1軸1ディスクの、1253系(1993年3月登場)には1軸2ディスクのディスクブレーキをTc車に採用したボルスタレス台車のKD-306型が使用された(後に1253系のディスクブレーキは1枚に改められている)。1254系(1993年3月登場)では滑走検知装置を取り付け、Tc台車のディスクブレーキ仕様を変更したが、この仕様変更は1255F以降の車両には採用されず、1254系は1編成のみの製造にとどまっている(後にディスクブレーキは1枚に改造)。1255F以降の車両は踏面清掃装置非搭載車は元の1252系踏面清掃装置搭載車は1253系として製造[2]されており、新造当時でも1252F - 1277Fは結果的に4形式が入り乱れていた。

1996年1月に製造された1262F以降は主電動機が低騒音タイプに変更された。1997年に製造された1271F以降では乗務員室仕切り窓の小型化が行われ、同年5月に製造された1274F以降はVVVFインバータ装置のゲート制御部が従来の16ビットから32ビット化され、従来よりもさらに静かな走行音になっており、製造当初から乗降扉付近の床材にノンスリップ加工が施されている。1998年製造の1275F・1276Fは当初から連結側に転落防止幌を装備し、乗降扉付近に雨樋が設置されている。急勾配区間や悪天候時の空転発生を考慮して1253F - 1257F・1259F - 1261F・1267F - 1277Fはアルミナ噴射装置が取り付けられている。

転属

新製当初から明星検車区に籍をおき大阪線を中心とした運用に入っていた1243F・1247F・1248F・1255F - 1257Fは、一旦2000-2001年にかけて全ての編成が高安検車区に転属したが、1243Fは2600系の置き換え目的で2002年7月に富吉検車区に転属、1247Fは2003年7月、1248Fも2003年9月に1810系の置き換え目的で明星検車区に転属しているが、2012年3月に富吉検車区へ所属変更されている[3]

新製時は富吉検車区に配置され、後述の名古屋線ワンマン対応改造がされなかった1242F・1260F・1261Fのうち1260Fは2006年に高安検車区に転属している。

奈良線所属編成は全ての編成が西大寺検車区に配置されていたが、後述の1020系・1026系(1035F以外の全ての4両編成)のワンマン改造・西大寺検車区への転属に伴って2004年までに1233F - 1237Fが東花園検車区に転属となっている。1277Fも後述の阪神直通改造に伴って2012年3月に東花園検車区へ所属変更された[3]

改造・更新

新製時に転落防止幌を装備していなかった1231F - 1274Fは、2000年から2013年3月までに全ての編成が転落防止幌の設置を完了している。2002年から順次バリアフリー対応としてドアチャイムや車内案内表示器の設置、2007年以降はク1330形の先頭連結部に連結部注意喚起スピーカーの設置が行われ、1265F - 1269F・1271F -1277Fに施工されている。

2007年末から順次、新型ATS(ATS-SP)設置・デッドマン装置更新工事が行われ、2013年3月までに全編成がこの工事を完了している。2009年以降、1232F - 1252F・1255F - 1267F・1269F・1270F・1275F - 1277Fの車体側面に貼られていたVVVF制御車のシンボルマークが撤去された。

2014年現在のところ車体更新は施工されていないが、2010年からは1220系や1422系6400系の一部に行われた簡易内装更新工事が1230系・1233系の一部でも施工されている。2014年1月現在、1231F - 1260Fがこの工事を受けている。この際に1231F - 1239F・1241F - 1260Fは座席の一般席モケットが5200系車体更新車両や5820系に準じた赤系に、優先席モケットは5800系に準じた紫系に変更されている。

上記の内装更新が施工されていない編成でも簡易内装更新車両と同様に座席モケットが交換されている。

名古屋線ワンマン運転対応改造
名古屋線所属の1231F・1232F・1240F・1242F・1259F - 1261F・1265F - 1269Fのうち、1242F・1261Fを除く9編成はワンマン対応工事が施工されている。改造内容は乗務員室運転士側窓ガラスの茶色化と車外スピーカー取り付け、運賃表示器と運賃箱の設置である。初期に改造された1231F・1232F・1240Fでは乗務員室仕切り窓の小型化が行われた。2000系1201系1201F - 1204Fとは異なり、車外スピーカーはクーラーキセに設置されている。なお、1233系の1240Fと1253系の1259F・1265F - 1269Fはワンマン改造によりそれぞれ1240系1259系に系列変更している。1231F・1232Fは2000年(平成12年)11月に、1240Fは2001年(平成13年)4月に、1259Fは2003年に、1265F - 1269Fは2007年 - 2008年3月にかけて改造されている。初期に改造された1231F・1232Fは方向幕に「ワンマン普通○○」の表示で運行している[4]

阪神線直通対応改造
奈良線所属の1252系のうち、2012年(平成24年)4月現在で1271F - 1277Fの7本が阪神相直対応となっている[5]。改造内容は5800系の改造内容と同じである。バリアフリー改造がされていない車両は同時に車内案内表示器とドアチャイム、転落防止幌の設置が行われた。また、2008年(平成20年)8月に1253系1273F・1275Fが阪神尼崎車庫に陸送され試運転と乗務訓練が行われた。乗り入れ対応編成は蝶々に類似したマークを前面運転台下窓と側面乗務員室扉横に貼り付けられている。方向幕も「大阪難波」[6]や「三宮」、「尼崎」などの表示が追加され、従来、旧国名を省略した「西大寺」などの行先表示であった車両は「大和西大寺」などの旧国名表示も追加されている。2009年3月の相互直通運転開始時点では1271F - 1276Fのみ阪神直通改造がされていたが、2012年3月のダイヤ変更で阪神なんば線直通列車が増発されたことに伴って1277Fも追加で改造されている[3]

事故

大阪線所属の1257Fは、2009年2月27日早朝に大阪線東青山駅構内で発生した脱線衝突事故の影響で、車体や走行機器などが損傷した。特に電柱に激突したモ1257形の車体や台車、VVVFインバータ装置などが大きく破損[7]したため、修繕のために五位堂検修車庫にて長期休車になっていたが、2010年(平成22年)10月20日に営業復帰した。また、主電動機がMB-5035Bに変更され、事故によるダメージが特に酷かった台車は、Mc車がKD-306からKD-306Hに、Tc車がKD-306AからKD-306Iに、それぞれ振り替えが行われているほか、運転室内部の化粧板やブラインドカーテンなど内装品の一部も新品に交換され、VVVFインバータ装置も主電動機と同時に1252系後期車に準じたものに交換されている。

アートライナー

  • 1231F:名泗コンサルタント(2009年(平成21年)4月 - )

配置

2014年4月現在の配置検車区は以下の通り[1]

2両編成車の運用

  • 大阪線所属編成

主に大阪上本町駅 - 青山町駅 - 伊勢中川駅 - 宇治山田駅間にて4両編成の増結編成に使用され、快速急行から普通まで幅広く運用されるほか、一部に2編成増結した6両編成の運用、ラッシュ時の名張以西では8・10両編成での運用もある。一部は急行の増結編成で鳥羽線鳥羽駅や名古屋線に乗り入れ、2両単独で名張駅 - 伊勢中川駅・山田線明星駅間の普通列車でも運用されているが、1220系は単独編成で運用出来ないため独立した運用が組まれ、2410系2412F・2413Fと共通運用とされている。

  • 名古屋線所属編成

名古屋線・山田線・鳥羽線で運用され、急行・準急の増結車の他、編成単独で準急や普通でも運用されている。一部の運用は快速急行の増結編成で大阪線大阪上本町駅に、早朝・深夜の普通で大阪線東青山駅までそれぞれ乗り入れる。大阪線快速急行の間合い運用は原則としてワンマン運転に対応しない1242F・1243F・1247F・1248F・1261Fが使用される。ワンマン対応の車両は志摩線でも運用されているが、大阪線東青山駅以西の運用は滅多にない[8]。1231F・1232F・1240Fはレール塗油器を装備するため、名古屋線白塚駅以南を中心に運用されている。名古屋線所属編成は全て単独運用が可能であるため、大阪線所属車の車両不足やダイヤが乱れた際は大阪線でも運用される。

  • 奈良・京都線所属編成

京都・橿原・天理線では8600系など4両編成車の増結編成で急行のほか、他の1233系や9020系などを2両編成連結した4両編成で普通列車でも運用されている。

奈良線では4・6両編成の増結編成のほか2両を3・4編成連結した6・8両編成の運用もある。ラッシュ時には稀に5編成連結の10両編成の運用も存在する。 阪神直通対応の車両は神戸三宮駅まで乗り入れており、阪神本線阪神三宮駅 - 尼崎駅間は山陽電気鉄道との相互直通運転区間にもなっているため、他の阪神相直対応の車両と同様、同区間では山陽電鉄の車両(5000系5030系)と並ぶ光景も見られる。9020系と同様に京都線・橿原線系統でも他の2両編成・4両編成の車両と連結した急行や普通として頻繁に運用されている。 テンプレート:Multiple image

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系列別分類

大阪線系統
  テンプレート:TrainDirection
系列 編成名 電算名 ク1320 (Tc) モ1220 (Mc)
1220系 1221F・1222F・1223F VC21・VC22・VC23 1321・1322・1323 1221・1222・1223
1253系 1253F ・1255F - 1257F
1260F
VC53 ・VC55 - VC57
VC60
1353 ・1355 - 1357
1360
1253 ・1255 - 1257
1260
1254系 1254F VC54 1354 1254
名古屋線系統
  テンプレート:TrainDirection
系列 編成名 電算名 ク1320 (Tc) モ1220 (Mc)
1230系 1231F - 1232F VC31 - VC32 1331 - 1332 1231 - 1232
1233系 1242F - 1243F
1247F - 1248F
VC42 - VC43
VC47 - VC48
1342 - 1343
1347 - 1348
1242 - 1243
1247 - 1248
1240系 1240F VC40 1340 1240
1253系 1261F VC61 1361 1261
1259系 1259F ・1265F - 1269F VC59 ・VC65 - VC69 1359 ・1365 - 1369 1259 ・1265 - 1269
奈良線系統
  テンプレート:TrainDirection
系列 編成名 電算名 モ1230 (Mc) ク1230 (Tc)
1233系 1233F - 1239F ・1241F
1244F - 1246F
VE33 - VE39 ・VE41
VE44 - VE46
1233 - 1239 ・1241
1244 - 1246
1333 - 1339 ・1341
1344 - 1346
1249系 1249F - 1251F VE49 - VE51 1249 - 1251 1349 - 1351
1252系 1252F・1258F
1262F - 1264F
1270F - 1277F
VE52・VE58
VE62 - VE64
VE70 - VE77
1252・1258
1262 - 1264
1270 - 1277
1352・1358
1362 - 1364
1370 - 1377

1020系

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概要

ファイル:Kintetsu Series 1020 Ikoma.jpg
近鉄1021系電車
(2009年6月12日 近鉄生駒線
ファイル:Kintetsu1020Series01.jpg
近鉄1026系電車
(2006年7月30日 河内花園駅
ファイル:Kintetsu VVVF.jpg
近鉄1020系電車のVVVFインバータのロゴ
(2010年11月27日 王寺駅にて撮影)

1991年(平成3年)11月に登場。奈良線京都線用に製作されたVVVFインバータ制御アルミ車体の4・6両編成を組成する系列。日立製作所GTO素子によるインバータ装置を採用。1230系(1233系、1249系、1252系)の4・6両編成バージョンである。

現在のところ奈良線系統のみの在籍であるため、電算記号は同線の4両編成車を意味するLを用いて4両編成ではVL、6両編成ではVHである。同系から初めて、6両編成車固有の電算記号としてHを採用し、以降の5800系及び5820系(DH)、9820系(EH)に続くことになる。1035Fで生産を終了しており、後継系列は「シリーズ21」の9820系である。

1029F・1031F - 1035Fは製造当初から全線共通仕様の渡り板を装備している。
さらに、1998年に製造された1034F・1035Fは当初から連結側に転落防止幌を装備し、乗降扉付近の雨樋設置・ノンスリップ加工が施されている。

配置・運用

2014年4月現在、在籍する全編成 (4両編成10本40両と6両編成4本24両) が西大寺検車区に配置されている[1]

奈良線では同系を2本つないだ4両重連で8両編成、更に2両をつないだ10両編成を組むこともある。後述のワンマン対応編成は生駒線の全列車にも使用されている。また、6両編成車は全て阪神直通対応改造(後述)が施工されており、奈良線では普通から快速急行まで幅広く使用され、京都・橿原線では主として急行に使用されるが、これらの編成も9820系などと同様に阪神線直通の運用に優先的に使われるため、京都線系統での運用は少ない[9]。なお、阪神本線阪神三宮駅 - 尼崎駅間は山陽電気鉄道との相互直通運転区間にもなっているため、他の阪神相直対応の車両と同様、同区間では山陽電鉄の車両(5000系・5030系)と並ぶ光景も見られる。

走行機器・性能

基本設計は1230系1233F以降の車両に準じているが、モ1020形、モ1026形、モ1070形、モ1076形のパンタは1基として編成内に母線を引き通した。これはパンタグラフの間隔を30メートルに抑えるためである。1230系が1233系、1249系、1252系と細かく分類されるのと同様、1020系においても1026F以降の編成を1026系と分類されている。1026系は1993年(平成5年)9月に登場している。また近鉄公式サイトなどでの記述では1020系1021Fから1025F、1026系1031Fから1034Fは、後述のようにワンマン運転対応改造されていることから1021系1031系とされている(この改造により1020系は形式としては消滅)。

1026F以降の車両の変更点は、台車をボルスタレス台車に変更し、Tc・T車はディスクブレーキ(1軸1ディスク)を装備。補助電源装置もSIV(静止型インバータ)を東芝製のGTO素子のBS-484Q形(70kVA)とし、編成内での補助電源引き通しを行うことにより故障の際のバックアップ機能を持たせてある点である。また、サ1196形とモ1096形の間には簡易運転台が設けられている。

1996年に製造された1028F・1030Fからは主電動機が低騒音タイプに変更され、同年8月から1997年にかけて製造の1029F・1031F - 1033Fでは乗務員室仕切り窓が小型化された。1998年に登場した1034F・1035FはVVVFインバータ装置のゲート制御部が32ビット化されており、加速時から低速域の磁励音5800系に近い音に変化し、名古屋線5211系や1230系1270Fまでの車両よりも若干静かな走行音になっている。

組成変更

2002年(平成14年)、1030Fの中間車サ1180・モ1080をそれぞれサ1196、モ1096に改番して1026Fに組み込まれた。この2両には他のサ1196形とモ1096形と異なり簡易運転台は付けられていない。

残りの先頭の2両モ1030・ク1130はモ1277・ク1377に改番され、2両編成の1277Fとなり、1252系に編入された。なおモ1096・モ1277には南大阪線6620系6621F母線引き通し工事で余剰となったパンタグラフを流用し、それぞれ1基ずつ追加してパンタグラフを2基とした。

改造・更新

1996年 (平成8年) に1021F - 1028Fおよび1030Fの渡り板を全線共通タイプに取り替える工事が行われている。1998年(平成10年)から1999年(平成11年)にかけて、1033Fにシングルアーム式パンタグラフを搭載した走行試験が行なわれたが、現在は元の下枠交差形のパンタグラフに戻っている。その後、「シリーズ21」各系列で採用された。

2001年から2012年にかけて全編成にバリアフリーの一環として、車内案内表示器を出入り口上部に設置、車外転落防止幌及びドアチャイム、ク1120形に連結部注意喚起スピーカー[10]の取り付け改造を受けている。2009年から2014年にかけて1021F - 1029F・1031F - 1035Fの車体側面のVVVF制御車のシンボルマークが撤去、2008年から2012年にかけて全編成の新型ATS設置・デッドマン装置装備工事および戸締灯の増設工事がそれぞれ施工されている。

現在のところ車体更新は施工されていないが、2012年からは1230系と同様の簡易内装更新が開始され、1021F - 1025Fが簡易更新を完了している。内装更新が施工されていない編成でも座席モケットが更新されている。

生駒線ワンマン運転対応改造
2004年3月の生駒線ワンマン運転化に伴い、4両編成車は当時東花園検車区所属であった1035Fを除き、生駒線ワンマン運転に対応した改造を施して1020系からの改造車は1021系に、1026系からの改造車は1031系に改番された(1035F以外は改造後順次、西大寺検車区所属に変更)。改造内容はクーラーキセに車外スピーカーの取り付けと、1021F - 1025Fでは乗務員室仕切り窓の小型化が行われた。

阪神線直通対応改造
2012年2月現在、1026系6連車の全編成が阪神相直対応となっている。改造内容は5800系などの改造内容と同じである。同時に1021系・1031系同様のバリアフリー改造工事や新型ATS・デッドマン装置設置工事も受けている。方向幕も「大阪難波」[6]「尼崎」「三宮」表示が追加された。乗り入れ対応編成は蝶々に類似したマークを前面運転台下窓と側面乗務員室扉横に貼り付けられている。2009年3月の相互直通運転開始時点では1027F - 1029Fのみであったが、2012年3月のダイヤ変更で阪神なんば線直通列車が増発されたことに伴って1026Fが追加で改造されている[3]

製造直後の編成表
  テンプレート:TrainDirection
系列 編成名 電算記号 モ1026 (Mc) サ1176 (T) モ1076 (M) サ1196 (T) モ1096 (M) ク1126 (Tc)
1026系 1026F
1030F - 1035F
VL26
VL30 - VL35
1026
1030 - 1035
1176
1180 - 1185
1076
1080 - 1085
    1126
1130 - 1135
1027F - 1029F VH27 - VH29 1027 - 1029 1177 - 1179 1077 - 1079 1197 - 1199 1097 - 1099 1127 - 1129
組成変更後編成表
  テンプレート:TrainDirection
系列 編成名 電算記号 モ1026 (Mc) サ1176 (T) モ1076 (M) サ1196 (T) モ1096 (M) ク1126 (Tc)
1026系 1026F - 1029F
1035F
VH26 - VH29
VL35
1026 - 1029 1176 - 1179 1076 - 1079 1196 - 1199 1096 - 1099 1126 - 1129
1035 1185 1085     1135
1031系 1031F - 1034F VL31 - VL34 モ1031 (Mc) サ1181 (T) モ1081 (M) ク1131 (Tc)
1031 - 1034 1181 - 1184 1081 - 1084 1131 - 1134

アートライナー

脚注

  1. 1.0 1.1 1.2 鉄道ファン』2014年8月号 交友社 「大手私鉄車両ファイル2014 車両配置表」
  2. 2連単独で本線を走行可能な車両は、この装置を搭載した車種のみに限定される。
  3. 3.0 3.1 3.2 3.3 鉄道ファン』2012年8月号 交友社 「大手私鉄車両ファイル2012 車両データバンク」
  4. 1240Fや1259Fもワンマン改造当初は装備していたが、後に9000系や1265F - 1269Fに合わせて電光式ワンマン表示器に変更された。
  5. 1271 - 1277F以外の奈良線所属編成には、単独回送時に必要となる踏面清掃装置が搭載されていないため。
  6. 6.0 6.1 南大阪線での「大阪阿部野橋」幕と同じ、「大阪」の部分が小さめに表示されている
  7. http://www.mlit.go.jp/jtsb/railway/rep-acci/RA2010-1-2.pdf 鉄道事故調査報告書
  8. 名古屋線ワンマン編成が大阪線東青山駅以西に乗り入れないのは、ワンマン対応編成は車内に運賃箱を設置している関係で、ワンマン対応でない通常の編成よりも運転席付近の立席スペースが若干狭くなり、ラッシュ時の混雑の激しい名張駅以西での運用には車両定員が減少する欠点が生じるのが主な要因である。
  9. 奈良線の半数以上の列車が阪神線直通となったことで、京都線・橿原線・天理線における3200系・3220系を含めた6両固定編成の急行運用が増加し、京都線に乗り入れる際はこれらの6両固定編成と共通運用とされている関係上、本系列の6両固定編成が京都線に乗り入れる機会は少なくなった。
  10. 阪神乗り入れ対応の5800系やシリーズ21車両と同様のものである。

参考文献

  • 「鉄道ダイヤ情報」2009年4月号(交通新聞社)
  • 「鉄道ピクトリアル」2003年1月臨時増刊号(電気車研究会)

関連項目

外部リンク

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