足羽川

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日本一の足羽川桜並木(福井市中心部)

足羽川(あすわがわ)は、福井県を流れる河川九頭竜川水系日野川支流である。

地理

福井県今立郡池田町冠山を源に発し北流。福井市に入ると国道158号に沿って西に向きを変える。福井市の中心部を流れ、福井市大瀬町付近で日野川に合流する。

福井市街地の堤防に並ぶ日本一の桜並木は、「さくら名所100選」にも選ばれている。

たびたび、水害が起きているが、最近では2004年7月18日に、梅雨前線による洪水で、多大な被害を与えた。水害が起きる原因として、福井市の市街地に入ると急に川幅が狭まって蛇行すること、足羽川にかかる橋が古いために橋脚が多く、川の流れを妨げてしまうということが挙げられる。事実、2004年の水害はカーブ外側の堤防が水圧によって破堤した。

流域の自治体

福井県
今立郡池田町福井市

水運

戦国時代には、朝倉氏の本拠地の一乗谷から九頭竜川河口の三国港への水運が盛んに行われていた。江戸時代には福井の城下から三国港への水運が行われ、特に足羽山の特産である笏谷石は主に、この川運を利用し三国から移出された。

支流

橋梁

福井豪雨と足羽川治水対策

2004年(平成16年)7月18日の平成16年7月福井豪雨(足羽川水害)は、特定箇所への異常集中豪雨が最大の原因であった。福井市の市街地に入ると蛇行が多くなる上に急に川幅が狭まること、市街地で橋梁が多く橋桁で水がせき止められ、仮設道路や矢板の影響も多少あって堤防からの越流に至った。堤防天端が舗装されていない越流に弱い箇所で、破堤に至った。中小河川では越流しても数時間の越流であることから、その時間だけ破堤せずに持ちこたえられるように民地側堤防ののり面を補強すること等の対策がハード面の短期的視野での治水対策として国土交通省の緊急アクションプランに挙げられた。土木学会や国土問題研究会などの足羽川豪雨調査でも、越流しても破堤しない堤防補強が対策と第一に挙げられている

これと並行して、長期的視野での治水対策としてダムによる洪水調節も再検討されるに至った。足羽川には国土交通省によって多目的ダムである足羽川ダム1983年(昭和58年)より計画されていたが、水没世帯188戸に上るため猛烈な反対運動が起こっていた。全国でダム建設の是非を巡る論争が繰り広げられた1990年代、特に賛否が紛糾しているダムの1つとして足羽川ダムは「足羽川ダム建設事業審査委員会」や「九頭竜川流域委員会」といった外部識者による諮問機関にその建設の可否を探らせた。結果『現行のダム計画は住民の犠牲が大きく、容認出来ない』との理由で1995年(平成7年)凍結された。この間国土交通省は「九頭竜川流域委員会」や福井市等の足羽川流域自治体等にダムの代替案を提示し、様々な選択肢での治水対策を検討していたがその矢先に平成16年7月福井豪雨が発生した。

足羽川は福井市内を貫流している事から、堤防補強が第1の対策として挙げられているものの実際には鉄道・橋梁の架け替えや多大な住居移転が伴う為に補償額は莫大なものになる事が既に足羽川ダム代替案で示されていた。この為支流の部子川に高さ130.0m、総貯水容量70,000,000tの治水ダムを建設する計画を国土交通省は示した。これが新・足羽川ダム計画であり普段は貯水せず洪水時には足羽川等から導水し洪水を貯留する事で洪水調節を行おうとしている。国土交通省試算では、堤防補強や放水路・遊水地よりもコストを圧縮出来るとして福井県や福井市、流域住民等に理解を求めた。一方、元来ダム事業等の公共事業に批判的な日本共産党の県議等で作る「国土問題研究会」は足羽川ダム計画に対し『十分議論されていない内に、集水面積が極めて小さくなり効果が疑問視され、その上建設費が高くなったダムでの対応を進めようとしている』としてダム建設には反対の姿勢を見せている。

福井豪雨においては、同じ九頭竜川支流の真名川において足羽川流域を上回る豪雨となったが、真名川ダム笹生川ダムといった多目的ダムの洪水調節によって下流の大野市等では堤防越流や決壊による浸水被害が殆ど見られなかったという事実もある。豪雨被害の当事者である福井市や流域の住民は概ねダム建設に理解を示していると言われ、2006年(平成18年)1月に国土交通省はダム建設計画を正式に発表。福井県や福井市もこれを認める方針を出した。しかしながら一部からはダムという選択肢自体を認めない姿勢を持つ意見もある事から、流域に全く関係ないダム反対活動家等が参加し紛糾する事が予想される。こうした治水計画において大事なのは、観念論を排除し総ての選択肢をオープンに議論する事であり、密室での議論や感情論は排さなければならない事であると言われている。

関連項目

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