護憲

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護憲(ごけん)には以下の意味がある。

  1. 立憲政治を擁護すること
  2. 憲法を擁護すること

ここでは、上記のいずれについても記述する。

1の概要

立憲政治を擁護する主張ないしは政治的立場のこと。詳細は用語の使用者などが主張する立憲政治の内容によって異なり、以下のような例がある。

  • 議会の過半数を制した政党が政府を組織すべきだとして議会制民主主義の実現を訴える主張、政治的立場のこと。日本の政治状況に言及する場合であれば、大正時代の護憲運動など過去についての記載で使用される用語である。現在日本では首相指名選挙で衆議院議員の多数が投票した者が首相となって政府を構成する制度的保証があるため、現在日本の政治状況・政党の立場についてこの意味での「護憲」の用語を使用することは通常ない。
  • 立憲政治を行うためには君主制を廃止する必要があるとする主張を前提として天皇制廃止を訴える立場のこと。天皇制廃止論者でなければ護憲派とはいえないと主張する論者もある[1]。(天皇制廃止の手段として憲法の改正を主張する者は、ここで言う意味の護憲派であり、かつ改憲派でもあることになる。)

2の概要

憲法を擁護することであるが、現在日本では「日本国憲法の条文の全てについて変更するべきではない」とする主張ないし政治的立場のことを指す。

現在、国会に議席を有する日本共産党社会民主党左派革新政党が日本国憲法第9条を前面に出して日本国憲法を現行のまま維持する立場を取っていること、国会に議席を有する自由民主党日本維新の会みんなの党などの右派保守政党が憲法9条を含む日本国憲法の改正案を提案したりしていることから、単純に左派・革新的な立場がすべて「護憲」派で、右派・保守的な立場がすべて「改憲」派とされることも多い。

ただし、護憲・改憲の用語自体は、現行のまま憲法を維持することで何を守ろうとしているのか、改正することによってどのような政治的主張を実現していくのかについて言及した用語でない(左派の一部が主張する天皇制廃止も憲法改正により実現可能である)ため、本来は左派・右派などの特定の政治的立場に結びつくものではない。

憲法9条に限っても、1970年代には日本共産党が国民の合意を前提としつつ、憲法改正による最低限の軍備保有を方針とした時期もあり[2]、思想の左右と護憲・改憲は一対一で結びつくものではない。

55年体制の崩壊後、日本共産党・社会民主党の国会に対する影響力が弱まり、野党第1党の民主党も護憲政党ではないことから、“保守”と“革新”による“改憲”と“護憲”という従来の対立軸は崩れつつある。

脚注

  1. 山口泉 『週刊金曜日』 2007年1月26日号「「戦後」の欺瞞に寄生する“知的”(?)スノビズム」
  2. 「MSN産経ニュース」 2012.9.30 17:10 『(9)政治評論家・筆坂秀世氏 「共産党は一貫した護憲勢力」か』

関連項目

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